JPH0867591A - 尿素系化成肥料とその製造法 - Google Patents

尿素系化成肥料とその製造法

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JPH0867591A
JPH0867591A JP6203400A JP20340094A JPH0867591A JP H0867591 A JPH0867591 A JP H0867591A JP 6203400 A JP6203400 A JP 6203400A JP 20340094 A JP20340094 A JP 20340094A JP H0867591 A JPH0867591 A JP H0867591A
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urea
fertilizer
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potassium
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Toshio Sasaki
利夫 佐々木
Susumu Haneda
進 羽田
Hidetoshi Hashimoto
秀年 橋本
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Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】尿素と塩化カリウムの混合物を溶融し、これに
熔成燐肥を混合してスラリーとしたものをノズルより噴
出させて液滴としこれに冷却空気を接触させて固化する
尿素系化成肥料の製造法 【効果】この方法で得られたものは、散布精度が高く肥
効が均一となる。又、土づくり、稲わら腐熟促進、作物
栄養供給としての効果があり、肥料の利用率が向上し環
境保全の面でも良好で省力化を可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、尿素および熔成燐肥を
主体とした複合化成肥料とその製造法に関する。さらに
詳しくは、土壌改良、植物の栄養供給等の機能を持ち、
施肥の合理化、肥料の利用率の向上等が可能な尿素系複
合化成肥料とその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】肥料は、目的によって種々の施用方法が
ある。例えば土壌改良で総称される、いわゆる土づくり
は、作物の収穫後から作物栽培開始前約30日までの田
畑に作物の無い期間に実施されることが多く、酸性土壌
の中和、泥炭土壌の改良、バン土質土壌の改良、土壌粒
子の団粒化の促進等を目的としており、アルカリ性資材
である熔成燐肥、鉱滓硅酸質肥料等が使用されている。
【0003】土づくりは、資材の散布が多量(100〜
200kg/10 a)であり、散布労力を必要とするので
少量で効果を発揮する資材が求められている。又、通
常、これに用いられる肥料の形状は砂状か造粒品である
が、この造粒物の粒径は0.5〜5mmと幅があり実圃場
では均一散布が困難で、散布機械による作業では粉立ち
が見られ作業性が悪いなどの問題がある。近時、新規開
田が少なく安定土壌での作業が多くなっているので散布
が容易で安定した持続効果のある資材が求められてい
る。
【0004】又、農作業の機械化が進みコンバインによ
る作業面積が飛躍的に増大している中、収穫物残渣であ
る稲わらの活用が増大しており、収穫後の稲わらの腐熟
物を含めた土づくりが重要な課題となっている。
【0005】稲わらの腐熟促進を目的として、微生物菌
体を直接水田に散布する方法が行われている。しかし、
刈り取り後の稲わらには、微生物増殖に必要な窒素、燐
酸等の成分が不足しており腐熟促進効果は十分に発揮さ
れていない。
【0006】肥料成分による腐熟促進には、石灰窒素、
わら腐熟促進肥料等が用いられるが、石灰窒素は微生物
増殖に必要な窒素源のみの供給であって燐酸源が不十分
で腐熟促進効果は十分に発揮されていなかった。又、わ
ら腐熟促進肥料としては微生物増殖に必要な窒素、燐
酸、苦土を含んだものが使用されているがさらに高機能
の化成肥料の開発が望まれている。
【0007】作物の栄養供給に用いられる化成肥料は、
作物栽培期間直前から収穫まで使用される肥料で、基肥
と追肥に分けられる。
【0008】基肥は、手作業で散布する全層施肥が一般
的であったが、機械散布も多く行われるようになり散布
機械に適応したものが求められている。
【0009】基肥は、栽培開始約30日前から植え付け
時までの間に施肥され、窒素、燐酸、加里の三要素を含
んだ化成肥料が使われるが、施用方法により全層施肥と
側条施肥とに別れ夫々の肥料の利用率に差がある。
【0010】全層施肥は栽培期間に入る前に施用する方
法である。肥料散布後から植え付けまでの期間が長い
と、肥料成分の流亡、土壌固定による損失が発生する
が、肥効の持続期間が長いのが特徴であり、一般に利用
率は窒素40〜50%、燐酸20%、加里50〜60%
であるとされている。
【0011】側条施肥は、作物の根元から横2〜5cm、
深さ3〜5cmにすじ条にしかも局所的(高濃度)に施肥
する方法で、通常、施肥ムラを少なくするために粒径の
揃ったものが用いられ、全層施肥に比較して利用率は約
10〜20%向上するとされている。
【0012】又、側条施肥の効果として、省力(施肥+
田植え同時作業)、肥料の利用率の向上、初期生育の促
進、水質汚濁防止(肥料の流亡、水質悪化防止)等があ
り、近時、水質汚濁防止等の環境問題から利用率の高い
側条施肥が増加している。
【0013】これら側条施肥の効果を確実に発揮させる
ために、これに用いる肥料の形態については、各粒子の
成分が均一で溶解性がある、より球状に近い、表面のす
べりが良い、硬度が高い、粉の発生がない等々、又、均
一な肥料供給のために各粒子の真比重が大きいなどの特
徴を備えたものが望まれており、用いる肥料の種類は、
粒状化成肥料、緩効性肥料、被覆肥料、ペースト状肥料
等が考えられる。
【0014】追肥とは、栽培期間中に生育状況に合わせ
作物の養分不足を補うために施用する肥料で、粒状化成
肥料が使われ、施用方法は通常、動力散布機等の機械力
により実施されているが、散布作業が容易で均一な散布
が可能な形状が要求され、肥効も速やかに発揮されかつ
持続することが望まれている。
【0015】現在、全層施肥・側条施肥に使用されてい
る代表的な資材の形状の例は、粒度:粒径2〜3.36
mmが約83%、同3.36〜4mmが約17%、硬度:約
6Kg/粒、かさ比重:0.85程度のものがある。
【0016】近時、側条専用肥料として被覆肥料の増加
が著しいが、この肥料は、2〜4mmの粒径で、肥料成分
の溶出・肥効を任意に調節することが可能であり、夫々
の栽培条件に合致した溶出タイプのものが供給されてい
る。
【0017】被覆肥料は、回転ドラム、回転パン、流動
層により粒状品に熱硬化性フェノール樹脂と鉱物質のタ
ルクよりなる被覆材を噴霧被覆し加熱処理を施して樹脂
を硬化させ造粒し製造している。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、例え
ば土壌改良(土つくり)、腐熟促進、栄養供給等の夫々
が持つ問題点を解決し、さらに多目的に合致した効果を
同時に持つ複合肥料を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、化成肥料
として前記したような機能があり農業機械化に対応でき
る尿素系化成肥料の製造につき鋭意研究の結果、尿素、
熔成燐肥を主体とし、これに加里塩又はこれと他の微量
要素を含み、肥料の公定規格を満した高機能な尿素系化
成肥料およびその製造法を見だし本発明を完成した。
【0020】即ち本発明は、溶融尿素と熔成燐肥との混
合物、又は、塩化カリウム又は塩化カリウムと硫酸カリ
ウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウムからなる群か
ら選ばれる1種以上の硫酸塩を含む溶融尿素と熔成燐肥
との混合溶融物の液滴を冷却する事を特徴とする尿素系
化成肥料の製造法に関するものである。
【0021】又、このような方法で製造した尿素系化成
肥料はガラス質の熔成燐肥を尿素又は他の肥効成分を含
む尿素で被覆した状態で得られ、後述する種々の特性を
持つ化成肥料であることを見出した。次に本発明をさら
に詳細に説明する。
【0022】本発明の尿素系化成肥料は尿素を含む原料
を加熱溶融して製造する。尿素は融点(132.7℃)
以上に加熱すると尿素縮合体(ビウレット)が生成す
る。このビウレットは化学式NH2 CONHCONH2
で表され、尿素2分子の縮合物からアンモニア1分子が
分離して生成しできる作物に有害な物質で、肥料取締法
第三条により公定規格(含有を許される有害成分の最大
量(%)は、化成肥料では窒素、燐酸、加里の夫々の最
も大きい主成分の量の合計量の含有率1%に付きビウレ
ット性窒素は0.01以下)が定められている。原料尿
素の溶融時のこのようなビウレットの生成を抑制するた
めに、加里塩等の塩類を加え、これらと尿素との共融現
象により溶融温度を低下させる方法は従来から知られて
いる。
【0023】本発明で用いる塩類は塩化カリウム、およ
びカリウム、カルシウム、マグネシウム等の硫酸塩の一
種以上である。熔成燐肥は、例えばリン鉱石を熱分解し
て得るもので、リン酸・ケイ酸・マグネシウム・カルシ
ウム等を含むガラス状物質で、その形状は多少突起を持
つ砂状であり取扱いに留意を要する。
【0024】これら原料の使用割合は目的とする化成肥
料によって適宜決められるが、塩化カリウム0〜18、
その他の塩類0〜3.5、熔成燐肥45〜75(いずれ
もwt% )で残余が尿素である。又、その他の塩類はカリ
ウム、カルシウム、マグネシウム等の硫酸塩の一種以上
を用いるがこれらを用いる場合の割合は尿素量に対して
0〜10wt%である。
【0025】本発明はまず尿素と所定量の塩類を混合し
加熱溶融する。用いる塩類の種類・量によって溶融温度
は異なる。この場合当然、尿素単独の溶融温度より低い
温度で溶融するが、いづれにしても尿素・塩類の混合物
が溶融状態を保持する程度で良く、必要以上に温度を上
昇させると後の冷却工程の効率の面からも好ましくな
く、通常は被溶融物の溶融点+2℃以内が好ましい。
【0026】本発明で目安となる溶融温度は、尿素(1
00重量部)−塩化カリウム(10重量部)系:115
℃、尿素(100重量部)−塩化カリウム(10重量
部)−硫酸カリウム(2重量部)系:113℃、尿素
(100重量部)−塩化カリウム(10重量部)−硫酸
カルシウム(6重量部)系:108℃、尿素(100重
量部)−塩化カリウム(10重量部)−硫酸マグネシウ
ム(10重量部)系:100℃である。
【0027】得られた溶融物に所定量の熔成燐肥を加え
る。熔成燐肥はガラス質の粉体(破砕体)で約95%が
平均粒径0.3mm以下であり、尿素・塩類の融液に溶解
することはなく融液中に熔成燐肥の粉体が混在するスラ
リー状の混合物となる。当然混合する熔成燐肥の量によ
り粘度は異なるが、本発明では全量中に熔成燐肥が45
〜75wt% となる量用いることが好ましい。本発明での
この熔成燐肥の使用割合は、溶融尿素との混合物の粘度
が、これを液滴として処理する際に適切なスラリー状態
(粘度100〜1500cp)となる割合である。
【0028】前記した、本発明で用いる熔成燐肥の含有
量はP2 5 に換算すると9〜15%となる。例えば溶
融尿素の表面張力を利用して造粒する方法では、尿素:
粉体の比(スラリー濃度)に自ずと上限と下限がある。
尿素の量を基準にすると、下限は、尿素:粉体=25:
75程度で粘度が高くなり、操業が困難となり目標とす
る造粒収率が得られない。又、上限は、尿素:粉体=4
5:56程度でスラリー粘度が低下しすぎ、粒径2mmよ
り小のものの割合が多くなるなど目標とする造粒収率が
得られない。
【0029】又、例えば水稲の場合その必要養分の30
%が肥料から供給されるとされているが、このような実
際の施用に於ける燐酸の利用率の面から見ても上記熔成
燐肥の含有割合は適切であり、又、加里を含む化成肥料
に於いてはその窒素・燐・加里のバランスの面からも適
切な範囲と言える。
【0030】このスラリー状混合物は液滴として冷却す
るが、この冷却は例えば、適当な口径の吹出口からスラ
リー状混合物を噴出させて液滴として飛散させ冷却部で
冷却固化し粒状物とする。この際の冷却は、溶融物温度
より低い温度の気体例えば空気を冷却部の下部から送風
し溶融物の液滴と接触させて冷却する方法が一般的であ
る。前記スラリーは融点から5℃程度低い温度で凝固す
るが、潜熱があり顕熱を5度降下させるには、液滴が球
状で表面積が小さいためこれの分散性を向上させること
が重要で冷却気体の温度・流量を適宜調節する必要があ
る。通常は、温度5〜30℃(大気温度)、流量8〜1
6m/sec.程度である。
【0031】又、この際の吹出口口径は目的とする化成
肥料の大きさによって適宜決められるが直径2〜5mmが
目安となる。又、溶融物吹出の際の圧力は特に制限され
るものではないが4〜8 Kg/cm2 程度である。
【0032】前記した化成肥料の粒径の調節は、前記し
たスラリーの粘度、スラリー吹出口の径、吹出し圧力等
を変化させることにより可能である。
【0033】尿素はその融点以上に加熱すると尿素縮合
体(ビウレット)が生成することは前述したとおりであ
るが、このビウレットの生成を抑制する手段として以下
の方法がある。
【0034】即ち、尿素に水分を少量(5 wt%以下)に
添加する方法である。このような水分の添加により急激
な温度上昇が抑制されビウレットの生成を抑制できる。
さらに、尿素の溶解槽内をアンモニアガス雰囲気として
溶融することでビウレットの発生を抑制できる。特に、
尿素−熔成燐肥系の肥料の場合、アンモニアガス雰囲気
下で加圧し加熱するすることにより尿素の分解反応が抑
制できる。
【0035】この方法では、尿素と熔成燐肥との混合物
をアンモニアガス雰囲気下で加圧し、混合物の空隙部を
アンモニアガスで置換した状態で尿素を溶融する。この
際の加圧は、温度、保持時間にもよるが、5 Kg/cm2
上でビウレットの生成は充分抑制できるが、通常は5〜
12 Kg/cm2 程度である。この方法によれば、尿素の溶
融温度を低下させるための共融成分の添加は必要としな
い。得られた溶融物のスラリーは前記したと同様の方法
で冷却し粒状の化成肥料とする。
【0036】以上述べたような方法で、有害成分が公定
規格以下でその約65% 以上が2〜4mmの粒径に調節さ
れた、窒素、燐、加里等を含む化成肥料を得るが、得ら
れた化成肥料の諸特性について以下に説明する。
【0037】1.各粒子の成分の均一性:溶融した尿素、
加里塩等に粉状の熔成燐肥を添加しこれを固化するの
で、熔成燐肥の表面を尿素で被覆した状態となり、肥料
の各粒子が均一な成分組成として得らる。
【0038】2.溶解性:造粒した肥料の崩壊性試験法で
の試験の結果、水中崩壊性試験による残存率0%、土中
崩壊性試験による残存率0%で崩壊性の判定は良であ
る。
【0039】3.形状:球状に近く、安息角は36〜38
で比較的大であった。
【0040】4.表面状態:尿素で表面が被覆された状態
で光沢があり、球状に近いのですべりがよい。
【0041】5.硬度:8Kg/粒以上で従来のものに比べ
て硬く、粉の発生がない。
【0042】6.粒子の真比重1.9〜2.26、嵩比重
1.1〜1.25で、従来のものに比べて大である。
【0043】7.色調:緑色系である。
【0044】8.臭い:無い。
【0045】なお、これら諸特性の測定方法は次のとお
りである。
【0046】安息角:30cmの高さのロートから静かに
落下させた時に生成する山の高さと底面の幅とから測定
した。硬度:木屋式硬度計により測定し50粒の平均値
で求めた。嵩比重:1リットルの容器に満たした時の重
量から求めた。真比重:各原料の配合割合より計算によ
り求めた。
【0047】
【発明の効果】本発明の製造方法は尿素に起因するビウ
レットの発生が抑制され肥効の高い尿素系化成肥料を製
造することができる。
【0048】本発明により製造された尿素系化成肥料
は、形状、硬度等の特性から散布精度が高い。従って、
均一な散布が可能で施肥むらが少なく溶解時の肥効のば
らつきを少なくすることができる。又、この肥料の使用
により土壌の3相構造(固相、液相、気相)が改善さ
れ、土づくり、稲わら腐熟を促進する。又、この肥料は
側条施肥で求められる施肥形態を備えているため作物の
根の近くに均一に施肥でき、成分の揮散、溶脱、固定な
どの損失を少なくすることができる。特に球状であるた
め表面積が小さく土壌との接触面積が少なくなり土壌固
定が軽減される。さらに燐酸の形態が燐安系と違いく溶
性であるため作物の吸収利用率が向上する。
【0049】特に、熔成燐肥が全体の45〜75wt% の
化成肥料は、前記した土壌改良、稲わら腐熟促進、基肥
として化成肥料の全ての使用場面に適用が可能である。
【0050】一般に燐安系の化成肥料は水溶性であるこ
とを前提に製造されている。これは、植物の栽培の直前
に施用し、燐酸濃度を高めることによる肥効の向上を目
的とするからである。しかし、この形態では燐酸が土壌
中のアルミニウム成分などと結合し必ずしも作物にとっ
ての利用効率が高いとは言えない。一方、熔成燐肥はく
溶性であるため接触溶解により作物に利用され、又、カ
ルシウム型燐酸の形態であるので土壌に固定されにく
い。熔成燐肥粒子と水素土壌コロイドが接触すると粒子
表面のカルシウムやマグネシウムが水素イオンと接触交
換し燐酸が溶出されただちに植物根から吸収される。後
述の試験例からも明らかであるが、このように燐酸吸収
量が比較的多いので施用量は少なくて良く、養分吸収量
が多く肥料の利用率が高い。
【0051】本発明により製造された尿素系化成肥料は
固結性が低く、硬度が高く又粉の発生が少ないので、こ
の肥料の運搬、貯蔵、散布作業の面で好適であり、特に
機械散布適応性が高い。又、本発明で得た肥料は全ての
構成成分が作物に利用される形態であるので肥料利用率
が高く未来利用成分の流失が少ないので河川の汚濁が少
ない。
【0052】
【実施例】以下、本発明を実施例によって説明する。
【0053】尿素、熔成燐肥、カリウム成分他は表1に
示した割合で用いた。なお、原料の合計量80Kgであ
る。尿素(市販粒状尿素)、カリウム成分他(24メッ
シュ以下)を混合し表1に示した温度にて大気圧下で加
熱溶融した。なお、実施例1、5はあらかじめ尿素、熔
成燐肥を混合し窒素雰囲気下6 kg/cm2 で加圧しながら
尿素が全て溶融するまで加熱した。
【0054】実施例1、5以外の得られた溶融物には熔
成燐肥(100メッシュ篩下95%以下)を混合しスラ
リーとし、これを噴射造粒法、即ち、冷却槽の上部に設
置した直径2.54mmのノズルからスラリーを圧力6.
2 Kg/cm2 で噴出させ、冷却槽の下部からは温度12℃
の冷却空気を流速13〜14m/sec で送りスラリーの液
滴と接触させてこれを冷却固化し表2に示した性状の肥
料を得た。得られた肥料は分級(粒径2〜4mm)し製品
とした。(尚、表中Tは「全」を意味し、T−Nは全窒
素を表す。又、B−Nはビウレット性窒素の含有量表す
…以下同じ)
【0055】
【表1】
【0056】
【表2−1】
【0057】
【表2−2】
【0058】実施例2、3で得た尿素系化成肥料を用い
て施肥精度の試験を行った。実施方法は、側条施肥田植
機6条のホッパーに、各試験肥料を入れ、側条施肥の肥
料供給目盛りを10にセットして植え付け動作を行い、
連続500株植え付け時の各条に落下する肥料量を測定
し施肥精度を得た。その結果、±0.43%(実施例
2)、±0.45%(実施例3)で本発明の肥料は機械
散布適応性が高いことが判る。使用田植機は井関乗用田
植機(6条植え、形式 PA650)を用い、条間30cm×株
間18,16,14,12cmで14〜23分/10 aで
行った。
【0059】又、同じく本発明の尿素系化成肥料を用い
て固結性・硬度・粉化率の試験を行った。固結性の試験
は、試料を内径5cmの円筒に詰め、1 Kg/cm2 に加圧
し、2週間放置後取出し、5メッシュの篩を通し篩上に
残る割合で固結度を測定した。硬度は木屋式硬度計を使
用し耐圧強度を測定した。粉化率は試料を1.5m の高
さから10回落下させたものを、28メッシュの篩を通
して篩下の割合で粉化率を測定した。
【0060】結果を表3に示した。この結果より本発明
の肥料は硬度が高く、粉化率が低いく機械散布適応性が
高いことを示す。さらに、輸送時の衝撃、貯蔵時(積み
重ね)の耐性を示している。
【0061】さらに比重を測定した結果を表3に示し
た。この結果から本発明の尿素系化成肥料は嵩比重が大
きく、散布機械のホッパー容量をより多く有効に利用可
能で、肥料の供給回数を減ずることができ散布作業の省
力化につながることが判る。
【0062】
【表3】
【0063】実施例2で得た尿素系化成肥料と資材添加
なしの対照区を設け稲わらの腐熟促進試験を実施した。
試験方法は、コンバイン収穫後の稲わらを使用し、稲わ
ら500kgを1区とし3区設置した。稲わらは5等分し
て5段に堆積し、資材添加区は各段の上部に5等分量の
資材を施用し水1トンを潅水した。試験時期は冬場約2
ケ月間とし、開始時と終了時の炭素比、成分組成を測定
した。使用した稲わらの化学組成および結果を夫々表
4,5に示した。(尚、表中T−Cは全炭素を表す) 本発明の尿素系化成肥料は、乾物残存率については対照
区と比較した場合2ケ月で約10%程少なくなった。乾
物残存が少ないことは腐熟が進んだことを示している。
また、炭素率についても対照区49.8に対し試験区は
24となり、炭素率は低い方が腐熟が進んだことを示す
指標である。乾物残存率、炭素率から比較し尿素系化成
肥料は腐熟促進効果が高いことが判る。
【0064】試験終了時の稲わらの成分組成を比較する
と、試験区は対照区に比較しすべての成分で上回り、特
に苦土及び燐酸の濃度が高くなり本発明の肥料は土づく
り効果が高いことが判る。
【0065】これらのことから、本発明の肥料は尿素系
化成肥料は土づくりと稲わら腐熟促進の同時効果の高い
有効な資材といえる。
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】実施例3で得た化成肥料を使用し稲の栽培
試験を行った。場所は宮城県遠田郡涌谷町の水田、品種
はトヨニシキ、基肥として実施例3で得た化成肥料(保
証成分(%):窒素13.8、りん酸10.5、加里1
0.5)を用い、比較例として市販の284号(保証成
分(%):窒素12、りん酸18、加里14)を用い
た。又、穂肥として窒素加里化成68号(保証成分
(%):窒素16、加里18を用いた。施用量(基肥)
は、窒素換算で4 Kg/10a となるように用いた。実施
例:基肥29.0 kg/10a 、穂肥9.5 kg/10a 、比較
例:基肥33.3 kg/10a 、穂肥9.5 kg/10a で、基
肥は側条施肥にて供給した。
【0069】施用量(Kg/10a) を表6に、養分吸収量
(Kg/10a) を表7に示した。
【0070】
【表6】
【0071】
【表7】
【0072】又、成育調査(表8)、成熟期調査(表
9)、乾物重量(表10)、窒素濃度および窒素吸収量
(表11)を夫々示した。
【0073】表7〜10に示した結果からは、成育状況
と養分吸収状況が把握でき、収量・品質に影響を与える
要因が確認できる。
【0074】
【表8】
【0075】
【表9】
【0076】
【表10】
【0077】
【表11】
【0078】各養分吸収量・成熟期(Kg/10a)(表1
2)、収量調査(表13)を夫々示した。表に示した結
果から、本発明の化成肥料は、燐酸、加里、珪酸の各成
分の植物への吸収が多く、肥効が大きいことが判る。特
に、燐酸は穂での含有量が多く収量増加、及び収穫物の
品質(等級)向上に寄与していることが判る。
【0079】
【表12】
【0080】
【表13】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C05B 13:02 C05D 1:02 3:00 5:00)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶融尿素と熔成燐肥との混合物、又は、塩
    化カリウム又は塩化カリウムと硫酸カリウム、硫酸カル
    シウム、硫酸マグネシウムからなる群から選ばれる1種
    以上の硫酸塩を含む溶融尿素と熔成燐肥との混合物の液
    滴を冷却する事を特徴とする尿素系化成肥料の製造法。
  2. 【請求項2】熔成燐肥が混在する尿素をアンモニアガス
    雰囲気下で溶融した溶融尿素と熔成燐肥との混合物の液
    滴を冷却する事を特徴とする請求項1記載の尿素系化成
    肥料の製造方法。
  3. 【請求項3】5 Kg/cm2 以上の加圧下で溶融する請求項
    2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】硼素、マンガンを含む熔成燐肥を用いる請
    求項1〜3いづれか記載の製造方法。
  5. 【請求項5】熔成燐肥を尿素で被覆した、又は、カリウ
    ム又はカリウムとカルシウム、マグネシウムの1種以上
    を含む尿素で被覆した尿素系化成肥料であって、硬度8
    kg/粒以上、真比重1.92〜2.26 g/cm3 、嵩比
    重1.1〜1.25 g/cm3 、安息角36〜38度、少
    なくとも65%が平均径2〜4mmの球状尿素系化成肥
    料。
  6. 【請求項6】熔成燐肥が全体の45〜75wt%である請
    求項5記載の尿素系化成肥料。
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