JPH087067Y2 - エンジンのシリンダヘッド位置決め装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、オイルコントロールプラグとチューブラ
ピンとをトップデッキに設けたシリンダロックに対し
て、ガスケットを介してシリンダヘッドを位置決め固定
するようなエンジンのシリンダヘッド位置決め装置に関
する。

（従来の技術） 従来、上述例のエンジンのシリンダヘッド位置決め装
置としては、例えば次の如き構造の装置がある。

すなわち、シリンダブロックのトップデッキに２本の
チューブラピンを離間させて突出すると共に、シリンダ
ヘッド側へのオイル流量を制限するオイルコントロール
プラグを上述のトップデッキに圧入固定し、このシリン
ダブロックにガスケットを介してシリンダヘッドを固定
する位置決め装置である。

しかし、この従来装置においては、上述の２本のチュ
ーブラピンによりシリンダヘッドの位置が決まるので、
オイルコントロールプラグ圧入部に加工誤差がある場合
には、同オイルコントロールプラグとシリンダヘッド側
のプラグ挿入孔とのセンタリングにずれが生じて、オイ
ルコントロールプラグ外周部に嵌装したＯリングが片寄
って、Ｏリングがその円周上において不均一な当りとな
り、オイルもれが生じ、上述のずれが著しい場合には、
Ｏリングの切断を招く問題点があった。

このような問題点の解決するために、上述のオイルコ
ントロールプラグを位置決めピンとして用い、１本のチ
ューブラピンと１個のオイルコントロールプラグとの合
計２個のみでシリンダヘッドの位置決めを行なう構造が
考えられるが、この場合、上述のオイルコントロールプ
ラグでガスケットとシリンダヘッドとの双方の位置決め
を行なう必要があり、オイルコントロールプラグへのガ
スケット装着時に、ガスケット穴エッジにより同オイル
コントロールプラグ外周のＯリングが損傷または切断さ
れる問題点がある。

なお、実開昭61-197203号公報に記載の如き、シリン
ダブロック側のオイル通路に挿入する下部挿入体と、シ
リンダヘッド側のオイル通路に挿入する上記挿入体とを
オフセット形成したオイルコントロールプラグを設け、
このオイルコントロールプラグをシリンダブロックとシ
リンダヘッドとの合わせ面に介在させたエンジンの潤滑
装置があるが、この従来装置においても上述同様の問題
点があった。

（考案の目的） この考案は、外周にＯリングを有する１個のオイルコ
ントロールプラグと１個の位置決めピンとの合計２個の
みにより、Ｏリングを傷付けることなく、シリンダヘッ
ドとガスケットとの双方を位置決めする装置であって、
加工誤差によるオイルコントロールプラグとシリンダヘ
ッドとのセンタリングのずれを招くことなく、またＯリ
ングを何等傷付けることなくガスケットの位置決めが図
れ、オイルシール性、ガスシール性を向上させつつ、シ
リンダブロックに対してシリンダヘッドを位置決め固定
することができるエンジンのシリンダヘッド位置決め装
置の提供を目的とする。

（考案の構成） この考案は、オイル流量を制限するオイルコントロー
ルプラグの下方をトップデッキに圧入させたシリンダブ
ロックに対し、ガスケットを介してシリンダヘッドを固
定するエンジンのシリンダヘッド位置決め装置であっ
て、上記オイルコントロールプラグの突出部と、オイル
コントロールプラグの位置に対してシリンダ列方向にず
れた位置に設けられる１個の位置決めピンとの合計２個
のみにより位置決め部を構成すると共に、上記オイルコ
ントロールプラグの突出部基部にガスケット位置決め部
を形成し、このガスケット位置決め部の外径に対して、
上記突出部のシリンダヘッド嵌合部の外径および該シリ
ンダヘッド嵌合部に嵌装されるＯリングの外径を小さく
設定し、上記オイルコントロールプラグの突出部は中空
円筒状に形成され、上記オイルコントロールプラグの突
出部と嵌合するシリンダヘッドの嵌合部には、上記突出
部と対応した円筒状の溝が形成され、かつ上記突出部の
シリンダヘッド嵌合部には、その外周に該外周と同一軸
芯上のＯリング嵌袋溝が形成され、該Ｏリング嵌袋溝に
Ｏリングが嵌袋される一方、上記ガスケットにオイルコ
ントロールプラグのガスケット位置決め部により位置決
めされる該位置決め部の外径と略同一の穴が形成された
エンジンのシリンダヘッド位置決め装置であることを特
徴とする。

（考案の効果） この考案によれば、オイルコントロールプラグと位置
決めピンとの合計２つの位置決め要素のみによりシリン
ダヘッドおよびガスケットの位置決めを行なうので、加
工誤差を吸収することができて、オイルコントロールプ
ラグとシリンダヘッドとのセンタリングのずれを招くこ
とがなくなる。

また、上述のオイルコントロールプラグにおけるシリ
ンダヘッド嵌合部の外径、Ｏリング外径よりも大径のガ
スケット位置決め部に対して該ガスケット位置決め部の
外径と略同一の穴が形成されたガスケットを位置決め固
定するので、ガスケット装着時にガスケット穴エッジに
よりＯリング表面を傷つけることなく、ガスケットの位
置決めを図ることができる。

この結果、オイルシール性、ガスシール性を向上させ
つつ、シリンダブロックに対するガスケットおよびシリ
ンダヘッド両者の位置決めを行なうことができる効果が
ある。

（実施例） この考案の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。

図面はエンジンのシリンダヘッド位置決め装置を示
し、第１図乃至第３図において、鋳造後に機械加工され
たシリンダブロック１は内部にピストンが挿入される気
筒相当数のシリンダボア部２…と、このボア部２周囲に
形成されたウォータジャケットと、ウォータジャケット
外部に形成された比較的開口面積の大きい砂出し用の穴
３…と、スカート部４の下端に形成されたオイルパン面
５とを有すると共に、トップデッキ６には複数の水抜き
用の穴７…を備えている。

また、上述のシリンダブロック１の一側面内部には同
シリンダブロック１をシリン列方向に貫通するメインギ
ャラリ８を形成すると共に、このメインギャラリ８の中
途部から後述するシリンダヘッド側へ向けて上方に延び
る分岐路９を形成している。

さらに、上述のメインギャラリ８の近傍上部には、オ
イルフィルタ（図示せず）を取付けるフィルタ取付け座
91を一体形成し、オイルフィルタ前位の油路8aから潤滑
油をオイルフィルタ入口に導入し、オイルフィルタで濾
過された浄化潤滑油をオイルフィルタ出口から同フィル
タ後位の油路8bに供給すべく構成している。

ところで、上述の分岐路９上端部位におけるシリンダ
ブロック１のトップデッキ６にはオイルコントロールプ
ラグ10の下方に圧入している。

このオイルコントロールプラグ10は第４図に示す如く
同オイルコントロールプラグ10の軸芯部に上下方向に延
びるオリフィス11を穿設し、シリンダブロック１側から
供給される潤滑油を上述のオリフィス11で流量制限して
シリンダヘッド12側に供給する。

このオイルコントロールプラグ10の圧入位置に対し
て、シリンダ列方向にずれたトップデッキ６の所定位置
には１個のチューブラピン13を設け、このチューブラピ
ン13と上述のオイルコントロールプラグ10の中空円筒状
の突出部14との合計２個のみにより位置決め部を構成し
ている。

しかも、上述のオイルコントロールプラグ10の突出部
14基部にはガスケット15を位置決めするガスケット位置
決め部16を形成すると共に、このガスケット位置決め部
16にテーパ部17を介してシリンダヘッド嵌合部18と、こ
のシリンダヘッド嵌合部18の外周と同一軸芯上に位置す
るＯリング嵌装溝19とを一体形成し、このＯリング嵌装
溝19にＯリング20を嵌装している。

そして、上述のガスケット位置決め部16の外径Ｄに対
してシリンダヘッド嵌合部18およびＯリング20の各外径
ｄを小さく設定している。つまり、D/dの関係式が成立
するように上述の各部の寸法を設定している。

一方、上述のシリンダヘッド12の下面にはオイルコン
トロールプラグ10のシリンダヘッド嵌合部18に対応する
円筒状の嵌装穴21を形成すると共に、この嵌装穴21およ
び前述のオリフィス11を介して分岐路９に連通するオイ
ル通路22を形成している。

また、上述のオイルコントロールプラグ10の上流側に
おける上述の分岐路９の中途部上方にはオイルプレッシ
ャスイッチ23を配設し、メインギャラリ８および分岐路
９内に油圧が例えば0.3〜0.5kg/cm²以下に降圧した時、
警報作動してエンジンの焼付きを防止すべく構成してい
る。

さらに上述のガスケット15には、オイルコントロール
プラグ10のガスケット位置決め部16により位置決めされ
る該位置決め部16の外径Ｄと略同一の装着穴24が形成さ
れる。

図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下作
用を説明する。

シリンダブロック１に対し、ガスケット15を介してシ
リンダヘッド12を位置決め固定する場合、合計２つの位
置決め要素としてのチューブラピン13とオイルコントロ
ールプラグ10とを突設したシリンダブロック１のトップ
デッキ６上に、まずガスケット15を装着する。

このガスケット15の装着穴24は第４図に示す如くオイ
ルコントロールプラグ10における大径のガスケット位置
決め部16に対応するので、上述のガスケット15を上方か
らオイルコントロールプラグ10の同位置決め部16に装着
する時、ガスケット15の装着穴24エッジによりＯリング
20表面を何等傷付けることなく、このガスケット15の位
置決めを行なうことができる。

このガスケット15の位置決めの後、シリンダヘッド12
の嵌装穴21をオイルコントロールプラグ10のシリンダヘ
ッド嵌合部18に、また図示しない別の嵌装穴をチューブ
ラピン13に嵌装してシリンダヘッド12の位置決めを行な
う。

このように、オイルコントロールプラグ10とチューブ
ラピン13との合計２つの位置決め要素のみによりシリン
ダヘッド12およびガスケット15の位置決めを行なうの
で、加工誤差を吸収することができて、オイルコントロ
ールプラグ10とシリンダヘッド12の嵌装穴21とのセンタ
リングのずれを招くことがなくなる。

また、上述のオイルコンロールプラグ10におけるシリ
ンダヘッド嵌合部18、Ｏリング20の外径ｄよりも大径の
ガスケット位置決め部16にガスケット15を位置決め固定
するので、ガスケット15装着時に同ガスケット15の装着
穴24エッジによりＯリング20表面を傷付けることなく、
ガスケット15の位置決めを図ることができる。

この結果、油圧力が作用する部位のオイルシール性、
シリンダボア周縁んのガスシール性が要求されるガスシ
ール性を向上させつつ、シリンダブロック１に対するガ
スケット15およびシリンダヘッド12両者の位置決めを行
なうことができる効果がある。

なお、実施例で示した如くメインギャラリ８の分岐点
から上方に向けて分岐する分岐路９とオイルコントロー
ルプラグ10との間に、オイルプレッシャスイッチ23を配
設すると、各種のエンジン補機類に何等干渉することな
く同スイッチ23の取付けが容易となる。

この考案の構成と、上述の実施例との対応において、 この考案の位置決めピンは、実施例のチューブラピン
13に対応し、 以下同様に、 シリンダヘッド側の溝は、嵌装穴21に対応し、 ガスケット側の穴は、装着24に対応するも、 この考案は、上述の実施例の構成のみに限定されるも
のではない。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示し、 第１図はエンジンのシリンダヘッド位置決め装置を示す
平面図、 第２図はシリンダブロックの一側面を示す側面図、 第３図はシリンダブロックの他側面を示す側面図、 第４図はガスケットおよびシリンダヘッドを位置決めし
た状態で示す第２図のIV-IV線に沿う要部の拡大断面図
である。 １……シリンダブロック、６……トップデッキ 10……オイルコントロールプラグ 12……シリンダヘッド 13……チューブラピン（位置決めピン） 14……突出部、15……ガスケット 16……ガスケット位置決め部 18……シリンダヘッド嵌合部 19……Ｏリング嵌袋溝、20……Ｏリング 21……嵌袋穴、24……装着穴

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】オイル流量を制限するオイルコントロール
   プラグ（10）の下方をトップデッキ（６）に圧入させた
   シリンダブロック（１）に対し、ガスケット（15）を介
   してシリンダヘッド（12）を固定するエンジンのシリン
   ダヘッド位置決め装置であって、 上記オイルコントロールプラグ（10）の突出部（14）
   と、 上記オイルコントロールプラグ（10）の位置に対してシ
   リンダ列方向にずれた位置に設けられる１個の位置決め
   ピン（13）との合計２個のみにより位置決め部を構成す
   ると共に、上記オイルコントロールプラグ（10）の突出
   部（14）基部にガスケット位置決め部（16）を形成し、 このガスケット位置決め部（16）の外径（Ｄ）に対し
   て、上記突出部（14）のシリンダヘッド（12）嵌合部
   （18）の外径（ｄ）および該シリンダヘッド嵌合部（1
   8）に嵌装されるＯリング（20）の外径（ｄ）を小さく
   設定し、 上記オイルコントロールプラグ（10）の突出部（14）は
   中空円筒状に形成され、 上記オイルコントロールプラグ（10）の突出部（14）と
   嵌合するシリンダヘッド（12）の嵌合部には、上記突出
   部（14）と対応した円筒状の溝（21）が形成され、 かつ上記突出部（14）のシリンダヘッド嵌合部（18）に
   は、その外周に該外周と同一軸芯上のＯリング嵌袋溝
   （19）が形成され、 該Ｏリング嵌袋溝（19）にＯリング（20）が嵌袋される
   一方、 上記ガスケット（15）にオイルコントロールプラグ（1
   0）のガスケット位置決め部（16）により位置決めされ
   る該位置決め部（16）の外径（Ｄ）と略同一の穴（24）
   が形成された エンジンのシリンダヘッド位置決め装置。