JPH08333622A - ステンレス冷延鋼板の製造方法 - Google Patents

ステンレス冷延鋼板の製造方法

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JPH08333622A
JPH08333622A JP13638995A JP13638995A JPH08333622A JP H08333622 A JPH08333622 A JP H08333622A JP 13638995 A JP13638995 A JP 13638995A JP 13638995 A JP13638995 A JP 13638995A JP H08333622 A JPH08333622 A JP H08333622A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】Cr系ステンレス冷延鋼板を焼鈍する際に発生
するスケールを、容易に除去することができるステンレ
ス冷延鋼板の製造方法を提供する。 【構成】Siを含有するCr系ステンレス鋼板を冷間圧
延した後、下記式(1)の関係を充たす条件で焼鈍処理
し、さらに中性塩電解法によって脱スケール処理する。 【数3】 ここで、 Cr:鋼板のCr含有率(重量%) Si:鋼板のSi含有率(重量%) t:加熱時間(秒) t1 :加熱開始から鋼板の温度が600℃に達するまで
の時間(秒) t2 :加熱開始から、焼鈍温度に保持後600℃に降下
するまでの時間(秒) T:鋼板の温度(℃)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、SiおよびCrを含有
するCr系ステンレス冷延鋼板の製造方法に関し、より
詳しくは、冷間圧延されたステンレス鋼板の焼鈍処理の
際に発生するスケールを、容易に除去することができる
ステンレス冷延鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ステンレス冷延鋼板は、一般に、熱間圧
延された帯状のステンレス鋼板(以下、鋼帯と記す)を
冷間で圧延する工程、冷間圧延の際に生じた加工歪の除
去、成形性・加工性の改善、所定の機械的性質の付与等
を目的とした焼鈍処理工程(大気中雰囲気)、この焼鈍
処理で鋼板の表面に発生したスケールを取り除くための
脱スケール工程および表面を清浄に仕上げるための酸洗
工程によって製造されている。なお、焼鈍工程には、光
輝焼鈍と称し、非酸化性雰囲気下で焼鈍処理する方法も
あり、この場合には脱スケール工程、酸洗工程を省略す
ることができる。
【0003】大気中雰囲気下での焼鈍は、炭化水素系ガ
ス等を燃料とし、共存水蒸気による加速酸化を防止する
ために酸素過剰の燃焼炎を雰囲気とする酸化性雰囲気で
加熱する方法が採用されている。また、焼鈍温度も80
0〜1100℃程度と高い温度の場合がほとんどであ
る。そのために、焼鈍工程でステンレス鋼板の表面にス
ケールが発生する。特に、Cr系ステンレス鋼の場合、
鋼中のCr、Si等が酸化されやすいため、これらの酸
化物を主成分とするスケールの発生は避けられない。し
たがって、焼鈍に引き続いて脱スケール処理が必要であ
る。
【0004】最近、ステンレス鋼帯の連続焼鈍・酸洗処
理における脱スケール法として、中性塩電解法が採用さ
れている。中性塩電解法は、硫酸ナトリウム等の中性の
水溶液中で、ステンレス鋼帯を陽極として電気分解する
方法である。その際の脱スケールは、スケール中の主成
分であるCr酸化物(Cr2 3 )が下記の化学反応に
よって、重クロム酸イオン(Cr2 7 2-)として溶解
することによって進行する。
【0005】Cr2 3 +4H2 O → Cr2 7 2-
+8H+ +6e ステンレス鋼の脱スケール法としては、中性塩電解法の
外に、アルカリ溶融塩浸漬法が知られている。アルカリ
溶融塩浸漬法は、水酸化ナトリウム(NaOH)と硝酸
ナトリウム(NaNO3 )の混合物を450〜520℃
程度の高温に加熱して溶融させ、この溶融塩浴の中にス
テンレス鋼板を浸漬する方法である。スケール中のCr
2 3 は、溶融塩浴中で酸化されて水溶性のクロム酸塩
に変化し、その後の水洗処理の過程で水の中に溶け出し
て、鋼板表面から取り除かれる。
【0006】上記のいずれの脱スケール法においても、
これらの脱スケール処理のみでは完全にはスケールを取
り除くことができないので、ステンレス鋼特有の金属光
沢が得られない。そのために、引き続いて硝酸と弗化水
素酸の混酸に浸漬する方法、硝酸中で電気分解する方法
等の酸洗処理を行うことによって、スケールを完全に除
去する操作が採られている。
【0007】このように、ステンレス冷延鋼板を製造す
る場合には、通常、帯鋼に対して、これらの冷間圧延、
焼鈍、脱スケール、酸洗が連続的に施される。この工程
の中の焼鈍条件と脱スケールの容易さ(脱スケール性)
との間には密接な関係がある。例えば、焼鈍時の加熱速
度を大きくすると焼鈍時間が短縮され、スケールの厚さ
が薄くなり、スケール層の組成はCrの割合が高くな
る。このようなスケールは、脱スケール性がよいことが
知られている(特開平4−254524号公報、特開平
5−306413号公報、特開平5−331554号公
報)。特に、特開平5−306413号公報、特開平5
−331554号公報には、750℃以上の温度で焼鈍
を行うとスケール中のCr含有率が高まるために、焼鈍
に続く中性塩電解法による脱スケール工程で容易にスケ
ールを除去できることが開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】Cr系ステンレス鋼と
して、最もよく用いられているSUS430(Cr:1
6〜18重量%、Si:0.75重量%以下)は、80
0〜850℃の温度条件での焼鈍と、中性塩電解法によ
る脱スケール処理で比較的容易にスケールを除去するこ
とができる。しかし、さらに脱スケール性を向上させる
ことができれば、焼鈍、脱スケール、酸洗等の設備の小
型化および生産性の向上を図ることができる。なお、脱
スケール法には、前述のように、アルカリ溶融塩浸漬法
があるが、この方法は生産性、表面品質等の問題がある
ので、検討の対象から除外した。
【0009】また、最近、Nbを含有する高純度フェラ
イト系ステンレス鋼が、建築用の屋根材、車両等の外装
材、あるいは自動車用部品等に用いられるようになって
きた。これらのステンレス鋼については、現状の焼鈍、
中性塩電解条件ではスケールが除去されにくいので、長
時間の脱スケール処理を施すことによって、脱スケール
不足を回避している。脱スケール性が低い原因は、SU
S430に比べて焼鈍温度が高く900℃以上程度であ
るために、焼鈍の際に発生するスケールの厚さが厚く、
またスケールの化学組成も、SUS430とは異なるた
めとされている。
【0010】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであって、Cr系ステンレス冷延鋼板の焼鈍
の際に発生するスケールを、容易に除去することができ
るステンレス冷延鋼板の製造方法を提供することを目的
としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決する方法を開発するために、まず、Cr系ステン
レス鋼板の焼鈍の際に、鋼板の表面に生成するスケール
層について、基礎的な調査を行った。
【0012】図1は、Cr系ステンレス鋼SUS430
LX(Cr 16.5 、Si 0.6、Mn 0.5、Cu 0.4 、Nb 0.6各
重量%)について、焼鈍後の表面層を二次イオン質量分
析法(SIMS)によって分析した結果を示している。
横軸は表面からの深さを表す一次イオン照射時間
(分)、縦軸は各元素の原子%(原子数の百分率)であ
る。
【0013】スケール層は、酸素(O)の濃度分布パタ
ーンから図1に示した範囲として差し支えないが、この
スケール層にはCr、FeおよびSiの酸化物が存在し
ていることが分かる。特に、スケール層のSiは、表層
部は低く、スケール層と金属層の境界部でもっとも高い
分布パターンを示すことが分かった。また、他のCr系
ステンレス鋼についての調査も含めて、スケール層のC
rとSiの原子数の比Cr/Siは、鋼板中のCrとS
iの含有率の影響を受けることも確認された。
【0014】本発明者らは、これらの調査結果を考察
し、Cr系ステンレス鋼の焼鈍の際に生成する鋼板表面
のスケールと中性塩電解法による脱スケール性につい
て、次の点に注目した。
【0015】 スケールの主成分である酸化クロム
(Cr2 3 )は、中性塩電解処理によって容易に溶解
し、スケール層中のCr2 3 の割合が高いほど、溶解
性(脱スケール性)がよい。
【0016】 スケール中に含まれる酸化シリコン
(SiO2 )は、プールベー(Pourbaix)の電位−pH
図からも分かるように、中性塩電解法ではまったく溶解
しないと推定される。
【0017】 中性塩電解法では、スケール層中の原
子数比Cr/Siが低いほど、スケールが溶解性しにく
い。特に、スケール層と金属層の境界部における原子数
比Cr/Siが1未満の場合にスケールの溶解性が悪
い。
【0018】 鋼板中のSiは、焼鈍時の温度600
℃以上での酸化が顕著である。そのために、600℃以
上での加熱時間が長いほど、スケール層中のSi(Si
2 )の割合も高くなる(Cr/Siが低下する)。
【0019】上記の基礎的な調査結果および事実に基づ
いて、課題を解決するための基本的な条件を検討した結
果、脱スケール性については、次の2つの要素を同時に
考慮する必要があることが分かった。
【0020】(1)鋼板の化学組成から定まる脱スケー
ル性(脱スケールの容易さ):Q1鋼板中のCrとSi
の重量%比(Cr/Si)が高いほど、脱スケール性が
よい。
【0021】(2)焼鈍条件から定まる脱スケール性
(脱スケールしにくさ):Q2焼鈍時の温度600℃以
上における温度が高いほど、またその温度での加熱時間
が長いほど、脱スケール性が悪い。
【0022】すなわち、焼鈍によって生成するスケール
の脱スケール性には、「鋼板の化学組成から定まる脱ス
ケール性の良さ:Q1 」と、「焼鈍条件から定まる脱ス
ケール性の悪さ:Q2 」の2つの要素を考慮することが
必要であり、Q1 がQ2 を上回る条件選ぶことによって
脱スケール性を向上させることが可能である。
【0023】本発明は、上記の基本思想を実現するため
の具体的な方法を開発したものであり、Cr系ステンレ
ス冷延鋼板を製造する際に、鋼板を冷間圧延した後、下
記式(1)の関係を充たす条件で焼鈍処理し、さらに中
性塩電解法によって脱スケール処理することを要旨とし
ている。
【0024】
【数2】
【0025】ここで、 Cr:鋼板のCr含有率(重量%) Si:鋼板のSi含有率(重量%) t:加熱時間(秒) t1 :加熱開始から鋼板の温度が600℃に達するまで
の時間(秒) t2 :加熱開始から、焼鈍温度に保持後600℃に降下
するまでの時間(秒) T:鋼板の温度(℃)
【0026】
【作用】本発明では、上述のように、焼鈍によって生成
するスケールの脱スケール性の評価として、 鋼板の化学組成から定まる脱スケール性の良さ:Q
1 焼鈍条件から定まる脱スケール性の悪さ:Q2 の2つの要素を考慮し、Q1 がQ2 を上回る条件を選ぶ
ことを基本としている。
【0027】の鋼板の化学組成から定まる脱スケール
性の良さ:Q1 としては、上記の式(2)で評価され
る。式(2)は、スケール中のCr2 3 に対するSi
2 の割合が、鋼板中のCrに対するSiの割合(Cr
/Si、重量%比)によってほぼ定まるという調査結果
に基づいて求めたものである。すなわち、Cr/Siが
大きいほど脱スケール性が高いため、Q1 はCr/Si
の関数として表すことができる。なお、式(2)のCr
/Siの係数2×105 は、Q2 の値との関係から経験
的に求めた値である。
【0028】の焼鈍条件から定まる脱スケール性の悪
さ:Q2 は、鋼板中のSiが酸化されやすい600℃以
上の条件に、どの程度の温度で、どの程度の時間曝され
るかによって左右される。この点に注目して、脱スケー
ル性の悪さを表すのに適した指数を検討した結果、式
(3)で求められる指数が最適であることを確認した。
【0029】すなわち、脱スケール性の悪さは、鋼板の
温度がT℃の場合、(T−600)の2乗とその温度で
保持される時間(dt)の積によって、精度よく表すこ
とができる。
【0030】図2は、加熱時間と鋼板の温度Tとの関係
と、その関係から(T−600)2の値を算出して図示
したものである。図2の(T−600)2 の曲線で囲ま
れている斜線部が、式(3)によって求められるQ2
値に相当することを示している。
【0031】そして、焼鈍の条件として、Q1 がQ2
り大きい条件を選んで鋼板を焼鈍すれば、その後の中性
塩電解法によって、極めて容易に脱スケールを行うこと
ができる。なお、Q1 がQ2 より大きい条件、すなわ
ち、Q2 がQ1 より小さい条件を選ぶことは、焼鈍時間
が短い条件を選択することになる。十分な焼鈍効果が得
られることが必要条件であるので、その時間は確保しな
ければならない。焼鈍時間(焼鈍温度での保持時間)の
下限としては、5〜10秒間程度を確保することが必要
である。
【0032】本発明の方法で対象とするステンレス鋼
は、フェライト系のCr系ステンレス鋼である。このC
r系ステンレス鋼は、通常、脱酸剤として1重量%以下
程度のSiを含んでいる。本発明の方法は、Cr系ステ
ンレス鋼すべてに適用可能であるが、Siが高目で、C
r含有率が16重量%〜30重量%程度の高Crステン
レス鋼に対して特に有効である。その中でも、Nbを含
有する材質に対して、いっそう効果が発揮される。先に
述べたように、Cr含有率が高い場合でもSi含有率が
低い場合には、焼鈍によって生成するスケール中のCr
酸化物の割合が多いので、中性塩電解法で脱スケールさ
れやすいが、Si含有率が高い場合には、スケール中に
SiO2 が多いために、中性塩電解法で脱スケールされ
にくためである。また、ステンレス鋼中にNbが含有さ
れていると、焼鈍温度が高いのでスケールが厚くなりや
すく、また、中性塩電解法で溶解しにくい組成のスケー
ルが生成するためである。
【0033】中性塩電解法は、硫酸ナトリウム(Na2
SO3 )溶液、硝酸ナトリウム(NaNO3 )溶液等の
中性の水溶液中で、原理的にはステンレス鋼を陽極とし
て電気分解する方法である。鋼帯等の連続式処理の場合
には、水溶液の入った電解槽の鋼板の進行方向に、陽極
と陰極の極板を例えば交互に並べて間接的に通電する交
番電解法が採用されている。この方法では、鋼板の極は
陽極と陰極を繰り返すことになり、陽極となった時にス
ケールの溶解が生じることになる。
【0034】水溶液の濃度は、スケールの脱スケール
性、生産性、製品の鋼板に求められる表面の平滑性等の
条件に応じて定めなければならないが、通常は、10〜
30重量%程度の中性塩濃度とするのがよい。また、電
気分解の条件は、電流密度50〜100mA/cm2
電圧5〜20V、水溶液の温度50〜90℃、電解時間
10〜60秒程度が適当である。本発明の場合には、こ
れらの条件の中でも、比較的弱い条件を選択しても脱ス
ケールが可能であるので、鋼板表面の肌荒れが少ないと
いう特長を有している。
【0035】脱スケールに引き続いて、一般に、ステン
レス鋼板に表面光沢を持たせるために、酸洗処理が施さ
れる。酸洗処理は、通常の処理法でよく、例えば、硝酸
と弗化水素酸の混酸に浸漬する方法、硝酸水溶液中で電
気分解する方法などを適用すればよい。
【0036】
【実施例】供試材として、表1に示す4種類の化学組成
のCr系ステンレス鋼を用いた。
【0037】CrおよびSiの含有率は、それぞれ1
6.5〜21.9重量%、0.15〜0.63重量%の
範囲であり、Cr/Si(重量%比)は33〜146、
1 値は6.3×106 〜29.1×106 である(表
2参照)。
【0038】上記4種類の化学組成の供試材は、冷間圧
延されたままの状態で、板厚は表1に示すように0.4
〜1.5mmである。この供試材から、大きさは150
×200mmのシート状の試料を調製した。
【0039】
【表1】
【0040】このシート状の試料に、まず、酸素過剰の
炭化水素燃焼ガス雰囲気の電気炉内で、表2に示す条件
の焼鈍処理を施した。焼鈍条件は、本発明例および比較
例を含めて、焼鈍温度950〜1050℃、600℃以
上での加熱時間40〜182秒、Q2 値は4.3×10
6 〜32×106 である。
【0041】
【表2】
【0042】焼鈍処理の後、表3に示す条件で中性塩電
解法による脱スケール処理、さらに、同じく表3に示す
条件の硝酸電解処理および硝弗酸浸漬処理による酸洗を
行った。なお、脱スケールおよび酸洗の際の電気分解
は、交番電解法とし、その条件は表3に示したとおりで
ある。
【0043】
【表3】
【0044】上記の処理が施された試料について、脱ス
ケール性を評価するために、試料の表面を光学顕微鏡で
観察し、スケールの残存の有無を調査した。また、本発
明の方法は、600℃以上の加熱時間を制限する条件を
選ぶことになるため、十分な焼鈍が行われない恐れがあ
る。所定の焼鈍効果が得られていることを確認するため
に、各試料について硬度を測定した。表2に、これらの
調査結果を示した。
【0045】表2から明かなように、本発明例の処理N
o.1〜8については、いずれもQ2 がQ1 以下である
ため、脱スケール後の鋼板表面にスケールの残存が認め
られなかった。また、表面が平滑で、肌荒れ等も観察さ
れなかった。それに対して、比較例の処理No.9〜1
2については、Q2 がQ1 を超えているため、脱スケー
ル後の鋼板表面にはスケールが残存しており、表面性状
は不良であった。
【0046】表2に示されているように、600℃以上
の加熱時間は、供試材A〜Dいずれについても、比較例
に比べて本発明例の方が短い。しかし、表2に示した脱
スケール後の鋼板の硬度の測定値から判断されるよう
に、本発明例のビッカース硬度は160以下で比較例と
同等であり、十分な焼鈍効果が得られていることが裏付
けられた。
【0047】
【発明の効果】本発明のCr系ステンレス冷延鋼板の製
造方法は、 鋼板の化学組成から定まる脱スケール性の良さ:Q
1 焼鈍条件から定まる脱スケール性の悪さ:Q2 の2つの要素を考慮し、Q1 がQ2 を上回る条件で鋼板
の焼鈍処理を行うことを基本としている。したがって、
焼鈍後の中性塩電解法による脱スケールの際の脱スケー
ル性が極めてよく、脱スケール後の鋼板表面にはスケー
ルの残存がない。
【0048】また、脱スケールの際に比較的濃度の薄い
酸を用いることができるので、鋼板表面の肌荒れ等がな
く、表面性状がよい。さらに、脱スケール処理が容易な
ため、脱スケール設備および酸洗設備の小型化による設
備費の削減、ランニングコストの節減などの経済的効果
も得られる。
【0049】このように、本発明のステンレス冷延鋼板
の製造方法は、表面性状のよいステンレス冷延鋼板を経
済的に製造できるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】焼鈍処理されたステンレス鋼板表面層の化学組
成を、二次イオン質量分析法によって測定した結果の1
例を示す図である。
【図2】ステンレス鋼板を焼鈍する際の加熱時間t
(秒)と鋼板の温度T(℃)、(T−600)2 および
2 の関係の1例を示す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Cr系ステンレス鋼板を冷間圧延した後、
    下記式(1)の関係を充たす条件で焼鈍処理し、さらに
    中性塩電解法によって脱スケール処理することを特徴と
    するステンレス冷延鋼板の製造方法。 【数1】 ここで、 Cr:鋼板のCr含有率(重量%) Si:鋼板のSi含有率(重量%) t:加熱時間(秒) t1 :加熱開始から鋼板の温度が600℃に達するまで
    の時間(秒) t2 :加熱開始から、焼鈍温度に保持後600℃に降下
    するまでの時間(秒) T:鋼板の温度(℃)
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