JPH08304397A - 病原体感染の検出方法 - Google Patents

病原体感染の検出方法

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JPH08304397A
JPH08304397A JP13844695A JP13844695A JPH08304397A JP H08304397 A JPH08304397 A JP H08304397A JP 13844695 A JP13844695 A JP 13844695A JP 13844695 A JP13844695 A JP 13844695A JP H08304397 A JPH08304397 A JP H08304397A
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antibody
antigen
immune complex
solid phase
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JP13844695A
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Eiji Ishikawa
榮治 石川
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Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
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Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 病原体感染の診断において、抗体が形成され
るより早い時期から且つ抗体形成後も常に確実な診断を
するためのイムノアッセイを提供する。 【構成】 病原体の少なくとも一つの抗原および同じ病
原体の異なる抗原に対する少なくとも一つの抗体をイム
ノアッセイ法にて同時に測定することによって病原体感
染を検出する方法において、測定すべき物質を含む免疫
複合体をいったん第1の固相上に形成させた後、この免
疫複合体を特異的に第2の固相上へ転移させ、その固相
上で測定すべき物質量の測定を行う。 【効果】 既存の抗体測定キットに比べて約2週間早期
に検出ができ、さらに既存の抗原測定キットのように感
染後日数の経過に伴い測定値が低下するような現象が起
きず常時高い信号値が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、免疫複合体転移法を用
いて特定の病原体の抗原物質および病原体に対して感作
された抗体物質を同時に測定することにより、感染症の
診断を行うイムノアッセイ法に関する。また、ヒト免疫
不全ウイルス−1(HIV−1)のp24抗原、抗p1
7抗体および抗逆転写酵素(RT)抗体を同時測定する
ことによりHIV−1感染の診断を行うイムノアッセイ
法に関する。
【0002】
【従来の技術】抗原物質または抗体物質を測定し分析す
るための手法として、イムノアッセイ法は、簡便かつ特
異性が高いという利点を有する。とりわけ、免疫複合体
転移イムノアッセイ(以下、「免疫複合体転移法」とい
う。)は、サンドイッチ法の欠点であった固相への夾雑
蛋白の吸着ならびにそれに起因するバックグラウンド信
号の発生等を好適に抑制でき、被検体溶液中の抗原物質
または抗体物質を、高感度に測定しうる方法として知ら
れている。この免疫複合体転移法は、一対の固相を用い
てトラップ(捕捉)を例えば2回行うことを含むイムノ
アッセイである。次に、免疫複合体転移法により抗原物
質あるいは抗体物質を測定する場合の操作手順のそれぞ
れ1つのパターンを例として概略的に説明する。また、
以下、本明細書では説明のために、一対の固相のうち、
最初のトラップに用いる固相を第1固相、次のトラップ
に用いる固相を第2固相という。
【0003】(1)抗原物質測定の場合(図1) 測定対象となる抗原(図1の参照番号11、以下同
様)に、2種類の異なる官能基で修飾した特異的抗体
(12)と標識された特異的抗体(13)とを反応さ
せ、三者よりなる免疫複合体を形成する。 上記複合体を、抗体12の一方の官能基に対する受
容体を不溶化した第1固相(14)にトラップする。免
疫複合体は、被検体溶液中で完成した後にトラップして
も、始めに抗体12を固相14上にトラップしておき、
その一端に対して完成するものであってもよい。 固相14を洗浄後、免疫複合体を転移させるための
転移反応溶液中で、第1固相から免疫複合体を遊離させ
る。 免疫複合体を抗体12の異なる官能基に対する受容
体を不溶化した第2固相(15)にトラップする。 固相15を洗浄後、免疫複合体の測定対象となる抗
原を、で導入した標識を利用して検出定量する。
【0004】(2)抗体物質測定の場合(図2) 測定対象となる抗体(図2の参照番号21、以下同
様)に、官能基で修飾した特異的抗原(22)と標識さ
れた特異的抗原(23)とを反応させ、三者よりなる免
疫複合体を形成する。 上記複合体を、抗原22の官能基に対する受容体を
不溶化した第1固相(24)にトラップする。免疫複合
体は、被検体溶液中で完成した後にトラップしても、始
めに抗原22を固相24上にトラップしておき、その一
端に対して完成するものであってもよい。 固相24を洗浄後、免疫複合体を転移させるための
転移反応溶液中で、第1固相から免疫複合体を遊離させ
る。 免疫複合体を、前記官能基とは異なる抗体21中の
部位に対して特異的に反応する成分を不溶化した第2固
相(25)にトラップする。 固相25を洗浄後、免疫複合体の測定対象となる抗
体を、で導入した標識を利用して検出定量する。
【0005】免疫複合体転移法に関するさらに詳しい説
明、実例については以下の文献に詳細に記載されてい
る。 (1)ISHIKAWA,E., HASHIDA,S., KOHNO,T., (1991): D
evelopment of ultrasensitive enzyme immunoassay re
viewed with emphasis on factors which limitthe sen
sitivity. MOLECULAR AND CELLULAR PROBES, 5, 81-95 (2)ISHIKAWA,E., HASHIDA,S., KOHNO,T.,et al. (19
93): Principle and applications of ultrasensitive
enzyme immunoassay (Immune complex transferenzyme
immunoassay) for antibodies in body fluids. J. CLI
N. LABORATORY ANALYSIS, 7, 376-393. (3)特開平1−254868号 「超高感度抗原物質
の測定法」 (4)特開平2−28558号 「超高感度特異的抗
体の測定法」 (5)石川榮治著(1993) 「超高感度酵素免疫
測定法」(学会出版センター)
【0006】上記のように免疫複合体転移法は、抗原あ
るいは抗体いずれの測定においても従来の技術に比較し
て高感度に検出可能であり、それゆえ感染症の診断にお
いてより早期かつ高精度に感染の判定が可能である。例
えば、抗原の検出に関しては、免疫複合体転移法による
ヒト免疫不全ウィルス−1(HIV−1)のp24抗原
の検出に関する報告〔橋田ら、ジャーナル・オブ・クリ
ニカル・マイクロバイオロジー(J.Clin. Mi
crobiol.)、第33巻、第298頁(199
5)〕、抗体の検出に関しては、同じくHIV−1のp
17、p24および逆転写酵素に対する抗体の検出に関
する報告〔橋田ら、ジャーナル・オブ・クリニカル・ラ
ボラトリー・アナリシス(J.Clin.Lab.An
al)、第8巻、第237頁(1994)〕などがあ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】一般に、感染症の免疫
学的診断における病原体抗原自身を測定する方法と病原
体に対して形成された抗体を測定する方法は、それぞれ
特徴を有しているものであり、いずれが好ましいかは検
出すべき病原体の種類や検査の目的などによっていずれ
か一方が選択される。ただし、感染の検出という観点か
ら考えれば、抗体検査の場合、抗体は感染後一定期間以
上経たないと形成されてこないので、感染初期において
は、いかなる高感度測定法を用いても検出は難しいとい
う欠点を持っている。一方、抗原検査の場合も、その病
原体が生体内で活発に増殖している時期でないと検出さ
れにくいという欠点を持っており、特にヒト免疫不全ウ
ィルスに代表されるように感染後しばらくすると病原体
自身が潜在化し無症候化するような場合、その期間の生
体液中の抗原検出は、従来のどのような免疫測定法を用
いても難しい。
【0008】従って、感染後どの時期においてもより正
確に感染の検出を行うためには、高感度の測定方法を用
いて抗原と抗体の双方を測定することが重要であるが、
既存の技術では、異なる2種類のアッセイを行わなけれ
ばならず、操作の手間、時間、費用、器具などの問題に
より実際には、いずれか一方の測定しか行われていな
い。それゆえ、一回の操作で抗原と抗体を高感度に同時
検出し得る測定の開発が望まれていたのである。本発明
の目的は、感染症の診断においていずれの時期の被検体
においても確実に感染の判定をし得るような、免疫複合
体転移法の原理に基づく高感度な抗原と抗体の同時測定
の系を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、 [1]「病原体の少なくとも一つの抗原」および「同じ
病原体の異なる抗原に対する少なくとも一つの抗体」を
同時に測定することによって病原体感染を検出する方法
であって、下記の工程(A)、(B)、(C)および
(D)からなる、上記方法。 工程(A):被検液に下記成分(1)、(2)、(3)
および(4)を各々少なくとも一つ加えて、測定すべき
抗原を含む免疫複合体および/または測定すべき抗体を
含む免疫複合体を形成せしめる工程。 (1)官能基で修飾された、病原体の測定すべき抗原に
対して特異的に結合する成分 (2)標識された、測定すべき抗原に対して特異的に結
合する成分 (3)官能基で修飾された、同じ病原体であるが(1)
の測定すべき抗原とは異なる抗原に対する測定すべき抗
体に対して特異的に結合する成分 (4)標識された、測定すべき抗体に対して特異的に結
合する成分 工程(B):工程(A)で形成された免疫複合体を、
(1)および(3)における官能基に対して特異的に反
応する成分を不溶化した第1固相上に捕捉する工程。 工程(C):免疫複合体を上記固相から遊離させ、前記
官能基とは異なる免疫複合体中の部位に対して特異的に
反応する成分を不溶化した第2固相に免疫複合体を捕捉
する工程。 工程(D):第2固相上に捕捉された免疫複合体を測定
する工程。 [2]工程(A)と工程(B)を同時に行うことを特徴
とする上記[1]記載の方法。 [3]病原体がヒト免疫不全ウイルス−1(HIV−
1)である上記[1]または[2]記載の方法。 [4]測定すべき抗原がp24であり、測定すべき抗体
が抗逆転写酵素(RT)抗体および抗p17抗体である
ことを特徴とする上記[3]記載の方法。 に関する。本発明の方法の概略は、図3に示されるもの
であり、図1の測定法と図2の測定法を組み合わせたも
のである。
【0010】以下、本発明について工程順に説明する。工程(A)について 被検液としては、例えば、血清、血漿、唾液、尿、髄液
等の生体液および緩衝液が挙げられる。測定すべき病原
体としては、細菌、ウィルス、真菌、リケッチア、クラ
ミジア、原虫などが挙げられる。例を挙げれば、結核
菌、淋菌、サルモネラ菌、肺炎球菌、肝炎ウィルス、免
疫不全ウィルス、T細胞白血病ウィルス、インフルエン
ザウィルス、マイコプラズマ、梅毒スピロヘータ、カン
ジダ菌などである。
【0011】ここで言う、病原体の測定すべき抗原に対
して特異的に結合する成分とは、通常はその抗原に対し
て作製された抗体が用いられるが、2者のうちの一方
は、例えば抗原と特異的に結合するレクチンや受容体な
どでもよい。抗体は、完全な抗体の代わりにFab、F
ab’またはF(ab’)2 のようなフラグメントを用
いてもよく、ポリクローナルでもモノクローナルでもよ
い。また、測定すべき抗体に対して特異的に結合する成
分とは、通常はその抗原成分が用いられるが、2者のう
ちの一方は、例えば、抗抗体などでもよい。この場合各
成分の選択には、試薬として用いられる、測定すべき抗
原に対して特異的に結合する成分と測定すべき抗体に対
して特異的に結合する成分とがそれ自身が反応しないこ
とが最も重要である。測定する抗原あるいは抗体の選択
は特に規定されないが、感染をより確実に判定するとい
う目的においては、感染後できるだけ早期に発現する成
分あるいは高い濃度で維持される成分などが選択される
ことが好ましい。ここでいう官能基としては、ジニトロ
フェニル基またはトリニトロフェニル基等のハプテンあ
るいはビオチン等が挙げられる。抗原を測定するための
成分に導入される官能基と抗体を測定するための成分に
導入される官能基は、同一でも異なっていてもかまわな
いが、特に差し障りがなければ、同一である方が工程
(B)の第1固相の作製上好ましい。
【0012】工程(B)について 工程(A)の官能基と特異的に結合する成分としては、
例えば、官能基がハプテンであれば抗ハプテン抗体が、
ビオチンであれば(ストレプト)アビジンが挙げられ
る。ただし、官能基と特異的成分の結合は、工程(C)
において解離しやすい組合せが好ましい。工程(A)で
抗原を測定するための成分に導入される官能基と抗体を
測定するための成分に導入される官能基が異なる場合
は、それぞれの官能基と特異的に結合する2種類の成分
が不溶化されている必要がある。固相としては、従来の
免疫学的測定法において使用されているもの全てを使用
しうる。例えば、ポリスチレン、ポリアクリル、ガラ
ス、アガロース等が挙げられる。また、形状はどのよう
なものであってもよい。固相上への上記成分の不溶化法
も、従来の免疫学的測定法に用いられるいかなる方法で
もよい。固相上に免疫複合体を捕捉後、工程(C)に移
行する前に固相を洗浄することが好ましい。洗浄方法
は、通常の免疫学的測定法で用いられる方法で行われ
る。工程(A)、(B)における固相上への免疫複合体
の捕捉は、免疫複合体が被検体溶液中で完成した後に固
相へ捕捉しても、始めに官能基を有する成分を固相上に
捕捉しておき、その一端に対して完成するものであって
もよい。また、工程(A)、(B)を同時に行ってもよ
い。
【0013】工程(C)について 免疫複合体の解離は、複合体を分解させずに行うことが
好ましく、例えば、免疫複合体と固相上の成分との結合
に関与する官能基と同一部位あるいは類似構造を有する
物質を大過剰に加えることで達成される。免疫複合体の
第2固相への結合は、固相上に不溶化された、複合体中
の前記官能基とは異なる部位に対して特異的に反応する
成分を介して行われる。必要であれば、あらかじめ工程
(A)で用いられる成分の一つに第2固相への捕捉のた
めの官能基を導入しておいてもよい。測定すべき抗原を
含む複合体と測定すべき抗体を含む複合体において異な
る部位が捕捉のために使用される場合は、それぞれの部
位に特異的な2種類の成分が不溶化されている必要があ
る。固相上に免疫複合体を捕捉後、工程(D)に移行す
る前に固相を洗浄することが好ましい。
【0014】工程(D)について 第2の固相上に捕捉された免疫複合体の測定を行うに
は、あらかじめ工程(A)で導入された標識を用いて行
われる。標識は、従来の免疫学的測定で用いられるも
の、例えば、酵素、蛍光物質、放射性物質等が挙げられ
る。抗原を測定する系で使用される標識と抗体を測定す
る系で使用される標識は、同一でも異なっていてもよい
が、いわゆる感染の有無を判定するという目的であれば
同一である方が操作上好ましい。また、上記工程(A)
〜(D)の反応は、通常の免疫学的測定に用いられる条
件下に行われる。
【0015】さらに本発明は、p24抗原、抗逆転写酵
素(RT)抗体および抗p17抗体を同時に測定するこ
とによってHIV−1感染を検出する方法であって、下
記の工程(A)、(B)および(C)からなる、上記方
法に関する。 工程(A):被検液に下記成分(1)、(2)、(3)
および(4)を共に加えて、p24抗原を含む免疫複合
体および/または抗逆転写酵素(RT)抗体を含む免疫
複合体および/または抗p17抗体を含む免疫複合体を
形成せしめる工程。 (1)官能基で修飾された、p24抗原に対して特異的
に結合する成分 (2)標識された、p24抗原に対して特異的に結合す
る成分 (3)官能基で修飾された、抗逆転写酵素(RT)抗体
に対して特異的に結合する成分および官能基で修飾され
た、抗p17抗体に対して特異的に結合する成分 (4)標識された、抗逆転写酵素(RT)抗体に対して
特異的に結合する成分および標識された、抗p17抗体
に対して特異的に結合する成分 工程(B):工程(A)で形成された免疫複合体を、
(1)および(3)における官能基に対して特異的に反
応する成分を不溶化した固相上に捕捉する工程。 工程(C):固相上に捕捉された免疫複合体を測定する
工程。 工程(A)、(B)における固相上への免疫複合体の捕
捉は、免疫複合体が被検体溶液中で完成した後に固相へ
捕捉しても、始めに官能基を有する成分を固相上に捕捉
しておき、その一端に対して完成するものであってもよ
い。また、工程(A)、(B)を同時に行ってもよい。
測定すべき抗原と抗体として、p24抗原、抗p17抗
体および抗RT抗体を選択した場合、免疫複合体転移法
を行わなくても転移をする前の段階である第1固相に捕
捉した状態で測定を行っても、感染を診断するに十分な
効果が得られる。
【0016】〔実施例〕以下、本発明の有用性を説明す
るために、実施例として免疫複合体転移法により、ヒト
免疫不全ウィルス−1(HIV−1)感染者の陽性転換
血清パネルにおけるHIV−1抗原および抗HIV−1
抗体同時測定の例を示すが、もとより本発明はこれに限
られるものではない。
【0017】実験例1 本実験では、免疫複合体転移法によりHIV−1のp2
4抗原および抗p17抗体、抗RT抗体の同時検出を行
った。各物質の精製・調製の詳細、および実験手順の詳
細は次の通りである。 〔各緩衝液〕 緩衝液A:0.1Mリン酸ナトリウム、pH7.0 緩衝液B:0.1Mリン酸ナトリウム、pH6.0、5
mMエチレンジアミン四酢酸 緩衝液C:0.01Mリン酸ナトリウム、pH7.0、
0.1g/Lウシ血清アルブミン(フラクションV、イ
ンターゲン、ニューヨーク)、1mM塩化マグネシウ
ム、1g/Lアジ化ナトリウム
【0018】〔遺伝子組み換えHIV−1抗原〕遺伝子
組み換えp17(rp17)、遺伝子組み換えp24
(rp24)および遺伝子組み換え逆転写酵素(rR
T)は、これら蛋白質をコードするcDNAを含む発現
プラスミドを大腸菌に組み込んで発現させた後、塩析や
カラムクロマトグラフィー法にて精製を行うことにより
調製した。各蛋白質の調製法は、rp17に関しては、
〔斉藤ら、マイクロバイオロジー・アンド・イムノロジ
ー(Microbiol.& Immunol.)、第
36巻、第105頁(1992)〕および〔橋田ら、ジ
ャーナル・オブ・クリニカル・ラボラトリー・アナリシ
ス(J.Clin.Lab.Anal.)、第7巻、第
353頁(1993)〕に、rp24に関しては、〔田
中ら、マイクロバイオロジー・アンド・イムノロジー
(Microbiol.& Immunol.)、第3
6巻、第823頁(1992)〕に、rRTに関して
は、〔斉藤ら、マイクロバイオロジー・アンド・イムノ
ロジー(Microbiol.& Immuno
l.)、第34巻、第509頁(1990)〕に記載の
公知の方法に従った。
【0019】〔ウサギ抗rp24抗血清の作製〕rp2
4を0.2mg含む生理食塩水0.5mlをフロイント
の完全アジュバンド0.5mlに懸濁し、雌のウサギ
(ニュー・ジーランド・アルビノ・ラビット)の皮内に
注射した。その後、3週間間隔で3回、rp24を0.
2mg含む生理食塩水0.5mlをフロイントの不完全
アジュバンド0.5mlに懸濁したものを、同様に注射
した。最後の注射から2週間目に採血を行い、抗rp2
4抗血清を得た。
【0020】〔抗体の精製〕ウサギ抗rp24抗血清お
よびウサギ抗2,4−ジニトロフェニル−ウシ血清アル
ブミン抗血清(シバヤギ、群馬)より塩析とイオン交換
クロマトグラフィーを用いる公知の方法〔石川ら、ジャ
ーナル・オブ・イムノアッセイ(J.Immunoas
say)、第4巻、第209頁(1983)〕にて抗r
p24抗体および抗2,4−ジニトロフェニル−ウシ血
清アルブミン抗体をそれぞれ精製した。
【0021】〔チオール基導入蛋白質の調製〕蛋白質へ
のチオール基の導入は、蛋白質のアミノ基を介してN−
サクシニミジル−S−アセチルメルカプトアセテート
(ベーリンガー・マンハイム、ドイツ)を反応させる公
知の方法〔橋田ら、ジャーナル・オブ・クリニカル・ラ
ボラトリー・アナリシス(J.Clin.Lab.An
al.)、第8巻、第86頁(1994)〕にて行っ
た。
【0022】〔マレイミド基導入蛋白質の調製〕蛋白質
へのマレイミド基の導入は、蛋白質のアミノ基を介して
N−サクシニミジル−6−マレイミドヘキサノエート
(同仁化学研究所、熊本)を反応させる公知の方法〔橋
田ら、ジャーナル・オブ・クリニカル・ラボラトリー・
アナリシス、(前出)〕にて行った。
【0023】〔抗体のアフィニティー精製〕 (1)rp24−ウサギ非特異IgGの調製 チオール基を導入したrp24と、マレイミド基を導入
したウサギ非特異IgGとを反応させる方法にて調製し
た。IgG1分子あたりに結合したrp24の平均分子
数は、2.5分子であった。 (2)2,4−ジニトロフェニル−ウシ血清アルブミン
の調製 チオール基を導入したウシ血清アルブミンに、N−サク
シニミジル−6−マレイミドヘキサノエートを介してε
N−2,4−ジニトロフェニル−L−リジンを反応させ
る公知の方法〔橋田ら、ジャーナル・オブ・クリニカル
・ラボラトリー・アナリシス(前出)〕により2,4−
ジニトロフェニル−ウシ血清アルブミンを調製した。ウ
シ血清アルブミン1分子あたりに結合した2,4−ジニ
トロフェニル基の平均の数は6個であった。 (3)蛋白−セファローズ4Bの調製 ウサギ非特異IgG−rp24、2,4−ジニトロフェ
ニル−ウシ血清アルブミン、およびヒトIgG各々は、
ファルマシア(ウプサラ、スウェーデン)の手引書に従
ってCNBr−活性化セファローズ4Bに不溶化した。 (4)抗rp24抗体(F(ab’)2 )、抗2,4−
ジニトロフェニル−ウシ血清アルブミン抗体(IgG)
およびウサギ抗ヒトIgGγ鎖抗体(IgG)(医学生
物学研究所、名古屋)はそれぞれウサギ非特異IgG−
rp24、2,4−ジニトロフェニル−ウシ血清アルブ
ミンおよびヒトIgG不溶化セファローズ4Bカラムに
吸着後、pH2.5で溶出する公知の方法〔河野ら、ジ
ャーナル・オブ・バイオケミストリー(J.Bioch
em.)、第100巻、第1247頁(1986)〕、
〔橋田ら、アナリティカル・レターズ(Anal.Le
tt.)、第16巻、第31頁(1983)〕によりア
フィニティー精製した。
【0024】〔アフィニティー精製抗2,4−ジニトロ
フェニル基抗体不溶化ポリスチレンビーズの調製〕着色
ポリスチレンビーズ(直径3.2mm、イムノケミカ
ル、岡山)をアフィニティー精製ウサギ抗ジニトロフェ
ニル−ウシ血清アルブミン抗体0.1g/Lを含む緩衝
液A中に浸し4℃で一晩静置して物理的吸着により不溶
化した。
【0025】〔アフィニティー精製抗ヒトIgGγ鎖抗
体およびストレプトアビジン不溶化ポリスチレンビーズ
の調製〕 (1)ビオチニル−ウシ血清アルブミンの調製 マレイミド基を導入したウシ血清アルブミンにN−ビオ
チニル−2−メルカプトエチルアミンを反応させる公知
の方法〔河野ら、ジャーナル・オブ・クリニカル・ラボ
ラトリー・アナリシス(J.Clin.Lab.Ana
l.)、第2巻、第19頁(1988)〕にて、ビオチ
ニル−ウシ血清アルブミンを調製した。ウシ血清アルブ
ミン1分子あたりに導入されたビオチンの平均の数は1
3個であった。 (2)アフィニティー精製抗ヒトIgGγ鎖抗体および
ストレプトアビジン不溶化ポリスチレンビーズの調製 白色ポリスチレンビーズ(直径3.2mm、イムノケミ
カル、岡山)をアフィニティー精製抗ヒトIgGγ鎖抗
体0.1g/Lおよびビオチニル−ウシ血清アルブミン
0.01g/Lを同時に含む緩衝液A中に浸し4℃で一
晩静置して物理的吸着により不溶化した。続いて洗浄
後、ストレプトアビジン0.1g/Lを含む緩衝液Aと
反応させて調製した。
【0026】〔2,4−ジニトロフェニル−ビオチニル
−ウシ血清アルブミン−アフィニティー精製抗rp24
Fab’の調製〕 (1)メルカプトアセチル−2,4−ジニトロフェニル
−ウシ血清アルブミンの調製 2,4−ジニトロフェニル−ウシ血清アルブミンにN−
サクシニミジル−S−アセチルメルカプトアセテートを
反応させてチオール基を導入した。アルブミン1分子当
たりにたチオール基の平均の数は、5.2個であった。 (2)6−マレイミドヘキサノイル−ビオシチンの調製 ビオシチン(シグマ、ミズーリ州、米国)7.5μmo
lを含む緩衝液A0.45mlとN−サクシニミジル−
6−マレイミドヘキサノエート5μmolを含むN,N
−ジメチルホルムアミド0.05mlを混合し、30℃
で30分反応させて、6−マレイミドヘキサノイル−ビ
オシチンを調製した。 (3)2,4−ジニトロフェニル−ビオチニル−ウシ血
清アルブミンの調製 メルカプトアセチル−2,4−ジニトロフェニル−ウシ
血清アルブミン6.6mg(0.1μmol)を含む緩
衝液B0.1mlと(2)の6−マレイミドヘキサノイ
ル−ビオシチン溶液0.2ml(2μmol)を混合
し、30℃で30分反応させた。反応後、N−エチルマ
レイミド5μmolを含む緩衝液Bを0.05mlを添
加し、30℃で15分反応させた。その後、セファデッ
クスG−50(ファイン、ファルマシア)を用い、緩衝
液Aでゲル濾過精製を行った。アルブミン1分子あたり
導入されたビオシチン分子の平均の数は5.2個だっ
た。 (4)6−マレイミドヘキサノイル−2,4−ジニトロ
フェニル−ビオチニル−ウシ血清アルブミンの調製 2,4−ジニトロフェニル−ビオチニル−ウシ血清アル
ブミンにN−サクシニミジル−6−マレイミドヘキサノ
エートを用いてマレイミド基を導入した。アルブミン1
分子あたりに導入されたマレイミド基の平均の数は3.
9個だった。 (5)アフィニティー精製抗rp24Fab’の調製 アフィニティー精製抗rp24F(ab’)2 を2−メ
ルカプトエチルアミンで還元する公知の方法〔石川ら、
ジャーナル・オブ・イムノアッセイ(前出)〕にて抗r
p24Fab’を調製した。 (6)2,4−ジニトロフェニル−ビオチニル−ウシ血
清アルブミン−アフィニティー精製抗rp24Fab’
の調製 アフィニティー精製抗rp24Fab’0.61mg
(13nmol)を含む緩衝液B0.6mlと6−マレ
イミドヘキサノイル−2,4−ジニトロフェニル−ビオ
チニル−ウシ血清アルブミン0.17mg(2.6nm
ol)を含む緩衝液B0.1mlを混合し、4℃で20
時間反応させた。反応後、1μmolの2−メルカプト
エチルアミンを含む緩衝液Bを0.01ml添加し、3
0℃で15分反応させ、さらに2μmolのN−エチル
マレイミドを含む緩衝液Bを0.02ml添加し、30
℃で15分反応させた。続いて反応液をウルトロゲルA
cA34(IBF・バイオテクニクス、フランス)にア
プライし、0.1M塩化ナトリウムを含む0.01Mリ
ン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0を用いて溶出し、ゲ
ル濾過精製を行った。アルブミン1分子あたりに結合し
た抗rp24Fab’の平均の数は2.0分子だった。
【0027】〔β−D−ガラクトシダーゼ−アフィニテ
ィー精製抗rp24Fab’の調製〕大腸菌由来のβ−
D−ガラクトシダーゼ(ベーリンガー・マンハイム、ド
イツ)にN,N−o−フェニレンジマレイミドを用いて
マレイミド基を導入し、アフィニティー精製ウサギ抗r
p24Fab’と反応させる公知の方法〔石川ら、ジャ
ーナル・オブ・イムノアッセイ、(前出)〕にて調製し
た。β−D−ガラクトシダーゼ1分子あたりに結合した
アフィニティー精製抗rp24Fab’の平均の数は、
1.5分子であった。
【0028】〔2,4−ジニトロフェニル−ウシ血清ア
ルブミン−rp17の調製〕マレイミド基を導入した
2,4−ジニトロフェニル−ウシ血清アルブミンとチオ
ール基を導入したrp17を反応させ2,4−ジニトロ
フェニル−ウシ血清アルブミン−rp17を調製した。
アルブミン1分子あたりに結合したrp17の平均の数
は2.8分子であった。
【0029】〔2,4−ジニトロフェニル−ウシ血清ア
ルブミン−rRTの調製〕マレイミド基を導入した2,
4−ジニトロフェニル−ウシ血清アルブミンとチオール
基を導入したrRTを反応させ2,4−ジニトロフェニ
ル−ウシ血清アルブミン−rRTを調製した。アルブミ
ン1分子あたりに結合したrRTの平均の数は1.9分
子であった。
【0030】〔β−D−ガラクトシダーゼ−rp17の
調製〕N,N−o−フェニレンジマレイミドを用いてマ
レイミド基を導入したβ−D−ガラクトシダーゼとチオ
ール基を導入したrp17を反応させβ−D−ガラクト
シダーゼ−rp17を調製した。β−D−ガラクトシダ
ーゼ1分子あたりに結合したrp17の平均の数は2.
5分子であった。
【0031】〔β−D−ガラクトシダーゼ−rRTの調
製〕 (1)マレイミド−β−D−ガラクトシダーゼの調製 β−D−ガラクトシダーゼ2.5mg(4.6nmo
l)を含む緩衝液A0.19mlに4,4’−ジチオジ
ピリジン(ナカライテスク、京都)400nmolを含
むN,N−ジメチルホルムアミド0.01mlを添加
し、30℃で15分インキュベートした。セファデック
スG−50(ファルマシア)でゲル濾過精製を行った
後、N−サクシニミジル−6−マレイミドヘキサノエー
トでマレイミド基を導入した。β−D−ガラクトシダー
ゼ1分子あたりに導入されたマレイミド基の平均の数は
1.5個であった。 (2)β−D−ガラクトシダーゼ−rRTの調製 マレイミド−β−D−ガラクトシダーゼとチオール基を
導入したrRTを反応させてβ−D−ガラクトシダーゼ
−rRTを調製した。β−D−ガラクトシダーゼ1分子
あたりに結合したrRTの平均の数は1.5個であっ
た。
【0032】〔HIV−1陽性転換血清パネル〕HIV
−1陽性転換血清パネルは、ノース・アメリカン・バイ
オロジカルス社(フロリダ州、米国)およびボストン・
バイオメディカ社(マサチューセッツ州、米国)より購
入した。
【0033】〔β−D−ガラクトシダーゼの活性測定
β−D−ガラクトシダーゼの測定は、4−メチルウンベ
リフェリルガラクトシドを基質とする公知の方法〔石川
ら、ジャーナル・オブ・イムノアッセイ、(前出)〕で
反応させ、生成した4−メチルウンベリフェロンの蛍光
強度を分光蛍光光度計(RF−510、島津製作所、京
都)で測定した。蛍光値は、1×10-8Mの4−メチル
ウンベリフェロンの示す蛍光強度を100として補正を
行った。
【0034】〔免疫複合体転移法による血清検体中のp
24抗原および抗p17抗体、抗RT抗体の同時測定
血清検体0.01mlを0.4M塩化ナトリウム、10
0fmolの抗p24Fab’コンジュゲート(2,4
−ジニトロフェニル−ビオチニル−ウシ血清アルブミン
−アフィニティ精製抗p24Fab’およびβ−D−ガ
ラクトシダーゼ−アフィニティ精製抗p24Fa
b’)、30fmolのrp17、rRTコンジュゲー
ト(2,4−ジニトロフェニル−ウシ血清アルブミン−
rp17、−rRTおよびβ−D−ガラクトシダーゼ−
rp17、−rRT)、0.1mgのウサギ非特異F
(ab’)2 および0.05mgの不活化β−D−ガラ
クトシダーゼ(ムテイン、ベーリンガー・マイハイム)
を含む緩衝液C、0.14mlと混合した溶液にアフィ
ニティ精製抗2,4−ジニトロフェニル−ウシ血清アル
ブミン抗体不溶化着色ポリスチレンビーズ2個を添加
し、室温で一晩インキュベートした。反応後、反応液を
除去し、ポリスチレンビーズを0.1M塩化ナトリウム
を含む緩衝液C、2mlで2回洗浄した。続いて、着色
ポリスチレンビーズは0.1M塩化ナトリウム、1mM
εN−2,4−ジニトロフェニル−L−リジンを含む緩
衝液C、0.15ml中でストレプトアビジンおよびア
フィニティ精製抗ヒトIgGγ鎖抗体不溶化白色ポリス
チレンビーズとともに室温で3時間インキュベートし
た。反応後、白色ポリスチレンビーズを前述と同様の方
法で洗浄し、結合したβ−D−ガラクトシダーゼの活性
を30℃、2.5時間で測定した。結果をカットオフイ
ンデックスにより図4、5のDにおよび相対蛍光強度に
より図6のAに示す。
【0035】比較例1 本比較例では、免疫複合体転移法によりHIV−1のp
24抗原の検出を行った。各物質の精製・調製の詳細は
下記以外、実験例1と全て同じである。 〔ストレプトアビジン不溶化ポリスチレンビーズの調
〕白色ポリスチレンビーズ(直径3.2mm、イムノ
ケミカル、岡山)をビオチニル−ウシ血清アルブミン
0.1g/Lを含む緩衝液A中に浸し4℃で一晩静置し
て物理的吸着により不溶化した。続いて洗浄後、ストレ
プトアビジン0.1g/Lを含む緩衝液Cと反応させて
調製した。
【0036】〔血清検体におけるp24抗原の測定〕血
清検体0.01mlを0.4M塩化ナトリウム、各々1
00fmolの2,4−ジニトロフェニル−ビオチニル
−ウシ血清アルブミン−アフィニティ精製抗p24Fa
b’およびβ−D−ガラクトシダーゼ−アフィニティ精
製抗p24Fab’、0.1mgのウサギ非特異F(a
b’)2 を含む緩衝液C、0.14mlと混合した溶液
にアフィニティ精製抗2,4−ジニトロフェニル−ウシ
血清アルブミン抗体不溶化着色ポリスチレンビーズ2個
を添加し、室温で4時間インキュベートした。反応後、
反応液を除去し、ポリスチレンビーズを0.1M塩化ナ
トリウムを含む緩衝液C、2mlで2回洗浄した。続い
て、着色ポリスチレンビーズは0.1M塩化ナトリウ
ム、1mMεN−2,4−ジニトロフェニル−L−リジ
ンを含む緩衝液C、0.15ml中でストレプトアビジ
ン不溶化白色ポリスチレンビーズとともに室温で3時間
インキュベートした。反応後、白色ポリスチレンビーズ
を前述と同様の方法で洗浄し、結合したβ−D−ガラク
トシダーゼの活性を30℃、2.5時間で測定した。結
果をカットオフインデックスにより図4、5のDに示し
た。
【0037】比較例2 本比較例では、免疫複合体転移法によりHIV−1の抗
p24抗体、抗p17抗体および抗RT抗体それぞれの
検出を行った。各物質の精製・調製方法は下記以外、実
験例1と全て同じである。なお、それぞれの実験方法に
ついては、〔橋田ら、ジャーナル・オブ・クリニカル・
ラボラトリー・アナリシス(J.Clin.Lab.A
nal.)、第7巻、第353頁(1993)および第
8巻、第86頁(1994)〕、〔橋中ら、ジャーナル
・オブ・クリニカル・マイクロバイオロジー(J.Cl
in.Microbiol.)、第32巻、第819頁
(1994)〕に詳細に記載されている。 〔アフィニティ精製抗ヒトIgGγ鎖抗体不溶化ポリス
チレンビーズの調製〕白色ポリスチレンビーズ(直径
3.2mm、イムノケミカル、岡山)をアフィニティ精
製抗ヒトIgGγ鎖抗体0.1g/Lを含む緩衝液A中
に浸し4℃で一晩静置して物理的吸着により不溶化し
た。
【0038】〔2,4−ジニトロフェニル−ウシ血清ア
ルブミン−rp24の調製〕マレイミド基を導入した
2,4−ジニトロフェニル−ウシ血清アルブミンとチオ
ール基を導入したrp24を反応させ2,4−ジニトロ
フェニル−ウシ血清アルブミン−rp24を調製した。
アルブミン1分子あたりに結合したrp24の平均の数
は2.5分子であった
【0039】〔β−D−ガラクトシダーゼ−rp24の
調製〕N,N−o−フェニレンジマレイミドを用いてマ
レイミド基を導入したβ−D−ガラクトシダーゼとチオ
ール基を導入したrp24を反応させβ−D−ガラクト
シダーゼ−rp24を調製した。β−D−ガラクトシダ
ーゼ1分子あたりに結合したrp24の平均の数は2.
1分子であった。
【0040】〔血清検体における抗各抗原(p24、p
17、RT)抗体の測定〕血清検体0.01mlを0.
4M塩化ナトリウム、100fmolの各抗原の2,4
−ジニトロフェニルおよびβ−D−ガラクトシダーゼコ
ンジュゲートおよび0.05mgの不活化β−D−ガラ
クトシダーゼ(ムテイン、ベーリンガー・マイハイム)
を含む緩衝液C、0.14mlと混合した溶液にアフィ
ニティ精製抗2,4−ジニトロフェニル−ウシ血清アル
ブミン抗体不溶化着色ポリスチレンビーズ2個を添加
し、室温で一晩インキュベートした。反応後、反応液を
除去し、着色ポリスチレンビーズを0.1M塩化ナトリ
ウムを含む緩衝液C、2mlで2回洗浄した。続いて、
着色ポリスチレンビーズは0.1M塩化ナトリウム、1
mMεN−2,4−ジニトロフェニル−L−リジンを含
む緩衝液C、0.15ml中でアフィニティ精製抗ヒト
IgGγ鎖抗体不溶化白色ポリスチレンビーズとともに
室温で3時間インキュベートした。反応後、白色ポリス
チレンビーズを前述と同様の方法で洗浄し、結合したβ
−D−ガラクトシダーゼの活性を30℃、2.5時間で
測定した。結果をカットオフインデックスにより図4、
5のCに示す。
【0041】比較例3 本比較例では、既存の各種市販HIV−1抗体検出診断
キットにより抗体の検出を行った。使用したキットは、
「セロディア−HIV」(富士レビオ、東京)、HTL
V−III ・EIA「アボット」(Abbott Lab
oratories、イリノイ州、米国)、ウェスタン
・ブロットキット「HIV−オルソ」(Ortho D
iagnostic Systems、ニュー・ジャー
ジー州、米国)の3キットで、測定はいずれもキットの
操作手順書に従って行った。各キットの測定値は、「セ
ロディア−HIV」は凝集像を示す最大検体希釈率で、
HTLV−III ・EIA「アボット」は、カットオフイ
ンデックスで、「HIV−オルソ」は各バンドに対する
反応の有無(+、−)で表した。結果を図4、5のA、
Bに示す。
【0042】実験例2 本実験では、実験例1において複合体転移を行う前のア
フィニティ精製抗2,4−ジニトロフェニル−ウシ血清
アルブミン抗体不溶化着色ポリスチレンビーズに捕獲し
た状態で結合したβ−D−ガラクトシダーゼの活性を測
定した。各物質の精製・調製方法は実験例1と全て同じ
である。結果を図6のBに示す。
【0043】
【発明の効果】上記実験例1、2および比較例1〜3に
よって、以下の3点が確認できた。 (1)免疫複合体転移法による抗原・抗体同時測定の効
果 免疫複合体転移法による抗体測定は、既存の抗体測定キ
ットに比べて、約1週間早期に診断可能である。一方免
疫複合体転移法による抗原測定は、既存の抗体測定キッ
トより約2週間早期に診断可能であるが、感染後時間が
経つに従い測定値が低くなっていく。これに対し、抗原
・抗体の同時測定法では、それぞれの検出力が足しあわ
されて、既存の抗体測定キットによる抗体検出より約2
週間前も、抗体検出後も常時高い信号が得られることが
確認できた。 (2)HIV−1感染の早期検出における抗p17抗体
測定の有用性 従来抗p17抗体は、それほどよいマーカーとは考えら
れていなかったが、p17抗原を直接固相に吸着させる
のではなく、液相で反応させることにって、HIV−1
の感染後、種々の抗原に対する抗体の中で、p17に対
する抗体がいち早く高値に出ることがわかり、液相捕捉
系での早期検出におけるp17抗体測定の有用性が確認
できた。 (3)従来サンドイッチ測定法での効果 p24抗原と抗p17抗体と抗RT抗体の組合せ系にお
いては、必ずしも免疫複合体転移法を行わなくても転移
をする前の第1固相に捕捉した状態で測定を行っても十
分な効果が得られることが確認できた。
【0044】
【図面の簡単な説明】
【図1】免疫複合体転移法による抗原測定の1パターン
の概略図である。
【図2】免疫複合体転移法による抗体測定の1パターン
の概略図である。
【図3】免疫複合体転移法による抗原・抗体同時測定法
の1パターンの概略図である。
【図4】4種類のHIV−1感染後陽性転換血清パネル
を用いて、血液採取開始後一定日数経過後採取検体につ
いて、ウェスタンブロットキット(A)、既存の凝集キ
ット(B)、ELISAキット(B)、あるいは免疫複
合体転移法によるp24抗原(D)、抗p24抗体
(C)、抗p17抗体(C)、抗RT抗体(C)単独測
定の結果と免疫複合体転移法によるp24抗原、抗p1
7抗体および抗RT抗体の同時測定(D)の結果を比較
した図である。横軸は血液採取開始後経過日数、縦軸は
各測定法において陰性検体測定より得られたカットオフ
値を1としたときの各測定信号値の補正相対値である。
ただし、ウェスタンブロットの結果は+、−により、ま
た、凝集法の結果は、凝集を示す最大希釈倍率によりそ
れぞれ表した。
【図5】図4と同様の図である。
【図6】ある血清パネルにおいて、免疫複合体転移法に
てp24抗原、抗p17抗体および抗RT抗体の同時測
定を行った結果(A)と第1固相に捕捉した段階で測定
した結果(B)の比較図である。横軸は図4と同じであ
り、縦軸は固相に結合したβ−D−ガラクトシダーゼ活
性を表す蛍光強度である。点線は、カットオフ値を示
す。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 「病原体の少なくとも一つの抗原」およ
    び「同じ病原体の異なる抗原に対する少なくとも一つの
    抗体」を同時に測定することによって病原体感染を検出
    する方法であって、下記の工程(A)、(B)、(C)
    および(D)からなる、上記方法。 工程(A):被検液に下記成分(1)、(2)、(3)
    および(4)を各々少なくとも一つ加えて、測定すべき
    抗原を含む免疫複合体および/または測定すべき抗体を
    含む免疫複合体を形成せしめる工程。 (1)官能基で修飾された、病原体の測定すべき抗原に
    対して特異的に結合する成分 (2)標識された、測定すべき抗原に対して特異的に結
    合する成分 (3)官能基で修飾された、同じ病原体であるが(1)
    の測定すべき抗原とは異なる抗原に対する測定すべき抗
    体に対して特異的に結合する成分 (4)標識された、測定すべき抗体に対して特異的に結
    合する成分 工程(B):工程(A)で形成された免疫複合体を、
    (1)および(3)における官能基に対して特異的に反
    応する成分を不溶化した第1固相上に捕捉する工程。 工程(C):免疫複合体を上記固相から遊離させ、前記
    官能基とは異なる免疫複合体中の部位に対して特異的に
    反応する成分を不溶化した第2固相に免疫複合体を捕捉
    する工程。 工程(D):第2固相上に捕捉された免疫複合体を測定
    する工程。
  2. 【請求項2】 工程(A)と工程(B)を同時に行うこ
    とを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 病原体がヒト免疫不全ウイルス−1(H
    IV−1)である請求項1または2記載の方法。
  4. 【請求項4】 測定すべき抗原がp24であり、測定す
    べき抗体が抗逆転写酵素(RT)抗体および抗p17抗
    体であることを特徴とする請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 p24抗原、抗逆転写酵素(RT)抗体
    および抗p17抗体を同時に測定することによってHI
    V−1感染を検出する方法であって、下記の工程
    (A)、(B)および(C)からなる、上記方法。 工程(A):被検液に下記成分(1)、(2)、(3)
    および(4)を共に加えて、p24抗原を含む免疫複合
    体および/または抗逆転写酵素(RT)抗体を含む免疫
    複合体および/または抗p17抗体を含む免疫複合体を
    形成せしめる工程。 (1)官能基で修飾された、p24抗原に対して特異的
    に結合する成分 (2)標識された、p24抗原に対して特異的に結合す
    る成分 (3)官能基で修飾された、抗逆転写酵素(RT)抗体
    に対して特異的に結合する成分および官能基で修飾され
    た、抗p17抗体に対して特異的に結合する成分 (4)標識された、抗逆転写酵素(RT)抗体に対して
    特異的に結合する成分および標識された、抗p17抗体
    に対して特異的に結合する成分 工程(B):工程(A)で形成された免疫複合体を、該
    官能基に対して特異的に反応する成分を不溶化した固相
    上に捕捉する工程。 工程(C):固相上に捕捉された免疫複合体を測定する
    工程。
  6. 【請求項6】 工程(A)と工程(B)を同時に行うこ
    とを特徴とする請求項5記載の方法。
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