JPH08320132A - 壁掛形空調室内機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スクロール部の背面に生じる水滴によって機
器に生じ得る不具合を、簡素な構成によって回避するこ
とが可能な壁掛形空調室内機を提供する。 【構成】 熱交換器１のドレンパン５よりも上側の位置
において、スクロール部９背部にサブドレンパン６を設
ける。サブドレンパン６の下側から吹出口１４に至る中
空断熱部１０を中空成形によってスクロール部９の背部
に形成する。中空断熱部１０の上側隔壁１０ａによって
サブドレンパン６の底面６ｂを形成し、背面側隔壁１０
ｄの延長部分によってサブドレンパン６の側壁６ａを形
成する。サブドレンパン６で受けた水滴をドレンパン５
に滴下させる導水路７を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、壁掛形の空調室内機
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】セパレート形空気調和機の室内機として
は、壁掛形のものが現在多く用いられている。図３は、
このような壁掛形空調室内機の従来例の内部構成を示す
断面図である（例えば、特開平６−１０９２７２号公
報）。この空調室内機では、前面パネル２と底フレーム
３とで囲まれた通風室１３の略中央位置に、クロスフロ
ーファンの一部を成すファンロータ４が配置されてい
る。そしてこのファンロータ４を前方（同図における左
方）と斜め上方とから覆うように、熱交換器１が上記前
面パネル２の内側に沿うようにして配置され、さらにこ
の熱交換器１の下方には、蒸発器として熱交換器１を作
動させたときに発生するドレン水を受けるためのドレン
パン５が設けられている。また上記ファンロータ４がそ
の一部を構成するクロスフローファンは、ファンロータ
４の内部に中心を有する渦流を発生させ、この渦流によ
って通風室１３の吸込側１３ａから吹出側１３ｂへの気
流を生じさせるものである。従ってこの気流は底フレー
ム３側で一旦折り返すような流れとなるのであるが、こ
の折り返しを円滑に行って効率よく気流を発生させるた
めに、底フレーム３にはスクロール部９が形成されてい
る。このスクロール部９は、ファンロータ４近傍におい
てファンロータ４の外周よりも曲率の大きな円弧状の凹
部を有すると共に、さらにこれを通風室１３の吹出側１
３ａへとなめらかに連通して成り、空調空気の流通路を
形成するものである。なお同図において８は、空調空気
の吹き出し風向を調整するために設けられた水平羽根で
あり、１４は空調空気の吹出口である。

【０００３】上記構成の壁掛形空調室内機では、空調空
気がスクロール部９に沿うようにして流通し、吹出口１
４から室内へと送風される。従って熱交換器１が蒸発器
として作動する冷房時には、室温よりも温度の低い冷風
が継続してスクロール部９に吹き当てられることにな
り、そのためスクロール部９の背面には結露が生じ、こ
れが凝縮して水滴１１となる。しかしながら上記壁掛形
空調室内機では、底フレーム３によって区画される背面
側の配管収納室１５のスペースには室内機のコンパクト
化という要請による制限があり、しかも部品点数が増加
することはコストアップにつながるため、上記水滴１１
を処理するためのドレン処理機構を特別に設けることは
困難である。そのため上記空調室内機では、図３に示す
ようにスクロール部６に発生した水滴１１を受けるため
のサブドレンパン６を、熱交換器１で発生したドレン水
を受けるためのドレンパン５よりも上側の位置において
スクロール部９の背部に設け、さらにサブドレンパン６
とドレンパン５とを結ぶ導水路７を設けている。このよ
うな構成を採用することにより、サブドレンパン６で受
けた水滴１１を導水路７に沿ってドレンパン５へと自然
に滴下させ、そして熱交換器１で発生したドレン水と共
に単一のドレン処理機構で一括して処理するようになっ
ている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記のような構成の壁
掛形空調室内機では、スクロール部９が通風室１３の一
部を成し、その吹出側１３ｂへと連なっている。従って
冷房運転を継続した場合には、ファンロータ４近傍にお
けるスクロール部９のみならず、上記吹出側１３ｂへと
連なる部分のスクロール部９の背面にも水滴１２が発生
することとなる。しかしながらサブドレンパン６からド
レンパン５へと導水路７を介して水滴１１を自然に滴下
させるためには、サブドレンパン６はドレンパン５より
も上側の位置に設けなければならない。従ってサブドレ
ンパン６よりも下側、すなわち吹出側１３ｂへと連なる
部分のスクロール部９の背面に発生した水滴１２は処理
できずに放置せざるを得ず、そのため配管収納室１５に
配置した機器等に不具合を生じるという問題があった。
また特別にドレン処理機構を設けると、部品の増加によ
ってこれがコストアップを招く一因となり、また室内機
のコンパクト化という要請に沿うことができないという
問題があった。

【０００５】この発明は、上記従来の欠点を解決するた
めになされたものであって、その目的は、スクロール部
の背面に生じる水滴によって機器に生じ得る不具合を、
簡素な構成によって回避することが可能な壁掛形空調室
内機を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】そこで請求項１の壁掛形
空調室内機は、前面側に熱交換器１を備える一方、この
熱交換器１によって熱交換された空調空気の流通路を形
成するスクロール部９を備えた壁掛形空調室内機におい
て、上記スクロール部９の背部に中空成形によって形成
した中空断熱部１０を設けたことを特徴としている。

【０００７】また請求項２の壁掛形空調室内機は、上記
熱交換器１の下方に設けられたドレンパン５と、このド
レンパン５よりも上側の位置においてスクロール部９の
背部に設けられたサブドレンパン６と、このサブドレン
パン６によって受けたドレン水を上記ドレンパン５に滴
下させるように設けた導水路７とを備え、上記中空断熱
部１０は、上記サブドレンパン６に接してその下側に設
けたことを特徴としている。

【０００８】さらに請求項３の壁掛形空調室内機は、上
記サブドレンパン６の底面６ａは、上記中空断熱部１０
を形成する隔壁１０ａ〜１０ｄの一部として形成されて
いることを特徴としている。

【０００９】

【作用】上記請求項１の壁掛形空調室内機では、スクロ
ール部９の背部に中空成形による中空断熱部１０を設け
ている。従って簡素な構成によってスクロール部９の背
部における結露の発生を防止でき、機器に生じ得る不具
合を回避することが可能となる。

【００１０】また請求項２の壁掛形空調室内機では、中
空断熱部１０よりも上側に生じた結露はサブドレンパン
６によって処理するように構成している。従って確実に
ドレン処理して機器の不具合を回避することが可能とな
る。また中空断熱部１０を必要最小のものとして成形工
程を簡素化することが可能となる。

【００１１】さらに請求項３の壁掛形空調室内機では、
中空断熱部１０を中空成形することでサブドレンパン６
の底面も同時に形成させるため、その製造工程を簡素化
することが可能となる。

【００１２】

【実施例】次に、この発明の壁掛形空調室内機の具体的
な実施例について、図面を参照しつつ詳細に説明する。

【００１３】図１は、上記空調室内機の内部構成を示す
断面図であるが、上記従来例と同一の部材には同一の符
号を付し、ここでの説明は省略する。本実施例の空調室
内機が従来例のものと異なるのは、そのスクロール部９
にサブドレンパン６からスクロール部９下端に至る中空
断熱部１０が中空成形によって形成されていることであ
る。この中空断熱部１０はスクロール部９の背部、すな
わち配管収納室１５側に約６ｍｍ程度の厚さを有し、４
つの隔壁１０ａ〜１０ｄとこれらに囲まれた中空層１０
ｅとから成っている。そして隔壁１０ａ〜１０ｄのうち
前面側隔壁１０ｂがスクロール部９の吹出口１４側に連
なる部分を、そして下側隔壁１０ｃが吹出口１４の背面
側を、それぞれ従来例のものの通りの形状に構成する一
方、上側隔壁１０ａがサブドレンパン６の底面６ｂを形
成し、また背面側隔壁１０ｄを上方に延長して上側隔壁
１０ａから突出するよう構成した部分が、サブドレンパ
ン６の側壁６ａとなっている。

【００１４】図２は、上記空調室内機を背面側から見た
斜視図である。サブドレンパン６は、その中央部の底面
６ｂが他の部分の底面６ｂよりも高く、そして端部に近
づくにしたがって次第に下降するようにしてスクロール
部９に設けられている。また導水路７は、同図には示し
ていないが、サブドレンパン６の両端部のそれぞれにお
いて設けられている。さらにサブドレンパン６の側壁６
ａと連接して、その下側に中空断熱部１０の背面側隔壁
１０ｄが形成されている。

【００１５】上記構成の壁掛形空調室内機では、継続し
た冷房運転によってサブドレンパン６よりも上側のスク
ロール部９に発生した水滴１１は、まずそのまま下方に
落下してサブドレンパン６に受けられる。するとこのサ
ブドレンパン６の底面６ｂには中央部から両端に向う下
り勾配が付されているので、水滴１１はサブドレンパン
６の両端部に図２の矢印のように集められ、さらにこの
両端部に設けられた導水路７を滴下してドレンパン５に
流入することになり、このドレンパン５に滴下する熱交
換器１で発生したドレン水と共に、一括してドレン処理
がなされる。一方、サブドレンパン６よりも下側には中
空断熱部１０が形成されている。従って冷房運転が長時
間に亘って継続された場合でも、サブドレンパン６より
も下側のスクロール部９の背面側、すなわち中空断熱部
１０の背面側隔壁１０ｄの温度は、中空層１０ｅの断熱
効果によってほとんど低下することがない。そのためこ
の部位に水滴１２（図３参照）が発生することを防止で
き、上記サブドレンパン６によるドレン処理と相俟っ
て、発生したまま処理されない水滴１２の存在によって
起こり得る機器の不具合を回避することができる。しか
もスクロール部１０の通風室１３側及び吹出口１４の形
状には変更はないため、それらの性能に影響を与えるこ
とがない。

【００１６】また上記中空断熱部１０は中空成形によっ
て形成しているが、スクロール部９の上端側は主にサブ
ドレンパン６によって水滴１１を処理し、中空断熱部１
０はサブドレンパン６によっては処理のできない部分に
のみ設けている。従って中空成形部分は小さいため特別
な手法による中空成形は不要であり、安定した品質を安
価に得ることができる。しかもサブドレンパン６の底面
６ｂには中央部から両端側に向かって下り勾配を付して
いるため、一端側から他端側に向かって一方向に勾配を
付す場合に比べて高低差が小さくなっている。従って一
端側においてサブドレンパン６の底面６ｂが高くなって
中空断熱部１０を大きくする必要が生じたりすることが
なく、この点においても中空断熱部１０をより小さなも
のとして安定な成形ができるようになっている。

【００１７】さらに上側隔壁１０ａによってサブドレン
パン６の底面６ｂを形成し、背面側隔壁１０ｄの延長部
分によってサブドレンパン６の側壁６ａを形成してい
る。従って中空断熱部１０を中空成形によって形成する
と、これと同時にサブドレンパン６をも形成することが
でき、製造工程を簡素化することができる。またこのよ
うにして既に成形された底フレーム３を部品として用い
ることによって、組立工数の低減を図ることもできる。
さらにスクロール部９、サブドレンパン６及び中空断熱
部１０は単一の材料で構成されることとなるため、材料
の分別が不要でリサイクルを容易とすることができ、コ
ストダウンと共に廃棄物の低減及び資源の有効利用を図
ることができる。

【００１８】以上にこの発明の具体的な実施例について
説明したが、この発明は上記実施例に限定されるもので
はなく、この発明の範囲内で種々変更して実施すること
ができる。例えば中空断熱部１０よりも上側のスクロー
ル部９に発生する水滴１１が問題とならない場合には、
サブドレンパン６及び導水路７を省略した構成としても
よい。また中空断熱部１０の形状等もこの発明の範囲内
で変更して実施することができ、さらにサブドレンパン
６は別部材としてスクロール部９に取り付けるようにし
てもよい。

【００１９】

【発明の効果】上記請求項１の壁掛形空調室内機では、
スクロール部の背部に中空成形による中空断熱部を設け
ている。従って簡素な構成によってスクロール部の背部
における結露の発生を防止でき、機器に生じ得る不具合
を回避することが可能となる。

【００２０】また請求項２の壁掛形空調室内機では、中
空断熱部よりも上側に生じた結露はサブドレンパンによ
って処理するように構成している。従って確実にドレン
処理して機器の不具合を回避することが可能となる。ま
た中空断熱部を必要最小のものとして成形工程を簡素化
することが可能となる。

【００２１】さらに請求項３の壁掛形空調室内機では、
中空断熱部を中空成形することでサブドレンパンの底面
も同時に形成させるため、その製造工程を簡素化するこ
とが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の壁掛形空調室内機の一実施例の断面
図である。

【図２】上記実施例の背面側斜視図である。

【図３】壁掛形空調室内機の従来例の断面図である。

【符号の説明】

１ 熱交換器 ５ ドレンパン ６ サブドレンパン ７ 導水路 ９ スクロール部 １０ 中空断熱部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 前面側に熱交換器（１）を備える一方、
   この熱交換器（１）によって熱交換された空調空気の流
   通路を形成するスクロール部（９）を備えた壁掛形空調
   室内機において、上記スクロール部（９）の背部に中空
   成形によって形成した中空断熱部（１０）を設けたこと
   を特徴とする壁掛形空調室内機。
2. 【請求項２】 上記熱交換器（１）の下方に設けられた
   ドレンパン（５）と、このドレンパン（５）よりも上側
   の位置においてスクロール部（９）の背部に設けられた
   サブドレンパン（６）と、このサブドレンパン（６）に
   よって受けたドレン水を上記ドレンパン（５）に滴下さ
   せるように設けた導水路（７）とを備え、上記中空断熱
   部（１０）は、上記サブドレンパン（６）に接してその
   下側に設けたことを特徴とする請求項１の壁掛形空調室
   内機。
3. 【請求項３】 上記サブドレンパン（６）の底面（６
   ａ）は、上記中空断熱部（１０）を形成する隔壁（１０
   ａ）〜（１０ｄ）の一部として形成されていることを特
   徴とする請求項２の壁掛形空調室内機。