JPH08320327A - 磁気センサ - Google Patents

磁気センサ

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JPH08320327A
JPH08320327A JP12851795A JP12851795A JPH08320327A JP H08320327 A JPH08320327 A JP H08320327A JP 12851795 A JP12851795 A JP 12851795A JP 12851795 A JP12851795 A JP 12851795A JP H08320327 A JPH08320327 A JP H08320327A
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JP
Japan
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magnetic
bias magnet
bias
sensor
magnetic sensor
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Application number
JP12851795A
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English (en)
Inventor
Kenji Yagi
賢次 八木
Shigehiro Harumi
茂宏 春見
Kazuo Kajimoto
一雄 梶本
Masanori Aoyama
正紀 青山
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Denso Corp
Original Assignee
NipponDenso Co Ltd
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Publication date
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  • Transmission And Conversion Of Sensor Element Output (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁気センサにあって、ブリッジ接続される磁
電変換素子の初期バイアス磁界に対する配置が多少ずれ
ても、その出力に生じる直流成分のばらつきを好適に抑
制する。 【構成】 この磁気センサは基本的に、ギア歯GT等、
磁性体からなる被検出体に向けてバイアス磁界を発生す
るバイアス磁石2、及びこの発生されるバイアス磁界内
に電気的にブリッジ接続されて配設され、被検出体の運
動に伴う磁気ベクトルの変化を電気信号の変化に変換す
る磁気抵抗素子41、42を具えて構成される。ここで
は特に、バイアス磁石2に、磁気抵抗素子41、42の
配設位置において磁力線の向きをほぼ一定とする窪み状
の着磁面21を形成し、これにより少なくとも磁気抵抗
素子41、42の配設位置近辺においてはほぼ一定の向
きの磁界がその初期バイアス磁界として印加されるよう
にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、バイアス磁界が印加
される電気的にブリッジ接続された磁電変換素子の出力
に基づいて磁性体からなる被検出体の運動を検出する磁
気センサに関し、特に上記磁電変換素子に対して初期バ
イアス磁界をより安定に印加するためのバイアス磁石構
造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の磁気センサとしては、例
えば特開平3−195970号公報に記載のセンサ、或
いは特開平6−174490号公報に記載のセンサ等が
知られている。
【0003】これらセンサは何れも、バイアス磁石と、
該バイアス磁石のN極若しくはS極着磁面近傍に配設さ
れて電気的にブリッジ接続される磁気抵抗素子とを基本
的に具え、磁性体からなる被検出体の該バイアス磁界内
での運動に伴う磁気ベクトル変化を上記磁気抵抗素子の
抵抗値変化に基づき検出するようにしている。
【0004】通常、こうして検出される磁気ベクトルの
変化は、上記被検出体の運動に直接対応したものとな
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、磁気センサ
としてのこのような構成によれば、ブリッジ接続される
上記磁気抵抗素子の中点電位として出力されるセンサ出
力も、原理的には、上記被検出体の運動に直接対応し
て、ある所定の電位を基準に均等に脈動するはずであ
る。
【0006】しかし実情としては、上記バイアス磁石の
磁極中心に対してこのブリッジ接続される磁気抵抗素子
の配設位置が僅かでもずれると、それら各磁気抵抗素子
の受ける初期バイアス磁界に不均衡が生じ、ひいては上
記センサ出力の直流(DC)成分にもばらつきが生じる
ようになる。
【0007】一方、こうした磁気センサによって上記被
検出体の極低速での運転を検出するためには、コンデン
サ等により直流成分をカットせずに、該直流成分につい
てもこれをそのまま出力する直流結合型のセンサを使用
する必要がある。
【0008】そして、このように直流結合されたセンサ
にとっては、その出力に生じる上記直流成分のばらつき
が無視できないものとなり、該ばらつきが所定以上に大
きくなると、その後、同センサ出力を2値化信号に波形
整形するような場合に誤った処理がなされる恐れもでて
くる。
【0009】このように、被検出体の極低速での運転を
も検出できるように直流結合された磁気センサにあって
は、上記初期バイアス磁界に対する極めて高い配置精度
が要求され、またこのような要求が、同センサの検出感
度や検出精度を高める上での大きな制約ともなってい
る。
【0010】この発明は、こうした実情に鑑みてなされ
たものであり、ブリッジ接続される磁電変換素子の上記
初期バイアス磁界に対する配置が多少ずれても、その出
力に生じる直流成分のばらつきを好適に抑制することの
できる磁気センサを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】こうした目的を達成する
ため、請求項1記載の発明では、磁性体からなる被検出
体に向けてバイアス磁界を発生するバイアス磁石と、こ
の発生されるバイアス磁界内に電気的にブリッジ接続さ
れて配設され、前記被検出体の運動に伴う磁気ベクトル
の変化を電気信号の変化に変換する磁電変換素子とを具
えて磁気センサを構成するとともに、前記バイアス磁石
に、前記磁電変換素子の配設位置において磁力線の向き
をほぼ一定とする窪み状の着磁面を形成する。
【0012】また、請求項2記載の発明では、該請求項
1記載の発明の構成において、前記窪み状の着磁面を、
前記被検出体の運動方向に沿って湾曲する円弧状の形状
を有するものとして形成する。
【0013】また、請求項3記載の発明では、同請求項
1記載の発明の構成において、前記窪み状の着磁面を、
前記被検出体の運動方向に沿って斜行するV字状の形状
を有するものとして形成する。
【0014】また、請求項4記載の発明では、これら請
求項1乃至3の何れかに記載の発明の構成において、前
記バイアス磁石を中空構造とするとともに、前記磁電変
換素子を適宜の保持部材にて保持するようにする。そし
て該保持部材を、前記バイアス磁石の中空部を貫通する
よう配設して前記磁電変換素子が同バイアス磁石の前記
窪み状の着磁面近傍に突出配置されるようにする。
【0015】また、請求項5記載の発明では、同請求項
1乃至3の何れかに記載の発明の構成において、前記バ
イアス磁石を板状若しくは四角柱形状とするとともに、
前記磁電変換素子を板状の保持部材にて保持するように
する。そして該保持部材を、前記磁電変換素子が前記バ
イアス磁石の前記窪み状の着磁面近傍に突出配置される
よう同バイアス磁石に貼り付け固定する。
【0016】また、請求項6記載の発明では、これら請
求項1乃至5の何れかに記載の発明の構成において、前
記磁電変換素子を、前記ほぼ一定の向きとなる磁力線と
のなす角度が互いに45度傾き、且つ、前記バイアス磁
石の着磁面に垂直に配置された磁気抵抗素子によって構
成する。
【0017】また、請求項7記載の発明では、同請求項
1乃至5の何れかに記載の発明の構成において、前記磁
電変換素子を、その一方が前記被検出体の運動方向に沿
って配置され、他方が前記バイアス磁石の前記窪み状の
着磁面と平行に配置された磁気抵抗素子によって構成す
る。
【0018】また、請求項8記載の発明では、これら請
求項1乃至7の何れかに記載の発明の構成において、前
記バイアス磁石を、前記磁電変換素子周辺に付与される
バイアス磁界強度が同磁電変換素子上に付与されるバイ
アス磁界強度よりも大となる磁気回路特性を有するもの
として構成する。
【0019】また、請求項9記載の発明では、該請求項
8記載の発明の構成において、前記バイアス磁石を、前
記磁電変換素子周辺に選択的に前記磁界強度の大きなバ
イアス磁界を付与すべく着磁面から突出されたダミーバ
イアス手段を有するものとして構成する。
【0020】
【作用】上記バイアス磁石及び上記ブリッジ接続される
磁電変換素子を基本的に具える磁気センサにあって、バ
イアス磁石の磁極中心に対し磁電変換素子の配設位置が
僅かでもずれると、それら素子の受ける初期バイアス磁
界に不均衡が生じ、ひいては同センサ出力の直流成分に
ばらつきが生じるようになることは前述した。
【0021】因みに、こうした初期バイアス磁界の不均
衡とは、 ・バイアス磁石の磁極中心に位置する磁力線は、該磁極
中心に沿った真っ直ぐな向きを示す。 ・しかし、この磁極中心から外れる位置にある磁力線
は、同磁極中心から外れるほど反対側の磁極に引かれ易
くなり、その向きも、磁極中心からの位置によって変化
する。 といった磁石特有の性質に起因して生じる現象である。
【0022】そこで、請求項1記載の発明によるよう
に、該バイアス磁石を、 ・上記磁電変換素子の配設位置において磁力線の向きを
ほぼ一定とする窪み状の着磁面が形成されてなるもの。 として構成すれば、少なくとも磁電変換素子の配設位置
近辺においてはほぼ一定の向きの磁界がその初期バイア
ス磁界として印加されるようになる。そしてこのため、
ブリッジ接続される磁電変換素子の配設位置に多少のず
れが生じる場合であっても、それら磁電変換素子の各々
には均等の初期バイアス磁界が付与されることとなり、
その中点電位として出力されるセンサ出力に直流的なば
らつきが生じることもなくなる。換言すれば、同磁気セ
ンサとしてのこうした構成により、磁電変換素子の配置
に関する制限は大幅に緩和されることとなる。
【0023】なお、上記窪み状の着磁面の形状に応じて
そこに生じる磁力線の向きも任意に設定できることか
ら、該窪みが、必ずしも当該バイアス磁石の磁極中心に
ある必要はない。
【0024】また、同窪み状の着磁面の基本的な形状と
しては、例えば請求項2記載の発明によるように、 ・前記被検出体の運動方向に沿って湾曲する円弧状の形
状。 或いは、請求項3記載の発明によるように、 ・前記被検出体の運動方向に沿って斜行するV字状の形
状。 等々を採用することができる。これら何れの形状であ
れ、その窪みの幅や深さに応じて、上記磁電変換素子が
配設される任意の位置における磁力線の向きをほぼ一定
とすることができる。
【0025】なお、これら円弧状若しくはV字状以外
の、例えば凹状の形状等であっても、その窪みの大きさ
や磁電変換素子の配設位置によっては、同位置における
磁力線の向きをほぼ一定とすることはできる。
【0026】また、請求項4記載の発明によるように、 ・前記バイアス磁石を中空構造とするとともに、前記磁
電変換素子を適宜の保持部材にて保持するようにする。
そして該保持部材を、前記バイアス磁石の中空部を貫通
するよう配設して前記磁電変換素子が同バイアス磁石の
前記窪み状の着磁面近傍に突出配置されるようにする。 といった構成を採用すれば、同磁気センサとしての堅固
な構造を保ちつつ、上記磁電変換素子をバイアス磁石の
着磁面に近接して配置することができ、その感度も好適
に向上されるようになる。
【0027】また、請求項5記載の発明によるように、 ・前記バイアス磁石を板状若しくは四角柱形状とすると
ともに、前記磁電変換素子を板状の保持部材にて保持す
るようにする。そして該保持部材を、前記磁電変換素子
が前記バイアス磁石の前記窪み状の着磁面近傍に突出配
置されるよう同バイアス磁石に貼り付け固定する。 といった構成を採用することでも、磁気センサとしての
堅固な構造を保ちつつ、上記磁電変換素子をバイアス磁
石の着磁面に近接して配置することができ、その感度向
上を図ることはできる。そして何よりも、同構成によれ
ば、該磁気センサを極めて簡素に、しかも容易に実現す
ることができるようになる。
【0028】また、請求項6記載の発明によるように、
前記磁電変換素子を、 ・前記ほぼ一定の向きとなる磁力線とのなす角度が互い
に45度傾き、且つ、前記バイアス磁石の着磁面に垂直
に配置された磁気抵抗素子。 によって構成すれば、磁気ベクトルの振れ角がそれら素
子の抵抗変化率波形のピークを越えることのない安定し
たセンサ出力を通じて被検出体の運動を正確に検出する
ことができるようになる。
【0029】また、請求項7記載の発明によるように、
前記磁電変換素子を、 ・その一方が前記被検出体の運動方向に沿って配置さ
れ、他方が前記バイアス磁石の前記窪み状の着磁面と平
行に配置された磁気抵抗素子。 によって構成すれば、被検出体の運動を非常に高い感度
をもって検出することができるようになる。
【0030】なお、同磁電変換素子として、これら何れ
のタイプの磁気抵抗素子を採用する場合であれ、基本的
に上記請求項1記載の発明の構成を通じて、それらバイ
アス磁石に対する取付精度は大幅に緩和されるようにな
る。
【0031】また、請求項8記載の発明によるように、
上記バイアス磁石を、 ・前記磁電変換素子周辺に付与されるバイアス磁界強度
が同磁電変換素子上に付与されるバイアス磁界強度より
も大となる磁気回路特性を有するもの。 として構成すれば、例えば車速センサ等として車体の底
部など、鉄粉等の磁性体異物が付着されるような悪環境
に同磁気センサが配設される場合であれ、それら異物
は、当該センサのセンシング部となる上記磁電変換素子
上を外れたその周辺に、より付着しやすくなる。したが
って、磁電変換素子上に印加されるバイアス磁界自体
は、それら付着される異物の影響を受けることなく、被
検出体の運動に純粋に対応してその磁気ベクトルが変化
するようになり、その検出精度も自ずと維持されるよう
になる。
【0032】またこうした構成において、特に請求項9
記載の発明によるように、同バイアス磁石を、 ・前記磁電変換素子周辺に選択的に前記磁界強度の大き
なバイアス磁界を付与すべく着磁面から突出されたダミ
ーバイアス手段を有するもの。 として構成すれば、上記作用に加え、該センサ全体が、
その磁電変換素子側からキャップ状のハウジングに挿入
装着される場合には、このダミーバイアス手段をスペー
サとして兼用することもでき、上記磁電変換素子と被検
出体との間隔調整を容易なものとすることができるよう
になる。
【0033】
【実施例】
(第1実施例)図1に、この発明にかかる磁気センサの
第1の実施例を示す。
【0034】この実施例の磁気センサは、例えば自動車
の車速センサとして、車輪等の回転に伴って回転する磁
性体ギアの運動を検出し、その回転速度に対応した電気
信号を出力するセンサとして構成されている。
【0035】はじめに、図1を参照して、同第1の実施
例の磁気センサの構成について説明する。図1に示され
るように、同実施例の磁気センサは、上記車輪等の回転
に伴って回転する磁性体ギアGのギア歯GTを被検出体
としてその近接を検出するものであり、その本体部は、
キャップ状のハウジング1に挿入されるかたちで、該ギ
ア歯GTの近傍に装着される。
【0036】ハウジング1内には、バイアス磁石2が配
設され、さらにこのバイアス磁石2には、これを貫通す
るかたちでセンサ保持部材3が配設される。このセンサ
保持部材3は、その先方にセンサ部4を構成する磁気抵
抗素子41及び42が配設され、その後端部からは、こ
れら各磁気抵抗素子41及び42の通電端子43、44
及び45が導出される構造となっている。
【0037】なお、磁気抵抗素子41及び42は、上記
バイアス磁石2から発せられるバイアス磁界に対して互
いに45度傾き、且つ、同バイアス磁石2の着磁面に垂
直に配置されている。
【0038】またこれら磁気抵抗素子41及び42は、
電気的にはブリッジ接続され、その給電用端子、中点電
位出力端子、及び接地用端子が、それぞれ上記通電端子
43、44及び45として上記センサ保持部材3の後端
部から導出される。
【0039】他方、同実施例の磁気センサは、上記ハウ
ジング1の底部とバイアス磁石2との間に配設される、
例えば樹脂製のスペーサ5を有しており、このスペーサ
5の厚さによって上記センサ部4と被検出体であるギア
歯GTとの間隙が調整されるようになっている。
【0040】こうして構成される磁気センサの上記磁気
抵抗素子41及び42を通じたギア歯GTの運動検出原
理自体は、先の特開平3−195970号公報、或いは
特開平6−174490号公報等に記載のセンサと基本
的に同じである。
【0041】図2は、同第1の実施例の磁気センサの上
記バイアス磁石2についてその具体構造を示し、また図
3〜図6は、同バイアス磁石2のこうした構造に基づく
磁気回路特性を示したものであり、次にこれら図2及び
図3〜図6を併せ参照して、同実施例の磁気センサの特
性並びに機能を更に詳述する。
【0042】まず図2において、図2(a)は、上記バ
イアス磁石2の、ギアG側からみた場合の平面構造を示
し、また図2(b)は、図2(a)中のB−B線部に沿
った同バイアス磁石2の断面構造を示している。
【0043】図1も含めて図2にその構造が更に詳しく
示されるように、バイアス磁石2には、上記センサ保持
部材3が挿入される中空部20が設けられるとともに、
同例ではそのN極の着磁面に、被検出体であるギア歯G
Tの運動方向に沿って湾曲する円弧状の窪み21が形成
されている。
【0044】この窪み21は、上記センサ部4を形成す
る磁気抵抗素子41及び42の配設位置において、同バ
イアス磁石2から発せられる磁力線の向きをほぼ一定と
するためのものである。この作用を、図3及び図4の対
比のもとに詳述する。
【0045】前述したように、こうした磁気センサにあ
っては通常、バイアス磁石2の磁極中心に対しセンサ部
4の配設位置が僅かでもずれると、上記磁気抵抗素子4
1及び42の受ける初期バイアス磁界に不均衡が生じ、
ひいては同センサ出力の直流成分にばらつきが生じるよ
うになる。
【0046】図3に、従来のバイアス磁石の構造を例示
するように、こうした初期バイアス磁界の不均衡とは、 ・バイアス磁石2’の磁極中心に位置する磁力線は、該
磁極中心に沿った真っ直ぐな向きを示す。 ・しかし、この磁極中心から外れる位置にある磁力線
は、同磁極中心から外れるほど反対側の磁極に引かれ易
くなり、その向きも、磁極中心からの位置によって変化
する。 といった磁石特有の性質に起因して生じている。
【0047】そこで、同第1の実施例の磁気センサのよ
うに、バイアス磁石2の上記センサ部4が配置される側
の着磁面に、上述した円弧状の窪み21を設けるように
すれば、図4に示されるように、少なくとも上記センサ
部4の配設位置近辺においてはほぼ一定の向きとなる磁
界が、その初期バイアス磁界B1として同センサ部4に
印加されるようになる。
【0048】なお、図4中に参考までに付記するサイズ
の単位は「mm(ミリメートル)」であり、特に該第1
の実施例の磁気センサでは、同図4に示されるように、
そのバイアス磁石2として、深さ2mm、半径(R)8
mmの円弧状の窪み21を有する磁石を採用している。
【0049】図5及び図6は、こうしたバイアス磁石2
としてフェライト系のプラスチック磁石を使用し、上記
センサ部4付近での垂直方向及び水平方向の磁束密度を
測定した結果をグラフ化したものである。なお、これら
図5及び図6において、それぞれ破線は、図3に例示し
た従来のバイアス磁石での磁束密度分布を参考までに示
している。
【0050】図5に示されるように、磁束密度の垂直成
分の分布はバイアス磁石2の着磁面形状にほぼ対応する
ようになる。すなわち、従来のバイアス磁石2’の磁束
密度の垂直成分は、その平坦な着磁面に対応してほぼフ
ラットな分布となるのに対し、同実施例のバイアス磁石
2の磁束密度の垂直成分は、上記窪み21に対応してな
だらかに湾曲する分布となる。
【0051】一方、図6に示されるように、磁束密度の
水平成分、すなわち横方向へのベクトル成分は、従来の
バイアス磁石2’のものが、 ・磁極中心から僅かでもずれると磁界の向きが変わって
しまう。 といった分布を示すのに対し、同実施例のバイアス磁石
2のものは、 ・磁極中心から約±2mmの範囲であれば、磁界の向き
は殆ど変わらない。 といった分布を示すようになる。そしてこの測定結果
は、図3及び図4の対比のもとに考察した磁力線(磁
界)の向きとも一致する。
【0052】このように、同第1の実施例の磁気センサ
にあっては、バイアス磁石2の上記構造を通じて、セン
サ部4の配置に関する制限は大幅に緩和されるようにな
る。すなわち、ブリッジ接続される磁気抵抗素子41及
び42の配設位置に多少の、詳しくは±2mm程度まで
のずれが生じる場合であっても、それら磁気抵抗素子4
1及び42の各々には、初期バイアス磁界B1として均
等の磁界が付与されるようになる。
【0053】以下、同第1の実施例の磁気センサのこの
ようなバイアス磁石構造を通じて、上記ブリッジ接続さ
れる磁気抵抗素子41及び42の中点電位として出力さ
れるセンサ信号の直流成分がどのように改善されるかに
ついて、図7及び図8を参照して更に詳述する。
【0054】まず図7は、該ブリッジ接続される磁気抵
抗素子41及び42の具体的な接続態様、並びにその中
点電位として端子44から出力されるセンサ信号の処理
態様を示したものである。
【0055】同図7に示されるように、こうした磁気セ
ンサにあっては、端子43には電源電圧Vccが印加さ
れ、端子45は接地される。そして、上記磁気抵抗素子
41及び42の各抵抗値変化に対応した直流のセンサ信
号Vdcが上記端子44から出力される。この出力され
るセンサ信号Vdcは、波形整形回路6にて、固定の閾
値電圧Vtとの比較のもとに2値信号に波形整形され
る。そしてこの波形整形された2値信号が、ギア歯GT
の運動に対応した最終出力Voutとして、マイクロコ
ンピュータ等の図示しない信号処理回路に入力される。
【0056】図8に、ギア歯GTの運動に対応した上記
バイアス磁界の磁気ベクトルの変化(磁力線の向き)、
並びに上記センサ出力(DC出力)Vdc及び波形整形
出力Voutの推移を示す。
【0057】すなわちいま、前記ギアGが回転し、当該
磁気センサとギア歯GTとの関係が図8(a)に示され
る態様で経時的に変化すると、前記バイアス磁石2から
発せられる磁界の向き、すなわち磁力線の向きは、ギア
歯GTの位置に応じて、図8(b)に示される態様で変
化する。
【0058】一方、上記磁気抵抗素子41及び42にあ
っては、その各抵抗値が、この変化する磁力線の向きに
応じて変化し、その結果それら素子に加わる電圧の中点
電位である上記センサ出力(DC出力)Vdcも、図8
(c)に示される態様で変化する。
【0059】なお、同図8(c)において、実線にて示
すDC出力Vdcは、上記磁気抵抗素子41及び42に
対して初期バイアス磁界が均等に印加されている場合の
当該磁気センサのセンサ出力態様を示し、破線にて示す
DC出力Vdc’は、同磁気抵抗素子41及び42に対
して初期バイアス磁界が偏って印加されている場合の同
磁気センサのセンサ出力態様を示している。
【0060】ここで、初期バイアス磁界が均等に印加さ
れている場合とは、 ・例えば図3に例示した従来のバイアス磁石2’を用い
るものにあっては、その磁極中心と上記磁気抵抗素子4
1及び42の中心、すなわちセンサ部4の中心とが一致
している場合。 或いは、 ・図4に示されるバイアス磁石2を用いる同第1の実施
例の磁気センサにあっては、センサ部4の中心がこのバ
イアス磁石2の磁極中心から約±2mmの範囲内にある
場合。 にそれぞれ相当する。これら何れの場合も、センサ部4
にかかる磁力線の向きは、その初期時(実装時)、図8
(b)においてギア歯GTの山頂面或いは谷底面に対応
して示される期間の如く垂直となる。
【0061】他方、初期バイアス磁界が偏って印加され
ている場合とは、 ・例えば図3に例示した従来のバイアス磁石2’を用い
るものにあっては、その磁極中心とセンサ部4の中心と
が一致しない場合。 或いは、 ・図4に示されるバイアス磁石2を用いる同第1の実施
例の磁気センサにあっては、センサ部4の中心がこのバ
イアス磁石2の磁極中心から約±2mmの範囲外にある
場合。 にそれぞれ相当する。これらの場合、その初期時にセン
サ部4にかかる磁力線の向きは、その全てが垂直とはな
らずに、少なくとも一部は、図8(b)においてギア歯
GTの斜面に対応して示される期間の如く傾いたものと
なる。そしてこの場合には、当該磁気センサの出力も、
同図8(c)にDC出力Vdc’として示されるよう
に、あるオフセット電圧成分を持つようになる。
【0062】波形整形回路6(図7)は上述のように、
固定閾値電圧Vtとの比較のもとに上記センサ出力Vd
c(Vdc’)を2値化する回路であり、その波形整形
出力は、図8(c)に付記する閾値電圧Vtに対応し
て、図8(d)に示される態様の2値信号となる。
【0063】なお、同図8(d)においても、実線にて
示す信号Voutは、センサ部4に初期バイアス磁界が
均等に印加されているときのセンサ出力Vdcを波形整
形した2値信号を示し、破線にて示す出力Vout’
は、センサ部4に初期バイアス磁界が偏って印加されて
いるときのセンサ出力Vdc’を波形整形した2値信号
を示している。
【0064】これら図8(c)及び(d)から明らかな
ように、センサ部4に初期バイアス磁界が均等に印加さ
れているときには、その波形整形出力Voutのデュー
ティがほぼ1対1となり、上記ギア歯GTの運動(回
転)についても高い角度精度に基づく正確な検出が可能
となる。他方、センサ部4に初期バイアス磁界が偏って
印加されているときには、その波形整形出力Vout’
にもデューティの偏りが生じ、同磁気センサとしての角
度精度は悪化する。そして、センサ出力Vdc’のオフ
セット電圧成分が更に大きくなると、該電圧が上記閾値
電圧Vtを超え、ひいては同センサ出力を正常に2値化
することすらできなくなる。
【0065】このような背景にあって、第1の実施例の
磁気センサによれば上述のように、バイアス磁石2の前
記構造を通じてセンサ部4の配置に関する制限が大幅に
緩和される。そして、センサ部4の配置に多少のずれが
生じる場合であっても、上記オフセット電圧成分の発生
は好適に抑制され、同センサとしての高い検出精度が維
持されるようになる。
【0066】(第2実施例)図9〜図12に、この発明
にかかる磁気センサの第2の実施例を示す。ただし、こ
の第2の実施例の磁気センサにあっても、その全体の構
成は、図1に示した第1の実施例の磁気センサと同様で
あり、ここでの重複する説明は割愛する。
【0067】さて図9は、同第2の実施例の磁気センサ
に採用されるバイアス磁石2についてその具体構造を示
したものである。すなわち同図9において、図9(a)
は、バイアス磁石2の、ギアG(図1参照)側からみた
場合の平面構造を示し、また図9(b)は、この図9
(a)中のB−B線部に沿った同バイアス磁石2の断面
構造を示している。
【0068】この図9から明らかなように、同第2の実
施例の磁気センサにあっても、上記バイアス磁石2に
は、センサ保持部材3(図1参照)が挿入される中空部
20が設けられるとともに、同例でもそのN極の着磁面
に、被検出体であるギア歯GTの運動方向に沿って湾曲
する円弧状の窪み22が形成されている。
【0069】図10は、この窪み22が形成されたバイ
アス磁石2について、その具体的なサイズとともに磁気
回路特性を模式的に示したものである。同図10に示さ
れるように、該窪み22によっても、少なくともセンサ
部4の配設位置近辺においては、ほぼ一定の向きとなる
磁界が、その初期バイアス磁界B2として同センサ部4
に印加されるようになる。
【0070】なお、同図10に付記するサイズもその単
位は「mm」であり、特に同第2の実施例の磁気センサ
においては、そのバイアス磁石2に形成する上記窪み2
2のサイズを、深さ2mm、半径(R)4mmの円弧状
に設定している。
【0071】図11及び図12は、こうした窪み22を
有するバイアス磁石2としてフェライト系のプラスチッ
ク磁石を使用し、上記センサ部4付近での垂直方向及び
水平方向の磁束密度を測定した結果を先の図5及び図6
と同様にグラフ化したものである。なお、これら図11
及び図12においても、それぞれ破線は、先の図3に例
示した従来のバイアス磁石での磁束密度分布を参考まで
に示している。
【0072】図11に示されるように、磁束密度の垂直
成分の分布は、この場合もバイアス磁石2の着磁面形状
にほぼ対応するようになる。すなわち、従来のバイアス
磁石2’の磁束密度の垂直成分は、その平坦な着磁面に
対応してほぼフラットな分布となるのに対し、同第2の
実施例に採用されるバイアス磁石2の磁束密度の垂直成
分は、上記窪み22の形状に対応して湾曲する分布とな
る。
【0073】一方、図12に示されるように、磁束密度
の水平成分は、従来のバイアス磁石2’のものが、 ・磁極中心から僅かでもずれると磁界の向きが変わって
しまう。 といった分布を示すのに対し、上記窪み22が形成され
たバイアス磁石2のものは、 ・磁極中心から約±1mm〜±1.5mmの範囲であれ
ば、磁界の向きは殆ど変わらない。 といった分布を示すようになる。
【0074】図10に模式的に示した磁気回路特性、並
びにこれら図11及び図12に示した測定結果から明ら
かなように、この第2の実施例の磁気センサにあって
も、窪み22を有するバイアス磁石2の上記構造を通じ
て、センサ部4の配置に関する制限は緩和されるように
なる。
【0075】したがってこの場合も、先の第1の実施例
と同様、センサ部4の配置に多少のずれが生じる場合で
あっても、同センサ信号への前述したオフセット電圧成
分の発生は好適に抑制され、当該磁気センサとしての高
い検出精度が維持されるようになる。
【0076】(第3実施例)図13〜図16に、この発
明にかかる磁気センサの第3の実施例を示す。この第3
の実施例の磁気センサにあっても、その全体の構成は、
図1に示した第1の実施例の磁気センサと同様であり、
ここでの重複する説明は割愛する。
【0077】図13は、同第3の実施例の磁気センサに
採用されるバイアス磁石2についてその具体構造を示し
たものである。この図13においても、図13(a)
は、同バイアス磁石2の、ギアG(図1参照)側からみ
た場合の平面構造を示し、また図13(b)は、この図
13(a)中のB−B線部に沿った同バイアス磁石2の
断面構造を示している。
【0078】この図13から明らかなように、バイアス
磁石2内にセンサ保持部材3(図1参照)が挿入される
中空部20が設けられることは先の第1或いは第2の実
施例の場合と同様であるが、特に同第3の実施例の磁気
センサの場合には、バイアス磁石2のN極着磁面に、被
検出体であるギア歯GTの運動方向に沿って斜行するV
字状の窪み23が形成されている。
【0079】図14は、この窪み23が形成されたバイ
アス磁石2について、その具体的なサイズとともに磁気
回路特性を模式的に示したものである。同図14に示さ
れるように、該窪み23によっても、少なくともセンサ
部4の配設位置近辺においては、ほぼ一定の向きとなる
磁界が、その初期バイアス磁界B3として同センサ部4
に印加されるようになる。
【0080】この図14においても、付記するサイズの
単位は「mm」であり、同第3の実施例の磁気センサに
おいては、そのバイアス磁石2に、深さ2mmのV字状
窪み23を形成している。
【0081】図15及び図16は、こうした窪み23を
有するバイアス磁石2としてフェライト系のプラスチッ
ク磁石を使用し、上記センサ部4付近での垂直方向及び
水平方向の磁束密度を測定した結果をこれも先の図5及
び図6と同様にグラフ化したものである。これら図15
及び図16においても、それぞれ破線は、先の図3に例
示した従来のバイアス磁石での磁束密度分布を参考まで
に示している。
【0082】図15に示されるように、磁束密度の垂直
成分の分布は、これまで同様、バイアス磁石2の着磁面
形状にほぼ対応するようになる。すなわち、従来のバイ
アス磁石2’の磁束密度の垂直成分は、その平坦な着磁
面に対応してほぼフラットな分布となるのに対し、同第
3の実施例に採用されるバイアス磁石2の磁束密度の垂
直成分は、上記窪み23の形状に対応してV字状に湾曲
する分布となる。
【0083】一方、図16に示されるように、磁束密度
の水平成分は、従来のバイアス磁石2’のものが、 ・磁極中心から僅かでもずれると磁界の向きが変わって
しまう。 といった分布を示すのに対し、上記窪み23が形成され
たバイアス磁石2のものは、先の第1の実施例とほぼ同
じく、 ・磁極中心から約±2mmの範囲であれば、磁界の向き
は殆ど変わらない。 といった分布を示すようになる。
【0084】結局、上記V字状の窪み23が形成された
バイアス磁石2を用いるこの第3の実施例の磁気センサ
によっても、バイアス磁石2の同構造を通じて、センサ
部4の配置に関する制限は大幅に緩和されるようにな
る。すなわち、少なくともこのセンサ部4の配設位置近
辺においてはほぼ一定の向きの磁界がその初期バイアス
磁界として印加されるようになる。
【0085】そしてこのため、センサ部4の配置に多少
のずれが生じる場合であっても、同センサ信号への前述
したオフセット電圧成分の発生は好適に抑制され、当該
磁気センサとしての高い検出精度が維持されるようにな
る。
【0086】(第4実施例)図17に、この発明にかか
る磁気センサの第4の実施例を示す。この第4の実施例
の磁気センサも、例えば自動車の車速センサとして、車
輪等の回転に伴って回転する磁性体ギアの運動を検出
し、その回転速度に対応した電気信号を出力するセンサ
として構成されている。
【0087】またその構成も、基本的には先の第1の実
施例と同様、ハウジング1内には、上記円弧状の窪み2
1を有するバイアス磁石2が配設され、さらにこのバイ
アス磁石2には、これを貫通するかたちでセンサ保持部
材3が配設されている。このセンサ保持部材3がその先
方にセンサ部4を構成する磁気抵抗素子41及び42を
有し、その後端部からは、これら各磁気抵抗素子41及
び42の通電端子43、44及び45が導出される構造
となっていることも第1の実施例の磁気センサと同様で
ある。
【0088】しかし、同第4の実施例の磁気センサは、
以下の構造において、第1の実施例の磁気センサとは異
なったものとなっている。すなわち同第4の実施例の磁
気センサにあっては、図17に示されるように、スペー
サ5(図1参照)に代えて、センサ部4の外側周辺に選
択的に磁界強度の大きなバイアス磁界を付与すべくバイ
アス磁石2の着磁面(同例にあってはN極着磁面)から
突出されたダミーバイアス部24を有する構造となって
いる。
【0089】第4の実施例の磁気センサのこうした磁気
回路構成により、車速センサとして車体の底部など、鉄
粉等の磁性体異物が付着されるような悪環境に同磁気セ
ンサが配設される場合であれ、それら異物は上記センサ
部4上を外れた周辺に、より付着しやすくなる。
【0090】したがって、上記センサ部4上に均一に印
加されるバイアス磁界自体は、それら付着される異物の
影響を受けることなく、被検出体であるギア歯GTの運
動に純粋に対応してその磁気ベクトルが変化するように
なり、その検出精度も自ずと維持されるようになる。
【0091】なお、こうしたダミーバイアス部24は、
先のスペーサ5と同様、その厚さによって上記センサ部
4とギア歯GTとの間隙を調整する手段として兼用する
こともできる。すなわち、この第4の実施例の磁気セン
サであれ、センサ部4とギア歯GTとの間隙調整は容易
に実現されるようになる。
【0092】また、上記ダミーバイアス部24を有しな
い構造、すなわち先の第1の実施例のようにスペーサ5
によって同間隙を調整する場合であれ、バイアス磁石2
自身がセンサ部4の外側周辺に選択的に磁界強度の大き
なバイアス磁界を付与し得る磁気回路特性を有するもの
として構成される場合には、同第4の実施例の磁気セン
サと実質的に同等の態様で磁性体異物による影響を回避
することはできる。
【0093】また、ここでは便宜上、第1の実施例の磁
気センサに該第4の実施例の構成を適用した場合につい
て示したが、第2或いは第3の実施例の磁気センサにつ
いてもこうした構成が同様に適用できることは云うまで
もない。
【0094】また、この第4の実施例も含め上記第1〜
第3の実施例においては、バイアス磁石2として、中空
部20を有する円柱状の磁石を用いることとしたが、四
角柱その他の多角柱形状の磁石であっても、同バイアス
磁石として同様に用いることができる。そして、これら
形状のバイアス磁石であっても、前記センサ保持部材3
が挿入される中空部20を設けることで、同磁気センサ
としての堅固な構造を保ちつつ、上記センサ部4をバイ
アス磁石2の着磁面に近接して配置することができ、そ
の感度を好適に向上することができるようになる。
【0095】(第5実施例)図18に、この発明にかか
る磁気センサの第5の実施例を示す。この第5の実施例
の磁気センサも、例えば自動車の車速センサとして、車
輪等の回転に伴って回転する磁性体ギアの運動を検出
し、その回転速度に対応した電気信号を出力するセンサ
として構成されている。
【0096】ただしその構造は、同図18に示されるよ
うに、センサ保持部材3に板状若しくは四角柱形状のバ
イアス磁石2を貼り付けた構造となっている。保持部材
3がその先方にセンサ部4を構成する磁気抵抗素子41
及び42を有し、その後端部からはこれら各磁気抵抗素
子41及び42の通電端子が導出される構造となってい
ることは上記各実施例の磁気センサと同様である。
【0097】こうした構造を有する同第5の実施例の磁
気センサにあっても、上記バイアス磁石2に、例えば先
の第1の実施例に採用されるバイアス磁石のような被検
出体の運動方向に沿って湾曲する円弧状の窪み21が形
成されることで、センサ部4の配置に関する制限は大幅
に緩和されるようになる。
【0098】そしてこのため、センサ部4の配置に多少
のずれが生じる場合であっても、同センサ信号への前述
したオフセット電圧成分の発生は好適に抑制され、当該
磁気センサとしての高い検出精度が維持されるようにな
る。
【0099】また、第5の実施例の磁気センサとしての
同構成によれば、該磁気センサを極めて簡素に、しかも
容易に実現することができるようにもなる。なお、バイ
アス磁石2に形成される窪みの形状は任意であり、他に
第2或いは第3の実施例のバイアス磁石に採用した窪み
22或いは23なども適宜採用することができる。
【0100】ところで、この第5の実施例の磁気センサ
にあっても通常は、被検出体であるギアGの中心線に一
致するよう、若しくは同中心線と平行に、その保持部材
3が配置される。しかし、この第5の実施例の磁気セン
サの場合には、これを例えば図19に例示する態様で角
度αだけ傾けて配置することも、センサ部4の感度を向
上する上で有効である。
【0101】(第6実施例)図20に、この発明にかか
る磁気センサの第6の実施例を示す。この第6の実施例
の磁気センサも、例えば自動車の車速センサとして、車
輪等の回転に伴って回転する磁性体ギアの運動を検出
し、その回転速度に対応した電気信号を出力するセンサ
として構成されている。
【0102】ただしその構造は、同図20に示されるよ
うに、バイアス磁石2から発せられるバイアス磁界に対
してほぼ直角に配設されるセンサ保持部材7を具える構
造となっている。このセンサ保持部材7には、一方では
被検出体であるギア歯GTの運動方向に沿って磁気抵抗
素子71が配置され、他方では上記バイアス磁石2の円
弧状の窪み21と平行に磁気抵抗素子72が配置されて
いる。そして、これら磁気抵抗素子71及び72も、電
気的にはブリッジ接続され、その通電端子(図示せず)
が同センサ保持部材7から導出される構成となってい
る。
【0103】このように、磁気抵抗素子の一方をギア歯
GTの各々に平行となるように配置したいわゆる「平行
配置」をセンサ部に採用した同第6の実施例の磁気セン
サにあっても、そのバイアス磁石2に、ギア歯GTの運
動方向に沿って湾曲する上記円弧状の窪み21が形成さ
れることで、センサ部、特に上記磁気抵抗素子72の配
置に関する制限は大幅に緩和されるようになる。
【0104】そしてこのため、ギア歯GTの各々に平行
となる同磁気抵抗素子72の配置に多少のずれが生じる
場合であっても、そのセンサ信号としての直流成分のば
らつきは好適に抑制され、当該磁気センサとしての高い
検出精度が維持されるようになる。
【0105】なお、こうした「平行配置」を採用した磁
気センサとしての基本的な検出原理も、例えば先の特開
平3−195970号公報等によって周知であり、ここ
での改めての説明は割愛する。
【0106】ところで、以上説明した第1〜第6の実施
例にあっては何れも、バイアス磁石2のほぼ磁極中心
に、しかも同磁極中心について対称に、その各々の窪み
が形成される場合について示した。しかし実際には、図
4〜図6や、図10〜図12、或いは図14〜図16か
らも明らかなように、それら窪みの形状や深さに応じて
そこに生じる磁力線の向きも任意に設定できるものであ
り、それら窪みが必ずしも当該バイアス磁石の磁極中心
に、或いは対称に形成される必要はない。要は、センサ
部が配置される位置に対しその近辺において磁力線の向
きを一定とし得る形状や深さをもって同窪みが形成され
るものであればよい。
【0107】また、上記各実施例では便宜上、バイアス
磁石2のN極着磁面にこうした窪みを形成するとした
が、こうした磁気センサにあって同バイアス磁石2の配
設方向は任意であり、センサ部がS極着磁面に近接して
設けられる場合には、該S極着磁面に上述した窪みが形
成されることとなる。
【0108】また、このバイアス磁石2の材質も任意で
あり、前述したフェライト系プラスチック磁石に限らな
い任意の磁石材料を用いることができる。また、同じく
上記各実施例では、センサ部に採用する磁電変換素子と
して磁気抵抗素子を用いたが、他にホール素子なども同
様にこの発明にかかる磁気センサの磁電変換素子として
採用することができる。
【0109】また、図7に例示したように、上記各実施
例の磁気センサでは、その磁電変換されたセンサ出力を
2値化する波形整形回路6が外部接続されるものとした
が、該波形整形回路6についてはこれをIC化して、セ
ンサ部共々、センサ保持部材に一括して内蔵する構成と
することもできる。
【0110】
【発明の効果】以上説明したように、この発明にかかる
磁気センサによれば、少なくとも磁電変換素子の配設位
置近辺においてはほぼ一定の向きの磁界がその初期バイ
アス磁界として印加されるようになる。そしてこのた
め、ブリッジ接続される磁電変換素子の初期バイアス磁
界に対する配置が多少ずれても、その出力に生じる直流
成分のばらつき等は好適に抑制されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる磁気センサの第1の実施例の
構成を示す略図。
【図2】同第1の実施例のバイアス磁石構造を示す平面
及び断面図。
【図3】従来のバイアス磁石構造での磁力線発生態様を
示す略図。
【図4】同実施例のバイアス磁石構造での磁力線発生態
様を示す略図。
【図5】同バイアス磁石による垂直成分の磁束密度分布
を示すグラフ。
【図6】同バイアス磁石による水平成分の磁束密度分布
を示すグラフ。
【図7】当該磁気センサの電気的な接続態様を示す回路
図。
【図8】同磁気センサの出力信号の推移を示すタイムチ
ャート。
【図9】第2の実施例のバイアス磁石構造を示す平面及
び断面図。
【図10】同実施例のバイアス磁石構造での磁力線発生
態様を示す略図。
【図11】同バイアス磁石による垂直成分の磁束密度分
布を示すグラフ。
【図12】同バイアス磁石による水平成分の磁束密度分
布を示すグラフ。
【図13】第3の実施例のバイアス磁石構造を示す平面
及び断面図。
【図14】同実施例のバイアス磁石構造での磁力線発生
態様を示す略図。
【図15】同バイアス磁石による垂直成分の磁束密度分
布を示すグラフ。
【図16】同バイアス磁石による水平成分の磁束密度分
布を示すグラフ。
【図17】この発明にかかる磁気センサの第4の実施例
の構成を示す略図。
【図18】この発明にかかる磁気センサの第5の実施例
の構成を示す略図。
【図19】第5の実施例の磁気センサの配置例を示す略
図。
【図20】この発明にかかる磁気センサの第6の実施例
の構成を示す略図。
【符号の説明】
1…ハウジング、2…バイアス磁石、20…中空部、2
1、22、23…窪み、24…ダミーバイアス部、3…
センサ保持部材、4…センサ部、41、42…磁気抵抗
素子、43、44、45…端子、5…スペーサ、6…波
形整形回路、7…センサ保持部材、71、72…磁気抵
抗素子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 青山 正紀 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁性体からなる被検出体に向けてバイアス
    磁界を発生するバイアス磁石と、 この発生されるバイアス磁界内に電気的にブリッジ接続
    されて配設され、前記被検出体の運動に伴う磁気ベクト
    ルの変化を電気信号の変化に変換する磁電変換素子と、 を具え、前記バイアス磁石は、前記磁電変換素子の配設
    位置において磁力線の向きをほぼ一定とする窪み状の着
    磁面が形成されてなることを特徴とする磁気センサ。
  2. 【請求項2】前記窪み状の着磁面は、前記被検出体の運
    動方向に沿って湾曲する円弧状の形状を有する請求項1
    記載の磁気センサ。
  3. 【請求項3】前記窪み状の着磁面は、前記被検出体の運
    動方向に沿って斜行するV字状の形状を有する請求項1
    記載の磁気センサ。
  4. 【請求項4】前記バイアス磁石は中空構造をなし、前記
    磁電変換素子は適宜の保持部材にて保持されてなり、該
    保持部材は、前記バイアス磁石の中空部を貫通するよう
    配されて前記磁電変換素子を同バイアス磁石の前記窪み
    状の着磁面近傍に突出配置せしめる請求項1乃至3の何
    れかに記載の磁気センサ。
  5. 【請求項5】前記バイアス磁石は板状若しくは四角柱形
    状を有し、前記磁電変換素子は板状の保持部材にて保持
    されてなり、該保持部材は、前記磁電変換素子が前記バ
    イアス磁石の前記窪み状の着磁面近傍に突出配置される
    よう同バイアス磁石に貼り付け固定される請求項1乃至
    3の何れかに記載の磁気センサ。
  6. 【請求項6】前記磁電変換素子は、前記ほぼ一定の向き
    となる磁力線とのなす角度が互いに45度傾き、且つ、
    前記バイアス磁石の着磁面に垂直に配置された磁気抵抗
    素子である請求項1乃至5の何れかに記載の磁気セン
    サ。
  7. 【請求項7】前記磁電変換素子は、その一方が前記被検
    出体の運動方向に沿って配置され、他方が前記バイアス
    磁石の前記窪み状の着磁面と平行に配置された磁気抵抗
    素子である請求項1乃至5の何れかに記載の磁気セン
    サ。
  8. 【請求項8】請求項1乃至7の何れかに記載の磁気セン
    サにおいて、 前記バイアス磁石は、前記磁電変換素子周辺に付与され
    るバイアス磁界強度が同磁電変換素子上に付与されるバ
    イアス磁界強度よりも大となる磁気回路特性を有して構
    成されることを特徴とする磁気センサ。
  9. 【請求項9】前記バイアス磁石は、前記磁電変換素子周
    辺に選択的に前記磁界強度の大きなバイアス磁界を付与
    すべく着磁面から突出されたダミーバイアス手段を有し
    て構成される請求項8記載の磁気センサ。
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