JPH0853644A - 水性コーティング組成物 - Google Patents

水性コーティング組成物

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JPH0853644A
JPH0853644A JP21046094A JP21046094A JPH0853644A JP H0853644 A JPH0853644 A JP H0853644A JP 21046094 A JP21046094 A JP 21046094A JP 21046094 A JP21046094 A JP 21046094A JP H0853644 A JPH0853644 A JP H0853644A
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JP
Japan
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weight
parts
coating composition
acid
resin
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JP21046094A
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English (en)
Inventor
Toshihiro Okai
敏博 岡井
Taketoshi Odawa
武利 小田和
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Nippon Paint Co Ltd
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Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 りん酸亜鉛処理に係るスラッジ処理、廃液処
理を不要にしてスペース性を改善できる塗布下地用水性
コーティング組成物、並びに、亜鉛メッキ上のクロメー
ト処理がなくても耐食性を保持できる潤滑性を備えた潤
滑防錆コーティング組成物及び自動車用防錆コーティン
グ組成物を提供する。 【構成】 りん酸基による酸価が5〜35であるビス
フェノール型エポキシ樹脂のりん酸変性物100重量
部、並びに、オキサゾリン化合物、フェノール樹脂、
及び、硬化開始温度が140℃以下であるメラミン樹脂
からなる群より選択された少なくとも1種10〜500
重量部を含有してなる組成物に、ベンゼンスルホン酸
誘導体、そのアミン塩及びそのアンモニウム塩、ナフタ
レンスルホン酸誘導体、そのアミン塩及びそのアンモニ
ウム塩、酸性りん酸アミン塩及びアンモニウム塩、並び
に、ホスホン酸誘導体、そのアミン塩及びそのアンモニ
ウム塩からなる群より選択された少なくとも1種からな
る酸性触媒を前記組成物全体の0.1〜5重量%含有し
てなる水性コーティング組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建材、家庭電器製品、
自動車等に使用する鋼板の表面を処理するための水性コ
ーティング組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】冷延鋼板及び亜鉛系メッキ鋼板は、建
材、家庭電器製品、自動車等の用途に広く用いられてい
る。これらの鋼板は、通常、成形加工の後、組み立て加
工の前に塗装に供される。上記成形加工の段階では、そ
の加工性を良好にするために、鋼板の表面にプレス油等
の潤滑油類が塗布される。しかし、潤滑油を用いると、
プレス加工後、塗装の前に潤滑油を脱脂する工程が必須
となり、経済上の不利があるうえ、この潤滑油は、プレ
ス加工時に飛散し、作業環境を悪化させる等の問題があ
った。
【0003】このため、近年では、省資源、コスト低
減、作業環境改善等の目的で、潤滑油を用いないで潤滑
機能と防錆機能を有する皮膜を鋼板表面に形成すること
ができる表面処理鋼板が提案された。特開平5−394
58号公報には、特定のポリエチレン系ワックスからな
る樹脂皮膜を鋼板表面に形成してプレス成形性等を改良
する技術が開示されている。また、特開平1−3013
32号公報には、特定量のクロメート皮膜及び特定の樹
脂混合物からなる樹脂皮膜を二重にコーティングするこ
とで成形性を獲得する技術が開示されている。
【0004】省力化の観点から、特開平3−27093
2号公報等には、上記潤滑性皮膜に、防食性と上塗り塗
膜との密着性を持たせて、成形加工後、直接に上塗り塗
料を塗装して仕上げたり、また自動車用鋼板等の電着塗
装をする必要のある用途のためには、コーティングに必
要な導電性を持たせる方法が開示されている。また、特
願平4−290339号には、一般の防食塗料の分野で
も、耐水性、耐湿性を高めるために導電率を調整した塗
料が開示されている。
【0005】上記コーティング組成物の製造において
は、有機溶剤を使用すると、加工時の作業環境の悪化、
発火の危険、溶剤を外部に排出しないためのアフターバ
ーナーの設置の必要性等の問題があり、水性コーティン
グ組成物の開発が進められてきた。このような水性コー
ティング組成物の組成において、水性化のために樹脂の
親水性基を多くしたり、樹脂の乳化のための乳化剤等を
含有させるが、このことは水の浸透を早める結果とな
り、耐水性や耐食性を低下させる原因となっており、水
性化しても耐水性、耐食性を低下させない技術手段が必
要となっていた。
【0006】近年、工業的規模での表面処理鋼板製造ラ
インにおいては、省エネルギー化、処理の高速化が進め
られており、例えば、150℃程度の比較的低温で15
秒程度の短時間でコーティング剤の塗布面を硬化させ皮
膜強度を確保できるものでなければ要請には応えられな
いのが現状であった。
【0007】また、最近では、深絞りや高速の加工が行
われるようになってきた。このため金型の高温化等によ
り表面処理鋼板の加工部の皮膜が剥離して粉が発生(パ
ウダリング)し、加工部や金型に付着するために、カジ
リ等による加工性の低下、加工部の耐食性の低下、仕上
り外観の低下等の問題が生じていた。
【0008】そこで、低温、短時間の焼き付けで硬化度
が高く強固に金属板に密着した塗膜を得ることができ、
耐食性、耐水性、溶接性に優れ、電着塗装に適した導電
性を有し、また加工時におけるパウダリングの発生をも
防止しうる鋼板表面処理用の水性コーティング組成物を
提供することが検討された。その結果、水性コーティン
グ組成物を、酸価が25〜100、水酸基価が35〜
200、SP値が10.0〜11.0の水溶性アルキド
樹脂及び水溶性アクリル樹脂のうち少なくとも1種から
なる樹脂ワニス100重量部、オキサゾリン化合物及
び硬化開始温度が140℃以下のメラミン樹脂のうち少
なくとも1種からなる硬化剤10〜200重量部、ベ
ンゼンスルホン酸誘導体、そのアミン塩及びそのアンモ
ニウム塩、ナフタレンスルホン酸誘導体、そのアミン塩
及びそのアンモニウム塩、並びに、酸性りん酸アミン塩
及びアンモニウム塩よりなる群から選択された少なくと
も1種からなる強酸性触媒0.5〜5重量部、の上記
〜により構成すれば、上記目的に適う水性コーティン
グ組成物が得られることが見いだされた。
【0009】ところで、例えば、現行の潤滑防錆コーテ
ィング剤を塗布し焼き付けるコイルコーティングライン
においては、ライントラブルの発生、ストリップシート
の切替え、塗料やコーティング剤の切替え等によりライ
ンスピードが一時的に低速となることが多い。このよう
な場合、一定温度のオーブン中に車体が一定時間滞留す
ることを原因としてオーバーベーク状態が発生し、その
後上塗り塗料塗装時に再度焼き付けを行う工程を経るう
ちに硬化が過度となって、最終的に塗膜密着性、折り曲
げ加工性が低下する場合がある。上記〜の構成によ
る水性コーティング組成物を潤滑防錆コーティング組成
物として使用した場合には、このような危険を回避する
ことができないことが判った。そこで、たとえオーバー
ベーク状態となっても、上塗り塗装後に、被膜密着性、
折り曲げ加工性が低下しないものを見出すべく検討がな
された。
【0010】その結果、酸価が25〜100、水酸基
価が35〜200、SP値が10.0〜11.0の水溶
性アルキド樹脂及び水溶性アクリル樹脂のうち少なくと
も1種からなる樹脂ワニス、オキサゾリン化合物及び
硬化開始温度が140℃以下のメラミン樹脂のうち少な
くとも1種からなる硬化剤、ベンゼンスルホン酸誘導
体、そのアミン塩及びそのアンモニウム塩、ナフタレン
スルホン酸誘導体、そのアミン塩及びそのアンモニウム
塩、並びに、酸性りん酸アミン塩及びアンモニウム塩か
らなる群より選択された少なくとも1種からなる強酸性
触媒、ポリウレタン樹脂エマルジョン、の〜を限
定量配合した水性コーティング組成物により目的が達成
しうることが見出され、特許出願された。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】一方、鋼板表面の塗装
下地に用いられるりん酸亜鉛処理(以下「化成処理」と
いう)においては、不可避的にスラッジが発生する。近
年、環境問題、廃棄物問題等への関心の高まりから、化
成処理工程で副生するスラッジの廃棄費用が増大してい
るので、化成処理時のスラッジレス化が望まれていた。
また、コストダウンの観点からも、上記スラッジ廃棄費
用だけではなく、分離、凝集沈殿等のスラッジ処理に要
するメンテナンス費用、化成処理に大きいスペースが必
要であることから生じる省スペース化の課題、pH、酸
度等の化成処理ライン液の管理の煩雑さ等の問題点か
ら、化成反応型のりん酸亜鉛処理に代わる下地処理方法
が切望されていた。
【0012】りん酸亜鉛処理に代わる塗装下地処理とし
ては、塗布型クロメート処理、反応型クロメート処理が
実用化されており、これによれば、耐食性、密着性等の
下地適正、処理工程の省スペース性等の上記問題点は解
決する。しかしながら、上記クロメート処理では6価ク
ロムを含有しているので、労働衛生、作業環境、環境保
護等の立場から排出規制があり、そのための処理に費用
がかかる等の問題があった。
【0013】上記6価クロム等を使用しないノンクロム
型処理剤としては、種々提案されているが、炭素鋼、亜
鉛メッキ鋼の塗装下地に用いると、耐食性が悪くなるこ
とから、現在では化成処理の後処理、アルミニウム缶処
理等の特定の分野にしか適用されていない。
【0014】上に詳述した水性コーティング組成物も、
その下地には塗布型クロメート処理、反応型クロメート
処理がほどこされており、処理工程では6価クロムの管
理を行い、廃棄処理の必要があった。本発明は、上記に
鑑み、りん酸亜鉛処理に係るスラッジ処理、廃液処理を
不要にしてスペース性を改善できる塗布下地用水性コー
ティング組成物、並びに、亜鉛メッキ上のクロメート処
理がなくても耐食性を保持できる潤滑性を備えた潤滑防
錆コーティング組成物及び自動車用防錆コーティング組
成物を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、水性コ
ーティング組成物を、りん酸基による酸価が5〜35
であるビスフェノール型エポキシ樹脂のりん酸変性物1
00重量部、並びに、オキサゾリン化合物、フェノー
ル樹脂、及び、硬化開始温度が140℃以下であるメラ
ミン樹脂からなる群より選択された少なくとも1種10
〜500重量部を含有してなる組成物に、ベンゼンス
ルホン酸誘導体、そのアミン塩及びそのアンモニウム
塩、ナフタレンスルホン酸誘導体、そのアミン塩及びそ
のアンモニウム塩、酸性りん酸アミン塩及びアンモニウ
ム塩、並びに、ホスホン酸誘導体、そのアミン塩及びそ
のアンモニウム塩からなる群より選択された少なくとも
1種からなる酸性触媒を上記組成物全体の0.1〜5重
量%、の〜で構成するところにある。以下に本発明
を詳述する。
【0016】本発明で使用されるビスフェノール型エポ
キシ樹脂のりん酸変性物()は、りん酸基による酸価
が5〜35のものである。上記ビスフェノール型エポキ
シ樹脂のりん酸変性物においては、酸価が、カルボン酸
化合物等のりん酸以外による変性物であると、腐食が起
こった場合にカソード部で発生する剥離に弱いので、少
なくとも5〜35はりん酸基によるものでないと好まし
くない。
【0017】また、りん酸で変性させた上記ビスフェノ
ール型エポキシ樹脂のりん酸変性物であっても、りん酸
エステルであるものは好ましくない。例えば、特開平5
−320566号公報、特開平5−320569号公報
等には、ビスフェノール型エポキシ樹脂にりん酸ではな
く、りん酸エステルを付加させ、かつ、乳化性をもたせ
るために、カルボキシル基含有樹脂で変性して乳化基を
導入する技術が開示されているが、このようなものは、
硬化膜となった後でもカルボキシル基が消滅せずに残る
ので、高耐食性、高湿潤密着性を必要とする膜では耐水
性が悪くなり、塗装下地等に用いた場合、塗膜剥離を引
き起こす原因となるので、本発明には使用できない。
【0018】上記ビスフェノール型エポキシ樹脂のりん
酸変性物の重量平均分子量は、3000〜20000が
好ましい。3000未満では耐食性及び湿潤密着性が悪
く、20000を超えるとコーティング組成物が増粘
し、塗布膜の均一性が低下し、塗布皮膜量が低下する傾
向にあるので、好ましくない。
【0019】上記ビスフェノール型エポキシ樹脂のりん
酸変性物としては、例えば、XQ−82294.00、
XQ−82294.01(酸価35、重量平均分子量3
000、ダウケミカルジャパン社製)、XQR−711
−1352.61(酸価22、重量平均分子量500
0、ダウケミカルジャパン社製)、XU−8096.0
7(酸価12、重量平均分子量10000、ダウケミカ
ルジャパン社製)、XQR−711−1352.60
(酸価12、重量平均分子量10000、ダウケミカル
ジャパン社製)、XU−71899.00(酸価10、
重量平均分子量16000、ダウケミカルジャパン社
製)等をアミン又はアンモニアで中和し、乳化した後の
エマルジョン液のpHが4.0〜9.0になるように調
整したもの等が好ましい。
【0020】本発明においては、オキサゾリン化合物、
フェノール樹脂及び硬化開始温度が140℃以下である
メラミン樹脂からなる群より選択された少なくとも1種
()を用いる。本発明で使用されるオキサゾリン化合
物は、次の一般式〔I〕の構造を有する。上記オキサゾ
リン化合物は、カルボキシル基を有する化合物と容易に
反応して下記のような開環付加反応を起こす。
【0021】
【化1】
【0022】式中、R、R′は、各種重合体を表す。本
発明においては、Rがスチレン系重合体、アクリル−ス
チレン系共重合体であるものは、塗膜の強靱性を付与し
ガラス転移温度を大きくする点から好ましい。上記オキ
サゾリン化合物は特に限定されないが、例えば、日本触
媒社製エポクロスK−1010E、エポクロスK−10
20E、エポクロスK−1030E、エポクロスK−1
050E等を挙げることができ、このうち、エポクロス
K−1030E、エポクロスK−1050Eが、ガラス
転移温度が高く強靱で高い密着性の塗膜を与えるので好
ましい。また、エポクロスK−1010E、エポクロス
K−1020Eであっても、生成するコーティング膜が
所望の皮膜になるように、添加量、硬化温度、触媒を調
整して用いることができる。
【0023】本発明で使用されるオキサゾリン化合物
は、ガラス転移温度が0℃以上のものが好ましい。0℃
未満であると、低温、短時間(150℃で15秒程度)
の焼き付け条件では、鋼板との密着性及び硬化度に優れ
た塗膜が得られない。
【0024】本発明で使用されるフェノール樹脂は、水
性フェノール樹脂であれば特に限定されず、例えば、特
開平4−283217号公報、特開平5−93167号
公報等に開示された製造方法によるもの、昭和高分子社
製ショウノールBRL−125S、126A等の高水溶
性レゾール型フェノール樹脂;ショウノールBRL−1
17、134、1583、230C、273Z、276
O、280Z、204、219、1251、2534、
113、116、120Z、112A等の水溶性レゾー
ル型フェノール樹脂;BRE−174、N−2等の水性
エマルジョン等を挙げることができる。
【0025】本発明で使用されるメラミン樹脂は、硬化
開始温度が140℃以下のものである。140℃より高
いと、低温、短時間の焼き付け時間では、塗膜の硬化度
が不足する。なかでも、硬化速度の高いものが好まし
い。上記メラミン樹脂としては、イミノ若しくはメチロ
ール変性又は混合変性メラミン樹脂が好ましい。ブトキ
シ変性メラミン樹脂は、水溶性樹脂との均一混合性に劣
り、塗料の安定性が低下するので好ましくない。
【0026】上記条件を満たすメラミン樹脂として、例
えば、サイメル327、サイメル328(三井サイアナ
ミド社製)等のイミノ型メラミン樹脂;サイメル370
(三井サイアナミド社製)等のメチロール変性メラミン
樹脂又はこれの混合変性メラミン樹脂等を挙げることが
できる。
【0027】上記オキサゾリン化合物、フェノール樹脂
及びメラミン樹脂からなる群より選択された少なくとも
1種()の含有量は、上記ビスフェノール型エポキシ
樹脂のりん酸変性物()の量100重量部に対し10
〜500重量部である。10重量部未満であると硬化不
良となり、500重量部を超えると硬化剤が未反応のま
ま残留し、硬化皮膜の軟化、ガラス転移温度の低下、密
着性の低下、耐水耐食性低下の原因となるので、上記範
囲に限定される。より好ましくは、100重量部に対し
て10〜200重量部である。
【0028】本発明においては、ベンゼンスルホン酸誘
導体、そのアミン塩及びそのアンモニウム塩、ナフタレ
ンスルホン酸誘導体、そのアミン塩及びそのアンモニウ
ム塩、酸性りん酸アミン塩及びアンモニウム塩、並び
に、ホスホン酸誘導体、そのアミン塩及びそのアンモニ
ウム塩よりなる群から選択された少なくとも1種からな
る酸性触媒()を用いる。
【0029】上記酸性触媒の塩を形成するカチオンとし
ては、アミン類、アンモニウムが、塗膜の加熱硬化時に
揮発し塗膜に残留しにくいので好ましい。アルカリ金
属、金属カチオンは、塗料中でイオン化し塗膜に残留
し、水を吸収する原因となるので好ましくない。上記酸
性触媒としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン
酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、りん酸2水素アン
モニウム、りん酸1水素アンモニウム、キャタリスト5
00(三井サイアナミド社製)、キャタリスト600
(同)、キャタリスト4040(同)等を挙げることが
できる。
【0030】上記酸性触媒のうち、酸性りん酸として
は、上記りん酸2水素アンモニウム、りん酸1水素アン
モニウム等の無機りん酸塩のほかに、りん酸基が樹脂に
結合したものであってもよく、例えば、ポリビニルアル
コールのりん酸変性物でもよいし、上記ビスフェノール
型エポキシ樹脂のりん酸変性物でもよい。これらを用い
た場合には、上記低分子量の酸性触媒を添加しなくとも
よいか又は極少量の添加でよい。上記酸性りん酸として
は、フィチン酸等の多価りん酸を用いてもよい。この場
合は、その物質自体が触媒機能以外に防錆機能を有し、
防食性を強化させることができる。
【0031】本発明で用いられるホスホン酸誘導体、そ
のアミン塩又はそのアンモニウム塩は、りん酸エステル
ではなく、炭素原子とりん原子が直接結合したものであ
る。上記ホスホン酸は、その構造からりん酸エステルに
比べて加水分解しにくいので、本発明の目的には好まし
い。
【0032】上記ホスホン酸誘導体は、防錆効果を有
し、防食性を強化させることができる。上記ホスホン酸
誘導体、そのアミン塩又はそのアンモニウム塩として
は、例えば、デイクエスト2000、デイクエスト20
10、デイクエスト2041(日本モンサント社製)を
アミン又はアンモニアで中和したもの等を挙げることが
できる。
【0033】上記酸性触媒()は、(+)100
重量部に対して、0.1〜5重量部を添加する。0.1
重量部未満では触媒作用が低下し、短時間又は低温硬化
が困難となり、5重量部を超えると膜中に残留する量が
多くなることにより耐水性が低下するので、好ましくな
い。
【0034】以下、及びを含有した組成物を「組
成物A」という。本発明においては、組成物A(+
+)100重量部に、更にポリウレタン樹脂エマルジ
ョン()を、10〜80重量%含有してもよい。塗膜
密着性、折り曲げ加工性を重視する用途に用いる場合に
は、上記ポリウレタン樹脂エマルジョンが10重量%未
満であると上記性能を獲得できず、80重量%を超える
と耐食性、潤滑性を損なう。より好ましくは15〜50
重量%である。以下(+++)を含有したもの
を「組成物B」という。
【0035】上記ポリウレタン樹脂エマルジョンとして
は、乳化剤を用いる強制乳化タイプと乳化剤を用いない
自己乳化タイプの双方を使用することができる。本発明
においては、乳化剤の残存による皮膜の強度変化や耐水
性の減少等の問題がない点で、自己乳化タイプのポリウ
レタン樹脂エマルジョンを使用する方が好ましい。自己
乳化タイプのポリウレタン樹脂エマルジョンは、ゲル構
造を有しエマルジョンの水和安定性が良い点でも、本発
明には好ましい。
【0036】上記ポリウレタン樹脂エマルジョンとして
は、原料の種類により、ポリエーテル系、ポリエステル
系、ポリカーボネート系及びこれらの混合系等の各種の
ものを使用することができる。上記ポリエーテル系のポ
リウレタン樹脂エマルジョンとしては、例えば、スーパ
ーフレックス110(第一工業製薬社製)、スーパーフ
レックスF−8438D(第一工業製薬社製)、ハイド
ランHW950(大日本インキ化学工業社製)等を挙げ
ることができる。
【0037】上記ポリエステル系のポリウレタン樹脂エ
マルジョンとしては、例えば、スーパーフレックスF−
8123D(第一工業製薬社製)、ハイドランHW91
0(大日本インキ化学工業社製)、ハイドランHW92
0(大日本インキ化学工業社製)、ハイドランHW93
0(大日本インキ化学工業社製)、ハイドランHW94
0(大日本インキ化学工業社製)、ハイドランHW96
0(大日本インキ化学工業社製)等を挙げることができ
る。上記ポリカーボネート系のポリウレタン樹脂エマル
ジョンとしては、例えば、スーパーフレックス460
(第一工業製薬社製)、スーパーフレックスF−812
4D(第一工業製薬社製)、ハイドランHW935(大
日本インキ化学工業社製)、ハイドランHW980(大
日本インキ化学工業社製)等を挙げることができる。こ
れらは、その1種又は2種以上を混合して使用すること
ができる。
【0038】上記ポリウレタン樹脂エマルジョンは、ガ
ラス転移温度(Tg)が10〜80℃のものが好まし
い。Tgがこの範囲内であると、本発明の水性コーティ
ング組成物を皮膜化したときに、所望の皮膜強度及び密
着性が、130〜180℃の広い温度範囲で得ることが
できる。より好ましいTgの範囲は、20〜80℃であ
る。本発明においては、上記各種のポリウレタン樹脂エ
マルジョンを混合することにより所望のTgを得ること
ができる。
【0039】本発明の水性コーティング組成物は、その
まま又は適切な添加物が添加されて、塗装下地用コーテ
ィング組成物、潤滑防錆コーティング組成物又は自動車
用防錆コーティング組成物として適用される。
【0040】上記塗装下地用コーティング組成物とする
ときは、組成物Aに、必要に応じてポリウレタン樹脂エ
マルジョン()を含有させ、さらに防錆顔料、及び、
微粒子状のシリカのうち少なくとも1種()を適宜含
有させてもよい。以下(+++)又は(+
+++)を含有したものを「組成物C」という。
上記防錆顔料は、1gを脱イオン水100gに分散させ
て作成した水分散液の導電率が600μS/cm以下で
あるものが好ましい。組成物Cは、防錆コーティング組
成物として使用することができる。上記組成物Cは、組
成物A又は組成物B100重量部に、上記防錆顔料及び
上記シリカを、固形分換算で1〜40重量部含有させる
のが好ましい。1重量部未満では耐食性が低下し、40
重量部を超えると耐食性において効果が飽和するととも
に膜の強度、透水性が低下するので、好ましくない。
【0041】上記防錆顔料としては、例えば、りん酸カ
ルシウム(例、菊地色素社製LFボウセイCP−Z)、
りん酸亜鉛等のりん酸塩系防錆顔料;モリブデン酸亜鉛
(例、菊地色素社製LFボウセイM−PSN、本荘ケミ
カル社製モリホワイト101)等のモリブデン酸塩系防
錆顔料;シアナミド亜鉛カルシウム(例、菊地色素社製
LFボウセイZK−S2)等を挙げることができる。
【0042】導電率が600μS/cmを超える防錆顔
料としては、例えば、鉛酸カルシウム、りん酸シリカ、
クロム酸亜鉛、クロム酸ストロンチウム、メタほう酸バ
リウム等を挙げることができる。これらは、塗膜の耐水
性やブリスタを阻害するだけでなく、水溶性樹脂の安定
性を損なうので、本発明では使用することができない。
また、塩基性硫酸鉛やシアナミド鉛などの鉛系防錆顔料
は、毒性の点から、特別の場合を除いて本発明には使用
することができない。
【0043】本発明で使用される上記シリカは、微粒子
状又はゾル等のコロイド状であって、防食塗料、特に薄
膜型防錆鋼板用コーティング剤として、通常使用されて
いるものを用いることができるが、その水分散液のpH
が4〜9の乾式シリカ又はコロイダルシリカ等が好まし
い。乾式シリカは、その当酸点がpH4〜5の酸性領域
にあるものが多いため、樹脂水溶液のpHを低下させよ
うとするので樹脂が水溶性とならず(ディスパージョン
型となる)、水性コーティング組成物が弱アルカリ性に
設定してある場合には、その貯蔵安定性が悪くなり好ま
しくない。しかし、水性コーティング組成物が弱酸性に
設定してあるものについてはこの限りではない。
【0044】上記湿式シリカとしては、水中でコロイド
状に安定化させたものを挙げることができ、例えば、ス
ノーテックスO(日産化学工業社製)、スノーテックス
N(同)、アデライトAT−20(旭電化工業社製)、
アデライトAT−30(同)、アデライトAT−40
(同)、アデライトAT−50(同)、アデライトAT
−20S(同)、アデライトAT−30S(同)、アデ
ライトAT−20N(同)、アデライトAT−20A
(同)、アデライトAT−30A(同)等を挙げること
ができる。また上記乾式シリカとしては、フュームドシ
リカ又は気相法シリカと呼ばれるものを挙げることがで
き、例えば、アエロジル380(日本アエロジル社
製)、アエロジル300(同)、アエロジル200
(同)等を挙げることができる。
【0045】本発明で使用される上記シリカは、りん酸
化合物、モリブデン化合物、ほう酸化合物等を用いてコ
ロイダル化したものが好ましい。上記コロイダル化粒子
は、シリカ及びアルミニウムシリケートを主成分とし、
これらは雑イオンを含有しない高純度のものが好まし
い。上記乾式アルミニウムシリケートとしては、例え
ば、アエロジルMOX170(日本アエロジル社製)、
アエロジルMOX80(同)、アエロジルCOK84
(同)等を挙げることができる。シリカ単独のものより
も、アルミニウムシリケート等の方が効率よくコロイダ
ル化することができる。
【0046】上記乾式シリカ又は乾式アルミニウムシリ
ケートの量は、水を含む全量1000重量部に対して好
ましくは50〜200重量部である。50重量部未満で
あると、これにより得られるコロイダル化粒子が再凝集
を起こしやすく、コロイダル化粒子を含有する水性コー
ティング組成物により形成される塗膜の耐食性が低下す
るので好ましくない。また200重量部を超えると、こ
れにより得られるコロイダル化粒子を含有する水性コー
ティング組成物により形成される塗膜の耐食性が低下す
る傾向となるので好ましくない。100〜150重量部
であるのがより好ましい。
【0047】上記コロイダル化粒子の主成分であるコロ
イド化助剤としては、水溶液中で大きな陰イオンを形成
する化合物であればよく、りん酸化合物、例えば、ピロ
りん酸、トリポリりん酸、テトラポリりん酸、ペンタポ
リりん酸、ヘキサポリりん酸、ヘプタポリりん酸、オク
タポリりん酸、ノナポリりん酸、デカポリりん酸、メタ
りん酸、トリメタりん酸、ヘキサメタりん酸、ウルトラ
ポリりん酸等の縮合りん酸及びこれらのアンモニウム塩
等を挙げることができる。
【0048】これらのアルカリ金属塩及びアルカリ土類
金属塩もあるが、金属イオンの混入は、得られるコロイ
ダル化粒子を用いてなる水性コーティング組成物により
形成される塗膜の耐食性に決定的な悪影響を及ぼす。す
なわち、塗膜中に金属イオンが含有されると腐食雰囲気
下でのハロゲンイオン(例えば、Cl- )の膜透過を促
進し、またシリカの陽イオン交換能も殺してしまい、耐
食性が極端に低下するので、アルカリ金属塩又はアルカ
リ土類金属塩の使用は好ましくない。
【0049】上記りん酸化合物のほか、モリブデン酸化
合物、例えば、モリブデン酸アンモニウム・4水和物
等、またほう酸化合物、例えば、5ほう酸アンモニウ
ム、メタほう酸等、更にけい酸化合物、例えば、オルト
けい酸、メタけい酸等を挙げることができる。ただし、
けい酸は水に微溶であるが、アンモニウム性アルカリ溶
液に溶解させて使用することができる。また、いおう含
有陰イオンも、酸化還元反応に対して化学的に活性であ
るが、コロイダル化は可能である。
【0050】上記コロイド化助剤の添加量は、特に制限
されるものではなく、目的とするコロイダル化粒子の粒
子径にあわせて加減すればよく、例えば、コロイダル化
粒子の粒子径を500nm以下とする場合には、シリカ
又はアルミニウムシリケートに対して、好ましくは2×
10-4〜2×100 モルである。添加量が2×10-4
ル未満であると、得られるコロイダル化粒子が凝集によ
ってすぐに網目構造状粒子に復元し粗大化するので好ま
しくない。また2×100 モルを超えると、これにより
得られるコロイダル化粒子を含有する水性コーティング
組成物により形成される塗膜の耐食性が低下する傾向と
なるので好ましくない。より好ましくは2×10-3〜2
×10-2モルの範囲がよい。
【0051】上記コロイダル化粒子の主成分である水
は、例えば、イオン交換水又は純水等の不純物質の少な
いものが好ましい。上記水の量は、乾式シリカ又は乾式
アルミニウムシリケート及び水の全量1000重量部に
対して、950〜800重量部であるのが好ましい。
【0052】こうして得られたコロイダル化粒子の粒子
径としては、コロイド化助剤の添加量等の調整により所
望の粒子径に造粒することができる。例えば、高防食性
プレコート鋼板の有機皮膜用水性コーティング組成物に
添加する場合には、好ましくは500nm以下、より好
ましくは150〜250nmの範囲とするのがよい。
【0053】本発明の水性コーティング組成物を潤滑防
錆コーティング組成物とする場合には、組成物C100
重量部に、固形分換算で3〜15重量部のワックスを含
有させたものが好ましい(以下「組成物D」という)。
上記ワックスは、水に分散できるものであれば特に限定
されず、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリス
タリンワックス、ポリエチレン系ワックス(平均分子量
2000〜8000のポリエチレン系ワックスの例、楠
本化成社製ディスパロンSE210−15T、同社製デ
ィスパロンSE480−10T、三井石油社製ケミパー
ルWF640、同社製ケミパールW700)、ポリプロ
ピレン系ワックス、ポリブテン系ワックス等を挙げるこ
とができる。また、上記ワックスの他に、ポリテトラフ
ルオロエチレン、他のふっ素樹脂、ふっ化カーボン等の
ふっ素系固体潤滑剤、グラファイト、金属石鹸等のうち
水系組成物に混入できるものを使用することができる。
【0054】本発明の水性コーティング組成物を自動車
用防錆コーティング組成物とする場合には、組成物D1
00重量部に、メラミンシアヌレート化合物0.05〜
25重量部を含有させるのが好ましい。メラミンシアヌ
レートの添加量が0.05重量部未満であると、後述す
るように電着塗装時の電気的負荷による素地金属界面の
密着性破壊を防止する効果が消失し、25重量部を超え
ると、膜の均一性や緻密さがなくなり、薄膜コーティン
グの場合には、バリヤ効果を阻害するので好ましくな
い。
【0055】上記メラミンシアヌレートはイソシアヌー
ル環含有平面構造を有する化合物であり、式(C69
93 )nで表され、例えば、2,4,6−トリアミ
ノ−1,3,5−トリアジン(以下「メラミン」)、
2,4,6−トリヒドロキシ−1,3,5−トリアジン
(以下「シアヌル酸」)及びその互変異性体との等モル
付加化合物で、固体状態にあってはメラミン分子とシア
ヌル酸分子が弱い水素結合状態でそれぞれ交互に隣接
し、以下のような平面構造を有した結晶を形成している
ものと推定される。
【0056】
【化2】
【0057】式中、●は炭素、○は窒素、◎は酸素、・
は水素、Mはメラミン分子、Cはシアヌル酸分子をそれ
ぞれ表す。また立体構造は、以下のように一定の面間隔
を有する積み重ね構造、いわゆるグラファイト型である
と推定される。
【0058】
【化3】
【0059】式中、M、Cは前記と同じ。これらのメラ
ミンシアヌレート化合物としては、特公昭60−338
50号公報に製造方法が記載され、日産化学工業社製の
MCシリーズ(MC−FW、MC−PW、MC−BW、
MC−UW、MC−420、MC−520、MC−60
0等)として市販されている。なお、メラミンシアヌレ
ートをクリア層に含有させて自動車等のメタリック塗装
においてマイカ塗装と同様の真珠光沢を発現させること
が特開平3−28277号公報に記載されているが、本
発明とは無関係である。
【0060】上記メラミンシアヌレート化合物は、耐酸
性、耐アルカリ性が良好で、pH1〜14の範囲で化学
的変化がなく安定である。このことは、カチオン型電着
塗装時に、電着塗膜下はpH12程度にさらされるた
め、本発明のメラミンシアヌレート化合物を含有した自
動車用防錆コーティング組成物は、電着時の電気的負荷
による素地金属界面の密着性破壊を防止する効果があ
る。
【0061】また、メラミンシアヌレート化合物は、水
に難溶性で耐熱性である。また一般の塗料に用いられる
有機溶剤にも溶解せず、僅かにジメチルスルフォオキサ
イドに70℃で0.011g/100ml溶解するだけ
である。これは、電着塗装時、塗膜下に侵入する水に溶
解せず、電着阻害要因とはならない。
【0062】本発明の水性コーティング組成物には、上
記本発明の構成と矛盾しない範囲内において、その他の
成分として更に下記の顔料、添加剤等を添加することが
できる。
【0063】着色顔料としては、例えば、酸化チタン、
フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナ
クリドン、インダンスロン、ペリレン、アンスラピリミ
ジン、カーボンブラック、ベンズイミダゾラン、黒鉛、
黄色酸化鉄、赤色酸化鉄等を挙げることができる。体質
顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、石膏、クレ
ー、タルク等を挙げることができる。上記顔料の含有量
は水性コーティング組成物の樹脂固形分100重量部に
対し、0.5〜30重量部の範囲に設定するのが好まし
い。
【0064】また、本発明において用いることができる
溶剤としては、例えば、水;メチルアルコール、エチル
アルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコー
ル、イソブチルアルコール、2−ブチルアルコール、ベ
ンジルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール
系;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、ジアセトンア
ルコール等のケトン系の親水性有機溶剤及びこれらの混
合物等を挙げることができる。
【0065】上記溶剤の添加量は、水性コーティング組
成物中に水の場合には50〜80重量%、親水性有機溶
剤の場合には0〜80重量%の範囲であり、さらに該溶
剤の含有量は、製造時の水性コーティング組成物の樹脂
固形分に対し、20〜50重量%、さらに塗装時の水性
コーティング組成物の樹脂固形分に対し、10〜20重
量%の範囲に調節されていることが好ましい。
【0066】さらに、本発明において用いることができ
る添加剤としては、例えば、消泡剤、レベリング剤、は
じき防止剤、グロス向上剤、沈降防止剤、湿潤剤(界面
活性剤)、潤滑剤、防腐剤、防塵剤等が挙げられる。
【0067】各成分の混合には、塗料製造に慣用されて
いるペイントシェイカー、ディスパ、ボールミル、サン
ドグラインドミル、ニーダー、ディゾルバー等の装置を
用い、溶媒として水を使用して粘度調整する。この際、
エマルジョンを破壊しない範囲で親水性の有機溶媒を水
と併用することができる。
【0068】水性コーティング組成物へのコロイダル化
粒子の添加は、塗料の製造過程(前添加)又は完成され
た塗料(後添加)に対して行われる。上記水性コーティ
ング組成物中へのコロイダル化粒子の添加は、上記ペイ
ントシェイカー、ディスパー、ボールミル、サンドグラ
インドミル、ニーダー、ディゾルバー等の分散混合装置
を用いて行われる。
【0069】また、被塗物となる金属板には、素材を防
錆し、かつ塗料の密着性を改善するために予め塗装前に
前処理を施しておくこともでき、例えば、酸、アルカリ
洗浄等の脱脂処理等を挙げることができる。
【0070】本発明の水性コーティング組成物を鋼板の
塗装下地処理として用いる場合の塗装方法としては、組
成物A、組成物B又は組成物Cを、その不揮発残分が1
0〜20%になるように水で希釈して脱脂した鋼面に塗
布することができる。上記組成物のpHは、4.0〜
9.0が好ましい。その塗布方法は、ディッピング、ス
プレー、シャワー、ロール等通常の方法を用いることが
できる。乾燥膜厚は好ましくは1〜10μmである。1
μm未満では塗布の均一性が損なわれピンホールが発生
しそこから腐食が起こりやすく、10μmを超えるとひ
ずみが発生しやすく湿潤密着性には寄与しない。より好
ましくは2〜5μmである。また、上記組成物に、イン
ヒビタ(チバガイギー社製、イルガコア)等の防錆剤;
フィチン酸、没食子酸等のキレート剤等を添加してもよ
い。
【0071】本発明の水性コーティング組成物を亜鉛メ
ッキ面の塗装下地処理として用いる場合には、組成物A
又は組成物Bに上記シリカを添加して用いられる。亜鉛
メッキの塗装では、通常は防錆顔料の入ったプライマが
塗装下地処理の上に塗布されるので、防錆顔料はこの下
地塗布には必要ないが、特に防錆力が欲しい場合に、本
発明の皮膜に防錆顔料を添加してもよい。
【0072】上記シリカとしては、乾式シリカ、湿式シ
リカ等が用いられるが、アルカリ金属等の雑イオンが少
ない乾式シリカが好ましい。上記シリカの添加量は、樹
脂固形分100重量部に対して好ましくは1〜20重量
部である。また、カラートタン、家電用等の折曲げ加工
が重視される分野で使用される場合には、密着性向上、
折曲げ加工時の剥離防止、湿潤密着性向上の目的で、皮
膜にポリウレタン樹脂エマルジョンを添加してもよい。
この塗布方法としては、上記水性コーティング組成物を
適当な濃度に希釈し、ロールコーター等により乾燥膜厚
が1〜5μmとなるように亜鉛メッキ面に塗布すること
ができる。膜厚が1μm未満ではピンホールが発生し耐
食性、湿潤密着性が低下し、5μmを超えると折曲げ加
工時に膜がはがれて塗膜密着性を損なうので、好ましく
ない。
【0073】本発明の水性コーティング組成物によりコ
ーティングした金属素材(例えば亜鉛メッキ鋼板等)に
折り曲げや深絞り加工を施した後、必要により上記塗膜
上に、さらに塗装を行うことができる。塗装は、下塗り
塗装(プライマーコート)をしてから上塗り塗装しても
よいし、単に上塗り塗装(トップコート)を行ってもよ
い。防食性を良くするためには、形成された塗膜上に、
下塗り塗装(プライマーコート)をすることが望まし
い。上記プライマーコートは、腐食作用から素材を保護
し、金属板表面、表面処理膜及び上塗り塗膜に密着性を
付与する機能を有する。下塗り塗膜の厚さは、通常、乾
燥時において1〜7μmである。焼付けは、使用した塗
料樹脂に最適な温度と時間の条件下で短時間内に行う。
【0074】上塗り塗装(トップコート)における好ま
しい塗膜は、7〜50μm(乾燥時)である。この塗膜
が7μm未満では、着色力が乏しいために下塗り素材を
隠蔽することができず、また50μmを超える場合に
は、高温短時間内の焼付けにおいてピンホール発生の危
険性を生じるので、好ましくない。焼付けの温度及び時
間は、使用する上塗り塗料に応じて最適な条件が設定さ
れる。
【0075】なお、本発明の水性コーティング組成物に
よって形成された塗膜と組み合わせる塗装系としては、
上記に限定されず、さらに樹脂のタイプとしても有機溶
剤型、水型、粉体型のいずれであってもよい。また、上
記水性コーティング組成物の塗装方法は、特に限定され
ず、エアースプレー塗装、エアレス塗装、静電塗装等の
通常の塗装方法を用いることができる。
【0076】本発明の潤滑防錆コーティング組成物の塗
布方法としては、水で塗布に適当な濃度に希釈して、ロ
ールコート等の方法で、亜鉛メッキ鋼板等に、乾燥膜厚
が1〜5μmになるように塗布することができる。膜厚
が1μm未満ではピンホールが発生し耐食性、湿潤密着
性が低下し、5μmを超えると加工時に膜がはがれてブ
ラッシングの減少が起こるので、好ましくない。
【0077】本発明の自動車用防錆コーティング組成物
は、自動車用亜鉛メッキ鋼板に塗布し、乾燥させる。さ
らに、その上に乾燥膜厚が15〜40μmになるように
カチオン又はアニオン電着塗装し、さらに必要により、
アルキド樹脂、ポリエステル樹脂又はアクリル樹脂系中
塗り塗料を乾燥膜厚が20〜60μmになるように塗装
し、次いで、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂又はふっ
素樹脂系等の自動車上塗り塗装を用いることができる。
【0078】
【作用】本発明の水性コーティング組成物において、ビ
スフェノール型エポキシ樹脂のりん酸変性物のカルボン
酸に基づく酸価を限定することにより、水和安定性とオ
キサゾリン化合物での反応性を保つことができる。ま
た、上記ビスフェノール型エポキシ樹脂のりん酸変性物
のりん酸基に基づく酸価により、水和安定性、金属素地
との接着性を保ち、強固に密着した膜を実現し、これに
より耐食性、高度な加工性(加工部耐剥離性)を保つこ
とができる。更に、オキサゾリン化合物を使用すること
により、カルボキシル基をもつビスフェノール型エポキ
シ樹脂のりん酸変性物の場合には、カルボキシル基と反
応して架橋し、短時間焼き付けでも強靱な皮膜を作るこ
とができる。これにより、耐食性と高度の加工性を発現
することができる。メラミン樹脂とオキサゾリン化合物
との併用により、メラミン樹脂が、ビスフェノール型エ
ポキシ樹脂のりん酸変性物のヒドロキシル基と反応硬化
し、また、上記ビスフェノール型エポキシ樹脂のりん酸
変性物がカルボキシル基をもつ場合には、上述のように
オキサゾリン化合物が、そのカルボキシル基と反応硬化
して、強固に密着した膜を作ることができる。また、ポ
リウレタン樹脂エマルジョンを併用することにより、密
着性が良好となり、上塗塗料としての良好な特性を獲得
することができる。
【0079】
【実施例】以下に樹脂製造例、実施例を掲げて本発明を
更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。
【0080】参考例1 石炭酸94部、37%ホルマリン405部及び水酸価ナ
トリウム水溶液211部を混合し、50℃で2時間反応
させた。塩酸で中和後、酢酸エチル/n−ブタノール=
1/1の混合溶剤で抽出して、固形分80%のレゾール
型フェノール樹脂溶液を得た。
【0081】参考例2 攪拌機、温度制御装置、デカンターを備えた容器に次の
組成の原料を仕込み、攪拌しながら加熱した。 大豆脂肪酸 34重量部 トリメチロールプロパン 34重量部 無水トリメリット酸 9重量部 イソフタル酸 25重量部 キシレン 1重量部 ジブチル錫オキサイド 0.5重量部 反応進行に伴って生成する水をキシレンと共沸させて除
去し、酸価39、水酸基価140になるまで加熱を継続
し、反応を終了させた。得られた樹脂を不揮発分70重
量%となるようにブチルセロソルブで希釈してアルキド
樹脂ワニスを得た。この樹脂ワニスをトリエチルアミン
で理論上100%中和し、脱イオン水にて不揮発分40
重量%になるように調整して水溶性アルキド樹脂ワニス
〔1〕を得た。このものの実質酸価は、33であった。
【0082】参考例3 攪拌機、温度制御装置、デカンターを備えた容器に次の
組成の原料を仕込み、攪拌しながら加熱した。 大豆脂肪酸 30重量部 トリメチロールプロパン 17重量部 ホオペンチルグリコール 13重量部 無水トリメリット酸 7重量部 イソフタル酸 32重量部 キシレン 1重量部 ジブチル錫オキサイド 0.02重量部 反応進行に伴って生成する水をキシレンと共沸させて除
去し、酸価30、水酸基価60になるまで加熱を継続
し、反応を終了させた。得られた樹脂を不揮発分70重
量%となるようにブチルセロソルブで希釈してアルキド
樹脂ワニスを得た。この樹脂ワニスをトリエチルアミン
で理論上100%中和し、脱イオン水にて不揮発分40
重量%になるように調整して水溶性アルキド樹脂ワニス
〔2〕を得た。
【0083】実施例1〜7及び比較例1〜3 表1に示した配合比で組成物を混合し、水性コーティン
グ組成物を得た。表1中、XU−71899.00は、
ダウケミカルジャパン社製、ビスフェノール型エポキシ
樹脂のりん酸変性物(酸価=10、ジメチルエタノール
アミン(DMEA)中和100%)、りん酸エステル変
性エポキシ樹脂のアクリルグラフト重合体は、東都化成
社製、サイメル328は、三井サイアナミド社製、イミ
ノメチロール系メラミン、サイメル303は、三井サイ
アナミド社製、メトキシメラミン樹脂、サイメル112
3は、三井サイアナミド社製、ベンゾグアナミン樹脂、
水性フェノール樹脂は、参考例1により合成されたも
の、スルホン酸系触媒は、三井サイアナミド社製、キャ
タリスト500、酸性りん酸系触媒は、りん酸2水素ア
ンモニウム、ホスホン酸系触媒は、日本モンサント社
製、デイクエスト2041(エチレンジアミンテトラ
(メチレンスルホン酸)のアンモニア中和物)、ハイド
ラン935は、大日本インキ化学工業社製、ポリウレタ
ン樹脂エマルジョンを表す。
【0084】評価方法 (1)薄膜耐食性 上記のようにして得られた実施例1〜7及び比較例1〜
3の水性コーティング組成物を、不揮発分20%になる
ように水で希釈し、脱脂した鋼板(JIS G3141
SPCC−SD)にバーコーターで乾燥膜厚2〜3μ
mになるように塗布し、到達板温130℃で10分乾燥
させ、試験片とした。上記試験片に対し、塩水噴霧試験
で発錆状態が図1(ASTM、D610−68による錆
面積判定図)中、0.3%のものになるまでの時間を測
定した。
【0085】(2)MEKラビングテスト 乾燥させた上記試験片を、メチルエチルケトン(ME
K)に浸したガーゼを荷重300gで圧着しながら塗布
面にこすりつけ、膜が破壊されるまでの回数を測定し
た。 ◎:200回以上 ○:100〜200回 △:10〜100回 ×:0〜10回
【0086】(3)上塗り耐水性、上塗り耐食性 上記試験片に上塗りとしてオーデセレクト500(日本
ペイント社製、アルキドメラミン系水性塗料)を乾燥膜
厚25〜30μmとなるように塗布し、140℃で20
分焼き付け、サンプルとした。 (i)上塗り耐水性 上記サンプルを40℃の水道水中に120時間浸せきし
た後、図2に示すような塗膜ブリスター(ふくれ)を評
価した。図2中、No.2、4、6、8は、ふくれの大
きさを表し、F、M、MD、Dは、それぞれのブリスタ
ーの大きさに応じてその密度を表す。 ○:ブリスターなし △:ブリスターF(ASTM密度基準) ×:ブリスターM(ASTM密度基準) ××:ブリスターMD,D(ASTM密度基準) (ii)上塗り耐食性 上記サンプルを脱脂し、鋭利なナイフ(カッターナイ
フ)で対角線状に素地まで達するキズをつけ、塩水噴霧
試験に100時間供した後、表面の水分を拭き取り乾燥
し、粘着テープをカットに沿って圧着し、急速に引き剥
がした後の剥離した塗膜の幅(mm)を測定した。カッ
ト部からの片側剥離幅で表した。各評価結果は、表1に
示した。
【0087】実施例8 一般工業用塗装下地処理皮膜への応用のための処方 XQR−711−1352.60(ダウケミカルジャパ
ン社製、ビスフェノール型エポキシ樹脂のりん酸変性
物)をジメチルエタノールアミン(DMEA)で中和
(中和率70%)後、水を加えて乳化した(酸価=1
2、平均重量分子量約10000)もの100重量部、
イミノメチロール系メラミン(サイメル327、三井サ
イアナミド社製)40重量部、デイクエスト2041
(日本モンサント社製、アンモニア中和)0.5重量
部、ハイドランHW960(大日本インキ化学工業社
製)10重量部、コロイダルシリカ(アデライトAT2
0N、旭電化工業社製)10重量部、防錆顔料(モリブ
デン酸系LFボウセイM−PSN、菊地色素社製)2重
量部、防錆剤(イルガコア252、チバガイギー社製)
5重量部を順次加えて、デースパーにより均一に混合し
た。これを固形分が20%となるように希釈し、DME
Aとりん酸とで調整して、pHを6.5とし、塗装下地
用水性防錆コーティング組成物を得た。上記防錆顔料
(LFボウセイM−PSN、菊地色素社製)は、分散安
定化させるために、アルキド樹脂ワニス〔2〕(参考例
3、酸価30、水酸基60)を用いてSGミルにビーズ
分散し顔料ペーストとしたもの(樹脂:顔料=7:2
0)を使用した。上記イルガコア252は、アンモニア
で中和し適当な固形分%の水ペーストを作り必要量を用
いた。上記組成物を脱脂鋼板(JIS G 3141
SPCC−SD)に塗布し下地処理したものに、さらに
オルガセレクト120ホワイト(メラミンアルキド溶剤
型塗料)を乾燥膜厚が25〜30μmとなるように塗布
し、塗装鋼板を得た。
【0088】実施例9 カラー鋼板用塗布型下地処理皮膜への応用のための処方 XQR−711−1352.60(ダウケミカルジャパ
ン社製、ビスフェノール型エポキシ樹脂のりん酸変性
物、DMEA中和し(中和率50%)乳化したもの、酸
価=12、平均重量分子量約10000)100重量
部、イミノメチロール系メラミン(サイメル328、三
井サイアナミド社製)30重量部、水性フェノール樹脂
(ショウノールN−2、昭和高分子社製)20重量部、
デイクエスト2010(日本モンサント社製、アンモニ
ア中和)0.5重量部、スーパーフレックスF8124
D(第一工業製薬社製)20重量部、シリカ(アエロジ
ル300、日本アエロジル社製)30重量部、防錆顔料
(リンモリブデン酸系LFボウセイDM300W、菊地
色素社製)5重量部、防錆剤(イルガコア252、チバ
ガイギー社製)5重量部を実施例8と同様に配合し、固
形分が20%となるように希釈し、pHを4.5とし、
塗装下地用水性コーティング組成物を得た。さらに、溶
融亜鉛メッキ鋼板スキンパスノンスパングル剤(クロメ
ート処理なし)に上記組成物を塗布し下地処理したもの
に、プライマーとしてスーパーラックDIF−P01プ
ライマーを塗布し、トップコートとしてニッペスーパー
コート300HQを塗布し、塗装鋼板を得た。
【0089】実施例10 潤滑防錆コーティング組成物への応用のための処方 XQR−711−1352.60(ダウケミカルジャパ
ン社製、ビスフェノール型エポキシ樹脂のりん酸変性
物、DMEA中和し(中和率100%)乳化したもの、
酸価=12、平均重量分子量約10000)100重量
部、イミノメチロール系メラミン(サイメル328、三
井サイアナミド社製)30重量部、エポクロスK−10
50E(日本触媒化学工業社製)、りん酸1水素アンモ
ニウム2重量部、ハイドランHW940(大日本インキ
化学工業社製)20重量部、コロイダルシリカ(アデラ
イトAT20N、旭電化工業社製)15重量部、ケミパ
ールW700(三井石油化学工業社製)5重量部、防錆
剤(イルガコア252、チバガイギー社製)5重量部を
実施例8と同様に配合し、固形分が20%となるように
希釈し、pHを8.0とし、潤滑防錆コーティング組成
物を得た。上記組成物を電気亜鉛メッキ鋼板(クロメー
ト処理なし)に塗布し処理したものに、さらにオルガセ
レクト100ホワイト(メラミンアルキド水性型塗料)
を乾燥膜厚が25〜30μmとなるように塗布し、塗装
鋼板を得た。
【0090】実施例11 自動車防錆コーティング組成物への応用のための処方 XQR−711−1352.60(ダウケミカルジャパ
ン社製、ビスフェノール型エポキシ樹脂のりん酸変性
物、DMEA中和し(中和率90%)乳化したもの、酸
価=12、平均重量分子量約10000)100重量
部、イミノメチロール系メラミン(サイメル328、三
井サイアナミド社製)30重量部、りん酸2水素アンモ
ニウム2重量部、ハイドランHW935(大日本インキ
化学工業社製)20重量部、アエロジルMOX170
(日本アエロジル社製)をほう酸にてコロイダル化した
もの15重量部、ケミパールWF640(三井石油化学
工業社製)5重量部、メラミンシアヌレートMC−42
0(日産化学工業社製)5重量部を実施例8と同様に配
合し、固形分が20%となるように希釈し、pHを6.
5とし、自動車防錆コーティング組成物を得た。上記組
成物を亜鉛−ニッケル系電気メッキ鋼板(クロメート処
理有り)に塗布し処理したものに、さらにカチオン電着
塗料パワートップU2550を乾燥膜厚が20〜25μ
mとなるように塗布し、塗装鋼板を得た。
【0091】比較例4 下地処理なしの鋼板を用いて、実施例8と同様の塗装を
行い、塗装鋼板を得た。 比較例5 りん酸亜鉛処理(サーフダイン1000)したものを、
実施例8と同様の塗装を行い、塗装鋼板を得た。 比較例6 塗布型ジクロメート処理剤NRC−300からCrO3
を抜き、代わりにポリアクリルエマルジョンEM110
0(日本ペイント社製)を10重量、アエロジル300
を10重量部混合した組成物を塗布し、実施例9と同様
の塗装を行い、塗装鋼板を得た。 比較例7 ビスフェノール型エポキシ樹脂のりん酸変性物の代わり
に水溶性アルキド樹脂ワニス〔1〕(参考例2、酸価=
39、水酸価=140)を用いた以外は実施例10と同
様に行い、塗装鋼板を得た。
【0092】比較例8 ディックファインEN0270(大日本インキ化学工業
社製、自己乳化性エポキシ樹脂)25重量部、エポクロ
スK−1020E(日本触媒社製)、UE1101(自
己乳化性ポリウレタンエマルジョン樹脂)75重量部、
スノーテックスN(日産化学工業社製、水分散シリカ)
25重量部、メラミンシアヌレートMC−600(日産
化学工業社製)3重量部を配合し、自動車防錆コーティ
ング組成物を得て、実施例11と同様に行い塗装鋼板を
得た。
【0093】評価方法 それぞれの基板に乾燥膜厚が2〜4μmとなるようにバ
ーコーター塗布し、130℃5分乾燥した。 (i)薄膜耐食性 塩水噴霧試験で上塗りをかけずに処理膜だけで試験を行
い、図1(ASTM、D610−68による錆面積判定
図)中、0.3%の錆発生が起こるまでの時間により下
記のように評価した。 基板が鋼板の場合(実施例8及び比較例4) ○:100時間で発錆 △:50時間で発錆 ×:1時間以内に発錆 ××:10分以内に発錆 基板が亜鉛メッキ鋼板の場合(実施例9〜11及び比較
例5〜8) ○:500時間以上白さび発生なし △:100時間以内で白さび発生 ×:10時間以内で白さび発生 ××:1時間以内で白さび発生 (ii)MEKラビンクテスト 上記と同じに行った。
【0094】(iii)耐アルカリ性 アルカリ性脱脂剤であるサーフクリーナ53S(日本ペ
イント社製)に45℃で10分間浸漬した後、塗布面の
状態を観察し、下記の評価基準に従って評価した。 ◎:異常なし ○:ごく一部が白化 △:50%が白化 ×:溶出を伴う全面白化
【0095】(iv)加工性:円筒絞り試験 樹脂塗装面をダイス側にして加工をし、ダイスに付着し
たそのときの塗膜剥離粉をセロテープで採取し、その程
度から評価した。パウダリングは、絞り部をテープ剥離
し、剥離粉の程度から評価した。このときのプレス条件
は、下記によった。 しわ抑え圧:3トン ポンチ径 :50mmφ ブランク径:95mmφ 絞り比 :1.92 絞り速度 :300mm/sec
【0096】外観を観察し、下記の評価基準に従って評
価した。 ◎:ダイスに付着なし ○:ダイスに若干付着あり △:ダイスに付着が○と×の中間 ×:ダイスに付着が多量にあり パウダリングの評価は、下記の評価基準に従った。 ◎:剥離粉なし ○:剥離粉若干あり △:○と×の中間 ×:剥離粉が多量にあり
【0097】(v)上塗適性 塗装鋼板の焼き付けを、到達板温180℃×20℃に
し、オルガセレクト120ホワイト(日本ペイント社
製)をスプレー塗装し、130℃で15分間焼き付けを
行った。塗装1日後、2mm巾のゴバン目100個を塗
膜に入れ、エリクセン試験機で3mm塗装板の裏側から
押し出し、市販の粘着テープで剥離し、密着性を、(テ
ープ剥離した跡のマス目の数)/100で表示した。上
塗の乾燥膜厚は、30±3μmであった。
【0098】(vi)上塗り耐水性 実施例8、比較例4及び5については120時間×40
℃、実施例9〜11及び比較例6〜8については240
℃×40℃で、水道水に浸せきした後、図2に示すよう
な塗膜ブリスター(ふくれ)を評価した。図2中、N
o.2、4、6、8は、ふくれの大きさを表し、F、
M、MD、Dは、それぞれのブリスターの大きさに応じ
てその密度を表す。 ○:ブリスターなし △:ブリスターF(ASTM密度基準) ×:ブリスターM(ASTM密度基準) ××:ブリスターMD,D(ASTM密度基準)
【0099】(vii)上塗り耐食性 JIS 2371に従い塩水噴霧試験を、表2に示した
時間行って塗布面の錆を観察し、下記の評価基準に従っ
て評価した。亜鉛メッキ系(実施例9〜11及び比較例
5〜8)については、平面部耐食性を行った。 ◎:異常なし ○:若干の白錆あり △:塗布面の1/2に白錆あり ×:全面に白錆あり 鋼板(実施例8及び比較例4)については、実施例1〜
7及び比較例1〜3の評価方法の上塗り耐食性(カット
部耐食性)と同様に行った。 ◎:剥離なし ○:剥離2mm以下 △:剥離2〜5mm ×:剥離5mm以上 各評価結果は、表2に示した。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
【0102】
【発明の効果】本発明の水性コーティング組成物は、上
記組成を有するので、りん酸塩処理に代わる塗布下地用
水性コーティング組成物として使用すると、スラッジレ
ス、化成処理の省スペースを実現し、廃液処理も不要と
することができる。また、さらに上記組成物にワック
ス、メラミンシアヌレート等を添加して、潤滑防錆コー
ティング組成物、自動車用防錆コーティング組成物とし
て用いることにより、塗布下地クロメート処理が不要で
あり、耐食性、耐水性等に優れ、高度な加工性を保つこ
とができる塗装鋼板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ASTM、D610−68による表面錆発生状
態の評価の図。
【図2】ブリスター評価の図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 5/08 PPY PQE

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 りん酸基による酸価が5〜35である
    ビスフェノール型エポキシ樹脂のりん酸変性物100重
    量部、並びに、 オキサゾリン化合物、フェノール樹脂、及び、硬化開
    始温度が140℃以下であるメラミン樹脂からなる群よ
    り選択された少なくとも1種10〜500重量部を含有
    してなる組成物に、 ベンゼンスルホン酸誘導体、そのアミン塩及びそのア
    ンモニウム塩、ナフタレンスルホン酸誘導体、そのアミ
    ン塩及びそのアンモニウム塩、酸性りん酸アミン塩及び
    アンモニウム塩、並びに、ホスホン酸誘導体、そのアミ
    ン塩及びそのアンモニウム塩からなる群より選択された
    少なくとも1種からなる酸性触媒を前記組成物全体の
    0.1〜5重量%含有してなることを特徴とする水性コ
    ーティング組成物。
  2. 【請求項2】 硬化開始温度が140℃以下であるメラ
    ミン樹脂が、イミノ系メラミン樹脂、イミノメチロール
    系メラミン樹脂及びメチロール系メラミン樹脂からなる
    群より選択された少なくとも1種である請求項1記載の
    水性コーティング組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の水性コーティング
    組成物100重量部に、ポリウレタン樹脂エマルジョン
    10〜80重量部を含有してなることを特徴とする水性
    コーティング組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3記載の水性コーティ
    ング組成物100重量部に、導電率600μS/cm以
    下の防錆顔料及び微粒子シリカのうちの少なくとも1種
    1〜40重量部を含有してなることを特徴とする防錆コ
    ーティング組成物。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の防錆コーティング組成物
    100重量部に、ワックス3〜15重量部を含有してな
    ることを特徴とする潤滑防錆コーティング組成物。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の潤滑防錆コーティング組
    成物100重量部に、メラミンシアヌレート化合物0.
    05〜25重量部を含有してなることを特徴とする自動
    車用防錆コーティング組成物。
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