JPH0873585A - 芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法

Info

Publication number
JPH0873585A
JPH0873585A JP6217296A JP21729694A JPH0873585A JP H0873585 A JPH0873585 A JP H0873585A JP 6217296 A JP6217296 A JP 6217296A JP 21729694 A JP21729694 A JP 21729694A JP H0873585 A JPH0873585 A JP H0873585A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polycarbonate resin
aromatic polycarbonate
producing
compound
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6217296A
Other languages
English (en)
Inventor
Michio Kawai
道生 川井
Masatoshi Kimura
昌敏 木村
Takeshi Kashiwagi
猛 柏木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP6217296A priority Critical patent/JPH0873585A/ja
Publication of JPH0873585A publication Critical patent/JPH0873585A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 カーボネート前駆体と芳香族ジヒドロキシ化
合物とのエステル交換反応において、イミノカルボン酸
類と非金属塩基性化合物とからなる触媒を用いる芳香族
ポリカーボネート樹脂の製造方法。 【効果】 塩化メチレンによる環境問題等もなく、色調
および熱安定性に優れた高品質の芳香族ポリカーボネー
ト樹脂を容易にかつ生産性高く製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、芳香族ポリカーボネー
ト樹脂の製造方法に関するものである。詳しくは、着色
の少ない高分子量芳香族ポリカーボネート樹脂を、エス
テル交換法によって容易にかつ生産性高く、工業的に製
造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネート樹脂は、エンジ
ニアリングプラスチックとして、その耐衝撃性・寸法安
定性・透明性を生かした用途に幅広く用いられている。
その工業的な製造法としては、ホスゲン法(界面重合
法)やエステル交換法(溶融重合法)などが知られてい
る。
【0003】前者のホスゲン法は、芳香族ジヒドロキシ
化合物のアルカリ金属塩とホスゲンとを水/塩化メチレ
ンの2相系で反応させて高分子量の芳香族ポリカーボネ
ート樹脂とする方法であり、工業的にも広く用いられて
いる。しかしながら、この方法では、有害なホスゲンを
用いることと、溶媒として大量に用いられている塩化メ
チレンの大気中への排出による環境汚染の問題とがあ
る。さらに、この方法で製造された芳香族ポリカーボネ
ート樹脂は、溶媒として用いられている塩化メチレンが
樹脂ときわめて高い親和性を有するため、樹脂中から完
全に除去することは困難であり、この残存塩化メチレン
が成形中に分解して塩化水素ガスを発生し成形機を腐食
したり、ポリマーが劣化したりするなどの問題があっ
た。
【0004】一方、後者のエステル交換法は、ホスゲン
を用いる必要がなく、しかも塩化メチレンなどの含ハロ
ゲン溶媒による環境汚染の恐れもないため、製造プロセ
スとしては前者より好ましいと考えられる。しかしなが
ら、この方法による芳香族ポリカーボネート樹脂の製造
法は、反応後期にポリマーの粘度が極めて高くなるた
め、高分子量の芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには
反応温度を高くする必要がある一方、生成するフェノー
ル類を除去することが必須であるため、高減圧度におけ
るエステル交換反応を行わしめる必要上、特殊な反応器
を必要とする。そのため従来の方法では、反応器の材質
として用いられるステンレスなどの金属表面からの金属
の溶出や、触媒自体などのために、得られる樹脂が熱に
よる副反応によって着色し易く、熱安定性にも劣る、と
いった問題があった。
【0005】芳香族ポリカーボネートの着色に関して
は、主に次の2点が原因として挙げられる。第1に、反
応器の材質、特に鉄が着色に影響を及ぼすということが
示唆されている、ということである。そこで米国特許第
4,383,092号によれば、反応器の接液部をガラ
スあるいはタンタル、ニッケルあるいはクロムによりラ
イニングすることにより、芳香族ポリカーボネートの着
色防止を図ることが提案されている。一方、特開平4−
332726号公報では、反応器の接液部に鉄成分20
%以下の材質を用いる、といったことが記載されてい
る。しかしながら、これらの金属材質や表面処理法は、
反応器に用いるには高価であることから、実質的ではな
かった。
【0006】第2に、モノマーとして用いられるビスフ
ェノール類や、副生するフェノール類は熱安定性が低
く、そのため反応途中でポリマーの着色の要因となる物
質を生じやすく、しかもこの着色は金属触媒の存在でさ
らに増長される傾向にある。しかし、これらの熱分解反
応を抑制するために反応温度を下げると、重合反応に長
時間を要し、そのため高分子量の芳香族ポリカーボネー
ト樹脂を得ることは困難であった。そこで、特開平2−
124934号公報では、触媒として含窒素塩基性化合
物とアルカリ金属またはアルカリ土類金属とを用いるこ
とが提案されている。しかしながらこの方法でも、無色
のポリカーボネート樹脂を得るには不十分であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、色調
および熱安定性に優れた高品質の芳香族ポリカーボネー
ト樹脂をエステル交換法により製造する方法を提供する
ことにあり、更に、塩素原子の含有量が少なく、また着
色がなく熱安定性にも優れた芳香族ポリカーボネート樹
脂を、ステンレスなどの工業的に一般に用いられている
材質からなる反応装置によって、溶融法にて高い生産性
で製造する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の問題を解
決するためになされたものであり、その要旨は、カーボ
ネート前駆体と芳香族ジヒドロキシ化合物とのエステル
交換反応によって芳香族ポリカーボネート樹脂を製造す
るにあたり、イミノカルボン酸類と非金属塩基性化合物
とからなる触媒を用いることを特徴とする芳香族ポリカ
ーボネート樹脂の製造方法に存する。以下、本発明につ
き詳細に説明する。芳香族ジヒドロキシ化合物として
は、下記一般式(III)で表されるものが用いられる。
【0009】
【化3】
【0010】式中、R10、R11は各々独立に水素原子、
ニトロ基、置換基を有していても良い、アルキル基また
はアリール基を示す。アルキル基としては、メチル、エ
チル等の炭素数1から4の直鎖または分岐アルキル基が
好ましく、更にはメチル基が好ましい。アリール基とし
てはフェニル、ナフチル、その他アルキル置換フェニル
基が好ましく、更にはフェニル基が好ましい。これらの
アルキル基またはアリール基はハロゲン、ニトロ基等の
置換基を有していても良い。また、X2 は単結合、メチ
レン、1,1−エチレン、1,2−エチレン、2,2−
プロピレン、1,1−シクロヘキシレン等の鎖状または
環状アルキレン基、または−O−、−S−、−SO−,
−SO2 −、−CO−等の2価の官能基等を示す。
【0011】これらのうち、好ましいものとしては、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビ
スフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メ
タン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シ
クロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエー
テル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,
4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンなどが挙げられ
る。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は単独で用いて
も良く、また混合物として用いても良い。これらのう
ち、特に好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパンである。本発明におけるカーボネート
前駆体としては、一般式(IV)で表されるビスアリール
カーボネート類またはポリカーボネートオリゴマーが用
いられる。
【0012】
【化4】
【0013】式中、R12〜R15は各々独立にフッ素、塩
素、臭素等のハロゲン、ニトロ基、置換基を有していて
もよいアルキル基、好ましくは炭素数1〜6のアルキル
基またはアリール基を示す。X3 は単結合、メチレン、
1,1−エチレン、1,2−エチレン、2,2−プロピ
レン、1,1−シクロヘキシレン等の鎖状または環状ア
ルキレン基、または−O−、−S−、−SO−、−SO
2 −、−CO−等の2価の官能基等を示す。またjは0
〜20の整数を表す。
【0014】これらのうち、具体的には、ビスアリール
カーボネート類としては、ジフェニルカーボネート、ビ
ス(p−クロロフェニル)カーボネート、ビス(p−ニ
トロフェニル)カーボネート等が挙げられ、好ましくは
ジフェニルカーボネートである。ポリカーボネートオリ
ゴマーとしては、ビスフェノールAのビスアリールカー
ボネート等が挙げられる。
【0015】本発明における芳香族ポリカーボネートを
エステル交換反応で製造するためには、重合中にビスア
リールカーボネート類が留出するのを補うために、芳香
族ジヒドロキシ化合物に対して、モル比で1倍から2
倍、好ましくは1.02倍から1.5倍の割合で用いら
れる。本発明における重合触媒としては、イミノカルボ
ン酸と非金属塩基性化合物とが用いられる。ここでいう
イミノカルボン酸とは、以下に示す一般式(V)で表さ
れる基を有する化合物である。
【0016】
【化5】 (式中、kは1〜3の整数を表す。)
【0017】具体的には、ニトリロ三酢酸(NTA)、
ニトリロ三プロピオン酸のようなニトリロ三酢酸カルボ
ン酸型化合物、イミノジ酢酸、イミノジプロピオン酸、
N−メチルイミノジ酢酸のようなイミノジカルボン酸型
化合物、N,N,N’,N’−エチレンジアミン四酢酸
(EDTA)、N,N,N’,N'',N''−ジエチレン
トリアミン五酢酸、N,N,N’,N'',N''' ,
N''' −トリエチレンテトラミン六酢酸などが挙げられ
る。これらの中で、好ましいのはニトリロ三酢酸、N,
N,N’,N’−エチレンジアミン四酢酸である。
【0018】これらの化合物の添加量としては、モノマ
ーであるビスフェノール化合物1モルに対して、好まし
くは1×10-2〜1×10-9モル、さらに好ましくは1
×10-5〜1×10-8モルである。これらの化合物の添
加量がこの範囲より少ないと、触媒としての効果が薄い
ので好ましくない。逆に添加量がこの範囲より多くて
も、それによる格別の効果が得られるわけではないので
経済的に不利であるばかりでなく、着色・熱安定性、耐
加水分解性等に悪影響を及ぼす要因となり得るので、好
ましくない。
【0019】また、非金属塩基性化合物としては、第1
級〜第3級のモノおよびポリアミン、ピリジン、イミダ
ゾール等の塩基性複素環系化合物、4級アンモニウムや
4級ホスホニウム、3級スルホニウム等オニウムイオン
の水酸化物および塩基性塩等が挙げられる。特には、以
下に示す脂肪族ポリアミン系化合物、4級アンモニウム
化合物が好ましい。脂肪族ポリアミン系化合物として
は、下記の一般式(I)にて示される化合物である。
【0020】
【化6】
【0021】式中、R1 〜R5 はそれぞれ置換基を有し
ていてもよいアルキル基、好ましくは炭素数1〜6のア
ルキル基を表し、mは0〜10、好ましくは0〜4の整
数、nは1〜12、好ましくは2〜8の整数を表す。具
体的には、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレン
ジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4
−ジアミノブタン、N,N,N’,N’−テトラメチル
ヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N'',N''−
ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,
N'',N''' ,N''' −ヘキサメチルトリエチレンテト
ラミンなどの鎖状ポリアミン系化合物が挙げられる。さ
らには、トリエチレンジアミン(ジアザビシクロオクタ
ン)、ヘキサメチレンテトラミン、N,N’,N'',N
''' −テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシ
クロテトラデカン(テトラメチルサイクラム)など、環
状ポリアミン系化合物であってもよい。これらの中では
直鎖状ポリアミンが好ましく、さらにはテトラメチル−
α,ω−ジアミン型の化合物、特にN,N,N’,N’
−テトラメチルヘキサメチレンジアミンが好ましい。4
級アンモニウム化合物としては、下記の一般式(II)に
て表される化合物である。
【0022】
【化7】
【0023】ここで、R6 〜R9 はそれぞれハロゲン、
ニトロ基、置換または無置換アリール基等の置換基を有
していても良い、炭素数1ないし10、好ましくは1な
いし4のアルキル基またはアリール基を示し、(X1
i-は水酸化物イオン、テトラヒドロほう酸イオン、炭酸
イオン等のi価の塩基性アニオンを示す。iは1〜3の
整数を示す。
【0024】具体的には、テトラメチルアンモニウムハ
イドロキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロキ
サイド、トリメチルベンジルアンモニウムハイドロキサ
イド、トリメチルフェニルアンモニウムハイドロキサイ
ド、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テト
ラメチルアンモニウムカーボネートなどが挙げられ、好
適にはテトラメチルアンモニウムハイドロキサイドが挙
げられる。
【0025】これら塩基性化合物の添加方法としては、
前記のイミノカルボン酸類とは別個に添加することも出
来るが、同一の溶液中にてまず塩を形成させた後添加す
る方法が好ましい。また、これら塩基性化合物の添加量
としては、モノマーであるビスフェノール化合物1モル
に対して、好ましくは1×10-6〜1×10-2モル、さ
らに好ましくは1×10-5〜1×10-3モルである。さ
らにイミノカルボン酸に対する添加比率は、好ましくは
イミノカルボン酸1モルに対して塩基性化合物が1×1
1〜1×105 モル、さらに好ましくは1×102
1×104 モルである。
【0026】これら非金属塩基性化合物の添加量がこの
範囲より少ないと、触媒としての効果が薄いので分子量
を上昇させるのに長時間を要し、そのためポリマーが着
色するので好ましくない。逆に添加量がこの範囲より多
くても、それによる反応時間の短縮や色調の向上等の効
果が得られるわけではないので経済的に不利であるばか
りでなく、着色・熱安定性・耐加水分解性等に悪影響を
及ぼす要因となり得るので、好ましくない。
【0027】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂の製
造方法においては、槽型反応器による1段階反応によっ
てポリカーボネート樹脂を製造することもできるが、特
に高分子量のポリカーボネート樹脂を製造しようとする
場合には、エステル交換反応を前重縮合工程と後重縮合
工程で行ない前重縮合工程においては槽型反応器を用い
て溶融粘度の低いプレポリマーを製造し、さらに後重縮
合工程においてプレポリマーを高分子量化せしめること
が好ましい。後重縮合工程では、熱履歴の少ない製造法
が好ましく、このような製造工程の例としては、高粘度
リアクタを用いる方法や、固相重合法が挙げられる。な
かでも高粘度リアクタを用いる方法が好ましいが、特
に、横型の2軸セルフクリーニング式高粘度リアクタを
用いる方法が好ましい。
【0028】前重縮合工程においては、反応系外に留出
したモノフェノール類の量が、用いられたビスフェノー
ル化合物1モルに対して0.80〜1.20モルとなる
まで、エステル交換反応を220℃以下、好ましくは1
60〜220℃の温度にて行わしめる。その後、徐々に
昇温して最終的には250℃〜320℃、特に260℃
〜300℃の範囲とするのが好ましい。また圧力は常圧
から0.1mmHgの範囲である。
【0029】この工程では、粘度平均分子量で1,00
0〜20,000、好ましくは5,000〜15,00
0である芳香族ポリカーボネートのプレポリマーが得ら
れる。この際プレポリマーの分子量がこの範囲より低い
場合は、後重縮合工程での分子量上昇に長時間を要する
ので生産性の点で不利である。またプレポリマーの分子
量がこの範囲を越える場合は、槽型反応器で製造する際
に、溶融粘度が高くなるのを防ぐために300℃以上の
高温で前重縮合反応を行わしめる必要があり、そのため
ポリマーが着色するなどの点で不利となる。一方、後重
縮合工程にて横型の2軸セルフクリーニング式高粘度リ
アクタを用いてさらに高分子量化せしめる場合には、第
1段階で得られたプレポリマーを溶融状態のまま直接リ
アクタにフィードしても良いし、いったんペレット化し
たものを押出機等で再度溶融後フィードしても良い。
【0030】なお、本発明で用いられる横型の2軸セル
フクリーニング式高粘度リアクタとは、同一方向に回転
する2本の水平回転軸と、この水平回転軸に垂直方向で
回転軸と共に回転するように取り付けられた撹拌板を有
するものである。それぞれの撹拌板の位相がずれてお
り、互いにわずかのクリアランスを保ちながら回転する
ために撹拌板についた樹脂は滞留することなく撹拌さ
れ、表面が更新される(セルフクリーニング性)。この
撹拌板の断面形状は、円板型、中空の円板型、凸レンズ
型、棒型、窓枠型、擬三角型等が挙げられるが、本発明
においては必ずしもこれらのものに限定されるものでは
ない。
【0031】また、後重縮合工程における反応温度は2
40℃〜350℃、好ましくは250℃〜300℃であ
り、圧力は10mmHg以下、好ましくは2mmHg以
下である。また本発明における横型反応装置は、スクリ
ュータイプの2軸押出機と比較して装置の内容積が大き
く、また撹拌板の形状・取り付け位置等によって樹脂の
押出性能をコントロールできるため、反応混合物の滞留
時間を長くとることが可能である。通常、滞留時間は1
0分〜90分、好ましくは15分〜60分である。この
後重縮合工程で横型反応装置を用いて反応した後に得ら
れる芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は1
5,000〜60,000、好ましくは15,000〜
40,000である。
【0032】反応装置の反応混合物と接触する部分の材
質としては、ステンレス等、鉄の含有量が25重量%以
上の金属または合金等が使用される。また、本発明の範
囲内であれば、必要に応じて、公知である他のエステル
交換触媒を添加することもできる。あるいは、モノマー
である芳香族ジヒドロキシ化合物やカーボネート前駆体
と同時に、もしくは前・後重縮合反応工程の途中または
終了後に、ホスファイト系化合物、ホスホン酸系化合
物、ヒンダードフェノール系化合物等といった、公知の
熱安定剤などの添加剤を使用することによって、得られ
る芳香族ポリカーボネート樹脂の熱安定性を改善するこ
とも可能である。さらに、まったく同様の手法で、無機
系充填剤等を加えることによってその物性等を改善した
り、3価以上の多価フェノール類およびそれらの誘導体
等の分岐剤を添加することによって芳香族ポリカーボネ
ート樹脂に分岐構造を持たせて、その溶融流動性を改善
したり、テレフタル酸や、イソフタル酸等のジカルボン
酸またはそれらの誘導体を添加して芳香族ポリエステル
カーボネートとして耐薬品性等を改善したりすることも
可能である。
【0033】本発明方法によって製造された芳香族ポリ
カーボネート樹脂は色調および熱安定性に優れ、成型後
の分子量低下や力学的物性の低下が少ない。従って、該
ポリカーボネート樹脂は、一般的なエンジニアリングプ
ラスチックとして幅広く使用できるものであり、工業的
にも極めて有利である。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施
例に限定されるものではない。 (1)粘度平均分子量(Mv):20℃における塩化メ
チレン溶液の固有粘度[η](dL/g)をウベローデ
粘度管を用いて測定し、次式を用いて算出した値。
【0035】
【数1】[η]=1.23×10-4(Mv)0.83
【0036】(2)ポリマーの色調(b値):ペレット
を、カラーコンピュータ(スガ試験機株製:SMカラー
コンピュータ、モデルSM−4)を用いて反射法にて測
定した値。このb値が大きいほどポリマーの着色度(黄
色)が高いことを示しており、色調良好なサンプルとし
て好ましくはb値1.5以下、さらに好ましくは1.0
以下である。
【0037】実施例1 ビスフェノールA4566g(20.0mol)、ジフ
ェニルカーボネート4584g(21.4mol)、お
よび触媒としてニトリロ三酢酸1.3mg(6.6μm
ol、ビスフェノールA1molに対して3.3×10
-7mol)とN,N,N’,N’−テトラメチルヘキサ
メチレンジアミン1.72g(10mmol、ビスフェ
ノールA1molに対して5×10-4mol)とを5m
Lの蒸留水に溶解したものを30L槽型反応器(SUS
316L製)に仕込み、窒素置換した後、徐々に昇温し
た。反応混合物が溶解した後に撹拌を始め、この時間を
重合開始時間とした(槽内温度160℃)。その後徐々
に減圧しながら温度を上昇させ、反応初期は生成するフ
ェノール量が22mol(ビスフェノールA1molに
対して1.1mol)となるまで100mmHg、20
0℃にしばらく保ち、その後反応槽内を徐々に減圧・昇
温後、最終的には1mmHg、270℃にて縮合反応さ
せ、引き続き生成するフェノールを留去させて、全重合
時間3.5時間で重合を終了し、槽内を復圧した後にス
トランド状に水槽中に押出しカッターにてペレットとし
た。これらの操作によって、表1に示すような粘度平均
分子量、色調(b値)の、無色透明なポリカーボネート
樹脂のプレポリマーを得た。
【0038】次に後重合工程として、このプレポリマー
100重量部に熱安定剤としてホスホン酸ジフェニル
0.03重量部を添加した上で、270℃で2軸押出機
で溶融し、2軸セルフクリーニング高粘度反応装置(内
容積2L、真空度0.2mmHg、回転数60rpm)
へ移送し、2.5kg/hでギアポンプにて抜き出し
た。滞留時間は30分とした。得られたポリマーは表1
に示すように無色透明であった。
【0039】実施例2 実施例1において、触媒としてN,N,N’,N’−テ
トラメチルヘキサメチレンジアミン1.72gの代わり
にN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン
を1.16g(10mmol、ビスフェノールA1mo
lに対して5×10-4mol)用いた以外は、実施例1
と同様に行った。結果は表1に示した。
【0040】実施例3 実施例1において、触媒としてN,N,N’,N’−テ
トラメチルヘキサメチレンジアミン1.72gの代わり
にテトラメチルアンモニウムハイドロキサイド0.91
g(10mmol、ビスフェノールA1molに対して
5×10-4mol)用いた以外は実施例1と同様に行っ
た。結果は表1に示した。
【0041】実施例4 実施例1において、触媒としてニトリロ三酢酸1.3m
gの代わりにN,N,N’,N’−エチレンジアミン四
酢酸1.5mg(5μmol、ビスフェノールA1mo
lに対して2×10-7mol)用いた以外は実施例1と
同様に行った。結果は表1に示した。
【0042】比較例1 実施例1において、触媒としてニトリロ三酢酸三ナトリ
ウムのみを1.8mg(6.6μmol、ビスフェノー
ルA1molに対して3.3×10-7mol)用い、反
応初期の条件を200mmHg、240℃としたこと以
外は、実施例1と同様に行った。結果は表1に示した。
【0043】比較例2 実施例1において、触媒としてN,N,N’,N’−テ
トラメチルヘキサメチレンジアミン1.72gのみを用
いたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果は表1
に示した。
【0044】比較例3 実施例1において、触媒としてニトリロ三酢酸1.3m
gのみを用いた以外は、実施例1と同様に行った。結果
は表1に示した。
【0045】比較例4 実施例1において、触媒としてN,N,N’,N’−テ
トラメチルヘキサメチレンジアミンと水酸化ナトリウム
0.8mg(20μmol、ビスフェノールA1mol
に対して1×10-6mol)とを用いた以外は、実施例
1と同様に行った。結果は表1に示した。
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】本発明方法に従って、芳香族ポリカーボ
ネート樹脂を製造することにより、塩化メチレンによる
環境問題等もなく、色調および熱安定性に優れた高品質
の芳香族ポリカーボネート樹脂を容易にかつ生産性高く
製造できるという利点が得られる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カーボネート前駆体と芳香族ジヒドロキ
    シ化合物とのエステル交換反応によって芳香族ポリカー
    ボネート樹脂を製造するにあたり、イミノカルボン酸類
    と非金属塩基性化合物とからなる触媒を用いることを特
    徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】 非金属塩基性化合物がイミノカルボン酸
    類に対して、モル比で10〜105 倍で用いられること
    を特徴とする請求項1記載の芳香族ポリカーボネート樹
    脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 非金属塩基性化合物が第1〜3級のモノ
    およびポリアミン、塩基性複素環化合物、オニウムイオ
    ンの水酸化物又はオニウムイオンの塩基性塩であること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の芳香族ポリカーボ
    ネートの製造方法。
  4. 【請求項4】 非金属塩基性化合物が、下記一般式
    (I)で示される脂肪族ポリアミン系化合物であること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の芳香族ポリカーボ
    ネート樹脂の製造方法。 【化1】 (式(I)で、R1 〜R5 はそれぞれ置換基を有してい
    てもよいアルキル基を表し、mは0〜10の整数、nは
    1〜12の整数を表す。)
  5. 【請求項5】 非金属塩基性化合物が、下記一般式(I
    I)で示される4級アンモニウム化合物であることを特
    徴とする請求項1又は2に記載の芳香族ポリカーボネー
    ト樹脂の製造方法。 【化2】 (ここで、R6 〜R9 はそれぞれ置換基を有していても
    よいアルキル基またはアリール基を示し、(X1 i-
    i価の塩基性アニオンを示し、iは1〜3の整数を示
    す。)
  6. 【請求項6】 芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し
    て、反応にともなって系外に留出したモノフェノール類
    の量が0.80〜1.20モルとなるまで、エステル交
    換反応を220℃以下の温度にて行わしめることを特徴
    とする請求項1ないし5いずれかに記載の芳香族ポリカ
    ーボネート樹脂の製造方法。
  7. 【請求項7】 エステル交換反応における反応器の反応
    混合物と接触する部分の材質が、鉄の含量が25重量%
    以上の金属または合金である反応装置を用いてエステル
    交換反応を行うことを特徴とする請求項1ないし6いず
    れかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法。
  8. 【請求項8】 エステル交換反応を前重縮合工程と後重
    縮合工程とで行ない、前重縮合工程で槽型反応装置を用
    いて粘度平均分子量1,000〜20,000のプレポ
    リマーを製造した後、後重縮合工程でさらに高粘度リア
    クタまたは固相重合によって高分子量化せしめることを
    特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の芳香族
    ポリカーボネート樹脂の製造方法。
  9. 【請求項9】 高粘度リアクタが、横型の2軸セルフク
    リーニング型高粘度リアクタであることを特徴とする請
    求項8に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方
    法。
JP6217296A 1994-09-12 1994-09-12 芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法 Pending JPH0873585A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6217296A JPH0873585A (ja) 1994-09-12 1994-09-12 芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6217296A JPH0873585A (ja) 1994-09-12 1994-09-12 芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0873585A true JPH0873585A (ja) 1996-03-19

Family

ID=16701921

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6217296A Pending JPH0873585A (ja) 1994-09-12 1994-09-12 芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0873585A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018529824A (ja) * 2015-10-02 2018-10-11 コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフトCovestro Deutschland Ag 安定化を改善したポリカーボネート組成物

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018529824A (ja) * 2015-10-02 2018-10-11 コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフトCovestro Deutschland Ag 安定化を改善したポリカーボネート組成物
US20190338104A1 (en) * 2015-10-02 2019-11-07 Covestro Deutschland Ag Polycarbonate compositions with improved stabilisation
US10899909B2 (en) * 2015-10-02 2021-01-26 Covestro Deutschland Ag Polycarbonate compositions with improved stabilisation

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3122721B2 (ja) ポリカーボネート組成物およびその製造方法
JPH1087969A (ja) 透明なポリエステル/ポリカーボネート組成物の製造方法
JP3729681B2 (ja) ポリカーボネートの製造方法
JP5355330B2 (ja) 射出成形用ポリアリレート樹脂、およびポリアリレート樹脂組成物
CN104837891A (zh) 芳香族聚碳酸酯树脂组合物
JP3365444B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート及びその製造法
JPH0873585A (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法
JP4053291B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート及びその製造方法
JPH0881551A (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法
JPH0881550A (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法
JP3262860B2 (ja) 共重合ポリカーボネートの製造方法
US5519106A (en) Process for the preparation of aromatic polycarbonate resins
KR102175848B1 (ko) 내열성 및 유동성이 우수한 폴리카보네이트 수지 조성물 및 이를 포함하는 성형품
JPH0827264A (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JPH11158261A (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法
JP2013076042A (ja) ポリアリレート樹脂、およびポリアリレート樹脂組成物
JPH06287426A (ja) ポリカーボネート樹脂の製造法
JPH0827265A (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP3341457B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JPH05148354A (ja) ポリカーボネートの製造法
JP3348473B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート
JPH115837A (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂の製造法
JPH10273528A (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP2001240667A (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
US4100139A (en) Polycarbonates incorporating epihalohydrin residues

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040830

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20040908

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050112