JPH0840527A - ベルトコンベア用ローラ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】ベルトコンベア用ローラの表面への搬送材料の
付着を防止する。 【構成】ベルトと接触するローラ１０外面を、粉粒状の
搬送材料より実質的に大きく、その搬送材料が抜ける透
孔が形成されている表面部材１３，１３…により構成す
る。これら表面部材１３，１３…は、端面部材１２，１
２の外周部を周方向に間隔を置きながら繋いで実質的に
円筒状をなすように母線方向に沿って配設され、粉粒状
の搬送材料より実質的に大きくその搬送材料が抜ける透
孔１５，１５…が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ベルトコンベアに用い
られるローラに係り、特に落下した搬送物がローラに付
着してベルトが片寄ることを防止するためのローラに関
する。

【０００２】

【従来の技術】たとえば、法面の安定化工法において
は、セメントや、バーク堆肥もしくはピートモスなどの
有機質系植生基盤材料などを、対象面に適用することが
行われ、このためにその材料を所定の個所までベルトコ
ンベアにより搬送することが行われる。この種の、ベル
トコンベアにおいては、図１および図２に示すように、
エンドレスベルト１を駆動ローラ２と従動ローラ３とに
巻き掛けて、それらの間を適当なガイドローラにより案
内する構造を有している。４は各ローラ群を支持するた
めのフレーム、５は材料の投入位置においてベルト１上
に材料を案内するためのホッパーガイドである。

【０００３】このベルトコンベアに用いられる駆動ロー
ラ２および従動ローラ３として、従来は、図３に示すよ
うに、外面が連続する円柱状のローラＸが用いられてい
る。

【０００４】また、そのローラの外面形状を、図４に示
すように、いわゆる中高形状とし、ベルトのずれ防止を
図るローラＹも知られている。

【０００５】しかしながら、特に法面の安定化のための
材料を搬送するベルトコンベアにおいて、水分を含有し
ていると固化する材料や粘着性を有する材料を搬送する
場合には、搬送材料がベルトの側縁から溢れて裏回りす
ると、ベルトの移動によって、最終的に駆動ローラ２や
従動ローラ３の外面に付着し、その付着した状態で固化
し、やがてローラ外面に堆積することが多い。

【０００６】かくして、ローラの外面の付着・固化物に
よってローラの外径が増大し、かつ付着がローラの長手
方向に対して偏在するために、ベルトの搬送に片寄りが
生じてしまうという問題があった。特に、搬送材料がセ
メントや植生基盤材など、水分を含み粘性が高く、固化
を生じる場合において、その現象がさらに顕著であっ
た。

【０００７】この現象が発生すると、ベルトの片寄りに
伴いベルトが激しく磨耗するため、ベルトの寿命が極端
に短くなるとともに、搬送自体の支障ともなることがあ
った。

【０００８】そこで、従来は、ローラからベルトをいっ
たん外して、ローラをハンマーなどで叩いてその付着物
を落とす手作業を定期的に行う必要がある。これでは、
多大な労力を要するとともに、本体工事作業の支障とな
る。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】そこで、特開昭４７−
２１８７６号や同６４−１３３２７号などにおいては、
ローラまたはベルトへの付着物をスクレーパにより掻き
取ることを提案している。

【００１０】しかし、この種のスクレーパーを用いる場
合、設備コストが嵩むばかりでなく、たとえばそのブレ
ードを交換するメンテナンス作業が必要となり、しか
も、既存ベルトコンベアに対して、そのスクレーパ手段
を追加する設置スペースがないなどの問題がある。さら
に、対コストとの関係で、ローラへの付着防止効果が十
分でない根本的な問題がある。

【００１１】したがって、本発明の課題は、コスト高と
なる事態を極力抑制し、しかもローラへの搬送材料の付
着を実質的に無くすこと、およびこれによって片寄り搬
送に伴うベルトの損耗を防止することにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記課題は、エンドレス
ベルトが巻回されるベルトコンベア用のローラにおい
て、そのベルトと接触するローラ外面を構成する表面部
材に、粉粒状の搬送材料より実質的に大きくその搬送材
料が抜ける透孔を形成したことで解決できる。

【００１３】ここで、より好適な態様は、中心軸芯と同
心状に延在する芯部と、この芯部の両端部において張り
出す端面部材と、これら端面部材の外周部を繋いで実質
的に円筒状をなすように周方向に、粉粒状の搬送材料よ
り実質的に大きくその搬送材料が抜ける間隔を置いて、
かつ母線方向に沿って配設された複数の表面部材と、前
記芯部を貫通してまたは貫通することなく芯部もしくは
端面部材に設けられた軸部とを有し、前記芯部外面と前
記各表面部材の内面とは搬送材料より実質的に大きい離
間距離とされている態様である。

【００１４】さらに、母線方向に関して、前記各表面部
材の中央部を中高とし、この中央部と前記芯部の中央部
と補強材で連結した構造を採ることができる。

【００１５】なお、本発明における「表面部材」は、複
数のたとえば棒状部材から構成されているほか、たとえ
ばパンチングメタルなど部材としては一体的であるもの
も含む。

【００１６】

【作用】本発明では、ベルトと接触するローラ外面を構
成する表面部材に、粉粒状の搬送材料より実質的に大き
くその搬送材料が抜ける透孔を形成した。

【００１７】したがって、搬送材料がベルトの裏に巡る
としても、ベルトの内面との接触面積が、従来の周方向
に連続する外面を有するローラに比較して小さく、しか
も、透孔が形成されているので、搬送材料の実質的に殆
どがその透孔から抜けて地上に落下する。また、一部が
表面部材に接触するとしても、そのローラの回転とベル
ト内面とのすべり（移動すべりまたは弾性すべり）によ
り、付着した材料を擦り取るようになり、擦り取られた
材料をそのまま透孔を通して地上に落下できる利点があ
る。

【００１８】その結果、別途、スクレーパ手段などを追
加することなく、ローラ自体の簡単かつ安価で仕上がる
構造または形状の変更により、メンテナンスを不要化
し、ローラへの材料の付着を防止できる。

【００１９】本発明の好適な実施態様の下では、中心軸
芯と同心状に延在する芯部と、この芯部の両端部におい
て張り出す端面部材と、これら端面部材の外周部を繋い
で実質的に円筒状をなすように周方向に、粉粒状の搬送
材料より実質的に大きくその搬送材料が抜ける間隔を置
いて、かつ母線方向に沿って配設された複数の表面部材
と、前記芯部を貫通してまたは貫通することなく芯部も
しくは端面部材に設けられた軸部とを有し、前記芯部外
面と前記各表面部材の内面とは搬送材料より実質的に大
きい離間距離とされている構成が提供される。

【００２０】この態様の下では、芯部と端面部材とによ
り、各表面部材を十分な強度をもって保持できる。透孔
を抜けた材料は、芯部外面と前記各表面部材の内面との
離間空間を通して地上へ落下させることができる。ま
た、表面部材は母線方向に沿って配設されるので、ベル
トと接触する巻き付け角度範囲内における接触面積が小
さくなり、材料の付着が少なくなり、また、前記すべり
による材料の抜け落ち性が良好となる。逆に、周方向に
表面部材が連続し、ローラの長手方向に間隔を置いて透
孔が形成されている場合には、ベルトと接触している期
間において前記の抜け落ちが困難となるので、あまり好
ましくない。

【００２１】さらに、母線方向に関して、前記各表面部
材の中央部を中高とし、この中央部と前記芯部の中央部
と補強材で連結した構造を採るのが望ましい。中高とし
た場合には、表面部材の中央部にベルトの張力に伴う押
圧力が大きく作用するが、補強材を設けることで、その
表面部材の変形を防止できる。

【００２２】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面により具体的に
説明する。本発明者は、搬送材料の付着を防止するため
に、ローラ外面の面積を小さくすれば良いとの知見に到
り、図５および図６に示すローラ７０を試作した。すな
わち、ローラ７０の外面に母線方向に沿って凹溝７１Ａ
を周方向に間隔を置いて形成することにより、凸条７
１，７１…が占める面積を少なくしたものである。しか
し、当初は材料の付着防止効果が現れ円滑に運転できる
ものの、長期間運転していると、図６に示すように、各
凹溝７１Ａ，７１Ａ…内に材料Ｍが堆積し、ついには全
体が材料が埋まり、その後は、全外面に付着するように
なることを知見した。

【００２３】そこで、本発明者は、図７〜図９に示すロ
ーラ１０を製作し、これを従動ローラとして用いたとこ
ろ、長期間（約半年）にわたって材料の付着がなく、き
わめて優れた運転成績をおさめることができた。

【００２４】ローラ１０は、中心軸芯と同心状に延在す
る円管状の芯部１１と、この芯部１１の両端部において
張り出す円盤状の端面部材１２，１２と、これら端面部
材１２，１２の外周部を繋いで実質的に円筒状をなすよ
うに母線方向に沿って配設された棒状の表面部材１３，
１３…と、前記芯部１１を貫通して一体的に設けられた
軸部材１４とを有するものである。ここで、表面部材１
３，１３…は周方向に間隔を置いて配設され、粉粒状の
搬送材料Ｍより実質的に大きくその搬送材料Ｍが抜ける
透孔１５，１５…が形成されている。また、芯部１１外
面と前記各表面部材の内面とは搬送材料Ｍより実質的に
大きい離間距離Ｌとされている。さらに、母線方向に関
して、各表面部材１３，１３…の中央部を中高とし、こ
の中央部と芯部１１の中央部と補強材１６、実施例では
円盤状の補強材で連結してある。

【００２５】また、補強材１６の外周には、表面部材１
３，１３の一部が嵌まり、補強材１６の外周はベルト１
に直接接触しないようにしてある（図９参照）。

【００２６】かかるローラ１０は、図１０に示すよう
に、軸部材１４の両端はフレーム４と一体化しているサ
ブフレーム１７に固定され、軸部材１４と端面部材１２
との間にはベアリング１８が介装され、これにより、駆
動ローラ２の駆動によるベルト移動に応じて、軸部材１
４を軸芯として、芯部１１、端面部材１２、表面部材１
３が一体的に自由回転するようになっている。

【００２７】本発明において、ローラは、図７〜図９に
示すように中高であることが蛇行防止の点で好ましいけ
れども、単に外面が平坦な円柱状であってもよい。強度
的な支障がない場合には、補強材１６は省略できる。逆
に、補強材１６は単一でなく、ローラの長手方向に沿っ
て間隔を置いて複数設けることもできる。

【００２８】表面部材１３は、少なくともその外面側横
断面形状が、ローラ全体の半径より小さい半径を有する
円または円弧であることにより、ベルト１の内面との接
触面積をより小さくできるので好ましいが、横断面形状
が限定されるものではない。

【００２９】しかし、断面が三角などの場合には、その
稜線がベルト内面に強く当たるので、ベルトを損傷する
ので避けるのが好ましい。

【００３０】透孔１５の間隔や大きさは、搬送材料Ｍの
種類に応じて適宜決定することができるものの、セメン
トやバーク堆肥もしくはピートモスなどの有機質系植生
基盤材料など対象とする場合には、図９に示す間隔Ｐと
しては、５mm以上が好適である。表面部材１３，１３…
の配設本数としては、複数本であれば足りるものの、ロ
ーラの外径により基本的に定まり、一般的には、４〜１
５本程度が加工上などからも好適である。

【００３１】前記実施例のように、芯部１１を１本の軸
部材１４を貫通して配設して、軸部材１４を非回転軸と
し、芯部１１および端面部材１６を回転するようにする
ほか、端面部材１６，１６に２本の短い軸部材を一体化
するあるいは芯部１１を延在させてこれを軸部材とし、
サブフレーム１７に、図示しない軸受を設けて、その軸
受け周りに回転するようにしてもよい。

【００３２】ところで、本発明のローラ１０を用いる
と、図９に示すように、ベルト１の内面に搬送材料Ｍが
付着してローラ１０と共回りしている場合、振動により
ベルト１から離脱した場合、そのまま透孔１５を通して
落下する。落下した搬送材料Ｍはベルト１の内面に乗っ
て移送され、ある段階で、ベルト１の両側から振るい落
とされるようになる。

【００３３】また、本発明において特徴的なのは、表面
部材１３，１３…がベルト１の内面と線接触しているた
めに、付着がそもそも困難であることである。また、た
とえ付着したとしても、前述のとおり、ベルト１とロー
ラ１０外面との相対的な辷りにより、ベルト１内面に付
着した材料が掻き落とされ、ベルト１の内面への付着が
少なくなることである。

【００３４】一方、実施例においては、図１１〜図１３
に示すように、一般的にモータプーリ（プーリモータ）
と称せられる駆動ローラ２外面の付着物に対しては、掻
取ブレート２０により掻き取るようにしてある。掻取ブ
レード２０は、金属板２０Ａの先端にゴム製のブレード
２０Ｂを一体化し、金属板２０Ａの支点２１より先端側
とフレーム４の補助部材４Ａとの間に設けたスプリング
２２により引き寄せて、ブレード２０Ｂを駆動ローラ２
の外面に当接するようにしてある。ゴム製のブレード２
０Ｂによることなく、長い金属板２０Ａの先端を駆動ロ
ーラ２外面に直接当接するようにしてもよい。図１１に
おいて、２３はリターンローラである。

【００３５】しかしながら、図１４〜図１６に示すよう
に、駆動ローラ２に対しても、本発明の構造を適用でき
る。すなわち、市販のモータプーリ５１の端部に、たと
えば４か所の取付片５１Ａを突設し、各取付片５１Ａに
対応する取付片５２Ａを内周に突出して有する端面部材
５２，５２と、これら端面部材５２，５２の外周部を繋
いで実質的に円筒状をなすように母線方向に沿って配設
された棒状の表面部材１３，１３…と、モータプーリ５
０の中央部と表面部材５３，５３…とを繋ぐ円盤状の補
強材５４とで駆動ローラ５０を構成してある。モータプ
ーリ５１と端面部材５２とは、取付片５１Ａと取付片５
２Ａとを連結ボルト５５により連結し一体化してある。
なお、５６は固定支持軸、５７はベアリングである。

【００３６】かかる駆動ローラ５０における、搬送材料
の付着防止の作用効果は、前記のローラ１０と同一であ
るので、説明を省略する。

【００３７】本発明において、表面部材としては、前述
のとおり、棒状部材の組み合わせであるほか、金属板な
どの板材の適宜の個所に透孔を形成したもの、パンチン
グメタル材、エキスパンドメタル材、ラス材なども用い
ることができる。

【００３８】

【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、構造が
簡素であり、実質的にコスト高とはならず、しかもロー
ラへの搬送材料の付着が実質的になく、もって、片寄り
搬送に伴うベルトの損耗を防止することができるなどの
利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】ベルトコンベア例の平面図である。

【図２】その正面図である。

【図３】従来のローラの斜視図である。

【図４】他のローラ例の斜視図である。

【図５】参考例のローラの斜視図である。

【図６】搬送材料の堆積状態側面図である。

【図７】本発明のローラの正面図である。

【図８】その斜視図である。

【図９】ベルトとの関係を示す概要図である。

【図１０】ローラの要部縦断面図である。

【図１１】ベルトコンベアの概要正面図である。

【図１２】その要部正面図である。

【図１３】その要部平面図である。

【図１４】駆動ローラに適用した例の正面図である。

【図１５】その側面図である。

【図１６】プーリモータと端面部材との相関を示す組み
立て図である。

【符号の説明】

１…エンドレスベルト、２…駆動ローラ、３…従動ロー
ラ、４…フレーム、１０…ローラ、１１…芯部、１２…
端面部材、１３…表面部材、１４…軸部材、１５…透
孔、１６…補強材、５０…駆動ローラ、５３…表面部
材、Ｍ…搬送材料。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】エンドレスベルトが巻回されるベルトコン
   ベア用のローラにおいて、 そのベルトと接触するローラ外面を構成する表面部材
   に、粉粒状の搬送材料より実質的に大きくその搬送材料
   が抜ける透孔を形成したことを特徴とするベルトコンベ
   ア用ローラ。
2. 【請求項２】中心軸芯と同心状に延在する芯部と、この
   芯部の両端部において張り出す端面部材と、これら端面
   部材の外周部を繋いで実質的に円筒状をなすように周方
   向に、粉粒状の搬送材料より実質的に大きくその搬送材
   料が抜ける間隔を置いて、かつ母線方向に沿って配設さ
   れた複数の表面部材と、前記芯部を貫通してまたは貫通
   することなく芯部もしくは端面部材に設けられた軸部と
   を有し、前記芯部外面と前記各表面部材の内面とは搬送
   材料より実質的に大きい離間距離とされていることを特
   徴とするベルトコンベア用ローラ。
3. 【請求項３】母線方向に関して、前記各表面部材の中央
   部を中高とし、この中央部と前記芯部の中央部と補強材
   で連結した請求項２記載のベルトコンベア用ローラ。