JPH08510287A - フルオロポリマーで改質した無水物−エポキシ被覆材組成物 - Google Patents
フルオロポリマーで改質した無水物−エポキシ被覆材組成物Info
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Abstract
(57)【要約】
自動車およびトラック用の仕上げ剤で用いるに有用な改良された被覆材組成物であって、この組成物に入れるフィルム形成結合剤は反応性を示す結合剤成分を含み、この結合剤成分はおおよそ、(a)(i)エチレン系不飽和無水物または無水物に変化させたエチレン系不飽和ジカルボン酸と(ii)アルキル基が1−12個の炭素原子を有するメタアクリル酸アルキル、アクリル酸アルキルおよびそれらの混合物から成る群から選択されるモノマー単位との重合モノマー単位を含みそして反応性を示す無水物基を少なくとも2個有していて重量平均分子量が約2,000−50,000であるアクリル系無水物ポリマーを結合剤の重量を基準にして25−90重量%、(b)反応性を示すオキシラニル基を少なくとも2個有するオキシラニル成分を5−30重量%、(c)炭素原子数が少なくとも4のパーフルオロカーボン基を有する少なくとも1種のモノマーから誘導されそして成分(a)および/または成分(b)と反応し得る官能基を少なくとも1個有するフッ化ポリマーを1−30重量%、(d)硬化用触媒を有効量含み、ここで、成分(a)、(b)および(c)は個別の成分であり、そして水酸基および/または酸官能性を含んでいてもよいアクリル系、ポリエステルおよびポリエステルウレタン樹脂から成る群から選択される1種以上の樹脂を結合剤の重量を基準にして約5−30重量%含む任意の成分(e)で出来ている。
Description
【発明の詳細な説明】
フルオロポリマーで改質した無水物−エポキシ被覆材組成物
発明の背景
本発明は耐久性を改良する目的でフルオロポリマーで改質した無水物−エポキ
シ被覆材組成物に関する。
自動車およびトラックの仕上げで利用できる幅広く多様な多成分系被覆材組成
物が存在している。無水物および/またはエポキシ組成物を含む多様な被覆材組
成物が知られている。例えば米国特許第4,906,677号には、アクリル系
無水物ポリマー、グリシジル成分およびホスホニウム触媒を含む組成物が開示さ
れている。
フッ化ポリマー類を含む被覆材組成物も知られている。例えば米国特許第4,
581,412号には、フッ化ビニリデンと他の官能エチレン系不飽和モノマー
類(これもまたフッ化物であってもよい)とのコポリマー類を含む室温硬化用被
覆材組成物が開示されており、ここでの官能基はカルボキシル、水酸基およびグ
リシジルから選択される。
自動車およびトラックまたはそれらの部品用の被覆材組成物が示す耐久性を改
良する必要性が存在している。耐久性の重要な面は環境抵抗力である。本発明は
優れた環境抵抗力を示す高品質仕上げ剤を提供する。上記被覆材組成物はこれを
塗布する基質に優れた接着性を示し、良好な屋外耐候性を示し、良好な腐食およ
びきず抵抗力を示すと共に、良好な光沢を示す。
発明の要約
本発明は、結合剤成分(a)、(b)、(c)および(d)を20−80重量
%および液状有機溶媒を80−20重量%含む被覆材組成物で
あり、ここで、上記結合剤成分は、結合剤の重量を基準にして、
(a)(i)エチレン系不飽和無水物または無水物に変化させたエチレン系
不飽和ジカルボン酸と(ii)アルキル基が1−12個の炭素原子を有するメタ
アクリル酸アルキル、アクリル酸アルキルおよびそれらの混合物から成る群から
選択されるモノマー単位との重合モノマー単位を含みそして反応性を示す無水物
基を少なくとも2個有していて重量平均分子量が約2,000−50,000で
あるアクリル系無水物ポリマーを結合剤の重量を基準にして25−90重量%、
(b)反応性を示すオキシラニル基を少なくとも2個有するオキシラニル成
分を5−30重量%、
(c)炭素原子数が少なくとも4のパーフルオロカーボン基を少なくとも1
個有しそして成分(a)および/または成分(b)と反応し得る官能基を少なく
とも1個有するフッ化ポリマーを1−30重量%、
(d)硬化用触媒を有効量、
含み、ここで、成分(a)、(b)および(c)は個別の成分であり、そして
水酸基および/または酸官能性を含んでいてもよいアクリル系、ポリエステ
ルおよびポリエステルウレタンから成る群から選択される1種以上の樹脂を結合
剤の重量を基準にして5−30重量%含む任意の成分(e)、
を含む。この結合剤成分にまた酸無水物の半エステルを結合剤の約2から25重
量%、好適には4−12重量%の量で含めてもよい。
本発明の好適な態様において、成分(c)における少なくとも1個の官能基は
、オキシラニル、水酸基、カルボキシル、イソシアネートおよ
びそれらの反応性誘導体から成る群から選択される末端もしくはペンダント型基
である。
発明の詳細な説明
本発明の組成物は、プラスチック、金属、ガラス、ケイ素、コンクリートおよ
び木を含む多様な基質のための、耐久性を示し環境抵抗力のある被膜を形成する
。この組成物は自動車およびトラックの外部仕上げで用いるに特に有用である。
この組成物に色を付けることで色付き仕上げ剤を生じさせることも可能である
が、この組成物は特にクリアコート(clear coat)として有用である
。
この被覆材組成物に高い固体含有量を持たせそして結合剤を約20−80重量
%および液状有機溶媒を80−20重量%含める。この組成物の結合剤に、無水
物基を少なくとも2個有するアクリル系無水物ポリマー成分(a)を結合剤の約
25−90重量%、好適には35−65重量%の量で含め、オキシラニル含有成
分(b)を結合剤の5−30重量%、好適には10−20重量%の量で含め、そ
して炭素原子数が少なくとも4のパーフルオロカーボン基を少なくとも1個有し
そしてまた成分(a)の無水物基および/または成分(b)のオキシラニル基と
反応し得る官能基を少なくとも1個有するフッ化ポリマー成分(c)を約1−3
0重量%、好適には5−20重量%含める。
本組成物に含めるアクリル系無水物ポリマーの重量平均分子量は、標準として
ポリメタアクリル酸メチルを用いたゲル浸透クロマトグラフィーで測定して約2
,000−50,000である。好適には、この無水物ポリマーの重量平均分子
量は3,000−25,000である。
アルキル基が1−12個の炭素原子を有するメタアクリル酸アルキル、アクリ
ル酸アルキルおよびそれらの混合物から成る1種以上のモノマー類とエチレン系
不飽和無水物または重合中に酸無水物に変化するエチレン系不飽和ジカルボン酸
とを重合させることによって、アクリル系無水物ポリマー成分(a)を生じさせ
る。任意に、このアクリル系無水物ポリマーに他のモノマー成分、例えばスチレ
ン、メチルスチレン、アクリロニトリルおよび/またはメタアクリロニトリルモ
ノマー単位を約0.1−50重量%の量で含めてもよい。
この成分(a)の無水物ポリマーは通常の技術で製造可能であり、ここでは、
該モノマー類、溶媒および通常の触媒、例えば過安息香酸t−ブチルなどを重合
用容器の中に仕込んで約75−200℃に約0.5−6時間加熱することで該ポ
リマーを生じさせる。
成分(a)のアクリル系無水物ポリマーの生成で用いることができる典型的な
アクリル酸アルキルおよびメタアクリル酸アルキル類は、メタアクリル酸メチル
、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸プロピル、メタアクリル酸ブチル、メ
タアクリル酸ペンチル、メタアクリル酸ヘキシル、メタアクリル酸オクチル、メ
タアクリル酸デシル、メタアクリル酸ラウリル、アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリ
ル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリルなどである。このアクリル
系無水物ポリマーの生成で用いることができる他の成分はアクリルアミドおよび
メタアクリルアミドである。このアクリル系無水物ポリマーにまたエチレン系不
飽和酸、例えばアクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などの共
重合単位を約0.1−5重量%含めてもよい。
典型的に有用なエチレン系不飽和無水物は、無水イタコン酸、無水マレイン酸
、無水イソブテニルこはく酸などである。また、重合反応中に酸無水物に変化す
るエチレン系不飽和ジカルボン酸を用いてこのアクリル系無水物ポリマーに無水
物官能性を与えることも可能である。使用できる適切なエチレン系不飽和ジカル
ボン酸はイタコン酸、マレイン酸、イソブテニルこはく酸などである。
成分(a)として用いるに好適な無水物ポリマーは、スチレン、メタアクリル
酸ブチル、アクリル酸ブチルおよびイタコン酸を共重合させた生成物であり、こ
のイタコン酸は重合中に無水物に変化する。別の好適な無水物ポリマーをスチレ
ン、メタアクリル酸ブチル、アクリル酸ブチルおよび無水イタコン酸で構成させ
る。更に別の好適な無水物ポリマーをアクリル酸ブチル、スチレン、無水マレイ
ン酸およびメタアクリル酸ブチルで構成させる。
オキシラニル成分(b)はオキシラニル基を1分子当たり少なくとも2個含み
、この成分はオリゴマーまたはポリマーであってもよい。このオキシラニル基は
好適にはグリシジル基である。典型的なグリシジル成分はソルビトールのポリグ
リシジルエーテル、マンニトールのポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリト
ールのポリグリシジルエーテル、グリセロールのポリグリシジルエーテル、低分
子量のオキシラニル樹脂、例えばエピクロロヒドリンとビスフェノールAのエポ
キシ樹脂、酸類のジ−およびポリグリシジルエステル類、イソシアヌレート類の
ポリグリシジルエーテル類、例えばNagase製のDenecol EX30
1(商標)などである。ソルビトールのポリグリシジルエーテル類、例えばDi
Xie Chemical Co.製のDCE−358(商標)、
並びに酸類のジ−およびポリグリシジルエステル類、例えばCiba−Geig
y製のAraldite CY−184(商標)またはDow Chemica
l製のXUS−71950(商標)などは、高品質の仕上げ剤を生じる。環状脂
肪族エポキシ類、例えばCiba−Geigy製のCY−179(商標)なども
また使用可能である。
メタアクリル酸グリシジルまたはアクリル酸グリシジルを含むアクリル系ポリ
マー類、例えばメタアクリル酸グリシジル/メタアクリル酸ブチルのランダムお
よびブロックポリマー類などを使用することができる。このブロックポリマー類
はアニオン重合またはグループトランスファー(group transfer
)重合で製造可能である。
本発明の被覆材組成物で用いるに有用なフッ化ポリマー類の数平均分子量は約
200から20,000の範囲であり、重量平均分子量は約400から100,
000である。本明細書で用いる如き言葉「ポリマー(重合体)」は、オリゴマ
ー類、例えば上に示した範囲内の分子量を有するテトラフルオロエチレンオリゴ
マー類などを包含する。
適切なフッ化ポリマーは、1種以上のエチレン系不飽和モノマー類(これらの
少なくとも1つがフッ素を含む)を重合させた生成物である。このポリマーは、
炭素原子を少なくとも4個有するパーフルオロカーボン基を1個以上有し、そし
てこの被覆材組成物の無水物ポリマー成分および/またはエポキシ樹脂成分と反
応し得る官能基を少なくとも1個有する。このフッ化ポリマーは、フッ化モノマ
ー類から誘導される繰り返し単位を約20から100重量%含んでいてもよく、
このポリマーの残りは、非フッ化エチレン系不飽和モノマー類または他の非フッ
化モノマー類由来のものである。このフッ化ポリマー類は、好適には、フッ化繰
り
返し単位を約50から100重量%含む。
この無水物ポリマー成分および/またはエポキシ樹脂成分に反応性を示さない
フッ化ポリマー類は、被覆材を塗布または使用している間に未結合状態で表面に
「ブルーム(bloom)」する傾向がありそして/または他の成分に相溶性を
示さないことでその被膜に曇りを生じさせることから適切でない。
このフッ化ポリマーの製造では、通常、フリーラジカル開始剤を用いた付加重
合でフッ化モノマー類を共重合させるか或は適切な非フッ化モノマー類をフッ化
モノマー類と共重合させることができる。また、本明細書の実施例2および3に
例示するように、フッ化ポリマーまたは「プレポリマー」を非フッ化化合物と反
応させることで、他の主要結合剤成分の少なくとも1種と反応する能力を有しそ
して上記成分に高い相溶性を示す二次的フッ化ポリマーを生じさせることも可能
である。
このフッ化ポリマーの生成で用いるに適切なフッ化モノマー類には、これらに
限定するものでないが、式CF2=CFX
[式中、
Xは、−H、−Cl、−F、−Rf、−ORf、−R'f−Yまたは−OR'f−Yで
あり、
−Rfは、C1-4パーフルオロアルキルであり、
−R'fは、C1-4パーフルオロアルキレンまたは−[CF2OCF(CF3)]m[
CF2]p−であり、
mは、1−6の整数でありそしてpは1−3の整数であり、そして
Rは、C1-6アルキル、アルカリ金属、アンモニウムまたは第四級アンモニウム
である]
で表されるモノマー類が含まれる。
上記フッ化モノマー類の典型的な例には、テトラフルオロエチレン、クロロト
リフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエ
ーテル類、例えばパーフルオロメチルビニルエーテル、パーフルオロブチルビニ
ルエーテル、パーフルオロシクロヘキシルビニルエーテル、パーフルオロヒドロ
キシブチルビニルエーテルなど、並びに上記エーテル類とヘキサフルオロプロペ
ンオキサイドとの付加体が含まれる。
フッ化モノマー類と一緒に共重合させてフルオロポリマー類を製造することが
できる適切な非フッ化モノマー類には、これらに限定するものでないが、式CH2
=CHOZ
[式中、
ZはC1-6アルキルまたは−R1Y1であり、
R1はC1-6アルキレンであり、
Y1は−OHまたは−O(CO)Rであり、そして
Rを上と同様に定義する]
で表されるモノマー類が含まれる。
上記非フッ化モノマー類の典型的な例には、アルキルビニルエーテル類、例え
ばメチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテ
ルおよびヒドロキシブチルビニルエーテルなどが含まれる。
好適なフッ化ポリマー類は、
および[F(CF2)nCH2CH2−O(CO)]qR2
[ここで、
Y1を上と同様に定義し、
nは4から約20であり、
qは2または3であり、そして
R2は、末端−OH基も少なくとも1個含んでいて6個以下の炭素原子を有する
二価もしくは三価のヒドロカルビル基である]
から成る群から選択されるいわゆる「テロマーB」ポリテトラフルオロエチレン
オリゴマー類の官能誘導体である。
単量体無水ジカルボン酸、例えば無水ヘキサヒドロフタル酸または無水こはく
酸(これらは例えばC1-8アルキル基などで置換されていてもよい)などと一官
能もしくは多官能アルコール、例えばメタノールまたはエチレングリコールなど
との半エステル反応生成物を過剰量で用いて、これを上記グリシジル官能テロマ
ーB誘導体
フッ化ポリマー類の製造を行う。このフッ化半エステルはペンダント型のカルボ
キシル基および/または水酸基を含む可能性があり、これは、本発明の被覆材組
成物の架橋に貢献する。
また、本発明の被覆材組成物で結合剤成分として用いる無水物樹脂の一部を上
記グリシジル官能テロマーB誘導体と反応させることによって
も適切なフッ化ポリマーを製造することができる。
結合剤成分(a)、(b)、(c)および(d)に加えて、本組成物に任意に
、水酸基および/または酸官能性を含んでいてもよいアクリル系、ポリエステル
またはポリエステルウレタン或はそれらのコポリマーを該結合剤成分の重量を基
準にして約5から30重量%、好適には10から25重量%の量で含む成分(e
)を含めてもよい。上記官能性が水酸基である場合、この水酸基価を約20から
120、好適には70から100にする。この官能性が酸である場合、この酸価
を約20から120、好適には75から95にする。このポリマー類の重量平均
分子量は約2,000から20,000、好適には4,000−10,000で
ある。このポリマー類は、この被覆材組成物から製造される被膜が示す屋外耐候
性に貢献する。
ポリエステルウレタン類は、水酸基末端ポリエステル成分とポリイソシアネー
ト成分、好適には脂肪族もしくは環状脂肪族ジイソシアネートとの反応生成物で
ある。適切には、線状もしくは分枝鎖ジオール類(エーテルグリコール類を含む
)もしくはそれらの混合物またはジオール類とトリオール類の混合物(これらは
8個およびそれ以下の炭素原子を有する)か或は上記ジオール類、トリオール類
およびポリカプロラクトンポリオール類の混合物を、ジカルボン酸またはそれの
無水物か或はジカルボン酸または無水物の混合物(この酸類または無水物の炭素
原子数は12およびそれ以下であり、ジカルボン酸の重量を基準にして少なくと
も75重量%が脂肪族ジカルボン酸である)と化合させることで、単独またはポ
リエステルウレタンのポリエステル成分として使用可能なポリエステルを製造す
ることができる。
反応してポリエステルを生じ得る代表的な飽和および不飽和ポリオール類には
、アルキレングリコール類、例えばネオペンチルグリコール、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオール、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール、1
,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ジメチル1,3−プロパンジオー
ル、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸および3−メルカプト−1
,2−プロパンジオールなどが含まれる。好適なものは1,6−ヘキサンジオー
ルおよびブチレングリコールである。
また、水酸基を少なくとも3個有する多価アルコール類を含めることでこのポ
リエステルに分枝を導入することができる。典型的な多価アルコール類はトリメ
チロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、グリセリン
などである。分枝ポリエステルの生成ではトリメチロールプロパンが好適である
。
このポリエステルの製造ではまたポリカプロラクトンポリオール類を用いるこ
とも可能である。好適なポリカプロラクトンであるトリオールはTone(商標
)FCP 310(Union Carbideから入手可能)である。
このポリエステルウレタンのポリエステル成分の製造で用いるカルボン酸には
、飽和および不飽和ポリカルボン酸およびそれらの誘導体が含まれる。このポリ
エステルの生成で使用する脂肪族ジカルボン酸は下記の通りである:アジピン酸
、セバシン酸、こはく酸、アゼライン酸、ドデカンニ酸、1,3もしくは1,4
−シクロヘキサンジカルボン酸など。好適な酸はアジピン酸である。芳香族ポリ
カルボン酸にはフタル酸、イ
ソフタル酸、テレフタル酸などが含まれる。また、無水物、例えば無水マレイン
酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸なども使用可能である。
このポリエステルウレタンの生成で用いることができる典型的なポリイソシア
ネート類は下記の通りである:5−イソシアナト−1−(イソシアナトメチル)
−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンであるイソホロンジイソシアネート、
プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート
、ブチレン−1,3−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシア
ネート、メチル−2,6−ジイソシアネートカプロエート、オクタメチレン−1
,8−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレン−1,6−ジ
イソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキ
サメチレン−1,6−ジイソシアネート、デカメチレン−1,10−ジイソシア
ネート、2,11−ジイソシアナト−ドデカンなど、メタ−フェニレンジイソシ
アネート、パラーフェニレンジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシア
ネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、キシレン−2,4−ジイソシア
ネート、キシレン−2,6−ジイソシアネート、ジアルキルベンゼンジイソシア
ネート類、例えばメチルプロピルベンゼンジイソシアネート、メチルエチルベン
ゼンジイソシアネートなど、2,2’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3
’−ビフェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート
、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネートなど、メチレ
ン−ビス(4−フェニルイソシアネート)、エチレン−ビス(4−フェニルイソ
シアネート)、イソプロピリデン−ビス(4−フェニルイソシアネート)、ブチ
レン−ビス(4−フェニルイソシアネート)など、2,
2’−オキシジフェニルジイソシアネート、3,3’−オキシジフェニルジイソ
シアネート、4,4’−オキシジフェニルジイソシアネート、2,2’−ケトジ
フェニルジイソシアネート、3,3’−ケトジフェニルジイソシアネート、4,
4’−ケトジフェニルジイソシアネート、2,2’−メルカプトジフェニルジイ
ソシアネート、3,3’−メルカプトジフェニルジイソシアネート、4,4’−
チオジフェニルジイソシアネートなど、2,2’−ジフェニルスルホンジイソシ
アネート、3,3’−ジフェニルスルホンジイソシアネート、4,4’−ジフェ
ニルスルホンジイソシアネートなど、2,2−メチレン−ビス(シクロヘキシル
イソシアネート)、3,3’−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート
)、4,4’−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)、4,4’−
エチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)、4,4’−プロピレン−ビ
ス(シクロヘキシルイソシアネート)、ビス(パラ−イソシアナト−シクロヘキ
シル)スルフィド、ビス(パラ−イソシアナト−シクロヘキシル)スルホン、ビ
ス(パラ−イソシアナト−シクロヘキシル)エーテル、ビス(パラ−イソシアナ
ト−シクロヘキシル)ジエチルシラン、ビス(パラ−イソシアナト−シクロヘキ
シル)ジフェニルシラン、ビス(パラ−イソシアナト−シクロヘキシル)エチル
ホスフィンオキサイド、ビス(パラ−イソシアナト−シクロヘキシル)フェニル
ホスフィンオキサイド、ビス(パラ−イソシアナト−シクロヘキシル)N−フェ
ニルアミン、ビス(パラ−イソシアナト−シクロヘキシル)N−メチルアミン、
3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメト
キシ−ビフェニレンジイソシアネート、2,4−ビス(b−イソシアナト−t−
ブチル)トルエン、ビス(パラ−b
−イソシアナト−t−ブチル−フェニル)エーテル、パラ−ビス(2−メチル−
4−イソシアナトフェニル)ベンゼン、3,3−ジイソシアナトアダマンタン、
3,3−ジイソシアナトビアダマンタン、3,3−ジイソシアナトエチル−1’
−ビアダマンタン、1,2−ビス(3−イソシアナト−プロポキシ)エタン、2
,2−ジメチルプロピレンジイソシアネート、3−メトキシヘキサメチレン−1
,6−ジイソシアネート、2,5−ジメチルヘプタメチレンジイソシアネート、
5−メチルノナメチレン−1,9−ジイソシアネート、1,4−ジイソシアナト
シクロヘキサン、1,2−ジイソシアナトオクタデカン、2,5−ジイソシアナ
ト−1,3,4−オキサジアゾール、OCN(CH2)3O(CH2)2O(CH2
)3NCO、OCN(CH2)3NCOまたは下記:
脂肪族ジイソシアネート類が好適であり、これらは優れた耐候性を示すウレタ
ン類を生じる。特に好適な1つの脂肪族ジイソシアネートはトリメチルヘキサメ
チレン−1,6−ジイソシアネートである。
好適なポリエステルウレタンは、1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキ
サンジオール、アジピン酸、トリメチロールプロパンおよびTone(商標)F
CP−310の水酸基末端ポリエステルとトリメチルヘキサメチレン−1,6−
ジイソシアネートとの反応生成物である。
水酸基官能のポリエステルウレタンが無水メチルヘキサヒドロフタル酸または
他のモノ無水物、例えば無水こはく酸などと反応すると相当する酸官能ポリエス
テルウレタンに変化し得ることを特記する。この水酸基を酸に変化させると結果
としてクレアコートのポットライフ(pot
life)が長くなり得る。
溶媒を用いたポリオール類とカルボン酸成分のエステル化を約110−250
℃で約1−10時間行ってポリエステルを生じさせる通常技術でポリエステルを
製造することができる。ポリエステルウレタンの生成では、その後ジイソシアネ
ートを加えて約100℃で約15分間から2時間反応させてもよい。
このポリエステルウレタンの製造では典型的に触媒を用いる。通常の触媒には
水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、有機
錫化合物、例えばジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、カプロン酸
第一錫など、チタン錯体および一酸化鉛などが含まれる。典型的には、反応体の
全重量を基準にして約0.1−5重量%の量で触媒を用いる。
最終的な水酸基価、および低い酸価を示す生成物を得ることの必要性で、この
ポリエステル製造の化学量論を調節する。10以下の酸価が好適である。このポ
リエステルのサンプル1グラムを中和するに必要な水酸化カリウムのミリグラム
数として酸価を定義する。ポリエステルウレタン類の製造に関する追加的情報が
共譲渡の米国特許第4,810,759号(引用することによって本明細書に組
み入れられる)の中に開示されている。
この被覆材組成物に任意に酸樹脂を添加して色を改良する。該無水物とグリシ
ジル成分との間で生じる架橋に悪影響を与えることなくこれを行う。アルキル基
が1−12個の炭素原子を有するメタアクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル
またはそれらの混合物とエチレン系不飽和酸のモノマー類を重合させることによ
って、上記酸官能材料を生じさせる。
この酸官能ポリマーにまた任意に他の成分、例えばスチレン、メチルスチレン、
アクリロニトリルおよび/またはメタアクリロニトリルなどを約0.1−50重
量%の量で含めてもよい。
この酸官能ポリマーの生成で用いることができる典型的なアクリル酸アルキル
、メタアクリル酸アルキルおよび他の成分は、上記無水物ポリマーに関して挙げ
た成分と同じである。
典型的に有用なエチレン系不飽和酸はアクリル酸、メタアクリル酸、イタコン
酸、マレイン酸などである。
また、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタアクリル酸ヒドロキシエチルおよび
アクリル酸ヒドロキシプロピルなどの如きモノマー類を用いて、この酸樹脂に水
酸基官能性を含めてもよい。この酸を後でエポキシ含有化合物、例えばShel
l Chemical Company製のCardura E(商標)(バー
サティックアシッド(versatic acid)のグリシジルエステル)お
よびプロピレンオキサイドなどと反応させることで水酸基官能性を導入すること
も可能である。
本組成物の別の任意成分は、ポリマーから区別される如き無水物化合物の半エ
ステル、例えばC1−C12アルキル基で置換されていてもよい酸無水物、例えば
無水ヘキサヒドロフタル酸または無水こはく酸などと一官能もしくは多官能アル
コール系溶媒、例えばメタノールまたはエチレングリコールなどとの反応生成物
である。好適な半エステルは、無水メチルヘキサヒドロフタル酸とアルコール、
例えばエチレングリコールなどとの反応生成物である。他のアルコール系溶媒は
プロパノール、イソブタノール、イソプロパノール、第三ブタノール、n−ブタ
ノール、プロピレングリコールのモノメチルエーテル、エチレングリコールのモ
ノブチルエーテルなどである。上記半エステルはこの組成物の固体含有量を高め
るに有用である。より詳細には、上記無水物成分との混和物の状態で好適なホス
ホニウム触媒に良好な溶媒になるように、上記半エステルを選択する。適切には
結合剤の2から25重量%の量、好適には4−12重量%の量でこの半エステル
を存在させる
この被覆材組成物の結合剤重量を基準にして約0.1−5重量%の量で触媒を
添加することによって、この組成物の硬化性を高める。典型的な触媒は下記の通
りである:トリエチレンジアミン、キヌクリジン、ジアルキルアルカノールアミ
ン類、例えばジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジブチル
エタノールアミン、ジエチルヘキサノールアミンなど、リチウム第三ブトキサイ
ド、トリ(ジメチルアミノメチル)フェノール、ビス(ジメチルアミノ)プロパ
ン−2−オール、N,N,N1,N1−テトラメチルエチレンジアミン、N−メチ
ルジエタノールアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミンおよび1
−ジメチルアミノ−2−プロパノールなど、或は第四級アンモニウム塩、例えば
臭化t−ブチルアンモニウム、蟻酸ベンジルトリメチルアンモニウムなど。しか
しながら、好適な触媒はホスホニウム化合物、例えば米国特許第4,906,6
77号に開示されている化合物、並びに1,3−ジアルキルイミダゾール−2−
チオン類、例えば米国特許第5,084,542号に開示されているチオン類で
あり、両方の特許とも引用することによってそれの全体が本明細書に組み入れら
れる。適切な触媒にはベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラブ
チルホスホニウムクロライド、1−メチル−3−プロピルイミダゾール−2−チ
オンおよび1−ブチル−3−メチルイミダゾール−2−チオン(BTI)
が含まれる。
この被覆材組成物に典型的な溶媒には、トルエン、キシレン、酢酸ブチル、エ
チルベンゼン、高沸点の芳香族炭化水素、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸プロピ
ル、エチレンもしくはプロピレングリコールのモノアルキルエーテルアセテート
類が含まれる。
一般的には、噴霧、浸漬、延伸被覆、ロール加工または静電噴霧などの如き通
常技術を用いて、本組成物を被膜として基質に取り付ける。
その結果として生じる被膜を乾燥させそして100から200℃の温度で硬化
させる。厚さが典型的に約0.5−5ミル、厚さが好適には1−2ミルの仕上が
りが生じるように被膜を取り付ける。
この被覆材組成物の透明な仕上げ剤が示す耐候性を改良する目的で、この結合
剤の重量を基準にして約0.1−5重量%の量で紫外線安定剤または紫外線安定
剤組み合わせを添加することができる。上記安定剤には紫外線吸収剤、遮蔽剤、
クエンチャーおよび特定のヒンダードアミン光安定剤が含まれる。また、この結
合剤の重量を基準にして約0.1−5重量%の量で抗酸化剤を添加してもよい。
有用である典型的な紫外線安定剤は、上で引用することで組み込んだ米国特許
第4,906,677号の中に挙げられている。用いることができる特に有用な
紫外線安定剤は、ピペリジル誘導体のヒンダードアミン類、例えば1977年1
2月6日付けで発行されたMurayama他の米国特許第4,061,616
号のコラム2の65行からコラム4の2行に開示されている如きヒンダードアミ
ン類、並びにニッケル化合物、例えば[1−フェニル−3−メチル−4−デカノ
イルピラゾレート(5)]−Ni、ビス[フェニルジチオカルバマト]−Ni(
II)そ
して上記特許のコラム8の44行から55行に挙げられている他のニッケル化合
物である。
紫外線安定剤の適用可能ブレンド物は2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−
1(1,1−ジメチル−プロピル)フェニル]ベンゾトリアゾールとビス−[4
−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)]2−ブチル−2−[(3
,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]プロパンジオエートで出
来ている。上記安定剤は如何なる比率でも使用可能であるが、ベンゾトリアゾー
ルとプロパンジオエートとの比率を1:1にするのが好適である。
この組成物に色を付けて色付き仕上げ剤またはプライマーを生じさせることが
できる。顔料、分散剤および溶媒が入っているミルベース(mill base
)を最初に作成する通常技術を用いて、上記結合剤の重量を基準にして約0.1
−200重量%の量で通常の顔料を添加することができる。次に、このミルベー
スを本組成物と一緒に混合することで色付き組成物を生じさせる。このような組
成物も上に示したのと同様に塗布して硬化させることができる。
以下に示す説明的実施例は、本発明に従う被覆材組成物で用いる任意成分の製
造を説明するものである。
説明的実施例A
この実施例では、撹拌機、加熱源および還流コンデンサを取り付けた反応容器
の中に下記の成分を順に仕込むことで製造したポリエステルウレタン溶液を、本
発明に従う組成物の任意成分として説明する:
上記反応容器に部分1を順に仕込んだ後、この部分1の成分を加熱して140
−230℃で水を留出させる。酸価が6.5から8.5になるまで留出を継続す
る。この容器に部分2を仕込むことによって、その生成物を薄めて98から10
2℃に冷却する。この容器内の成分を上記温度に維持しながら、この反応槽に部
分3を順に仕込む。バッチ温度を98−102℃に維持しながらこの組成物に部
分4を30分かけて一定速度で加える。サンプルを取り出し、赤外分析で未反応
イソシアネートN
COに関して試験する。この組成物内に未反応のイソシアネートが存在しなくな
るまで、この組成物を上記温度で保持する。次に、部分5を濯ぎ液として加え、
その結果として生じる組成物を周囲温度に冷却する。
この操作に従って得られる組成物のポリマー固体重量含有量は約61.0%で
ある。このポリエステルウレタンのガードナーホルト(Gardner−Hol
dt)粘度はLである。Mn(数平均分子量)は3734.0でありそしてMw
(重量平均分子量)は7818.0である(標準としてポリスチレンを用いたゲ
ル浸透クロマトグラフィーによる)。測定酸含有量は4.9Meq/gである。
水酸基価は92である。
説明的実施例B
この実施例では、温度計、撹拌機、滴下漏斗およびコンデンサを取り付けた反
応槽の中に下記の成分を仕込むことで製造した酸ポリマー、より具体的にはメタ
アクリル酸樹脂を、本発明で用いる別の任意成分として説明する:
上記反応槽に部分1を仕込んだ後、還流まで加熱する(約140℃)。部分2
を予め混合して上記反応槽に240分かけて滴下する。部分3を予め混合して部
分3と同時に上記反応槽に270分かけて加える。この添加が終了した後、上記
反応槽を還流に保持し、次に、冷却して内容物を取り出す。
その結果として生じる酸ポリマー組成物の組成は、15%がスチレンで、36
%がメタアクリル酸ブチルで、29%がアクリル酸n−ブチルで、20%がメタ
アクリル酸であった。固体含有量は60%であり、このポリマーのガードナーホ
ルト粘度はZ−1である。このポリマーの重量平均分子量は5000である。
以下に示す実施例は本発明を説明するものである。特に明記しない限り全ての
部およびパーセントは重量を基準にしている。
実施例1
A. 重量比が15/20/38/27のスチレン/メタアクリル酸ブチル/ア
クリル酸ブチル/イタコン酸(無水物)コポリマーを下記の如く調製した。反応
槽にキシレンを224.3部仕込んで還流温度である284度Fに加熱した(パ
ートI)。下記のパートIIを混合して最後にイタコン酸を加えた後、これを、
還流を維持しながら5時間かけてパートIIIと同時に上記反応槽に供給したが
、パートIIIの添加を開始して5分後にパートIIの添加を開始した。
この重合を行っている間、重合したイタコン酸の脱水が生じて無水物が生成す
ることにより、水が生成した。その留出物から水が全体でイタコン酸100部当
たり11.8部分離するまで、分水器蒸留装置を用いて生成水を連続除去した。
必要量の水が除去された時点で、上記反応槽を190−210度Fに冷却して真
空をかけることにより、キシレンを除去した。最後に、窒素下でプロピレングリ
コールのモノメチルエーテルアセテートを163.9部加えた。
このポリマー溶液のガードナーホルト粘度はYからZ−2であり、測定固体量
は65.0%であった。測定無水物含有量は2.0Meq/gであり酸含有量は
0.7Meq/gであった。ゲル浸透クロマトグラフィーで測定した分子量はM
n=1800およびMw=4200であった。
B. 下記を完全混合することによって被覆材組成物を調製した。
上記被覆材溶液にナイルレッド(Nile red)の結晶を数個溶解させる
ことで透明な溶液が得られた。この溶液をガラスプレート上に被覆して厚さが1
ミル(3プレート)または8ミル(2プレート、対照)のフィルムを生じさせた
。上記プレートを室温で一晩空気乾燥させた。
上記溶液の100部に、Dupontが供給しているグリシジル末端TFEオ
リゴマー混合物であるZonyl(商標)TEを10.00部加えることによっ
て、2番目の被覆材溶液を調製した。0.2ミクロンのMillipore(商
標)フィルターに通して濾過することで透明な溶液が得られた。上で厚さが1ミ
ルになるように下塗りしたプレート3枚に上記溶液の被膜(8ミル)を取り付け
た後、48時間空気乾燥させた。上記プレートの1枚を1枚の対照プレートと一
緒に121℃で1時間焼いた後、石鹸水の中に入れた。この対照の色は赤色から
青色に変わり、このことは、水がトップ層から下層に浸透したことを示している
。フッ化ポリマーが入っている被膜は色の変化を示さず、このことは、水が浸透
しなかったことを示している。
別の同様な実験において、Zonyl(商標)TEを含有させて上と
同様に調製して焼いた被膜は、洗剤溶液の中に3日間浸した後でも全く浸透を示
さずそして空気乾燥を行ったが焼かなかった被膜が示した浸透は若干のみであっ
たが、Zonyl(商標)TEを含有させなかった対照被膜はひどい浸透を示し
て膨潤した。
実施例2
以下を除き実施例1に記述したのと同様に、エポキシ官能フッ化ポリマーの有
り無し(対照)で被覆材溶液を調製した。全オリゴマー混合物の代わりに、約1
75℃で沸騰するZonyl(商標)TE溜分を用い、このZonyl(商標)
TE溜分を無水物樹脂および触媒溶液と一緒に混合して1時間反応させた後、エ
ポキシ10030および酢酸ブチル溶媒を加えることによって、フルオロポリマ
ー溶液を調製した。このフルオロポリマー含有溶液および対照溶液の両方とも透
明であった。両方の溶液を用いて、下塗りしていないプレートの上に流し込んで
空気または窒素中で乾燥させた被膜もまた透明であり、このことは、Zonyl
(商標)TEと無水物樹脂との間で相溶化反応(compatiblizing
reaction)が起こったことを実証している。このフルオロポリマーで
改質した被膜は対照被膜よりもずっと高い水浸透抵抗力を示した。
次の実験において、未分溜Zonyl(商標)TEが入っている同様な溶液を
用いることでも、上記エポキシ樹脂と溶媒を加える前にこのオリゴマー類をBT
I触媒溶液の存在下で上記溶液の無水物樹脂成分に80℃で10分間接触させる
ことを条件として、この溶液から完全に透明な被膜を得ることができることを確
認した。
実施例3
A. 無水メチルヘキサヒドロフタル酸(MHHPA)とエチレングリコールを
約2:1のモル比で下記の如く反応させることによって、重合体でない半エステ
ルを調製した。キシレンの中にMHHPAが2モル入っている溶液にエチレング
リコールを1モル加え、この一緒にした溶液を250度Fで5時間加熱した後、
150度Fに冷却した。メタノール(0.16モル)を加えた後、加熱を150
度Fで1時間継続した。溶媒を蒸留で全重量を基準にして約2%除去した。
B. パートAの生成物を用いて下記の如くフッ化半エステルを調製した。パー
トAで調製した半エステルの81.11部と、プロピレングリコールモノメチル
エーテルアセテートの11.11部と、Zonyl(商標)TE(実施例1に記
述したのと同じ)の7.78部とを混合した。この混合物を加熱して180度F
で2時間反応させた後、120度Fで1週間熟成させた。
C. 以下に示すパート卜IおよびIIを個別に予め混合した後、パートIとI
Iを完全にブレンドすることによって、本発明に従うクリアコート用被覆材組成
物を調製したが、ここでは、パートIを穏やかに加熱することでホスホニウムク
ロライド触媒を溶解させた。
上の表において、TINUBIN(商標)ヒンダードアミン光安定剤(HAL
S)およびUV遮蔽剤はCiba−Geigyの市販品である。DISLON(
商標)流動添加剤はKing Industriesが供給している。この挙げ
た3つの材料をサンドミル内で一緒に粉砕することによってシリカ分散液を調製
した。
上記ブレンド物を噴霧することで取り付けた被膜は、液状の水および湿度に対
して優れた抵抗力を示し、特にアルカリ条件下で耐化学品性を示し、機械的耐久
性(きず抵抗力)を示すと共に、他のフィルム特性を示した。
実施例4
以下に示すパートIおよびIIを個別に予め混合した後、パートIとIIを完
全にブレンドすることによって、本発明に従うクリアコート用被覆材組成物を調
製した。
TINUBIN(商標)製品は実施例3に記述した通りである。
上記ブレンド物を噴霧することで取り付けた被膜は、液状の水および湿度に対
して優れた抵抗力を示し、酸性およびアルカリ両方の条件下で耐化学品性を示し
、耐久性を示すと共に、他のフィルム特性を示した。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1. 結合剤成分(a)、(b)、(c)および(d)を20−80重量%お よび液状有機溶媒を80−20重量%含む被覆材組成物であって、上記結合剤成 分が、結合剤の重量を基準にして、 (a)(i)エチレン系不飽和無水物または無水物に変化させたエチレン系 不飽和ジカルボン酸と(ii)アルキル基が1−12個の炭素原子を有するメタ アクリル酸アルキル、アクリル酸アルキルおよびそれらの混合物から成る群から 選択されるモノマー単位との重合モノマー単位を含みそして反応性を示す無水物 基を少なくとも2個有していて重量平均分子量が約2,000−50,000で あるアクリル系無水物ポリマーを結合剤の重量を基準にして25−90重量%、 (b)反応性を示すオキシラニル基を少なくとも2個有するオキシラニル成 分を5−30重量%、 (c)炭素原子数が少なくとも4のパーフルオロカーボン基を有する少なく とも1種のモノマーから誘導されそして成分(a)および/または成分(b)と 反応し得る官能基を少なくとも1個有するフッ化ポリマーを1−30重量%、 (d)硬化用触媒を有効量、 含み、ここで、成分(a)、(b)および(c)は個別の成分であり、そして 水酸基および/または酸官能性を含んでいてもよいアクリル系、ポリエステ ルおよびポリエステルウレタン樹脂から成る群から選択される1種以上の樹脂を 結合剤の重量を基準にして約5−30重量%含む任意の成分(e)、 を含む被覆材組成物。 2. 結合剤成分(a)、(b)、(c)および(d)を20−80重量%お よび液状有機溶媒を80−20重量%含む被覆材組成物であって、上記結合剤成 分が、結合剤の重量を基準にして、 (a)(i)エチレン系不飽和無水物または無水物に変化させたエチレン系 不飽和ジカルボン酸と(ii)アルキル基が1−12個の炭素原子を有するメタ アクリル酸アルキル、アクリル酸アルキルおよびそれらの混合物から成る群から 選択されるモノマー単位との重合モノマー単位を含みそして反応性を示す無水物 基を少なくとも2個有していて重量平均分子量が約2,000−50,000で あるアクリル系無水物ポリマーを結合剤の重量を基準にして25−90重量%、 (b)反応性を示すオキシラニル基を少なくとも2個有するオキシラニル成 分を5−30重量%、 (c)炭素原子数が少なくとも4のパーフルオロカーボン基を有する少なく とも1種のモノマーから誘導されそして成分(a)および/または成分(b)と 反応し得る官能基を少なくとも1個有するフッ化ポリマーを1−30重量%、そ して (d)硬化用触媒を有効量、 含み、ここで、成分(a)、(b)および(c)が個別の成分である被覆材組成 物。 3. 該オキシラニル成分(b)がポリオールのポリグリシジルエーテル、エ ピクロロヒドリンとビスフェノールAのエポキシ樹脂、ポリカルボン酸のポリグ リシジルエステル、イソシアヌレートのポリグリシジルエーテル、メタアクリル 酸グリシジルまたはアクリル酸グリシジル含 有アクリル系ポリマー、および上記いずれかの適合性混合物から成る群から選択 される請求の範囲第2項記載の被覆材組成物。 4. 該フッ化ポリマー成分(c)が、オキシラニル、水酸基、カルボキシル 、イソシアネートおよびそれらの反応性誘導体から成る群から選択され末端もし くはペンダント型であってもよい少なくとも1種の官能基を含む請求の範囲第2 項記載の被覆材組成物。 F(CF2)nCH2CH2−Y1および[F(CF2)nCH2CH2−O(CO)]qR2 [ここで、 Y1は、−OHまたは−O(CO)Rであり、 nは、4から約20であり、 qは、2または3であり、そして R2は、末端−OH基も少なくとも1個含んでいて6個以下の炭素原子を有する 二価または三価のヒドロカルビル基である] から成る群から選択される官能ポリテトラフルオロ−エチレンオリゴマーである 請求の範囲第4項記載の被覆材組成物。 6. 成分(e)が、約20−120の水酸基価または約20−120の酸価 を有するポリエステルウレタンである請求の範囲第1項記載の被覆材組成物。 7. 該アクリル系無水物ポリマー成分(a)が、スチレンと、アルキル基中 に炭素原子を2−4個有するメタアクリル酸アルキルもしくはアクリル酸アルキ ルと、エチレン系不飽和無水物または無水物に変化さ せたエチレン系不飽和ジカルボン酸との重合モノマー類を含む請求の範囲第2項 記載の被覆材組成物。 8. 該アクリル系無水物ポリマー成分(a)がアクリル酸ブチルとスチレン と無水物に変化させたイタコン酸との重合モノマー類を含む請求の範囲第2項記 載の被覆材組成物。 9. 該アクリル系無水物ポリマー成分(a)が無水マレイン酸の重合単位を 含む請求の範囲第2項記載の被覆材組成物。 10. 成分(e)が、エチレン系不飽和酸、アクリル酸アルキル、メタアク リル酸アルキル、アクリル酸ヒドロキシアルキル、メタアクリル酸ヒドロキシア ルキルおよびそれらの混合物から選択されるモノマー類を重合させることによっ て生じさせたアクリル系樹脂であり、ここで、該アルキル基が1−12個の炭素 原子を有する請求の範囲第1項記載の被覆材組成物。 11. 該触媒がホスホニウム化合物または1,3−ジアルキル−イミダゾー ル−2−チオンである請求の範囲第2項記載の被覆材組成物。 12. 該結合剤成分が更に単量体ジカルボン酸の無水物と一価もしくは多価 アルコールとの反応生成物である半エステルを結合剤の約2−25重量%の量で 含む請求の範囲第1項記載の被覆材組成物。 13. 該結合剤成分が該半エステルを結合剤の4−12重量%の量で含む請 求の範囲第12項記載の被覆材組成物。 14. 該半エステルが一価もしくは二価アルコールと無水メチルヘキサヒド ロフタル酸との反応生成物である請求の範囲第12項記載の被覆材組成物。 15. 該半エステルが少なくとも約2モルの無水メチルヘキサヒド ロフタル酸と約1モルのエチレングリコールとの反応生成物である請求の範囲第 14項記載の被覆材組成物。 16. 該フッ化ポリマーが1種以上のグリシジル官能ポリテトラフ [ここで、nは4から約20である]と請求の範囲第12、14または15項の 半エステルとの反応生成物である請求の範囲第4項記載の被覆材組成物。 17. 該フッ化ポリマーが1種以上のグリシジル官能ポリテトラフ [ここで、nは4から約20である]と該アクリル系無水物ポリマー結合剤成分 (a)との反応生成物である請求の範囲第4項記載の被覆材組成物。 18. 結合剤の重量を基準にして約0.1−200重量%の量で顔料を含む 請求の範囲第1項記載の被覆材組成物。 19. 請求の範囲第1項記載組成物の硬化層で被覆された基質。 20. 上記基質がプラスチック、金属、ガラス、ケイ素、コンクリートまた は木である請求の範囲第19項記載の基質。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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