JPH08297056A - 高抵抗値抵抗器及びその製造方法並びにそれを用いた焦電型赤外線センサー - Google Patents

高抵抗値抵抗器及びその製造方法並びにそれを用いた焦電型赤外線センサー

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JPH08297056A
JPH08297056A JP10334995A JP10334995A JPH08297056A JP H08297056 A JPH08297056 A JP H08297056A JP 10334995 A JP10334995 A JP 10334995A JP 10334995 A JP10334995 A JP 10334995A JP H08297056 A JPH08297056 A JP H08297056A
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智広 鶴田
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聖 松枝
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、抵抗体を基体上に担持して、初期
状態の抵抗材料の組成や、膜厚を容易に変更でき、広範
囲の抵抗値が作製でき、抵抗値及び抵抗温度係数の酸
化、還元制御及びトリミング調整が容易にできる低原価
で量産性及び高精度で、信頼性に優れた高抵抗値抵抗器
及びその製造方法並びにそれを用いた焦電型赤外線セン
サーを提供することを目的とする。 【構成】 本発明の高抵抗値抵抗器1は、抵抗体3を担
持するためのAl23を主成分とする円柱状の硝子から
なる基体2と、基体2の両端部に圧入された金属キャッ
プからなる一対の電極5a,5bと、一対の電極5a,
5b間に抵抗値を有しかつ少なくとも基体2の表面部に
担持されているSi及びその酸化物からなる抵抗体3
と、から構成され、25℃における抵抗値が7×108
Ω〜1×1013Ωの範囲で、かつ、抵抗温度係数が負で
ある構成を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電流増幅回路等の電子
回路に使用される高抵抗値抵抗器及びその製造方法、更
に、高抵抗値抵抗器をインピーダンス整合,帰還抵抗と
して用いた焦電型赤外線センサーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、抵抗材料を種々の方法で薄膜や厚
膜に加工した抵抗器は、使用が急増している。これは、
ガラスやセラミックス等の表面に薄膜や厚膜を利用した
抵抗器であり、小型軽量かつ高抵抗値を実現でき、動作
が確実で精度安定性にも優れている。このため、コンピ
ュータや精密機器等の電子回路部品として広く用いられ
るようになっている。
【0003】以下に従来の高抵抗値抵抗器について説明
する。図6は、従来の高抵抗値抵抗器の構造を示す斜視
図である。21は直方体状に形成された抵抗体を形成す
るためのAl23からなる基体、22は基体21の表面
上に形成された抵抗層であり、スパッタや蒸着により形
成されたニッケルクロム合金に代表される金属薄膜から
なる。ここで、抵抗層22の膜厚としては、50Å〜5
000Åに形成される。23a,24bは基体21の両
端部に設けられたAgを主成分とした一対の厚膜電極で
ある。この高抵抗値抵抗器は、レーザーや機械的手法に
より抵抗層22の一部をトリミングすることで、抵抗値
の調整制御を行うことができる。このように金属薄膜を
薄く形成することにより、極めて高い抵抗値が得られる
上に、抵抗温度係数も低く、安定度も優れているので電
子回路等の高抵抗値抵抗器として使用量が増加してい
る。
【0004】又、以下にその他の従来の高抵抗値抵抗器
について説明する。図7は、従来の高抵抗値抵抗器の構
造を示す斜視図である。31は金属酸化物や窒化物など
のセラミックスと金属の混合物が焼成された複合材料や
ガラス粉と金属粉とを混合焼成してなる抵抗体であり、
焼成ブロックから切り出されたものである。32a,3
3bは基体の両端に設けられたAgを主成分とした一対
の厚膜電極である。この構成では、金属酸化物の組成、
密度、切断寸法又はトリミングによって任意の抵抗値を
得ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の構成では、抵抗層を基体の上に構成した後、抵抗層自
体の抵抗値を制御できない。又トリミングによる抵抗値
の調整制御にも限界があるため、桁の異なる抵抗値を得
ようとする場合、抵抗層の初期組成を調整したり、抵抗
層の膜厚を桁違いに制御する必要があり、製造工程での
制御が極めて複雑で、作業性に欠けるという問題点を有
していた。仮に、高精度の抵抗値を得るために抵抗値を
測定しつつトリミング工程により抵抗値の制御を行う場
合、トリミング中の発熱の影響等で抵抗温度係数(温度
依存性)の影響を受けて、抵抗値を精度良く調整制御す
ることが極めて困難である。更に、このトリミング工程
においては、必要に応じて抵抗器の抵抗温度係数の値そ
のものを調整制御することは困難であった。又、図3の
焦電型赤外線センサーの回路図で示すように焦電型赤外
線センサーの高抵抗値である帰還抵抗として用いる場
合、金属酸化物の組成や焼成に伴う固有抵抗値のバラツ
キを抑えることが極めて困難であり、任意の高精度の抵
抗値を得るために切断寸法を個別に変更しなければなら
ないという複雑な工程を有し、低原価を実現できないと
いう問題点を有していた。又、この切断による工程にお
いては、後にトリミングによる抵抗値の制御も可能であ
るが、金属酸化物の強度を考慮した場合、微小レベルの
抵抗値の調整制御しかできないという問題点を有してい
た。又、抵抗値の抵抗温度係数を制御するためには、金
属酸化物の初期組成を制御しなければならす、制御が複
雑で装置が高価で生産コストが高くなるという問題点を
有していた。
【0006】本発明は上記従来の問題点を解決するもの
で、抵抗体を基体表面上に担持することにより、初期状
態の抵抗体の組成や、膜厚を容易に制御変更でき、広範
囲の抵抗値を得ることができ、抵抗値及び抵抗温度係数
の酸化,還元制御、更に及びトリミング調整が容易にで
きる低原価で量産性及び高精度で、信頼性に優れた高抵
抗値抵抗器及びその製造方法並びにそれを用いた焦電型
赤外線センサーを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明の請求項1に記載の高抵抗値抵抗器は、抵抗体
を担持するための基体と、基体の両端部に設けられた一
対の電極と、一対の電極間に抵抗値を有しかつ少なくと
も基体の表面部に担持されているSi及びその酸化物か
らなる抵抗体と、からなる構成を有している。
【0008】本発明の請求項2に記載の高抵抗値抵抗器
は、請求項1において、基体が、Al23を主成分とす
る円柱状の硝子からなる構成を有している。
【0009】本発明の請求項3に記載の高抵抗値抵抗器
は、請求項1又は2において、電極が、基体の両端部に
圧入された金属キャップからなる構成を有している。
【0010】本発明の請求項4に記載の高抵抗値抵抗器
は、請求項1乃至3の内いずれか1において、電極が、
25℃における抵抗値が7×108Ω〜1×1013Ωの
範囲で、かつ、抵抗温度係数が負である構成を有してい
る。
【0011】本発明の請求項5に記載の焦電型赤外線セ
ンサーは、請求項1乃至4の内いずれか1の高抵抗値抵
抗器において、25℃〜50℃におけるB定数が120
0K〜3600Kの範囲内である高抵抗値抵抗器を増幅
回路の負帰還抵抗に用いた構成を有している。
【0012】本発明の請求項6に記載の高抵抗値抵抗器
の製造方法は、基体表面の熱処理によりSi及びその酸
化物である抵抗体を酸化させて担持を行い抵抗基体を形
成する熱処理工程と、抵抗基体をカーボン中で熱処理を
行う還元抵抗値制御工程、又は大気中で熱処理を行う酸
化抵抗値制御工程と、抵抗基体の両端に一対の電極を形
成する電極形成工程と、を備えたことを特徴とする高抵
抗値抵抗器の製造方法。
【0013】本発明の請求項7に記載の高抵抗値抵抗器
の製造方法は、請求項6において、抵抗体を形成する抵
抗材料として、シロキサンを用いた構成を有している。
【0014】本発明の請求項8に記載の高抵抗値抵抗器
の製造方法は、請求項6又は7において、電極形成工程
後、抵抗値を測定しながらトリミングを行うトリミング
工程を備えた構成を有している。
【0015】ここで、電極に用いる金属材料としては、
鉄,アルミニウム,ニッケル等が用いられる。又、電極
形成工程としては、金属キャップの圧入の他に、金属蒸
着,導電ペースト塗着等が用いられる。又、基体として
は、Al23の他に、Mg2SiO4等が用いられる。
又、B定数とは、抵抗温度係数の逆数でマイナスを省略
したものをいう。
【0016】
【作用】この構成によって、以下の作用を奏することが
できる。すなわち、 (1)Si及びその酸化物からなる抵抗体を基体に担持
した後、極めて広範囲の抵抗値が得られる。又、熱処理
条件と抵抗体の膜厚を制御することで抵抗値の温度依存
性を容易に調整制御することができる特に、抵抗体を形
成する抵抗材料として、シロキサンを用いることによ
り、抵抗値及び抵抗温度係数の可変制御を温度条件とシ
ロキサン注入量の制御により容易に行うことができる。
これにより、25℃における抵抗値が7×108Ω〜1
×1013Ωの範囲で、かつ、抵抗温度係数が負である高
抵抗値抵抗器が実現でき、幅広い電子回路部品に用いる
ことができ、多品種の高抵抗値抵抗器として汎用性を持
たせることができる。
【0017】(2)基体として、Al23を主成分とす
る材料を用いることにより、円柱状に形成され、抵抗体
の表面担持における膜厚等の均一な制御が可能で、バラ
ツキの少ない高抵抗値抵抗器を得ることができる。更
に、電極として、基体の両端部に金属キャップを圧入す
ることにより製造工程が簡単で低原価を実現することが
できる。
【0018】(3)基体表面に熱処理によりSi及びそ
の酸化物である抵抗体を酸化させ担持を行い抵抗基体を
形成する熱処理工程により、初期値抵抗値を得た後、更
に抵抗基体をカーボン中で熱処理を行う還元抵抗値制御
工程、又は、大気中で熱処理を行う酸化抵抗値制御工程
と、を備えたことにより、簡単な工程で容易に高範囲の
抵抗値に調整制御できる。
【0019】(4)初期値抵抗値を任意の抵抗値範囲に
制御した後、更に、トリミングを行うことで、同一ロッ
トから極めて広い範囲かつ目標値に対して精度の高い抵
抗値の微調整を容易に行うことが可能である。又、短期
間のトリミング工程で任意の抵抗値が得られるような抵
抗値制御を行うことで、トリミング工程で発生する発熱
による温度変化による抵抗値測定誤差を抑えられる。特
に、電極形成工程後、抵抗値を測定しながらトリミング
を行うトリミング工程を備えたことにより、実際の装置
に組み込んだ後における制御も可能で精度の高い高信頼
性の電子回路を得ることができる。
【0020】(5)高抵抗値抵抗器は、負の抵抗値温度
依存性を有し、シロキサンの量を制御することにより、
B定数の設定が可能で、更に、加熱温度,加熱時間によ
る加熱条件により大幅な抵抗値の制御が可能であるた
め、これを焦電型赤外線センサーの電流増幅回路の帰還
抵抗として使用することで、出力の温度補償が可能とな
り、温度依存性の小さいセンサー出力が得られる。又、
25℃〜50℃におけるB定数が1200K〜3600
Kの範囲内である高抵抗値抵抗器を焦電型赤外線センサ
ーの増幅回路の負帰還抵抗に用いることにより、焦電型
赤外線センサーに用いる焦電素子に合わせた高精度の抵
抗値及び抵抗温度係数の制御がトリミングにより容易に
でき、温度依存性のない高精度の焦電型赤外線センサー
を得ることができる。
【0021】
【実施例】以下本発明の一実施例における高抵抗値抵抗
器について、図面を参照しながら説明する。
【0022】(実施例1)図1は本発明の第1実施例に
おける高抵抗値抵抗器の製造工程図である。図1(a)
はその高抵抗値抵抗器の基体の斜視図であり、図1
(b)は次工程である高抵抗値抵抗器の基体をシロキサ
ン中で熱処理する熱処理工程図であり、図1(c)は次
工程である高抵抗値抵抗器の抵抗体を有する基体をカー
ボン中で還元する還元抵抗値制御工程図、又は大気中で
酸化する酸化抵抗値制御工程図であり、図1(d)は次
工程である第1実施例における高抵抗値抵抗器の電極形
成工程図であり、図1(e)は次工程の高抵抗値抵抗器
のエポキシ塗布工程図である。1は本発明の第1実施例
の高抵抗値抵抗器であり、2は円柱状に形成されたAl
23硝子からなる基体、3は基体2の表面に担持された
抵抗体(第1)、4は抵抗体(第1)3を酸化又は還元
して抵抗値及びB定数が調整制御された抵抗体(第
2)、5a,5bは金属製のキャップからなり基体2に
圧入された一対の電極、6は抵抗体(第1)3又は抵抗
体(第2)4を湿気等から保護し高抵抗値を精度よく安
定に保つためのエポキシ塗料である。
【0023】次に、本発明の第1実施例における高抵抗
値抵抗器について、以下その製造方法を図1を用いて詳
細に説明する。まず、図1(a)においては、前処理の
基体2を示す。この基体2は直径φ10cm×高さh1
mの円柱状に形成され、石英ガラス管中に約1000個
挿入される。ここで、基体2は円柱状以外にも角板状で
もよく、材質も800℃以上の温度で安定な抵抗体を担
持できる材質であれば使用可能である。次に、図1
(b)に示すように、石英ガラス管の内部を脱気し、3
00Pa〜400Paの真空度にし、ヒーターで800
℃±5℃に加熱制御する。その後、石英ガラス管内部に
15cc〜50ccのSi−O結合を有する化合物であ
るシロキサンを注入し、石英ガラス管を10分間回転さ
せながら維持することにより、基体2の表面にSi及び
その酸化物が抵抗体(第1)3として成膜し、基体2の
表面に抵抗体(第1)3が担持された抵抗基体を得る。
なお、基体2の表面に形成されたSi及びその酸化物か
らなる抵抗体(第1)3の膜厚はシロキサンの注入量に
より制御され、シロキサン注入量が多い程厚くなり、
0.2〜1.8μmに形成されていた。次に、必要によ
り、図1(c)に示すように、抵抗値及びB定数の値の
調整を行うために、還元抵抗値制御工程として、熱処理
され表面に抵抗体(第1)3が担持された初期抵抗値を
有する基体2をカーボン粉末中に800℃〜850℃、
2時間〜6時間の条件で還元処理を行う。もしくは、酸
化抵抗値制御工程として、表面に抵抗体(第1)3が担
持され抵抗値を有する基体2を大気中800℃〜850
℃、2時間〜6時間の条件で酸化処理を行う。これによ
り、所望の抵抗値及びB定数を有する抵抗体(第2)4
である抵抗基体を得ることができる。次に、図1(d)
に示すように、抵抗値及び抵抗温度係数の制御がされた
抵抗基体の両端部に鉄製の金属キャップを圧入し、一対
の電極5a,5bを形成する。最後に、図1(e)に示
すように、抵抗体(第1)3又は抵抗体(第2)4の保
護を目的として、円柱状の抵抗体の外周にエポキシ塗料
6を塗膜して高抵抗値抵抗器を得た。
【0024】(実験例1〜21)以上のように製造され
る高抵抗値抵抗器の製造工程において、熱処理工程にお
けるシロキサンの注入量、及び、シロキサンの注入量に
対する還元又は酸化抵抗値制御工程において、加熱温度
及び加熱時間をパラメータとしてその抵抗値及びB定数
を測定した。ここで、B定数とは、抵抗温度係数の逆数
でマイナスを省略したものをいう。又、抵抗値及びB定
数は各々10個のサンプルを抽出し平均値を算出した。
以上のようにして得られた測定結果を(表1)に示す。
【0025】
【表1】
【0026】この(表1)から明らかなように、まず、
シロキサン注入量の制御による熱酸化工程により、B定
数が略一定で抵抗値の異なる抵抗体を得ることができ
た。次に、還元抵抗値制御工程におけるカーボン粉末中
では、高温でかつ長時間加熱還元するほど、抵抗値は小
さくなり、1GΩ以下の抵抗値も得ることができる。酸
化抵抗値制御工程における大気中では逆に、高温でかつ
長時間加熱酸化する程、抵抗体(第2)4が緻密にな
り、抵抗値が大きくなり、10TΩ以上の抵抗値を得る
ことができた。このように、同一バッチで成膜した抵抗
基体から熱処理条件のみで約4桁抵抗値が異なる高抵抗
値抵抗器を得ることができた。すなわち、注入するシロ
キサン量が多くなる程、すなわち抵抗体(第1)3の膜
厚が大きくなる程、抵抗値は小さくなるが、膜厚の変化
による抵抗温度係数(抵抗値の温度依存性)の変化は極
めて小さい。すなわち、加熱処理条件と抵抗体の膜厚の
組み合わせで任意の抵抗値及びB定数の設計が可能であ
る。焦電型赤外線センサーにFETを使用した電圧増幅
回路に使用されるインピーダンス整合用に使用される抵
抗器は比較的抵抗値や温度依存性の精度が要求されない
ため、抵抗体(第1)3等の膜厚を制御することがなく
還元又は酸化抵抗値制御工程の処理で必要な抵抗値を得
ることができる。
【0027】以上のように本実施例によれば、シロキサ
ンの注入量を制御することにより、B定数の設定が可能
で、更に、加熱温度,加熱時間による加熱条件により大
幅な抵抗値の制御が可能であり、任意の高範囲の高抵抗
値抵抗器を得ることが可能である。又、得られた高抵抗
値抵抗器を大気中で熱処理することにより、B定数を殆
ど一定で、抵抗値を大きく変化させることができる。
又、得られた高抵抗値抵抗器をカーボン中で熱処理する
ことにより、逆に抵抗値及びB定数を小さくすることが
できる。
【0028】(実施例2)以下本発明の第2実施例の高
抵抗値抵抗器の製造方法におけるトリミング工程につい
て、図面を参照しながら説明する。図2(a)は本発明
の第1実施例における電極形成工程で得られた高抵抗値
抵抗器の斜視図であり、図2(b)は本発明の第2実施
例における高抵抗値抵抗器の抵抗値制御を示すトリミン
グ工程図であり、図2(c)は本発明の第2実施例にお
ける高抵抗値抵抗器のエポキシ塗布工程図である。図2
(b)において、実施例1の図1(e)で示す電極形成
工程で得られた高抵抗値抵抗器の一対の電極間の抵抗値
をハイレジスタンスメータで計測しながら、円板状のダ
イヤモンドカッターでSiとその酸化物からなる抵抗体
膜の一部をトリミングしながら、ハイレジスタンスメー
ターが所定の抵抗値を10GΩの値を示した段階でトリ
ミングを停止する。その後、図2(c)に示すように、
抵抗体の保護を目的に円柱状の抵抗体の外周にエポキシ
塗料6を塗膜して高抵抗値抵抗器を得る。
【0029】(実験例22〜24)以上のようなトリミ
ング工程において、実施例1の実施例1の図1(e)で
示す電極形成工程で得られた(表1)の中の実験例No
10,11及び17の条件の抵抗基体に電極5a,5b
を備えたものを用意した。この高抵抗値抵抗器の一対の
電極間の抵抗値をハイレジスタンスメータで計測しなが
ら、円板状のダイヤモンドカッターでSiとその酸化物
からなる抵抗体膜の一部をトリミングしながら、ハイレ
ジスタンスメーターが所定の抵抗値として10GΩの値
を示した段階でトリミングを停止する。その後、エポキ
シ塗料6を抵抗体に塗膜して高抵抗値抵抗器を得る。以
上のように製造される高抵抗値抵抗器の抵抗値の平均
値、最大値及び最小値を(表2)に示す。
【0030】
【表2】
【0031】この(表2)から明らかなように、トリミ
ング工程前の初期抵抗値が目標とする設定値に近い試料
ほど、すなわち、トリミング量が小さい試料ほど、トリ
ミング時の発熱に伴う温度変化による抵抗値変動を抑制
できるため、バラツキの小さいかつ目標値に近い高精度
の抵抗値を得ることができる。
【0032】以上のように本実施例によれば、実施例1
の製造方法を有効に利用し、より最終目標値に近い抵抗
値にあらかじめ設定しておくことで、トリミングと組み
合わせて極めて高精度の高抵抗値抵抗器を得ることがで
きる。
【0033】(実施例3)図3は本発明の第3実施例に
おける高抵抗値抵抗器を用いた焦電型赤外線センサーの
回路図である。図4は焦電型赤外線センサーの測定系図
である。図3において、8は焦電型赤外線センサー、9
はセラミックの焦電基板上に金属の薄膜電極を構成して
なる焦電素子、10が焦電素子9から発生する微小電流
を増幅するためのFET(Field Effect Transistor:電
界効果トランジスタ)、11がFET10の帰還抵抗と
して使用する本発明の第2実施例で得られた高抵抗値抵
抗器、12はFET10及び焦電素子9が接地されるグ
ランド端子、13a,13bは電源端子、14は出力端
子である。
【0034】(実験例25,26)以上のように構成さ
れた焦電型赤外線センサーを用いて、図4に示す測定系
において性能比較実験を行った。図4は本発明の第3実
施例の高抵抗値抵抗器を用いた焦電型赤外線センサーの
測定系を示す構成図である。図4において、8は図3で
示す焦電型赤外線センサー、15は赤外線を発生する熱
源、16は機械式のチョッパーであり、焦電型赤外線セ
ンサー8と熱源15の間に配置されている。17は恒温
槽であり、熱源15と恒温槽17の温度差を10℃に保
ちながら恒温槽17の中の温度を変化させ焦電型赤外線
センサー8の出力電圧の温度依存性を測定した。ここ
で、焦電型赤外線センサー8に用いた高抵抗値抵抗器1
1としては、実施例1の実験例で作製した2種類の実験
例3及び実験例16の高抵抗値抵抗器を実施例2のトリ
ミング工程を行い、抵抗値を25℃において20GΩに
調整した。ここで、実験例3をトリミング制御して得ら
れた高抵抗値抵抗器(実験例25とする)のB定数は1
200Kであり、実験例16をトリミング制御して得ら
れた高抵抗値抵抗器(実験例26とする)のB定数は3
600Kであった。又、比較例として、従来例の図6で
示す金属薄膜を抵抗体を有する従来の高抵抗値抵抗器と
して、25℃における抵抗値が20GΩで、抵抗値の温
度依存性を示す抵抗温度係数が0.05%/℃と極めて
小さい正の抵抗温度係数を有する高抵抗値抵抗器を帰還
抵抗として使用した試料の特性も測定した。なお、各測
定系の位置関係、チョッパー16の周波数、電源端子に
加えられる電圧は常に一定である。測定結果を図5に示
す。図5は本発明の第3実施例の高抵抗値抵抗器を用い
た焦電型赤外線センサーの出力の温度依存性を示す曲線
図である。ここで、図5において、恒温槽の温度と焦電
型赤外線センサーの25℃における出力電圧の基準とし
た相対出力の関係を示している。図5から明らかなよう
に、比較例として使用した温度依存性のほとんどない高
抵抗値抵抗器を帰還抵抗として使用する場合、FET1
0及び焦電素子9の温度依存性の影響で温度が高くなる
程、出力が大きくなり、感度の温度依存性が極めて大き
い。これに対して、本発明による高抵抗値抵抗器11を
帰還抵抗として使用したいずれの実験例25及び26の
場合、温度依存性が極めて小さい。又、使用した高抵抗
値抵抗器11の温度依存性に応じて温度依存性の曲線が
異なってくるが、B=1200〜3600Kの間では0
℃〜60℃の温度範囲において25℃における出力電圧
に対して±10%以内に出力変動を抑えることができ
る。すなわち、負の温度依存性を有する本発明による高
抵抗値抵抗器11を帰還抵抗として使用することによ
り、FET10の増幅を制御し出力電圧を結果として補
償できることになる。オペアンプ、焦電素子の感度の温
度依存性はオペアンプの種類、焦電素子の組成等の組み
合わせで変動するが、それに応じた抵抗値の温度依存性
を有する高抵抗値抵抗器11を帰還抵抗として使用する
ことで、温度依存性の少ない高精度の焦電型赤外線セン
サー8を得ることができる。
【0035】以上のように本実施例によれば、実施例2
の製造方法におけるトリミング工程を利用し、抵抗温度
係数が負である高抵抗値抵抗器を用いることにより、温
度依存性が極めて小さい高精度の焦電赤外線センサーを
得ることができる。
【0036】
【発明の効果】以上のように本発明は、抵抗体を基体に
担持した後、極めて広範囲の抵抗値が得られる。又、熱
処理条件と膜厚を制御することで抵抗値の温度依存性を
容易に制御することができる高抵抗値抵抗器を実現する
ことができる。又、初期値抵抗値を任意の抵抗値範囲に
制御した後、還元又は酸化抵抗値制御工程、更にはトリ
ミング工程を行うことで、同一ロットから極めて広い範
囲かつ目標値に対して精度の高い多品種の抵抗値を容易
に得ることができ、量産性に優れた低原価の高抵抗値抵
抗器の製造方法を実現することができる。又、短時間の
トリミング工程により任意の抵抗値が得られるような抵
抗値制御を行うことで、トリミング時に発生する発熱に
よる温度変化による抵抗値測定誤差を抑えられる。更に
は、本発明による高抵抗値抵抗器は負の抵抗値温度依存
性を有し、かつその値を制御できるため、これを焦電型
赤外線センサーの電流増幅回路の帰還抵抗として使用す
ることで、出力の高精度の温度補償が可能となり、温度
依存性が極めて小さいセンサー出力が得られることがで
き、高精度で信頼性に優れた焦電型赤外線センサーを実
現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の第1実施例における高抵抗値抵
抗器の基体の斜視図 (b)本発明の第1実施例における高抵抗値抵抗器の基
体をシロキサン中で熱処理する熱処理工程図 (c)本発明の第1実施例における高抵抗値抵抗器の抵
抗体を有する基体をカーボン中で還元する還元抵抗値制
御工程図、又は大気中で酸化する酸化抵抗値制御工程図 (d)本発明の第1実施例における高抵抗値抵抗器の電
極形成工程図 (e)本発明の第1実施例における高抵抗値抵抗器のエ
ポキシ塗布工程図
【図2】(a)本発明の第1実施例における電極形成工
程で得られた高抵抗値抵抗器の斜視図 (b)本発明の第2実施例における高抵抗値抵抗器の抵
抗値制御を示すトリミング工程図 (c)本発明の第2実施例における高抵抗値抵抗器のエ
ポキシ塗布工程図
【図3】本発明の第3実施例における高抵抗値抵抗器を
用いた焦電型赤外線センサーの回路図
【図4】本発明の第3実施例の高抵抗値抵抗器を用いた
焦電型赤外線センサーの測定系図
【図5】本発明の第3実施例の高抵抗値抵抗器を用いた
焦電型赤外線センサーの出力の温度依存示す曲線図
【図6】従来の高抵抗値抵抗器の構造を示す斜視図
【図7】従来のその他の高抵抗値抵抗器の構造を示す斜
視図
【符号の説明】
1,1′,11 高抵抗値抵抗器 2 基体 3 抵抗体(第1) 4 抵抗体(第2) 5a,5b 電極 6 エポキシ塗料 7 トリミング部 8 焦電型赤外線センサー 9 焦電素子 10 FET 12 グランド端子 13 バイアス端子 14 出力端子 15 熱源 16 チョッパー 17 恒温槽 21 基体 22 抵抗層 23a,23b,32a,32b 電極 31 抵抗体
フロントページの続き (72)発明者 渡辺 浩一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】抵抗体を担持するための基体と、基体の両
    端部に設けられた一対の電極と、前記一対の電極間に抵
    抗値を有しかつ少なくとも前記基体の表面部に担持され
    ているSi及びその酸化物からなる抵抗体と、からなる
    ことを特徴とする高抵抗値抵抗器。
  2. 【請求項2】前記基体が、Al23を主成分とする円柱
    状の硝子からなることを特徴とする請求項1に記載の高
    抵抗値抵抗器。
  3. 【請求項3】前記電極が、前記基体の両端部に圧入され
    た金属キャップからなることを特徴とする請求項1又は
    2に記載の高抵抗値抵抗器。
  4. 【請求項4】25℃における抵抗値が7×108Ω〜1
    ×1013Ωの範囲で、かつ、抵抗温度係数が負であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1に記載の
    高抵抗値抵抗器。
  5. 【請求項5】25℃〜50℃におけるB定数が1200
    K〜3600Kの範囲内である請求項1乃至4のいずれ
    かに記載の高抵抗値抵抗器を増幅回路の負帰還抵抗に用
    いたことを特徴とする焦電型赤外線センサー。
  6. 【請求項6】基体表面の熱処理によりSi及びその酸化
    物である抵抗体を酸化させて担持を行い抵抗基体を形成
    する熱処理工程と、前記抵抗基体をカーボン中で熱処理
    を行う還元抵抗値制御工程、又は大気中で熱処理を行う
    酸化抵抗値制御工程と、前記抵抗基体の両端に一対の電
    極を形成する電極形成工程と、を備えたことを特徴とす
    る高抵抗値抵抗器の製造方法。
  7. 【請求項7】前記抵抗体を形成する抵抗材料として、シ
    ロキサンを用いたことを特徴とする請求項6に記載の高
    抵抗値抵抗器の製造方法。
  8. 【請求項8】前記電極形成工程後、抵抗値を測定しなが
    らトリミングを行うトリミング工程を備えたことを特徴
    とする請求項6又は7に記載の高抵抗値抵抗器の製造方
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100342305B1 (ko) * 1999-10-26 2002-06-27 유니썸테크놀로지 주식회사 다층구조의 부 온도 계수 적외선 센서 및 그 제조 방법
CN106448973A (zh) * 2016-08-18 2017-02-22 陆川县华鑫电子厂 一种负温度系数ntc热敏电阻器及其制备方法
CN105810423B (zh) * 2015-01-21 2018-09-25 株式会社电装 用于内燃机的点火线圈

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