JPH0834115A - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

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JPH0834115A
JPH0834115A JP6170818A JP17081894A JPH0834115A JP H0834115 A JPH0834115 A JP H0834115A JP 6170818 A JP6170818 A JP 6170818A JP 17081894 A JP17081894 A JP 17081894A JP H0834115 A JPH0834115 A JP H0834115A
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JP
Japan
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ink
intermediate transfer
heat
transfer member
transfer body
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Application number
JP6170818A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasushi Suwabe
恭史 諏訪部
Susumu Hiragata
進 平潟
Toru Okamoto
徹 岡本
Tetsuo Kodera
哲郎 小寺
Shigehito Andou
滋仁 安東
Koji Adachi
康二 足立
Keizo Abe
敬三 阿部
Kazuo Maruyama
和雄 丸山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
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  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Ink Jet (AREA)
  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 中間転写体の加熱手段を用いずに、中間転写
体上に高さの低いドットを形成し、画質を向上させるこ
とのできるインクジェット記録装置を提供する。 【構成】 記録ヘッド2は、熱溶融性インク1を加熱溶
融させ、画像情報に応じて対向配置された中間転写体3
へ飛翔させる。中間転写体3の表面部には熱伝導抵抗層
4が設けられている。中間転写体3の表面へ付着した熱
溶融性インク1の熱は、熱伝導抵抗層4を経て中間転写
体3へと流出する。このとき、熱伝導抵抗層4により放
熱に時間がかかり、固体相への変化は緩慢となる。これ
により、熱溶融性インク1は固化するまでに中間転写体
3の表面へ広がり、高さの低いドットが形成される。中
間転写体3の表面に付着した熱溶融性インク1は、記録
媒体5に圧接され、転写されることにより、記録が行な
われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱溶融性インクを用紙
等の記録媒体へ溶融飛翔させて画像形成を行なうインク
ジェット記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば、特開昭56−113
462号公報や、特開昭60−90775号公報等に記
載されているような、固体状の熱溶融性インクを加熱溶
融させ、画像情報に応じた静電吸引力によって記録ヘッ
ドから記録媒体へインクを飛翔させ、記録媒体に画像を
記録する方式のインクジェット記録装置が知られてい
る。このようなインクジェット記録装置によれば、常温
で液体であるインクを用いる場合に生ずる問題、具体的
には、普通紙に記録する際のインクのにじみ(フェザリ
ング)現象や、記録ヘッドでのインクの乾燥、固化の現
象に伴う記録動作障害という問題を有効に回避すること
が可能である。
【0003】ところが、熱溶融性インクを用いたインク
ジェット記録方法では、熱溶融性インクが記録媒体側へ
飛翔すると直ちに凝結するため、記録媒体上で熱溶融性
インクが盛り上がったドットを形成する現象が確認され
た。このため、記録媒体上のインク画像を擦ると、熱溶
融性インクの情報が容易に剥がれやすく、インクドット
の定着強度が不足しやすいという問題点があった。
【0004】また、OHPシート等の透明フィルムシー
トからなる記録媒体上にカラーインクを印字したとして
も、シート上に盛り上がったインクドットが光を拡散し
てしまい、色がきれいに発色しないという問題点もあっ
た。
【0005】これらの問題点を解決する手段として、例
えば、特開平4−358840号公報、特開平5−20
0997号公報等に記載されているように、中間転写体
を利用する方法が考えられている。この方法によれば、
インクを中間転写体へ溶融飛翔させ、さらにこの中間転
写体に付着したインクを一定温度のもとに圧力をかけて
記録媒体へ転写して、ドットを偏平に潰すとともに定着
強度を上げることができる。しかし、これらの方法で
は、中間転写体に加熱手段を付加して中間転写体の表面
の温度を精密に制御する必要があった。このため、装置
は複雑化するとともに、発熱量も多く、消費電力が大き
いという欠点を有していた。
【0006】これに対し、例えば、特開平4−2517
47号公報に記載されているように、フィルム状の中間
転写体を用い、転写部だけを加熱する方法や、特開平2
−43053号公報や特願平4−314398号に開示
されているように、中間転写体を加熱することなく、圧
力のみでインクドットを記録媒体へ転写する方法も考え
られている。
【0007】しかしながら、インクの軟化温度にまで加
熱されていない中間転写体へインクを飛翔させるこれら
の方法では、インクが中間転写体に付着した瞬間に冷却
され、凝縮してしまうため、径が小さく盛り上がったド
ットが形成される現象が発生する。このドットの高さが
高いという現象は種々の問題を引き起こす。
【0008】第1の問題は、この状態のドットでは、均
一にドットが潰れないため、転写後のドット形状が不揃
いとなり、画像の劣化が発生してしまうという点であ
る。特に、カラー記録など複数色のドットを重ねて中間
転写体へ記録することが必要な場合は、1色分のドット
の高さに比べ、4色分のドットが積み重なった部分は約
4倍の高さになる。このため、4色分のドットが重なっ
た部分では、転写時にドットが倒れて細長くばらけるこ
ともあり、色ズレを引き起こす。この色ズレはドットの
高さ、すなわち重ねた色の数により異なり、画像が不均
一に形成される原因となっている。また、第2の問題
は、記録媒体への転写時にドットを潰す圧力が大きくな
るため、中間転写体の機械的強度も必要となり、容積・
重量が増大する点である。
【0009】以上の問題点は、記録ヘッドの方式によら
ず、熱溶融性インクを用いたインクジェット記録方式に
共通の問題であるが、静電吸引力を利用した方式のイン
クジェット記録装置では、さらに別の問題点が発生す
る。すなわち、第3の問題は、静電吸引力を利用して中
間転写体上に多色を重ねて記録を行なう場合に、インク
ドットの高さが高くなることにより、後の色のドットを
記録する際に、電気的に影響が生じて所望の位置に次の
色のドットを形成できなくなるという問題である。イン
クが電荷を有したまま固化した場合、その上に次のイン
クを重ねようとしても、同極性の残留電荷による影響で
反発力が働き、以降のインクが前のインクドットに重な
らない等の影響が発生することとなる。特に、上述の特
開平2−43053号公報に記載の装置では、中間転写
体の表面に絶縁層を設けているので、このような問題が
発生する。このために、中間転写体の表面に導電層を設
け、記録中に電荷を導電層へ逃がし、インクが固化した
後の残留電荷を減らすという方法などが考えられてい
る。
【0010】しかし、完全にインクドットの残留電荷を
取り除いたとしても、記録ヘッドと中間転写体との間に
誘電体が挟まったことになり、ドットの存在している部
分の空間の電界強度は、ドットのない部分に比べて大き
くなる。このため、次の色のインクを重ねようとする
と、前の色のドットのある部分では、インクに電界から
大きな力が作用し、以降のドットのインク量が多くなっ
てしまう。極端な場合には、画像ムラとして認知される
ことになり、多色による重ね記録を行なう場合の大きな
問題点となる。
【0011】このように、静電吸引力を利用して中間転
写体上で多色による重ね記録を行なう場合は、ドットの
高さが画像に悪影響を及ぼし、この影響はドットの高さ
が高いほど顕著となる。
【0012】以上のように、中間転写体へ熱溶融性イン
クを飛翔させる方法では、記録ドットの高さが高いとい
う現象がヘッドの方式によらない共通の問題である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した事
情に鑑みてなされたもので、中間転写体の加熱手段を用
いずに、中間転写体上に高さの低いドットを形成し、画
質を向上させることのできるインクジェット記録装置を
提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、請求項1に記
載の発明においては、熱溶融性インクを保持した記録ヘ
ッドと、該記録ヘッドに対向配置された中間転写体を有
し、前記熱溶融性インクを加熱溶融し、前記中間転写体
へ画像情報に応じて溶融した前記熱溶融性インクを飛翔
させて付着させ、前記中間転写体に付着したインクを記
録媒体へ転写して記録するインクジェット記録装置にお
いて、前記中間転写体の表面部に、熱伝導率λが11.
6W/(m・K)より小さく厚さが10μm以上の熱伝
導抵抗層を設けたことを特徴とするものである。
【0015】請求項2に記載の発明においては、熱溶融
状態で導電性を有する熱溶融性インクを保持した記録ヘ
ッドと、該記録ヘッドに対向配置された中間転写体を有
し、前記熱溶融性インクを加熱溶融し、前記記録ヘッド
と前記中間転写体との間に電界を形成し、静電気力によ
って溶融した前記熱溶融性インクを前記中間転写体へ画
像情報に応じて飛翔させて付着させ、前記中間転写体に
付着した前記熱溶融性インクを記録媒体へ転写して記録
するインクジェット記録装置において、前記中間転写体
の表面部に、熱伝導率λが11.6W/(m・K)より
小さく厚さが10μm以上の熱伝導抵抗層と、厚さが1
0μm以下の導電層を設けたことを特徴とするものであ
る。
【0016】
【作用】本発明の中間転写体を用いたインクジェット記
録装置において、熱溶融したインクを記録ヘッドによっ
て画情報に応じて中間転写体に飛翔させると、中間転写
体上には画情報に対応したパターンのインクが保持され
る。このとき、インクドットが持つ熱量は、周囲の空気
による熱伝達と、中間転写体との接触面からの熱伝達に
よって移動し、インクドットの温度は周囲温度に近づ
き、融点の温度以下になると固体に相変化する。中間転
写体の温度が室温と同等であり、インクの温度が数十度
から百数十度程度であれば、周囲の空気への自然対流に
よる熱伝達よりも、中間転写体への熱の移動の方が大き
いことは伝熱工学からも明らかである。また、インクド
ットの体積に比較して、中間転写体の体積は非常に大き
いため、中間転写体自体の温度変化はほとんどない。
【0017】ここで、中間転写体の熱伝導率λが高く、
中間転写体への熱量の移動が大きい場合は、急速にイン
クが冷却され、中間転写体の表面近傍のインクは凝固
し、固体相へと変化する。この時間が、インクと固体壁
界面に働く表面張力γ(静電吸引力を用いた記録法の場
合には静電気による圧力も合わせた力)によりインクが
中間転写体の表面へ広がる時間より早いと、インクドッ
トは十分に広がる前に凝固し、高さの高いドットが形成
される。
【0018】本発明では、中間転写体の表面部に、熱伝
導率λが11.6W/(m・K)より小さい熱伝導抵抗
層を設けている。このように、中間転写体の表面部に熱
伝導率λが小さい熱伝導抵抗層を設けた場合、インクド
ットから熱伝導抵抗層を経て中間転写体へと流出する単
位時間当たりの熱量は小さく、インクの温度が下がるの
に時間がかかる。そのため、インクと固体壁界面に働く
表面張力γ(静電吸引力を用いた記録法の場合には静電
気による圧力もあわせた力)により、インクが中間転写
体の表面へ広がるだけの時間的な余裕が生じ、ドットが
中間転写体の表面へ広がる。そのため、ドットの体積が
同じならば、熱伝導抵抗層5のない場合よりも高さの低
いドットが形成されることとなる。また、熱伝導抵抗層
の厚さがあまり薄いと熱の伝達は速まるため、厚さを1
0μm以上とすることによって、所定以上の時間を確保
している。
【0019】
【実施例】図1は、本発明のインクジェット記録装置の
一実施例における概略構成図である。図中、1は熱溶融
性インク、2は記録ヘッド、3は中間転写体、4は熱伝
導抵抗層、5は記録媒体である。熱溶融性インク1は、
室温では適当な固さの固体であって、記録ヘッド2にお
いて加熱されることにより溶融し、液状となるインクで
ある。この熱溶融性インク1としては、記録媒体5上で
擦りや折り曲げに耐えること、室温では塑性流動を示し
て外力によって割れを生じないこと、所定の融点で溶融
すること、静電吸引方式の記録ヘッドを用いる場合は溶
融状態で103 ないし109 Ωm程度の導電性を有する
こと等を考慮の上、適宜選択して用いられる。
【0020】記録ヘッド2は、熱溶融性インク1を保持
し、この熱溶融性インク1を内部で加熱して溶融させ、
記録ヘッド2に対向配置された中間転写体3へ画像情報
に応じて飛翔させる。記録ヘッド2としては、圧電素子
を用いたパルスオンデマンド方式や、静電吸引力によっ
てをインクを飛翔させる静電吸引方式や、静電吸引力と
熱エネルギーとの組み合わせによってインクを飛翔させ
る熱静電吸引方式や、静電吸引力等でインクを***さ
せ、空気流によって***インクを飛翔させる空電制御方
式等、各種の方式のものを用いることができる。ただ
し、記録ヘッド2としては、少なくとも、インク飛翔時
において、熱溶融性インクが溶融温度以上に加熱される
ヘッド加熱手段を具備することが必要である。
【0021】中間転写体3は、その表面部に熱伝導抵抗
層4が配置されており、記録ヘッド2と所定間隔をおい
て対向配置されている。図1では、中間転写体3はドラ
ム状としているが、記録ヘッド2から溶融飛翔された熱
溶融性インク1を保持搬送する機能と、保持搬送した熱
溶融性インク1を記録媒体5に加圧転写させる機能とを
備えたものであれば、ドラム状に限らず、ベルト状等、
どのような構成であってもよい。また、中間転写体の少
なくとも表面層は軟化状態のインクを中間転写体内部に
浸透させない性質を持ち、軟化状態のインクを中間転写
体の表面近傍に保持することが必要である。そのため、
熱伝導抵抗層4がこのような性質を有している場合に
は、熱伝導抵抗層4を表面に用いることが可能である
し、このような性質を有していない場合には、表面にこ
のような性質を有するごく薄い表面層を形成してもよ
い。
【0022】中間転写体3に設ける熱伝導抵抗層4は、
熱伝導率λが11.6W/(m・K)より小さい物質に
より形成される。このような熱伝導率λを有する材料と
しては、金属以外の材料、例えば、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂等の樹脂
や、シリコンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン・モ
ノマーのような合成ゴム、天然ゴム、セラミック、ガラ
ス等、種々の材料を用いることができる。さらには、こ
れらを複合して用いることもでき、ガラス繊維、木綿、
羊毛等を層状にして成型したもの、多孔質にして内部に
空気、窒素等の気体を閉じ込めたものであってもよい。
また、熱伝導抵抗層4の厚さは10μm以上であれば、
熱溶融性インク1からの熱の伝導を良好に遅延させるこ
とができる。
【0023】また、熱伝導抵抗層4の設ける位置は、中
間転写体の表面、ないし表面のごく近傍が適している。
さらに、表面に保護層、あるいは、上述のように熱溶融
性インク1を転写時における剥離性を良くするための撥
液層として樹脂層等を設けることもできる。
【0024】静電吸引式の記録ヘッドを用いて記録を行
なう場合には、少なくとも中間転写体の内部、あるいは
表面に、対向電極として金属等の導体層を配置する必要
がある。中間転写体の内部に導体層を配置する場合は、
導体層の厚さはいかなるものであっても構わない。中間
転写体の表面に導電層を用いる場合には、熱伝導抵抗層
の効果を妨げないために、導電層の厚さは10μm程度
以下が望ましく、またその直下に熱伝導抵抗層が接する
ように構成する必要がある。導電層の厚さを10μm以
上にすると、導電層自体がインクドットの熱量を奪って
しまい、その下層に位置する熱伝導抵抗層の機能が果た
せなくなることが確認された。
【0025】本発明のインクジェット記録装置の一実施
例における動作の概要について説明する。図2は、中間
転写体に接触直前のインクドットの形状の一例を示す説
明図、図3は、中間転写体上に付着したインクドットの
広がりの説明図である。図1で説明したように、記録ヘ
ッド2は、熱溶融性インク1を保持している。記録ヘッ
ド2の内部では、この熱溶融性インク1を加熱して溶融
させ、画像情報に応じて対向配置された中間転写体3へ
飛翔させる。この時の熱溶融性インク1の温度は、イン
クの特性によるが、ほぼ数十度から百数十度程度であ
る。
【0026】記録ヘッド2から飛翔するインクドットの
先端形状は、中間転写体に到達し接触する寸前には、表
面張力により球形に近い形状をしている。液滴で空気中
を飛翔する場合には、図2(A)に示すように、熱溶融
性インク1は、球あるいは円筒に近いドロップ形状であ
る。また、液柱(曳糸)で中間転写体3に流動移動する
場合は、図2(B)に示すように、記録ヘッド2と中間
転写体3の間に液柱を伴った球あるいは円筒の形状をし
ている。
【0027】いずれの場合も、熱溶融性インク1は中間
転写体3の表面に接触した瞬間、インクドットの持って
いた運動エネルギーと中間転写体3の表面に働く張力と
によって、中間転写体3の表面に沿って広がる。また、
静電吸引力を用いた記録方法の場合には、熱溶融性イン
ク1に導電性があるため、静電気による圧力が発生し、
表面張力とともに作用して、熱溶融性インク1は中間転
写体3の表面へと広がる。
【0028】熱溶融性インク1が中間転写体3の表面に
接触した時点から、熱溶融性インク1の持つ熱量は中間
転写体3へ移動を開始し、インクドットの温度は中間転
写体3の温度に近づく。このとき、インクドットが持つ
熱量は、周囲の空気による熱伝達と、中間転写体との接
触面からの熱伝達によって移動するが、中間転写体3の
温度が室温と同等であり、熱溶融性インク1の温度が数
十度から百数十度程度であれば、周囲の空気への自然対
流による熱伝達よりも、中間転写体3への熱の移動の方
が大きい。また、中間転写体3に付着したインクドット
の体積に比較して、中間転写体3の体積は非常に大きい
ため、中間転写体3自体の温度変化はほとんどない。そ
のため、インクドットの温度は周囲温度に近づき、融点
の温度以下になると固体に相変化する。
【0029】上述のように、熱溶融性インク1は、中間
転写体3の表面に接触した時点から中間転写体3の表面
に沿って広がる。このとき、中間転写体3の熱伝導率λ
が高く、中間転写体への熱量の移動が大きい場合は、図
3(A)に示すように、急速に熱溶融性インク1が冷却
され、中間転写体3の表面近傍から凝固し、固体相へと
変化する。この固体相への変化にかかる時間が、熱溶融
性インク1と中間転写体3の表面に働く表面張力γ(静
電吸引力を用いた記録法の場合には静電気による圧力も
合わせた力)により熱溶融性インク1が中間転写体3の
表面へ広がる時間より早いと、インクドットは十分に広
がる前に凝固し、高さの高いドットが形成される。
【0030】本発明のように、熱伝導抵抗層4を中間転
写体3の表面部に設けた場合、インクドットから熱伝導
抵抗層4を経て中間転写体3へと流出する単位時間当た
りの熱量は小さくなる。そのため、インクの温度が下が
るのには時間がかかり、固体相への変化は緩慢となる。
これにより、熱溶融性インク1と中間転写体3の表面に
働く表面張力γ(静電吸引力を用いた記録法の場合には
静電気による圧力も合わせた力)により熱溶融性インク
1が中間転写体3の表面へ広がるだけの余裕時間が生
じ、図3(B)に示すように、図3(A)の場合よりも
ドットが中間転写体の広い面積の表面へ広がるととも
に、高さの低いドットが形成されることとなる。
【0031】このようにして、記録ヘッド2から中間転
写体3へ飛翔した熱溶融性インク1は、その表面で固化
し、インクドットが形成される。そして、中間転写体3
の回転とともに、画像情報に対応したパターンのインク
ドットによる画像が中間転写体3の表面に形成される。
さらに中間転写体3が回転することにより、中間転写体
3に付着した熱溶融性インク1は記録媒体5との圧接部
へ向かう。そして、圧接部において、熱溶融性インク1
は記録媒体5に圧接され、転写されることにより、記録
が行なわれる。
【0032】図4は、熱伝導抵抗層の厚さとインクドッ
トの高さの関係を材質ごとに示したグラフ、図5は、熱
伝導抵抗層の材質とインクドットの高さの関係の説明図
である。実際に、中間転写体3として、種々の材料を銅
製の対向電極の表面に配置し、その表面にインクを付着
させてそのドットの高さを調べた。この時の室温は20
℃であり、熱溶融性インク1はその融点以上に加熱して
熱伝導抵抗層の表面に付着させるものとする。図4で
は、平均直径80μmのインクドットを形成させたとき
のドットの高さを示している。図4における記号は、熱
伝導抵抗層として用いた材料ごとに違う記号を用いてい
る。また、図5ではドットの高さがドット径の60%以
上の場合に×、30〜60%の場合に△、30%未満の
場合に○を用いている。ドットの高さが60%を越える
と、記録媒体への転写時にドット倒れなどが発生し、転
写後の画像乱れが著しい。また、ドットが完全に潰せな
いために、定着不良などの問題も発生する。ドットの高
さが30〜60%の範囲では、ドットの乱れがやや認め
られる程度であるが、いくつかの色を重ねたときに、飛
翔するインクに影響を及ぼす場合があり、画像がやや劣
化する。30%以下であれば、画像乱れなど、画質上の
問題は肉眼では認められない。転写時の加重も比較的小
さくても、すべてのドットが平坦につぶれ、定着強度も
十分に得られる。
【0033】形成されたインクドットの高さを測定した
結果、図4、図5に示すように、熱伝導抵抗層が金属、
すなわち、銅、アルミニウム、ステンレス鋼など、熱伝
導率λが11.6W/(m・K)(=10kcal/m
・h・℃)以上の場合には、熱伝導抵抗層の厚さにかか
わらず、ドットの高さは、ドット径の60%以上の領域
に分布した。しかし、それ以外の材料、すなわち、ガラ
スや、ポリカーボネイト、ポリエチレンテレフタレート
等の樹脂類、シリコンゴム等のゴム類、その他、布、羊
毛、木材、コルク、紙等、11.6W/(m・K)より
小さければ、インクドットの高さは60%以下の低い領
域に分布し、熱伝導抵抗層として金属を用いた場合に比
べてインクドットの高さを低く抑えることが可能である
ことがわかる。このとき、熱伝導抵抗層の厚さは、10
μm以下ではインクドットの高さは30〜60%とな
り、10μm以上あれば30%以下の良好なインクドッ
トの高さとなることが確認できた。すなわち、熱伝導抵
抗層としては、熱伝導率λが11.6W/(m・K)
(=10kcal/m・h・℃)より小さい物質を用い
ればよい。さらに、カラー記録など、ドットを重ねるよ
うな記録を行なう場合には、画質向上のため、その厚さ
は10μm以上であることが望ましい。
【0034】以下、いくつかの具体例について説明す
る。図6は、本発明のインクジェット記録装置の一実施
例における第1の具体例を示す概略構成図である。図
中、図1と同様の部分には同じ符号を付して説明を省略
する。6は導電層、7は背面ロール、8はクリーナ、1
1はブラック用記録ヘッド、12はイエロー用記録ヘッ
ド、13はマゼンタ用記録ヘッド、14はシアン用記録
ヘッドである。図6では、4色を用いたカラーインクジ
ェット記録装置の一例を示している。
【0035】カラー印字のための4色の記録ヘッド、具
体的には、ブラック用記録ヘッド11、イエロー用記録
ヘッド12、マゼンタ用記録ヘッド13、シアン用記録
ヘッド14が、中間転写体3に対向して並設されてい
る。そして、4色の記録ヘッド11ないし14は、図示
しないホストコンピュータからの画像信号に応じ、各々
の色成分の画像に対応してインクを中間転写体3上に飛
翔させる。そして、中間転写体3上で各色のインクドッ
トを重ね合わせる。
【0036】中間転写体3の表面部には、熱伝導抵抗層
4が設けられるとともに、その表面に薄い導電層6が設
けられている。この導電層6は、表面に付着するインク
が有する電荷を逃がし、インクドットの重ね合わせが阻
害されないように作用する。また、熱伝導抵抗層4の働
きを妨げないように、ごく薄く形成されている。
【0037】背面ロール7は、記録媒体5を搬送すると
ともに、記録媒体5を中間転写体3に押しつける働きを
する。中間転写体3上のインクは、背面ロール7と中間
転写体3の接する圧力により、記録媒体5に加圧転写さ
れる。これにより、記録媒体5上にカラー画像が形成さ
れる。クリーナ8は、中間転写体15表面の残留インク
や紙粉、異物、ごみを除去する。
【0038】図7は、記録ヘッドの一例を示す構成図、
図8は、記録ヘッドの印字状態の一例の説明図である。
図中、21はインク室、22はヘッドヒータ、23はフ
レキシブル基板、24はオリフィス、25は制御電極、
26は画素駆動ボード、31は粉体インク、32は溶融
インク、33はインク曳糸、34はインクドットであ
る。
【0039】図7、図8に示した例では、図示しない粉
体インク供給器によって粉体インク31が記録ヘッド2
内のインク室21に供給される。粉体インク31として
は、例えば、直鎖ポリエチレンを主成分とし、着色剤と
して各色染料、酸化防止剤、粘度調整剤等を添加して作
成することができる。示差熱分析(DTA)の結果、こ
のインクの融点は100℃から104℃にかけて吸熱が
あり、ピークは102℃であった。また、溶融時の表面
張力は0.026N/m(120℃)であった。以下に
この具体例に使用したインクの物性を示す。 酸化ポリエチレンワックス 98重量% 黒染料PEW BLACK(三井東圧株式会社製) 2重量% このインクの大きな特徴としては、室温で凝固してから
も塑性流動する性質を備え、加圧することによって記録
媒体等の上に一旦形成したインクドットを破壊すること
なく押しつぶすことができる。なお、インクの主成分と
しては、ポリエチレンの他、脂肪酸金属塩、カルナバワ
ックス、および、木蝋等を使用することができる。
【0040】ヘッドヒータ22は、ポリイミドで形成さ
れたフレキシブル基板23上に形成された厚膜抵抗体で
あって、図示しないヘッドヒータ駆動回路によって、記
録装置のスタンバイ中及びプリント動作中を通じて通電
され、粉体インク31をその融点以上に加熱し、溶融イ
ンク32を作る。
【0041】一方、フレキシブル基板23にはオリフィ
ス24が形成されている。フレキシブル基板23は、例
えば、感光性のポリイミドで作成することができ、オリ
フィス24は感光性ポリイミドの現像工程で形成するこ
とができる。そして、フレキシブル基板23の中間転写
体3に対向する面には、図示しない溌液層が形成されて
おり、溶融インク32の動力、表面張力等によって、溶
融インク32が記録ヘッド2外に流失するのを防止して
いる。溌液層は、例えば、フッ素樹脂薄膜等で形成する
ことができ、接触角測定により求められる臨界表面エネ
ルギーは0.015N/mであった。
【0042】また、フレキシブル基板23の反対側の面
(記録ヘッド2の内部側の面)には、制御電極25が設
けられている。上述のオリフィス24と制御電極25と
は、記録装置の所望のドット間隔で、記録媒体の最大幅
にわたって多数並んでおり、並列的に動作して、印字速
度を向上させている。また、制御電極25は、一個のオ
リフィス24に連通して一本設けられており、円形のオ
リフィス24を取り囲む形状に加工されている。この制
御電極25は、例えば、フレキシブル基板23に銅箔を
エポキシ樹脂系の接着剤で接着し、フォトエッチングプ
ロセスを施すことによって作成することができる。
【0043】さらに、制御電極25は画素駆動ボード2
6に異方導電性膜を介して圧接されている。ここで、画
素駆動ボード26は、多数の制御電極25を高電圧(例
えば、400V程度の電圧)にて駆動するものである。
画素駆動ボード26は、例えば、ガラス基板上に薄膜ト
ランジスタ(TFT)技術で高耐圧駆動素子アレイおよ
び画像データのシリアルパラレル変換のためシフトレジ
スタ等を形成したものである。
【0044】一方、図8に示したように、中間転写体3
は、例えば、アルミニウム金属ロールから形成すること
ができ、その表面には熱伝導抵抗層4を設け、さらにそ
の表面に導電層6を設けることができる。熱伝導抵抗層
4としては、例えば、厚さ500μmのポリエチレン・
テレフタレート(PET)製とすることができる。ま
た、導電層6としては、例えば、厚さ5μmのステンレ
ス製とすることができる。このような構成の中間転写体
3の臨界表面エネルギーは、接触角測定で0.05N/
m以上であった。また、この中間転写体3には、−1K
V程度のバイアスパルスが印加されている。
【0045】このような構成のもとで、画情報に応じた
+400Vのパルス信号が画素駆動ボート26によって
制御電極25に印加されると、オリフィス24に面した
溶融インク32はクーロン力を受けてオリフィス24か
ら吐出され、インク曳糸33を形成しながら中間転写体
3に向かって飛翔する。そして、インク曳糸33によっ
て中間転写体3に付着した溶融インクは、熱伝導抵抗層
4により放熱が徐々に行なわれるので、十分に表面に広
がった後に凝固する。そのため、中間転写体3上には高
さの低いインクドット34が形成される。
【0046】また、それぞれの記録ヘッドから吐出され
た各色のインクは、重なって中間転写体3に付着する。
このとき、減法混色が中間転写体3上で行なわれる。中
間転写体3は、送り量が正確で、しかも、加圧手段によ
り一定の環境設定がなされているので、紙等に比べて環
境の変化による伸び縮み等の外乱による寸法の変化が少
ない。そのため、カラー画像を形成する場合、各色の位
置合わせ(レジストレーション)は、紙上で減法混色す
る場合に比べて格段に容易であり、しかも、高い精度で
行なうことができる。
【0047】図9は、中間転写体3から記録媒体5への
転写定着の一例の説明図である。図中、27は鋼製ロー
ル、28は被覆、35はインクドットである。例えば、
普通紙等の記録媒体5は、図示しない紙送り装置によっ
て中間転写体3と背面ロール6との間に送り込まれる。
背面ロール6は、鋼製ロール27の表面に、例えば、ポ
リアセタール樹脂等で被覆28を施して構成されてい
る。背面ロール6は、記録媒体5を裏面側から中間転写
体3に押し付ける。
【0048】記録ヘッド2によって中間転写体3の表面
に形成された画像は、中間転写体3から記録媒体5へ転
移する。このとき、中間転写体3上で凝固しているイン
クドット34は、背面ロール6の加圧力によって押し潰
されて拡がり、記録媒体5上には、実質的に偏平なイン
クドット35が形成される。このようにして形成された
インクドット35は、定着性に優れるとともに、例え
ば、透明フィルムシートに対しても発色性に優れたイン
ク画像を形成することができる。
【0049】上述のように、中間転写体3の臨界表面エ
ネルギーが0.05N/m以上であるとき、同程度の臨
界表面エネルギーを有する記録媒体5に画像を転写する
ことができるのは、次のような理由によるものと考えら
れる。すなわち、転写時の加圧力によって塑性流動を生
じたインクドット35は、記録媒体の繊維の間にその一
部が入り込み、記録媒体5と機械的に強固に結合する一
方、直鎖ポリエチレンインクは離型性が高いので、画像
受容面の平滑な中間転写体3の上にはインクドットが実
質的に残留しない。
【0050】また、中間転写体3から記録媒体5への転
写率は、実質的にほぼ100%であるので、転写残りの
インクをクリーニングする必要はない。しかし、記録媒
体5は、しばしば繊維、埃等を中間転写体3へ付着させ
るおそれがある。各色の記録ヘッド2と中間転写体3と
の間の間隙は数10μm〜数100μm程度であるの
で、中間転写体3に比較的大きなゴミを付着させたまま
印字位置に送ることは好ましくない。そのため、図6に
示した構成では、これらの数10μm以上の大きなゴミ
をトラップするクリーナ8を設けている。
【0051】上述の第1の具体例によれば、中間転写体
3上に形成されたインクドットの高さは、インクドット
の直径80μmに対し1/4程度であった。従来の熱伝
導抵抗層4のない場合では、インクドットの高さが直径
の2/3程度であった。このように、本発明のインクジ
ェット記録装置では、従来と比較して盛り上がりの小さ
いインクドットを得ることができた。また、4色を重ね
た場合にも、そのインクドットの高さは、ほぼ直径と同
じ程度であった。これらのインクドットは、記録媒体5
への加圧転写によって押し潰され、記録媒体上では平坦
なインクドット35となって定着されるので、発色性に
優れたインク画像を記録媒体上に形成することができ
た。
【0052】図10は、本発明のインクジェット記録装
置の一実施例における第2の具体例を示す概略構成図で
ある。図中、図6と同様の部分には同じ符号を付して説
明を省略する。9は導電性を有する熱伝導抵抗層であ
る。この第2の具体例では、図10に示すように、中間
転写体3の表面に導電性を有する熱伝導抵抗層9を用い
ている。この導電性を有する熱伝導抵抗層9によって、
平坦なドットを形成すると同時に、電荷がドットに残留
するのを防いでいる。この効果により、2色目以降のド
ットを重ねる時に、ドットの持つ残留電荷が電界へ悪影
響を及ぼすのを防ぐ。
【0053】導電性を有する熱伝導抵抗層9は、例え
ば、ポリイミドの内部にカーボン粒子を10重量%分散
させて構成することができる。また、この導電性を有す
る熱伝導抵抗層9全体の厚さは、例えば、500μm程
度とすることができる。また、体積抵抗率は10Ωm以
下とすることができ、十分な導電性を有している。さら
に、熱伝導率λは約0.12W/(m・K)とすること
ができる。
【0054】このような導電性を有する熱伝導抵抗層9
を表面に有する中間転写体3を用いて、第1の具体例と
同様の条件で画像記録を行なったところ、中間転写体に
付着したインクドットはすぐには冷却されず、中間転写
体表面に沿って広がり、インクドットの直径の約1/5
の高さのインクドットが形成された。さらに、このドッ
トの上から2色目、3色目、4色目のインクドットを重
ねたところ、各ドットの上にきれいに重なり、また、そ
のドットの外形も1色目のものとほぼ同じとなった。結
果として、4色すべて重ねた部分では、インクドットの
高さは直径の4/5程度となり、記録媒体5への転写も
問題なく行なうことができた。
【0055】導電性を有する熱伝導抵抗層9の効果を調
べるため、1色目のドットの残留電荷を調べたところ、
導電性のない場合に表面電位で約100Vあった電位
が、この第2の具体例の導電性を有する熱伝導抵抗層9
ではほぼ10Vであった。
【0056】さらに、中間転写体3上に形成されたイン
クドットの様子を、導電性を示さない厚さ500μmの
ポリイミド層(体積抵抗率は1012Ωm)の場合と比較
したものを調べた。その結果、導電性のないポリイミド
層の場合では、2色目以降のドットの付着位置やインク
量が安定せず、前の色のドットの真上から外れるものも
あったが、この第2の具体例では導電性の効果により、
きれいに同一位置に乗った4色重ねのドットが形成で
き、しかも4色重ねたドットの高さも低く抑えられ、熱
伝導抵抗層の効果も十分であった。
【0057】図11は、本発明のインクジェット記録装
置の一実施例における第3の具体例の中間転写体3の表
面部の拡大図である。この第3の具体例の構成は、図6
に示した第1の具体例とほぼ同様である。この第3の具
体例では、中間転写体3として、アルミニウム製のドラ
ムの表面にポリイミド製の熱伝導抵抗層4を設け、さら
にその表面にメッシュ状の金属製の導電層6を積層した
ものを用いた。このメッシュ状の導電層6は、樹脂基板
上に厚膜成形したり、あるいは、金属線を巻き付けて熱
により樹脂中にモールドしたり、あるいは、一様に形成
した金属層をフォトリエッチングする等の方法で製造す
ることができる。
【0058】このようなメッシュ状の導電層6を配した
中間転写体3を用いて、第1の具体例と同様の条件で画
像記録を行なったところ、中間転写体3に付着したイン
クドットはすぐには冷却されず、中間転写体3の表面に
沿って広がり、インクドットの直径の約1/8の高さの
インクドットが形成された。これは、第1の具体例に比
べ、熱伝導率λの高い導電層6がインクドットと接触す
る面積が少なくなったためである。このときのメッシュ
間隔は20μmであり、導電層6が中間転写体3の表面
全体において占める割合は面積比で約25%である。
【0059】また、1色目のドットの残留電荷を調べた
ところ、この第3の具体例の導電層6ではほぼ0Vであ
り、4色重ねたドットもきれいに重なり、また、そのド
ット外形も1色目のものとほぼ同じとなった。結果とし
て、4色全て重ねた部分では高さは直径の1/2とな
り、記録媒体16への転写も問題なく行なうことができ
た。
【0060】図12は、導電層の形状の例を示す説明図
である。この第3の具体例では、熱伝導抵抗層4の表面
にメッシュ状の導電層6を設けたが、この導電層6の形
状はメッシュ状に限られるものではなく、導電層6の一
部から少なくとも熱伝導抵抗層4の一部が露出している
ものであれば、上述の効果を得ることができる。したが
って、導電層6の形状は、図12(A)に示すような1
線によるスパイラル状や、図12(B)に示すような多
数の線状電極を平行、または梯子状、あるいはあみだ状
に配置したり、図12(C)に示すような多数の短線が
交わった形状等、様々な形状を用いることができる。
【0061】図13は、第1ないし第3の具体例におけ
るインクドットの高さの測定結果を示すグラフである。
第1の具体例では、中間転写体3として、金属ロールの
表面にPET製の熱伝導抵抗層4、および、薄い導電層
6を設けた。このPET製の熱伝導抵抗層4により、従
来の金属ロールのみにより構成された中間転写体を用い
た場合に比べてドットの高さを低くすることができた。
しかし、第1の具体例では、最も表面に導電層6が配置
されているので、この導電層6による熱伝導が発生す
る。第2の具体例では、導電性を有する熱伝導抵抗層9
を用い、導電層6における熱伝導を防ぎ、インクの冷却
を遅延させ、第1の具体例よりもドットの高さを低くす
ることができた。また、第3の具体例においても、メッ
シュ状の導電層6を配置することにより、インクの熱が
導電層6を介して逃げる割合を減少させ、インクの冷却
を遅延させて、第1の具体例よりもドットの高さを低く
することができた。
【0062】図14は、本発明のインクジェット記録装
置の一実施例における第4の具体例を示す概略構成図、
図15は、圧電素子を用いた記録ヘッドの一例の構成図
である。図中、図6と同様の部分には同じ符号を付して
説明を省略する。41ないし44は記録ヘッド、51は
ヘッド本体、52はヘッドヒータ、53,59は電極、
54は圧電素子、55は圧力室、56はリザーバ、57
はリザーバ開口部、58はノズルである。この第4の実
施例では、記録ヘッドとして圧電素子を用い、インクを
飛翔させる場合の例を示している。記録ヘッド41ない
し44は、それぞれ、ブラック、イエロー、マゼンタ、
シアンの記録を行なう。
【0063】ヘッドヒータ52は、例えば、厚膜抵抗体
で構成することができ、ヘッド本体51の外面上に配置
されている。そして、図示しないヘッドヒータ駆動回路
によってプリンタのスタンバイ中、プリント動作中を通
じて通電され、リザーバ56内の粉体インク31をその
融点以上に加熱し、溶融インク32を作る。粉体インク
31はリザーバ開口部57より補給され、記録中はリザ
ーバ56内で溶融されて溶融状態を保っている。インク
としては、例えば、Dataproducts社製SI
480などを用いることができる。
【0064】一方、ヘッド本体51のリザーバ開口部5
7と逆側には、図示しない隔壁によって画素ごとに隔て
られた圧力室55が設けられており、圧力室55の底面
には、ノズル58が形成されている。圧力室55の中間
転写体15に対向する面には、図示しない撥液性層が形
成されており、溶融インク20aが動力、表面張力によ
って記録ヘッド外に流出するのを防止している。この撥
液性層は、例えば、フッ素樹脂薄膜などで形成すること
ができ、この場合の接触角測定により求められる臨界表
面エネルギーは0.015N/mであった。
【0065】また、圧力室55の内面のノズル56の逆
側には、圧電素子54が電極53を介して溶融したイン
ク20aに接している。また、圧電素子54には、背面
の電極59と電極53により、図示しない信号源からの
画像データにしたがった電圧が印加される。電圧を印加
された圧電素子54は、厚み方向に変位を生ずるか、あ
るいは変形し、圧力室55内部の溶融インク32に圧力
波を与え、溶融インク32をノズル56からヘッド外部
へ押し出してインクを飛翔させる。ノズルから飛び出し
たインクは、中間転写体3の表面に設けられている熱伝
導抵抗層4の表面に付着し、ドットを形成する。
【0066】この具体例において、ヘッドヒータ52に
より記録ヘッドを115℃に加熱したところ、記録ヘッ
ド内で粉体インク31は溶融した。さらに画像データに
したがって電圧を圧電素子54に印加したところ、ノズ
ル56から断続的なインクの液滴が発生し、中間転写体
3上に飛翔し、その表面に付着した。
【0067】この具体例で用いた中間転写体3は、アル
ミニウムの基体上に厚さ2mmのポリカーボネート製の
熱伝導抵抗層4を積層したものであり、その熱伝導率は
約0.23W/(m・K)である。熱伝導抵抗層4の表
面に到達したインクドットは、熱伝導抵抗層4の表面に
熱を移動し、徐々に温度が低下する。熱伝導抵抗層4の
表面温度は室温と同じ20℃で、その表面に付着したイ
ンクは徐々に冷却され、十分に熱伝導抵抗層4の表面に
広がってから相変化して固体インクとなる。
【0068】この第4の具体例によって形成されたイン
クドットの高さは、図4に示したように、インクドット
の直径約80μmに対し、1/4程度の高さであり、金
属表面に直接形成したドットに比べ、約1/3程度の高
さのインクドットを形成することができた。
【0069】なお、上述の説明では、中間転写体3とし
てドラム状のものを示したが、本発明はこれに限らず、
例えば、ベルト状の中間転写体3を用いた構成にも適用
することが可能である。
【0070】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のインクジェット記録装置によれば、中間転写体の表面
部に熱伝導抵抗層を設けたので、中間転写体の表面に付
着したインクドットが中間転写体の厚み方向に奪われる
単位時間当たりの熱量を少なくすることができ、インク
ドットが中間転写体表面に沿って広がることが可能とな
る。そのため、十分にドットの高さの低いインクドット
が形成できる。それにより、従来発生していた、中間転
写体から記録媒体への転写後のドット形状の不揃いと、
それに起因する画像の劣化を防ぎ、画質を向上させるこ
とができる。これは、静電吸引力を利用した方式を用い
るインクジェット記録装置でも同様であり、十分にドッ
トの高さの低いインクドットが形成でき、画質を向上さ
せることができる。また、導電層を熱伝導抵抗層に重ね
て形成することにより、色重ねを行なう場合の2色目以
降のドットの位置のズレ、インク量の安定化も図ること
ができる。さらに、中間転写体を加熱する手段などを用
いないので、中間転写体の容積・重量の増大という問題
を解決するとともに、消費電力を低減することができる
などの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のインクジェット記録装置の一実施例
における概略構成図である。
【図2】 中間転写体に接触直前のインクドットの形状
の一例を示す説明図である。
【図3】 中間転写体上に付着したインクドットの広が
りの説明図である。
【図4】 熱伝導抵抗層の厚さとインクドットの高さの
関係を材質ごとに示したグラフである。
【図5】 熱伝導抵抗層の材質とインクドットの高さの
関係の説明図である。
【図6】 本発明のインクジェット記録装置の一実施例
における第1の具体例を示す概略構成図である。
【図7】 記録ヘッドの一例を示す構成図である。
【図8】 記録ヘッドの印字状態の一例の説明図であ
る。
【図9】 中間転写体から記録媒体への転写定着の一例
の説明図である。
【図10】 本発明のインクジェット記録装置の一実施
例における第2の具体例を示す概略構成図である。
【図11】 本発明のインクジェット記録装置の一実施
例における第3の具体例の中間転写体の表面部の拡大図
である。
【図12】 導電層の形状の例を示す説明図である。
【図13】 第1ないし第3の具体例におけるインクド
ットの高さの測定結果を示すグラフである。
【図14】 本発明のインクジェット記録装置の一実施
例における第4の具体例を示す概略構成図である。
【図15】 圧電素子を用いた記録ヘッドの一例の構成
図である。
【符号の説明】
1…熱溶融性インク、2…記録ヘッド、3…中間転写
体、4…熱伝導抵抗層、5…記録媒体、6…導電層、7
…背面ロール、8…クリーナ、9…導電性を有する熱伝
導抵抗層、11〜14…記録ヘッド、21…インク室、
22…ヘッドヒータ、23…フレキシブル基板、24…
オリフィス、25…制御電極、26…画素駆動ボード、
27…鋼製ロール、28…被覆、31…粉体インク、3
2…溶融インク、33…インク曳糸、34,35…イン
クドット、41〜44…記録ヘッド、51…ヘッド本
体、52…ヘッドヒータ、53,59…電極、54…圧
電素子、55…圧力室、56…リザーバ、57…リザー
バ開口部、58…ノズル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B41M 5/00 A B41J 3/04 103 Z 103 G (72)発明者 小寺 哲郎 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 安東 滋仁 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 足立 康二 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 阿部 敬三 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 丸山 和雄 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱溶融性インクを保持した記録ヘッド
    と、該記録ヘッドに対向配置された中間転写体を有し、
    前記熱溶融性インクを加熱溶融し、前記中間転写体へ画
    像情報に応じて溶融した前記熱溶融性インクを飛翔させ
    て付着させ、前記中間転写体に付着したインクを記録媒
    体へ転写して記録するインクジェット記録装置におい
    て、前記中間転写体の表面部に、熱伝導率λが11.6
    W/(m・K)より小さく厚さが10μm以上の熱伝導
    抵抗層を設けたことを特徴とするインクジェット記録装
    置。
  2. 【請求項2】 熱溶融状態で導電性を有する熱溶融性イ
    ンクを保持した記録ヘッドと、該記録ヘッドに対向配置
    された中間転写体を有し、前記熱溶融性インクを加熱溶
    融し、前記記録ヘッドと前記中間転写体との間に電界を
    形成し、静電気力によって溶融した前記熱溶融性インク
    を前記中間転写体へ画像情報に応じて飛翔させて付着さ
    せ、前記中間転写体に付着した前記熱溶融性インクを記
    録媒体へ転写して記録するインクジェット記録装置にお
    いて、前記中間転写体の表面部に、熱伝導率λが11.
    6W/(m・K)より小さく厚さが10μm以上の熱伝
    導抵抗層と、厚さが10μm以下の導電層を設けたこと
    を特徴とするインクジェット記録装置。
JP6170818A 1994-07-22 1994-07-22 インクジェット記録装置 Pending JPH0834115A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100619074B1 (ko) * 2005-04-04 2006-08-31 삼성전자주식회사 프린트헤드 조립체 및 이를 구비한 잉크젯 프린터
JP2008087285A (ja) * 2006-09-29 2008-04-17 Fujifilm Corp 画像形成装置および画像形成方法
DE102006053622A1 (de) * 2006-11-14 2008-05-15 Impress Decor Gmbh Verfahren und Vorrichtung zum Digitaldruck auf einen saugfähigen Bedruckstoff

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