JPH0866715A - 高平滑な外表面を有する線・棒材の製造方法 - Google Patents

高平滑な外表面を有する線・棒材の製造方法

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JPH0866715A
JPH0866715A JP20492494A JP20492494A JPH0866715A JP H0866715 A JPH0866715 A JP H0866715A JP 20492494 A JP20492494 A JP 20492494A JP 20492494 A JP20492494 A JP 20492494A JP H0866715 A JPH0866715 A JP H0866715A
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JP20492494A
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Yoichi Imamura
陽一 今村
Munekatsu Furukata
宗勝 古堅
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】冷間引き抜きのままで高平滑な外表面を有する
線・棒材の製造方法を提供する。 【構成】(1)ダイスを用いる冷間引き抜き法により線
・棒材を製造する方法において、ダイスのテーパ面の線
・棒材との接触部分にリング状の凹部13を設け、該凹部
が線・棒材の外表面にしごき加工を加えて表面粗さを小
さくする。 (2)ダイスを用いる冷間引き抜き法により線・棒材を
製造する方法において、ダイスのベアリング部にダイス
径を小さくするリング状の段差部を設け、該段差部が線
棒材の外表面にしごき加工を加えて表面粗さを小さくす
る。 【効果】外表面粗さの小さい(Rmax で 1.0μm 以下)
線・棒材を冷間引き抜きのままで得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高平滑な外表面を有す
る線・棒材の製造法に関する。更に詳しくは、表面粗さ
がRmax で 1.0μm 以下の線・棒材の製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、比較的平滑な(表面粗さがRmax
で 1.0〜 3.0μm )外表面を持つ線・棒材の加工法とし
て、冷間引き抜き法が用いられてきた。これは、図7に
示すようにダイス71により被加工材である線・棒材72の
外面を拘束して、線・棒材の一端をチャック(図示せ
ず)して冷間で引き抜く加工法である。ダイスと線・棒
材間の潤滑法には、主に化成処理潤滑と油潤滑がある
が、比較的平滑な外表面を得る場合には潤滑被膜の薄い
油潤滑が用いられる。この油潤滑の場合は、被加工材外
表面の微細な窪みに油が溜まり、加工中はこの油だまり
(オイルピット)から徐々に潤滑油が排出され窪みは小
さくなるが、完全に消えることはなく、いくら表面粗さ
を小さくしたダイスを用いても、引き抜き後に深さで
1.0μm を超える窪みが残存するため、外表面粗さをRm
ax で 1.0μm 以下にすることはできなかった。
【0003】従って、更に高平滑な、表面粗さがRmax
で 1.0μm 以下の外表面を持つ線・棒材(以下、このよ
うな線・棒材を「高平滑線・棒材」という)を得るに
は、研磨加工が施されている。これは、微細な研磨粒子
で被加工材の凸部を除去し表面を平滑に仕上げる方法
で、被加工材と工具の界面に微細研磨粒子を流し被加工
材表面上で工具を滑らせて、その界面に存在する研磨粒
子で被加工材の凸部を削り取る方法である。
【0004】代表的な線・棒材の冷間引き抜き用ダイス
には、図8に示す2種類がある。図8(a)はテーパダ
イスを半割りしたときの断面図で、被加工材を実際に縮
径する部分(アプローチ部)が一定の面角2αを有する
直線形状をなし、線・棒材の材質が硬質のときによく用
いられている。
【0005】図8(b)はR付きダイスの断面図で、ア
プローチ部の形状が半割りしたとき一定の曲率Rを持
ち、比較的軟質材質の線・棒材によく用いられる。
【0006】前述の研磨加工法は、冷間引き抜き法で製
造した線・棒材の仕上げに用いることが多い。すなわ
ち、研磨加工法ではRmax で 1.0μm 以下の高平滑な外
表面を得ることができるが、冷間引き抜きなどの加工法
に比べて、同じ量の外径を落とすのにはるかに長時間を
要し能率が悪いため、「高平滑線・棒材」の加工では、
所望の寸法を得るために、冷間抽伸や切削等の加工で所
望の寸法より僅かに大きな外径まで加工して、その後研
磨加工を施して仕上げを行う。
【0007】そのため「高平滑線・棒材」は、冷間引き
抜きのままで仕上げられるところのRmax で 1.0μm 超
の線・棒材に比べ、工程が増えるためコストが嵩み、製
品価格が高価になっていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、冷間
引き抜きのままで研磨加工並の「高平滑線・棒材」を、
低コストで製造する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次の
(1)および(2)の線・棒材の製造方法にある。
【0010】(1)ダイスを用いる冷間引き抜き法によ
り線・棒材を製造する方法において、テーパ面の線・棒
材との接触部分にリング状の凹部を有するダイスを用い
て冷間引き抜きすることを特徴とする高平滑な外表面を
有する線・棒材の製造方法。
【0011】(2)ダイスを用いる冷間引き抜き法によ
り線・棒材を製造する方法において、ベアリング部(仕
上げ平行部)にダイス径を小さくするリング状の段差部
を有するダイスを用いて冷間引き抜きすることを特徴と
する高平滑な外表面を有する線・棒材の製造方法。
【0012】引き抜き加工で線・棒材(以後は被加工材
という)の外表面粗さを小さくする方法として、工具表
面の粗さを小さくすること、および工具と被加工材の間
の潤滑被膜を薄くすることは周知である。本発明者ら
は、上記の周知技術に加えて更に、ダイスに凹部もしく
は段差部を設け、被加工材の外表面にしごき加工を加
え、ここにせん断塑性変形を集中させると、外表面粗さ
が一層小さくなるという新知見を得て本発明をなした。
【0013】
【作用】以下、本発明の製造方法をその作用効果ととも
に詳しく説明する。
【0014】本発明の狙いは、冷間引き抜き加工のみで
被加工材の外表面粗さを小さくすることである。塑性加
工により被加工材の表面粗さを小さくするには、前記の
周知技術だけでは不十分であり、材料表層付近にせん断
塑性変形を集中させるような「しごき加工」を加えるこ
とが必要である。
【0015】本発明の第1の製造方法とその作用効果を
図1〜図3に基づいて説明する。
【0016】図1(a)は、凹部を持つダイスによる冷
間引き抜きの様子を示した断面図、同(b)は、(a)
のA部拡大図である。図2は、被加工材が凹部間でダイ
スに接触を開始した状態を示す凹部付近の断面図、また
図3は、しごき加工量△hの定義を示す凹部付近の断面
図で、同(a)はテーパダイス、(b)はR付きダイス
の場合をそれぞれ示す。
【0017】本発明の第1の製造方法では、冷間引き抜
きで被加工材14の外表面にせん断塑性変形を集中させる
ために、ダイス11のアプローチ部12に内周に沿ってリン
グ状に存在する凹部13を設け、凹部の出側縁部の点aで
被加工材にしごき加工(加工量△h)を加える。これに
より、被加工材の外表面粗さをRmax で 1.0μm 以下に
することができる。
【0018】ここで、凹部の位置は、凹部出側縁部の点
aでしごき加工を与えるため、被加工材がダイスと接触
する部分になければならない。すなわち、点aがダイス
のテーパ面と被加工材とが接触する点b(図1(a)参
照)よりも出側になるように配置する必要がある。これ
は、被加工材が凹部の間でダイスに接触を開始する図2
の様な状態になると、被加工材外表面は接触開始点bで
軸方向に極端な曲げ変形を受け外表面の粗さが大きくな
り、しごき加工による粗さ改善の効果が打ち消されるた
めである。また、被加工材の外径のばらつきによりしご
き加工量△hが変動して、引き抜き後の外面粗さも一定
とならない。従って、図1に示したように凹部全体が被
加工材とダイスとの接触開始点bよりも出側にくるよう
な位置設定をする必要がある。
【0019】凹部でのしごき加工量△hは、図3に示す
様に、凹部の入り側と出側の両端を結んだ破線aeか
ら、凹部の中で被加工材が一番離れた点cまでの距離で
表される。この△hが大きいほど、被加工材の外面粗さ
の改善効果は大きくなる。しかし△hが大きくなりすぎ
ると表層加工が過酷となって焼き付きを生じる。後述の
実施例に示す様に、△hは0.01〜0.08mmの範囲が望まし
い。ところで、△hはダイスの凹部の深さや軸方向長さ
により幾何学的に決定され、引き抜き速度や潤滑法の影
響を受けない。すなわち、凹部内で被加工材は外表面が
ダイスに接触していない部分では外径一定のまま進みダ
イスで拘束されるとダイスの内面に沿って進むため、△
hは凹部軸方向長さ L(エル)、凹部の形状および凹部
付近のダイス面角から一義的に決定される。
【0020】凹部出側付近でのダイステーパ面に対する
角度βが小さすぎると、加工が緩やかになり、しごき効
果がなくなって粗さの改善効果が見られなくなり、逆に
βが大きすぎると加工が急激になり焼き付きを生じる。
βの望ましい範囲は10〜45度である。
【0021】次に、段差を設けたダイスを用いる本発明
の第2の方法とその作用効果を図4に基づいて説明す
る。
【0022】図4(a)は、段差部を持つダイスによる
冷間引き抜きの様子を示した断面図、同(b)は、
(a)のA部拡大図である。図示するように、ダイス41
のベアリング部(仕上げ平行部)42にダイス径が急激に
小さくなるような段差43を設ける。この段差部のa1
で被加工材44の外表面がしごき加工(加工量△h)を受
け、粗さが小さくなる。この結果として、外表面粗さは
Rmax で 1.0μm 以下を達成することができる。
【0023】段差部の位置はベアリング部のどの部分に
あっても、しごき加工を与えることができ、従って同じ
改善効果が得られるので、段差部の位置による加工後の
粗さに差はない。しかし、段差を含むベアリング部の全
長が長くなりすぎると、焼き付きが発生するため、この
長さはダイス孔径d以下にするのが望ましい。ベアリン
グ部合計の長さが上記の条件を満たせば、その間に設け
た段差部位置には関係なく外面粗さを小さくすることが
できる。
【0024】段差部でのしごき加工量△h(図4(b)
参照)は、凹部付きダイスの場合と同じく、大きくなり
すぎると被加工材と焼き付きを発生するため、△hは0.
01〜0.08mmの範囲とするのが望ましい。段差部を有する
ダイスにおける△hはベアリング部に設けた段差部の高
さから一義的に決定される。
【0025】段差部しごき加工点付近でのダイス輪郭線
と入側のダイステーパ面とのなす角度(以下、段差部角
度という)β1 も凹部付きダイスの場合と同じく、この
角度が小さすぎると加工が緩やかになってしごき効果が
なくなり粗さの改善効果が見られなくなり、逆に大きす
ぎると加工が急激になって焼き付きを発生する。このた
めβ1 は10〜45度とするのが望ましい。
【0026】ところでダイスの材質については、凹部付
きダイス、段差付きダイスを問わず超硬合金などの硬さ
の高い材質が適している。また被加工材が焼き付きやす
い材質である場合は、ダイス表面にTiCNの様な耐焼き付
き性に優れた物質をコーティングすることが望ましい。
被加工材が焼き付き難い材質の場合、コーティングする
ことで、加工量やダイス形状に関する上記の推奨範囲以
外でも焼き付きを発生せずに加工できる場合がある。
【0027】本発明では、しごき加工により被加工材の
表層にせん断塑性変形を集中させ、かつダイスと被加工
材の界面の潤滑膜を薄くして、被加工材の外表面の微細
な凹凸をダイス表面に沿って変形させるため、引き抜き
後の被加工材の表面粗さをダイス表面の粗さより小さく
することは不可能である。従って、ダイスの表面粗さ
は、被加工材に対して所望する表面粗さ以下に仕上げる
ことが必要である。
【0028】
【実施例】
[実施例1] [凹部を有するダイス]を用いた例 被加工材材質:SUS304、外径:20mm 、外表面の粗さ:R
max で 5.0μm の丸棒を冷間引き抜きした。
【0029】用いたダイスの形状と寸法を図5に示す。
ダイスは図5(a)に示すテーパダイスと、図5(b)
に示すR付きダイスの2種である。
【0030】ダイスの材質は超硬合金(JIS V20 相当)
とし、表面粗さはRmax で 0.3μm以下に仕上げたもの
を用いた。
【0031】潤滑は油潤滑とし、潤滑油(硫化油脂とパ
ラフィンの混合油)を被加工材外表面に塗布して次の条
件で冷間引き抜きした。
【0032】まずダイス孔径(d):17.0、18.0、19.0
mmの3種類について、それぞれしごき加工量△hが 0〜
0.10mmの範囲でダイスを用意して冷間引き抜きし、外表
面粗さをRmax で測定した。なおこの際、凹部出側縁部
の角度βを30度、図5における凹部位置L1(エル1)を
2.0mmに統一した。またこの凹部位置は全ての条件につ
いて、凹部全体が、被加工材とダイスとが接触を開始す
る点bよりも出側に来るように設定した。テーパダイス
とR付きダイスにおける上記の条件と測定結果をそれぞ
れ表1、表2に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】表1、2に示すように、全てのダイス孔径
でテーパダイス、R付きダイスとも△hが0.08mmを超え
たところで焼き付きが生じており、一方0.01mmを下回る
ところではRmax1.0μm 以下を得ることは不可能であ
る。よって、△hは0.01〜0.08mmの範囲が好ましいこと
がわかる。
【0036】次に、上記と同様にダイス孔径(d)が1
7.0、18.0、19.0mmの3種類について、凹部位置L1(エ
ル1)を 0〜12.0mmの範囲で変化させて冷間引き抜きを
行い、外表面粗さをRmax で測定した。なおここでは、
しごき加工量△hを0.06mm、凹部出側縁部角度βを30度
に統一した。凹部軸方向長さL (エル)はテーパダイス
では 0.4mmとした。ところでR付きダイスの場合は、ア
プローチ部の面角が仕上げ平行部に近づくにつれて小さ
くなり、同じ寸法の凹部でも平行部に近づくにつれ幾何
学的に△hが小さくなるので、同じ0.06mmの△hを得る
ためには凹部軸方向長さL (エル)を長くする必要があ
る。従って、凹部位置L1(エル1)の値が小さくなる
(凹部が仕上げ平行部に近づく)と凹部軸方向長さ L
(エル)を大きくした。テーパダイスとR付きダイスに
おける上記条件と結果をそれぞれ表3、表4に示す。な
お、これらの表には、各孔径でダイスベアリング部入り
側端からダイスと被加工材とが接触を開始する点bまで
の距離(図5におけるCL )も合わせて記載した。
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】表3、4に示すように、凹部位置L1(エル
1)が上記CL の値を超え凹部全体がダイスに接触して
いない場合には、表面粗さは通常の冷間引き抜きの場合
と変わらない。一方図2に示したように、凹部の間でダ
イスと被加工材が接触を開始する場合(L1(エル1)が
L とCL −L (エル)の間にある場合)は、表面粗さ
は上記に比べて若干改善されてはいるが、凹部全体が接
触点bより出側に来る場合に比べて改善効果は小さく、
Rmax で 1.0μm 以下を達成することができない。従っ
て、凹部位置については、凹部全体が、被加工材とダイ
スとが接触を開始する点bよりも出側に来る位置(L
1(エル1)がCL −L (エル)よりも小さくなる位
置)に設定することが好ましいことがわかる。
【0040】更に、凹部出側縁部角度βの影響を調査す
る試験を行った。
【0041】用いたダイスは図5の寸法のもので、孔径
dは18.0mm、凹部位置L1(エル1)は2.0mm 、しごき加
工量△hは0.06mmとそれぞれ一定にし、角度βを5 〜50
度の範囲で変えて冷間引き抜きし、焼き付き発生の有無
および外表面粗さを測定した。上記条件と結果を表5に
示す。
【0042】
【表5】
【0043】表5に示すように、角度βが50度のときに
はテーパダイス、R付きダイスとも焼き付きを生じてい
る。一方その値が 5度の場合には改善効果は現れていな
い。
【0044】よって凹部出側縁部角度βの範囲は10〜45
度が好ましく、更に15〜45度がより一層好ましい。
【0045】[実施例2] [段差を有するダイス]を用いた例 被加工材として、凹部を有するダイスを用いた場合の試
験と同様外径:20mm、外表面粗さ:Rmax で 5.0μm
の、SUS304丸棒を用い冷間引き抜きを行った。
【0046】用いたダイスの基本形状と寸法を図6に示
す。
【0047】ダイスの材質は超硬合金(JIS V20相当)
とし、表面粗さはRmax で 0.3μm以下に仕上げたもの
を用いた。
【0048】潤滑は油潤滑とし、潤滑油(硫化油脂とパ
ラフィンの混合油)を被加工材外表面に塗布して次の条
件で冷間引き抜きした。
【0049】まず、ダイス孔径(d):17.0、18.0、1
9.0mmの3種類について、それぞれしごき加工量△hが
0〜0.10mmの範囲でダイスを用意して冷間引き抜きし、
外表面粗さをRmax で測定した。なおこの際、ベアリン
グ部段差部前の長さE1 、段差部後の長さE2 、段差部
角度β1 をそれぞれ 2.0mm、 3.0mm、30度の一定として
試験を行った。上記条件と結果を表6に示す。
【0050】
【表6】
【0051】表6に示すように、△hが0.08mmを超えた
ところで焼き付きが生じており、一方0.01mmを下回ると
ころではRmax で 1.0μm を得ることは不可能である。
よって、△hは0.01〜0.08の範囲が好ましいことがわか
る。
【0052】次に、ベアリング部の長さとその位置に関
して調査するため、図6の段差部前後のE1 、E2 をそ
れぞれ 0〜20mm、 2〜19mmの間で変え、段差(しごき加
工量)△hは0.06mm、段差部角度β1 は30度、ダイス径
は18mmの一定として冷間引き抜きを行った。上記条件と
結果を表7に示す。
【0053】
【表7】
【0054】表7に示したように、E1 とE2 の合計が
ダイス孔径を超えると焼き付きが発生するため、ベアリ
ング部長さ(E1 とE2 の合計)はダイス孔径以下が好
ましい。なお、ベアリング部における段差部の位置につ
いては、外表面粗さ自体には影響しない。
【0055】次いで、段差部角度β1 の影響を調査し
た。すなわち、ダイス孔径を18mm、段差(しごき加工
量)△hを0.06mm、ベアリング部の長さE1 とE2 を、
それぞれ2.0 、3.0mm の一定条件で、β1 を 5〜50度の
範囲で変えて冷間引き抜きし、焼き付き発生の有無およ
び外表面粗さを測定した。その結果を表8に示す。
【0056】
【表8】
【0057】表8に示すように、β1 が50度のときには
焼き付きが生じている。一方その値が 5度の場合には改
善効果は現れていない。よって段差部角度β1 の範囲は
10〜45度が好ましく、更に15〜45度がより一層好まし
い。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、油圧シリンダのピスト
ンや化粧用鋼板加工用のロールなどに好適な外表面粗さ
がRmax で 1.0μm 以下の線・棒材を冷間引き抜きのま
まで製造することができる。これにより、外表面粗さを
更に向上させるための研磨加工などの処理を省略するこ
とができ、製造コストを大幅に低減させることが可能で
ある。
【0059】
【図面の簡単な説明】
【図1】凹部を有するダイスによる冷間引き抜きの様子
を示す断面図である。(a)は全体図、(b)は(a)
のA部拡大図である。
【図2】被加工材が凹部の中でダイスに接触を開始した
状態を示す凹部付近の断面図である。
【図3】しごき加工量△hの定義を示す凹部付近の断面
図である。(a)はテーパダイス、(b)はR付きダイ
スである。
【図4】段差部を有するダイスによる冷間引き抜きの様
子を示す断面図である。(a)は全体図、(b)は
(a)のA部拡大図である。
【図5】実施例で用いた凹部を有するダイスの断面図で
ある。(a)はテーパダイス、(b)はR付きダイスで
ある。
【図6】実施例で用いた段差部を有するダイスの断面図
である。
【図7】従来の線・棒材の冷間引き抜きの様子を示した
断面図である。
【図8】従来の線・棒材の冷間引き抜き用ダイスの断面
図である。(a)はテーパダイス、(b)はR付きダイ
スである。
【符号の説明】
11:凹部を有するダイス、12:アプローチ部、13:凹
部、14:被加工材、41:段差部を有するダイス、42:ベ
アリング部、43:段差部、44:被加工材、71:従来のダ
イス、72:被加工材、d:ダイス孔径、2α:ダイス面
角、β:凹部出側縁部角度(凹部出側縁部しごき加工点
付近でのダイス輪郭線とダイステーパ面との角度)、β
1 :段差部角度(段差部しごき加工点付近でのダイス輪
郭線と入側のダイステーパ面との角度)、△h:しごき
加工量(段差)、L1(エル1):凹部位置(ダイスベア
リング部の入り側端から凹部出側位置までの距離)、L
(エル):凹部軸方向長さ、CL :ダイスベアリング部
入り側端からダイスと被加工材とが接触する点までの距
離、E1 :ダイスベアリング部段差部前の長さ、E2
ダイスベアリング部段差部後の長さ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ダイスを用いる冷間引き抜き法により線・
    棒材を製造する方法において、テーパ面の線・棒材との
    接触部分にリング状の凹部を有するダイスを用いて冷間
    引き抜きすることを特徴とする高平滑な外表面を有する
    線・棒材の製造方法。
  2. 【請求項2】ダイスを用いる冷間引き抜き法により線・
    棒材を製造する方法において、ベアリング部にダイス径
    を小さくするリング状の段差部を有するダイスを用いて
    冷間引き抜きすることを特徴とする高平滑な外表面を有
    する線・棒材の製造方法。
JP20492494A 1994-08-30 1994-08-30 高平滑な外表面を有する線・棒材の製造方法 Pending JPH0866715A (ja)

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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010082657A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Showa Denko Kk 引抜ダイス
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