JPH084761B2 - 磁性シリンダ及び除鉄機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 「産業上の利用分野」 本発明は磁性シリンダを用いた除鉄機に関する。

「従来の技術とその問題点」 従来除鉄機としては鉄片又は及び鉄粉（以下鉄片等と
いう）の混在する原料通路に各種の形式の磁石例えばマ
グネットロール或は永久磁石を設けて、原料中の鉄片等
を吸引し、マグネットロール、磁石に吸引した鉄片が増
加して吸引量が減少しなくなるよりも前に装置を止め
て、鉄片をマグネットロール或は磁石から取除いてい
る。

このような磁石を用いた除鉄機ではマグネットロール
では或程度鉄片除去の時間間隔を大きくできるけれども
自動化が困難で除鉄機に吸引された鉄片を人力で定期的
に取除かねばならない。そのため、その間装置を停止し
なければならない。

そこで原料通路へ内部に磁石を移動体とする磁性シリ
ンダを突出固設したものがあるが、原料中の鉄片等と鉄
片等以外の物を異なる場所へ落すことができない。

本発明は上記従来の除鉄機の欠点を解消し、自動化が
容易で耐久性のある除鉄機を提供することを目的として
いる。

〔発明の構成〕

「問題点を解決するための手段」 本発明は内部に備える磁力を有する移動体の磁束が貫
通する非磁性体の筒状体中に前記移動体を筒状体の長手
方向に摺動可能に備え、移動体の移動手段を備えた除鉄
機において、筒状体の長手方向の中間の外周に環状部材
を固定し、筒状体の環状部材を設けた部分よりも先端側
を鉄片又は鉄粉を含む原料の原料通路に出入り可能に設
けたことを特徴とする除鉄機である。

「作用」 移動体を原料通路側に出ている密閉筒状体の部分にお
いておくことにより、該部分には原料中の鉄片等が吸引
される。

移動体を移動しないで密閉筒状体を原料通路から引込
める。すると密閉筒状体に吸引されている鉄片等と共に
原料通路外へ移動する。ここで更に移動体を同方向へ密
閉筒状体中を移動させると密閉筒状体の外周に吸引され
ている鉄片等は移動体に追従して移動する。移動体が環
状部材をとおりすぎる時には該鉄片等は環状部材に阻止
されて一個所に集められて留まる。移動体が環状部材か
ら去ると該鉄片等は磁界外となって重力により落下す
る。

「実施例」 以下、本発明の実施例を図面により説明する。

先ず本発明で用いられる磁性シリンダについて説明す
る。

第１図は縦断面図を示す。内部に備える永久磁石製の
移動体１の磁束が貫通する非磁性体例えば薄肉ステンレ
ス鋼製の密閉筒状体２は例えば円管状であり、密閉筒状
体２の長手方向に摺動可能に収容されている。円筒形の
磁力を有する移動体１と密閉筒状体間は移動体１の外周
の周方向のＯリング溝３に嵌合するＯリング４により密
閉されている。密閉筒状体２の長手方向の端部又は端部
近くには圧力流体の出入口5,6が設けられる。この実施
例では一方の端板2aに出入口６が設けられ、他方の端板
2bは吸着面となっている。出入口５は端板2bの近くの円
筒形外周に開口している。出入口5,6は四方切換の電磁
弁７のA,Bポートに配管により結ばれ、Ｐポートは圧力
流体源へ通じている。Ｔポートは無圧部に通じている。

次に上記の作用を説明する。移動体１が図の左行端に
ある場合には端板2bと移動体１は接触している。移動体
１からの磁束は密閉筒状体２の外殻部を貫通して磁界を
作っているので鉄片等８は密閉筒状体２の外面に吸着す
る。ここで電磁弁７のＰポートとＡポートを通じさせる
と圧力流体は出入口５から端板2b側のシリンダ室に進入
し、移動体１を端板2bから遠ざける方向に移動させる。
移動体１の端板2bからの移動により端板2bに吸着してい
る鉄片等８は磁界が該移動体１と共に去るため端板2bよ
り脱落する。

密閉筒状体２の外周に吸着している鉄片等８は移動体
１の移動に伴なう磁界の移動に従って第１図において右
方へ移動する。

電磁弁７を切換えてＰポートとＢポートを連通させる
と圧力流体は出入口６から端板2a側のシリンダ室を進入
し、移動体１は端板2aから遠ざかる方向に移動する。移
動体１の左方向への移動により密閉筒状体２の外周を通
じて外部へ出ている磁界も同方向に移動するから、鉄片
等８は第１図において左行する。移動体１が端板2bに接
すると端板2bの外側に鉄片等８が吸着可能となる。

このように磁性シリンダはその長手方向に関し、鉄片
等８の搬送を行うことができる。

第２図に示すように端板2bに移動体１が接している状
態において端板2bの外部に磁性体部材例えば鉄材で出来
た鉄部材９があると、該移動体１の磁束が端板2bを通じ
て外部に出ており、これによる磁界中に鉄部材９がある
から鉄部材９は端板2bに吸着する。

そこで電磁弁７のＰポートとＡポートを通じさせると
圧力流体は出入口５から端板2b側のシリンダ室に入り、
移動体１と鉄部材９間の磁気吸引力に抗して移動体１は
端板2bから遠ざかる方向に移動する。これにより移動体
１と共に磁界は移動して、鉄部材６から去ってしまうの
で鉄部材９は端板2bから離れる。

このように磁性シリンダはあたかも電磁石のように端
板に磁性体の部材を脱着できる。

以上説明したように磁性シリンダは密閉筒状体の長手
方向に磁性体の物質を搬送できる作用であり、又端板に
対して磁性体の部材を脱着する作用がある。上記におい
て、端板2bに鉄片等８がついては好ましくない場合は第
１図に二点鎖線で示すように移動体１の磁束が端板2bに
及ばないように端板2bと移動体１間を離隔する非磁性体
の隔離部材10を設ける。この隔離部材10は端板2b又は移
動体１の何れかに固定するのが適当である。或は端板2b
を充分厚くしてもよい。

第３図はスプリングオフセット型の磁性シリンダを示
す。移動体１、密閉筒状体２、Ｏリング溝３、Ｏリング
４、出入口5,6については第１図、第２図と同様であ
る。電磁弁７は三方切換弁でＰポートとＡポートを通ず
るかＡポートとＴポートが連通するかであり、端板2aと
移動体１間において密閉筒状体２中に圧縮コイルばね11
が挿入してある。出入口６は流体が空気の場合は大気に
開口しており、流体が圧力油の場合は油圧源のタンクに
連通している。

圧力流体が供給されていない状態では移動体１は圧縮
コイルばね11の力により端板2bに押圧されている。移動
体１が図の左行端にある場合にはピストン１からの磁束
は密閉筒状体２の外殻部を貫通して磁界を作っているの
で鉄片等８は密閉筒状体２の外部に吸着する。ここで電
磁弁７のＰポートとＡポートを通じさせると圧力流体は
出入口５から端板2b側のシリンダ室に進入し、移動体１
を圧縮コイルばね11に抗して端板2bから遠ざける方向に
移動させる。移動体１の端板2bからの移動により落板2b
側に吸着している鉄片等８は磁界が移動体１と共に去る
ため端板2bより脱等する。

密閉筒状体２の外周に吸着している鉄片等８は移動体
１の移動に伴なう磁界の移動に従って第３図において右
方に移動する。

電磁弁７を切換えてＡポートとＴポートを連通させる
と圧縮コイルばね11のばね力により移動体１を端板2aか
ら遠ざかる方に移動し、圧力流体は出入口５から電磁弁
７を介して流出する。移動体１は端板2aから遠ざかる方
向へ移動により密閉筒状体２の外周を通じて外部へ出て
いる磁界も同方向に移動するから、鉄片等８は第１図に
おいて左行する。左行端に移動体１が達して端板2bと移
動体１が接すると端板2bに鉄片等８が吸着可能となる。

このように磁性シリンダはその長手方向に関し、鉄片
等８の搬送を行うことができる。

第４図に示すように端板2b移動体１が接している状態
において端板2bの外部に磁性体部材例えば鉄材で出来た
鉄部材９があると、該移動体１の磁束が端板2bを通じて
外部に出ており、これによる磁界中に鉄部材９があるか
ら鉄部材９は端部2bに吸着する。

そこで電磁弁７のＰポートとＡポートを通じさせると
圧力流体は出入口５から端板2b側のシリンダ室に入り、
移動体１と鉄部材９間の磁気吸引力及び圧縮コイルばね
11のばね力に抗して移動体１は端板2bから遠ざかる方向
に移動する。これにより移動体１と共に磁界は移動し
て、鉄部材９から去ってしまうので鉄部材９は端板2bか
ら離れる。

このように磁性シリンダはあたかも電磁石のように端
板に磁性体の部材を着脱できる。

第３図において端板2bに鉄片等８がついては好ましく
ない場合は第３図に二点鎖線で示すように移動体１の磁
束が端板2bに及ばないように端板2bと移動体１間を離隔
する非磁性体の隔離部材10を設ける。この隔離部材10は
端板2b又は移動体１の何れかに固定するのが適当であ
る。或は端板2bを厚くする。

本発明の実施例について説明する。

本発明は上述した磁性シリンダの何れか１つを用い
る。第１図で説明した磁性シリンダを用いた実施例につ
いて説明する。第５図は本発明の実施例の縦断面図であ
る。図において１は磁性を有する移動体、２は薄肉ステ
ンレスパイプで出来ている密閉筒状体、３は移動体１の
外周に設けた移動体１と密閉筒状体２間を密閉するＯリ
ンク４を収容するＯリング溝、５は移動体１の移動方向
に片側に設けた圧力流体の出入口、６は移動体１の移動
方向の他の片側で端板2aに設けた圧力液体の出入口、７
は出入口5,6にそのA,Bポートが配管されている四方切換
の電磁弁である。

密閉筒状体２の長手方向の中間の外周に環状部材12を
固定してある。環状部材12は原料通路13の壁14の開口15
を閉じており、端板2bのある密閉筒状体２の先端側を原
料通路13に突出してある。端板2aに剛結されたピストン
ロッド16を有する往復動シリンダ17が全体を符号18で示
す磁性シリンダと一直線上に固設されている。環状部材
12付の磁性シリンダ18は該往復動シリンダ17で担持され
ているが、密閉筒状体２の端板2aと環状部材12間を長く
してこの部分を案内部材で案内されるようにしてもよ
い。

上記において往復動シリンダ17の行程長は磁性シリン
ダ18の環状部材12よりも先端側の長さｌの部分全部を原
料通路13外に出す場合は該行程はｌ以上とし、環状部材
12を原料通路の壁14から短い距離引込める場合は該行程
はｌ以下とする。この点は次に述べる作用の説明におい
て意味を明らかにする。

次に作用を述べる。除鉄作用中は往復動シリンダ17の
ピストンは左行端にあり、図示のように原料通路13中に
密閉筒状体２の先端側が出ており、移動体１は端板2b側
に来て静止している。原料通路13を鉄片等８を含む原料
が通る際、密閉筒状体２の先端側において原料中の鉄片
等８は移動体１の磁性により吸引され密閉筒状体２の周
囲に吸着懸架される。

往復動シリンダ17を右方に付勢するとピストンロッド
16は右行し、鉄片等８を担持した磁性シリンダ18は環状
部材12を従えて開口15を通じて原料通路13外へ向って後
退する。ここで停止させる。次に電磁弁７を切換えてＡ
ポートとＰポートを結び圧力流体を出入口５を通じて端
板2b側のシリンダ室に供給すると移動体１は右行する。

（１）磁性シリンダ18の後退量を図示の環状部材12から
端板2bまでの距離ｌよりも短かくしておいた場合 移動体１の右行につれて鉄片等８は密閉筒状体２の周
囲に沿って長手方向に移動し、移動体１が環状部材12の
位置を通過するにつれて鉄片等８は環状部材12によりせ
き止められて一個所に集められる。更に移動体１が右行
して環状部材12の位置より去ると鉄片等８に移動体１の
磁力が及ばなくなり、鉄片等８は壁14をおいた原料通路
13の外側に落下し、鉄片等８が原料中から除いて集めら
れる。

電磁弁７を切換えてＰポートとＢポートを連通して圧
力流体を端板2a側のシリンダ室に送入して移動体１を左
行させると共に往復動シリンダ17のピストン、ピストン
ロッド16を左行させて環状部材12を備えた磁性シリンダ
18を左行して復元する。これをくり返すことにより、原
料通路13をとおる鉄片等８を含む原料から鉄片等８を選
別して除去できる。自動化は上記動作をシーケンス制御
することにより簡単に達成される。

（２）後退量を図示の環状部材12から端板2bまで距離ｌ
よりも大きくした場合 後退量が距離ｌよりも小さい場合に端板2b端面に吸着
されている鉄片等８は移動体１が端板2bから離れて原料
通路13に落ちる。これを避けるには第１図、第３図に示
した隔離部材10を設けてもよいが磁性シリンダ18の後退
離をｌよりも大きくしておく、即ち、往復動シリンダ17
の行程をｌより大きくしておく。これにより、端板2bに
吸着している鉄片等８も原料通路13の壁14外にて端板2b
から移動体１が去る際に離れて落下する。他の作用は後
退量が距離ｌよりも小さい場合の作用（１）と同様であ
るので説明を省略する。本発明において第３図の磁性シ
リンダを用いる場合は磁性シリンダ18が第５図において
スプリングオフセット形に変更され、第３図の配管と同
様の配管がされるだけであり、他は同様であるので説明
を省略する。

〔発明の効果〕

本発明は磁性物体の小片、磁性物体を密閉筒状体の外
周の長手方向に移動でき、且つ環状部材の位置に該小
片、粉体を集めて一個所に留まらせ、この後これを磁性
シリンダから分離できる。従って、原料中の鉄類と鉄以
外の物を異なる位置へ落下するように分別できる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は磁性シリンダの縦断面図、第３図、第
４図は夫々が他の磁性シリンダの縦断面図、第５図は本
発明の実施例の縦断面図である。 １……移動体、２……密閉筒状体、2a,2b……端板、３
……Ｏリング溝、４……Ｏリング、5,6……出入口、７
……電磁弁、８……鉄片等、９……鉄部材、10……隔離
部材、11……圧縮コイルばね、12……環状部材、13……
原料通路、14……壁、15……開口、16……ピストンロッ
ド、17……往復動シリンダ、18……磁性シリンダ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内部に備える磁力を有する移動体（１）の
   磁束が貫通する非磁性体の筒状体（２）中に前記移動体
   （１）を筒状体の長手方向に摺動可能に備え、移動体の
   移動手段を備えた除鉄機において、筒状体（２）の長手
   方向の中間の外周に環状部材（12）を固定し、筒状体
   （２）の環状部材（12）を設けた部分よりも先端側を鉄
   片又は鉄粉を含む原料の原料通路に出入り可能に設けた
   ことを特徴とする除鉄機。