JPH083759B2 - 湯水混合装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、湯と水を混合して適温を得る給湯用の湯水
混合装置に関するものである。

従来の技術 従来この種の湯水混合装置には、第２図に示すような
ものがあった。（例えば実開昭55-59223号公報） 第２図において、湯の入口１と水の入口２と混合湯の
出口３を有した弁框体４の内部には、湯側弁体５と水側
弁体６が設けられている。湯側弁体５と水側弁体６は軸
７に取り付けられ、外部に設けた直線運動変換機構８及
び歯車９を介し、モータ10により駆動される。混合湯出
口３の近傍に、混合湯温を検出する混合湯温を検出する
混合湯温検出器合湯温設定器12で設定した混合湯温値
と、混合湯温検出器11で検出される湯温値を制御器13が
比較し、モータ10を制御する。端末には混合湯を供給す
る蛇口14が設けられている。そして蛇口14を開成し、混
合湯温設定器12を手で操作して混合湯温を設定すると、
制御器13で混合湯温検出器11の値と混合湯温設定器12の
設定値が比較され、両者の温度偏差をなくすようにモー
タ10が駆動制御される。

発明が解決しようとする問題点 しかしながら上記のような構成では、次のような問題
点を有していた。

（１） 湯圧や水圧が他の給湯栓や給水栓の開閉などに
より急変した場合、混合湯温検出器11の応答遅れや直線
運動変換機構９のバックラッシュ、また制御器13内の遅
れ要素によって制御動作が遅れ、過渡的に混合湯温のオ
ーバシュートやアンダシュートを生じた。

（２） 水圧や湯圧が高いと湯側弁体５や水側弁体６に
かかる圧力が過大となり、これに対抗するためモータ10
も能力の大きなものを必要としていた。

本発明はこの様な従来の問題点を解決するものであ
り、過渡的な温度変動を低減し、駆動力も少なくて済む
湯水混合装置を提供することを目的とする。

問題点を解決するための手段 上記の問題点を解決するために本発明の湯水混合装置
は、湯の一次圧に対しバランスを取り、湯の一次圧を減
圧し二次圧を略一定に保つ湯側調圧弁と、この湯側調圧
弁と独立し水の一次圧に対しバランスを取り水の一次圧
を減圧し二次圧を略一定に保つ水側調圧弁と、湯側調圧
弁を駆動し湯の二次圧の設定を変える湯側電気的駆動手
段と、水側調圧弁を駆動し水の二次圧の設定を変える水
側電気的駆動手段と、調圧された湯と水が混合した混合
湯の温度を設定する混合湯温設定器と、この混合湯温設
定器の設定に従って湯側電気的駆動手段と水側電気的駆
動手段を制御する制御器を設けて構成するものである。

作用 本発明は上記した構成によって、混合湯温設定器で設
定した混合湯温を得るように、制御器で湯側電気的駆動
手段と水側駆動手段を制御し、湯側調圧弁と水側調圧弁
の設定二次圧を変更して混合比率を調節するとともに、
湯側調圧弁と水側調圧弁にて湯と水の一次圧の変動を吸
収し、かつ湯側電気的駆動手段と水側電気的駆動手段に
かかる圧力を低減し、一次圧変動時の混合湯温のオーバ
シュート、アンダシュートの低減と、電気的駆動手段へ
の負荷の軽減を図っているものである。

実施例 以下本発明の実施例を添付図面にもとづいて説明す
る。第１図において、湯流路15と水流路16を経て供給さ
れる湯と水は、弁框体17内に設けられた湯側調圧弁18と
水側調圧弁19は全く同一部品で構成されているため、湯
側調圧弁18側で詳細を説明する。調圧弁体20にはシール
パッキン21が装着されており、軸22によりピストン23に
係止金具24を介して連結されている。ピストン23はシリ
ンダ25内を摺動可能に構成されていて、シールパッキン
26にてシリンダ25との間隙がシールされている。ピスト
ン23は上部に設けたばね27により付勢されており、ばね
27の他端はばね受け28により保持されている。ばね受け
28は直線運動変換機構であるねじ29にて押圧されてお
り、ねじ29は外部に設けた電気的駆動手段である湯側モ
ータ30の回転を減速歯車31で減速して回転するように構
成されている。湯側モータ30の回転の上限と下限は、リ
ミットスイッチ32、33で決められている。湯側モータ30
が回転するとねじ29が回転し、ばね27のセット荷重が変
化する。ピストン23と調圧弁体20の受圧面積は等しく設
定されているため、湯の一次圧は相殺され、調圧弁体20
には湯の二次圧が作用し、図において下から上に向う方
向に圧がかかる。この二次圧と閉成用に設けた弱いばね
34のセット荷重の和と、ばね27のセット荷重が均衝する
位置にまで、調圧弁体20と弁座35との間隙が調節され
る。すなわち、ばね27のセット荷重の調節により二次圧
が調節される。水側調圧弁19側も同様に構成されてお
り、水側モータ36の回転により水側の二次圧が制御され
る。調圧された湯と水は、湯側と水側に設けたオリフィ
ス37で絞られ、合流して混合される。混合湯は、サーミ
スタ38で混合湯温が検出され、また流量センサ39で混合
流量が検出される。流量センサ39は、流れを旋回させる
固定翼車40、旋回流によって回転する磁性体でできたボ
ール41、ボールの流出防止受け42、磁石と磁気抵抗素子
からなるセンサ43から構成されている。

そして混合湯は混合湯流路44を通り、蛇口45から給湯
対象に供給される。蛇口45の近傍には、給湯の開始、停
止の指示や混合湯温、混合流量、混合流量の積算値の設
定を行なうとともに、これらの現在値を表示する設定器
46が設けられている。設定器46の信号と、サーミスタ38
の信号と、流量センサ39の信号は制御器47に伝えられ、
制御器47は、湯側モータ30と水側モータ35及び設定器46
の表示を制御する。

次にこの実施例の動作を述べる。設定器46で給湯の開
始を指示すると、制御器47にて湯側モータ30と水側モー
タ36が制御され、ばね27等のセット荷重を増してそれ迄
弁座35等に当接していた調圧弁体20等が開成され、湯と
水は流動を開始する。混合湯温は設定器46で設定した値
が得られるように、サーミスタ38の値を監視しつつ制御
器47で湯側モータ30と水側モータ36の回転速度を制御し
維持される。そして設定器46で設定した混合流量が得ら
れるまで、調圧弁体20の開成は続けられる。混合流量が
所定値に達した段階では、外乱に対して混合湯温を維持
していくため、湯側モータ30と水側モータ36は微少に動
き調節を行なう。ここで、例えば混合湯温の上昇を設定
器46で指示したとすると、湯側モータ30は、湯側ばね27
を押し込みセット荷重を増して二次圧を上昇して行き、
水側モータ36はセット荷重を軽減し二次圧を低下させ
る。結果的に流量が増し、水の流量が減って混合湯温は
上昇して行く。サーミスタ38で検出される混合湯温が所
定値に達した段階で、前述と同様に混合湯温は微調され
ていく。サーミスタ38で検出される混合湯温や、流量セ
ンサ39で検出される混合流量は制御器47を介して設定器
46で表示される。また、混合流量の積算を行なっている
時は、制御器47で積算が行なわれ、同様に表示される。
使用中に他の水栓や給湯栓が使用されて、湯や水の一次
圧が変化した場合は、湯側調圧弁18や水側調圧弁19が、
二次圧を設定値に維持するように動作する。このため湯
の流量や水の流量に変化がほとんど生じないため、混合
湯温がオーバシュートしたり、アンダシュートすること
がない。また、例え一次圧が大きくても湯側調圧弁18と
水側調圧弁19の減圧作用により、湯側モータ30と水側モ
ータ36は、二次圧に対応した力を出すだけでよいため、
その能力は小さいもので済む。給湯を停止したい場合
は、設定器46で指示することにより、湯側モータ30と水
側モータ36は、ばね27のセット荷重を軽減して行き、最
終的にばね34の付勢力によって調圧弁体20を弁座35に押
し当て、シールパッキン21にて流動の停止を行なう。給
湯の停止中は、調圧弁体20が閉成されているため、湯、
水が断水時に逆流したり、圧が高い方が低い方に流れ込
んだりすることが防止されている。こういった調圧弁自
体を制御する方式の利点は、例えば低温の混合湯や水だ
けを出したい場合に、水の一次圧まで二次圧を設定で上
げることができるため、湯側と水側の一次圧の低い方に
併せてバランスを取るバランス弁方式に比べて流量が多
く取れる点である。

本実施例においては、湯側調圧弁18と水側調圧弁19
は、湯と水の流れを止める閉成機能を有しているため、
特別に閉成用の弁を設ける必要がなく構成が簡素化でき
る効果を有している。また、湯側調圧弁18と水側調圧弁
19は、調圧弁体20がピストン23に連結され、シリンダ25
の内部を摺動するシリンダ型としているため、小型に構
成できる効果を有している。更に、二次圧の設定は、ば
ね27のセット荷重の変更によって行なっているため、変
更が容易に可能となる効果を有していた。

なお本実施例においては、混合湯温をサーミスタ38で
検出し、信号をフィードバックする制御方式を例に取っ
たが、湯温、水温と湯の流量、水の流量を元で予め測定
し、混合湯温を演算で求めるフィードフォワード制御等
にも本発明の思想は適用できるものである。

発明の効果 以上のような本発明の湯水混合装置によれば、次のよ
うな効果が得られる。

（１） 湯側調圧弁と、この湯側調圧弁から独立して設
けた水側調圧弁により、湯側と水側の二次圧を独立して
略一定に保てるため、湯側電気的駆動手段と水側電気的
駆動手段にかかる負荷が低減でき、かつ湯圧変動時や水
圧変動時の混合湯温の変動が低減されるとともに、湯温
変動時や水温変動時には電気的な制御によって温度調節
ができ、あらゆる過渡変動時に、メカと電気制御が補完
しあって安定した混合湯を供給できる。

（２） 湯側調圧弁と、この湯側調圧弁から独立して設
けた水側調圧弁により、湯側と水側の二次圧を独立して
略一定に保てるため、湯側、水側の二次圧を連動して略
一定に保つ圧力バランス弁を使用した場合に発生する、
低いほうの圧力に二次圧力が揃えられ、混合流量が制限
される課題を解決でき、水圧、湯圧の一方が低くても混
合湯を多く供給できるとともに、圧力の高い方から低い
方への湯あるいは水が洩れるという課題も解決でき、高
温あるいは低温が設定通りに得られる。

（３） 湯側と水側に独立して設けた湯側調圧弁と水側
調圧弁を電気的駆動手段で駆動して混合弁の機能を発揮
させているため、混合弁機能を兼ねることができ、構成
が大幅に簡素化できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例における湯水混合装置の一部
切欠断面図、第２図は従来の湯水混合装置のブロック図
である。 18……湯側調圧弁、19……水側調圧弁、20……調圧弁
体、23……ピストン、25……シリンダ、30……湯側モー
タ（湯側電気的駆動手段）、36……水側モータ（水側電
気的駆動手段）、46……設定器、47……制御器。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】湯の一次圧に対しバランスを取り、湯の一
   次圧を減圧し二次圧を略一定に保つ湯側調圧弁と、この
   湯側調圧弁と独立し水の一次圧に対しバランスを取り、
   水の一次圧を減圧し二次圧を略一定に保つ水側調圧弁
   と、前記湯側調圧弁を駆動し湯の二次圧の設定を変える
   湯側電気的駆動手段と、前記水側調圧弁を駆動し水の二
   次圧の設定を変える水側電気的駆動手段と、調圧された
   湯と水が混合した混合湯の温度を設定する混合湯温設定
   器と、この混合湯温設定器の設定に従って前記湯側電気
   的駆動手段と水側電気的駆動手段を制御する制御器を備
   えた湯水混合装置。
2. 【請求項２】湯側調圧弁と水側調圧弁は、湯と水の流れ
   を止める閉成機能を有した特許請求の範囲第１項記載の
   湯水混合装置。
3. 【請求項３】湯側調圧弁と水側調圧弁は、調圧弁体とこ
   れに連結されたピストンを有したシリンダ型とした特許
   請求の範囲第１項記載の湯水混合装置。
4. 【請求項４】湯側調圧弁と水側調圧弁の二次圧の設定
   は、ばねのセット荷重の変更によって行った特許請求の
   範囲第１項記載の湯水混合装置。