JPH08325932A - スルホン化複合繊維および不織布 - Google Patents

スルホン化複合繊維および不織布

Info

Publication number
JPH08325932A
JPH08325932A JP7137992A JP13799295A JPH08325932A JP H08325932 A JPH08325932 A JP H08325932A JP 7137992 A JP7137992 A JP 7137992A JP 13799295 A JP13799295 A JP 13799295A JP H08325932 A JPH08325932 A JP H08325932A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sulfonated
density polyethylene
composite fiber
sulfonation
linear low
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP7137992A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3487968B2 (ja
Inventor
Kazuyuki Takami
和之 高見
Yoshio Iida
祥夫 飯田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ube Exsymo Co Ltd
Original Assignee
Ube Nitto Kasei Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ube Nitto Kasei Co Ltd filed Critical Ube Nitto Kasei Co Ltd
Priority to JP13799295A priority Critical patent/JP3487968B2/ja
Publication of JPH08325932A publication Critical patent/JPH08325932A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3487968B2 publication Critical patent/JP3487968B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Cell Separators (AREA)
  • Filtering Materials (AREA)
  • Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
  • Multicomponent Fibers (AREA)
  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)
  • Paper (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 直鎖状低密度ポリエチレンを鞘成分とし、該
直鎖状低密度ポリエチレンよりも融点の高い重合体を芯
成分とする鞘芯型複合繊維から得られた不織布からな
り、鞘成分の直鎖状低密度ポリエチレンがスルホン化さ
れていることを特徴とするスルホン化不織布。 【効果】 本発明のスルホン化不織布は、(i) 簡便な方
法で得ることができる、(ii) スルホン化が均一であ
る、(iii) スルホン化前に比べて強度の低下が少ない、
などの利点を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電池用セパレータ、分
離膜、セメント補強材などに用いられるスルホン化複合
繊維およびスルホン化不織布に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】不織
布は、紡績工程や撚糸工程を経ることなく繊維から直接
製造することができるため、その製造操作が織物や編み
物に比べて簡単である。このような利点を有する不織布
は、現在、紙おむつに代表される衛生材料や衣料材料に
広く利用されている。そして、不織布の材料となる繊維
として、ポリプロピレン繊維等の単一繊維、ポリエチレ
ン−ポリプロピレン系複合繊維やポリエチレン−ポリエ
チレンテレフタレート系複合繊維等の異種ポリマー複合
繊維、共重合ポリエステル−ポリエチレンテレフタレー
ト系複合繊維や共重合ポリプロピレン−ポリプロピレン
系複合繊維等の同種ポリマー複合繊維が開発されてい
る。
【0003】また上記衛生材料や衣料材料以外の用途と
して、電池例えばニッケル−カドミウム電池用のセパレ
ータとして、合成繊維からなる不織布が使用されている
が、電池用セパレータに用いる不織布には適度の機械的
強度、良好なガス透過性、電解液保持能力、電解液耐久
性及び耐酸化性が要求される。現在一般的に使用されて
いるポリアミド繊維からなる不織布は、親水性があり、
電解液保持能力に優れているが、電解液耐久性、耐酸化
性に乏しく、充放電を繰り返すうちにアミド結合から分
解し始め、電解液中に分解物が溶解して、自己放電の原
因となる。
【0004】これに対して、ポリプロピレン、ポリエチ
レン等のポリオレフィン繊維からなる不織布は、電解液
耐久性、耐酸化性に優れているが、疎水性であるため、
電解液保持能力に乏しい。このため、ポリオレフィン系
繊維に界面活性剤処理を施して親水性を与えた後、使用
することが試みられているが、多数回の充放電により界
面活性剤が溶出し、自己放電特性が悪くなると同時に、
徐々に親水性が悪くなるという欠点がある。
【0005】そこでポリオレフィン繊維表面に化学反応
により、親水性官能基を導入して恒久的な親水性を保持
することが考えられる。
【0006】例えば特開昭57−141862号公報に
は、ポリプロピレン樹脂繊維表面にポリエチレン樹脂を
配置した繊維からなる不織布を基材として用い、親水性
を有するモノマーをグラフト重合することにより、親水
性不織布を得ている。しかしこの公報に記載の方法で
は、ポリオレフィンの中でも反応性の劣るポリエチレン
に親水性モノマーをグラフト重合させようとするもので
あり、グラフト重合時間が長くなり、かつ重合時間を長
くしてもグラフト化が不均一になり、親水性官能基が脱
離しやすいという欠点がある。
【0007】また特開平1−132042号および特開
平1−132044号公報には、ポリプロピレン短繊維
を開繊し分散させた後、ポリエチレンを分散させた有機
溶媒中に均一にふりかけてポリプロピレン繊維同士に結
着性を付与させ、さらに熱ロール間を通過させることに
より各繊維同士を熱融着させて、内部がポリプロピレ
ン、表面層付近がポリエチレンである不織布を得、この
不織布を発煙硫酸中に浸漬させてポリエチレン部分をス
ルホン化させて親水性を付与する方法が開示されてい
る。
【0008】しかしこれら公報に記載の方法では、不織
布を製造するまでの工程において、結着剤塗布及び脱溶
媒作業を含むなど操作が煩雑であり、一般的な熱接着性
複合繊維で実施されている簡便な不織布製造方法を採用
することが出来ない。さらにスルホン化されていない部
分も存在しており、スルホン化が不均一である。
【0009】ところで、特開昭59−9255号公報に
は、熱接着性不織布として、直鎖状低密度ポリエチレン
を鞘成分とし、ポリエチレンを芯成分とする複合繊維を
熱接着して得た不織布が開示されている。しかし、この
公報に記載の不織布は、衛生材料への使用を目的とし
て、出来るだけ少ない不織布重量で出来るだけ高い不織
布強力を維持し、かつ出来るだけソフトな風合いを有す
るようにしたものであり、不織布の親水性については全
く着眼していない。
【0010】ポリオレフィン樹脂の反応性については、
例えば「高分子反応」第8〜17頁(高分子実験学、vo
l 6. 編集;高分子学会高分子実験学編集委員会、共立
出版1978年)に記述があるように、一般的にポリエ
チレンは水素引き抜きによるラジカルが発生し難いため
反応性が悪く、鞘/芯=ポリエチレン/ポリプロピレン
構造の従来の複合繊維では、繊維表面に均一なスルホン
化またはグラフト化反応を行うことが難しいというのが
定説になっていた。
【0011】このため均一に親水化処理を行うために
は、処理条件を過酷なものとすることが行われるが、こ
れによって不織布の強度低下の危険性が生じるという欠
点がある。また逆に処理条件を低濃度等ゆるやかなもの
にすると、反応速度の点で処理時間が長くなり、生産性
が低下してしまうという欠点がある。
【0012】従って本発明の目的は、(i) 簡便な方法で
得ることができる、(ii) スルホン化が均一である、(ii
i) スルホン化前に比べて強度の低下が少ない、などの
利点を有するスルホン化複合繊維およびスルホン化不織
布を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成すべく
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、直鎖状低密度ポリエ
チレンを鞘成分とし、該直鎖状低密度ポリエチレンより
も融点の高い重合体を芯成分とする鞘芯型複合繊維
(a)または該鞘芯型複合繊維から得られた不織布
(b)を発煙硫酸などの通常のスルホン化剤でスルホン
化処理すると、驚くべきことに上記鞘芯型複合繊維
(a)中および不織布(b)中の直鎖状低密度ポリエチ
レンが、ポリエチレンのカテゴリーに含まれるにも拘ら
ず、スルホン化されやすく、均一にスルホン化されるこ
と、およびスルホン化後の鞘芯型複合繊維(a)および
不織布(b)の強度低下が小さいことを見い出し、本発
明を完成した。
【0014】従って本発明は、直鎖状低密度ポリエチレ
ンを鞘成分とし、該直鎖状低密度ポリエチレンよりも融
点の高い重合体を芯成分とする鞘芯型複合繊維からな
り、鞘成分の直鎖状低密度ポリエチレンがスルホン化さ
れていることを特徴とするスルホン化複合繊維を要旨と
する。
【0015】また本発明は、直鎖状低密度ポリエチレン
を鞘成分とし、該直鎖状低密度ポリエチレンよりも融点
の高い重合体を芯成分とする鞘芯型複合繊維から得られ
た不織布からなり、鞘成分の直鎖状低密度ポリエチレン
がスルホン化されていることを特徴とするスルホン化不
織布を要旨とする。
【0016】先ず本発明のスルホン化複合繊維について
説明する。本発明のスルホン化複合繊維を構成する鞘成
分は直鎖状低密度ポリエチレン(以下L−LDPEとい
う)である。用いられるL−LDPEは、密度が低いも
のほど、結晶化度が小さくなり、スルホン化剤の浸透が
容易になって、スルホン化の反応性が向上する。従っ
て、密度は0.945以下が好ましいが、密度が0.9
0未満となると軟化点が低くなりすぎて1デニール以下
の細径繊維化が困難になる。従ってL−LDPEの好ま
しい密度範囲は0.90〜0.945である。L−LD
PEの具体例としては、エチレンと炭素数4〜8のα−
オレフィンとをイオン重合触媒の存在下で共重合させて
得られるもので、直鎖状ポリマーにエチル基、ブチル
基、ヘキシル基、2−メチルプロピル基等の側鎖が形成
された構造を有しており、一般に直鎖状低密度ポリエチ
レンと称して市販されているものの中から選ぶことがで
きる。
【0017】鞘成分のL−LDPEには、密度が0.9
45を超えない範囲で従来一般に市販されている低密度
ポリエチレン、中密度ポリエチレンまたは高密度ポリエ
チレン等の単独重合体や、ポリプロピレンを主成分とす
る共重合体(エチレン−プロピレンランダムコポリマ
ー、エチレン−プロピレン−ブテン−1ランダムコポリ
マー等)等の共重合体を混合することができる。
【0018】一方、芯成分の重合体は、上記L−LDP
Eよりも融点が高い重合体が用いられ、好ましくは融点
が15℃以上高い重合体が用いられる。このような重合
体としては、例えばポリプロピレン、ポリプロピレン−
ポリエチレン共重合体、ポリエステル、ポリアミド等の
溶融紡糸可能な重合体がいずれも使用可能である。
【0019】上記鞘成分と芯成分からなる複合繊維の構
造は、従来公知の各種構造、例えば同心型、偏心型など
の任意の構造をとることができるが、鞘成分が複合成分
の表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して形成する
ように配置されなくてはならない。また鞘/芯断面積比
の範囲は30/70〜70/30が好ましい。
【0020】この複合繊維は、通常の鞘芯型複合繊維の
製造方法に基づいて紡糸及び延伸し、所望の長さにカッ
トすることにより得られる。例えば、溶融紡糸温度を1
80〜250℃として、紡出された未延伸糸を0.5〜
30デニールの範囲で通常2〜6倍に熱延伸することに
よって、複合繊維を得ることができる。
【0021】以上スルホン化されていない複合繊維につ
いて説明してきたが、本発明のスルホン化複合繊維は、
複合繊維における鞘成分のL−LDPEがスルホン化さ
れていることを特徴とする。スルホン化は、発煙硫酸、
クロル硫酸、濃硫酸などの公知のスルホン化剤を用いて
行なわれる。L−LDPEの好ましいスルホン化度は3
〜10%である。その理由はスルホン化度が3%未満で
あると十分な親水性が得られず、一方10%を超える
と、複合繊維の強度が低下するからである。
【0022】本発明のスルホン化複合繊維は、溶媒紡糸
後、約2倍以上に熱延伸した繊維のままで、FRC(繊
維強化セメント)用繊維といった耐アルカリ性と親水性
という相反する特性を必要とする補強繊維用途に用いて
もよいが、また後記するような通常の手段により不織布
を得たのち、電池用セパレータ、電気透析用隔膜、電解
隔離膜、電気浸透隔膜、ガス分離膜、液−液分離膜、燃
料電池用隔膜、帯電防止印刷用シートなど、耐アルカリ
性、親水性、高強度、制電性等を必要とする各種用途に
用いるのが好ましい。
【0023】次に本発明のスルホン化不織布について説
明する。本発明のスルホン化不織布を構成する不織布
は、L−LDPEを鞘成分とし、L−LDPEよりも融
点の高い重合体を芯成分とする、前述の鞘芯型複合繊維
を、通常用いられているローラーカード、フラットカー
ド等のカード機を用いて常法により処理し、ウェッブを
作製した後、目的とする不織布の用途等に応じて熱風融
着法、熱ロール融着法、ニードルパンチ法、水流絡合法
等の常法によりウェッブを接合あるいは絡合することに
より得たものである。また本発明のスルホン化不織布を
構成する不織布は、上記の鞘芯型複合繊維を短カットし
たのち、これを湿式抄紙法により抄紙することにより得
たものでもよい。
【0024】以上スルホン化されていない不織布につい
て説明してきたが、本発明のスルホン化不織布は、不織
布を構成する鞘芯型複合繊維中の芯成分のL−LDPE
がスルホン化されていることを特徴とする。スルホン化
は、既に述べたように発煙硫酸、クロル硫酸、濃硫酸な
どの公知のスルホン化剤を用いて行なわれる。L−LD
PEの好ましいスルホン化度は3〜10%である。その
理由はスルホン化度が3%未満であると十分な親水性が
得られず、一方10%を超えると、複合繊維の強度が低
下するからである。
【0025】本発明のスルホン化不織布において、不織
布の目付は30g/m2を超え、100g/m2以下であ
るのが好ましい。その理由は、30g/m2以下では電
池用セパレータなどの用途を考えたときに十分な不織布
強度が得られず、一方100g/m2を超えると、電池
用セバレータ、ガス分離膜などの用途を考えたときに十
分な透気度が得られないからである。
【0026】本発明のスルホン化不織布は、電池用セパ
レータ、電気透析用隔膜、電解隔離膜、電気浸透隔膜、
ガス分離膜、液−液分離膜、燃料電池用隔膜、帯電防止
印刷用シートなど、耐アルカリ性、親水性、高強度、制
電性等を必要とする各種用途に用いるのが好ましい。
【0027】
【作用】L−LDPEが、他のポリエチレンである低密
度、中密度及び高密度ポリエチレンと比較して、スルホ
ン化反応速度が速い理由は、次のように推察される。す
なわちL−LDPEは、炭素数4〜8のαオレフィンを
共重合成分としてエチレンモノマーを配位アニオン重合
させたものであり、分子鎖末端の水素が引き抜かれてラ
ジカルが発生する数が、他のポリエチレンよりも多くな
るため、スルホン化される反応活性点が増加し、その結
果として反応速度が速くなる。
【0028】本発明によれば、上述のように、スルホン
化反応速度の速いL−LDPEを鞘成分とする複合繊維
および該複合繊維から得られた不織布を原材料として用
いることにより、簡便な方法で、その表層部が均一にス
ルホン化されたスルホン化複合繊維およびスルホン化不
織布を、繊維強度を低下させることなく得ることができ
る。
【0029】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに説明する。
【0030】(実施例1)各種ポリエチレンのスルホン
化速度を試験し比較した。
【0031】試験したポリエチレンの原料は以下のとお
りである。
【0032】 (a)エスプレンSPO No.377 (住友化学社製L-LDPE、ρ=0.89) (b)GA−801 (住友化学社製L-LDPE、ρ=0.92) (c)ネオゼックス45200 (三井石油化学社製L-LDPE、ρ=0.945) (d)J−310 (旭化成工業社製HDPE(高密度ポリエチレ ン)ρ=0.962) 上記4種の原料を200℃に加熱して100kg/cm2
加圧条件下で成形して、厚さ約0.2mmのフィルムを作
製し、これを試験フィルムとした。
【0033】サンプル瓶(容量100ml)に発煙硫酸
(SO3濃度20%)を80ml入れ、50×100mmサ
イズの試験用フィルムを投入して、所定時間、25℃に
て浸漬処理した。処理後直ちに濃硫酸中に3分間浸漬
し、続けて50%硫酸、10%硫酸にそれぞれ3分浸漬
した後、水洗した。
【0034】スルホン化後に得られた試験用フィルムに
おけるスルホン化度を次のようにして測定した。スルホ
ン化後の試験フィルムを乾燥させた後、FT−IR分析
を行った(ATR法;入射角45°)。得られたIRス
ペクトルにおいて、脂肪族飽和炭化水素のC−H対称変
角振動(約1460cm-1)による吸収スペクトルの高さ
に対するスルホン基のS=0伸縮振動(約1180c
m-1)による吸収スペクトルの高さの比を計算し、この
値をピーク比とした。そしてXPS測定(X線光電子分
光分析法)により、スルホン化処理した試験フィルムの
スルホン化度を測定し、検量線を作成した。各試験フィ
ルムのスルホン化度は、FT−IR分析によって求めた
ピーク比と、作成した検量線とから算出した。
【0035】各種ポリエチレン試験フィルムのスルホン
化処理時間とスルホン化度との関係を図−1に示す。本
図より明らかに、ρ=0.962のHDPEよりも、ρ
=0.945、ρ=0.92およびρ=0.89のL−
LDPEのほうがスルホン化され易いことが分かる。
【0036】(実施例2) (1)鞘芯型複合繊維の製造 鞘成分として、MFR値が20g/10分、ρ=0.9
2g/ccのL−LDPE(製品名:GA801、住友化
学社製)を用い、芯成分としてMFR値20g/10分
のポリプロピレン(製品名:130MV、宇部興産社
製)を用いて、一軸押出し機2台とホール径0.4mmの
複合繊維用円形ノズルとを備えた複合紡糸設備により、
紡糸温度200〜240℃で、引き取り速度500m/
分の条件で紡糸して、鞘部と芯部の断面積比が50/5
0で単糸デニールが3.1deである複合繊維(未延伸
糸)を得た。
【0037】得られた未延伸糸を3.1倍で延伸し、繊
維長5mm、単糸デニール1.0deのファイバーからなる
鞘芯型複合繊維を得た。
【0038】(2)湿式法による不織布の製造 上記ファイバー2.6gを、界面活性剤を加えた水10
リットル中に均一に分散させ、寸法250mm×200mm
のメッシュ上に抄紙して、湿ったウェッブを作製した。
得られたウェッブを2枚の加熱板間に挾持し、温度12
0〜125℃で10分間プレスして乾燥すると共に、複
合繊維の鞘部を溶融させて、繊維間を接合して不織布を
作製した。
【0039】(3)スルホン化不織布の製造 得られた不織布をメタノール中に浸漬させて付着オイル
を除去したのち、発煙硫酸(SO3濃度20%)中に浸
漬し、25℃で5分間スルホン化処理した。このように
して本発明のスルホン化不織布を得た。
【0040】得られたスルホン化不織布の吸水性試験を
次のようにして行なった。スルホン化処理済の不織布を
水中に静かに浸漬させ、15分間静置した。その後この
不織布を取り出し、30秒間空中にて吊り下げた後に重
量を測定して、下式により吸水率を求めた。
【0041】吸水率(%)=[(吸水後の重量−吸水前
の重量)/吸水前の重量]×100 本発明で得られたスルホン化不織布は、水中に浮かべる
と直ちに水面から没し、吸水率は210%となり、電池
用セパレータとして用いるときの親水性の目標値である
200%をクリアーすることが出来た。
【0042】(実施例3)鞘成分の原料として、MFR
値が20g/分、密度が0.945g/ccのL−LDP
E(製品名:ネオゼックス45200、三井石油化学社製)
を用い、且つスルホン化処理時間を10分間としたこと
以外は、実施例1と同様にして、スルホン化不織布を
得、同じく実施例1と同様に吸水率測定を行った。
【0043】本実施例で得られたスルホン化不織布は、
水中に浮かべると直ちに水面から没し、吸水率は205
%となり、親水性の目標値である200%をクリアする
ことが出来た。
【0044】(比較例1)鞘成分の原料として、MFR
値が20g/分、密度が0.962g/ccの高密度ポリ
エチレン(製品名:J310、旭化成工業社製)を用い
たこと以外は実施例1と同様にして、スルホン化不織布
を得、同じく実施例1と同様に吸水率測定を行った。
【0045】得られたスルホン化不織布は、水中に浸漬
させても浮上して吸水率は130%となり、親水性不織
布としては不十分であった。
【0046】(実施例4〜6)鞘成分の原料として、下
記のL−LDPEを用いて実施例1と同様の方法でスル
ホン化不織布を作製した。
【0047】 実施例4…エスプレンSPO No.377 (住友化学社製L-LDPE、ρ=0.89) 実施例5…CS5005 (住友化学社製L-LDPE、ρ=0.91) 実施例6…GA−801 (住友化学社製L-LDPE、ρ=0.92) これら実施例4〜6で得られたスルホン化不織布は、水
中に浮かべると直ちに水面から没し、吸水率は200%
を超え、親水性の目標値である200%をクリアーする
ことが出来た。
【0048】(スルホン化処理時間と吸水率の関係)実
施例2〜6および比較例1におけるスルボン化処理時間
と吸水率の関係を表1に示した。
【0049】
【表1】
【0050】表1より、密度0.945以下のL−LD
PEを鞘成分とした実施例2〜6の不織布では、スルホ
ン化処理時間が5〜10分で親水性の目標値(200
%)を達成することが出来るのに対して、比較例1の従
来品は、30〜40分以上必要とすることが分かる。
【0051】(スルホン化不織布の機械的強度)実施例
2および比較例1で得られたスルホン化不織布から幅5
0mm、長さ140mmの試料を切り出し、この試料につい
てチャック間隔100mm、引張速度100mm/minの条
件で、スルホン化処理時間毎の引き裂け強力(Kg)を測
定した。その結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】表2より、実施例2および比較例1におい
て、不織布の機械的強度の低下は、スルホン化処理時間
10分では大差ないが、前掲の表1より、比較例1では
スルホン化処理時間が10分では吸水率が168%と低
く、吸水率を目標値の200%以上にするためには60
分のスルホン化処理時間が必要であり、そうすると、不
織布の機械的強度が16.2Kgから13.0Kgに低下し
てしまう。これに対して実施例2では、表1に示すよう
にスルホン化処理時間が5分でも吸水率が目標値の20
0%を超える210%であり、このときの不織布の機械
的強度は17.4Kgであり、スルホン化処理前の値と殆
んど変化がない。
【0054】上掲の表1および表2の結果より、本発明
のスルホン化不織布がスルホン化度および機械的強度の
点で従来品よりも著しく優れていることが明らかとなっ
た。
【0055】(実施例7) (1)鞘芯型複合繊維の製造 鞘成分として、MFR値が20g/10分、ρ=0.9
2g/ccのL−LDPE(製品名:GA801、住友化
学社製)を用い、芯成分としてMFR値20g/10分
のポリプロピレン(製品名:130MV、宇部興産社
製)を用いて、一軸押出し機2台とホール径0.4mmの
複合繊維用円形ノズルとを備えた複合紡糸設備により、
紡糸温度200〜240℃で、引き取り速度500m/
分の条件で紡糸して、鞘部と芯部の断面積比が50/5
0で単糸デニールが3.1deである複合繊維(未延伸
糸)を得た。
【0056】得られた未延伸糸を3.1倍で延伸し、繊
維長5mm、単糸デニール1.0deのファイバーからなる
鞘芯型複合繊維を得た。
【0057】(2)スルホン化複合繊維の製造 得られた複合繊維をメタノール中に浸漬させて付着オイ
ルを除去したのち、発煙硫酸(SO3濃度20%)中に
浸漬し、25℃で5分間スルホン化処理した。このよう
にして本発明のスルホン化複合繊維を得た。得られたス
ルホン化複合繊維のスルホン化度は4%であった。
【0058】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、
(i) 簡便な方法で得ることができる、(ii) スルホン化
が均一である、(iii) スルホン化前に比べて強度の低下
が少ない、などの利点を有するスルホン化複合繊維およ
びスルホン化不織布が提供された。
【0059】これらは、電池用セパレータ、分離膜、セ
メント補強材などの親水性、耐酸性、耐アルカリ性を要
求される用途に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種ポリエチレンのスルホン化速度を示すグラ
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年6月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】先ず本発明のスルホン化複合繊維について
説明する。本発明のスルホン化複合繊維を構成する鞘成
分は直鎖状低密度ポリエチレン(以下L−LDPEとい
う)である。用いられるL−LDPEは、密度が低いも
のほどスルホン化の反応性が向上する。従って、密度は
0.945以下が好ましいが、密度が0.90未満とな
ると軟化点が低くなりすぎて1デニール以下の細径繊維
化が困難になる。従ってL−LDPEの好ましい密度範
囲は0.90〜0.945である。L−LDPEの具体
例としては、エチレンと炭素数4〜8のα−オレフィン
とをイオン重合触媒の存在下で共重合させて得られるも
ので、直鎖状ポリマーにエチル基、ブチル基、ヘキシル
基、2−メチルプロピル基等の側鎖が形成された構造を
有しており、一般に直鎖状低密度ポリエチレンと称して
市販されているものの中から選ぶことができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】本発明のスルホン化複合繊維は、溶融紡糸
後、約2倍以上に熱延伸した繊維のままで、FRC(繊
維強化セメント)用繊維といった耐アルカリ性と親水性
という相反する特性を必要とする補強繊維用途に用いて
もよいが、また後記するような通常の手段により不織布
を得たのち、電池用セパレータ、電気透析用隔膜、電解
隔離膜、電気浸透隔膜、ガス分離膜、液−液分離膜、燃
料電池用隔膜、帯電防止印刷用シートなど、耐アルカリ
性、親水性、高強度、制電性等を必要とする各種用途に
用いるのが好ましい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】
【作用】L−LDPEが、直鎖状高密度ポリエチレンと
比較して、スルホン化反応速度が速い理由は、次のよう
に推察される。L−LDPEは、炭素数4〜8のα−オ
レフィンを共重合成分としてエチレンモノマーを配位ア
ニオン重合させたものであり、直鎖状の長いポリエチレ
ン鎖に短い側鎖が多数存在した構造をしている。主鎖と
側鎖の分岐点の炭素原子は不斉炭素であり、この炭素と
結合する水素原子は他の水素原子と比較して引き抜かれ
やすい傾向にあり、このためラジカル反応を起こしやす
い。またこの短側鎖が存在するため、直鎖状高密度ポリ
エチレンよりも密度が低く、反応試薬の浸透性にも優れ
る。この2つの効果によってL−LDPEのスルホン化
反応速度が速くなるものと思われる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D21H 13/12 H01M 2/16 P 15/10 D21H 5/20 B H01M 2/16 // D06M 101:20

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直鎖状低密度ポリエチレンを鞘成分と
    し、該直鎖状低密度ポリエチレンよりも融点の高い重合
    体を芯成分とする鞘芯型複合繊維からなり、鞘成分の直
    鎖状低密度ポリエチレンがスルホン化されていることを
    特徴とするスルホン化複合繊維。
  2. 【請求項2】 直鎖状低密度ポリエチレンにおけるスル
    ホン化度が3〜10%である、請求項1に記載のスルホ
    ン化複合繊維。
  3. 【請求項3】 直鎖状低密度ポリエチレンを鞘成分と
    し、該直鎖状低密度ポリエチレンよりも融点の高い重合
    体を芯成分とする鞘芯型複合繊維から得られた不織布か
    らなり、鞘成分の直鎖状低密度ポリエチレンがスルホン
    化されていることを特徴とするスルホン化不織布。
  4. 【請求項4】 直鎖状低密度ポリエチレンにおけるスル
    ホン化度が3〜10%である、請求項3に記載のスルホ
    ン化不織布。
  5. 【請求項5】 不織布の目付が30g/m2を超え10
    0g/m2以下である、請求項3に記載のスルホン化不
    織布。
JP13799295A 1995-06-05 1995-06-05 スルホン化複合繊維および不織布 Expired - Fee Related JP3487968B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13799295A JP3487968B2 (ja) 1995-06-05 1995-06-05 スルホン化複合繊維および不織布

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13799295A JP3487968B2 (ja) 1995-06-05 1995-06-05 スルホン化複合繊維および不織布

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08325932A true JPH08325932A (ja) 1996-12-10
JP3487968B2 JP3487968B2 (ja) 2004-01-19

Family

ID=15211540

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13799295A Expired - Fee Related JP3487968B2 (ja) 1995-06-05 1995-06-05 スルホン化複合繊維および不織布

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3487968B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000178832A (ja) * 1998-12-17 2000-06-27 Ube Nitto Kasei Co Ltd 鞘芯複合型ポリオレフィン系繊維およびグラフト化ポリオレフィン系不織布
JP2001011764A (ja) * 1999-06-25 2001-01-16 Daiwabo Co Ltd 親水性不織布及びこれを用いた電池セパレータ並びに電池
JP2003109568A (ja) * 2001-09-28 2003-04-11 Japan Vilene Co Ltd 電池用セパレータ及びこれを用いた電池
CN102903878A (zh) * 2011-07-28 2013-01-30 三菱制纸株式会社 电池用隔板
CN102903877A (zh) * 2011-07-28 2013-01-30 三菱制纸株式会社 电池用隔板

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000178832A (ja) * 1998-12-17 2000-06-27 Ube Nitto Kasei Co Ltd 鞘芯複合型ポリオレフィン系繊維およびグラフト化ポリオレフィン系不織布
JP2001011764A (ja) * 1999-06-25 2001-01-16 Daiwabo Co Ltd 親水性不織布及びこれを用いた電池セパレータ並びに電池
JP2003109568A (ja) * 2001-09-28 2003-04-11 Japan Vilene Co Ltd 電池用セパレータ及びこれを用いた電池
CN102903878A (zh) * 2011-07-28 2013-01-30 三菱制纸株式会社 电池用隔板
CN102903877A (zh) * 2011-07-28 2013-01-30 三菱制纸株式会社 电池用隔板
CN102903878B (zh) * 2011-07-28 2015-09-30 三菱制纸株式会社 电池用隔板

Also Published As

Publication number Publication date
JP3487968B2 (ja) 2004-01-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1097962B1 (en) Polyolefin microporous film and method for preparing the same
US20120028104A1 (en) Thermoplastic film, methods for making such film, and the use of such film as battery separator film
EP0450449B1 (en) Separator material for storage batteries and method for making the same
US5487944A (en) Non-woven fabric sheet separator material for storage batteries and method for making the same
JP3487968B2 (ja) スルホン化複合繊維および不織布
JP5844987B2 (ja) セパレータ材料及びそれを用いた電池
JP4095190B2 (ja) 鞘芯複合型ポリオレフィン系繊維およびグラフト化ポリオレフィン系不織布
JPH0679832A (ja) 親水性繊維シート及びその製造方法
JP3678081B2 (ja) 電池用セパレータおよびこれを用いた電池
JP3494805B2 (ja) グラフト化ポリオレフィン系不織布
JP3510156B2 (ja) 電池セパレータ並びに電池
JP2003031200A (ja) セパレータ材料とその製造方法およびこれを組み込んだ電池
JP4291794B2 (ja) 電池用セパレータおよびこれを用いた電池
JPH11283602A (ja) 電池用セパレータ
JP4377773B2 (ja) 電池セパレータおよび電池
JPH08311765A (ja) ポリオレフィン系不織布
JPH10325060A (ja) 親水性不織布
JPH11219693A (ja) 電池用セパレータ
JP3471255B2 (ja) 電池セパレータ用不織布及びこれを用いた電池
JPH10326607A (ja) 電池用セパレーター及びその製造方法
JP2006054124A (ja) 電池セパレータおよびその製造方法、ならびに電池
JPH1167183A (ja) アルカリ電池用セパレータ
JP2001307710A (ja) 電池用セパレータとその製造方法および電池
JP2002363850A (ja) 多孔性シート及びその製造法
JPH07192714A (ja) アルカリ電池用セパレータおよびこれを用いたアルカリ蓄電池

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20031016

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees