JPH0831668A - 耐雷変圧器による耐雷方法 - Google Patents

耐雷変圧器による耐雷方法

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JPH0831668A
JPH0831668A JP16166294A JP16166294A JPH0831668A JP H0831668 A JPH0831668 A JP H0831668A JP 16166294 A JP16166294 A JP 16166294A JP 16166294 A JP16166294 A JP 16166294A JP H0831668 A JPH0831668 A JP H0831668A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 入力巻線側の静電遮蔽板の接地極を増設工事
することなく、上記耐雷変圧器による卓越した効果を享
受し得る耐雷方法を提供する。 【構成】 負荷設備22に接続する入力電源線路30中に入
力巻線25と出力巻線26の各々に互いに絶縁され独立した
静電遮蔽板27,28を有する耐雷変圧器21を設け、この耐
雷変圧器21の出力巻線側の静電遮蔽板28を負荷設備22の
主接地32に接続する一方、入力巻線側の静電遮蔽板27を
入力電源線30のゼロ電位線30a に接続する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体を含む各種の情
報化システムの耐雷変圧器による耐雷方法に関るもの
で、特に敷地面積が狭く、また山頂等で耐雷対策のため
の増設接地工事の施行が困難である上に、雷撃を受ける
確率の高い各種無線中継所、送電線用航空標識灯等の施
設、およびこれ等に電力を供給する配電線を含めた耐雷
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の負荷設備の耐雷対策とし
ては、負荷設備に接続する入力電源線と負荷設備の間
に、入力巻線と出力巻線の間に1枚の中間静電遮蔽板の
みを有する耐雷変圧器を設け、この耐雷変圧器の外凾お
よび中間静電遮蔽板の接地と入力電源線に接続された避
雷器の接地を接続し、さらに負荷設備の主接地に連接し
た構成の1点接地方式の耐雷方法が採用されていた。
【0003】上記の耐雷方法では、入力電源線側から侵
入した雷サージに対しては、入力電源線に接続した避雷
器や、中間静電遮蔽板の働きによってある程度の耐雷効
果を奏するものの、入力電源線に設けられた避雷器の接
地線と負荷設備等の接地とは連接接地線により電気的に
接続されているため未だ種々の難点がある。特に負荷設
備側のアンテナ鉄塔に雷の直撃があったとき負荷設備の
主接地の電位が上昇して前記避雷器を逆放電してこれを
破壊するばかりでなく、雷電流の大きな分流成分を入力
電源側の配電線に送り込み大きな配電線事故を起こして
いた。また負荷設備の方でも大きな雷サージに対して高
電位下での全設備の同電位化は困難で種々の被害が発生
していた。
【0004】そこで、上述した弊害を防止するため、特
開昭57−149713号公報や特開平 3−86017号公報に提案
したものがある。その提案した耐雷対策は、負荷設備に
接続する入力電源線路中に入力巻線と出力巻線との間に
中間静電遮蔽板を有し、さらにこの中間静電遮蔽板と入
力巻線の間に入力巻線を包むように且つ入力巻線と中間
静電遮蔽板の各々に絶縁した静電遮蔽板を有する耐雷変
圧器を設け、この耐雷変圧器の入力巻線側の静電遮蔽
板、中間静電遮蔽板および負荷設備の接地をそれぞれ別
個に接地した構成(特開昭57−149713号公報参照)、あ
るいはこの構成にさらに前記中間静電遮蔽板と出力巻線
の間に出力巻線を包むように且つ出力巻線と中間静電遮
蔽板の各々に絶縁した静電遮蔽板を設け、この出力巻線
側の静電遮蔽板の接地を入力巻線側の静電遮蔽板、中間
静電遮蔽板および負荷設備の接地とは別個にあるいは負
荷設備の接地と連接した構成(特開昭57−149713号公
報、特開平 3− 86017号公報参照)の耐雷方法である。
【0005】上記前者の入力巻線側の静電遮蔽板と中間
静電遮蔽板を有する構成の耐雷方法は、負荷設備のアン
テナあるいは主接地よりサージが侵入する確率が小さい
場合に適用されるもので、入力電源線側から侵入してく
る雷サージに対しては、入力巻線側に静電遮蔽板を設け
ているので負荷側への移行が大きく減衰され負荷設備の
保護が図られる。
【0006】そしてさらに、上記後者の構成の耐雷方法
では、上記前者の構成に加えて出力巻線側にも静電遮蔽
板を設け、その接地を他の静電遮蔽板の接地とは別個、
あるいは特開平 3− 86017号公報に記載されているよう
に負荷設備の主接地に接続しているので、出力巻線から
負荷設備までの回路をその電位にあわせた局部同電位化
に形成でき、耐雷変圧器によって外部に出ていく入力電
源線とは完全な絶縁化が図られ、また静電遮蔽板の作用
でサージの移行に伴う障害をも防止でき、優れた耐雷方
法が確立でき、これが広く採用され出し卓越した効果を
挙げてきた。
【0007】上記耐雷方法においては、無線中継所のア
ンテナ鉄塔に雷の直撃があった場合に半導体機器を含む
所内の設備ならびにそこに電力を供給する配電線をも保
護し得るために必須とする条件がある。すなわち、一般
に耐雷変圧器は所内またはその近くの屋外に設置される
のが通例で、その設置場所の近くに設ける中間静電遮蔽
板の接地位置と主接地との距離は近いので中間静電遮蔽
板の接地は出力巻線側の静電遮蔽板の接地と同様に主接
地と共用することができ、このための増設接地工事は省
略することができるが、卓越した耐雷効果を得るために
は、入力巻線側の静電遮蔽板の接地は主接地極とは数〜
30m程度離隔する必要がありこのための増設接地工事が
必要となっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記耐雷方
法は、全ての半導体応用システムに応用できるが、上述
したように入力巻線側の静電遮蔽板の接地は、負荷設備
の主接地とは別個の接地極を設けて接地しなければなら
ないため、特に山頂に設置された既設の無線中継所、送
電線用航空標識灯などは勿論のこと、昨今、急速に多数
箇所に設置されようとする山頂、または平地における移
動無線中継所等では、その立地条件、借地権等の問題で
限られた敷地面積となることが多いこと、また山頂では
地表近くまで岩盤層であったり、平地であっても道路の
舗装や、水道、ガス等の地下構造物が多いことに加え
て、借地権等の問題も絡むことから、負荷設備の主接地
極の他に独立した別個の接地極を設けることが極めて困
難な場合が多くなってきた。
【0009】そこで、本発明は、上記の事情に着目して
なされたものであって、その目的は、入力巻線側ならび
に出力巻線側の静電遮蔽板の接地極を増設工事すること
なく上記耐雷変圧器による卓越した効果を享受し得る
他、上記耐雷変圧器による耐雷効果よりも更に1段向上
させノイズ領域での障害さえをも防止し得る耐雷方法を
提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係る請求項1記載の発明は、負荷設備に
接続する入力電源線と負荷設備の間に入力巻線と出力巻
線の各々に互いに絶縁され独立した静電遮蔽板を有する
耐雷変圧器を設け、この耐雷変圧器の出力巻線側の静電
遮蔽板を負荷設備の主接地に接続する一方、入力巻線側
の静電遮蔽板を入力電源線のゼロ電位線に接続したもの
である。
【0011】そして、本発明に係る請求項2記載の発明
は、負荷設備に接続する入力電源線と負荷設備の間に入
力巻線と出力巻線の各々に互いに絶縁され独立した静電
遮蔽板を有する耐雷変圧器を設け、この耐雷変圧器の出
力巻線側の静電遮蔽板を負荷設備の主接地に接続する一
方、入力巻線側の静電遮蔽板を入力電源線の内のいずれ
かの一線に接続するとともに、入力電源線に線間避雷器
を設けてなるものである。
【0012】また、本発明に係る請求項3記載の発明
は、上記請求項1または2記載の耐雷変圧器による耐雷
方法において、入力巻線と出力巻線の各々の静電遮蔽板
の間に相互に絶縁された中間静電遮蔽板を設け、この中
間静電遮蔽板を、出力巻線側の静電遮蔽板あるいは直接
負荷設備の主接地に接続してなるものである。
【0013】
【作用】本発明は、入力巻線と出力巻線との間に少なく
ともこれら巻線各々に互いに絶縁され独立した静電遮蔽
板を有する耐雷変圧器を使用し、前記複数の静電遮蔽板
の内、入力巻線側の静電遮蔽板を入力電源線の内のいず
れかの一線に接続することを基本とするもので、これに
より入力巻線側の静電遮蔽板の接地を独立の接地極へ接
続したと同様の働きをさせ得るものである。すなわち、
一般に特殊な場合を除き無線中継所の場合、責任分界点
である引込柱あるいは1つ手前の電柱まで高圧で電力が
送られて来てそこに設置された柱上変圧器によって低圧
に変換されて電力が供給されている。通常、柱上変圧器
は第2種接地がなされており入力電源線の内のいずれか
の一線はゼロ電位の線である。そこで、この線に直接あ
るいは他の線との間に避雷器を介在させ間接的に入力巻
線側の静電遮蔽板を接続することで、入力巻線側の静電
遮蔽板を独立の接地極へ接続したと同様の働きをさせる
ことができ、入力巻線側の静電遮蔽板の接地極を増設工
事することなく、上記耐雷変圧器による卓越した効果に
より負荷設備は元より配電線側をも含めた雷による被害
を防止することができる。
【0014】雷の大地電流は遠方になれば小さくはなる
が、比較的地中の浅いところを通って数kmにわたった
地表から雷撃点に向かって流れ込んでくる。従ってゼロ
電位点はその先であることから考えて無線中継所の敷地
一杯に設置されたメッシュ設置と数十m以内の間隔で設
置される柱上変圧器の第2種接地との間の電位差は通常
想定されているほど大きな値とはならないので、この第
2種接地されたゼロ電位の線に入力巻線側の静電遮蔽板
を直接あるいは避雷器を介在させて間接的に接続して
も、この入力巻線側の静電遮蔽板と中継所の主接地に接
続された他の静電遮蔽板との間の絶縁強度は実用可能な
有限値であり、充分入力巻線側の静電遮蔽板の接地極の
代用として使用し得る。
【0015】なお、入力巻線と出力側線の静電遮蔽板の
間に中間静電遮蔽板を設け、その中間静電遮蔽板の接地
を出力巻線側の静電遮蔽板の接地と共用することによっ
て、より効果的な耐雷効果を得ることができる。
【0016】本発明に適用される耐雷変圧器は、上述し
た従来技術によるものと同一構造のものでも適用可能で
あり、本発明の耐雷方法に最も適するように改良するこ
とができるが基本的には同一機能を持ったものである。
本発明による増設接地工事を必要としない重要な特長の
他に遙かに優れた耐雷効果をもたらす理由は次の点にあ
る。
【0017】配電線の柱上変圧器の低圧巻線から耐雷変
圧器の入力巻線、その静電遮蔽板に到るまでの間で、従
来の方法では入力巻線側の静電遮蔽板の接地点と柱上変
圧器における第2種接地点とは位置が異なり、その間の
電位差により耐雷変圧器の対地避雷器と第2種接地点間
に電位差があり、これらの間に雷の大地電流の分流が流
れ込み種々のトラブルを発生する可能性があった。本発
明においては柱上変圧器の外凾、低圧巻線から耐雷変圧
器の入力巻線ならびにその静電遮蔽板に到るまで、第2
種接地点における電位での同電位、一点接地が達成され
る利点がある。
【0018】外見上は些細な相違であるのに較べ、大き
な耐雷効果とノイズ障害防止効果にまで期待の持てるま
でに到ったのは、特開昭57−149713号公報に提案の発明
から本発明に到るまでの耐雷手法に対する思想の本質に
ついての向上に所以する。すなわち、特開昭57−149713
号公報の発明を提案した頃は雷サージは電源から入って
くるものを主点とし、雷サージの負荷側への移行率を多
層シールドによる指数関数的に激減できることを主眼と
している。その後、雷の直撃を受ける確率が高い無線中
継所においても被害の絶無を目指し特開平 3− 86017号
公報に明示しているように耐雷変圧器の出力巻線から負
荷設備までを極小容積化したファラデーケージで包み込
む局部同電位化方式にまで発展させ、これにより、特に
年に10回程度雷の直撃を受ける冬季雷地域の多数の無線
中継所、ならびにそれに供給する配電線の雷被害を絶無
にしている卓越した効果がある。そして、近年情報化社
会の急速な発展でサージに極めて弱い半導体が多く使わ
れ出したことと、必須条件として少なくも1箇所の増設
接地を要した欠点をなくすため、本発明は次のような耐
雷思想に発展させその耐雷思想を完すべくつくり上げた
もので、本発明に係る請求項1または2記載の発明でも
凡その役目を果たすが請求項3記載の発明は理想に近い
目的を達成し得るものである。
【0019】金属で覆われたファラデーケージはいくら
高電位になっても内部の電界強度はゼロである。しかし
このことが言えるのは金属が全部均一な高電位化された
後のことで、それまでは内部に急峻な強い電界が生じて
いる。理想としてはケージ自体に電流が流れないことが
必要である。また、この高電位になったファラデーケー
ジから外部に出入りする線路があれば、ここから電流が
流れ出してファラデーケージの効果をなくしてしまう。
これを防止するためにはこの外部に通じる線路をファラ
デーケージ内部の電気系統と絶縁化する必要がある。
【0020】本発明は上記の2つの条件を全うすべくな
されたものである。初めの条件を満たすため、負荷設備
の主接地点の電位に固定したファラデーケージの多層化
を計るとともに、後の条件を満たすためには柱上変圧器
の第2種接地点の電位に固定した外部につながる別個の
ファラデーケージを構成させ、その両ファラデーケージ
を耐雷変圧器によって絶縁化せしめるものである。
【0021】図1は上記作用の概要を図解したものであ
る。1は建造物の鉄骨により構成された第1のファラデ
ーケージで、雷電流の通路距離の相違等により特に波頭
部ではこのファラデーケージの各部は同電位でない。
【0022】2は中間静電遮蔽板7と主接地8に到る第
2のファラデーケージで、細線で示すように包むために
はシース付ケーブル配線を収納する金属管、ダクト、遮
蔽室等によるが通常この細線部分に到るまでの対策をす
る必要はない場合が多い。
【0023】3は最終である第3のファラデーケージ
で、耐雷変圧器9の出力巻線側静電遮蔽板10、金属管、
ダクト、負荷設備の外凾により構成されたものであり、
4で示した耐雷変圧器9の出力巻線から負荷設備までの
電気回路、ならびにそこに到る屋内配線までを最小容積
で包んだ局部同電位化が達成される。なお、図示省略す
る負荷設備は内部で電源変圧器が使用されることが多
く、その入力端子のところ11でその1線を主接地8に接
続して耐雷変圧器9の出力巻線に到るまで全て主接地8
の電位で安定せしめる。
【0024】6は耐雷変圧器9の入力巻線、低圧引込
線、柱上変圧器12の低圧巻線に到るまでの回路を示した
もので、これを包むように柱上変圧器12の外凾13、なら
びに必要によってはシース付ケーブルを架空線にした引
込線と、耐雷変圧器9の入力巻線側静電遮蔽板14により
構成されるファラデーケージ5を電源の電気回路6と共
に第2種接地15によりその位置の大地の電位に固定した
1点接地を形成せしめる。
【0025】このように負荷設備の主接地8の電位にし
た負荷設備の電気回路4およびこれを取り囲むファラデ
ーケージ群1,2,3と、第2種接地点15の電位に固定
された入力電源回路6とそれを囲むファラデーケージ5
の二つの群に分離され、その間を耐雷変圧器9における
中間静電遮蔽板7と入力巻線側静電遮蔽板14間の絶縁物
により雷電流の通路を遮断させる。但し、その間の静電
容量により主として峻度の高い波頭部では16で示したよ
うな電流が流れるがこれは入力巻線側の静電遮蔽板14を
経て入力電源線のゼロ電位線、ならびにケーブルシース
を通り第2種接地点15を通って大地に放流されるので無
害である。このように第2のファラデーケージ2に波頭
部のみであり、且つ非常に小さくなった電流16が流れる
ことにより内部の同電位は僅か崩れ、従って第3のファ
ラデーケージ3に微小な電流が流れる。これによりノイ
ズ程度の電流が負荷回路から第3のファラデーケージ3
に流れることがあるが、負荷設備の電源入力端子のとこ
ろ11で1線接地があり、その大部分は主接地から屋内配
線を経て供給されるため半導体回路に流れる電流は実用
上ゼロとなる。
【0026】負荷設備の電源入力端子のところ11で1線
接地しているのは、通常負荷設備の内部には変圧器が使
用されていることが多く、従って耐雷変圧器9の出力巻
線から負荷設備に到る屋内配線の電位が不定になること
を防ぎ主接地8の電位に固定させるためのものである。
【0027】ここで、完全に電気回路を囲むべく不用意
に長い距離のケーブルを使用するとファラデーケージ間
の静電容量を大きくする悪影響を及ぼすことがあり、強
いて細線で示したファラデーケージ部分は解放した方が
好結果となることが多い。また、雷サージが電源線側か
ら入ってきたときはその勢力は遙かに小さいばかりでな
く、入力巻線側静電遮蔽板14から遮蔽板間の静電容量を
通してそのまま主接地8に流れ出し完全に保護すること
ができる。
【0028】なお、上記図1は中間静電遮蔽板7を備え
る耐雷変圧器9を例に挙げて説明したが、中間静電遮蔽
板7を省略し第2のファラデーケージ2を省略したもの
であってもよく、この場合、ここに通る電流程度のもの
が負荷設備の電気回路4と出力巻線側静電遮蔽板10間に
流れることになるが、格別弱い半導体でなければ充分と
は言い難いがある程度の効果が期待できる。
【0029】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図2は、本発明に係る無線中継所等の耐雷装置の
概要を示す電気結線図である。21は耐雷変圧器、22は無
線中継所の負荷設備、23は避雷針、24は柱上変圧器を示
す。
【0030】耐雷変圧器21は、入力巻線25と出力巻線26
のそれぞれに静電遮蔽板27,28を備えると共に入力巻線
25の線間に避雷器29が設けられ、負荷設備22に隣接させ
て無線中継所内に設備されている。そして、入力巻線25
には柱上変圧器24からの外部電源線30が接続され、また
出力巻線26には負荷設備22が接続されている。
【0031】また、静電遮蔽板27は、柱上変圧器24にお
いて第2種接地31されたゼロ電位の線30a に接続されて
いる。また静電遮蔽板28は、負荷設備22、出力巻線26と
共に主接地32に接続されている。
【0032】避雷針23は、無線中継所の建造物の鉄骨を
含め主接地32に接続され、雷撃の際に避雷針23ならびに
建造物の鉄骨を含めファラデーケージ33を形成するよう
に構成されている。
【0033】なお、図において、符号34は架空地線、35
は柱上変圧器24の高圧側に設けられた避雷器36の接地を
示す。
【0034】次に、上記構成において、避雷針23に雷の
直撃を受けた場合と電源側から雷サージが侵入した場合
のそれぞれを例に説明する。
【0035】避雷針23に雷の直撃を受けた場合、図3に
示すように雷の直撃電流X1はアンテナ鉄塔、建造物の鉄
骨を通って主接地32より大地に流れ去る。しかし、波頭
部では主接地32と第2種接地31の両地点の電位差によっ
て27, 28の両静電遮蔽板間の静電容量を通して破線X2の
電流が流れる。これが引込み電源のゼロ電位線30a を通
って第2種接地31より大地に流れる電流X3と架空地線34
に流れる電流X4とに分流される。避雷器36の接地点35か
らは雷電流によるその点の上昇した電位によって、避雷
器36を逆放電して高圧配電線の方にX5で示す電流が流れ
出すが、これは雷の主電流の極く僅かな分流成分である
ので被害を受けることはない。
【0036】静電遮蔽板27, 28の両接地板の間の絶縁強
度は、第2種接地31、主接地32の両接地点間の電位差に
充分耐えるように設計されているので、破線で示したX
2, X3, X4の電流は無くなってしまう。しかし第2種接
地31の大地の電位は高いので実線X6で示す雷電流の分流
成分は架空地線34に流れる。
【0037】図4は、電源側から雷サージが侵入した場
合を示すもので、この場合、従来の接地方式とは相違す
るもののほぼ同様の働きが得られ、これにより、電位変
化の急峻な波頭部の電流のみが破線矢印で示すように流
れ負荷設備22とは全く関係のないところを通るので、無
線中継所の負荷設備22が損傷を受けることはない。
【0038】なお、上記実施例は、入力巻線25と出力巻
線26のそれぞれに静電遮蔽板27,28を備える耐雷変圧器
21を例に説明したが、図5に示すように静電遮蔽板27と
28の間に中間静電遮蔽板37を設けた構成としてもよい。
この場合には静電遮蔽板27と28の間の絶縁強度がさらに
高まり、避雷針23に雷の直撃を受けた場合には、前記図
1を基に段落番号〔0025〕に説明したと同じ作用に
より、主として峻度の高い波頭部の電流のみが流れるが
これは入力巻線25側の静電遮蔽板27を経て入力電源線30
のゼロ電位線30a を通り第2種接地点31を通って大地に
放流されるので無害である。また、電源側から雷サージ
が侵入した場合は、上記図4を基に段落番号〔003
7〕に説明したと同様に、電位変化の急峻な波頭部の電
流のみが負荷設備22とは全く関係のないところを通り、
しかもそのエネルギーは上記実施例の場合に比較して1
乃至2桁も小さいので、無線中継所の負荷設備22が損傷
を受けることはまずない。
【0039】また、上記実施例は、単相2線式の場合で
あって、予め第2種接地31がなされ電位がゼロである線
が確認されている場合を例としたが、電位ゼロの確認の
有無に関係なく線30a, 30b間に避雷器(図示せず)を設
け、線30a または30b のいずれか一方の線に入力巻線25
の静電遮蔽板27を接続しても、上記実施例と同様の作用
効果を奏し無線中継所の負荷設備22の損傷を防止するこ
とができる。
【0040】また、単相3線式や3相3線式等の場合に
おいても、第2種接地されたゼロ電位線に入力巻線25の
静電遮蔽板27を接続することで、あるいは電源入力線の
選別をせずそのいずれか1本の線に入力巻線25の静電遮
蔽板27を接続する場合には、各線間に避雷器を設けるこ
とで、上記実施例と同様の作用効果を奏し無線中継所の
負荷設備22の損傷を防止することができる。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る耐雷
変圧器による耐雷方法によれば、入力巻線側の静電遮蔽
板の接地極を増設工事することなく、入力巻線と出力巻
線との間に少なくともこれら巻線各々に互いに絶縁され
独立した静電遮蔽板を有する耐雷変圧器を使用して、半
導体を含む各種の情報化システムの負荷設備の雷撃に対
する損傷を防止することができる。
【0042】そして特に、敷地面積が狭く、また山頂等
で耐雷対策のための増設接地工事の施行が困難であり、
且つ、雷撃を受ける確率の高い各種無線中継所、送電線
用航空標識灯等の施設に適用することにより、これら施
設の半導体を含む各種の情報化システムの負荷設備を経
済的に且つ効果的に雷撃から保護し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る作用の概要を図解した説明図であ
る。
【図2】本発明に係る無線中継所等の耐雷装置の概要を
示す電気結線図である。
【図3】図2において避雷針に雷の直撃を受けた場合の
雷サージ電流の流れを示す説明図である。
【図4】図2において入力電源側から侵入した場合の雷
サージ電流の流れを示す説明図である。
【図5】本発明の別の実施例に係る無線中継所等の耐雷
装置の概要を示す電気結線図である。
【符号の説明】
1:第1のファラデーケージ 2:第2のファラ
デーケージ 3:第3のファラデーケージ 4:電気回路 5:ファラデーケージ 6:電気回路 7:中間静電遮蔽板 8, 32:主接地 9, 21:耐雷変圧器 10, 28:出力巻線
側静電遮蔽板 11:入力端子の接点 12:柱上変圧器 13:柱上変圧器の外凾 14, 27:入力巻線
側静電遮蔽板 15, 31:第2種接地 16:波頭部のみ非
常に小さくなった電流 22:無線中継所の負荷設備 23:避雷針 24:柱上変圧器 25:入力巻線 26:出力巻線 29:避雷器 30, 30a, 30b:外部電源線 33:ファラデーケ
ージ X1:雷の直撃電流 X2〜X6:雷のサー
ジ電流の流れ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 負荷設備に接続する入力電源線と負荷設
    備の間に入力巻線と出力巻線の各々に互いに絶縁され独
    立した静電遮蔽板を有する耐雷変圧器を設け、この耐雷
    変圧器の出力巻線側の静電遮蔽板を負荷設備の主接地に
    接続する一方、入力巻線側の静電遮蔽板を入力電源線の
    ゼロ電位線に接続したことを特徴とする耐雷変圧器によ
    る耐雷方法。
  2. 【請求項2】 負荷設備に接続する入力電源線と負荷設
    備の間に入力巻線と出力巻線の各々に互いに絶縁され独
    立した静電遮蔽板を有する耐雷変圧器を設け、この耐雷
    変圧器の出力巻線側の静電遮蔽板を負荷設備の主接地に
    接続する一方、入力巻線側の静電遮蔽板を入力電源線の
    内のいずれかの一線に接続するとともに、入力電源線に
    線間避雷器を設けてなる耐雷変圧器による耐雷方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の耐雷変圧器によ
    る耐雷方法において、入力巻線と出力巻線の各々の静電
    遮蔽板の間に相互に絶縁された中間静電遮蔽板を設け、
    この中間静電遮蔽板を、出力巻線側の静電遮蔽板あるい
    は直接負荷設備の主接地に接続してなる耐雷変圧器によ
    る耐雷方法。
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