JPH0853490A - 2’−デオキシ−2’,2’−ジハロゲノ−4’−チオヌクレオシド - Google Patents

2’−デオキシ−2’,2’−ジハロゲノ−4’−チオヌクレオシド

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JPH0853490A
JPH0853490A JP6208095A JP20809594A JPH0853490A JP H0853490 A JPH0853490 A JP H0853490A JP 6208095 A JP6208095 A JP 6208095A JP 20809594 A JP20809594 A JP 20809594A JP H0853490 A JPH0853490 A JP H0853490A
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JP6208095A
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Yuichi Yoshimura
祐一 吉村
Kenji Kitano
健司 北濃
Akira Matsuda
彰 松田
Shinji Miura
信仕 三浦
Takuma Sasaki
琢磨 佐々木
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Yamasa Shoyu KK
Original Assignee
Yamasa Shoyu KK
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 糖部2’位に特定の置換基を有する4’−チ
オヌクレオシド類の合成法を確立するとともに、該方法
によって得られる新規で有用な化合物を提供する。 【構成】 式[I]で表される2’−デオキシ−2’,
2’−ジハロゲノ−4’−チオヌクレオシド、その製造
法ならびに当該化合物を含有する抗腫瘍用途に用いられ
る医薬組成物。 〔式中、Bはピリミジン塩基またはプリン塩基を示し、
1およびR2はハロゲンを示し、R3は水素、アシル基
またはリン酸残基を示す。〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、2’−デオキシ−
2’,2’−ジハロゲノ−4’−チオヌクレオシドに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、4’−チオヌクレオシドの合成ま
たは生物活性関しては、ロスウェル記念研究所及び/ま
たはパデュー大学のグループ(J.Org.Chem.,36,108-110
(1971)、J.Med.Chem.,17,535-537(1974)、J.Med.Chem.,
18,784-787(1975)、J.Org.Chem.,41,3831-3834(1976)、
Nucleic Acid Chemistry,1,317-323(1978))、サザン・
リサーチ研究所のグループ(J.Med.Chem.,34,2361-2366
(1991)、Nucleosides &nucleotides,12,841-846(199
3))、バーミンガム大学のグループ(J.Chem.Soc.Commu
n.,741-742(1991)、J.Med.Chem.,34,2782-2786(199
1))、岡山大学のグループ(J.Chem.Soc.Commun.,1421-
1422(1991)、Nucleic Acids Symposium Series,27,77-7
8(1992)、Nucleic Acids Symposium Series,29,37-39(1
993)、ChemistryLetters,255-256(1993)、日本薬学会第
113会講演要旨集、82頁、1993年)、モントペ
リール大学(Nucleosides & nucleotides,11,1467-1479
(1992)、Nucleosides & nucleotides,12,847-852(199
3))から報告がなされている。
【0003】また、上記の報告に加え、サザン・リサー
チ研究所からは特表平5ー500666号(WO91/
04033)およびWO91/16333の二つの特許
出願が、バーミンガム大学および/またはザ・ウエルカ
ム・ファンデーション・リミテッドからは特表平4ー5
06661号(WO91/01326)、特表平5ー5
05791号(WO91/04982)、特開平5ー1
70760号およびWO94/05687の4つの特許
出願がなされている。
【0004】さらに、上記以外のグループからも以下の
報告がなされている。 ・J.Am.Chem.Soc.,86,5658-5663(1964) ・J.Org.Chem.,33,189-192(1968) ・Can.J.Chem.,56,794-802(1978) ・Nucleosides & nucleotides,12,139-147(1993) ・WO92/06993 ・WO92/06102
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記報告書で報告され
ている4’−チオヌクレオシドの抗腫瘍活性は、抗腫瘍
剤として臨床上用いるためには必ずしも満足できるもの
ではなく、より優れた抗腫瘍活性を有する化合物を見い
だすことが要望されていた。最近、2’,2’−ジフル
オロデオキシシチジン(特公平5ー42438号、米国
特許4526998号、Cancer Research,48,4024-4031
(1988))が固形癌に対して優れた生物活性を示すことか
ら、その開発動向が注目されている。そこで、本発明者
らは、糖部2’位に特定の置換基を有する4’−チオヌ
クレオシド類の合成法を確立するとともに、該方法によ
って得られる新規で有用な化合物を提供することを目的
とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、本発明者らに
よって見いだされた新規な合成法により下記式[I]で
表される2’−デオキシ−2’,2’−ジハロゲノ−
4’−チオヌクレオシドを取得することに成功し、当該
化合物が優れた生物活性を有することを確認し、本願発
明を完成させた。すなわち、本発明は、下記式[I]で
表される2’−デオキシ−2’,2’−ジハロゲノ−
4’−チオヌクレオシドに関するものである。
【0007】
【化7】
【0008】〔式中、Bはピリミジン塩基またはプリン
塩基を示し、R1およびR2はハロゲンを示し、R3は水
素、アシル基またはリン酸残基を示す。〕 また、本発明は、上記式[I]で表される2’−デオキ
シ−2’,2’−ジハロゲノ−4’−チオヌクレオシド
と薬学的に許容される担体とを含有してなる医薬組成物
に関するものである。
【0009】さらに、本願発明は、下記の第1工程〜第
4工程よりなる、上記式[I]で表される2’−デオキ
シ−2’,2’−ジハロゲノ−4’−チオヌクレオシド
の製造法に関するものである。 第1工程;式[II]で表される化合物の2位および5
位の水酸基にスルホニル基を導入後、硫化物と反応させ
て式[III]で表される化合物を得る工程。
【0010】
【化8】
【0011】〔式中、R4はアルキル基、R5は水酸基の
保護基を示す。〕 第2工程;式[III]で表される化合物のラクトール
環を加水分解後、還元して式[IV]で表される化合物
を得る工程。
【0012】
【化9】
【0013】〔式中、R5は前記と同意義。〕 第3工程;式[IV]で表される化合物の5位水酸基を
保護した後、2位水酸基を酸化し、さらにハロゲン化剤
と反応させて式[V]で表される化合物を得る工程。
【0014】
【化10】
【0015】〔式中、R1、R2およびR5は前記と同意
義、R6は水酸基の保護基を示す。〕 第4工程;式[V]で表される化合物とBで表される塩
基類とを縮合反応に付し、糖部水酸基の保護基を除去
後、所望により糖部5’位水酸基にR3で表されるアシ
ルまたはリン酸残基を導入して式[I]で表される化合
物を得る工程。
【0016】
【化11】
【0017】〔式中、B、R1、R2、R3、R5およびR
6は前記と同意義。〕 以下、本発明について詳述する。
【0018】(1)本発明の化合物 本発明化合物は、前記式[I]で表されるものであり、
式中のB、R1、R2およびR3は前記定義のとおりであ
る。Bで表されるピリミジン塩基としては、ウラシル、
チミン、シトシンなどの天然の核酸塩基はもとより、ア
ザピリミジン塩基(5−アザピリミジン、6−アザピリ
ミジンなど)およびデアザピリミジン塩基(3−デアザ
ピリミジンなど)も包含するものであり、さらにこれら
塩基の任意の箇所に1つまたは複数個の置換基〔低級ア
ルキル(炭素数1〜5)、ハロゲン、ハロゲン化低級ア
ルキル、アミノ、アシル(炭素数1〜20、好ましくは
炭素数10〜20)など〕が導入されたものであっても
よい。また、Bで表されるプリン塩基としては、アデニ
ン、グアニン、ヒポキサンチンなどの天然の核酸塩基は
もとより、アザプリン塩基(8−アザプリン、2−アザ
プリンなど)およびデアザプリン塩基(3−デアザプリ
ン、7−デアザプリンなど)も包含するものであり、さ
らにこれら塩基の任意の箇所に1つまたは複数個の置換
基〔低級アルキル(炭素数1〜5)、ハロゲン、アミ
ノ、アシル(炭素数1〜20、好ましくは炭素数10〜
20)など〕が導入されたものであってもよい。
【0019】R1およびR2で表されるハロゲンとして
は、同一でも相違していてもよく、フッ素、ヨウ素、臭
素、塩素を挙げることができる。R3で表されるアシル
基としては、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイ
ル、ステアロイルなどの炭素数1〜20(好ましくは炭
素数10〜20)のアシルを例示することができ、この
アシル基は直鎖状、分岐状のいずれのものであってもよ
く、さらに不飽和結合を有するものであってもよい。ま
た、R3で表されるリン酸残基としては、通常のモノリ
ン酸残基、ジリン酸残基、トリリン酸残基はもとより、
ミリスチルリン酸残基、パルミチルリン酸残基、ステア
リルリン酸残基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素
数10〜20)のアルキルを有するアルキルリン酸残
基、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロー3ーリ
ン酸残基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数10
〜20)のアシルを有するホスファチジル残基をも包含
するものである。
【0020】本発明の化合物は、塩、水和物または溶媒
和物の形態であってもよい。そのような塩としては、無
機酸(塩酸、硫酸、リン酸など)または有機酸(フマル
酸、酒石酸、コハク酸など)との酸付加塩、ナトリウム
塩、カリウム塩、リチウム塩などのアルカリ金属塩、カ
ルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属
塩、またはアンモニウム塩などを例示することができ
る。このような塩を医薬組成物の使用する場合には、薬
学的に許容される塩が好ましい。また、水和物または溶
媒和物としては、本発明の化合物またはその塩1分子に
対し、0.1〜3.0分子の水または溶媒が付着したも
のを例示することができる。さらに、本発明の化合物に
は、α体、β体、互変異性体などの各種異性体も包含さ
れうる。
【0021】このような本発明の化合物のうち、以下の
a〜iの条件の少なくとも1つを満足する化合物が好ま
しい化合物として例示される。 a:Bがピリミジン塩基である b:Bがシトシンである c:BがN4−アシルシトシンである d:R1およびR2がフッ素である e:R3が水素である f:R3がアシルである g:R3がリン酸残基である h:塩の形態である i:水和物の形態である j:β体である
【0022】さらに好ましい化合物としては、以下のk
〜nの条件のいずれか1つを満足するものである。 k:Bがシトシンで、R1およびR2はフッ素であり、R
3は水素である l:Bがシトシンで、R1およびR2はフッ素であり、R
3はアシルである m:Bがシトシンで、R1およびR2はフッ素であり、R
3はリン酸残基である n:BがN4−アシルシトシンで、R1およびR2はフッ
素であり、R3は水素である
【0023】(2)本発明化合物の製造法 本発明の化合物は、以下に説明する4工程により製造す
ることができる。 第1工程;本発明の第1工程は、式[II]で表される
化合物の2位および5位の水酸基にスルホニル基を導入
後、硫化物と反応させて式[III]で表される化合物
を得る工程である。
【0024】
【化12】
【0025】〔式中、R4はアルキル基、R5は水酸基の
保護基を示す。〕 本発明方法における原料化合物は、式[II]で表され
るキシロース誘導体(以下、原料化合物と称することも
ある)である。R4で表されるアルキル基としては、メ
チル、エチルなどの炭素数1〜3程度の低級アルキル基
およびベンジル、メトキシベンジルなどの置換もしくは
非置換のベンジル基を挙げることができる。R5で表さ
れる水酸基の保護基としては、通常使用されるものであ
ればよく、アルキル基、シリル基、アシル基などを例示
することができる。より具体的に、アルキル基としては
4と同様なものを挙げることができる。また、シリル
基としてはt−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフ
ェニルシリルなどを、アシル基としてはアセチル、ベン
ゾイル、ピバロイルなどをそれぞれ例示することができ
る。このような原料化合物は、公知の方法(Tetrahedro
n, 37, 2379-2382 (1981))により調製することができ
る。
【0026】式[II]で表される化合物の2位および
5位の水酸基に導入するスルホニル基としては、メシル
基またはトシル基を例示することができる。メシル化お
よびトシル化反応は、常法に従って行えばよい。たとえ
ば、メシル化反応は、トリエチルアミンなどの塩基存在
下、塩化メチレン、アセトニトリル、ジメチルホルムア
ミド、ピリジンなどの有機溶媒中(ただし、ピリジンを
使用する場合には、必ずしもトリエチルアミンなどの塩
基を共存させなくてもよい。)、原料化合物1モルに対
して2〜10モル、好ましくは2〜4モルのハロゲン化
メシル(たとえば、塩化メシルなど)を用い、原料化合
物とハロゲン化メシルとを0〜100℃で0.5〜5時
間程度攪拌反応させることにより実施することができ
る。また、反応は、アルゴン、窒素などの不活性ガス雰
囲気下で行うのが好ましい。
【0027】引き続き、このようにして得られた化合物
と硫化物とを反応させ、式[III]で表される化合物
を得る。反応に使用する硫化物としては、硫化ナトリウ
ム、硫化カリウム等の硫化金属(好ましくは、硫化アル
カリ金属)であれば特に限定されない。反応は、必要に
応じてアルゴンまたは窒素などの不活性ガス雰囲気下、
ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの有
機溶媒中、原料化合物1モルに対して1〜20モルの硫
化物を使用し、室温〜150℃で0.5〜5時間程度攪
拌反応させることにより実施することができる。このよ
うにして得られた式[III]の化合物の単離精製は、
通常の糖類の分離精製手段を適宜選択して用いればよ
く、たとえば酢酸エチルと水で分配後、シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーに付し、n−ヘキサン−酢酸エチ
ルなどの混合有機溶媒で溶出することにより単離精製す
ることができる。
【0028】第2工程;本発明の第2工程は、式[II
I]で表される化合物のラクトール環を加水分解後、還
元して式[IV]で表される化合物を得る工程である。
【0029】
【化13】
【0030】〔式中、R5は前記と同意義。〕 加水分解法としては、式[III]で表される化合物の
ラクトール環を加水分解できる方法であれば特に制限さ
れるものではないが、特に、酸触媒を用いる加水分解法
が好ましい。酸触媒としては、塩酸、硫酸等の無機酸、
酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸を使用することがで
きる。加水分解反応は、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ンなどの水溶性エーテル系溶媒中、上記酸触媒存在下、
室温〜100℃で0.5〜5時間程度攪拌反応させるこ
とにより実施することができる。
【0031】次に、このようにして得られた化合物を還
元反応に付して式[IV]で表される化合物を得る。還
元剤としては、テトラヒドロホウ酸ナトリウム(水素化
ホウ素ナトリウム)、テトラヒドロホウ酸カリウムなど
のテトラヒドロホウ酸塩を使用することができる。還元
反応は、メタノールなどのアルコール溶媒中、式[II
I]で表される化合物1モルに対し、還元剤0.2〜1
0モルを用い、0〜100℃で0.5〜3時間程度攪拌
反応させることにより実施できる。
【0032】このようにして得られた式[IV]の化合
物の単離精製は、通常の糖の単離精製手段を適宜応用す
ればよく、たとえば反応終了後の反応液を中和し、有機
溶媒を留去後、クロロホルムで抽出し、シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーで処理することにより目的化合物
を単離精製することができる。
【0033】第3工程;本発明の第3工程は、式[I
V]で表される化合物の5位水酸基を保護した後、2位
水酸基を酸化し、さらにハロゲン化剤と反応させて式
[V]で表される化合物を得る工程である。
【0034】
【化14】
【0035】〔式中、R1、R2およびR5は前記と同意
義、R6は水酸基の保護基を示す。〕 5位水酸基の保護基としては、水酸基の保護基として常
用されているものであれば特に限定されない。たとえ
ば、ベンジル、メトキシベンジル、ジメトキシベンジル
などのベンジル系保護基、t−ブチルジメチルシリル、
t−ブチルジフェニルシリル、トリエチルシリルなどの
シリル系保護基、メトキシメチル、メトキシエトキシエ
チル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどの
エーテル系保護基、トリチル、モノメトキシトリチル、
ジメトキシトリチルなどのトリチル系保護基、アセチ
ル、ベンゾイル、ピバロイルなどのアシル基などが例示
される。また、3位水酸基の保護基を除去し、テトライ
ソプロピルジシロキシル基などの2つの水酸基を同時に
保護できる保護基を用いての3位および5位の水酸基を
保護してもかまわない。
【0036】保護基の導入は、使用する保護基で汎用さ
れている方法に準じて行えばよい。たとえば、シリル系
保護基を導入する場合、ピリジン、ピコリン、ジメチル
アミノピリジン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリ
ル、塩化メチレンなどの単独または混合溶媒中、式[I
V]の化合物1モルに対し、t−ブチルジフェニルシリ
ルクロリドなどのシリル化剤を1〜10モル、必要に応
じてイミダゾールなどの塩基触媒を1〜5モル加え、−
10〜50℃で1〜36時間反応させることにより保護
基を導入することができる。
【0037】このようにして得られた化合物を酸化反応
及びハロゲン化反応に付して式[V]で表される化合物
を得る。酸化反応に使用する酸化剤としては、無水クロ
ム酸、ピリジンおよび無水酢酸の複合試薬、ピリジウム
クロロクロメート、ピリジウムジクロメートなどのクロ
ム系酸化剤、デス−マーチン(Dess−Martin)試薬など
の高原子価ヨウ素酸化剤、ジメチルスルホキシドと無水
酢酸、塩化オキザリルまたはジシクロヘキシカルボジイ
ミドとを組み合わせて用いるジメチルスルホキシド(D
MSO)系酸化剤などを列挙することができる。酸化反
応は、たとえば、ジメチルスルホキシドと無水酢酸とを
用いて行なう場合、ジメチルスルホキシド中、必要によ
りアルゴンまたは窒素などの不活性ガス気流下、式[I
V]で表される化合物1モルに対して無水酢酸2〜50
0モル、好ましくは5〜50モルを用い、反応温度0〜
50℃で1〜24時間程度攪拌反応させることにより実
施できる。
【0038】ハロゲン化反応に使用するハロゲン化剤と
しては、導入するハロゲンに応じ、通常の入手可能なハ
ロゲン化剤の中から適宜選択して使用すればよい。その
中でも、特にR1およびR2がフッ素である化合物を合成
する場合には、ハロゲン化剤としてはジエチルアミノサ
ルファ−トリフルオリドなどのジアルキルアミノサルフ
ァ−トリフルオリド(DAST)を使用するのが好まし
い。DASTを用いる場合の反応は、ベンゼン、トルエ
ン、塩化メチレンまたはジクロロエタンなどの溶媒中、
必要によりアルゴンまたは窒素などの不活性ガス気流
下、式[IV]で表される化合物1モルに対してDAS
T1〜50モル、好ましくは2〜10モルを用い、反応
温度−20〜50℃で1〜24時間程度攪拌反応させる
ことにより実施できる。
【0039】このようにして得られた式[V]の化合物
は、通常の糖の単離精製手段を適宜選択して行えばよ
く、例えば、反応終了後の反応液を中和後、酢酸エチル
により抽出し、溶媒を留去してからシリカゲルカラムク
ロマトグラフィーに付すことにより目的化合物を単離精
製することができる。
【0040】第4工程;本発明の第4工程は、式[V]
で表される化合物とBで表される塩基類とを縮合反応に
付し、糖部水酸基の保護基を除去後、所望により糖部
5’位水酸基にR3で表されるアシルまたはリン酸残基
を導入して式[I]で表される化合物を得る工程であ
る。
【0041】
【化15】
【0042】〔式中、B、R1、R2、R3、R5およびR
6は前記と同意義。〕 式[V]で表される化合物とBで表される塩基類との縮
合は、式[V]の化合物を適当な酸化剤を用いてスルホ
キシドに誘導後、ルイス酸触媒存在下、これをシリル化
したBで表される塩基類とのプンメラー(Pummere)型
転移反応に付すことにより行うことができる。スルホキ
シドへの誘導は常法に従って行えばよく、たとえば、塩
化メチレン、アルコール(たとえば、メタノールなど)
などの有機溶媒中、必要によりアルゴンあるいは窒素な
どの不活性ガス気流下、式[V]で表される化合物1モ
ルに対してm−クロロ過安息香酸、メタ過ヨウ素酸ナト
リウムなどの酸化剤0.5〜5モル使用し、−100〜
10℃で10分〜2時間程度反応させることにより実施
できる。
【0043】プンメラー型転移反応に使用するルイス酸
としては、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシ
リル(トリメチルシリルトリフラート)、四塩化すず、
四塩化チタン、塩化亜鉛、三フッ化ホウ素などが例示さ
れる。プンメラー型転移反応によるグリコシル化は、塩
化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、アセトニ
トリル、ジメチルホルムアミドなどの有機溶媒中、必要
によりアルゴンあるいは窒素などの不活性ガス気流下、
上記スルホキシド1モルに対して常法によりシリル化し
たBで表される塩基類1〜10モルとルイス酸0.1〜
10モルとを用い、−50〜100℃で10分〜2時間
程度反応させることにより実施することができる。
【0044】次に、このようにして得られたヌクレオシ
ドの糖部3’位および5’位水酸基の保護基を除去して
3が水素の化合物を得る。水酸基の保護基の脱保護
は、使用した保護基に応じて酸性加水分解、アルカリ性
加水分解、フッ化テトラブチルアンモニウム処理、接触
還元などの通常の処理方法から適宜選択して行なえばよ
い。特に、保護基がベンジル系保護基の場合には、三塩
化ホウ素を用いる脱保護法が好ましく、たとえば、塩化
メチレンなどの有機溶媒中、必要によりアルゴンまたは
窒素などの不活性ガス気流下、−100℃〜室温で10
分〜2時間程度反応させればよい。なお、R5で表され
る保護基はプンメラー型転移反応においては必ずしも必
要ではないため、該反応を行なう前、たとえば式[V]
の化合物をスルホキシドに誘導する前に脱保護しておい
ても差し支えない。
【0045】また、R3がアシル基である化合物、また
は塩基部にアシル基を導入した化合物を得る場合には、
上記で得られたR3が水素の化合物(このものは塩基部
にアシル基を有していない)とアシル化剤とを常法によ
り反応させることにより調製することができる(特開平
2ー256698号参照)。さらに、R3がモノリン酸
残基、ジリン酸残基などのリン酸残基である化合物を得
る場合、上記で得られたR3が水素の化合物とオキシ塩
化リン、テトラクロロピロリン酸などのヌクレオシドの
5’位の選択的なリン酸化に使用されるリン酸化剤とを
反応させて、常法により遊離酸型または塩型の目的化合
物を得ることができる。
【0046】さらにまた、R3がアルキルリン酸残基ま
たはホスファチジル残基である化合物を得る場合には、
上記で得られたR3が水素の化合物もしくはR3がモノリ
ン酸残基またはジリン酸残基の化合物を用い、公知の方
法(特開昭55ー2601号、特開昭63ー83093
号、特開平2ー157292号、特開平4ー21694
号など参照)に準じて行えばよい。
【0047】このようにして得られた本発明の化合物
は、一般のヌクレオシド、ヌクレオチドの単離精製に使
用されている方法(たとえば、再結晶法、イオン交換カ
ラムクロマトグラフィー、吸着カラムクロマトグラフィ
ーなど)を適宜組み合せて分離精製することができる。
このようにして得られた化合物は、必要に応じて塩型と
することもできる。
【0048】(3)本発明の化合物の用途 本発明の化合物は、腫瘍、特に癌の予防または治療に有
用であり、各種腫瘍の予防または治療のために、ヒトに
経口、非経口、経腸、局所投与などのいずれの経路によ
っても投与することができる。投与量は、患者の年齢、
病態、体重などによって適宜決定されるが、通常は1日
当たり0.0001〜10000mg/kg体重、好ま
しくは0.01〜1000mg/kg体重の範囲内から
選ばれ、一回または複数回に分けて投与される。
【0049】本発明の化合物の製剤化に際しては、通常
使用される製剤用担体、賦形剤、その他の添加剤を含む
組成物として使用するのが普通である。担体としては、
乳糖、カオリン、ショ糖、結晶セルロース、コーンスタ
ーチ、タルク、寒天、ペクチン、ステアリン酸、ステア
リン酸マグネシウム、レシチン、塩化ナトリウムなどの
個体状担体、グリセリン、落花生油、ポリビニルピロリ
ドン、オリーブ油、エタノール、ベンジルアルコール、
プロピレングリコール、水などの液状担体を例示するこ
とができる。剤型としては任意の形態を採ることがで
き、たとえば個体状担体を使用する場合には錠剤、散
剤、顆粒剤、カプセル化剤、座剤、トローチ剤などを、
液状担体を使用する場合にはシロップ、乳液、軟ゼラチ
ンカプセル、クリーム、ゲル、ペースト、スプレー、注
射などをそれぞれ例示することができる。
【0050】
【発明の効果】本発明化合物は、優れた抗腫瘍作用を有
し、制ガン剤としての開発が期待されるものである。
【0051】
【実施例】以下、本発明を実施例をあげて具体的に説明
するが、本発明はこれらによって何等限定されるもので
はない。 実施例1:2’−デオキシ−2’,2’−ジフルオロ−
4’−チオシチジン[式[I]B=シトシン、R1=R2
=F,R3=H]の合成 1)2,5−アンヒドロ−3−O−ベンジル−1−O−
メチル−2−チオ−β−D−アラビノフラノース[式
[III]、R4=Me、R5=Bn]の合成 3−O−ベンジル−1−O−メチル−β−D−キシロフ
ラノース[式[II]、R4=Me、R5=Bn]6.9
3gを溶解したピリジン溶液80mlに氷冷下、塩化メ
タンスルホニル6.33mlを加え、アルゴン気流下、
室温で1時間攪拌した。氷水を加えて反応を停止後、溶
媒を留去した。残渣を酢酸エチル−水により分配後、有
機層を乾燥した。溶媒を留去後、残渣をジメチルホルム
アミド(DMF)100mlに溶解し、硫化ナトリウム
9.84gを加え、アルゴン気流下、100℃で1時間
攪拌した。溶媒を留去後、残渣を酢酸エチル−水で分配
し、有機層を更に水で洗浄した後、乾燥した。溶媒を留
去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによ
り精製し、5〜10%酢酸エチル−n−ヘキサンで溶出
された部分を集めて濃縮し、目的物5.05g(収率7
3%)を得た。
【0052】1H−NMR(CDCl3)δ 7.36−
7.29(5H,m,65 CH2),4.89(1
H,s,H−1),4.62(1H,d,C65
2 ,J=11.7Hz),4.52−4.48(2
H,m,C65 CH2 and H−3),4.37−
4.36(1H,m,H−4),3.34(4H,s,
OMeand H−2),3.04(1H,dd,H−
5a,J=10.3,2.0Hz),2.77(1H,
dd,H−5b,J=10.3,1.5Hz)
【0053】2)2,5−アンヒドロ−3−O−ベンジ
ル−1−O−メチル−2−チオ−α−D−アラビノフラ
ノース[式[III]、R4=Me、R5=Bn]の合成 3−O−ベンジル−1−O−メチル−α−D−キシロフ
ラノース[式[II]、R4=Me、R5=Bn]6.1
3gを上記1)と同様の操作を行ない、目的物4.75
g(収率42%)を得た。1 H−NMR(CDCl3)δ7.39−7.30(5
H,m,6 5CH2),5.13(1H,d,H−
1,J=2.4Hz),4.66(1H,d,C65
2 ,J=11.7Hz),4.53(1H,d,C6
5 CH2 ),4.36−4.35(1H,brm,H−
4),4.29(1H,t,H−3,J=2.4H
z),3.51(1H,t,H−2,J=2.4H
z),3.47(3H,s,OMe),3.04(1
H,dd,H−5a,J=10.5,2.2Hz),
2.95(1H,dd,H−5b,J=10.5,1.
2Hz)
【0054】3)3−O−ベンジル−1−デオキシ−4
−チオ−D−アラビノフラノース[式[IV]、R5
Bn]の合成 2,5−アンヒドロ−3−O−ベンジル−1−O−メチ
ル−2−チオ−D−アラビノフラノース9.50g
(α:β=1:1)をテトラヒドロフラン(THF)2
00mlに溶解し、これに4NHCl 100mlを加
え、室温で1時間攪拌した。固体の炭酸水素ナトリウム
を用いて反応液を中和し、不溶物をろ去した後、減圧下
THFを留去した。クロロホルムで3回抽出操作を行な
い、有機層を乾燥した。溶媒を留去した後、残渣をメタ
ノール150mlに溶解し、氷冷下、水素化ホウ素ナト
リウム1.43gを含むメタノール溶液を滴下、滴下後
氷冷下45分攪拌した。反応液を酢酸により中和した
後、溶媒を留去し、クロロホルム−水で分配した。水層
をクロロホルムで2回抽出し、有機層を乾燥した。溶媒
を留去した後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィーに付し、33〜50%酢酸エチル−n−ヘ
キサンにより溶出された部分を濃縮し、3−O−ベンジ
ル−1−デオキシ−4−チオ−D−アラビノフラノース
8.18g(収率90%)を得た。
【0055】1H−NMR(CDCl3−D2O)δ7.
38−7.27(5H,m,65 CH2),4.64
(2H,s,C65 CH 2),4.38(1H,dt,
H−2,J=2.9,4.4Hz),3.96(1H,
t,H−3,J=2.9Hz),3.78(1H,d
d,H−5a,J=2.9,11.7Hz),3.66
(1H,dd,H−5b,J=3.9,11.7H
z),3.60(1H,dt,H−4,J=2.9,
3.9Hz),3.21(1H,dd,H−1a,J=
4.4,11.2Hz),2.90(1H,dd,H−
1b,J=2.9,11.2Hz)
【0056】4)3−O−ベンジル−5−O−t−ブチ
ルジフェニルシリル−1,2−ジデオキシ−2,2−ジ
フルオロ−4−チオ−D−エリスロペントフラノース
[式[V]、R1=R2=F、R5=Bn、R6=t−Bu
(Ph)2Si]の合成 3−O−ベンジル−1−デオキシ−4−チオ−D−アラ
ビノフラノース1.11gとイミダゾール330mgを
DMF30mlに溶解し、氷冷下、t−ブチルジフェニ
ルシリルクロリド(TBDPSCl)1.26mlを加
え、アルゴン気流下、0℃で一晩攪拌した。水を加えし
ばらく室温で攪拌した後、溶媒を留去し、残渣を酢酸エ
チル−水で分配後、有機層を更に水で洗浄し、乾燥し
た。溶媒を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィーにより精製し、2〜4〜10%酢酸エチル−n
−ヘキサンにより溶出された部分を濃縮し、5−シリル
体1.92g(収率86%)を得た。
【0057】この5−シリル体2.00gをDMSO
22mlに溶解し、これに無水酢酸11mlを加え、室
温で5.5時間攪拌した。この溶液を水で希釈し、エー
テルで抽出後、有機層を3回水洗し、更に飽和炭酸水素
ナトリウム溶液で2回分配し、無水硫酸マグネシウムで
乾燥した。溶媒を留去した後、残渣をシリカゲルカラム
クロマトグラフィーにより精製し、6〜9%酢酸エチル
−n−ヘキサンにより要出された部分を濃縮し、2−ケ
ト体1.75g(88%)を得た。2−ケト体1.75
gをベンゼン11mlに溶解し、アルゴン気流下、0℃
においてジエチルアミノサルファ−トリフルオリド2m
lを含むベンゼン溶液(11ml)中に滴下した。室温
で5時間攪拌した後、氷水上に注ぎエーテルで抽出し
た。有機層を水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、
減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィーにより精製し、0.3〜0.5%酢酸エチ
ル−n−ヘキサンにより溶出された部分を濃縮し、目的
物0.876g(収率48%)を得た。
【0058】1H−NMR(CDCl3)δ7.66−
7.60(4H,m,65 CH2),7.47−7.
27(11H,m,65 CH2),4.80(1H,
d,C65 CH2,J=12Hz),4.62(1
H,d,C65 CH2,J=12Hz),4.12−
4.04(1H,m,H−3),3.77(1H,dd
d,H−5a,J=1.5,7.0,11.0Hz),
3.66(1H,ddd,H−5b,J=1.0,7.
0,11.0Hz),3.55−3.48(1H,m,
H−4),3.27(1H,dt,H−1a,J=1
2.0,16.0Hz),3.11(1H,dd,H−
1b,J=12.0,25.0Hz),1.04(9
H,s,t−Bu)
【0059】5)2’−デオキシ−2’,2’−ジフル
オロ−4’−チオシチジン[式[I]B=シトシン、R
1=R2=F,R3=H]の合成 3−O−ベンジル−5−O−t−ブチルジフェニルシリ
ル−1,2−ジデオキシ−2,2−ジフルオロ−4−チ
オ−D−エリスロペントフラノース0.2gを塩化メチ
レン4.5mlに溶解し、アルゴン気流下−78℃に冷
却し、80%m−クロロ過安息香酸87mgを溶解した
塩化メチレン溶液を滴下した。30分間攪拌した後、飽
和炭酸水素ナトリウム溶液を加えて反応を停止後、室温
に戻しクロロホルムで抽出、有機層を乾燥した。溶媒を
留去し、残渣をジクロロエタン7.5mlに溶解し、シ
リル化したN4−アセチルシトシン(N4−アセチルシト
シン184mgを触媒量の硫酸アンモニウムとともにヘ
キサメチルジシラザン中、5時間還流することにより調
製)、トリメチルシリルトリフレート0.155mlを
加え0℃で30分間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム
溶液を加え、不溶物をセライトろ過し、クロロホルムで
3回抽出し有機層を乾燥した。ろ液を減圧下濃縮し、残
渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製
し、33%酢酸エチル−n−ヘキサンで溶出した後、2
%メタノール−n−クロロホルムで溶出された部分を集
め、濃縮し、グルコシル体121mg(収率47%)を
得た。
【0060】得られたグリコシル体50mgを塩化メチ
レン0.54mlに溶解し、これにアルゴン気流下、−
78℃において1Mトリクロロボラン0.23mlを滴
下し、−78℃で3時間攪拌した。更に、1Mトリクロ
ロボラン0.54mlを滴下し、−78℃で5時間攪拌
した。ピリジン0.18ml、メタノール0.36ml
を加え、−78℃で更に30分間攪拌後、室温に戻し
た。溶媒を留去後、メタノールで3回共沸し、残渣をp
−TLC(クロロホルム−メタノール=15:1により
展開)により精製し、19mg(44%)の脱ベンジル
体を得た。脱ベンジル体99mgをTHF4mlに溶解
し、1Mテトラブチルアンモニウムフルオライド0.3
6mlを加え、室温で1.5時間攪拌した。溶媒を留去
し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより
精製し、6%メタノール−クロロホルムで溶出された部
分を集め、濃縮し、得られた化合物をメタノール5ml
に溶解し、濃アンモニア水5mlを加え、室温で一晩攪
拌した。溶媒を留去し、残渣をODSクロマトグラフィ
ーにより精製し、更に、α体とβ体をHPLCにより分
取し、精製したα体19mg(38%)、β体10mg
(20%)をそれぞれ得た。
【0061】α体:1H−NMR(DMSO−d6)δ
7.85(1H,dd,H−6,J=2.5,8.0H
z),7.36(2H,bd,NH2),6.58(1
H,dd,H−1’,J=9.5,13.5Hz),
6.38(1H,bs,3’−OH),5.83(1
H,d,H−5,J=8.0Hz),5.18(1H,
bs,5’−OH),4.27−4.16(1H,m,
H−3’),3.84−3.48(3H,m,H−5’
and 4’)
【0062】β体:1H−NMR(DMSO−d6)δ
8.05(1H,d,H−6,J=7.5Hz),7.
35(2H,bd,NH2),6.36(1H,dd,
H−1’,J=3.5,12.0Hz),6.36(1
H,bs,3’−OH),5.82(1H,d,H−
5,J=7.5Hz),5.40(1H,bs,5’−
OH),4.16−4.04(1H,m,H−3’),
3.83−3.65(2H,m,H−5’),3.25
−3.16(1H,m,H−4’)

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式[I]で表される2’−デオキシ−
    2’,2’−ジハロゲノ−4’−チオヌクレオシド。 【化1】 〔式中、Bはピリミジン塩基またはプリン塩基を示し、
    1およびR2はハロゲンを示し、R3は水素、アシル基
    またはリン酸残基を示す。〕
  2. 【請求項2】 Bがピリミジン塩基である、請求項1記
    載の化合物。
  3. 【請求項3】 Bがシトシンである、請求項1記載の化
    合物。
  4. 【請求項4】 BがN4−アシルシトシンである、請求
    項1記載の化合物。
  5. 【請求項5】 R1およびR2がフッ素である、請求項1
    記載の化合物。
  6. 【請求項6】 R3が水素である、請求項1記載の化合
    物。
  7. 【請求項7】 R3がアシルである、請求項1記載の化
    合物。
  8. 【請求項8】 R3がリン酸残基である、請求項1記載
    の化合物。
  9. 【請求項9】 Bがシトシンで、R1およびR2はフッ素
    であり、R3は水素である、請求項1記載の化合物。
  10. 【請求項10】 Bがシトシンで、R1およびR2はフッ
    素であり、R3はアシルである、請求項1記載の化合
    物。
  11. 【請求項11】 Bがシトシンで、R1およびR2はフッ
    素であり、R3はリン酸残基である、請求項1記載の化
    合物。
  12. 【請求項12】 BがN4−アシルシトシンで、R1およ
    びR2はフッ素であり、R3は水素である、請求項1記載
    の化合物。
  13. 【請求項13】 請求項1〜12のいずれか一項に記載
    の2’−デオキシ−2’,2’−ジハロゲノ−4’−チ
    オヌクレオシドと薬学的に許容される担体とを含有して
    なる医薬組成物。
  14. 【請求項14】 抗腫瘍用途に使用する、請求項13記
    載の医薬組成物。
  15. 【請求項15】 下記の第1工程〜第4工程よりなる、
    式[I]で表される2’−デオキシ−2’,2’−ジハ
    ロゲノ−4’−チオヌクレオシドの製造法。 【化2】 〔式中、Bはピリミジン塩基またはプリン塩基を示し、
    1およびR2はハロゲンを示し、R3は水素、アシル基
    またはリン酸残基を示す。〕 第1工程;式[II]で表される化合物の2位および5
    位の水酸基にスルホニル基を導入後、硫化物と反応させ
    て式[III]で表される化合物を得る工程。 【化3】 〔式中、R4はアルキル基、R5は水酸基の保護基を示
    す。〕 第2工程;式[III]で表される化合物のラクトール
    環を加水分解後、還元して式[IV]で表される化合物
    を得る工程。 【化4】 〔式中、R5は前記と同意義。〕 第3工程;式[IV]で表される化合物の5位水酸基を
    保護した後、2位水酸基を酸化し、さらにハロゲン化剤
    と反応させて式[V]で表される化合物を得る工程。 【化5】 〔式中、R1、R2およびR5は前記と同意義、R6は水酸
    基の保護基を示す。〕 第4工程;式[V]で表される化合物とBで表される塩
    基類とを縮合反応に付し、糖部水酸基の保護基を除去
    後、所望により糖部5’位水酸基にR3で表されるアシ
    ルまたはリン酸残基を導入して式[I]で表される化合
    物を得る工程。 【化6】 〔式中、B、R1、R2、R3、R5およびR6は前記と同
    意義。〕
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