【発明の詳細な説明】発明の名称
オニウム塩を含有する空気−活性化し得る重合性組成物技術分野
本発明は、空気−活性化し得る重合性組成物およびその使用に関する。その組
成物は、プライマーを必要とせず、重合体を形成するための1成分系として用い
るのに好適である。該組成物は例えば、接着剤、シーラント、表面被覆、鋳型樹
脂および合成物マトリックスとして有用である。これらの組成物はねじ山−締め
コンパウンド、例えば、ねじ山軸に対する結合ナット、軸套取付け住宅に対する
軸套等に用いるのに特に好適である。技術的背景
アクリル系接着剤の硬化は、2−パーツレドックス系によって開始される。第
1部の開始剤は通常接着剤の基本成分中に存在し、第2部は促進剤または硬化剤
成分中に存在する。広く用いられる
硬化剤の1つはアニリンとn−ブチルアルデヒドの反応生成物である。その反応
生成物はE.I.DuPont De Nemours社に譲渡された米国特許第1,780,334号で先ず知
られている。アニリンとn−ブチルアルデヒドの縮合は、いくつかのコンプレッ
クス構造物を含む多くの生成物を形成する。しかし、大部分の活性成分は、置換
されたジハイドロピリジン(DHP)であるらしい。
2部システムとしてまたはプライマーを用いるシステムとして配合される接着
剤組成物は、E.I.DuPont De Nemours社に譲渡された米国特許第3,890,407号に記
載されている。その組成物はクロロスルホン化ポリエチレンおよび少くとも一種
の重合性ビニル単量体と第1アミン−アルデヒド縮合生成物からなる促進剤との
中のスルホニルクロライドと塩素化ポリエチレンの混合物から選択される硫黄−
含有成分を包含する。米国特許第3,890,407号から分割されたE.I.DuPont De Nem
ours and Co.の米国特許も、クロロスルホン化ポリエチレンが約100のメルトイ
ンデックスを有する枝
分れポリエチレンからつくられることを詳記している。そのクロロスルホン化ポ
リエチレンは、重合体100gについて、約43重量%の塩素と、約34ミリモルのス
ルホニルクロライドを含有し、組成物はまたメチルメタクリレート、氷状メタク
リル酸およびエチレングリコールジメタクリレートの混合物を含有する。米国特
許第3,890,407号から同様に分割された他の米国特許第4,106,971号は、上記接着
剤組成物を含有する2表面を結合する方法に関する。
アルデヒドと第1または第2アミンの縮合反応生成物を含有する結合促進剤は
、硫黄−含有フリーラジカル促進剤または酸化性遷移金属を含有する化合物を含
む還元活性化剤と共に、ロクタイト社に譲渡された米国特許第3,599,438号によ
り周知である。そのような縮合反応生成物もまた、重合性アクリレートエステル
単量体と、パーオキシ重合開始剤とに関連して用いることが知られている(ロク
タイト社の米国特許第3,616,040号)。
ロクタイト社に譲渡された米国特許第4,430,
480号は、少くとも1種の重合性ビニル単量体中のクロロスルホン化ポリエチレ
ンの溶液、少くとも1種のフリーラジカル開始剤からなる重合触媒およびブチル
アルデヒドとアニリンとの間の縮合反応生成物の少くとも70%からなる活性化剤
組成物を含有する第2成分を含む接着剤組成物に関する。N−フェニル−3、5
−ジエチル−2−プロピル−1、2−ジハイドロピリジン中にその縮合反応生成
物が少くとも約70重量%の濃度に高められたこのタイプの改善された接着剤組成
物は、米国特許第4,430,480号で知られている。
National Starch & Chemical社に譲渡された米国特許第4,602,073号2−パー
ツ接着剤を記載している。その第1部は任意に置換された重合性アクリル系単量
体、ジアゾニウム塩開始剤および任意に安定剤としてのルイス(Lewis)酸また
は塩の混合物からなり、また第2部は活性化剤として第1部のジアゾニウム塩開
始剤の分解を引き起こすアルデヒド−アミン縮合生成物を含有する。National S
tarch & Chemical社に譲渡された米
国特許第4,656,229号もまた任意に置換されたフリーラジカル重合性アクリル系
単量体とジアリールヨードニウム塩開始剤を含有する第1部および活性化剤とし
てアルデヒド−アミン縮合生成物を含有する第2部を利用する同様な2−パーツ
嫌気的硬化性接着剤組成物を記載している。
しかし、アルデヒド−アミン縮合反応生成物に基づく多くの上記組成物は、2
−パーツシステムであり、かかるシステムと関連する使用による不利と制限を受
ける。
好気的または嫌気的に重合すると記載されている接着剤組成物は、Bachmannの
米国特許第4,348,503号およびそれから分割された第4,429,088号に示されており
、芳香族パーエステルフリーラジカル先駆物質、有機酸ならびに、遷移金属硬化
促進剤の可溶性化合物を含む触媒系と共に、フリーラジカル重合し得るアクリル
エステル単量体およびモノマー性のポリアクリレートエステルプレポリマーを含
有する。しかし、この組成物には、アミン−アルデヒド縮合物の如き別の活性化
剤が必
要である。
Minnesota Mining and Manufacturing社に譲渡された米国特許第4,452,955号
は、少くとも1種のα−、β−不飽和カルボキシル官能基を有する重合性単量体
と促進剤として有機スルフォイミドまたはパーフルオロアルキルスルホンアリニ
ドを、促進剤と接触して不飽和カルボキシル官能基の重合を遅らせるためのフリ
ーラジカル重合開始剤および第1または第2アミンの縮合反応生成物と共に含有
する接着剤組成物を記載している。
フリーラジカル重合性組成物は、Henkel KGAのヨーロッパ特許明細書第0,356,
875号に記載されている。これらは本質的に不飽和の重合性化合物を酸素と水に
よって重合開始し得る活性化剤系と共に含有する。その系は、α位に少くとも1
個のCH結合をもつN−アルキル−置換t−アリールアミン、不飽油の乾燥を促進
させるために通常用いられ、少くとも組成物に部分溶解し得る金属化合物および
湿分と接触して遊離カルボキシル酸に加水分解する約0.9以上のpKa値を有す
る弱酸
性カルボキシル酸の化合物を含有する。
N−アルキル−置換t−アリールアミンは特に一般式:
(式中、R1’は任意に置換されたアリール基、さらに特に、任意にアルキル−
置換されたフェニル基であり、R2’はR1’と同じ意味を有するかまたは任意に
置換された直鎖状または分枝鎖状アルキル基である。また、R3’は置換されて
いてもよい直鎖状または分枝鎖状アルキル基であるが、窒素についてのα−位に
少くとも1個の水素原子を含有する。)
に相当する。これらの組成物は、硬化反応をもたらす水と酸素の作用いかんで決
まる。それだけでは、それら配合組成物は湿気条件に著しく依存する。
Henkel KGaAのW091/10687-Aは、フリーラジカル重合性の不飽和オレフィン化
合物および嫌気的
条件下に調製され貯蔵されたヒドラゾン化合物の混合物を含有する空気−活性化
し得る接着剤組成物を記載している。そのヒドラゾンは、アルデヒドおよび/ま
たはケトンのアルキル、シクロアルキルおよび/またはアリールヒドラゾンであ
り、空気と反応させて重合開始剤として有用なハイドロパーオキシドを形成する
ことが要求される。1成分組成物は空気の不存在下で安定である。
ロクタイト社(Ireland)のEP A 0502733(その内容は、本明細書中に紹介さ
れている)は、次の成分からなる1−パーツ型の空気−活性化し得る重合性組成
物を記載している。
(a)少くとも1種のフリーラジカル的重合性単量体および、
(b)フリーラジカル的重合性単量体の重合に有効な活性化剤系であって、該活性
化剤系は、構造I:
(ここに、Xは0または1であり、満たされていない原子価を表す線は、単独で
または弱酸と結合せて炭素、水素またはヘテロ原子への結合手を示している;た
だし、X=0のときは、構造Iの窒素原子は第2の窒素原子に結合せず;X=1
の
成しない化合物中に構造Iがある。)を含有する式の少くとも1種の自動−酸化
性化合物を含有する。ただし、その組成物が過酸化物を含まず、あるいは空気の
不存在下にまたは空気不存在下で重大なラジカル源である成分の不存在下にパー
オキシドを生成する過酸化物先駆物質を含まないという条件においてである。
好ましい自動−酸化性化合物は部分水素化ピリジン、環状ケトンとウレアの縮
合生成物、シッフ
塩基(Schiff's bases)インドール、ピロール、イミダゾール、ピペラジン、カ
ルバゾール、テトラハイドロキノンおよびそれらの置換誘導体、特にジハイドロ
ピリジンよりなる群から選択される。
弱酸の存在は、一般に部分水素化ピリジンを得る満足な自動−酸化速度を達成
するために好ましい。EP A 0502733のジハイドロピリジンを用いる実施例の大部
分は、配合組成物中にアクリル酸を有する。用いられる他の酸はメタクリル酸、
トリクロロ酢酸、シアノ酢酸、サリシル酸、安息香酸、酢酸およびサッカリンで
ある。
組成物はまた可溶性イオン塩、特にコバルトまたは鉄塩を含んでいてもよい。
EP A 0502733に記載されているような組成物は、空気の不存在下の貯蔵に安定
で、空気にさらすことによって活性化され、ついで空気の存在または不存在のい
すれでも硬化するであろう。しかし、揮発性酸、特にアクリル酸は操作雰囲気に
においの問題を引き起す。
DD 287,796 A6は、データ記録およびプリント
基板、印刷回路、光硬化性接着剤ならびに表面被覆の製造のためのシステムに有
用なスペクトル感光性の光重合性材料を記載している。その材料は310〜420nm
の範囲のUV近傍と短波長可視光に高い感受性を有する。材料は、3−位と5−
位に電子−吸引性置換基(エステル、酸、ケトン、アミドまたはニトリル基)を
有するある種の光−吸引性1、4−ジハイドロピリジンとヨードニウムおよびス
ルホニウム塩を包含する一連のオニウム塩の1つとを有する開始剤系を有する。
3−および5−位で共鳴相互作用し得る電子−吸引性置換基が、結合を引き延ば
すことによって、1、4−ジハイドロピリジンを安定化することが知られている
(Chemical Reviews,Vol.72、No.1、1972、ページ1〜42の3ページのUlli Eis
nerおよびJo-sef Kuthanによる“ジハイドロピリジン類の化学”)。そのような
安定化された1、4−ジハイドロピリジンは酸素と反応性ではなく、また重合の
開始に空気を包含することについて詳細に言及されていないことは注目すべきで
ある。それ故
DD 287,796 A6は空気−活性化し得る組成物については全く教示がないが、そこ
に記載された特定の1、4−ジハイドロピリジンの安定性と光−吸収特性による
ものである。発明の内容
本発明の目的は、空気の不存在下の貯蔵に安定で、空気にさらすことにより(
光−活性化の必要なしに)活性され、ついで空気の存在または不存在で硬化し、
満足な自動−酸化の遂行に弱酸の存在を必要としない1成分型基質−不感受性の
重合し得る組成物を提供することにある。また、この発明の目的は、光開始を必
要としない空気−活性化し得る組成物を提供することにある。
本発明によれば、次の空気−活性化し得る重合性組成物が提供される:
(a)フリーラジカル的に重合し得る単量体、およびフリーラジカル重合性単量体
の効果的重合のための活性化剤系からなり、該活性化剤系は、下記(b)〜(d)成分
を包含する。
(b)式II:
(ここに、同じでも異なっていてもよいR1〜R7は、水素、ハイドロカルビルな
らびにヘテロハイドロカルビル基、シリル基および前記基の置換誘導体から独立
して選択され、基R1〜R7のいずれか2つが一緒になって任意に縮合環であって
もよく、またもし基R1〜R7が重合を妨害することが知られた基でなく、式II(i
v)の1、4−ジハイドロピリジンの場合、3−位と5−位での基R2とR5が共に
電子−吸引性基でないならば、次々に置換されていてもよいモノ−またはポリシ
クリック環を形成する。)から選択される一般式
を有するジハイドロピリジンである自動−酸化性化合物。
(c)重合を妨害しないジアゾニウム、ヨードニウムおよびスルホニウム塩から選
択されるオニウム塩および、
(d)可溶性イオン塩(ただし、組成物がパーオキサイドを含まず、または空気の
不存在下にパーオキサイドをつくるパーオキサイド先駆物質、もしくは空気の不
存在下で有意のラジカル源である成分を含まない、という条件で)。
自動−酸化性化合物(b)としては、式II(iv)の1、4−ジハイドロピリジンお
よび式II(v)の1、2−ジハイドロピリジンが好ましく、1、2−ジハイドロピ
リジンが最も好ましい。式II(iv)または(v)の化合物中のR7は、水素以外が好ま
しく、一層好ましいものは、電子−吸引性基である。式II(iv)の1、4−ジハイ
ドロピリジンの場合、3−位および5−位の基R2とR5は共に、エステル、酸、
ケトン、アミドまたはニトリルのような電子吸引性基であってはならない。それ
はそれら
の基が1、4−ジハイドロピリジンを空気酸化させるからである。親1、4−ジ
ハイドロピリジンを含む他の1、4−ジハイドロピリジン類は、空気と急速に反
応する[N.C.CookとE.J.Lyons,J.Amer.Chem.Soc.,87,3238(1965)]。
ここに用いられる用語“ハイドロカルビル”は次の内容を含有する。
(1)好ましくは1〜20、さらに好ましくは、1〜10、最も好ましくは、1〜5個
の炭素原子を有するアルキル、アルケニルならびにアルキニル:および好ましく
は3〜30、さらに好ましくは、5〜20個の炭素原子を含有する、環構造の部分を
形成するアルキレンならびにアルケニレン基を包含する直鎖状または分枝線状も
しくはアリシクリック脂肪族基。
(2)好ましくは、6〜20炭素原子、さらに好ましくは6〜10炭素原子を含有し、
また任意に縮合環構造を含有するアリール、アルカリルおよびアラルキル基を含
む芳香族基。
ここに用いられるような用語“ヘテロハイドロ
カルビ”は酸素、窒素または硫黄から選択された1またはそれ以上の原子によっ
て中断された上記のようなハイドロカルビル基を包含する。
ここに用いられている用語“置換された”または“置換誘導体”は1またはそ
れ以上の酸素、窒素、硫黄もしくはハロゲン原子または原子−含有部分で置換さ
れあるいは1またはそれ以上の酸素、窒素、硫黄もしくはハロゲン原子または原
子−含有部分で置換された1またはそれ以上のハイドロカルビル、ヘテロハイド
ロカルビルもしくはシリル基で置換された適切な基を包含する。好ましくは、R1
〜R7および/またはR1〜R7基のどれか2つによって形成されたリング上の置
換分は水素またはメチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ベンジル、ア
ミドもしくはトリメチルシリル基である。ハロゲンは、塩基、臭素、弗素または
沃素である。
好ましくはオニウム塩は、次のものから選択される。
一般式III:
[ArN=N+]aX(-)a
[式中、aは塩の原子価電荷を等しくするようにされる1、2または3の整数で
あり、Arはアリールまたは置換アリール基(ジアゾニウム−置換アリール基を
含む)であって、また、Xはアニオンである。]に相当する安定化されたまたは
安定化されていないジアゾニウム塩、または一般式IV:
R8−I+−R9
X-
(式中、同じでも異なっていてもよいR8とR9は、アリールもしくは置換アリー
ル基から選択され、またX-は1価のアニオンである。)に相当するヨードニウ
ム塩、または一般式V:
(式中、同じでも異なっていてもよいR10、R11
およびR12は、アリールまたは置換アリール基(縮合環置換アリール基を含む)
から選択され、またXは1価のアニオンである。)に相当するスルホニウム塩。
置換アリール基または属は例えばアルキル、アルコキシ、アルケニル、シクロ
アルキル、シクロアルケニル、アリール、クロロ、フロロ、ブロモ、ヨードおよ
びニトロ基で置換されていてもよい。スルホニウム塩の場合には、アリール基ま
たは属は、チオフェノキシ基で置換されていてもよい。
基アルキル、アルコキシ、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルは
好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜10、最も好ましくは1〜5個の炭素原
子を含有する。またアリール基は、好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜10
炭素原子を含有する。
式IIIのジアゾニウム塩において、Xは好ましくは通常知られた塩に見出され
、また塩のアリールジアゾニウムカチオン部分に対して対向成分(counterion)
として作用するように働くような
アニオンである。Xは最も好適には、米国特許第4,602,703号に記載のものから
選択され、その内容はここに紹介されていて、例えばF-、Cl-、Br-PF6 -
およびBF-を包含する。
式IVのヨードニウム塩および式Vのスルホニウムにおいて、X-は1価アニオ
ン、例えば、F-、Cl-、Br-、BF4 -、SbF6 -、PF6 -またはAsF6 -で
ある。
好ましい可溶性イオン塩(d)は、一般に油乾燥技術に用いられるタイプの金
属塩類である。その金属は、数種の原子価状態を有し、好適な金属塩は、多原子
価金属類、特に遷移金属類のそれである。金属イオンは好ましくはそれらの低原
子価状態で存在する。その金属塩は、少くとも組成物中に部分溶解しなければな
らず、一般に約1〜約1,000ppm、好ましくは約30〜200ppmの範囲の有効量が組成
物中に存在し得る。
金属の選択は、温度が工程中の金属成分に依存するので重合開始速度決定効果
を与える。鉄、コバルト、マンガンおよびバナジウムは室温で高活
性である。さらにこれら金属の化合物類は、鉛、セリウム、銅、カルシウム、バ
リウム、亜鉛および/またはジルコニウムの如き他の金属成分の1種またはそれ
以上と混合することができる。
金属ナフテネートまたは金属アセチルアセトネート類は、一般に組成物に可溶
性であるが、他の塩類や有機金属化合物類は、それらが充分に可溶性であるなら
ば使用できる。
フリーラジカル重合性単量体は、アクリレート、メタクリレート、スチレン、
マレエートエステル、フマレートエステル、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッ
ド樹脂、チオール−エン構成成分およびシリコーンやウレタン類を含有するアク
リレート、メタクリレートまたはビニル末端樹脂の如き、オレフィン性の不飽和
系のものから選択される。好適なアクリレートおよびメタクリレートは、Bachma
nらの米国特許第4,963,220号およびRay-Chaudhuriらの米国特許に記載されてい
るような重合系に用いられているそれらである。特に好ましいものは、ヒドロキ
シプロピルメタクリレートの如
きヒドロキシル−含有メタクリレート類、特にヒドロキシアルキルメタクリレー
ト類である。また好ましいものは、接着剤(例えばDouekらの米国特許第4,092,3
76号に記載のような)またはチオール−エン(例えば米国特許第3,661,744号、
第3,898,349号、第4,008,341号または第4,808,638号に記載されるような)の配
合処方に有用であることが知られたタイプのメチルメタクリレート、多官能性メ
タクリレート、シリコーンジアクリレートおよび多官能性アクリレート化ウレタ
ン類である。
自動酸化性化合物(b)は、配合処方内の大気酸素と、好ましくは例えばここに
またはEP 0502733Aに記載されるようなフリーラジカルメカニズムによって反応
し得るジハイドロピリジンである。
本発明の組成物に自動酸化性化合物として用いるのに好適な化合物の例は次の
通りである。
N−フェニル−2−プロピル−3、5−ジエチル−1、2−ジハイドロピリジン
N−(4−メチルフェニル)−2−プロピル−3、5−ジエチル−1、2−ジハ
イドロピリジン
N−(4−メトキシフェニル)−2−プロピル−3、5−ジエチル−1、2−ジ
ハイドロピリジン
N−デシル−2−プロピル−3、5−ジエチル−1、2−ジハイドロピリジン
2−プロピル−3−エチル−1、2−ジハイドロキノリン
自動−酸化性化合物は、一般に大気の酸素にさらすとき組成物の重合を起こさ
せる有効量が存在するであろう。そのような有効量は一般に重合性組成物の重量
に基づいて約0.1〜約20%、好ましくは約0.1〜約10%、さらに好ましくは約0.5
〜約5%の範囲内である。
オニウム塩は、ジアゾニウム、ヨードニウムまたはスルホニウム塩もしくはそ
れらの組合せから選択される。用いられるオニウム塩の選択は用いられている自
動酸化性化合物に大いに依存する。好適なオニウム塩は、カチオン重合性単量体
および樹脂用のカチオン光開始剤として知られたものから選択される。
ジアリールヨードニウム、トリアリールスルホニウムおよびアリールジアゾニ
ウム塩から選択される好適なオニウム塩の実施例は、代表的であるが限定されな
い。以下は本発明の組成物に用いられるのに好適な化合物の例である。
4−メトキシベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート
ベンゼンジアゾニウム テトラフルオロボレート
ジフェニル ヨードニウム クロライド
ジフェニル ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート
4、4−ジオクチルオキシジフェニル ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェ
ート
トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート
ジフェニル トリルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート
フェニルジトリル スルホニウムヘキサフルオロアルセネート
ジフェニル チオフェノキシフェニル スルホニウムヘキサフルオロアンチモネ
ート
組成物はさらに、還元剤、増稠剤、充填剤、顔料およびフリーラジカル重合安
定剤を任意に含有させることができる。商業的組成物にとってはフィラーおよび
/または増稠剤の存在は好ましい。充填されたおよび/または増粘された組成物
は通常、光−重合性ではない。好適な還元剤はアセチルフェニルヒドラジン、テ
トラメチルチオウレアまたはチオカプロラクタムであるがこれらに限定されない
。
重合体増稠剤が組成物中に約50%までの少量存在させることができ、低または
高分子量の樹脂またはプレポリマーの如き増稠剤であってもよい。好適な重合体
増稠剤はE.I.DuPont De Nemours and Companyによって商品名ELvaciteとして市
販され、または商品名Ryloidとして市販されている商業的に利用し得るメタクリ
レート重合体であり、同様にスチレン−メチルメタクリレート共重合体およびポ
リビスフェノールAマレエート(ICI アメリカ社より商品名Atlacとして販売さ
れている)である。また微細に分割されたシリカ、ヒューム
ドシリカ(処理されたまたは非処理)、モンモリナイト、クレー、ベントナイト
等のような不活性充填材料を加えることもできる。微粉化されたシリカを使用す
ると糊様のチキソトロピック組成物となるであろう。
さらに、粘度の調製、耐衝撃性の改善その他の目的のために、接着剤配合組成
物に木粉、ガラスファイバー、綿くず、マイカ、アルミナ、シリカ等の如き、あ
る種の“不活性”充填剤を含有させることが通常である。そのような充填剤は本
発明の配合処方に併用することができる。またガラスおよび類似の表面に対する
接着剤の結合力を増大すると同様に耐湿性を増大させるために少量のシラン単量
体を加えることができる。染料、火炎遅延剤、キノンおよびハイドロキノンの如
き安定剤、チキソトロープ、可塑剤、抗酸化剤等のような他の物質もまた含有さ
せ得るが、そのような添加剤はしばしば主要成分に供給されるが、個々の導入は
無益となる。
パーオキサイドまたは空気の不存在下でパーオ
キサイドを形成するパーオキサイド先駆物質または空気の不存在下で重要なラジ
カル源である成分は組成物中に含有されるべきでない。それはフリーラジカル重
合性単量体の重合が、酸素にさらされるまでに開始しないためである。
本発明の組成物は好適には0.1〜20重量%の自動−酸化性化合物、0.1〜20重量
%のオニウム塩および少くとも10重量%のフリーラジカル重合性単量体を含有し
、残部はイオン塩、増粘剤、フィラー、顔料、還元剤および/または安定剤で、
全成分は100%まで加えられる。フィラーまたは増粘剤を含有する組成物の場合
には、フリーラジカル重合性単量体の含量は好適には60重量%までであろう。
本発明はまた上記のような組成物で結合すべき少くとも一方の基質を被覆する
こと、重合を活性化する充分な時間、その組成物を酸素にさらすことおよび2つ
の基質を合体することからなる2基質を結合する方法を提供する。典型的には少
くとも約5秒であるが、好ましくは少くとも約30秒空
空気にさらすことが適当である。
さらに本発明は上記組成物を例えば局部被覆、カプセル化、鋳型等に重合体を
形成すること、重合を活性化する充分な時間、酸素にさらすことからなる方法を
提供する。代表的には少くとも約5秒であるが、好ましくは少くとも約30秒空気
にさらすことが適当である。
上記組成物は空気の不存在下に調製するとき安定である。空気にさらすと組成
物は重合し空気へのはじめの暴露がなされると、空気の存在下または不存在下で
重合は継続する。代表的には空気への暴露は少くとも約5秒間、好ましくは30秒
以上、さらに好ましくは1〜5分であろう。その組成物は310〜420nmの光にさ
らす必要はない。産業上の応用性
本発明の組成物は真の1成分型重合性組成物で、2成分型組成物よりもずっと
単純に使用される。しかもそれらは酸素フリーの状態下で配合され不活性ガスの
もとでシールされた容器内に貯蔵されるとき良好な安定性を有する。それらの重
合メカ
ニズムは基質とは無関係であり、光−開始を必要とせず、従って、広範な適応性
を有する。さらに厚い結合ラインにおける均一な硬化分布を達成することが可能
である。その上、その組成物は急速な固着時間と良好な結合強度を有する。さら
にそれらは揮発性の弱酸を利用しない。空気−活性化し得る組成物の活性化剤系
に中性塩および強酸の塩であるオニウム塩が弱酸に代り得ることは驚きである。発明の実施モード
本発明は、次の実施例によりさらに充分に理解されよう。実施例1
接着剤組成物を、ヒドロキシプロピルメタクリレート(10g)、商業的に利用
し得るスルホニウム塩、GE UVE 1014(Gneral Electric社より供給される専売の
アリルスルホニウム塩配合物)(0.5g)およびメチルメタクリレート20部とコ
バルトナフテネート6%の炭化水素溶液一部からなるコバルトナフテネート溶液
0.5gを配合すること
によって調製した。この配合組成物をアルミニウム管(容量約25ml)に加え、溶
解酸素を除去するために2分間、注射針によってアルゴンガスの一定流にさらし
た。その組成物にN−フェニル−2−プロピル−3、5−ジエチル−1、2−ジ
ハイドロピリジン(0.5g)をアルゴン雰囲気下に加えた。さらに、約30秒間ア
ルゴンガスをバブリングさせたのち、アルミニウム管をクリンピングによってシ
ールし、かくして組成物の上部空間のアルゴンガスをトラップ止めした。配合組
成物の成分類を充分混合するため、アルミニウム管を10〜20秒間振った。
接着剤を次のようにテストした:接着剤サンプルをアルミニウム管から絞り出
し、細砂吹付け軟鋼ラップ(4×1インチ)に塗布して厚さ約0.1mmのfilmを形
成させ、空気にさらして所定間隔(以降は開放時間として照会される)で測定し
た。ついでラップを0.5インチのオーバーラップ部で接着剤接合を形成するよう
一体化した。空気にさらすことによって活性化された結果として急激な
固着が観察された。上のように組合わされた接着剤の結合力は室温で充分に硬化
し、ASTM 603によって24時間後にテストしたものである。この接着剤での開放時
間の範囲で得られた結合強度のデータを下掲表1に示した。
実施例2
次の成分を含有する一連の接着剤組成物2(a〜d)を実施例1に記載の手順
を用いて調製した。
空気にさらして活性化したのちの配合組成物の接着剤の性能を実施例1に概設
したようにテストし、その結果を表2に表した。表2にはまた3Kg固着時間、す
なわち結合組立が(ASTM 603)に従って規定されるような3Kg重を支持した後の
最小時間を含んでいる。
実施例3a
ヒドロキシプロピルメタクリレート(8.5g)、0.1%第2鉄(アセチルアセト
ネート)3含有ヒドロキシプロピルメタクリレート溶液(1.0g)、
N−フェニル−2−プロピル−3、5−ジエチル−1、2−ジハイドロピリジン
(0.5g)およびジフェニルインドニウムクロライド(0.5g)を含有する接着剤
組成物を実施例1に記載の手順を用いて調製した。配合組成物の接着性能を実施
例1に概説したようにテストした。
実施例3b
ヒドロキシプロピルメタクリレート(7.8g)、0.1%第2鉄(アセチルアセト
ネート)3含有ヒドロキシプロピルメタクリレート溶液(1.5g)、N−フェニル
−2−プロピル−3、5−ジエチル−1、2−ジハイドロピリジン(0.5g)お
よびジフェニルヨードニウムクロライド(0.2g)を配合
することによって実施例1に記載の手順を用いて接着剤組成物を調製した。配合
組成物の接着性能を実施例1に概説されたようにテストし、表3bに表示した。
実施例4
ヒドロキシプロピルメタクリレート、第2鉄(アセチルアセトネート)3 0.1
%含有ヒドロキシプロピルメタクリレート溶液、N−フェニル−2−プロピル−
3、5−ジエチル−1、2−ジハイドロピリジンおよび4、4’−ジオクチルオ
キシジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート(II)を下に略記の濃度
で配合することによって、実施例1に記載の手順を用いて一連の接着剤組成物4
(a〜d)を調製した。
空気にさらすことによる活性化の後の配合組成物の接着剤性能を実施例1に概
説のようにテストし、その結果を表4に示した。また表には3Kg固着時間のデー
タも含めた。
実施例5
ヒドロキシプロピルメタクリレート(10.0g)、N−フェニル−2−プロピル
−3、5−ジエチル−1、2−ジハイドロピリジン(0.5g)およびメ
チルメタクリレート20部と、コバルトナフトネートの6%炭化水素オイル溶液一
部とからなるコバルトナフトネート溶液0.5gならびに、Asahi Denka東京)から
P−33として供給される専売的ベンゼンジアゾニウム塩配合物(0.5g)を配合
することにより、実施例1に記載の手順を用いて接着剤配合組成物を調製した。
この配合組成物の接着剤性能を実施例1のようにして測定し下に表示した。
実施例6
ヒドロキシプロピルメタクリレート(10.0g)、N−フェニル−2−プロピル
−3、5−ジエチル−1、2−ジハイドロピリジン(0.5g)、メチルメタクリ
レート20部とコバルトナフテネートの6%ハイドロカーボンオイル溶液一部から
なるコバ
ルトナフテネート溶液10gおよびAsahi Denka(東京)よりP−33の名称で供給
された専売的ベンゼンジアゾニウム塩配合組成物(0.5g)を配合処方すること
によって実施例1に記載の手順を用いて接着剤組成物を調製した。この配合組成
物の接着剤性能を実施例1のとおりに測定し次に示した。
実施例7
ヒドロキシプロピルメタクリレート(10.0g)、N−フェニル−2−プロピル
−3、5−ジエチル−1、2−ジハイドロピリジン(0.5g)、およびメチルメ
タクリレート20部とコバルトナフテネートの6%ハイドロカーボンオイル溶液一
部とから
なる鉄(III)ナフテネート溶液0.5gならびにAsahi Denka社(東京)によってP
−33として供給されている専売的ベンゼンジアゾニウム塩配合物(0.5g)を配
合することにより実施例1に記載の手順を用いて接着剤配合組成物を調製した。
この配合処方の接着剤性能を実施例1のとおりに測定し下に表示した。
実施例8a
ヒドロキシプロピルメタクリレート(7.7g)、0.1%フェリック(アセチルア
セトネート)3含有ヒドロキシメタクリレート溶液(1.5g)、N−デシル−2−
プロピル−3、5−ジエチル−1、2−ジハイドロピリジン(0.5g)およびジ
フェニ
ルヨードニウムクロライド(0.3g)からなる接着剤配合組成物を実施例1に記
載の手順を用いて調製した。配合組成物の接着剤性能を実施例1に概説のように
空気中で活性化してテストし表8aに示した。
実施例8b
ヒドロキシプロピルメタクリレート(7.2g)、0.1%フェリック(アセチルア
セトネート)3含有ヒドロキシプロピルメタクリレート溶液(2.0g)、N−デシ
ル−2−プロピル−3、5−ジエチル−1、2−ジハイドロピリジン(0.5g)
およびジフェニルヨードニウムクロライド(0.3g)を配合することにより実施
例1に記載の手順を用いて接着剤配合組成物を調製した。その配合組成物の接着
剤性能を実施例1に概説のようにテストし
表8bに示した。
実施例9
ヒドロキシプロピルメタクリレート、0.1%フェリック(アセチルアセチルア
セトネート)3含有ヒドロキシプロピルメタクリレート、N−フェニル−2−プ
ロピル−3、5−ジエチル−1、2−ジハイドロピリジおよびジ−4、4’−オ
クチルオキシフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェートを次の濃度で配
合することによって実施例1に記載の手順を用いて一連の接着剤組成物9(a〜
c)を調製した。
配合組成物の接着性能を前の実施例に概説されたように空気中で活性化してテ
ストした。
実施例10
ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、コバルト1000ppm(6%コバル
トナフトネート塩の炭化水油溶液の形で)含有ヒドロキシプロピルメタクリレー
ト溶液、N−フェニル−2−プロピル−3、5−ジエチル−1、2−ジハイドロ
ピリジンおよびGeneral Electric社からGE UVE 1014の
名称で供給されている専売アリールスルホニウム塩配合物を下記の濃度で実施例
1に記載の手順を用いて調製した。
この配合組成物の接着性能を実施例1に記述のようにテストした。
実施例11
下記成分を含有する接着剤配合組成物を実施例のように調製した。
この配合組成物についてガラス基質上の組成物
を暗部で空気にさらすことによって3Kg固着時間を測定した。2分の開放時間で
の固着時間は組成物を大気光中で光にさらすときに得られる結果と同じ20分が観
察された。実施例12(比較)
ヒドロキシプロピルメタクリレート(8.75g)、0.1フェリック(アセチルア
セトネート)3含有ヒドロキシプロピルメタクリレート(0.5g)、ジエチル1、
4−ジヒドロ−2、4−トリメチル−3、5−ピリジンジカルボキシレート(0.
5g)およびジフェニルヨードニウムクロライド(0.25g)を配合することによ
って、実施例1に記載の手順を用いて接着剤組成物を調製した。その組成物の接
着剤性能を実施例1に略述のようにテストし、表11に示した。
この接着剤配合組成物は空気に30分までの自由接触後でも固着しなかった。
この式XXIIを有する1、4−ジハイドロピリジンは3−と5−位の電子−吸引
性エステル基によて安定化され、自動酸化性化合物としては機能しない。