JPH08339207A - 制御装置 - Google Patents

制御装置

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JPH08339207A
JPH08339207A JP14578695A JP14578695A JPH08339207A JP H08339207 A JPH08339207 A JP H08339207A JP 14578695 A JP14578695 A JP 14578695A JP 14578695 A JP14578695 A JP 14578695A JP H08339207 A JPH08339207 A JP H08339207A
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JP
Japan
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observer
state
dead time
control device
controlled object
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JP14578695A
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English (en)
Inventor
Tomomi Omori
知美 大森
Yoshiharu Nishida
吉晴 西田
Nobuyuki Odera
信行 大寺
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 むだ時間が変動する場合でも,状態予測にお
いてその影響を殆ど無くすことのできる制御装置。 【構成】 本装置A1 は,制御対象1の入力uと,この
制御対象1に取り付けたエンコーダ2からの散発的なパ
ルス出力yとに基づいて出力の実データを推定し,その
推定値を用いて制御対象1を含む制御系の状態を予測す
るオブザーバ3′を具備した装置であって,上記出力の
実データと推定値との偏差の原因であるむだ時間Lを,
オブザーバ3′による状態予測結果に基づいて補正演算
するように構成されている。上記構成により,むだ時間
の変動がある場合でも,状態予測においてその影響を殆
どなくすことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,制御装置に係り,詳し
くは制御系の状態予測を行うオブザーバを具備した制御
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】制御対象の位置,速度データを制御対象
に取り付けたエンコーダにより採取した場合,これらの
データはエンコーダの分解能によって階段状のデータと
なる。従って,これらのデータを直接コントローラの入
力として用いると,コントローラ性能が制限され,望む
ような制御性能が得られない。そこで,オブザーバをエ
ンコーダとコントローラとの間に設け,制御対象の位
置,速度の実データを推定する。この場合,モデルが完
全であれば,オブザーバによって実データとほとんど変
わらない推定値を得ることができるため,実際の分解能
より高精度なデータをコントローラに送ることができ
る。しかしながら,一般にモデルにはパラメータ誤差や
パラメータ変動があり外乱も入ってくるので,オブザー
バによる推定精度が劣化するという問題がある。これに
対し,従来は,収束ゲインを上げたり,外乱推定オブザ
ーバを内蔵させることによって上記問題の回避を行って
いる(外乱トルク・速度推定オブザーバの推定誤差に関
する解析:島田明,T.IEE Japan,Vol.
113−D,No.7,‘93参照)。図5はそのよう
な従来の制御装置A0 のブロック線図を示す。図中,
A,B,Cは制御対象1の状態係数であり,Fはオブザ
ーバ3のゲインである。オブザーバ3では,制御対象1
の入力値uを入力とするモデルを構成し,エンコーダ2
からの出力値yとモデルの出力値との差をとり,ゲイン
Fを介してフィードバックしている。その信号により,
モデルを修正し,オブザーバ3に制御対象1と同じ動特
性を持たせるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記したような従来の
制御装置A0 では,次のような問題があった。 (1)モデルが不完全であって,かつ,低速で動いてい
るような場合には,エンコーダ2からのパルスが散発的
になり,十分な位置,速度データがオブザーバ3に入力
されないため実データの推定値がふらつく。これはむだ
時間の変動によるもので,例えばモータ制御において低
速度で動かす場合の振動の原因になる。オブザーバ3で
は,むだ時間を考慮しているものの,状態予測における
むだ時間は一定のものである。従って,むだ時間が変動
したときには,対応できない。 (2)また,エンコーダ2から得られる速度データは位
置データの変化量から算出されるものであり,このため
位置データと速度データのむだ時間は異なることから,
その対応も不可能である。 第1の発明は,このような従来の技術における課題を解
決するために,制御装置を改良し,むだ時間が変化する
場合であっても,制御系の状態予測においてその影響を
殆ど受けることがない制御装置の提供を目的(第1の目
的)とするものである。
【0004】また上記従来の制御装置A0 に外乱推定オ
ブザーバを内蔵させた場合には,次のような問題があっ
た。 (1)同一のオブザーバ3で外乱,位置,速度を同時に
推定することとなるため,それぞれの状態のオブザーバ
ゲインは互いに干渉し,それぞれを独立に設定すること
はできない。 (2)またオブザーバ3では,推定開始直後は,過渡状
態であることに加え,推定開始から最初のエンコーダ2
からのパルスが入るまでの間は,外乱推定を行わない。
このため,位置,速度の推定値は,外乱の影響を受け,
推定開始初期の段階で真値よりかなり離れてしまい,良
好な推定結果が得られない。 第2の発明は,このような従来の技術における課題を解
決するために,制御装置を改良し,制御系の状態予測に
おいて外乱の影響を殆ど受けることのない制御装置の提
供を目的(第2の目的)とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るために第1の発明は,制御対象への入力と,該制御対
象からの散発的なパルス出力とに基づいて該出力の実デ
ータを推定し,該推定値を用いて上記制御対象を含む制
御系の状態を予測するオブザーバを具備した制御装置に
おいて,上記出力の実データと推定値との偏差の原因で
あるむだ時間を,上記オブザーバによる状態予測結果に
基づいて補正演算することを特徴とする制御装置として
構成されている。さらには,上記散発的なパルス出力に
むだ時間の補正項を加えた値とその推定値との偏差を上
記オブザーバのゲインを介してフィードバックすること
により上記むだ時間を補正演算する制御装置である。さ
らには,上記むだ時間を上記オブザーバの状態係数及び
ゲインに取り込むと共に,該オブザーバによる状態予測
ごとに上記むだ時間を補正演算することにより上記状態
係数及びゲインを補償する制御装置である。さらには,
上記オブザーバの状態変数ごとに,上記むだ時間の補正
演算を行う制御装置である。さらには,上記オブザーバ
の極を一定に保つように該オブザーバの状態係数を変化
させる制御装置である。
【0006】さらには,上記オブザーバに外乱推定機構
を付加した制御装置である。上記第2の目的を達成する
ために第2の発明は,制御対象への入力と,該制御対象
からの散発的なパルス出力とに基づいて該出力の実デー
タを推定し,該推定値を用いて上記制御対象を含む制御
系の状態を予測するオブザーバを具備した制御装置にお
いて,上記オブザーバに外乱推定機構を付加すると共
に,上記出力の実データと推定値との偏差の原因である
むだ時間を,上記オブザーバによる状態予測結果に基づ
いて補正演算する際に,上記外乱推定機構による外乱推
定値を上記オブザーバの状態予測機構への入力となした
ことを特徴とする制御装置として構成されている。さら
には,上記状態予測機構が,上記出力がある度に該機構
の状態の初期化,あるいは補正を行うことを特徴とする
制御装置である。さらには,上記状態予測機構が,上記
制御対象の位置と速度とを推定する制御装置である。さ
らには,上記状態予測機構が,上記制御対象の位置と速
度とのそれぞれについて予め設定された範囲を最大限と
して該位置と速度とをそれぞれ推定する制御装置であ
る。
【0007】
【作用】第1の発明によれば,制御対象への入力と,該
制御対象からの散発的なパルス出力とに基づいてオブザ
ーバにより該出力の実データが推定され,該推定値を用
いて上記制御対象を含む制御系の状態が予測されるに際
し,上記出力の実データと推定値との偏差の原因である
むだ時間が,上記オブザーバによる状態予測結果に基づ
いて補正演算される。従って,むだ時間が変動する場合
でも,むだ時間による状態予測結果への影響を低減する
ことができる。さらに,上記散発的なパルス出力にむだ
時間の補正項を加えた値とその推定値との偏差が,上記
オブザーバのゲインを介してフィードバックされること
により,上記むだ時間が補正演算される。このようにし
て,むだ時間をオブザーバに取り込むことができるた
め,状態予測を正確に行うことができる。さらに,上記
むだ時間が上記オブザーバの状態係数及びゲインに取り
込まれると共に,該オブザーバによる状態予測ごとに上
記むだ時間が補正演算されることにより,上記状態係数
およびゲインが補償される。従って,上記むだ時間の補
正演算をタイムリーに行うことができる。さらに,上記
のオブザーバの状態変数ごとに,上記むだ時間の補正演
算を行えば,より正確な実データの推定演算を行うこと
ができる。さらに,上記オブザーバの極を一定に保つよ
うに該オブザーバの状態係数を変化させれば,制御系の
安定性を確保することができる。さらに,上記オブザー
バに外乱推定機構を付加すれば,制御対象のパラメータ
変動が存在する場合でも,その影響を外乱推定機構によ
り吸収し,より正確な状態予測を行うことができる。そ
の結果,むだ時間が変動する場合でも,制御系の状態予
測においてその影響を殆どなくすことができる。
【0008】第2の発明によれば,上記オブザーバに外
乱推定機構が付加されると共に,上記出力の実データと
推定値との偏差の原因であるむだ時間を,上記オブザー
バによる状態予測結果に基づいて補正演算するに際し、
まず上記外乱推定機構による外乱推定値が独立して演算
される。そして,この演算値が上記オブザーバの状態予
測機構に入力されて,ここで外乱以外の状態推定演算が
なされる。従って,上記外乱推定機構と上記状態予測機
構との相互干渉をなくすことができる。さらに,上記状
態予測機構が,上記出力がある度に該機構の状態の初期
化,あるいは補正を行うこととすれば,上記出力が上記
状態予測機構に取り込まれた時点での状態推定誤差が小
さくなるため,状態推定における収束速度を増大させる
ことができる。さらに,上記状態予測機構が,上記制御
対象の位置と速度とのそれぞれについて予め設定された
範囲を最大限として該位置と速度とをそれぞれ推定する
こととすれば,過渡状態である推定開始直後の位置,速
度の推定誤差が低減される。また,パラメータ変動等の
非定常外乱に対して,推定値と真値とがかけ離れた値と
なるのを防止することができる。その結果,制御系の状
態予測において外乱の影響を殆どなくすことができる。
【0009】
【実施例】以下添付図面を参照して,本発明を具体化し
た実施例につき説明し,本発明の理解に供する。尚,以
下の実施例は,本発明を具体化した一例であって,本発
明の技術的範囲を限定する性格のものではない。ここ
に,図1は第1の発明の一実施例(第1の実施例)に係
る制御装置A1 の概略構成を示すブロック線図,図2は
制御装置A1 に外乱推定オブザーバを付加した場合(A
1 ′)の概略構成を示すブロック線図,図3は第2の発
明の一実施例(第2の実施例)に係る制御装置A2 の概
略構成を示すブロック線図,図4は制御装置A2 におい
て状態を初期化する場合の動作手順を示すフロー図であ
る。尚,前記図5に示した従来の制御装置A0 の一例に
おける概略構成を示すブロック線図と共通する要素には
同一符号を使用する。 〈第1の発明〉図1に示すごとく,第1の発明の一実施
例(第1の実施例)に係る制御装置A 1 は,制御対象1
への入力uと,制御対象1に取り付けたエンコーダ2か
らの散発的なパルス出力yとに基づいて出力の実データ
を推定し,その推定値を用いて制御対象1を含む制御系
の状態を予測するオブザーバ3′を具備している点で従
来例と同様である。しかし,本第1の実施例では,上記
出力yの実データと推定値との偏差の原因であるむだ時
間を,オブザーバ3′による状態予測結果に基づいて補
正演算する点で従来例と異なる。 以下,本装置A1
動作の基本原理について述べるとともに,さらに構成を
具体化する。
【0010】ここでは,例えばモータの制御において本
装置A1 を構成するものとする。モータの運動方程式を
次式で表す。
【数1】 ただし,mは質量,bは粘性,uは入力,wは外乱,x
1 (及び後述するx2)は位置を示す。また,tは時
間,ドット(・)は1次の時間微分,ツードット(・
・)は2次の時間微分を示す(以下,同様)。このよう
なシステム(制御系に相当)の状態空間表現は次のよう
になる。
【数2】 ここで,A,B,Cは状態係数,x(t)は状態であ
る。このうち,状態x(t)は未知であるので,オブザ
ーバ3′を用いて状態x(t)を推定する。しかし,出
力y(t)が観測できないので,通常のオブザーバは構
成できない。そこで,L時間先の状態z(t)=x(t
+L)を考えると,次のようになる。
【数3】
【0011】これより,出力y(t)は次式で与えられ
る。
【数4】 ここで,出力y(t)に補正項を加えた値yL (t)を
考える。
【数5】 すると,次のような新たなシステムが得られる。
【数6】
【0012】従って,ここではCe-AL が新たな状態係
数となる。本装置A1 では,図1に示すように上記散発
的なパルス出力の実データy(t)にむだ時間Lの補正
項を加えた値yL (t)と,その値yL (t)の推定値
との偏差をオブザーバ3′のゲインEを介してフィード
バックすることにより無駄時間Lを補正演算する。この
ようにして,いわゆるむだ時間適応型オブザーバが構成
され,むだ時間Lをオブザーバ3′に取り込むことがで
きるため,状態予測(推定)を正確に行うことができ
る。尚,むだ時間Lが十分小さければ補正項を省略でき
るが,その場合は従来装置A0 と同様のオブザーバ3が
構成される。さらに,むだ時間Lをオブザーバ3′の状
態係数Ce-AL 及びゲインEに取り込むと共に,オブザ
ーバ3′による状態予測ごとにむだ時間Lを補正演算す
ることにより,状態係数及びゲインを補償する。従来装
置A0 のオブザーバ3ではオブザーバゲインFは固定さ
れていたが,本装置A1 では,オブザーバ計算が行われ
るたびにむだ時間Lが変更され,オブザーバゲインEは
変わる。従って,むだ時間が変動する場合でも,その時
刻のむだ時間が補償され,むだ時間による推定値のふら
つきが低減される。
【0013】さらに,本装置A1 ではオブザーバ3′の
状態変数z(t)ごとにむだ時間Lの補正演算を行え
ば,複数の状態変数に対してそれぞれに求まるむだ時間
が存在する場合においても,それぞれについてむだ時間
を正確に演算することができる。例えば,エンコーダ2
より得られる速度データは位置の偏差から算出されてい
るため,厳密には位置データと速度データのむだ時間は
異なる。これらのデータはオブザーバ3′の入力として
入ってきたとしても,それぞれのむだ時間を補正演算し
ながら状態予測を行うことができることになり,より正
確な位置,速度データの推定値を求めることができるの
である。
【0014】ここで位置のむだ時間をL1 ,速度のむだ
時間をL2 とすると,状態係数Ce -AL は次のようにな
る。
【数7】 従って,オブザーバ3′は次のように構成すればよい。
【数8】 ここでDは新たな状態係数,ハット記号(^)は推定値
を示す。また,ここでは状態係数Dがむだ時間の変動に
かかわらず漸近安定になるようにゲインEを選ばなけれ
ばならない。例えば状態係数Dの固有値をλ1 ,λ2
λ3 としたい場合は,ゲインEを次のように選ぶことに
よって達成できる。
【数9】 このオブザーバ3′は位置データと速度データとを入力
としていたが,位置データのみを入力とするオブザーバ
を構成することもできる。この場合は,次のようにオブ
ザーバを構成すればよい。
【数10】 このときの状態係数Dの固有値をλ1 ,λ2 ,λ3 とし
たい場合は,ゲインEを次のようにすればオブザーバの
極を任意に配置できる。
【数11】 従って,上記オブザーバ3′の極を一定の保つようにオ
ブザーバの状態係数Dを変化させれば,オブザーバの安
定性を確保することができる。
【0015】さらに,本装置A1 のオブザーバ3′に従
来例と同様の外乱推定オブザーバを内蔵させる(外乱推
定機構を付加する)ことも考えられる。これは,一般に
速度や位置などを推定するオブザーバにおいては,制御
対象のパラメータ変動(慣性変動など)が存在する場
合,正確に速度や位置などを推定できなくなるので,そ
のような場合に対処する必要があるからである。そこ
で,汎用性を持たせるためにオブザーバ3′に外乱推定
オブザーバを内蔵させることにより,それら変動の影響
を吸収することができ,より正確な状態予測を行うこと
ができる。その結果,第1の実施例ではいずれもむだ時
間が変動する場合でも,状態予測においてその影響を殆
ど無くすことができる制御装置を得ることができる。
【0016】〈第2の発明〉図2は上記装置A1 のオブ
ザーバ3′に外乱推定オブザーバを内蔵させた場合(A
1 ′)を示す。同装置A1 ′においては,エンコーダ2
の出力yと実データとの間にむだ時間Lが存在するよう
な低速度域では,制御対象1の駆動に必要な入力uは,
外乱に比べて非常に小さい。また上記装置A1 ′のオブ
ザーバ3′は上記第1の実施例で示したような指数関数
を含むむだ時間モデルのオブザーバであるため,その推
定値は外乱に対して敏感である。しかもオブザーバ3′
は従来例と同様に外乱,位置,速度を同時に推定してい
るので,外乱が正確に推定しきれなかった場合は,位
置,速度の推定値が外乱の影響を受けてふらつき,特
に,外乱の推定誤差が大きい場合は推定値が発振するこ
ともありうる。
【0017】かかる事態を回避すべくなされたのが,次
に示す第2の発明である。図3に示す如く,第2の発明
の一実施例(第2の実施例)にかかる制御装置A 2 は,
制御対象1への入力uと,制御対象1に取り付けたエン
コーダ2からの散発的なパルス出力yとに基づいて出力
の実データを推定し,その推定値を用いて制御対象1を
含む制御系の状態を予測するオブザーバ3′を具備して
いる点で従来例及び上記第1の実施例と同様である。し
かし,本第2の実施例では,オブザーバ3′に外乱推定
オブザーバ3a ′(外乱推定機構に相当)を付加すると
共に,上記出力yの実データと推定値との偏差の原因で
あるむだ時間を,オブザーバ3′による状態予測結果に
基づいて補正演算する際に,外乱推定オブザーバ3a
による外乱推定値をオブザーバ3′の状態推定オブザー
バ3b ′(状態予測機構に相当)への入力となした点で
従来例と異なる。以下,本装置A2 の動作の基本原理に
ついて述べると共に,さらに構成を具体化する。
【0018】ここでは,例えばモータの制御において本
装置A2 を構成するものとする。モータの運動方程式を
次式で表す。
【数12】 ただし,mは質量,bは粘性,uは入力,wは外乱,x
1 (及び後述するx2)は位置を示す。また,tは時
間,ドット(・)は1次の時間微分,ツードット(・
・)は2次の時間微分を示す(以下,同様)。このよう
なシステム(制御系に相当)の状態空間表現は次のよう
になる。
【数13】 ここで,A,B,Cは状態係数,x(t)は状態であ
る。状態x(t)は未知であるが,まず外乱推定オブザ
ーバ3a ′を用いて外乱w(t)を推定する。但し,外
乱推定オブザーバ3a ′はむだ時間を補償していない。
【数14】 ここで,Dは新たな状態係数,ハット記号(^)は推定
値を示す。また,ここでは状態係数Dが漸近安定になる
ようにゲインFを選ばなければならない。次に,外乱w
(t)の推定値を用い,モータの位置・速度を推定する
状態推定オブザーバ3b ′への入力を次式で与える。
【数15】 ここで波形記号(〜)は条件付けをした値を示す。この
ときのシステムの状態空間表現は次式で与えられる。
【数16】
【0019】このシステムに対して上記第1の実施例と
同様の手法によってむだ時間適応型オブザーバを構成す
ると,これが状態推定オブザーバ3b ′となる。
【数17】 ここでは,状態係数Dの条件付き値がむだ時間Lの変動
にかかわらず漸近安定になるようにゲインEを選ばなけ
ればならない。例えば,状態係数Dの条件付き値の固有
値をλ1 ,λ2 としたい場合は,ゲインEを次のように
すればオブザーバの極を任意に配置できる。
【数18】 このように外乱推定オブザーバ3a ′と状態推定オブザ
ーバ3b ′とを構成することにより,両者間の相互干渉
を完全になくすことができる。従って,本装置A2 では
推定開始から外乱を推定することができ,この外乱推定
値を用いて制御対象の位置,速度といった外乱以外の状
態推定を精度よく行うことができる。さらに本装置A2
の状態推定オブザーバ3b ′に上記出力であるエンコー
ダパルスが入ってくる度にその状態の初期化,あるいは
補正を行うこととしてもよい。
【0020】ここでは,例えばオブザーバ3′にエンコ
ーダパルスが入ってくる度に状態推定オブザーバ3b
の状態を初期化する場合について図4を参照しつつステ
ップS1,S2,…順に説明する。オブザーバ計算が開
始されると,まず,外乱推定オブザーバ3a ′により外
乱が推定される(S1)。次に,オブザーバ3′にエン
コーダパルスが入ってきたかどうかを判定する(S
2)。エンコーダパルスがオブザーバ3′に入ってきた
場合は,位置をエンコーダ値,速度をこのエンコーダ値
と前回パルスが入ってきたときのエンコーダ値との差分
から算出した値として,それぞれ状態推定オブザーバ3
b ′の状態に代入することによって同オブザーバ3b
の状態を初期化する(S3)。エンコーダパルスがオブ
ザーバ3′に入ってこなかった場合は,そのままの状態
で位置,速度を推定する状態推定オブザーバ3b ′の計
算を行う(S4)。これにより,エンコーダパルスが状
態推定オブザーバ3b ′に取り込まれた時点での状態推
定誤差が小さくなるため,状態推定における収束速度を
増大させることができる。尚,状態推定オブザーバ
b ′の状態を初期化する代わりに適当な補正を行うこ
ととしても同様の作用効果を奏することは勿論である。
【0021】さらには,状態推定オブザーバ3b ′に制
御対象の位置と速度とのそれぞれについて予め設定され
た範囲を最大限として該位置と速度とをそれぞれ推定す
るようないわゆるリミッタ機能を付加することもでき
る。このリミッタ機能の例を以下に示す。 (1)制御対象であるモータの正転時 推定位置 > エンコーダ値+分解能 推定位置 = エンコーダ値+分解能 推定速度 = 前回パルスが入ってきたときのエンコー
ダ値の差分 推定位置 < エンコーダ値 推定位置 = エンコーダ値 推定速度 = 0 推定速度 < 0 推定速度 = 0 (2)制御対象であるモータの逆転時 推定位置 > エンコーダ値 推定位置 = エンコーダ値 推定速度 = 0 推定位置 < エンコーダ値−分解能 推定位置 = エンコーダ値−分解能 推定速度 = 前回パルスが入ってきたときのエンコー
ダ値の差分 推定速度 > 0 推定速度 = 0 これにより,過渡状態である推定開始直後の制御対象の
位置,速度の推定誤差が低減される。また,パラメータ
変動等の非定常外乱に対して,推定値と真値とがかけ離
れた値となるのを防止することができる。その結果,第
2の実施例ではいずれも制御系の状態予測おいて外乱の
影響を殆どなくすことができる。
【0022】
【発明の効果】第1の発明にかかる制御装置は,上記し
たように構成されているため,むだ時間が変動する場合
でも,むだ時間による状態予測結果への影響を低減する
ことができる。さらに,上記散発的なパルス出力にむだ
時間の補正項を加えた値とその推定値との偏差が,上記
オブザーバのゲインを介してフィードバックされること
により,上記むだ時間が補正演算される。このようにし
て,むだ時間をオブザーバに取り込むことができるた
め,状態予測を正確に行うことができる。さらに,上記
むだ時間が上記オブザーバの状態係数及びゲインに取り
込まれると共に,該オブザーバによる状態予測ごとに上
記むだ時間が補正演算されることにより,上記状態係数
およびゲインが補償される。従って,上記むだ時間の補
正演算をタイムリーに行うことができる。さらに,上記
のオブザーバの状態変数ごとに,上記むだ時間の補正演
算を行えば,より正確な実データの推定演算を行うこと
ができる。さらに,上記オブザーバの極を一定に保つよ
うに該オブザーバの状態係数を変化させれば,制御系の
安定性を確保することができる。さらに,上記オブザー
バに外乱推定機構を付加すれば,制御対象のパラメータ
変動が存在する場合でも,その影響を外乱推定機構によ
り吸収し,より正確な状態予測を行うことができる。そ
の結果,むだ時間が変動する場合でも,制御系の状態予
測においてその影響を殆どなくすことができる。
【0023】また第2の発明にかかる制御装置では,外
乱推定機構と状態予測機構との相互干渉をなくすことが
できる。さらに,上記状態予測機構が,上記出力がある
度に該機構の状態の初期化,あるいは補正を行うことと
すれば,上記出力が上記状態予測機構に取り込まれた時
点での状態推定誤差が小さくなるため,状態推定におけ
る収束速度を増大させることができる。さらに,上記状
態予測機構が,上記制御対象の位置と速度とのそれぞれ
について予め設定された範囲を最大限として該位置と速
度とをそれぞれ推定することとすれば,過渡状態である
推定開始直後の位置,速度の推定誤差が低減される。ま
た,パラメータ変動等の非定常外乱に対して,推定値と
真値とがかけ離れた値となるのを防止することができ
る。その結果,制御系の状態予測において外乱の影響を
殆どなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の発明の一実施例(第1の実施例)に係
る制御装置A1 の概略構成を示すブロック線図。
【図2】 制御装置A1 に外乱推定オブザーバを付加し
た場合(A1 ′)の概略構成を示すブロック線図。
【図3】 第2の発明の一実施例(第2の実施例)に係
る制御装置A2 の概略構成を示すブロック線図。
【図4】 制御装置A2 において状態を所期化する場合
の動作手順を示すフロー図。
【図5】 従来の制御装置A0 の一例における概略構成
を示すブロック線図。
【符号の説明】
1 ,A2 …制御装置 1…制御対象 2…エンコーダ 3′…オブザーバ 3a ′…外乱推定オブザーバ(外乱推定機構に相当) 3b ′…状態推定オブザーバ(状態予測機構に相当)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御対象への入力と,該制御対象からの
    散発的なパルス出力とに基づいて該出力の実データを推
    定し,該推定値を用いて上記制御対象を含む制御系の状
    態を予測するオブザーバを具備した制御装置において,
    上記出力の実データと推定値との偏差の原因であるむだ
    時間を,上記オブザーバによる状態予測結果に基づいて
    補正演算することを特徴とする制御装置。
  2. 【請求項2】 上記散発的なパルス出力にむだ時間の補
    正項を加えた値とその推定値との偏差を上記オブザーバ
    のゲインを介してフィードバックすることにより上記む
    だ時間を補正演算する請求項1記載の制御装置。
  3. 【請求項3】 上記むだ時間を上記オブザーバの状態係
    数及びゲインに取り込むと共に,該オブザーバによる状
    態予測ごとに上記むだ時間を補正演算することにより上
    記状態係数及びゲインを補償する請求項1又は2記載の
    制御装置。
  4. 【請求項4】 上記オブザーバの状態変数ごとに,上記
    むだ時間の補正演算を行う請求項1〜3のいずれかに記
    載の制御装置。
  5. 【請求項5】 上記オブザーバの極を一定に保つように
    該オブザーバの状態係数を変化させる請求項1〜4のい
    ずれかに記載の制御装置。
  6. 【請求項6】 上記オブザーバに外乱推定機構を付加し
    た請求項1〜5のいずれかに記載の制御装置。
  7. 【請求項7】 制御対象への入力と,該制御対象からの
    散発的なパルス出力とに基づいて該出力の実データを推
    定し,該推定値を用いて上記制御対象を含む制御系の状
    態を予測するオブザーバを具備した制御装置において,
    上記オブザーバに外乱推定機構を付加すると共に,上記
    出力の実データと推定値との偏差の原因であるむだ時間
    を,上記オブザーバによる状態予測結果に基づいて補正
    演算する際に,上記外乱推定機構による外乱推定値を上
    記オブザーバの状態予測機構への入力となしたことを特
    徴とする制御装置。
  8. 【請求項8】 上記状態予測機構が,上記出力がある度
    に該機構の状態の初期化,あるいは補正を行うことを特
    徴とする請求項7記載の制御装置。
  9. 【請求項9】 上記状態予測機構が,上記制御対象の位
    置と速度とを推定する請求項7又は8記載の制御装置。
  10. 【請求項10】 上記状態予測機構が,上記制御対象の
    位置と速度とのそれぞれについて予め設定された範囲を
    最大限として該位置と速度とをそれぞれ推定する請求項
    7〜9のいずれかに記載の制御装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003189658A (ja) * 2001-12-12 2003-07-04 Yaskawa Electric Corp 遅れ補償電動機制御装置
JPWO2006046500A1 (ja) * 2004-10-29 2008-05-22 学校法人慶應義塾 通信遅延を有する通信路を介して信号を送受信する遠隔制御システム

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