JPH0838255A - チャンネルブラシ及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 殊に、砥粒を混入した毛材を用いるものに於
いて、耐久性が改善されたチャンネルブラシとその製造
方法を提供する。 【構成】 製造方法は、金属帯板から長尺チャンネルを
折曲形成させる工程と、該長尺チャンネル内に、合成樹
脂を主剤とする液状接着性組成物の所定量を注入する工
程と、接着性組成物を注入した長尺チャンネル内に、心
線を添わせた毛材を植込み、接着性組成物を固化させる
工程とを含む構成とした。チャンネルブラシは、長尺チ
ャンネル内に植込まれた毛材束の、少なくともチャンネ
ル内壁面に接する部分の近傍に、接着性組成物が含浸さ
れた構成を備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、鋼板等の研磨・洗浄に
使われるチャンネル式ブラシロールに係るものであっ
て、このブラシロールの構成部材としての、耐久性が改
善されたチャンネルブラシとその製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】図５に示した様に、上記のチャンネル式
ブラシロール５０は、長尺のチャンネルブラシ５１を、
シャフト５２に螺旋状に巻き付けた構成を備えている。
チャンネルブラシ５１は、図６に示した様に、横断面が
略コ字形をした金属製の長尺チヤンネル５３の溝内に、
押え心線５５を当てがった毛材５４を、Ｕ字形に２つ折
りしながら押し込む方法で作られる。毛材５４は、砥粒
を混入したナイロン樹脂をモノフィラメント状に溶融紡
糸して作られたものが、一般的に使われている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】砥粒含有毛材５４の構
造を拡大して見ると、図７に示した様に、毛材５４の外
周面に露出している各砥粒６０の周りには、紡糸時の押
出方向の背後側に、窪みａが生じている。これは、紡糸
ノズルに対する溶融樹脂と砥粒との夫々の摩擦抵抗の相
異に由来するものと考えられる。この様な窪みａが、毛
材５４の外周面全体に亙って無数に出来れば、当然、毛
材５４の屈撓強度、引張強度、剛性等が低下してしま
う。その為、ブラシロール５０の使用中に激しい反復屈
撓作用力を受ける砥粒含有毛材５４は、比較的早期に折
損し易い問題を抱えていた。殊に、長尺チャンネル５３
の口縁部５３ａには、毛材５４が強くこすり付けられる
ので損傷を受け易い。砥粒を含まない毛材でも、勿論事
情は同じである。又、研磨助剤として油が使われる場合
には、耐油性に劣る合成樹脂製毛材５４の表面の窪みａ
に油が付着滞留するので、益々毛材５４の傷みが加速さ
れることになる。そこで、本発明の目的は、殊に、砥粒
を混入した毛材を用いるものに於いて、耐久性が大幅に
改善されたチャンネルブラシとその製造方法を提供する
にある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する為
の、本発明によるチャンネルブラシの製造方法は、金属
帯板から長尺チャンネルを折曲形成させる工程と、該長
尺チャンネル内に、合成樹脂を主剤とする液状接着性組
成物の所定量を注入する工程と、接着性組成物を注入し
た長尺チャンネル内に、心線を添わせた毛材を植込み、
接着性組成物を固化させる工程とを含む構成とした。
又、本発明によるチャンネルブラシは、長尺チャンネル
内に植込まれた毛材束の、少なくともチャンネル内壁面
に接する部分の近傍に、接着性組成物を含浸させた構成
を備える。

【０００５】

【作用】金属帯板を折曲して形成させた長尺チャンネル
内に、液状接着性組成物の所定量を注入したうえ、心線
を添わせた毛材の束をこのチャンネル内に押し込むと、
毛材に押しやられてチャンネル内を上昇した接着性組成
物は、その一部がチャンネル内壁面に付着すると共に、
幾分かは毛材束に浸透する。そして、残る幾分かはチャ
ンネルの口縁部から溢れ出ると共に、チャンネルの外に
突出している毛材束の根元部分も被覆する。その為、毛
材束と、長尺チャンネルの口縁部との間には、合成樹脂
系の適度のクッション性と強靭性を備えた接着性組成物
の固化層が介在された状態になって、ブラシロールの苛
酷な使用条件下でも、毛材がチャンネル口縁部にこすら
れて摩擦損傷を受ける恐れは著しく少なくなる。その
上、砥粒を混入した毛材の場合には、その外周面の露出
砥粒に接して生じた窪みａが、接着性組成物で埋められ
る効果が加わって毛材の耐屈撓強度が増し、折損の恐れ
が大幅に減少する。更に、毛材束がチャンネル内に接着
された状態になって脱落し難くなる。

【０００６】

【実施例】以下に、本発明の一実施例を、図１〜図３を
参照しながら説明する。図１は、チャンネルブラシの製
造方法の説明図、図２は、出来上がったチャンネルブラ
シＡの縦断面である。図１に於いて、１は長尺チャンネ
ルで、金属帯板を横断面が略コ字形の樋状に曲げ加工し
て作られる。

【０００７】２は毛材で、この実施例のものは、図３に
部分拡大して示した様に、砥粒３を所定割合で混入した
ナイロン樹脂を溶融紡糸して作られている。その為、前
述の様に、毛材２の外周面には、表面に露出している各
砥粒３に接して窪みａが生じている。４は心線で、図２
に示した様に、毛材２の束をＵ字状に折り曲げた状態で
長尺チャンネル１の溝内に押し込み、且つ、抜止する役
割を果す。

【０００８】５は、合成樹脂を主剤として調製された液
状接着性組成物で、溶媒の蒸発、又は、合成樹脂原料の
反応硬化に伴って固化皮膜を形成させる。主剤となる合
成樹脂としては、可撓性エポキシ樹脂等が好適してい
る。或は、市販の様々な合成樹脂系塗料や接着剤の中か
ら、固化皮膜が適度の柔軟性と強靭性とを備えるもの
を、液状接着性組成物５として選定することも出来る。

【０００９】次に、チャンネルブラシＡの製造方法を説
明する。先ず、金属帯板をロール加工して作られた長尺
チャンネル１の溝内底部に、図１に示した様に、所定量
の液状接着性組成物５を注入する。次いで、所定長さに
裁断した毛材２の束を、長尺チャンネル１の口縁部１
ａ，１ａに跨がらせて載せ、束の真ん中に心線４を当て
がいながら、毛材束を長尺チャンネル１の溝内に押し込
んで行く。

【００１０】それに伴って、溝内底部に溜まっている液
状接着性組成物５は、毛材２の束に排除される様にして
溝内を上昇する。その際に、図２に示した様に、接着性
組成物５の一部は長尺チャンネル１の溝内に付着し、一
部は毛材２の束に浸透する。

【００１１】長尺チャンネル１内に毛材２の束を完全に
押し込み終え後、図２に示した様に、毛材２の抜止の為
に、長尺チャンネル１の口縁部１ａ，１ａの開口幅を幾
分狭めると、チャンネルの内容積が狭められるので、接
着性組成物５の一部が口縁部１ａからチャンネル外に押
し出される。その際に、溢れ出た接着性組成物５は、図
３に拡大して示した様に、チャンネル外に突出している
毛材２の根元部分を被覆すると共に、根元部分に存在す
る窪みａを埋め合わせる。又、溢れ出た接着性組成物５
の一部は、図３に示した様に、長尺チャンネル１の口縁
部１ａの近傍を被覆した状態になる。

【００１２】この様な状態でチャンネルブラシＡが組上
がった後、接着性組成物５は、溶媒の蒸発、又は合成樹
脂原料の反応硬化に伴って固化皮膜を形成させる。

【００１３】完成したチャンネルブラシＡは、図２，３
から理解される様に、毛材２と長尺チャンネル１の内壁
面及び口縁部１ａとの間には、柔軟性と強靭性とを併せ
備えた接着性組成物５の固化膜層が介在された状態にな
る。又、毛材２が長尺チャンネル１の外に突出している
根元部分も、接着性組成物５の固化皮膜によって被覆補
強される。更に、砥粒３を混入した毛材２の外周面に生
じている無数の窪みａも、上記根元部分のものは接着性
組成物５によって埋め合わされる。

【００１４】その為、チャンネルブラシＡの苛酷な使用
中に、毛材２の根元部分に激しい反復屈撓作用力が及ぼ
されても、毛材２が直接長尺チャンネル１の口縁部１ａ
の鋭角をなすエッジ部分に接触することが防がれ、摩擦
損傷を受ける度合が顕著に少なくなる。又、毛材２を折
損し易くさせる一要因となる、この根元部分の外周面の
窪みａが、接着性組成物５によって充填されて、この折
損原因が除去される。

【００１５】図４は、本発明によるチャンネルブラシの
他の実施例を示している。上記実施例のチャンネルブラ
シＡとの相異点は、長尺チャンネル１の口縁部１ａを外
向きに幾分折り曲げて、この折曲部分の内側に接着性組
成物５の溜まり場５ａを設けたところにある。この溜ま
り場５ａの形成によって、毛材束が長尺チャンネルブラ
シ１から突出した根元部分の損傷の恐れがより少なくな
る。

【００１６】又、口縁部１ａを外向きに折曲させたこと
によって、この口縁部が毛材２の上記根元部分に触れ難
くなる。その上、毛材束の先端側が末広がりに拡がる効
果も生じて、チャンネル式ブラシロールの植毛密度の均
等化にも役立つ。

【００１７】

【発明の効果】以上の説明によって明らかな様に、本発
明によるチャンネルブラシとその製造方法によれば、以
下に列挙した如き優れた効果が得られる。 （ａ） 毛材を傷め易い長尺チャンネルの口縁部と、毛
材との間に、適度の柔軟性と強靭性を備えた接着性組成
物の固化皮膜が介在されるので、毛材は摩擦損傷を受け
難くなる。 （ｂ） 又、チャンネル内に毛材を植込む際に、チャン
ネル内から溢れ出た接着性組成物の一部が、最も折損し
易い毛材の根元部分を被覆して補強する役割を果す。 （ｃ） 殊に、多数の窪みが外表面に生じている砥粒含
有毛材の場合には、この窪みが接着性組成物によって埋
め合わされるので、上記の補強効果は更に高まる。 （ｄ） 毛材束の基部がチャンネル内に接着された状態
になるので、毛材が脱落し難くなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるチャンネルブラシの製造方法の説
明図で、接着性組成物を注入した長尺チャンネル内に、
毛束を植込みつつある状態を示す縦断面図である。

【図２】同上、植込み終えた状態を示す縦断面図であ
る。

【図３】同上、図２の部分拡大図である。

【図４】本発明の他の実施例を示す、図２相当図であ
る。

【図５】チャンネル式ブラシロールの斜視図である。

【図６】従来のチャンネルブラシの縦断面図である。

【図７】砥粒含有毛材を一部断面で示す、部分拡大側面
図である。

【符号の説明】

Ａ チャンネルブラシ １ 長尺チャンネル １ａ 口縁部 ２ 毛材 ３ 砥粒 ４ 心線 ５ 皮膜形成剤 ５ａ 溜まり場 ５０ チャンネル式ブラシロール ５１ チャンネルブラシ ５２ シャフト ５３ 長尺チャンネル ５３ 口縁部 ５４ 毛材 ５５ 押え心線 ａ 窪み

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属帯板から長尺チャンネルを折曲形成
   させる工程と、 該長尺チャンネル内に、合成樹脂を主剤とする液状接着
   性組成物の所定量を注入する工程と、 接着性組成物を注入した長尺チャンネル内に、心線を添
   わせた毛材を植込み、接着性組成物を固化させる工程と
   を含むことを特徴とするチャンネルブラシの製造方法。
2. 【請求項２】 長尺チャンネル内に植込まれた毛材束
   は、少なくともチャンネル内壁面に接する部分の近傍
   に、接着性組成物が含浸されていることを特徴とするチ
   ャンネルブラシ。