JPH08509430A - 鋸歯付きカートリッジを具えたリングカッタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 一義的にはアルミニウム工作を企図したミリングカッタは溝（４）を含んで成り、当該溝には切削インサートを坦持したカートリッジ（２）とスペーサプレートが装着される。カートリッジとこれに接触するスペーサプレートの両方の面は同一方向の鋸歯状に加工されている。スペーサプレートの他側とこれに接触する溝の側面は第１に挙げた鋸歯に対し直角な方向に鋸歯状に加工されている。このようにすると、切刃を軸方向と半径方向の両方に互いに独立した状態で精密に調節することが可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】 鋸歯付きカートリッジを具えたミリングカッタ 本発明は切削インサートがミリングカッタヘッドの周囲にある溝に設置された カートリッジによって坦持され、更にスペーサプレートが各溝に設置されている 斯ゝるミリングカッタに関する。切削インサートはカートリッジとスペーサプレ ートを請求項１の特徴部分に従う鋸歯を具備するように形成することによって半 径方向と軸方向に精密に調節することが出来る。 ミリングカッタヘッドの包絡面の周囲に配置された切削エレメントを具えた切 削工具は、例えばDE-1 102526に記述されている。この特許明細書によれば、切 削エレメントは鋸歯付きくさびとねじによって固定される。しかし、この構造に よれば半径方向或いは軸方向の位置の変化が段階的であり、各段が１鋸歯の横幅 を表すものであることから切刃を精密調節することが出来ない。更に、この構造 は遠心力に対する安全をもたらさない。 また、US-A-3214825には、ミリングカッタ本体に切削エレメントを固定する機 構が開示されており、この本体は軸方向へ配向した鋸歯路を有する複数の鋸歯付 き表面を含んで構成されている。この構造によれば軸方向と半径方向の両方で調 節が可能になるが、この構造は２種の方向の１つで線形調節或いは独立した調節 を許さず、この２種の調節方向は相互に従属している。従って、特定の調節、例 えば半径方向調節も斜め方向になってしまい、それ故に軸方向変位ももたらすこ とになる。更に、この調節と固定の機構は多数の異なる部品を要求し、その結果 は不必要に複雑な構造になってしまう。なかんづく、この機構は疲労破壊を頻繁 に生じる２個の弱いくさび を含んで成る。更に、この機構は遠心力に対し充分に安全なものではない。 従って、本発明の第１の目的は切刃を軸方向と半径方向の両方で精密に調節す ることが出来るミリング工具を提供することにある。 本発明の別の目的は、軸方向と半径方向の調節が互いに完全に独立した状態で 精密に調節することが出来るミリングカッタを提供することにある。 本発明の更に別の目的は固定するための機構の部品が遠心力によって突然に投 げ出されるような危険を除去することにある。 本発明の更に別の目的は高切削速度例えばアルミニウム工作では一般的である ような斯ゝる高速度において影響されることのない充分にバランスのとれたミリ ングカッタ本体を得ることにある。 本発明の更に別の目的は個別の部品数を出来るだけ少くしたミリングカッタヘ ッドにおいて切刃を軸方向と半径方向に精密に調節することにある。 本発明の更に別の目的は個別の要素の数を出来るだけ少くした、単純且つ安定 した切削インサート固定構造を提供することにある。 これら並びに更に別の目的は請求項１の特徴部分に規定された構成事項を含ん で成るミリングカッタを作ることによって驚くべきあり様で達成された。 限定目的を持たない説明のために、本発明は好適例を示している添附の図面と 関連させて更に説明される。 図１は１切削位置で分解された状態にした斜視図において本発明に係るミリン グカッタヘッドを示している。 図２は分解図において本発明に係るインサート坦持カートリッジを示している 。 図３はカートリッジ溝をこれに関係するカートリッジとスペーサ プレートと共に上から示している。 図４は分解図において、本発明に係るスペーサプレートを示している。 全体的に１で指定されたミリングカッタヘッドはその中心回転軸線Ｚの周りに 回転する。ヘッド周囲の包絡面の周りにはへこみ状の溝４が配設され、溝延長線 の方向はミリングカッタの回転軸線に実質的に平行である。各溝４はインサート 坦持カートリッジ２とスペーサプレート３を乗せるように意図されている。カー トリッジ２は適宜の切削インサート５をロック用ねじ６によって固定するための インサートポケット14を含んで成る。切削インサートの性質は本発明の必須構成 事項ではない。しかし、本発明の適した適用分野はダイヤモンドのエレメントを 含む切削インサートでその切削コーナの１つにおいてアルミニウムを工作するこ とにある。図示例では、切削インサートは正方基本形の単面式割付け可能なイン サートである。ミリングカッタヘッドにおいて、回転方向に見て各切削インサー トの前に、チップ用凹所、即ちチップポケット22が配設されている。 カートリッジ２とスペーサプレート３の対面し合う表面は夫々鋸歯15と16を具 えた状態に形成されている。好ましくは、これらの面は全面的に鋸歯状に加工さ れている。図示例によれば、これらの鋸歯は実質的に半径方向のものである。更 に、これらは勿論互いに良好に適合させる目的で形成される、即ちこれは同じう ね幅、同じ頂角及び実質的に同じうね間深さを有している。隣り合う２つのうね 間の距離は本発明では決定的に重要なものではないが、0.5と３mmの間が適して おり、好ましくは１と２mmの間のものである。 スペーサプレート３の面17の反対側にある面18も、鋸歯を具備しており、好ま しくは全面的に具備している。この面の鋸歯方向は面 17のものに対し実質的に直角である、即ちミリングカッタヘッドの回転軸線に実 質的に平行である。２種の鋸歯方向の挟角は直角から２°より大きく逸脱すべき でなく、好ましくは０°30′以下の逸脱であるべきである。その理由はそうでな ければ、半径方向と軸方向の微調節が互いに独立した状態で最早やなし得なくな るからである。これらの鋸歯の形状と寸法に関しては、鋸歯15，17に関しても上 記のものと同じことが適用され得る。 或いはまた、鋸歯方向は取り替えることが出来る。従って、その事例によれば 鋸歯15，17がミリングカッタ本体の回転軸線に実質的に平行であり、他方鋸歯16 ，18は相手に対し実質的に直角になる。 図３によれば一番良く分るように、カートリッジ溝４の２つの側壁16，20は半 径外方へ進むに従って互いの方向へ収斂している。このようにすると、カートリ ッジとスペーサプレートが遠心力によって溝から半径方向に投げ出される事態を 抑える保証が得られる。面16，20の挟角度は２と６°の間、好ましくは3.5と4.5 °の間にある。 溝４の底面にあるオリフィスにタップ８が挿入される。このタップの頭部（ヘ ッド）はタップの滑らかな円筒部に対し偏心している。この偏心ヘッドはカート リッジの背面にある凹所或いは貫通溝13に設置される。適当な偏心ヘッドは切削 インサート５の切刃を旋回させて軸方向に調節するために六角形或いはこれに類 するものを具備している。タップ８のこの旋回動は穴10に六角形キー或いはこれ に類するものをはめ込むことにより実現される。この穴の直径は半径方向でタッ プ８を固定するために該偏心ヘッドの直径より小さい。 切刃の半径方向調節のために、カートリッジのねじ切り孔11に螺結されるねじ ９が使用される。このねじは適宜のキーによってその 回動を可能にするために六角形孔やこれに類するものを具備している。このキー はねじ切り部分11より小さな直径を有している孔12に挿入される。この相対的小 径は２種の利益をもたらす：第１に、ねじ９が半径方向で固定され、第２に六角 形孔をねじ９に的中させるのが容易である。或いはまたカートリッジは２個のね じ９のための孔を具備することが出来る。 溝４は半径外方へ進むに従って先細りしているので、カートリッジとスペーサ プレートはこの溝に軸方向に挿入しなければならない。カートリッジとスペーサ プレートの装着を可能にするためには次のようにする。即ち、カートリッジの半 径内位側が溝４に突入している偏心タップ８のヘッドを越えて通過する、即ちク リアするために、この溝の側壁16，20とカートリッジ−スペーサプレートの合体 品の間に特定のフリーギャップが必要であり、このヘッドをクリアした後にはカ ートリッジを半径内方へ押すと、溝13が偏心ヘッドのレベルに達した時点で、カ ートリッジが溝４の底面と当接することが出来る。面16，20の挟角をαと称し、 偏心タップ８のヘッドが厚みｂを有しているならば、カートリッジ面23と溝面20 の間にはｂ・sin αのギャップが偏心タップのヘッドをクリアするために必要で ある。例えば、ｂが４mmで、αが４°であれば、理論的には当該キャップは少な くとも0.28mmになるべきである。この装着の後に、切刃はねじ９により半径方向 で、そして偏心タップ８により軸方向で精密に調節される。この２方向における 調節は互いに完全に独立した状態で為し得るので、得られる位置は所謂1000分の １ゲージを用いて適切に調節される。所定の軸方向と半径方向の位置が得られた とき、切削位置はヘッド本体の貫通ねじ孔21Ａ，21Ｂに夫々螺結されるクランプ ねじ７Ａ，７Ｂによって固定される。これらのクランプねじ７Ａ，７Ｂはカート リッジの実質的に滑らかな面23に直接に 圧力を奏し、それによりカートリッジとスペーサプレート、その結果として更に 切刃が所望位置に固定される。図示例では、２個のクランプねじ７Ａ，７Ｂがあ る。しかし、例えば１個或いは３個のクランプねじ７を持つことはこれまた可能 である。クランプねじ７が半径方向に対し実質的に垂直な位置に装着されるので 、これらは遠心力に抗する位置にも確保されることになる。その上、クランプね じはミリングカッタ本体のアウトバランスに悪響をもたらさない利点を有してい る。 上述の構造により、２μｍの測定精度切刃の半径方向、軸方向の両方における 位置決めで達成される。軸方向と半径方向の夫々の調節範囲は0.5から1.5mmであ り得る。両次元の得られる精密調節により、工作物、例えばアルミの工作で非常 に滑らかな面を工作することが可能になる。更に、切刃が摩耗することにより頻 繁に所望される切削位置の後調節の可能性は、同じ切削インサートを幾度も再研 磨することが出来るので顕著に改良された切削エコノミーを有している。これは 、高価な切削インサート、具体的には切削インサートのコーナの１つにダイヤモ ンドや立方晶ホウ素窒化物のインレイエレメントを具えたインサートを使用する ときに、非常に有益である。

【手続補正書】特許法第１８４条の８ 【提出日】１９９５年５月２３日 【補正内容】 請求の範囲 １．切削インサートがミリングカッタヘッドの周囲にある溝（４）に設置され たカートリッジ（２）によって坦持され、各溝には更にスペーサプレート（３） が設置され、各溝の１側（16）は鋸歯状に加工されていて、スペーサプレート（ ３）の鋸歯状に加工された対応する側と接触し、カートリッジの１側（15）は鋸 歯状に加工されていて、スペーサプレートの鋸歯状に加工された対応するもう１ つの側（17）と接触しており、当該側がスペーサプレート（３）の最初に挙げた 鋸歯側（18）に対し反対側である、斯ゝる構成のミリングカッタヘッドにおいて 、 スペーサプレートの両側（17，18）上の鋸歯方向が互いに実質的に直角であっ て、その鋸歯方向の１つが実質的に軸方向であり、他の鋸歯方向が実質的に半径 方向であり、それにより夫々の鋸歯方向に沿って調節されるようにしたことを特 徴とする、ミリングカッタヘッド。 ２．各溝（４）の対面する両側（16，20）がカートリッジ（２）とスペーサプ レート（３）を遠心力に抗するように固定するために半径外方へ収斂しているこ とを特徴とする、請求項１に記載のミリングカッタヘッド。 ３．カートリッジ（２）を軸方向に調節する偏心タップ（８）がカートリッジ （２）に対し、相対的に半径内方向に配設され、偏心タップ（８）のヘッドがカ ートリッジの半径内位の側にある凹所或いは溝（13）に入っており、該凹所或い は溝（13）で終端になる孔（10）がカートリッジ（２）に配設されていて、この 孔が偏心タップ（８）を回すための適宜のキーを挿入するために設けたものであ ることを特徴とする、請求項１或いは２に記載のミリングカッタヘ ッド。 ４．カートリッジ（２）の半径方向調節用のねじ（９）がカートリッジ（２） の実質的に半径方向に延在する貫通孔（11，12）に配置されることを特徴とする 先行請求項のいづれか１項に記載のミリングカッタヘッド。 ５．１つ或いは幾つかのクランプねじ（７Ａ，７Ｂ）がカートリッジの鋸歯側 に対し反対側のカートリッジ側（23）を押圧するために配置され、当該側が実質 的に滑らかであり、それにより溝にカートリッジとスペーサプレートの両者を固 定するようにしたことを特徴とする、先行請求項のいづれか１項に記載のミリン グカッタヘッド。 ６．カートリッジの滑側（23）とそれに隣接した溝側（20）との間にギャップ があり、当該ギャップの幅がｂ−sin αより大きいか或いは等しい、但しｂは偏 心タップ（８）のヘッドの厚みであり、αは溝の両対向側面（16，20）の挟角で あることを特徴とする、請求項５に記載のミリングカッタヘッド。 ７．溝（４）の両対向側面（16，20）の挟角が２と６°の間、好ましくは3.5 と4.5°の間にあることを特徴とする、先行請求項のいづれか１項に記載ミリン グカッタヘッド。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．切削インサートがミリングカッタヘッドの周囲にある溝（４）に設置され たカートリッジ（２）によって坦持され、更にスペーサプレート（３）が各溝に 設置される、斯ゝる構成のミリングカッタヘッドにおいて、 各溝の１側（16）は鋸歯状に加工されていて、スペーサプレートの対応する鋸 歯加工側（18）と接触しており、カートリッジの１側（15）は鋸歯状に加工され ていて、スペーサプレートの対応したもう１つの鋸歯加工側（17）と接触し、当 該側がスペーサプレート（３）の最初に挙げた鋸歯加工側（18）に対立するもの であり、スペーサプレートの両側（17，18）における鋸歯方向が互いに実質的に 直角であることを特徴とする、ミリングカッタヘッド。 ２．各溝（４）の対面する両側（16，20）がカートリッジ（２）とスペーサプ レート（３）を遠心力に抗するように固定するために半径外方へ収斂しているこ とを特徴とする、請求項１に記載のミリングカッタヘッド。 ３．カートリッジ（２）を軸方向に調節する偏心タップ（８）がカートリッジ （２）に対し、相対的に半径内方向に配設され、偏心タップ（８）のヘッドがカ ートリッジの半径内位の側にある凹所或いは溝（13）に入っており、該凹所或い は溝（13）で終端になる孔（10）がカートリッジ（２）に配設されていて、この 孔が偏心タップ（８）を回すための適宜のキーを挿入するために設けたものであ ることを特徴とする、請求項１或いは２に記載のミリングカッタヘッド。 ４．カートリッジ（２）の半径方向調節用のねじ（９）がカートリッジ（２） の実質的に半径方向に延在する貫通孔（11，12）に配 置されることを特徴とする先行請求項のいづれか１項に記載のミリングカッタヘ ッド。 ５．１つ或いは幾つかのクランプねじ（７Ａ，７Ｂ）がカートリッジの鋸歯側 に対立するカートリッジ側（23）を押圧するために配置され、当該側が実質的に 滑らかであり、それにより溝にカートリッジとスペーサプレートの両者を固定す るようにしたことを特徴とする、先行請求項のいづれか１項に記載のミリングカ ッタヘッド。 ６．カートリッジの滑側（23）とそれに隣接した溝側（20）との間にキャップ があり、当該ギャップの幅がｂ・sin αより大きいか或いは等しい、但しｂは偏 心タップ（８）のヘッドの厚みであり、αは溝の両対向側面（16，20）の挟角で あることを特徴とする、請求項５に記載のミリングカッタヘッド。 ７．溝（４）の両対向側面（16，20）の挟角が２と６°の間、好ましくは3.5 と4.5゜の間にあることを特徴とする、先行請求項のいづれか１項に記載ミリン グカッタヘッド。