JPH0834897A - 水系樹脂組成物 - Google Patents

水系樹脂組成物

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JPH0834897A
JPH0834897A JP6172225A JP17222594A JPH0834897A JP H0834897 A JPH0834897 A JP H0834897A JP 6172225 A JP6172225 A JP 6172225A JP 17222594 A JP17222594 A JP 17222594A JP H0834897 A JPH0834897 A JP H0834897A
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隆 中畑
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忠洋 仲田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 保存安定性に優れ、かつ、耐水性、耐薬品
性、皮膜強度等に優れた皮膜を与える水系樹脂組成物を
提供すること。 【構成】 本発明の水系樹脂組成物は、ポリウレタン樹
脂1〜85重量%およびアクリル樹脂1〜85重量%を
含有し、かつ、両者を合計した樹脂固形分2〜90重量
%を含有する水系樹脂組成物であって、上記アクリル樹
脂が、共重合可能な不飽和結合を有する反応性乳化剤の
存在下にアクリル系不飽和単量体の混合物を重合させる
ことによって得られたものであることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリウレタン樹脂およ
びアクリル樹脂を含有する水系樹脂組成物に関し、詳し
くは、アクリル樹脂として、共重合可能な不飽和結合を
有する反応性乳化剤の存在下に懸濁重合または乳化重合
することによって得られたものを使用することによっ
て、保存安定性に優れ、また、皮膜形成の後において
は、耐水性、耐薬品性、皮膜強度等に優れた皮膜を与え
る水系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ポリウ
レタン樹脂、アクリル樹脂等の合成樹脂は、各種塗料、
接着剤等に用いられる他、紙、繊維、織物、不織布等の
紙あるいは繊維製品の加工剤、ガラス繊維の集束剤、モ
ルタル改質剤、床の艶出剤等の多岐の用途に用いられて
いる。従来、これらの用途では合成樹脂を有機溶剤に溶
解した溶剤系ワニスとして使用されていたが、この溶剤
系ワニスには、有機溶剤の毒性、火災の危険性、環境汚
染性等の欠点があり、近年、有機溶剤に代えて水を用い
た、水系樹脂が主流となりつつある。
【0003】上記水系樹脂としては、ポリウレタン樹
脂、アクリル樹脂等の合成樹脂を水に乳化分散させた水
性ウレタン、アクリルエマルジョンが代表的なものであ
り、上述した溶剤系ワニスの欠点を解消したものであ
る。しかしながら、水性ウレタンには、造膜性、弾性
(強度、伸び)、耐磨耗性、耐寒性および極性物質への
密着性に優れる反面、耐加水分解性、耐アルカリ性、耐
汚染性および非極性物質への密着性に劣る欠点があり、
また、アクリルエマルジョンには、硬度、耐加水分解
性、耐アルカリ性、耐汚染性、光沢および非極性物質へ
の密着性に優れる反面、造膜性に劣るため造膜助剤の併
用が不可欠であるばかりでなく、弾性(強度、伸び)、
耐磨耗性、耐水性(特に耐熱水性)、耐溶剤性および極
性物質への密着性に劣る欠点があった。
【0004】これらの欠点を補うために、ポリウレタン
樹脂とアクリル樹脂とを成膜成分として併用した水系樹
脂組成物を用いることが提案されている。これらの樹脂
成分を併用することによって、機械的強度、密着性、耐
摩耗性等はある程度改善されるが、耐水性特に耐熱水
性、耐薬品性等の改善効果は全く不十分なものでしかな
く、しかも、両者の欠点が両方とも出てしまうことが多
かった。
【0005】このような水系樹脂組成物の耐水性、耐薬
品性等に悪影響を及ぼす原因は、不飽和単量体を乳化重
合してアクリル樹脂エマルジョンを製造する際に使用さ
れる乳化剤にあることが知られているが、乳化剤を用い
ずにアクリル樹脂エマルジョンを製造することは困難で
あり、従来は、乳化剤の使用量の低減、悪影響少ない乳
化剤の選択、水性ウレタン中でのアクリル樹脂エマルジ
ョンの製造等の手段でこれらの特性を改善しようとする
試みがなされていた。
【0006】例えば、特開昭63−132975号公報
には悪影響の少ないポリオキシエチレン−スチレン化フ
ェニルエーテルを乳化剤として使用することにより上記
の欠点を解決しようとする提案がなされており、また、
特開昭54−77795号公報、特開昭59−1382
11号公報、特開昭59−138212号公報、特開昭
59−210978号公報、特開昭62−230863
号公報、特開平4−222802号公報、特開平5−3
20299号公報等には、水性ウレタン中でアクリルモ
ノマー等のエチレン性不飽和単量体を重合させることに
よって上記の欠点を解消しようとする提案がなされてい
る。また、ポリウレタン樹脂とアクリル樹脂とを化学的
に結合させることによって上記の欠点を解決しようとす
る提案もなされており、例えば、特開平3−16621
2号公報にはエチレン性末端基を有するポリウレタンマ
クロモノマーにエチレン性モノマーをグラフトさせる方
法が提案され、特開平3−195737号公報には反応
性基を有する水性ウレタン中で該反応性基と反応しえる
基を有するエチレン性モノマーを重合させる方法が提案
されている。
【0007】しかしながら、これらの方法によっても耐
水性、耐薬品性等の改善効果は未だ不十分であり、しか
も、場合によってはポリウレタン樹脂とアクリル樹脂が
不均一となり、形成された皮膜が不均一で不透明となっ
たり、保存安定性が欠けたりすることもあり、実用上満
足できるものではなかった。
【0008】従って、本発明の目的は、保存安定性に優
れ、かつ、耐水性、耐薬品性、皮膜強度等に優れた皮膜
を与える水系樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、種々検討
を重ねた結果、ポリウレタン樹脂およびアクリル樹脂を
含有する水系樹脂組成物において、該アクリル樹脂の乳
化重合の際に使用する乳化剤として、共重合可能な不飽
和結合を有する反応性乳化剤を用いることにより、重合
後のアクリルエマルジョン中に残存する乳化剤がほとん
どないにも係わらず、このアクリル樹脂を用いた水系樹
脂組成物が、ポリウレタン樹脂およびアクリル樹脂の両
方の特性を損なうことなく、上記目的を達成し得ること
を知見した。
【0010】本発明は、上記知見に基づきなされたもの
で、ポリウレタン樹脂1〜85重量%およびアクリル樹
脂1〜85重量%を含有し、かつ、両者を合計した樹脂
固形分2〜90重量%を含有する水系樹脂組成物であっ
て、上記アクリル樹脂が、共重合可能な不飽和結合を有
する反応性乳化剤の存在下にアクリル系不飽和単量体の
混合物を重合することによって得られたものであること
を特徴とする水系樹脂組成物を提供するものである。
【0011】以下、本発明の水系樹脂組成物について詳
述する。
【0012】本発明に用いられるポリウレタン樹脂は、
周知の方法で製造でき、例えば、ポリイソシアネート化
合物と、ポリオールと、カルボキシル基もしくはスルホ
ン酸基を有する他のポリオールまたは分子中に塩基性基
を有する他のポリオールとを、反応に不活性で水との親
和性の大きい有機溶媒中でウレタン化反応させてプレポ
リマーとし、次いで、該プレポリマーを中和、鎖延長
し、水を加えて水性ウレタンとすることによって製造さ
れる。
【0013】上記ポリウレタン樹脂(水性ウレタン)を
製造するために使用されるポリイソシアネート化合物と
しては、脂肪族、脂環式および芳香族ポリイソシアネー
トがあげられ、具体的には、2,4−トリレンジイソシ
アネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4
−ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイ
ソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメ
チルキシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイ
ソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジ
ンジイソシアネートエステル、1,4−シクロヘキシレ
ンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタ
ンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’
−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレン
ジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジ
イソシアネート、イソホロンジイソシアネート等があげ
られる。
【0014】上記ポリイソシアネート化合物の使用量
は、後述するポリオール、カルボキシル基もしくはスル
ホン酸基を有する他のポリオールおよび鎖延長剤の活性
水素の合計に対し、好ましくは0.8〜3倍当量、更に
好ましくは1〜2倍当量である。上記使用量が0.8倍
当量未満の場合には過剰のポリオール等が残存すること
となり、また、3倍当量を超えた場合には水を加えたと
きに尿素結合を多量に生成することとなり、いずれの場
合もその特性を低下させるおそれがある。
【0015】また、上記ポリウレタン樹脂を製造するた
めに使用されるポリオールとしては、例えば、エチレン
グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリ
コール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロ
ピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,
3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコー
ル、ヘキサメチレングリコール、水添ビスフェノール
A、ビスフェノールAのエチレンオキシドおよび/また
はプロピレンオキシド付加物等の低分子量ポリオール、
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、
ポリエチレン/プロピレングリコール、ポリテトラメチ
レングリコール等のポリエーテルポリオール、前記低分
子量ポリオールとコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、
セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、
テトラヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフ
タル酸、ヘキサヒドロフタル酸等の多塩基酸あるいは炭
酸との縮合物であるポリエステルポリオール、ポリカー
ボネートポリオールおよびポリカプロラクトン等があげ
られる。
【0016】また、上記ポリウレタン樹脂を製造するた
めに使用されるカルボキシル基もしくはスルホン酸基を
有する他のポリオールとしては、例えば、2,2−ジメ
チロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、
2,2−ジメチロール吉草酸、1,4−ブタンジオール
−2−スルホン酸等があげられる。また、上記ウレタン
を製造するために使用される分子中に塩基性基を有する
他のポリオールとしては、例えば、メチルジエタノール
アミン、ブチルジエタノールアミン、トリエタノールア
ミン、トリイソプロパノールアミン等の分子中に塩基性
基を有するポリオール等があげられる。これらのうち、
特にカルボキシル基を有するポリオールを用いた場合に
分散性の優れるポリウレタン樹脂(水性ウレタン)が得
られるので好ましい。
【0017】上記カルボキシル基もしくはスルホン酸基
を有する他のポリオールまたは分子中に塩基性基を有す
る他のポリオールの使用量は、上記ポリイソシアネート
化合物および上記ポリオールの種類にもよるが、通常
は、ポリウレタン樹脂を構成する全ての反応成分に対し
て、0.5〜50重量%、好ましくは1〜30重量%で
ある。上記使用量が0.5重量%未満では保存安定性が
劣り、また、50重量%を超えて使用すると特性に悪影
響を及ぼすことがある。
【0018】また、上記ポリウレタン樹脂を製造するた
めに使用される、反応に不活性で水との親和性の大きい
有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケ
トン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、N−メチル−
2−ピロリドン等をあげることができる。上記有機溶媒
の使用量は、通常、上記プレポリマーを製造するために
用いられる上記原料(ポリイソシアネート化合物、ポリ
オール、カルボキシル基もしくはスルホン酸基を有する
他のポリオールまたは分子中に塩基性基を有する他のポ
リオール)に対して、10〜100重量%である。
【0019】また、上記ポリウレタン樹脂を製造するに
際して、上記プレポリマーを中和する中和剤としては、
例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプ
ロピルアミン、トリブチルアミン、N−メチルジエタノ
ールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機
塩基があげられ、上記中和剤の使用量は、カルボキシル
基またはスルホン酸基を中和するに十分な量である。
【0020】また、上記ポリウレタン樹脂を製造するに
際して、上記プレポリマーを鎖延長する鎖延長剤として
は、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコー
ルなどのポリオール類、エチレンジアミン、プロピレン
ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミ
ン、キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタ
ン、、ジアミノシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2
−メチルピペラジン、イソホロンジアミン、メラミン、
コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、フタ
ル酸ジヒドラジド等のアミン類および水等があげられ
る。上記鎖延長剤の使用量は、目的とするポリウレタン
樹脂の分子量にもよるが、通常は、上記プレポリマーに
対して0.5〜10重量%である。
【0021】本発明に用いられる上記ポリウレタン樹脂
は、前述の如く、上記原料から水性ウレタンとして製造
することが周知であるが、上記原料の仕込み順序を適宜
変更したり、あるいは分割して仕込むことによって製造
することも可能である。
【0022】上記ポリウレタン樹脂は、通常、樹脂固形
分が1〜90重量%、好ましくは5〜80重量%となる
ように調整される。
【0023】また、上記ポリウレタン樹脂として、市販
されている水性ウレタンをそのまま使用することも可能
であり、例えば、旭電化工業(株)製の「アデカボンタ
イター」シリーズ、三井東圧化学(株)製の「オレスタ
ー」シリーズ、大日本インキ化学工業(株)製の「ボン
ディック」シリーズ、「ハイドラン」シリーズ、バイエ
ル製の「インプラニール」シリーズ、日本ソフラン
(株)製の「ソフラネート」シリーズ、花王(株)製の
「ポイズ」シリーズ、三洋化成工業(株)製の「サンプ
レン」シリーズ、保土谷化学工業(株)製の「アイゼラ
ックス」シリーズ、第一工業製薬(株)製の「スーパー
フレックス」シリーズ、ゼネカ(株)製の「ネオレッ
ツ」シリーズ等を用いることができる。
【0024】次に、本発明に用いられるアクリル樹脂
は、共重合可能な不飽和結合を有する反応性乳化剤の存
在下にアクリル系不飽和単量体の混合物を重合させるこ
とによって得られたものである。そして、上記アクリル
系不飽和単量体の混合物としては、アクリル酸またはメ
タクリル酸のエステルを含有するものが好ましい。ここ
で、上記の共重合可能な不飽和結合を有する反応性乳化
剤とは、上記アクリル系不飽和単量体の混合物と共重合
可能な不飽和結合を有するものである。また、上記の重
合は、水性溶媒中に乳化または分散させて重合すること
が好ましい。
【0025】上記アクリル樹脂を製造するために使用さ
れるアクリル系不飽和単量体の混合物におけるアクリル
酸エステルまたはメタクリル酸エステルとしては、メチ
ル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブ
チル、第二ブチル、第三ブチル、アミル、ヘキシル、シ
クロヘキシル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘ
キシル、ノニル、デシル、ドデシル、オクタデシル、2
−ヒドロキシエチル、グリシジルなどのエステルがあげ
られる。
【0026】上記アクリル酸エステルまたはメタクリル
酸のエステルの含有量は、任意に設定できるが、通常
は、全単量体(アクリル系不飽和単量体の混合物全体)
中30重量%以上、好ましくは50重量%以上である。
上記含有量が30重量%未満ではアクリル酸エステルま
たはメタクリル酸エステルを用いたことによる効果が発
現しがたくなる。また、上記アクリル酸エステルまたは
メタクリル酸エステルの特に好ましい使用態様として
は、メタクリル酸グリシジルエステルまたはアクリル酸
グリシジルエステルを全単量体中、好ましくは0.1〜
50重量%、更に好ましくは1〜30重量%となるよう
に含有することであり、上記メタクリル酸グリシジルエ
ステルまたはアクリル酸グリシジルエステルを含有する
不飽和単量体を用いることにより、皮膜の耐水性、耐薬
品性等が著しく改善される。
【0027】上記アクリル系不飽和単量体の混合物に
は、上記アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステ
ルとともに他の不飽和単量体を含有することができ、該
他の不飽和単量体を共重合させることもできる。上記の
他の不飽和単量体としては、例えば、エチレン、プロピ
レン、ブテン、イソブテン、ブタジエン、塩化ビニル、
塩化ビニリデン等の脂肪族不飽和炭化水素およびハロゲ
ン化脂肪族不飽和炭化水素、スチレン、α−メチルスチ
レン、ビニルトルエン等の芳香族不飽和炭化水素、クロ
トン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等の他の不
飽和カルボン酸のエステル(エステルを構成するアルコ
ール成分としてはアクリル酸およびメタクリル酸のエス
テルを構成するアルコール成分が例示される)、安息香
酸ビニル、酢酸ビニル等のビニルエステル、アクリルア
ミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミ
ド、N−メチロールメタクリルアミド、アクリロニトリ
ル等の窒素含有ビニルモノマー等があげられる。
【0028】上記アクリル系不飽和単量体の混合物は、
反応当初に一括して仕込むことも、また、分割あるいは
連続的に仕込むことも可能であり、さらに、必要に応じ
てメルカプタン類などの連鎖移動剤を添加することもで
きる。
【0029】また、上記アクリル樹脂を製造するに際し
て、重合開始剤が使用することができ、該重合開始剤
は、特に制限を受けず、通常のエマルジョン重合に用い
られる水溶性開始剤ばかりでなく、油溶性開始剤も使用
することができる。上記重合開始剤としては、例えば、
過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、アゾビスシアノ
吉草酸、アゾビスイソブチロニトリル、第三ブチルハイ
ドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、過酸化
ベンゾイル等があげられ、また、これらの重合開始剤と
亜硫酸塩、スルホキシレートとの組み合わせよりなるい
わゆるレドックス系触媒を使用することもできる。
【0030】上記重合開始剤の使用量は、上記アクリル
系不飽和単量体の混合物における不飽和単量体の種類、
濃度、反応温度等によっても変化するが、通常、全単量
体に対して、好ましくは0.01〜10重量%、更に好
ましくは0.1〜5重量%である。
【0031】上記重合開始剤は、全量を一括して添加す
ることも、あるいは、分割または連続的に添加すること
もできる。
【0032】また、上記アクリル樹脂を製造する際の反
応温度は、上記アクリル系不飽和単量体の混合物におけ
る不飽和単量体および上記重合開始剤それぞれの種類お
よび使用量に応じて変化するが、通常、0℃〜100℃
である。
【0033】また、上記アクリル樹脂を製造するために
使用される反応性乳化剤は、分子内に上記アクリル系不
飽和単量体の混合物における不飽和単量体と共重合しえ
る不飽和結合を有するものであれば、ノニオン系、アニ
オン系あるいはカチオン系を問わず使用することができ
る。
【0034】上記反応性乳化剤は、分子内に、疎水性
基、親水性基および反応性基を各々少なくとも1個有す
る化合物である。上記疎水性基は、脂肪族または芳香族
炭化水素基からなり、上記親水性基は、ポリオキシアル
キレンエーテル基に代表されるノニオン性基、スルホン
酸塩、カルボン酸塩、燐酸塩に代表されるアニオン性基
および第4級アンモニウム塩に代表されるカチオン性基
を含有し、上記反応性基は、ビニルエーテル基、アリル
エーテル基、ビニルフェニル基、アリルフェニル基、ア
クリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはアミド
基、マレイン酸等の不飽和二塩基酸のエステルまたはア
ミド基を含有するものである。
【0035】また、上記反応性乳化剤としては、例え
ば、特開昭62−22803号公報、同62−1048
02号公報、同62−104803号公報、同62−2
21431号公報、同62−221432号公報、同6
2−225237号公報、同62−244430号公
報、同62−286528号公報、同62−28922
8号公報、同62−289229号公報、同63−12
334号公報、同63−54930号公報、同63−7
7530号公報、同63−77531号公報、同63−
77532号公報、同63−84624号公報、同63
−84625号公報、同63−126535号公報、同
63−126536号公報、同63−147530号公
報、同63−319035号公報、特開平1−1163
0号公報、同1−22338号公報、同1−22627
号公報、同1−22628号公報、同1−30632号
公報、同1−34430号公報、同1−34431号公
報、同1−34432号公報、同1−99638号公
報、同1−99639号公報、同4−50204号公
報、同4−53802号公報、同4−55401号公報
に記載されたものがあげられる。
【0036】また、上記反応性乳化剤の具体例として
は、例えば、1−(メタ)アリロキシまたは(メタ)ア
クリロイルオキシまたは(メタ)アリロキシカルボニル
メチル−3−アルコキシ(ポリオキシアルキレノキシ)
またはアルキルフェノキシ(ポリオキシアルキレノキ
シ)またはアシロキシ(ポリオキシアルキレノキシ)−
2−ヒドロキシプロパンまたはそのアルキレンオキシド
付加物あるいはこれらの硫酸または燐酸エステルアルカ
リまたはアンモニウム塩、ビスフェノール化合物または
グリコール化合物のアルキレンオキシド付加物あるいは
これらの硫酸または燐酸エステルアルカリまたはアンモ
ニウム塩、ビニルまたはアリルフェノール化合物のアル
キレンオキシド付加物あるいはこれらの硫酸または燐酸
エステルアルカリまたはアンモニウム塩、スルホコハク
酸のモノアリル−モノアルキルエステルアルカリまたは
アンモニウム塩、スルホコハク酸のモノ(3−アリロキ
シ−2−ヒドロキシプロピル)−モノアルキルエステル
アルカリまたはアンモニウム塩などがあげられる。
【0037】上記反応性乳化剤としては、特に耐水性お
よび耐薬品性に優れた被膜が得られることから、下記
〔化2〕の一般式(I)で表される化合物を用いること
が好ましい。
【0038】
【化2】
【0039】上記一般式(I)において、R2で表される
炭素原子数6〜30の炭化水素基としては、例えば、ヘ
キシル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシ
ル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデ
シル、ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、テトラ
デシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル、ド
コシル、テトラコシル、トリアコンチルなどのアルキル
基、オクテニル、デセニル、ドデセニル、オクタデセニ
ルなどのアルケニル基、オクチルフェニル、ノニルフェ
ニル、ジノニルフェニルなどのアルキルフェニル基があ
げられ、アシル基としては上記のアルキル基およびアル
ケニル基から誘導されるアシル基、並びにヒドロキシス
テアロイル、クロロステアロイルなどの水酸基、ハロゲ
ン原子で置換されたアルキル基およびアルケニル基から
誘導されるアシル基があげられる。
【0040】また、Aで表される炭素原子数2〜4のア
ルキレン基としては、エチレン、1,2−プロピレン、
1,3−プロピレン、1,2−ブチレン、1,3−ブチ
レン、1,4−ブチレンがあげられる。
【0041】また、Zで表されるノニオン系の親水基と
しては、例えば、Zが水素原子である化合物の炭素原子
数2〜4のアルキレンオキサイド1〜100モル付加物
があげられ、また、アニオン系の親水基としてはZが水
素原子である化合物またはZが上記ノニオン系の親水基
である化合物を硫酸またはリン酸エステル塩化した化合
物があげられる。
【0042】上記一般式(I)で表される化合物は、以
下に示すように、Zが水素原子である下記〔化3〕に示
す化合物(I−1)、Zがノニオン系親水基である下記
〔化4〕に示す化合物(I−2)およびZがアニオン系
親水基である下記〔化5〕に示す化合物(I−3)に分
類される。これらの化合物の中でも、Zがノニオン系ま
たはアニオン系の親水基である化合物が更に好ましい。
【0043】
【化3】
【0044】
【化4】
【0045】
【化5】
【0046】〔上記化合物(I−1)〜(I−3)にお
いて、R1、R2、X、A、mは上記一般式(I)と同じ意
味を表し、nは1〜100を表し、pは0〜100を表
し、Z'は-SO3-M1 または-PO(O-M1)(O-M2) を表し、M1
よびM2は互いに独立に、水素原子、アルカリ金属、アル
カリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウムま
たはヒドロキシアルキルアンモニウムを表す。)
【0047】上記反応性乳化剤の使用量は、上記アクリ
ル系不飽和単量体の混合物に対して好ましくは0.1〜
20重量%である。上記使用量が0.1重量%未満の場
合には乳化安定性が不十分であり、また、20重量%を
超えて使用すると得られる水系樹脂から得られる被膜の
特性に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0048】また、上記アクリル樹脂を製造するに際し
て、上記反応性乳化剤とともに、少量の非反応性乳化剤
を使用することも可能であるが、系内に残存する乳化剤
が被膜の特性に悪影響を及ぼすので、その使用量はでき
るだけ少なくすべきである。
【0049】本発明の水系樹脂組成物は、前記したポリ
ウレタン樹脂およびアクリル樹脂を含有するものである
が、その調整方法には特に制限を受けず、別途に製造し
た水性ウレタン(ポリウレタン樹脂)とアクリルエマル
ジョン(アクリル樹脂)を混合する方法、または水性ウ
レタンにアクリル系不飽和単量体の混合物および反応性
乳化剤を加えて重合させる方法のいずれでも採用するこ
とができる。
【0050】上記の別途に製造した水性ウレタンとアク
リルエマルジョンを混合する方法においては、混合の順
序、温度等の条件については特に制限を受けず、例え
ば、アクリルエマルジョン中に水性ウレタンを少量ずつ
添加混合する方法、水性ウレタン中にアクリルエマルジ
ョンを少量ずつ添加混合する方法、両者を一度に混合す
る方法のいずれでも良く、また、両者を冷却した後混合
しても、一方あるいは両方が高温のときあるいは加熱下
に混合しても良い。
【0051】特に、メタクリル酸グリシジルエステルま
たはアクリル酸グリシジルエステルを含有する不飽和単
量体混合物から得られたアクリルエマルジョンを用いる
場合には、50〜100℃で水性ウレタンと混合する
か、あるいは水性ウレタン中で50〜100℃でアクリ
ル系不飽和単量体の混合物を重合させることによって得
られる本発明の水系樹脂組成物を用いることにより、形
成された皮膜の特性が改善される傾向が認められる。こ
のような高温下で製造した水系樹脂組成物を用いること
によって形成される皮膜の特性が改善される理由は明ら
かではないが、ポリウレタン樹脂中に含有されるカルボ
キシル基またはスルホン酸基とアクリル樹脂中に含有さ
れるグリシジル基とが反応して両者の間に部分的な化学
的な結合が生じ、両樹脂の均一性が改善されるためであ
ると推定される。
【0052】本発明の水系樹脂組成物における、上記ポ
リウレタン樹脂および上記アクリル樹脂の含有量は、使
用目的に応じて広範囲に変化させることができるが、通
常は、ポリウレタン樹脂が1〜85重量%、アクリル樹
脂が1〜85重量%であり、かつ、両者を合計した樹脂
固形分が2〜90重量%、好ましくは5〜80重量%で
ある。上記樹脂固形分が2重量%未満の場合は乾燥に長
時間を要することとなり、また、90重量%を超える
と、粘度が高く取扱に不便であるばかりでなく、保存安
定性が低下するおそれがある。
【0053】また、本発明の水系樹脂組成物における、
上記ポリウレタン樹脂と上記アクリル樹脂との比率は、
特に制限を受けないが、通常、重量比で1:10〜1
0:1である。上記比率がこの範囲を外れる場合は、ポ
リウレタン樹脂またはアクリル樹脂の量が少なくなりす
ぎ、所望の特性が得られないことが多い。
【0054】また、本発明の水系樹脂組成物には、目的
に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、ワック
ス類、防腐剤、消泡剤、可塑剤、溶剤、造膜助剤、分散
剤、増粘剤、香料等の慣用の添加物を加えることもでき
る。
【0055】本発明の水系樹脂組成物は、織物、紙、皮
革、金属、木材、プラスチックス成形品、スレート板等
の被膜に用いる塗料、繊維、織物等へ含浸させるバイン
ダー、接着剤、床の艶出剤、ガラス繊維の集束剤等の多
岐の用途に用いることができる。
【0056】
【実施例】以下、製造例および実施例によって本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって制限
を受けるものではない。尚、製造例および実施例におけ
る「部」は特にことわりのないかぎり「重量部」を表
す。
【0057】製造例1〔ポリウレタン樹脂(水性ウレタ
ン)の製造例〕 平均分子量1000のポリプロピレングリコール(PP
G1000)49部、ジシクロヘキシルメタンジイソシ
アネート(水添MDI)176部、ジメチロールプロピ
オン酸70部およびN−メチルピロリドン196部を反
応容器にとり、80〜100℃に保ちながら反応させ
て、プレポリマーを製造した。
【0058】次いで、トリエチルアミン48部を加えて
中和した後、ヘキサメチレンジアミン5部を加え、水を
添加しながら35℃以下で架橋反応を行い、反応終了ま
でに456部の水を加えて樹脂固形分35重量%のポリ
ウレタン樹脂(水性ウレタンA)を製造した。
【0059】製造例2〔ポリウレタン樹脂(水性ウレタ
ン)の製造例〕 平均分子量790のビスフェノールAのプロピレンオキ
シド付加物(BPAPO)140部、キシリレンジイソ
シアネート151部およびN−メチルピロリドン120
部を反応容器にとり、80〜85℃でNCO含有率が1
0.3重量%となるまで反応させ、プレポリマーを製造
した。
【0060】次いで、ジメチロールプロピオン酸14部
および1,4−ブチレングリコール25部を加え、同温
度で架橋反応を行い、赤外吸収スペクトルでイソシアネ
ート基の吸収が消失するまで反応させた後、トリエチル
アミン12部および水538部を加えて中和し、さらに
1時間熟成させて樹脂固形分34重量%のポリウレタン
樹脂(水性ウレタンB)を製造した。
【0061】製造例3〔ポリウレタン樹脂(水性ウレタ
ン)の製造例〕 二塩基酸成分としてテレフタル酸およびイソフタル酸
(重量比1:1)を用い、グリコール成分としてエチレ
ングリコールおよびジエチレングリコール(重量比2:
3)を用いた分子量1000のポリエステルポリオール
(ポリエステルポリオール1)100部、イソホロンジ
イソシアネート107部およびメチルエチルケトン90
部を反応容器にとり、75℃で十分に混合した後、、ジ
メチロールプロピオン酸20部を加え、70℃で12時
間反応させた。5%アンモニア水60部を加え中和した
後、減圧下にメチルエチルケトンを留去し、水を加えて
樹脂固形分23重量%のポリウレタン樹脂(水性ウレタ
ンC)を製造した。
【0062】上記製造例1と同様な操作により、下記
〔表1〕に示す化合物(使用量)によって得られるポリ
ウレタン樹脂(水性ウレタンD〜G)を製造した。尚、
上記水性ウレタンA〜Cの製造に使用した化合物(使用
量)も下記〔表1〕に併記した。
【0063】
【表1】
【0064】製造例4〔アクリル樹脂(アクリルエマル
ジョン)の製造例〕 イオン交換水100部および下記〔化6〕の式で表され
る反応性乳化剤(乳化剤A)2部をとり、70℃に昇温
してから過硫酸アンモニウム0.6部を加えた。ここ
に、メチルメタクリレート45部、n−ブチルアクリレ
ート45部、グリシジルメタクリレート10部、乳化剤
A1部およびイオン交換水30部からなる混合乳化液を
3時間を要して滴下し、滴下終了後、さらに同温度で1
時間反応させた。その後、アンモニア水でpHを8〜9
に調整し、樹脂固形分44重量%のアクリル樹脂(アク
リルエマルジョンA)を製造した。
【0065】
【化6】
【0066】上記製造例4と同様な操作により、下記
〔表2〕に示す化合物(使用量)によって得られるアク
リル樹脂(アクリルエマルジョンB〜F)を製造した。
尚、上記アクリルエマルジョンAの製造に使用した化合
物(使用量)も下記〔表2〕に併記した。
【0067】
【表2】
【0068】製造例5〜9〔アクリル樹脂(アクリルエ
マルジョン)の製造例〕 反応性乳化剤を、乳化剤Aから下記〔化7〕〜〔化1
1〕の式で表される反応性乳化剤B、C、D、Eおよび
Fに変更する以外は製造例4と同様にして、それぞれア
クリル樹脂(アクリルエマエルジョンG、H、I、Jお
よびK)を製造した。
【0069】
【化7】
【0070】
【化8】
【0071】
【化9】
【0072】
【化10】
【0073】
【化11】
【0074】実施例1〔ポリエレタン樹脂(水性ウレタ
ン)とアクリル樹脂(アクリルエマルジョン)との混合
による水系樹脂組成物の製造〕 下記〔表3〕〜〔表5〕に示す配合により水性ウレタン
およびアクリルエマルジョンを30℃で2時間混合して
水系樹脂組成物No. 1〜No.21 を調整した。
【0075】得られた水系樹脂組成物を、ガラス板上に
乾燥時の膜厚が0.5mmとなるように塗布し、20℃で
一昼夜自然乾燥させた後、80℃で5分間乾燥させて皮
膜を形成させ、得られた試験片について、下記の条件に
従って、耐水性、耐アルカリ性、耐酸性および透明性の
試験を行った。それらの結果を下記〔表3〕〜〔表5〕
に示す。
【0076】耐水性はJIS K5400に準じて浸漬
時間は30日間で行い、耐アルカリ性は3.5%水酸化
ナトリウム水溶液に60℃で1時間浸漬し、耐酸性はJ
ISK5400に準じて浸漬時間は24時間で行った。
その結果を次の基準によって評価した。 ◎:試験前と変化なし。 ○:しわ、膨れまたは剥がれはないが、若干の変色があ
る。 △:しわ、膨れまたは剥がれが認められ、変色もある。 ×:しわ、膨れまたは剥がれが認められ、変色が著し
い。
【0077】皮膜の透明性は目視で観察し、次の基準で
評価した。 ○:全体が透明。 △:部分的に濁りが認められる。 ×:白濁。
【0078】また、これらの水系樹脂組成物を50℃で
30日間保存したときの貯蔵安定性(保存安定性)を目
視により判定した。その結果を次の基準により評価し
た。 ○:粘度の増加がなく、相分離も認められない。 △:粘度の増加または相分離は認められるが、使用可
能。 ×:粘度の増加または相分離が著しく、使用不可。
【0079】
【表3】
【0080】
【表4】
【0081】
【表5】
【0082】実施例2〔ポリウレタン樹脂(水系ウレタ
ン)中でのアクリル系モノマーの重合による水系樹脂組
成物の製造〕 イオン交換水126部、乳化剤A3部、水性ウレタンE
200部をとり、60℃に昇温した。下記〔表6〕に示
す組成からなる不飽和単量体の混合物100部(合計
量)および第三ブチルハイドロパーオキサイドの10%
水分散液4部を3時間を要して滴下した。滴下終了後7
0℃に1時間保って重合反応を完結させ、樹脂固形分3
7重量%の水系樹脂組成物(水系樹脂組成物 No.22〜2
7)を製造した。
【0083】得られた水系樹脂組成物を用いて、実施例
1と同様の試験を行った。それらの結果を下記〔表6〕
に示す。
【0084】
【表6】
【0085】実施例3 高温下で水系樹脂組成物を製造した場合の効果をみるた
めに、混合を70℃で行った以外は実施例1と同様の操
作により水系樹脂組成物 No. 5、 No. 6およびNo.12と
同一の組成を有する水系樹脂組成物(水系樹脂組成物 N
o.28〜30)を製造した。
【0086】得られた水系樹脂組成物を乾燥時の膜厚が
150μmとなるように塗布し、得られた皮膜の引張強
度(Kgf/cm2)、伸び(%)および100%モジュラス
(Kgf/cm2)を測定し、それらの結果を下記〔表7〕に示
す。尚、皮膜の耐水性、耐アルカリ性、耐酸性および透
明性ならびに水系樹脂組成物の保存安定性については室
温で製造した場合と高温で製造した場合との差異は全く
認められなかった。
【0087】
【表7】
【0088】水系樹脂組成物 No. 1〜7 を用いた結果か
ら、反応性乳化剤を用いて重合させたアクリル樹脂を用
いた場合には、組み合わせるポリウレタン樹脂の組成を
変化させた場合にも、耐水性、耐アルカリ性、耐酸性お
よび透明性に優れた皮膜が得られ、また、水系樹脂組成
物の保存安定性も良好であることが明らかである。
【0089】同様に、ポリウレタン樹脂とアクリル樹脂
の併用比率を変化させた場合(水系樹脂組成物 No. 5お
よび 8〜11)、アクリル樹脂の組成を変化させた場合
(水系樹脂組成物 No. 5および13〜15)、用いる反応性
乳化剤の種類を変化させた場合(水系樹脂組成物 No. 5
および17〜21)、あるいは、アクリル樹脂を水性ウレタ
ン中で重合させた場合(水系樹脂組成物 No.22、24、26
および27)にも、耐水性、耐アルカリ性、耐酸性および
透明性に優れた皮膜が得られ、また、水系樹脂組成物の
保存安定性も良好であることが明らかである。
【0090】特に、水系樹脂組成物 No. 5を用いた場合
と水系樹脂組成物 No.15を用いた場合、あるいは、水系
樹脂組成物 No.22を用いた場合と水系樹脂組成物 No.24
を用いた場合との比較から、アクリル樹脂としてメタク
リル酸グリシジルエステルを含む単量体混合物を用いた
場合に著しい効果が奏され、また、水系樹脂組成物 No.
5および17〜20を用いた場合と水系樹脂組成物 No.21を
用いた場合との比較から、反応性乳化剤として前記一般
式(I)で表される化合物を用いた場合に耐水性および
耐アルカリ性が著しく優れることが明らかである。
【0091】これに対し、水系樹脂組成物 No. 5と水系
樹脂組成物 No.12、水系樹脂組成物No.15と水系樹脂組
成物 No.16、水系樹脂組成物 No.22と水系樹脂組成物 N
o.23、あるいは、水系樹脂組成物 No.24と水系樹脂組成
物 No.25をを用いた場合との比較から、非反応性の乳化
剤を用いた場合には、耐水性、耐アルカリ性および耐酸
性が不十分なばかりでなく、皮膜の均一性(透明性)に
劣り、また、保存安定性も劣る傾向があることが明らか
である。
【0092】さらに、上記〔表7〕に示したように、本
発明の反応性乳化剤を用いた水系樹脂組成物を高温で製
造した場合には、皮膜の耐水性、耐薬品性に悪影響を及
ぼすことなく強度および伸びが改善されるのに対し、非
反応性の乳化剤を用いた場合には、その改善効果はほと
んど認められない。
【0093】
【発明の効果】本発明の水系樹脂組成物は、遊離の乳化
剤がほとんど残存しないにも係わらず、保存安定性に優
れたものである。また、本発明の水系樹脂組成物から形
成される皮膜は、耐水性、耐薬品性(耐アルカリ性、耐
酸性)および透明性が著しく優れるばかりでなく、強度
および伸びが大きい特徴を有している(請求項1)。ま
た、本発明の水系樹脂組成物は、特定の反応性乳化剤を
用いて得られるアクリル樹脂を含有することで、特に耐
水性および耐薬品性に優れた皮膜を与える(請求項
2)。また、本発明の水系樹脂組成物は、特定のアクリ
ル系不飽和単量体の混合物を重合して得られるアクリル
樹脂を含有することで、特に耐水性および耐薬品性に優
れた皮膜を与える(請求項3)。従って、本発明の水系
樹脂組成物は、塗料、バインダー、接着剤等として用い
るのに極めて適したものである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリウレタン樹脂1〜85重量%および
    アクリル樹脂1〜85重量%を含有し、かつ、両者を合
    計した樹脂固形分2〜90重量%を含有する水系樹脂組
    成物であって、上記アクリル樹脂が、共重合可能な不飽
    和結合を有する反応性乳化剤の存在下にアクリル系不飽
    和単量体の混合物を重合させることによって得られたも
    のであることを特徴とする水系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 上記反応性乳化剤が、下記〔化1〕の一
    般式(I)で表される化合物である請求項1記載の水系
    樹脂組成物。 【化1】
  3. 【請求項3】 上記アクリル系不飽和単量体の混合物
    が、メタクリル酸グリシジルエステルまたはアクリル酸
    グリシジルエステルを0.1〜50重量%含有する不飽
    和単量体混合物である請求項1または2記載の水系樹脂
    組成物。
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