JPH084952A - 建物耐火スラブの貫通部防火構造及びその工法 - Google Patents

建物耐火スラブの貫通部防火構造及びその工法

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JPH084952A
JPH084952A JP6139846A JP13984694A JPH084952A JP H084952 A JPH084952 A JP H084952A JP 6139846 A JP6139846 A JP 6139846A JP 13984694 A JP13984694 A JP 13984694A JP H084952 A JPH084952 A JP H084952A
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JP
Japan
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fireproof
slab
hole
frame material
refractory
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JP6139846A
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English (en)
Inventor
Kenjiro Kori
健次郎 郡
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Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた延焼防止性能及び漏煙防止性能を維持
しつつ、従来にもましてより軽量であって、しかも、施
工作業性もより向上する建物耐火スラブの貫通部防火構
造とその工法を提供する。 【構成】 建物の耐火スラブに開設された貫通孔に網状
の金属製枠材料で上部が開口する防火空間を形成すると
共に、この防火空間の上方に金属製型枠材料で連通する
防火空間を形成し、この両防火空間内に吸熱性・熱膨張
性顆粒状耐火充填材を充填して貫通部防火構造を構成し
た。この構造は、主に、網状金属製枠材料を貫通孔に挿
入した後、耐火スラブ上面に金属製型枠材料を固定し、
これらの枠材料で形成される各防火空間に上記顆粒状耐
火充填材を密に充填する等の工程により施工する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、一般ビル、マンショ
ン、病院、百貨店、工場等の比較的大きな建物におい
て、その建物を構成する壁、床等の耐火スラブを貫通し
て電気通信設備等のケーブル配線やその他の配線、配管
等を行う際に、この貫通孔の空間部において延焼や漏煙
を防止するために適用される建物耐火スラブの貫通部防
火構造及びその工法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、大きな建物においては、その建
物が出火した場合に建物全体に延焼するのを防止するた
め、壁、床等の耐火スラブにより建物を適当な大きさの
幾つかの区画に仕切って防火区画とする建築構造が採ら
れている。そして、この防火区画を構成する耐火スラブ
を貫通して例えばケーブル配線を行う場合、この耐火ス
ラブの予め設計された位置に貫通孔を設け、この貫通孔
を利用してケーブル配線を行うようにしている。
【0003】このような貫通孔については、これを利用
して施設されるケーブルの増設等に対応できるように通
常大きめに形成されており、これをそのまま放置する
と、火災が発生した際に貫通孔とケーブルとの間に生じ
た隙間やケーブルの銅線を被覆するゴム、プラスチック
等の可燃物を介して一方の防火区画から他方の防火区画
へと延焼し、壁や床等の耐火スラブを設けて防火区画を
形成した意味を失う結果となる。
【0004】このため、従来においては、壁や床等の耐
火スラブにケーブル施設用等の貫通孔を開設した場合、
ケーブル等の施設後にこの貫通孔の空間部を例えば無機
繊維やコンクリート、モルタル等で塞いで延焼を防止す
るための延焼防止処理が行われている。
【0005】また、本出願人も、このような延焼防止処
理の作業性を向上させることができ、しかも、より優れ
た延焼防止性能や漏煙防止効果を発揮し得る建物耐火ス
ラブの貫通部防火構造について提案している(特開平一
138921号、特開平4−19477号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、優れ
た延焼防止性能及び漏煙防止性能を維持しつつ、従来に
もましてより軽量であって、しかも、施工作業性もより
向上する建物耐火スラブの貫通部防火構造とその工法を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の建物
耐火スラブの貫通部防火構造は、建物の耐火スラブに開
設された貫通孔に網状の金属製枠材料で上部が開口する
防火空間を形成すると共に、この防火空間の上方に金属
製型枠材料で連通する防火空間を形成し、この両防火空
間内に吸熱性・熱膨張性顆粒状耐火充填材を充填したこ
とを特徴とするものである。
【0008】また、本発明の貫通部防火構造は、上記の
技術的手段において、網状金属製枠材料の下部に形成さ
れる底部に無機質繊維製閉塞部材を敷設すると共に、吸
熱性・熱膨張性顆粒状耐火充填材が充填された金属製型
枠材料の上部開口部に無機質繊維製閉塞部材をかぶせる
ことを特徴とするを特徴とするものである。
【0009】更に、本発明の建物耐火スラブの貫通部防
火工法は、建物の耐火スラブに開設してケーブルを貫通
させる貫通孔に貫通部防火構造を施工する工法であっ
て、下記の各工程、(a)無機質繊維製閉塞部材を所定
の形状に切断し、網状金属製枠材料の下部底部の全面を
覆うように敷き詰める工程、(b)網状金属製枠材料
を、貫通孔を貫通しているケーブルに巻き付けた後、ケ
ーブルに沿って押し下げることにより貫通孔に挿入する
工程、(c)貫通孔の内部一杯に網状金属製枠材料を広
げ、その枠材料の上部に形成されるつば部を貫通孔外縁
の耐火スラブ上面に係止させると共にその枠材料の下部
底部に無機質繊維製閉塞部材を押し広げながら密着させ
る工程、(d)耐火スラブ上面側のケーブル周辺に金属
製型枠材料を回し、網状金属製枠材料の上部つば部を完
全に取り囲む位置で金属製型枠材料の端部どうしを結合
させた後、金属製型枠材料の下部に形成されるつば状ス
トッパーを耐火スラブ上面に固定する工程、(e)網状
金属製枠材料と金属製型枠材料とで形成される防火空間
内に、吸熱性・熱膨張性顆粒状耐火充填材を金属製型枠
材料の上部まで密に充填する工程、(f)金属製型枠材
料の上部に無機質繊維製閉塞部材をかぶせる工程、
(g)ケーブルと無機質繊維製閉塞部材との隙間を、耐
熱シール材にて目地詰めする工程、からなることを特徴
するものである。
【0010】このような技術的手段について図1を参照
しながら説明する。図1は本発明に係る貫通部防火構造
の一例を示すもので、図中1は建物の床や壁或いは天井
や基礎部を構成する耐火スラブ、2は耐火スラブ1に所
定の形状で開設される貫通孔、3は網状金属製枠材料、
4は金属製型枠材料、5は吸熱性・熱膨張性顆粒状耐火
充填材、6、7は無機質繊維製閉塞部材、8は耐熱シー
ル材、9はケーブル等の貫通物をそれぞれ示す。
【0011】網状金属製枠材料3と金属製型枠材料4で
形成される各防火空間は、貫通孔2の内部とその上方に
連通した状態で形成される空間であって、顆粒状の耐火
充填材5が充填された際にこの耐火充填材が貫通孔2を
貫通するケーブル等の貫通物9を完全に包囲し、耐火ス
ラブ1の一方側と他方側との間を遮断できるものであれ
ばよく、特に制限されるものではない。
【0012】この防火空間を形成する網状金属製枠材料
3としては、所定の網目からなる金網等を使用すること
ができ、好ましくは変形させやすい特性のものを使用す
る。そして、この網状金属製枠材料3は、少なくとも貫
通孔2の内部周壁の全体を覆う大きさ(面積)を有し、
しかも、その下部には貫通孔の下部開口部を閉塞できる
ような底部を備えていると共に、その上部には網状金属
製枠材料全体を貫通孔2の外縁となる耐火スラブ1の上
面に係止できるようなつば部を備えた形態であることが
好ましい。
【0013】また、防火空間を形成する金属製型枠材料
4としては、網状金属製枠材料3で形成される防火空間
の上方に所定の大きさの防火空間を連通させて形成する
ことができれば特に制限されるものではなく、鉄や鋼等
の金属板を使用することができる。この金属製型枠材料
4は、上下が開口する筒状の形態からなり、その下部に
はこの型枠材料を耐火スラブ1上面の所定位置に固定で
きるつば状のストッパーを備えた形態であることが好ま
しい。また、この金属製型枠材料4は、その筒状形態に
おける軸方向にそって切離形成されている分離部や分割
部により分離可能又は分割可能に形成される。この場
合、金属製型枠材料4の結合方式としては公知のものを
適宜採用することができ特に制限されるものではない
が、例えば、その分離部や分割部となる型枠材料の一端
部に凸部を設けると共にその他端部に凸部が嵌着される
折り曲げ嵌着部を設け、凸部を折り曲げ嵌着部に嵌入す
ることにより一体的に結合させる、いわゆるボタンパン
チ方式や、その分離部や分割部となる型枠材料の一端部
に結合爪を突設すると共にその他端部に結合爪が挿入し
て係止される結合溝を位置をずらして複数設け、結合爪
を所定位置の結合溝に挿入することにより一体的に結合
させる方式等を適用することができる。
【0014】網状金属製枠材料3の下部底部に敷設する
無機質繊維製閉塞部材6と金属製型枠材料4の上部開口
部にかぶせる無機質繊維製閉塞部材7としてはいずれ
も、軽量で耐火性能や加工性に富むという観点から、好
ましくはシリカ・アルミナファイバー、シリカファイバ
ー、アルミナファイバー等の耐火性無機繊維を板状に成
形した耐火無機繊維成形板が使用される。特に、金属製
型枠材料4の上部開口部にかぶせる無機質繊維製閉塞部
材7とケーブル等の貫通物9との間に発生する隙間は、
耐火シール材8により埋めることが好ましく、その場合
の耐火シール材としては例えば耐火コーキング材、耐火
パテ等の従来公知のものを使用することができる。
【0015】上記防火空間内に充填される吸熱性・熱膨
張性顆粒状耐火充填材(以下、本耐火充填材という)5
は、基本的には、本耐火充填材が充填された貫通部防火
構造の防火性能を確保するために、加熱時に多量の熱を
吸収して自らは分解及び/又は変質する吸熱性耐火材の
1種又は2種以上の混合物と、加熱時に体積膨張して本
耐火充填材同志の間隙や本耐火充填材とケーブルとの間
隙等を埋めると共に本耐火充填材を一体に固結する熱膨
張性耐火材の1種又は2種以上の混合物を主材とし、こ
れらを結合剤で顆粒状に造粒したものである。
【0016】本耐火充填材5の構成材として使用される
吸熱性耐火材としては、例えば、硼砂、水酸化アルミニ
ウム、水和マグネシウム、水和硅酸、明バン、水和硅酸
カルシウム、二水セッコウ、エトリンガイト、ベントナ
イト、沸石等を挙げることができ、熱膨張性耐火材とし
ては、例えば、硼砂、蛭石、含水雲母、黒曜岩、真珠岩
等を挙げることができる。なお、硼砂は、加熱時に多量
の熱を吸収して分解し、水蒸気を発生すると共に体積膨
張をするので、これを本耐火充填材の主材として使用す
ると、吸熱性耐火材及び熱膨張性耐火材の両者の役割を
同時に果たすものである。
【0017】また、これらの耐火材を結合するための結
合剤としては、例えば、ポリ酢酸エマルジョン、ポリエ
チレン−酢酸ビニルエマルジョン、ポリビニルアルコー
ル、ポリアクリル酸系エマルジョン、ポリメタアクリル
酸系エマルジョン等の合成高分子系結合剤、澱粉糊、C
MC、MC、膠、カゼイン、ゼラチン等の天然高分子系
結合剤、水ガラス、コロイダルシリカ等の無機質結合剤
等を挙げることができる。
【0018】本耐火充填材5の粒径は、通常1〜25m
m、好ましくは2〜10mmの範囲がよい。本耐火充填
材の粒径が1mmより小さいと防火構造の充填部から漏
れるおそれがあり、また、25mmより大きいと、充填
作業が困難になり、未充填箇所が残るという問題が生じ
る。
【0019】なお、上記吸熱性耐火材の1種又は2種以
上の混合物、熱膨張性耐火材の1種又は2種以上の混合
物及び結合剤を使用して顆粒状に造粒する際に、例えば
ベントナイト等の保形材を添加してもよく、さらに、例
えばMC、CMC、ポリエチレングリコール等の増粘剤
を添加することにより造粒作業の作業性を向上せしめる
こともできる。
【0020】本貫通部防火構造は、通常、ケーブル等の
貫通物9が貫通されている貫通部2に適用されるもので
あるが、その貫通物9がない貫通孔2に対しても同様に
適用できるものである。
【0021】また、本貫通部防火構造を所定の貫通孔に
施工する際の手順については、特に制限されるものでは
ないが、好ましくは上記した工法の各工程手順を採用す
ることが好ましい。
【0022】上記の工法において、網状金属製枠材料3
の下部底部に敷設する無機質繊維製閉塞部材6は、円盤
状等の所定の形状に切断加工した後に、その底部全面を
覆うように敷き詰める(工程a)。そして、この無機質
繊維製閉塞部材6を網状金属製枠材料3の下部底部に密
着させる(工程c)に際しては、突棒等を用いて押し広
げるようにして密着させることができる。
【0023】また、上記工法の工程dにおいて、網状金
属製枠材料3の上部つば部を取り囲む位置で金属製型枠
材料4の端部どうしを結合させるに際しては、結合爪と
結合溝からなる結合方式を適用した場合には、その型枠
材料の分離部又は分割部となる端部に設けた結合爪と結
合溝を挿入して結合爪を折り曲げることにより結合す
る。また、金属製型枠材料4の下部の所定位置に形成さ
れるつば状ストッパーを耐火スラブ上面に固定するに際
しては、コンクリート釘、接着剤等を用いて固定するこ
とができる。
【0024】更に、上記工法の工程eにおいて、本耐火
充填材5を防火空間に充填するに際しては、突棒等を用
いてその顆粒状を充填材を防火空間内に密に充填させる
ことができる。
【0025】
【作用】本発明の建物耐火スラブの貫通部防火構造は、
耐火スラブに開設された貫通孔内に網状の金属製枠材料
で防火空間を形成すると共にその防火空間の上方に金属
製型枠材料で連通する防火空間を形成し、この両防火空
間内に吸熱性・熱膨張性顆粒状耐火充填材を充填してい
るので、特にその網状金属製枠材料と顆粒状耐火充填材
の適用により、全体としてきわめて軽量なものとなり、
このため耐火スラブに対する重量的な負担を軽減するこ
とができる。
【0026】また、吸熱性・熱膨張性顆粒状耐火充填材
を使用しているので、2段重ね状の防火空間内への充填
材の充填が極めて容易かつ確実となる。また、例えばケ
ーブル貫通部の防火構造の場合その防火空間内でケーブ
ルをその全長に亘って本耐火充填材で密に覆うことがで
き、一方の防火区画で火災が発生しても本耐火充填材を
構成する吸熱性耐火材が吸熱して冷却効果を発揮し、一
方、熱膨張性耐火材が膨張してこの防火空間内にケーブ
ルを確保するので、ケーブルとの間の隙間やケーブル自
体を構成する可燃物、すなわち可燃製のケーブル被覆材
の燃焼によって他方の防火区画に延焼したり漏煙するよ
うなことがない。
【0027】更に、本発明の貫通部防火工法は、その防
火構造を構成する部材が重量物のものはなく取扱いやす
く、また、施工作業において特殊な工具や技術を用いる
必要がないため、その作業性が極めて良好なものであ
る。
【0028】
【実施例】以下、図面に基いて本発明をさらに具体的に
説明する。図2は、本発明の一実施例に係る建物耐火ス
ラブの貫通部防火構造を示するものである。
【0029】この貫通部防火構造は、建物の防火区画を
構成する耐火スラブとしての床スラブ10を縦方向に貫
通してほぼ円形状に開設された貫通孔20内に、該貫通
孔20を貫通する3条構成のケーブル90を避けて貫通
孔周壁一杯に嵌込まれる網状金属製枠材料としての受け
金網30と、貫通孔20の外縁となる床スラブ10の上
面に固定される金属製型枠材料としての鋼製型枠40
と、受け金網30の下部の底部31に敷設される無機質
繊維製閉塞部材としてのセラミックファイバーブランケ
ット60と、鋼製型枠40の上部開口部にかぶせられる
無機質繊維製閉塞部材としてのロックウールボード70
と、ロックウールボード70とケーブル90の間の隙間
をシールする耐火シール材80と、受け金網30及び鋼
製型枠40並びに閉塞部材としてのセラミックファイバ
ーブランケット60及びロックウールボード70が形成
する防火空間内に充填される顆粒状の本耐火充填材50
とで構成されている。
【0030】この実施例において、受け金網30は、図
2や図3に示すように、一部が縦方向に切離されて接離
変形可能で上部側が開口するほぼ筒状の本体部形状をな
すものであり、しかも、その下部に内側に折り曲げられ
た底部31を有し、その上部に外側に折り曲げられ貫通
孔20の外縁に係止させるつば部32を有する形状に形
成されている。
【0031】また、鋼製型枠40は、図2や図6に示す
ように、帯状の鋼板からなる分離タイプのものであり、
その下部の所定位置に外側に折り曲げられて突出するつ
ば状ストッパー41を有し、接合させる端部40a、4
0bにはボタンパンチ結合方式としての凸部42と折り
曲げ嵌着部43をそれぞれ設けた形状になっている。凸
部42は例えば型押等により内側に突出するように形成
される。
【0032】セラミックファイバーブランケット60と
しては、シリカ・アルミナファイバーに高分子系バイン
ダーを添加して湿式成形したセラミックファイバーボー
ド(新日鐵化学(株)製商品名:エスファイバーSC1
260ボード)を使用している。また、ロックウールボ
ード70としては、ロックウールを高分子系バインダー
で成形したものを所定の大きさのブロック状に切断して
形成したロックウール成形ボード(新日鐵化学(株)製
商品名:エスボード3150)を使用している。これら
はいずれも、最終的にケーブル90を貫通させるために
所定の貫通孔或いは切欠を有する形状に切断加工される
が、この実施例では、セラミックブンケット60を中央
部にケーブル90が貫通するための孔があるドーナツ盤
形状に切断し、ロックウールボード70を図8に示すよ
うに一対の半円形状に切断するようにしている。この一
対のロックウールボード70a、70bには、互いに突
き合わされた際にケーブル90が貫通するための隙間が
形成されるように切欠71a、70bが形成されてい
る。
【0033】そして、耐火シール材80としては、耐火
パテ(新日鐵化学(株)製商品名:キャブシール)を使
用している。この耐火パテを上記ロックウールボード7
0とケーブル90の間の隙間に図示するような形態とな
るように塗着し、これによって防火空間が気密にシール
される。
【0034】上記防火空間内に充填される本耐火充填材
50は、硼砂(吸熱性耐火材、熱膨張性耐火材)70重
量部と、水酸化アルミニウム(吸熱性耐火材)25重量
部と、ベントナイト(吸熱性耐火材、保形材)5重量部
と、ポリアクリル酸系エマルジョン(結合剤)1.5重
量部(固形分として)と、0.5重量%MC(増粘剤)
水溶液15重量部とを混練し、平均粒径3.5mmの顆
粒状に造粒したものである。
【0035】次に、このような構成からなる本実施例の
貫通部防火構造の施工手順について説明する。
【0036】まず、図3に示すように、受け金網30の
下部の内側に折り曲げられている底部31に、貫通孔の
内径に近い外径からなるドーナツ盤形状に切断した後そ
の1箇所にケーブル90を中央部の孔に通し入れるため
の切れ目を入れたセラミックファイバーブランケット6
0を敷き詰める(以上、工程a)。
【0037】次いで、セラミックファイバーブランケッ
ト60を敷き詰めた受け金網30を、図4に示すよう
に、床スラブ10の貫通孔20を貫通しているケーブル
90に対してあてがった後、図中矢印p方向にまとるよ
うに変形させることにより巻き付ける。しかる後、その
巻き付けた状態の受け金網30をケーブル90に沿うよ
うにして図中矢印q方向に押し下げ、貫通孔20内に挿
入する(以上、工程b)。
【0038】次いで、貫通孔20内に挿入した受け金網
30を、その貫通孔20の内部一杯に広げ、貫通孔の内
部周壁に密接させる。そして、この受け金網30の上部
の外側に折り曲げられている複数のつば部32を貫通孔
20の外縁となる床スラブ10の上面に充分に係止さ
せ、それと共にその受け金網30の下部底部31に対し
てセラミックファイバーブランケット60を突棒等を用
いて押し広げながら密着させる(以上、工程c)。これ
により、受け金網30が貫通孔20内に設置されため、
貫通孔20内にその受け金網30による防火空間が形成
される。
【0039】続いて、図6に示すように、床スラブ10
上面側にあるケーブル90の周辺に鋼製型枠40を回
し、その端部40a、40bどうしを結合させるために
図中矢印r方向に変形させる。そして、図7に示すよう
に、受け金網30の上部のつば部32を完全に取り囲む
位置において、鋼製型枠40の端部40aに設けられた
凸部42をその他端部40bに設けられた折り曲げ嵌着
部43に差し込んで嵌着することにより鋼製型枠40の
端部40a、40bどうしを結合させる。これにより、
鋼製型枠40が上下が開口する環状のものとなり、その
外周が設定される。しかる後、鋼製型枠40の下部の外
側に折り曲げられたつば状ストッパー41にコンクリー
ト釘42を打ち込み、鋼製型枠40全体を床スラブ10
の上面に固定する(以上、工程d)。これにより、鋼製
型枠40による防火空間が上記の防火空間と連通する状
態で形成される。なお、つば状ストッパー41の床スラ
ブ10の上面への固定は、上記コンクリート釘42に代
えてコンクリート用の酢酸ビニル樹脂系接着剤等により
行ってもよい。また、つば状ストッパー41の設ける位
置は図示の態様に限定されず、設置条件等に応じて適宜
変更設定することが可能である。
【0040】次いで、上記の受け金網30と鋼製型枠4
0とで主として形成された防火空間内に対し、図8に示
すように、顆粒状の本耐火充填材50を突棒等により突
つきながら鋼製型枠40上部の所定の高さまで満たすよ
うに充填する(以上、工程e)。
【0041】本耐火充填材50を所定量充填した後、図
8や図2に示すように、鋼製型枠40の上部に一対構成
のロックウールボード70a、70bを突き合わせるよ
うにしてかぶせる(以上、工程f)。このとき、突き合
わせられたロックウールボード70の中央部には切欠7
1a、70bからなる孔が形成され、この孔を通してケ
ーブル90が貫通する。
【0042】最後に、ケーブル90とロックウールボー
ド70との隙間を、耐熱パテをテーパ状に盛上げて塗着
して耐熱シール材80による目地詰めを行う(以上、工
程g)。以上の作業により、床スラブ10の貫通孔20
には、図2に示すような貫通部防火構造が施工される。
【0043】次に、この実施例の貫通部防火構造につい
て下記のような耐火試験を行った。すなわち、(財)日
本建築センターの規格に基いて、上記実施例の試験体を
製作した。このとき、上記耐火充填材50を約1.8リ
ットル使用した。このようにして製作した試験体につい
て、JIS A 1304の耐火試験法に基いて2時間
耐火試験に供した結果、2時間の加熱中及び加熱後にお
いて、試験体の裏面に何等の異常も認められなかった。
また、このときにおける裏面側ケーブル貫通部の耐火シ
ール材90の温度は、300℃を越えることがなく、区
画貫通部の防火構造としての基準を充分満足し得るもの
であった。
【0044】また、本発明者等によれば、このような優
れた耐火性能を発揮させる場合、充填材としてモルタル
を使用する従来の防火構造では通常モルタル4kgと水
1kgを使用しなければならなかったが、本防火構造で
は上記耐火充填材50を2kg使用するだけで済むこと
が確認された。また、貫通孔内に防火空間を形成するた
めの枠材料として網状金属製材料を使用している点も軽
量化に有効となっていることが確認された。
【0045】なお、前記実施例では本耐火充填材として
上記した耐火充填材Aを使用した場合を説明したが、本
発明においては本耐火充填材Aについても、例えば、硼
砂(吸熱性耐火材、熱膨張性耐火材)70重量部と、蛭
石(熱膨張性耐火材)30重量部と、ポリ酢酸ビニルエ
マルジョン(結合剤)7重量部(固形分として)と、水
10重量部とを混練し、平均粒径4.5mmの顆粒状に
造粒したもの等、吸熱性耐火材、熱膨張性耐火材、結合
剤及びその他の添加剤の種類及び配合割合を適宜変更し
て使用できる。
【0046】
【発明の効果】本発明の建物耐火スラブの貫通部防火構
造によれば、優れた延焼防止性能及び漏煙防止性能が得
られる上に、従来にもましてより軽量であって、しか
も、施工作業性が著しく向上するものとなる。特に極め
て軽量であることから、耐火スラブに対する重量的な負
担を軽減することができる。
【0047】また、貫通孔内の防火空間を形成する枠材
料として網状金属製枠材料を使用していることにより、
軽量化が図れることは勿論のこと、各種の貫通孔に設置
する際の適用性が向上する。さらに金属製型枠材料によ
り防火空間を耐火スラブの表面から突出するように形成
したこと(別な言い方をすれば、防火空間の厚さが耐火
スラブの肉厚よりも厚くなるように形成したこと)によ
り、より強靱で、耐火効果や延焼防止効果も優れた防火
構造とすることができる。しかも、金属製型枠材料は接
合分離又は分割可能なものとすることにより、耐火スラ
ブ上に各種の大きさ、形状等からなる防火空間を形成す
ることができる。
【0048】更に、本発明の貫通部防火工法によれば、
以上のような優れた性能の防火構造をきわめて簡便にか
つ迅速に施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の建物耐火スラブの貫通部防火構造の
基本構成を説明するための断面図である。
【図2】 本発明の実施例に係る建物耐火スラブの貫通
部防火構造を示す一部切欠斜視図である。
【図3】 実施例の貫通部防火工法における一工程(工
程a)を示す斜視図である。
【図4】 実施例の貫通部防火工法における一工程(工
程b)を示す斜視図である。
【図5】 実施例の貫通部防火工法における一工程(工
程c)を示す斜視図である。
【図6】 実施例の貫通部防火工法における一工程(工
程dの前半)を示す斜視図である。
【図7】 実施例の貫通部防火工法における一工程(工
程dの後半)を示す斜視図である。
【図8】 実施例の貫通部防火工法における一工程(工
程d、e)を示す斜視図である。
【符号の説明】
1(10)…耐火スラブ、2…貫通孔、3…網状金属製
枠材料、4…金属製型枠材料、5…本耐火充填材、6、
7…無機質繊維製閉塞部材、8…耐火シール材、9…ケ
ーブル等の貫通物

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建物の耐火スラブに開設された貫通孔に
    網状の金属製枠材料で上部が開口する防火空間を形成す
    ると共に、この防火空間の上方に金属製型枠材料で連通
    する防火空間を形成し、この両防火空間内に吸熱性・熱
    膨張性顆粒状耐火充填材を充填したことを特徴とする建
    物耐火スラブの貫通部防火構造。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の防火構造において、上記
    網状金属製枠材料の下部に形成される底部に無機質繊維
    製閉塞部材を敷設すると共に、吸熱性・熱膨張性顆粒状
    耐火充填材が充填された金属製型枠材料の上部開口部に
    無機質繊維製閉塞部材をかぶせることを特徴とする建物
    耐火スラブの貫通部防火構造。
  3. 【請求項3】 建物の耐火スラブに開設してケーブルを
    貫通させる貫通孔に貫通部防火構造を施工する工法であ
    って、下記の各工程、(a)無機質繊維製閉塞部材を所
    定の形状に切断し、網状金属製枠材料の下部底部の全面
    を覆うように敷き詰める工程、(b)網状金属製枠材料
    を、貫通孔を貫通しているケーブルに巻き付けた後、ケ
    ーブルに沿って押し下げることにより貫通孔に挿入する
    工程、(c)貫通孔の内部一杯に網状金属製枠材料を広
    げ、その枠材料の上部に形成されるつば部を貫通孔外縁
    の耐火スラブ上面に係止させると共にその枠材料の下部
    底部に無機質繊維製閉塞部材を押し広げながら密着させ
    る工程、(d)耐火スラブ上面側のケーブル周辺に金属
    製型枠材料を回し、網状金属製枠材料の上部つば部を完
    全に取り囲む位置で金属製型枠材料の端部どうしを結合
    させた後、金属製型枠材料の下部に形成されるつば状ス
    トッパーを耐火スラブ上面に固定する工程、(e)網状
    金属製枠材料と金属製型枠材料とで形成される防火空間
    内に、吸熱性・熱膨張性顆粒状耐火充填材を金属製型枠
    材料の上部まで密に充填する工程、(f)金属製型枠材
    料の上部に無機質繊維製閉塞部材をかぶせる工程、
    (g)ケーブルと無機質繊維製閉塞部材との隙間を、耐
    熱シール材にて目地詰めする工程、からなることを特徴
    する建物耐火スラブの貫通部防火工法。
JP6139846A 1994-06-22 1994-06-22 建物耐火スラブの貫通部防火構造及びその工法 Withdrawn JPH084952A (ja)

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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003056189A (ja) * 2001-08-20 2003-02-26 Taisei Corp 建築物
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DE102021114371A1 (de) 2021-06-02 2022-12-08 Viega Technology Gmbh & Co. Kg Verfahren zum Herstellen einer Abschottung an einer eine Rohr- oder Medienleitung aufweisenden Gebäudewandungsdurchdringung und Leitungssystem mit einer solchen Abschottung
KR102554968B1 (ko) * 2022-10-27 2023-07-12 주식회사 광운기술 내화 펠렛을 이용하여 바닥 구조에 내화채움구조체를 시공하는 방법

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