JPH0873643A - 多孔性フィルム - Google Patents

多孔性フィルム

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JPH0873643A
JPH0873643A JP21729294A JP21729294A JPH0873643A JP H0873643 A JPH0873643 A JP H0873643A JP 21729294 A JP21729294 A JP 21729294A JP 21729294 A JP21729294 A JP 21729294A JP H0873643 A JPH0873643 A JP H0873643A
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porous film
film
molecular weight
sheet
thickness
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JP21729294A
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Toshio Fujii
敏雄 藤井
Keishin Handa
敬信 半田
Seiichi Hado
精一 羽藤
Kiyousuke Watanabe
恭資 渡辺
Yasushi Usami
康 宇佐見
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 リチウム電池のセパレーターとして用いて好
適な多孔性フィルムであって、通常はイオンを通す多孔
性であるが、短絡事故等で加熱状態となると孔が閉塞
し、過熱を防ぐ機能を有する膜を提供する。 【構成】 粘度平均分子量が10万以上の超高分子量ポ
リエチレンからなり、特定の厚さ、透気度、空孔率、引
張伸度を有する膜をリチウム電池のセパレーターとす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に引張伸度の良好な
多孔性フィルムに関し、バッテリーセパレーター用及び
それを用いたリチウム電池用として用いて好適な多孔性
フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】多孔性フィルム或いはシートは、従来よ
り各種用途に広く使用されている。かかる多孔性樹脂成
形体の製造方法も種々提案されている。バッテリー・セ
パレーターとして使用するための多孔性樹脂成形体は、
一般に、超高分子量ポリエチレンおよび可塑剤を含有す
る樹脂組成物から、一旦、フィルムまたはシートを溶融
押出成形して製造し、次いで、フィルムまたはシートに
含まれる可塑剤をイソプロパノール、エタノール、ヘキ
サンなどの有機溶媒で溶解除去することによって製造さ
れている。
【0003】本発明者らの一部は、先に、高温での膜形
状維持特性に優れ、良好な熱閉塞温度を有し、しかも、
面強度、特にピン刺強度の優れたバッテリーセパレータ
ーを与える多孔性フィルムまたはシートを提案した(特
願平5−276947)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】多孔性フィルムまたは
シートを用いて、例えば、リチウム電池のセパレーター
を形成する場合、通常、多孔性フィルムまたはシートと
電極を交互に重ね、それらを巻いて形成するが、その
際、しばしば多孔性フィルムまたはシートが破れ、歩留
りが低くなるという問題がある。この原因としては種々
の要因が考えられ、それら要因を突き止めて個々に対応
をとる必要がある。例えば、電極の粗さに起因する破れ
は、多孔性フィルムまたはシートの面強度を改善するこ
とによりかなりの程度防ぐことができる。
【0005】本発明者らは、多孔性フィルムまたはシー
ト破れの他の要因について種々検討を重ねた結果、多孔
性フィルムまたはシートの引張伸度が主要原因の1つで
あることが分かった。従来の多孔性フィルムまたはシー
トは、一般に引張伸度が小さく、引張伸度が100%程
度と比較的大きいものはその透気度が低くバッテリーセ
パレーターとしては必ずしも有利に使用できるものでは
なかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、良
好な透気度を有し、しかも、引張伸度の向上した多孔性
フィルムまたはシートを得るべく更に検討した。その結
果、高分子量ポリエチレンに可塑剤として特定の顆粒状
パラフィンワックスを混練し、フィルムまたはシート状
に成形し、特定条件下に冷却することなどにより所期の
目的が達成されることを知得し、本発明を完成するに至
った。
【0007】即ち、本発明の要旨は、粘度平均分子量が
10万以上の高分子量ポリエチレンからなる多孔性フィ
ルムまたはシートであって、しかも、(a)厚さ5〜1
00μm、(b)透気度10〜500秒/100cc、
(c)空孔率10〜90%、(d)引張伸度150%以
上の特性を有する多孔性フィルム、及び、このフィルム
から形成されたバッテリーセパレーター、該多孔性フィ
ルムまたはシートを延伸処理または熱固定したフィルム
から形成されたバッテリーセパレーターおよびそれらバ
ッテリーセパレーターを組み込んでなるリチウム電池に
存する。
【0008】以下本発明を更に詳細に説明する。本発明
のフィルムを形成する樹脂組成物は、通常、高分子量ポ
リエチレンと可塑剤を含有する。本発明で使用する高分
子量ポリエチレンとしては、粘度平均分子量(以下単に
「分子量」という。)が10万以上のポリエチレンが挙
げられる。好ましくは、50万〜400万、特に好まし
くは、100万〜300万の直鎖状ポリエチレンが挙げ
られる。また、かかる高分子量ポリエチレンは、その分
子量分布指数が4以上、好ましくは、8〜25、特に好
ましくは、10〜20のものが好適である。ここで分子
量分布指数とは、重量平均分子量(Mw)と数平均分子
量(Mn)との比Mw/Mnの値を意味する。Mw/M
nは、分子量分布指数が広い範囲にわたる時、大きい値
を示すので、この数値は分子量分布の目安となる。
【0009】また、本発明においては、溶融変形のし易
さから、高分子量ポリエチレンとして溶融温度が110
〜140℃のエチレンホモポリマーを好適に使用するこ
とができる。本発明においては、ポリブテン−1、ポリ
プロピレンまたは粘度平均分子量が10万未満のポリエ
チレンを高分子量ポリエチレン100重量部に対して1
00重量部以下、好ましくは、2〜80重量部の割合で
混合することもできる。
【0010】かかるポリエチレンとしては、分岐状また
は線状の低密度ポリエチレン(分子量5,000〜10
万)、高密度ポリエチレン(分子量1万〜10万)、ポ
リエチレンワックス(分子量5,000以下)が挙げら
れる。ポリブテン−1やポリプロピレンとしては、分子
量400万以下のものが使用できる。低密度または高密
度ポリエチレン、ポリブテン−1、或いは、ポリエチレ
ンワックスを高分子量ポリエチレンに対して100重量
%以下、好ましくは30〜90重量%、特に好ましく
は、40〜80重量%併用すると熱閉塞温度を低くする
ことができる。また、ポリプロピレン、或いは、ポリブ
テン−1を高分子量ポリエチレンに対して100重量%
以下、好ましくは1〜50重量%、特に好ましくは、2
〜40重量%併用すると強度若しくは破断時の伸度を向
上させることができる。
【0011】可塑剤としては、パラフィンワックスを使
用するのがよい。特に、平均分子量が250〜700、
好ましくは、300〜600、特に好ましくは、350
〜500、油分(JIS K−2235−5、6)が
0.05〜2重量%、好ましくは、0.1〜1.5重量
%、特に好ましくは、0.15〜0.5重量%、粘度が
1〜30cst/100℃、好ましくは、2〜20cs
t/100℃、特に好ましくは、3〜10cst/10
0℃のものが好適である。その他、本発明で使用するパ
ラフィンワックスとしては、25℃での針入度(JIS
K−2235−5、4)が5〜40、好ましくは、1
0〜20、或いは、25℃での密度が0.88〜0.9
8g/cm3 、好ましくは、0.90〜0.95g/c
3 であるものがよい。
【0012】高分子量ポリエチレンと可塑剤の使用割合
は、通常、高分子量ポリエチレンが5〜60重量%、好
ましくは、10〜50重量%で、可塑剤が40〜95重
量%、好ましくは、90〜50重量%の範囲から選ばれ
る。本発明の樹脂組成物には、公知の各種添加剤、例え
ば、酸化防止剤などを樹脂組成物中、0.01〜5重量
%程度併用してもよい。
【0013】上記樹脂組成物の各成分は、公知の一軸ま
たは二軸の押出機で均一に混練し、溶融押出成形する。
押出量、押出安定性、混練強度の点から二軸の押出機が
好適に使用される。混練の際、パラフィンワックスは平
均粒径が10mm以下、好ましくは、0.5〜5mmの
顆粒状のものを押出機に導入すると目的とする特性を有
する多孔性フィルムまたはシートが得やすいのでよい。
溶融押出成形は、通常、140〜240℃の温度で行
い、5〜50μ或いは50〜300μの厚さでフィルム
状或いはシート状に押し出す。
【0014】本発明においては、かくして押し出された
フィルムまたはシートを溶融変形する。即ち、分子量が
極めて大きいので、変形に対して分子鎖の配向緩和が起
こり難く、変形方向に配向し易いという高分子量ポリエ
チレンの特性を利用して溶融変形することにより、最終
的に得られる多孔性フィルムまたはシートの機械的強伸
度の向上を図る。
【0015】溶融変形は、押し出されたフィルムまたは
シートを構成する樹脂組成物を溶融状態に保持したまま
で変形応力を加えることによって行われる。通常、該樹
脂組成物の温度を約130〜240℃、好ましくは、1
60〜200℃の範囲となるように保持した状態で変形
応力を加える。その際、変形は一方向だけではなく、多
方向に変形を加えることもできる。バッテリー・セパレ
ーターとして使用する場合、一方向のみの変形である
と、フィルムまたはシート中の細孔がその変形方向に伸
ばされた形状となり、若干流路が狭くなり、通気性が低
下し、セパレーターのイオン抵抗率が増大する傾向とな
るので、細孔を広げるように多方向にバランスよく変形
を加えるのが好ましい。
【0016】具体的には、例えば、一方向に変形を加え
る場合は、Tダイまたはインフレーション成形法、好ま
しくは、インフレーション成形法において、ダイのギャ
ップを大きくして、引取り速度を上げて引っ張る、即
ち、ドラフト率を上げていくことにより、MD(機械)
方向に変形を加える。また、多方向に変形を加える場合
は、インフレーション成形法において、ドラフト率およ
びブロー比を上げていくことにより、MDおよびTD
(幅)方向に溶融変形を加える。更に、Tダイ成形法に
よる多方向の変形の場合は、ピンテンターで溶融状態の
フィルムまたはシートの幅方向の端部をキャタピラに固
定し、2つのキャタピラの幅を流れ方向に従って広げて
いくことによりTD方向に変形し、同時に引取り速度を
上げることによりMD方向にも変形を加えることによっ
て行う。
【0017】溶融変形の程度は、本発明の効果を損なわ
ない範囲であれば特に制限はないが、下記式で表される
溶融変形率で、通常、10〜1000、好ましくは、3
0〜800、特に好ましくは、50〜400の範囲とな
るように変形応力を加えるのが好ましい。例えば、縦と
横に変形応力を加える場合は、変形率の縦横比がDR/
BUR≦50、好ましくは、≦20、特に好ましくは、
≦10となるように行うのがよい。
【0018】
【数1】溶融変形率=(D×ρ1 )/(t×ρ2 ) D:ダイギャップ(mm) ρ1 :樹脂組成物の溶融密度(g/cm3 ) t:成形フィルムまたはシートの膜厚(mm) ρ2 :成形フィルムまたはシートの固体密度(g/cm
3
【0019】インフレーション成形法において、ダイギ
ャップが0.5mmの環状ダイを使用して溶融変形して
ポリエチレンフィルムを製造することが知られている
(特開昭62−223245)。従来、10〜100μ
mの厚さのフィルムまたはシートを成形する場合、ダイ
ギャップは通常1mm以下で、最大でも1.5mm以下
で行われている。しかしながら、従来のダイギャップの
範囲で成形して得られるフィルムまたはシートは、強
度、特にピン刺強度が必ずしも十分とはいえない。
【0020】良好な強度を有するバッテリーセパレータ
ーを得るためには、後述の冷却速度と共にダイギャップ
の範囲が重要である。本発明においては、ダイギャップ
は好ましくは2〜20mm、特に好ましくは、3〜10
mmの範囲で行うようにするのがよい。かくして溶融変
形したフィルムまたはシートを冷却した後、該フィルム
またはシートに含まれる可塑剤を除去することにより、
フィルムまたはシートを多孔化する。
【0021】その際、冷却はあまり急激にならないよう
に徐々に冷却することが重要である。例えば、冷却速度
5〜20℃/sec、好ましくは、8〜15℃/sec
で空冷する方法がよい。可塑剤の除去方法としては、例
えば、フィルムまたはシート中の可塑剤をイソプロパノ
ール、エタノール、ガソリン、ベンゼン、クロロホル
ム、テレピン油、二硫化炭素、オリーブ油などの有機溶
媒で溶解し、溶媒置換により抽出除去する、所謂、公知
の有機溶媒法によって行うことができる。
【0022】かくして(a)厚さ5〜100μm、好ま
しくは、10〜60μm、特に好ましくは、20〜40
μm、(b)透気度10〜500秒/100cc、好ま
しくは、20〜400秒/100cc、特に好ましく
は、30〜300秒/100cc、(c)空孔率10〜
90%、好ましくは、20〜80%、特に好ましくは、
40〜70%、(d)引張伸度150%以上、好ましく
は、200〜600%、特に好ましくは、300〜50
0%の特性を有する無延伸の多孔性フィルムまたはシー
トを得ることができる。
【0023】本発明の多孔性フィルムにおいては、引張
伸度が100%未満であると、巻き上げの際に破れ易く
なる。上限については、あまり大きいと均一に、また、
高速で巻き上げるのが難しくなるので600%以下程度
とするのがよい。また、上記の方法によれば、(e)熱
閉塞温度が100〜135℃、好ましくは、110〜1
35℃、(f)熱破膜温度が180℃以上、好ましく
は、200℃以上、(g)ピン刺強度150gf/25
μm以上、好ましくは、200gf/25μm以上、特
に好ましくは、250gf/25μm以上の特性の無延
伸多孔性フィルムまたはシートを得ることができるの
で、バッテリーセパレーターとして好適に使用すること
ができる。
【0024】本発明においては、かかる無延伸の多孔性
フィルムまたはシートを用いてバッテリーセパレーター
を形成することができるが、この無延伸多孔性フィルム
またはシートは、その機械的強度向上のために一軸また
は二軸延伸するか、或いは、100〜180℃程度で熱
固定を行ってもよい。かかる処理により、(a′)厚さ
5〜100μm、好ましくは、10〜60μm、特に好
ましくは、20〜40μm、(b′)透気度10〜50
0秒/100cc、好ましくは、20〜400秒/10
0cc、特に好ましくは、30〜300秒/100c
c、(c′)空孔率10〜90%、好ましくは、20〜
80%、特に好ましくは、40〜70%、(d′)引張
伸度100%以上、好ましくは、200〜600%、特
に好ましくは、300〜500%、(g′)ピン刺強度
200g/25μm以上、好ましくは、250g/25
μm以上、特に好ましくは、300g/25μm以上、
更には、(e′)熱閉塞温度100〜135℃、好まし
くは、110〜135℃、(f′)熱破膜温度150℃
以上、好ましくは、200℃以上の特性を有する多孔性
フィルムまたはシートを得ることができる。
【0025】引張伸度は、フィルム巾を15mm、長さ
を50mm以上に切り取り、これを試験片とする。室温
23℃で、チャック間を25mmに設定し、試験片をセ
ットし引張試験を行う。この際、チャック部で破断しな
いように、試験片の端部にテープなどを巻くと良い。ク
ロスヘッドスピードは300mm/minとした。この
時の引張切断荷重と標線間距離を測定する。引張伸度
は、次式により算出する。
【0026】
【数2】 引張強度は、引張切断荷重から、次式により算出する。
【0027】
【数3】
【0028】引張試験は、万能引張試験機を使用した。
透気度は、JIS P8117に従って測定した。使用
装置は東洋精器社製B型ガーレ式デンソメーター(商品
名)を用いた。空孔率の測定はフィルムの幅方向に5ケ
所を直径3cmの円形に打抜き、打抜いたフィルムの中
心部の厚さを測定し、また重量を測定し、下記式により
計算する。
【0029】
【数4】 空孔率(%)=(Vρ−W)/(Vρ)×100 V:フィルムの体積(5枚分) W:重量(5枚分) ρ:材料の密度
【0030】熱閉塞温度と熱破膜温度の測定方法は中央
部に直径4cmの穴の開いた1辺8cmの正方形のテフ
ロン膜(TF)及びアルミニウム板(Al)を用意し、
Al/TF/多孔性フィルム/TF/Alの順に重ねて
クリップ等で固定した試験片とする。試験片を130℃
のオーブンに入れ5℃/5分の昇温速度で昇温しつつ5
分ごとにサンプルを取出して透気度(JIS P811
7)を測定し、透気度が5000秒/100ccとなっ
た温度を熱閉塞温度とする。同様にして昇温を続け目で
確認して認識できるような穴が生じた温度を熱破膜温度
とする。
【0031】ピン刺強度は日本農林規格告示1019号
に準じて測定〔測定機器:レオメーター(不動工業
(株)製 NRM−2002J)ピン径1mmφ、先端
部0.5R、ピン刺速度200mm/min〕した値。
安全性確保の為に、セパレーターの熱閉塞温度と熱破膜
温度との差が30℃以上、好ましくは50℃以上ある事
が熱閉塞後にも続く温度上昇に対して安全面で余裕があ
り優れているセパレーターとなる。
【0032】本発明の上記多孔性フィルムまたはシート
から形成されるバッテリーセパレーターは例えばリチウ
ム電池、リチウムイオン二次電池等に好適に使用でき
る。本発明のリチウム電池(二次電池)は、上述した多
孔性フィルムまたはシートからなるセパレーターと、非
プロトン性電解液と、リチウム化合物からなる正極(放
電時正極)と、負極とにより構成される。
【0033】まず、非プロトン性電解液をセパレーター
の空孔に充填するが、充填は滴下、含浸、塗布またはス
プレー法により容易に行なうことができる。これは多孔
性フィルムまたはシートが0.001〜0.1μmの平
均貫通孔径を有しているため、該フィルムまたはシート
に対して接触角が90°以下となる非プロトン性電解液
が、毛管凝縮作用により孔中に容易にとり込まれるため
である。
【0034】非プロトン性電解液としては、プロピレン
カーボネート、ジメチルスルホキシド、3−メチル−
1,3−オキサゾリジン−2−オン、スルホラン、1,
2−ジメトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン
などの単独、あるいは多成分系の有機溶媒に、LiBF
4 ,LiClO4 などのリチウム塩を溶解したものを使
用することができる。特に、プロピレンカーボネート、
1,2−ジメトキシエタン、LiBF4 の組み合わせ、
ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、L
iBF6 の組み合わせ、プロピレンカーボネート、1,
2−ジメトキシエタン、LiClO4 の組み合わせは、
室温での電気伝導度が10-3〜10-2s/cmであるこ
とが知られており、好適である。
【0035】このようにして得られたセパレーターを用
いれば、信頼性及び安全性に優れたリチウム電池とする
ことができる。本発明のリチウム電池は、上述した非プ
ロトン性電解液を電解質として用いた、いわゆる非水性
電解質型の電池であり、その構造は、基本的に通常の同
種のリチウム電池と同様となる。正負両極間にはこれま
で詳述した本発明のセパレーターを設置している。
【0036】一次電池とする場合には負極にリチウム化
合物を用い、正極としてはクロム酸銀、フッ化炭素、二
酸化マンガン等を用いることができる。また二次電池と
する場合には、正極(放電時正極)としてリチウム化合
物、又はアルミニウムや可融合金(Pb,Cd,Inを
含む合金)や炭素にリチウムを吸蔵させた物を用い、負
極としては層状構造としたTiS2 ,MoS2 やNbS
3 などの金属カルコゲン化物や、トンネル状空孔をも
つCoO2 ,Cr2 5 やV2 5 (・P2 5 ),M
nO2 (・LiO2 )などの金属酸化物、ポリアセチレ
ンやポリアニリンなどの共役系高分子化合物などを用い
ることができる。
【0037】
【実施例】以下に実施例を挙げてさらに本発明を具体的
に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の
実施例に限定されるものではない。 実施例1 融点135℃で、粘度平均分子量2.3×106 の超高
分子量ポリエチレン(PE)(Mw/Mn=8)の粉末
25重量部と、平均粒径1mmのパラフィンワックス7
5重量部を直径50mmの押出機に供給して200℃で
混練しながら、連続的にダイ直径50mm、ダイギャッ
プ6.0mmのインフレダイより押し出し、引取速度
5.0m/min(ダイ温度:177℃、ドラフト率:
21.7)で引き取り、ブロー比(BUR)7.0にて
溶融変形を加え、膜厚0.034mmのフィルムを得
た。本実施例で使用した樹脂組成物の溶融密度は0.7
9g/cm3 で、押出されたフィルムの固体密度は0.
917g/cm3 であったので、かかる溶融変形におい
て、加えられた溶融変形率は約152であった。
【0038】得られたフィルムを60℃のイソプロピル
アルコール中に浸漬し、パラフィンワックスをフィルム
中から抽出除去し、次いで、表面温度122℃の加熱ピ
ンチロールにて30秒間熱処理して、25μの膜厚の多
孔性フィルムを得た。このフィルムの物性を表1に示し
た。得られた多孔性フィルム(幅58mm、長さ1mに
切断したもの)をリチウム電池(負極:コバルト酸リチ
ウム、正極:カーボン、電解液:プロピレンカーボネー
ト)の正極と負極の間に挟み、巻き込んで60mmの長
さ、15mmの径の金属容器に収納してリチウム二次電
池とした。
【0039】又、不良率は、次のような方法にてテスト
を行った。表面が120番サンドペーパー相当の粗さに
した鉄板の上にフィルムサンプルを置き、0.5kg/
cm2 の圧力がかかるようにその上に30φの端子を置
く。この鉄板と端子に1.5kVの電圧を1分間かけ、
その電圧によって電流が流れるか否かをテストした。こ
れを100回行い、電流の流れた数を不良率とした。使
用機器は(株)菊水工業社製、耐電圧試験器 TOS8
651形である。120番サンドペーパー相当の粗さと
は、電極板を模す為の粗さである。尚、実施例で使用し
たパラフィンワックスとしては、次の物性のものを使用
した。
【0040】
【表1】分子量:530 油 分:0.3% 粘 度:3.9mm2 /s/100℃ 密 度:0.911g/cm2 針入度:13(25℃)
【0041】実施例2 実施例1において、平均粒径2.5mmのパラフィンワ
ックスにおきかえ引取速度を10m/min(ダイ温
度:180℃、ドラフト率(DR):26.4)で引取
り、BUR=9.0にて溶融変形を加え、膜厚0.02
2mmの多孔性フィルムを得た。次いで、この多孔性フ
ィルムを実施例1と同様にしてパラフィンワックスを除
去後、115℃で熱処理し、18μmの膜厚の多孔性フ
ィルムを得た。このフィルムの物性を表1に示した。得
られた多孔性フィルムを実施例1と同様にして、リチウ
ム電池のセパレーターとして用い、又、不良率のテスト
を行った。
【0042】実施例3 実施例1において、引取速度を4.5m/min(ダイ
温度:170℃、DR:15.4)で引取り、BUR=
7.0にて溶融変形を加え、膜厚0.044mmのフィ
ルムを得た。次いで、このフィルムを実施例1と同様に
してパラフィンワックスを除去後、100℃で熱処理
し、35μmの膜厚の多孔性フィルムを得た。このフィ
ルムの物性を表1に示した。得られた多孔性フィルムを
実施例1と同様にして、リチウム電池のセパレーターと
して用い、又、不良率のテストを行った。
【0043】実施例4 融点136℃で、粘度平均分子量1.0×106 の超高
分子量ポリエチレン(PE)(Mw/Mn=7)の粉末
25重量部と、平均粒径1mmのパラフィンワックス7
5重量部を押出機に供給する以外は、実施例1と同様に
して膜厚35μmの多孔性フィルムを得た。このフィル
ムの物性を表1に示した。得られた多孔性フィルムを実
施例1と同様にしてリチウム電池のセパレーターとして
用い、不良率のテストを行った。
【0044】実施例5 融点138℃で、分子量(粘度平均)3×106 の超高
分子量ポリエチレン(Mw/Mn=6)の粉末20重量
部と平均粒径1.5mmのパラフィンワックス80重量
部を直径50mm押出機に供給して200℃で混練しな
がら連続的にダイ直径50mm、ダイギャップ4.5m
mのインフレダイより押し出し、引取り速度6.2m/
min(ダイ温度:180℃、DR:13.8)で引取
り、ブロー比(BUR)6.5にて溶融変形を加え、膜
厚0.043mmのフィルムを得た。本実施例で使用し
た樹脂組成物の溶融密度は0.78g/cm3 で、押し
出されたフィルムの固体密度は0.913g/cm3
あったので、かかる溶融変形において加えられた溶融変
形率は約89.4であった。
【0045】このフィルムを60℃のイソプロピルアル
コール中に浸漬して、パラフィンワックスを抽出し、つ
いで実施例1と同様にして熱処理して膜厚29μの多孔
性フィルムを得た。このフィルムの物性を表1に示し
た。得られた多孔性フィルムを実施例1と同様にしてリ
チウム電池のセパレーターとして用いた。試験の結果を
表1に示す。
【0046】実施例6 実施例1において、引取速度を2.5m/min(ダイ
温度:165℃、DR:10.5)で引取り、BUR=
6.0にて溶融変形を加え、膜厚0.082mmのフィ
ルムを得た。得られたフィルムをイソプロピルアルコー
ル中に浸漬し、パラフィンワックスを抽出除去した後、
ロール延伸機で3.0倍に延伸(延伸温度124℃)し
て、膜厚25μの多孔性フィルムを得た。この成形体の
物性等を実施例1と同様に表1に示す。
【0047】実施例7 実施例5において、引取速度を2.3m/min(ダイ
温度:165℃、DR:9.2)で引取り、BUR=
6.0にて溶融変形を加え、膜厚0.094mmのフィ
ルムを得た。得られたフィルムをイソプロピルアルコー
ル中に浸漬し、パラフィンワックスを抽出除去した後、
ロール延伸機で2.8倍に延伸(延伸温度122℃)し
て、膜厚30μmの多孔性フィルムを得た。このフィル
ムの物性等を実施例1と同様に表1に示す。
【0048】比較例1 融点135℃で、粘度平均分子量が2×106 の超高分
子量ポリエチレンの粉末25重量部と、セリルアルコー
ル75重量部を直径50mmの押出機に供給し、200
℃で混練しながら、ダイ直径40mm、ダイギャップ
5.6mmのインフレダイより、ダイ温度:170℃、
DR:16.8、BUR:7.0で成膜し、膜厚43μ
mのシートを得た。(溶融密度:0.79g/cm3
固体密度:0.876g/cm3
【0049】このシートを実施例1と同様にして、セリ
ルアルコールを抽出し、熱処理を行い、34μmの膜厚
の多孔シートを得た。このシートの物性を表1に示し
た。ついで、このシートを実施例1と同様にして電池に
組み込み、不良率のテストを行った。
【0050】比較例2 融点138℃で粘度平均分子量3×106 の超高分子量
ポリエチレンの粉末20重量部とステアリルアルコール
80重量部を直径50mmの押出機に供給して、200
℃で混練しながら連続的にダイ直径50mm、ダイギャ
ップ3mmのインフレダイより押出し、ダイ温度:17
0℃、DR:8.9、BUR:4.0にて溶融変形を加
え、引取速度:3.1m/minで引取り、膜厚0.0
76mmのフィルムを得た。
【0051】このフィルムを60℃のイソプロピルアル
コール中に浸漬して、ステアリルアルコールを抽出し、
ついで、ロール延伸機にて2.7倍に延伸(延伸温度1
24℃)して、厚さ25μmの多孔性フィルムを得た。
この物性を表1に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
【発明の効果】本発明の多孔性フィルムはバッテリーセ
パレーターとして用いて充放電特性に優れ安全性に加
え、加工性にも優れたリチウム2次電池を供給する。
フロントページの続き (72)発明者 渡辺 恭資 岡山県倉敷市潮通三丁目10番地 三菱化成 株式会社水島工場内 (72)発明者 宇佐見 康 岡山県倉敷市潮通三丁目10番地 三菱化成 株式会社水島工場内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粘度平均分子量が10万以上の高分子量
    ポリエチレンからなる多孔性フィルムまたはシートであ
    って、しかも、(a)厚さ5〜100μm、(b)透気
    度10〜500秒/100cc、(c)空孔率10〜9
    0%、(d)引張伸度150%以上の特性を有する多孔
    性フィルム。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の多孔性フィルムであっ
    て、(e)熱閉塞温度が100〜135℃である多孔性
    フィルム。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の多孔性フィルムで
    あって、(f)熱破膜温度が180℃以上である多孔性
    フィルム。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の多孔性
    フィルムであって、(g)ピン刺強度が150gf/2
    5μm以上である多孔性フィルム。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4記載の多孔性フィルムであ
    って、延伸処理または熱固定して得られる多孔性フィル
    ム。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の延伸処理または熱固定し
    て得られる多孔性フィルムまたはシートが、(a′)厚
    さ5〜100μm、(b′)透気度10〜500秒/1
    00cc、(c′)空孔率10〜90%、(d′)引張
    伸度100%以上、(h)引張強度400kg/cm2
    以上の特性を有するものである多孔性フィルム。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の多孔性フィルムであっ
    て、(e′)熱閉塞温度が100〜135℃である多孔
    性フィルム。
  8. 【請求項8】 請求項6又は7記載の多孔性フィルムで
    あって、(f′)熱破膜温度が150℃以上である多孔
    性フィルム。
  9. 【請求項9】 請求項6〜8のいずれかに記載の多孔性
    フィルムであって、(g′)ピン刺強度が200gf/
    25μm以上である多孔性フィルム。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載の多孔
    性フィルムがバッテリーセパレーター用である多孔性フ
    ィルム。
  11. 【請求項11】 請求項1〜9のいずれかに記載の多孔
    性フィルムをバッテリーセパレーターとして組み込んで
    なるリチウム電池。
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