JPH08320402A - 接合光学素子及びその保持装置 - Google Patents

接合光学素子及びその保持装置

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JPH08320402A
JPH08320402A JP12477695A JP12477695A JPH08320402A JP H08320402 A JPH08320402 A JP H08320402A JP 12477695 A JP12477695 A JP 12477695A JP 12477695 A JP12477695 A JP 12477695A JP H08320402 A JPH08320402 A JP H08320402A
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JP
Japan
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optical element
adhesive
cemented
silicone adhesive
holding frame
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JP12477695A
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English (en)
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Takae Hayashi
孝枝 林
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 接着剤の硬化収縮による光学素子への応力を
軽減する。 【構成】 接合面が対向して接合される一対の光学素子
1、2と、この一対の光学素子1、2の接合面間に設け
られた紫外線硬化性が付与された縮合タイプのシリコー
ン接着剤4とを備え、このシリコーン接着剤4を紫外線
による仮硬化の後に、湿気による本硬化を行う。接着剤
4が徐々に硬化するため、急激な収縮がなく、光学素子
1、2への応力を軽減できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、2以上のレンズ、プリ
ズムを接合することによりカメラ、双眼鏡、顕微鏡等に
用いられる接合光学素子及びその保持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】光学素子を接合した接合光学素子として
はガラス同士、ガラスとプラスチック、プラスチック同
士等の組み合わせがある。ガラス同士の接合は性能、機
能面でガラスとプラスチック接合やプラスチック同士の
接合より優れているが、重量が大きく、しかも量産性に
限界がある。一方、徐々に高機能性プラスチックが開発
されることにより、光学部品のプラスチック化へと移行
している。そして、このようなプラスチックを用いるこ
とにより接合光学素子の軽量化、量産化が行われてい
る。
【0003】従来の接合光学素子として、特開昭60−
217324号公報には光学式ピックアップ用集光レン
ズとしてプラスチック製のメニスカスレンズとガラス製
の正レンズとを接合剤で一体化したものが記載されてい
る。またプラスチック同士を用いた接合光学素子とし
て、特開平3−282501号公報には紫外線吸収剤を
含むレンズと紫外線吸収剤を含まないレンズとをアクリ
ル系紫外線硬化型接着剤で接合することが記載されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ガラスとプラスチック
のような異種材料を接合した接合光学素子では、線膨張
の差により、光学素子、特にプラスチック製の光学素子
側への応力の発生が著しくなる。これに対して特開昭6
0−217324号公報では、レンズの曲率半径と屈折
率の数値関係を特定することで高分解能の集光レンズを
作製している。この方法は接合剤の特性にかかわらず、
レンズの形状から屈折率を維持するものである。ところ
がレンズ形状による相対比較では有効であっても、接合
剤の特性が屈折率へ影響することがあり、このため絶対
比較では必ずしも許容範囲に治まるものとはなっていな
い。
【0005】特開平3−282501号公報は、アクリ
ル系紫外線硬化型接着剤を介して、プラスチックレンズ
を接合しているが、アクリル系紫外線硬化型接着剤では
接着剤の紫外線による硬化時の硬化収縮率が少なくとも
6%以上となるところから、プラスチック製の光学素子
に作用する応力が大きくなる。また、この紫外線硬化型
接着剤は短時間硬化が可能であり、量産化するために
は、接着剤に強度の紫外線エネルギーを急激に与え硬化
させる必要がある。これにより紫外線硬化型接着剤の硬
化収縮量が大きくなり、接合される光学素子に悪影響を
及ぼしている。
【0006】このようなことは、保持枠内に接合光学素
子を組み込む保持装置においても、同様であり、保持枠
がプラスチックの場合に紫外線硬化型接着剤の硬化収縮
が問題となっている。
【0007】本発明はこのような問題点を考慮してなさ
れたものであり、接着剤硬化時の硬化収縮を抑制しなが
ら接合することにより、光学素子への悪影響がない接合
光学素子を提供することを目的とする。また、本発明は
接合光学素子を保持枠に組み込む際に、同様に接着剤の
硬化時の硬化収縮を抑制できる接合光学素子保持装置を
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用】本発明の接合
光学素子は、接合面が対向して接合される一対の光学素
子と、この一対の光学素子の接合面間に設けられた紫外
線硬化性が付与された縮合タイプのシリコーン接着剤と
を備え、前記シリコーン接着剤が紫外線による仮硬化の
後に、湿気による本硬化がなされていることを特徴とす
る。
【0009】この光学素子を製造する方法は、紫外線硬
化性が付与された縮合タイプのシリコーン接着剤を一方
の光学素子の接合面に塗布した後、この接合面に他方の
光学素子の接合面を重ね合わせ、光学素子の光軸出しを
行った後、前記シリコーン接着剤に紫外線を照射して仮
硬化し、その後、湿気によってシリコーン接着剤を本硬
化するものである。
【0010】このような構成において、シリコーン接着
剤の仮硬化で光軸精度を確保し、その後、空気中の湿気
で徐々に本硬化するため、接着剤の急激な収縮が軽減さ
れ、光学素子への応力が緩和される。このため接着剤の
光学素子への悪影響がなくなる。
【0011】本発明では、極性が低い光学素子の接合面
に溶剤希釈したシランカップリング剤を塗布することに
より、シランカップリング剤の極性基が光学素子の極性
基と、シリコーン接着剤の極性基と結合する。このた
め、極性が低い光学素子がシリコーン接着剤と強固に結
合し、その剥離を生じることがなくなる。
【0012】本発明の接合光学素子保持装置は、紫外線
硬化性が付与された縮合タイプのシリコーン接着剤によ
り一対の光学素子が接合された接合光学素子と、前記シ
リコーン接着剤が紫外線によって仮硬化された状態で前
記接合光学素子が挿入される保持枠と、この保持枠と接
合光学素子との間に設けられた紫外線硬化性が付与され
た縮合タイプのシリコーン接着剤とを備え、前記接合光
学素子と保持枠との間のシリコーン接着剤が紫外線によ
る仮硬化された後、このシリコーン接着剤と前記光学素
子間のシリコーン接着剤とが湿気により本硬化されてい
ることを特徴とする。
【0013】この接合光学素子保持装置の製造方法は、
紫外線硬化性が付与された縮合タイプのシリコーン接着
剤を一対の光学素子間に設けると共に当該接着剤を紫外
線により仮硬化して接合光学素子とし、この接合光学素
子の外周面に紫外線硬化性が付与された縮合タイプのシ
リコーン接着剤を塗布して保持枠内に挿入した後、この
シリコーン接着剤を紫外線により仮硬化し、その後、前
記光学素子の間のシリコーン接着剤及び接合光学素子と
保持枠との間のシリコーン接着剤を湿気により本硬化す
ることを特徴とする。
【0014】この構成において、光学素子間の接着剤を
その光軸出しに必要な最低限の仮硬化にとどめると共
に、保持枠側の接着剤も接合光学素子の固定に必要な最
低限の仮硬化にとどめており、その後、これらの接着剤
を本硬化している。このため接着剤の硬化に伴う収縮が
軽減されて光学素子に対する応力を緩和することができ
る。
【0015】本発明では、一対の光学素子の間及び接合
光学素子と保持枠との間に設けられる紫外線硬化性を付
与された縮合タイプのシリコーン接着剤を同等の線膨張
係数とすると共に、接合光学素子と保持枠との間に設け
られるシリコーン接着剤を一対の光学素子の外周面の全
体に塗布することにより、光学素子の間の接着剤と、保
持枠側の接着剤とが同様なバランスで光学素子及び保持
枠に作用すると共に、接合光学素子の外周全体の広い面
積で保持枠に保持することができる。このため、低応力
で、しかも接着強度を確保することができる。
【0016】
【実施例】
(実施例1)図1及び図2は本発明の接合光学素子の一
実施例を示す。一対の光学素子1、2はいずれもポリカ
ーボネート(商品名「H−4000」、三菱瓦斯化学
(株)製)からなり、一方の光学素子1の接合面3はメ
ニスカス状となっている。この一方の光学素子1の接合
面3に対してシリコーン接着剤4を塗布する。シリコー
ン接着剤4は紫外線硬化性が付与された縮合タイプの接
着剤であり、本実施例では、商品名「X−31−61
4」(信越化学工業(株)製)を使用している。このシ
リコーン接着剤4は線膨張係数が3〜4×10-4cm/
℃であり、硬化収縮率が1%以下で、プラスチック製の
光学素子の線膨張係数の差に追従する。かかるシリコー
ン接着剤4の塗布後、他方の光学素子2を重ね合わせ
る。この重ね合わせは接着剤に気泡が混入しないように
して行う。
【0017】重ね合わせられた光学素子1、2の光軸出
しを行った後、紫外線照射装置(図示省略)から図2に
示すように、接合部に対して紫外線UVを照射して、接
着剤4を仮硬化させる。この時の紫外線強度は30mw
/cm2 以下とすると共に、紫外線の全エネルギー量が
仮硬化により光軸ずれを発生しない600mj/cm 2
となるように照射時間を20秒以上とする。そして、こ
のような仮硬化による光学素子1、2相互の固定の後、
室温下で空気中の水分と反応させて、接着剤4を本硬化
させ、これにより接合光学素子とする。
【0018】図3及び図4は本実施例をプリズム形状の
光学素子1、2に適用したものであり、光学素子1の接
合面3は平面状となっている。この場合にも、上述と同
様な操作によって接着剤4の仮硬化と、その後に本硬化
が行われる。
【0019】このような本実施例では、シリコーン接着
剤4を光学素子1、2の光軸出しに最低限必要な紫外線
による仮硬化させた後、湿気による本硬化を行うもので
あり、接着剤4の硬化時の収縮が段階的に徐々に行われ
る。このため、接着剤4の急激な収縮が軽減されて、光
学素子1、2に作用する応力が緩和され、光学素子1、
2に変形、割れ等を生じることがないと共に、接着剤の
硬化時の収縮応力による光学素子の相互のずれがなく、
光軸のずれのない接合光学素子を確実に製造することが
できる。また、硬化の後においては、シリコーン接着剤
が光学素子1、2の膨張、収縮に追随するため、接合光
学素子に悪影響を与えることもなくなる。さらには、紫
外線硬化性を備えていない縮合タイプの接着剤に比べ
て、硬化完了までの時間を短縮でき、作業性が向上す
る。これと共に、通常の紫外線硬化型接着剤と同様に、
紫外線の仮硬化を行った後に接着強度が発揮されるた
め、作業性が向上する。
【0020】(実施例2)図5は実施例1の接合光学素
子を組み込んだ保持装置の一実施例を示し、5は保持枠
である。接合された光学素子はこの保持枠5内に挿入さ
れる。保持枠5への接合光学素子の取り付けは、シリコ
ーン接着剤6を介して行われる。このシリコーン接着剤
6は実施例1の接着剤4と同様の紫外線硬化性が付与さ
れた縮合タイプの接着剤(商品名「X−31−110
6」、信越化学工業(株)製)が使用される。この接着
剤6の線膨張率は実施例1のシリコーン接着剤4と同様
の3〜4×10-4cm/℃であり、その硬化収縮率も1
%以下である。
【0021】次に、この実施例の組み立てを説明する。
この実施例では、光学素子1、2を接合するシリコーン
接着剤4は本硬化することなく、仮硬化の状態で保持枠
5に適用される。すなわち、シリコーン接着剤4は光学
素子1、2の光軸出しを行った後、紫外線が照射されて
仮硬化し、これによりシリコーン接着剤4は仮硬化状態
で光学素子1、2を接合している。この状態の接合光学
素子における一方の光学素子2の外周の接着面7にシリ
コーン接着剤6を塗布し、この状態で接合光学素子全体
を保持枠5に落とし込む。そして、接合光学素子の光軸
と保持枠5の中心軸とを合わせる。
【0022】その後、紫外線照射装置(図示省略)によ
り光学素子2と保持枠5の間のシリコーン接着剤6に対
して、紫外線を照射して接着剤6を仮硬化させる。この
時の照射条件も光学素子1、2の接合時と同様に、紫外
線強度は30mw/cm2 以下とし、全エネルギー量が
仮硬化により中心軸ずれを発生しない600mj/cm
2 となるように紫外線照射時間を20秒以上とする。
【0023】この接合光学素子の保持枠5への仮硬化に
よる固定の後、光学素子1、2間の接着剤4及びこれら
の接合光学素子と保持枠5の間の接着剤6を本硬化させ
る。この本硬化は室温下でこれらの接着剤4、6を空気
中の水分と反応させることにより行われる。
【0024】このような本実施例では、シリコーン接着
剤4の仮硬化で接合された2枚の光学素子1、2のう
ち、一方の光学素子2の外周全体にのみ接着剤4と同様
の線膨張のシリコーン接着剤6を塗布して保持枠5に接
着するため、保持枠5に接合素子が固定されつつ、接合
光学素子および保持枠の膨張収縮に追従する。このた
め、低応力でしかも接着強度を有した接合光学素子保持
装置とすることができる。
【0025】また、紫外線硬化性を有するシリコーン接
着剤4、6が、光学素子及び保持枠の膨張収縮に追従す
ることにより、光学素子にかかる負荷が軽減され、応力
の発生が抑えられる。また、短時間で硬化される接着剤
4を光学素子1、2の光軸出しに必要な最低限の仮硬化
にとどめると共に、接着剤6についても接合光学素子の
保持枠5への固定に必要な最低限の仮硬化にとどめ、完
全硬化までは湿気による硬化を行っている。これにより
接着剤4、6の急激な硬化に伴う収縮が軽減され、接合
光学素子がその影響を受け難くなり応力が緩和される。
さらに、紫外線硬化性を有していない縮合タイプのシリ
コーン接着剤よりも硬化完了までの時間が短縮されると
共に、一般的な紫外線硬化型接着剤と同様に紫外線の仮
硬化を行った後に接着強度が発揮されるため、作業性を
確保できる。
【0026】図6は本実施例の変形例を示し、一方の光
学素子1の周辺の接着面8に上述したシリコーン接着剤
6が塗布されている。図7はさらに別の変形例を示す。
この変形例は図4に示す一対の光学素子1、2としてプ
リズムを用いるものである。この一対のプリズムからな
る接合光学素子を保持枠5に組み込むが、この組み込み
に際しては、他方の光学素子2の外周面に上述したシリ
コーン接着剤6が塗布されている。これらの変形例の場
合においても、上述と同様な操作を行うことにより、同
様な効果を得ることができる。
【0027】(実施例3)図8は接合光学素子保持装置
の別の実施例を示す。この実施例では、光学素子1、2
としていずれも極性の低いプラスチックにより成形され
たメニスカスレンズが用いられている。極性の低いプラ
スチックとしては、例えば、商品名「デルペット808
N」(旭化成(株)製)等のポリメチルメタクリレート
を使用できる。光学素子1、2の間には、商品名「X−
31−614」(信越化学工業(株)製)等の紫外線硬
化製を付与された縮合タイプのシリコーン接着剤4が設
けられている。このシリコーン接着剤4は実施例1と同
様に、紫外線の照射によって仮硬化され、この仮硬化に
より光学素子1、2を接合している。
【0028】このようにして光学素子1、2が接合され
た接合光学素子は、この状態で外周面に接着剤6が塗布
された後、保持枠5内に挿入される。接着剤6は光学素
子1、2間の接着剤4と同様な線膨張係数を有すると共
に、紫外線硬化性が付与された縮合タイプのシリコーン
接着剤、例えば、商品名「X−31−1106」(信越
化学工業(株)製)を使用するものである。本実施例に
おいて、このシリコーン接着剤6は双方の光学素子1、
2の外周面の全体に塗布されるものである。
【0029】この保持枠5内への接合光学素子の挿入後
には、接合光学素子の光軸と保持枠5の中心軸とを合わ
せ、その後、紫外線照射装置により紫外線を照射してシ
リコーン接着剤6を仮硬化させる。そして、光学素子
1、2間のシリコーン接着剤4及び接合光学素子と保持
枠5との間のシリコーン接着剤6を空気中の水分と反応
させることにより、本硬化する。
【0030】このような本実施例では、実施例2と同様
な効果を有しているが、接合光学素子と保持枠5との間
のシリコーン接着剤6が光学素子1、2間のシリコーン
接着剤4と同様な線膨張係数を有し、しかも接合光学素
子の外周面の全体に塗布されている。このため光学素子
1、2の全周囲からの補強ができ、その保持強度の確保
することができる。これにより各光学素子1、2をバラ
ンス良く保持枠5に保持できる。また、この接着剤6は
その成分や線膨張係数が光学素子1、2間の接着剤4と
同様であるため、使用環境下での膨張収縮の影響を均一
化でき、光学素子への応力発生を緩和できる。さに接合
光学素子の外周面が広い面積で保持枠5に保持されるた
め、その支持が確実となる。以上のことから、極性の低
い材質の光学素子1、2であっても、保持枠5内への組
み込みが可能となる。
【0031】図9は本実施例の変形例を示し、一対の光
学素子1、2として、接合面が平面となっているプリズ
ムが使用されている。このプリズムはいずれも、ポリメ
チルメタクリレート等の極性が低いプラスチックにより
成形されている。このプリズムの接合面の間及び接合光
学素子と保持枠5との間には、線膨張係数が同等で、し
かも紫外線硬化性が付与された縮合型のシリコーン接着
剤4、6が設けられている。なお、接合光学素子と保持
枠5との間のシリコーン接着剤6は接合光学素子1、2
の外周面の全体に設けられるものであり、これにより上
述と同様な効果を有している。 (実施例4)図10は本発明の接合光学素子の別の実施
例を示す。同図(a)において、10はメニスカスレン
ズからなる光学素子である。この光学素子10は極性の
低いプラスチックにより成形されている。この極性の低
いプラスチックとしては、商品名「デルペット」(旭化
成(株)製)等のポリメチルメタクリレートを使用する
ことができる。この材質からなる光学素子10は極性の
高いプラスチックからなる他方の光学素子(図示省略)
と接合されて接合光学素子となる。
【0032】かかる光学素子10の接合面11には、シ
ランカップリング剤12が塗布される。このシランカッ
プリング剤11としては、商品名「KBM−403」
(信越化学(株)製)を用いることができる。このシラ
ンカップリング剤12はエタノール等の溶剤に濃度20
%となるように希釈され、スプレーにより光学素子10
の接合面11に塗布される。
【0033】この塗布後においては、室温下で約10分
間、乾燥する。この乾燥により、光学素子10の接合面
11はシランカップリング剤12により被覆される。そ
してこのシランカップリング剤12上に、紫外線硬化性
が付与された縮合タイプのシリコーン接着剤を塗布す
る。このシリコーン接着剤としては、実施例1と同様な
ものを使用することができる。このシリコーン接着剤に
対して、極性の高い他の光学素子を押しつけ、その後、
紫外線によりシリコーン接着剤を仮硬化し、さらに、空
気中の水分との反応で本硬化し、接合光学素子を作製す
る。
【0034】このような本実施例の接合光学素子は実施
例1と同様な効果を有しているが、さらに、シランカッ
プリング剤の極性基が光学素子10の極性基及び接着剤
の極性基と結合する。このため光学素子10として、極
性が低いものを使用しても強固な接合構造の接合光学素
子を作製することができる。
【0035】図10(b)は凸レンズ形状の光学素子1
3を示す。この光学素子13もポリメチルメタクリレー
ト等の極性の低いプラスチックによって形成されてい
る。この光学素子13の接合面14に対してメタノール
によって溶媒希釈されたシランカップリング剤12を塗
布し、乾燥することにより、シランカップリング剤の極
性基を介して、光学素子13の極性基とシリコーン接着
剤の極性基とが強固に結合する。これにより接合力が大
きな接合光学素子を作製することができる。図10
(c)はプリズム形状の光学素子15を示し、極性の低
いポリメチルメタクリレート等によって成形されてい
る。この光学素子15の平面状の接合面16に対して、
同様にシランカップリング剤12が塗布され、その後、
乾燥されるものである。
【0036】本実施例に用いるシランカップリング剤の
溶剤に対する濃度は10〜20%が良好である。これよ
りも高濃度ではシランカップリング剤の膜厚が厚くなっ
て光学特性が低くなり、これよりも低濃度ではシランカ
ップリング剤の塗布量が不十分で接合力が小さくなるた
めである。また、シランカップリング剤の乾燥時間は希
釈に用いる溶剤の揮発性によって、適宜、変更する。す
なわち、この乾燥時間は溶剤の揮発が十分となり、しか
もシランカップリング剤の極性基が空気中の水分やゴ
ミ、油等の汚染物質と結合することがないように決定さ
れるものである。
【0037】(実施例5)図11は本発明の接合光学素
子保持装置の別の実施例を示す。同図において、一方の
光学素子1は商品名「デルペット」(旭化成(株)製)
等のポリメチルメタクリレートからなる極性の低いプラ
スチックにより成形されている。これに対して、他方の
光学素子2は商品名「H−4000」(三菱瓦斯化学
(株)製)等のポリカーボネートからなる極性の高いプ
ラスチックにより成形されている。
【0038】極性の低い光学素子1の接合面には、上述
した実施例4の操作によってシランカップリング剤12
が覆っている。このシランカップリング剤12は接合面
への塗布後に、乾燥されるものである。かかるシランカ
ップリング剤12としては、実施例4と同様な材質のも
のを使用することができる。
【0039】このシランカップリング剤12に対して、
商品名「X−31−614」(信越化学(株)製)等の
紫外線硬化性を付与された縮合タイプのシリコーン接着
剤4を塗布し、他方の光学素子2を押しつける。そして
光学素子1、2の光軸出しを行った後、紫外線を照射し
てシリコーン接着剤4を仮硬化させ、接合光学素子とす
る。
【0040】この接合光学素子における極性が高い方の
光学素子2の外周面に対して、商品名「X−31−11
06」(信越化学(株)製)等の紫外線硬化性を付与さ
れた縮合タイプのシリコーン接着剤6を塗布する。この
シリコーン接着剤6は光学素子間のシリコーン接着剤4
と同様な線膨張係数を有するものである。この場合、シ
リコーン接着剤6は極性の低い光学素子1の外周面には
塗布しない。
【0041】シリコーン接着剤6の塗布後においては、
接合光学素子を保持枠5に挿入し、接合光学素子の光軸
と、保持枠5の中心軸を合わせる。そして、紫外線を照
射してシリコーン接着剤6を仮硬化させ、その後、空気
中の水分との反応で双方のシリコーン接着剤4、6を本
硬化させる。
【0042】このような本実施例は実施例4と同様にシ
ランカップリング剤12により、光学素子1、2が強固
に結合すると共に、シリコーン接着剤6が極性の高い光
学素子2の外周面に設けられるため、その硬化収縮の応
力が極性の低い光学素子1に作用することがない。この
ため安定した保持装置とすることができる。
【0043】図12及び図13は本実施例の変形例を示
し、光学素子2はポリメチルメタクリレート等の極性が
低いプラスチックにより形成され、光学素子1はポリカ
ーボネート等の極性が高いプラスチックにより形成され
ている。極性の低い光学素子2の接合面には、上述と同
様にシランカップリング剤12が塗布、乾燥されてお
り、このシランカップリング剤12に紫外線硬化性が付
与された縮合タイプのシリコーン接着剤4が塗布されて
いる。
【0044】これらの変形例においても、保持枠5との
接着を行うシリコーン接着剤6は紫外線硬化性が付与さ
れた縮合タイプであり、しかも光学素子1、2の間に設
けられたシリコーン接着剤4と同等の線膨張係数のもの
が使用されている。そして、この接着剤6は極性が高い
光学素子1の外周面にのみ塗布されて保持枠5との接着
が行われるものである。
【0045】
【発明の効果】本発明の接合光学素子は、紫外線硬化性
を付与したシリコーン接着剤によって一対の光学素子を
接合し、この接着剤の紫外線による仮硬化および湿気に
よる本硬化を行うため、接着剤が徐々に硬化し、その硬
化収縮による応力を抑制することができる。
【0046】本発明の接合光学素子保持装置は、一対の
光学素子間及び接合光学素子と保持枠との間に紫外線硬
化性を付与したシリコーン接着剤を設け、光学素子の光
軸出し及び保持枠への固定に必要な最低限の仮硬化した
後、本硬化するため、接着剤の硬化収縮による応力を軽
減でき、接合光学素子への応力を緩和することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の接合光学素子の一実施例の分解斜視
図。
【図2】本発明の接合光学素子の斜視図。
【図3】接合光学素子の別例の分解斜視図。
【図4】接合光学素子の別例の斜視図。
【図5】本発明の接合光学素子保持装置の一実施例の断
面図。
【図6】接合光学素子保持装置の別例の斜視図。
【図7】接合光学素子保持装置のさらに別例の斜視図。
【図8】接合光学素子保持装置の他の実施例の断面図。
【図9】接合光学素子保持装置の他の実施例の変形例の
断面図。
【図10】(a)、(b)、(c)は他の実施例の接合
光学素子の作製を示す斜視図。
【図11】接合光学素子保持装置のさらに別の実施例の
断面図。
【図12】接合光学素子保持装置のさらに別の実施例の
変形例を示す断面図。
【図13】接合光学素子保持装置のさらに別の実施例の
変形例を示す断面図。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 接合面が対向して接合される一対の光学
    素子と、この一対の光学素子の接合面間に設けられた紫
    外線硬化性が付与された縮合タイプのシリコーン接着剤
    とを備え、前記シリコーン接着剤が紫外線による仮硬化
    の後に、湿気による本硬化がなされていることを特徴と
    する接合光学素子。
  2. 【請求項2】 紫外線硬化性が付与された縮合タイプの
    シリコーン接着剤により一対の光学素子が接合された接
    合光学素子と、前記シリコーン接着剤が紫外線によって
    仮硬化された状態で前記接合光学素子が挿入される保持
    枠と、この保持枠と接合光学素子との間に設けられた紫
    外線硬化性が付与された縮合タイプのシリコーン接着剤
    とを備え、前記接合光学素子と保持枠との間のシリコー
    ン接着剤が紫外線による仮硬化された後、このシリコー
    ン接着剤と前記光学素子間のシリコーン接着剤とが湿気
    により本硬化されていることを特徴とする接合光学素子
    保持装置。
  3. 【請求項3】 前記一対の光学素子の内の少なくとも一
    方が極性の低い光学素子であり、この極性の低い光学素
    子の接合面に10〜20%の濃度に溶剤希釈されたシラ
    ンカップリング剤が塗布されていることを特徴とする請
    求項1記載の接合光学素子。
  4. 【請求項4】 前記シランカップリング剤を塗布した光
    学素子を用いた接合光学素子が前記保持枠内に挿入され
    ていることを特徴とする請求項3記載の接合光学素子保
    持装置。
  5. 【請求項5】 前記一対の光学素子の間及び接合光学素
    子と保持枠との間に設けられる紫外線硬化性を付与され
    た縮合タイプのシリコーン接着剤は同等の線膨張係数の
    接着剤であり、接合光学素子と保持枠との間に設けられ
    るシリコーン接着剤は一対の光学素子の外周面の全体に
    塗布されていることを特徴とする請求項3記載の接合光
    学素子保持装置。
  6. 【請求項6】 前記接合光学素子と保持枠との間に設け
    られるシリコーン接着剤は極性の高い光学素子の外周面
    にのみ塗布されていることを特徴とする請求項7記載の
    接合光学素子保持装置。
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