JPH08295914A - ステンレス粗溶鋼の精錬方法 - Google Patents

ステンレス粗溶鋼の精錬方法

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JPH08295914A
JPH08295914A JP12743495A JP12743495A JPH08295914A JP H08295914 A JPH08295914 A JP H08295914A JP 12743495 A JP12743495 A JP 12743495A JP 12743495 A JP12743495 A JP 12743495A JP H08295914 A JPH08295914 A JP H08295914A
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slag
refining
furnace
chromium
temperature
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JP12743495A
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Kenichiro Miyamoto
健一郎 宮本
Hisahiro Kitamura
寿宏 北村
Ryoji Tsujino
良二 辻野
Akio Shinkai
昭男 新飼
Katsuhiko Kato
勝彦 加藤
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 突沸を起こさず、かつ耐火物溶損を増加させ
ずに、脱炭精錬中のCr酸化を防止し、Fe−Siの如
き高価な還元材を用い効率的なステンレス鋼の精錬方法
を提供する。 【構成】 Crを含有した溶鉄を、精錬炉にて脱炭精錬
するに際し、前チャージで生成したCr酸化物を含有す
る脱炭滓を炉内に残存させ、金属Al、金属Si含有物
等の還元材を添加した後、溶銑を全量又は1/10〜1
/2の量を装入し炉内の攪拌を行い、次いで残溶銑を装
入した後、スラグ組成をCaO/SiO2 が1.5〜
4.5、Al23 を3〜25%、MgOを10%以下
とし、その後、炭材添加と吹酸により昇温還元し、前記
脱炭滓中のCr分を還元した後、Cr回収済スラグ排滓
後の溶鉄に炭材添加及び吹酸昇温を行い、[C]を2.
0〜4.0%、かつ温度を1450〜1600℃に調整
し、引き続き同一炉でFe−Cr合金を添加しつつ、吹
酸脱炭精錬を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、精錬炉によるステンレ
ス鋼精錬において、前チャージで生成した脱炭滓中のク
ロム分を、次チャージの溶銑で還元した後、クロム回収
済スラグを排滓し、引き続いて同一炉で脱炭精錬するこ
とを特徴とするステンレス粗溶鋼の精錬方法である。
【0002】
【従来の技術】クロムを含んだ溶鋼を精錬するための原
料としては、炉外精錬で脱燐、脱硫した高炉溶銑、クロ
ム鉱石の溶融還元により生成した含クロム溶銑、ステン
レス鋼スクラップを利用して電気炉で溶製した含クロム
溶鉄などがある。これらの原料は上吹き転炉、上底吹き
転炉、AODで吹酸脱炭精錬され、場合によっては、さ
らにVODやRH−OBといった真空精錬炉で吹酸脱炭
精錬されることによって、材質特性を満たす炭素濃度へ
と低下されている。
【0003】しかしながら、これらの精錬炉において
は、吹酸終了時に、吹酸脱炭中に生成した酸化クロム
(Cr23 )を、フェロシリコン(Fe−Si)等の
還元剤を用いて還元回収することが広く行われている。
この還元剤は価格が高いため、吹酸中のクロム酸化をで
きる限り低下させる試みがなされている。例えば、特開
昭61−3815号公報や特開昭61−19716号公
報には、吹錬中の送酸速度と攪拌力とを適正に制御する
ことで、クロムの酸化を抑制した精錬方法が開示されて
いる。しかし、これらの方法を用いても、還元剤使用量
をゼロにすることはできていない。
【0004】ところで、脱燐は炉外精錬で実施し、単に
クロム酸化物の還元のみを目的とする場合は、クロム酸
化物の転炉型反応容器での溶融還元技術に相当し、この
ような技術は特開昭60−9815号公報や特開平1−
215913号公報に開示されている。この方法は、特
定のスラグ組成に制御した条件下でクロム鉱石と炭材と
を連続的に添加するものである。しかし、スラグ中に含
有されるクロム酸化物濃度は脱炭滓に比較すると極めて
低く、スラグの流動性が高いことと、還元用に多量の炭
材を使用するため、溶銑中の炭素濃度は飽和濃度に近
く、溶銑による還元も速い速度で進行するという特徴が
あり、この技術では、クロム酸化物濃度が高く流動性に
乏しいスラグ状態での、炭素不飽和で、かつスラグ中の
炭材が存在しない条件下での還元は困難であるという問
題があった。
【0005】また、含クロム鋼滓からのクロムの回収方
法として、含クロム鋼の残滓を冷却固化し、転炉におけ
る他の含クロム鋼用チャージの吹錬時に固体残滓を添加
する方法が、特開昭53−119210号公報に開示さ
れている。しかし、この方法では、含クロム鋼の残滓を
冷却固化させるため、溶銑装入時の突沸は回避できるも
のの、低温時にはほとんど反応が進行せず、短時間で還
元反応を進行させて目標量のクロム分を回収するには、
ある程度の温度まで溶銑温度およびスラグ温度を上昇さ
せる必要があり、このことに起因して著しい精錬時間の
延長、すなわち生産性の低下を招くといった問題があっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特開昭61
−3815号公報や特開昭61−19716号公報に開
示された技術では、高価な還元剤使用量をゼロにするこ
とができないといった問題や、特開昭60−9815号
公報や特開平1−215913号公報に開示されている
方法では、Cr23 濃度が高く流動性がないスラグ状
態での、炭素不飽和で、かつ、スラグ中に炭材が存在し
ない条件での還元が困難であるといった問題、さらには
特開昭53−119210号公報に開示されている方法
では、著しい吹錬時間の延長を招くといった問題を解決
し、効率的な脱炭滓を用いたステンレス粗溶鋼の製造方
法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するものであって、クロムを含有した溶鉄を、精錬炉
にて脱炭精錬するに際し、前チャージで生成したクロム
酸化物を含有する脱炭滓を炉内に残存させたまま、アル
ミドロスなどの金属Al含有物、あるいはフェロシリコ
ンなどの金属Si含有物の少なくとも一種の還元材を添
加した後、溶銑の全量を装入するか、好ましくは全装入
溶銑量の1/10〜1/2の溶銑を装入(1次装入)
し、炉内攪拌を行い、次いで、残りの溶銑を装入(2次
装入)した後、炭材の添加と吹酸により昇温還元して前
記脱炭滓中のクロム分を還元した後、クロム回収済スラ
グを排滓し、引き続いて同一炉でフェロクロム合金を溶
解しつつ、脱炭精錬を行うことを特徴とするステンレス
粗溶鋼の精錬方法である。
【0008】ここで、脱炭滓が残存した炉内に装入する
溶銑温度としては1200〜1500℃、1次溶銑装入
後の底吹き攪拌時間としては1〜5分、吹酸昇温還元時
の送酸速度としては1.5〜6.0(Nm3 /分/t・
steel)の範囲であれば、より好ましい結果が得ら
れる。また、アルミドロス投入後のスラグ成分として
は、CaO/SiO2 が1.5〜4.5、Al23
度が3〜25%、MgO濃度が10%以下であることが
望ましい。さらに、吹酸昇温によるクロムの還元精錬、
排滓後に同一炉にて引き続いて行うフェロクロムの添加
・溶解および脱炭精錬工程においては、フェロクロム添
加前の溶銑中「C」濃度を2.0〜4.0%、かつ、温
度を1450〜1600℃とすることが望ましい。
【0009】
【作用】本発明の工程の1例を図1に示す。工程1は脱
燐、脱硫溶銑の転炉への装入工程を、工程2は昇温還元
工程を、工程3は中間排滓工程を、工程4は脱炭および
フェロクロム合金の添加・溶解工程を、工程5は出鋼工
程を示す。図1において、1は前チャージで生成した脱
炭滓、2は溶鉄(溶銑ないしは溶鋼)、3は上底吹き転
炉、4は脱炭滓、5はクロム回収済スラグである。この
ように、前チャージの脱炭により生成した脱炭滓を転炉
内に残したまま、次チャージの溶銑を装入し、次に酸素
を上吹きして昇温を行うとともに、脱炭滓中のクロム酸
化物を還元する。その後、炉を傾動してこのクロム分回
収スラグを排滓した後、炉を直立させ、酸素を上吹きあ
るいは上底吹きにて供給することにより脱炭を行うとと
もに、フェロクロム合金を添加・溶解してステンレス粗
溶鋼を製造する工程である。なお、本発明でいう精錬炉
とは、上吹き転炉、上底吹き転炉、AODなどに代表さ
れる酸化性ガスによる吹錬を精錬手段とする反応容器を
指している。
【0010】本発明は炉内に残存した脱炭滓を冷却する
ことなく、溶銑装入時における過剰な反応によってスラ
グおよび溶鉄が炉口から急激に溢れ出す現象、すなわち
突沸を防止し、かつ、溶銑および脱炭滓の温度を低下さ
せずにその後の吹酸昇温を迅速に行い、脱炭滓の組成を
適正にコントロールすることによって、クロム酸化物の
高還元速度の達成が可能なことに立脚している。本発明
者らは、種々の実験を行うことにより、脱炭滓を冷却せ
ず、高温を保持した状態で溶銑を装入するに際し、突沸
を防止し、かつ、その後の昇温還元期でのCr23
還元速度を高位に維持するには、脱炭滓に適量の金属A
lを含有する還元材を添加し、その後、溶銑を装入して
炉内攪拌を行うことにより、還元材中の金属アルミニウ
ム分あるいは金属シリコン分によって、脱炭滓中のFe
OやCr23 を還元することで、スラグや溶銑の温度
降下を極力防止しつつ、スラグ中の酸素ポテンシャルを
低下させることが有効であることを知見しえた。
【0011】本発明は前記知見に基づきなされたもので
ある。すなわち、脱炭滓中のFeO濃度やCr23
度が高い、つまり、スラグ中の酸素ポテンシャルが高
く、溶銑中との急激な反応によってCOガスが発生
し、突沸の危険性がある場合には、COガスの発生を伴
わないAl、Siによる軽還元を行い、スラグ中の酸素
ポテンシャルをある程度にまで低下させることにより、
突沸の発生を完全に防止することが可能となる。
【0012】さらに下記(1)〜(3)式に示すように
Al、Siの単位重量当たりの酸化反応熱は炭素の酸化
熱よりも3倍以上大きく、スラグおよび溶銑温度の高温
保持には有利である。 Al+3/4O2 →1/2Al23 +7420(kcal/kg・Al) ・・・(1) Si+O2 →SiO2 +7460(kcal/kg・Si) ・・・(2) C+1/2O2 →CO2 +2200(kcal/kg・C) ・・・(3)
【0013】Al、Siによる還元時のスラグおよび溶
銑温度の高温保持は、その後の吹酸による昇温還元時の
還元速度の高位維持のために重要である。すなわち、C
23 の溶銑中による還元反応は吸熱反応であるた
め、高温であるほど有利であり、したがって、吹酸開始
前の温度が低いと所定の温度に昇温するまでは還元速度
が上がらず、昇温時間が延びる分、結果として吹酸昇温
還元期での平均の還元速度が低下してしまうことにな
る。
【0014】また、金属Al、Siを含む還元材による
還元を行うに際し、短時間で効率的に脱炭滓中の酸素ポ
テンシャルを低下させ、かつ、脱炭滓中のCr23
効率良く回収するには、還元材添加後に全装入溶銑量の
1/10〜1/2の溶銑を装入し、5分以下、好ましく
は1〜5分間の底吹きガスによる攪拌、複数回の炉振り
の少なくとも1つを行うことが好ましい。これは、脱炭
滓と還元材とを溶銑中に懸濁させることにより、脱炭滓
中のFeOやCr23 と還元材中のAlやSiの反応
を効率的に行わせるためである。
【0015】ここで、Alによる還元時の装入溶銑量が
1/10より少ない場合、脱炭滓と還元材の懸濁不足に
起因して場合によっては、脱炭滓中の酸素ポテンシャル
の低下が十分ではなく、溶銑の2次装入時に、突沸まで
は起こさないものの、軽度のフォーミングを起こし、炉
口部分にスラグが付着してしまうことによって、脱炭滓
中のCr23 の回収率が、若干低下してしまう(炉内
フォーミング)からである。また、逆に1/2より多い
場合(全量装入を含む)は、脱炭滓と還元材中Al、S
i以外の反応、すなわち、脱炭滓と溶銑中との反応サ
イトが瞬間的に増大するために、1次装入時に炉内フォ
ーミングを引き起こす可能性が生じる。
【0016】さらに、1次溶銑装入後の脱炭滓と還元材
中のAl、Siとの反応を効率的に行わせるには、5分
以下で好ましくは1〜5分間の底吹きガスによる攪拌あ
るいは複数回の炉振り、すなわち、少なくとも2回で好
ましくは4〜7回を行うことの少なくとも1つを行うこ
とが有効である。また、攪拌はガス吹き込みと炉振りを
組み合わせて行うと、より効果的である。この場合、攪
拌時間が1分未満であると、場合によっては、還元材中
のAl、Siと脱炭滓との懸濁不足に起因して、脱炭滓
中の酸素ポテンシャルの低下が不十分であり、炉内フォ
ーミング発生の可能性を伴う。
【0017】逆に5分を超えても酸素ポテンシャルの低
下効果は少なく、スラグおよび溶銑温度の低下を引き起
こし、その後の吹酸昇温時間の延長や、Cr23 還元
速度の低下に起因した処理時間の延長による生産性の低
下を招くことになる。さらに、底吹き攪拌と複数回の炉
振りの双方とも行わない場合には、脱炭滓中の酸素ポテ
ンシャルの低下が不十分となり、炉内フォーミング発生
の可能性はさらに高くなる。
【0018】なお、炉内に装入する溶銑温度としては、
1200〜1500℃という条件が望ましい。これは溶
銑温度が1200℃未満であると、Al、Siによる還
元後のスラグ、溶銑温度が十分でなく、その後の昇温還
元に長時間を要するからであり、逆に1500℃を超え
るような場合には、例え酸素ポテンシャルを低く維持し
ても脱炭滓中のCr23 と溶銑中のの急激な反応に
よる突沸発生が起こり得るからである。
【0019】また、吹酸による昇温還元期における送酸
速度としては、1.5〜6.0(Nm3 /分/t)の範
囲が望ましい。これは、1.5(Nm3 /分/t)未満
の送酸速度で昇温還元を行う場合には、還元反応に必要
な熱供給の不足による還元速度低下を招くためであり、
6.0(Nm3 /分/t)を超える場合には、熱供給過
剰による溶鋼温度異常上昇を招き、耐火物溶損の増大を
引き起こすことになる。
【0020】さらに、本発明者らは、吹酸昇温還元期に
おいて溶銑中のによるCr23の高還元速度を達成
するためには、還元材投入後のスラグ組成をCaO/S
iO2 が1.5〜4.5、Al23 濃度が3〜25
%、MgO濃度が10%以下とすることが極めて有効的
であることを見いだした。これは、スラグ/メタル間お
よび液相スラグ/固体鉱物相間の有効反応界面積として
規定されるスラグ液相率の最適保持と、スラグ中Cr2
3 の活量(aCr2O3 )の高位維持の観点から成り立っ
ている。ここで、CaO/SiO2 が1.5より小さい
場合には、MgO飽和濃度増大に起因する耐火物溶損の
促進が問題となり、実用的でない。また、4.5を超え
るような場合には、スラグ固化に伴う液相率の低下およ
びスラグ量増大に起因した排滓時間の延長による生産性
の低下が問題となる。
【0021】また、Al23 濃度が3%未満である
と、高融点酸化物であるCr23 を含有したスラグの
液相率の高位維持が困難となり、還元速度の低下を招
く。逆に、Al23 濃度が25%を超えても液相率の
改善効果はさほど顕著ではなく、MgO飽和濃度増大に
起因する耐火物溶損の促進が問題となる。また、還元材
添加後のMgO濃度が10%を超えるような場合には、
スピネル化合物であるMgO・Cr23 が容易に生成
することによるaCr2O3 の低下に起因した還元速度の低
下が問題となる。
【0022】しかしながら、上記の如く高効率還元を行
った場合でも、還元用の炭材コストを極力抑制し、より
短時間で還元を行うためには、排滓後の吹酸脱炭精錬工
程においてCr23 の生成を極力抑制することが重要
である。本発明者らはこのための条件について鋭意検討
を行った。吹酸脱炭精錬における脱炭速度は以下の
(4)式で表すことができる。 −d[%C]/dt=K・([%C]−[%C]e ) ・・・(4) Kは脱炭速度定数、[%C]e は平衡炭素濃度である。
【0023】ここで、特に溶鋼中炭素の移動律速領域に
おける含クロム溶鋼の吹酸脱炭精錬の場合、(4)式中
のドライビングフォース項(([%C]−[%C]
e ))が小さくなると脱炭に消費されるべき酸素量が少
なくなり、クロムの酸化に消費されてしまうため、クロ
ム酸化が増大することになる。したがって、クロム酸化
を抑制し、優先脱炭を確保するためには、このドライビ
ングフォース項を極力、大きく保持することが重要であ
ることになる。具体的には、クロム回収済スラグ排滓後
の溶鉄に炭材添加や吹酸昇温を行うことにより、フェロ
クロム合金添加前の溶鉄中[C]濃度を2.0〜4.0
%、かつ、濃度を1450〜1600℃に調整すること
にある。
【0024】ここで、フェロクロム合金添加直前の溶鉄
中[C]濃度が2.0%未満であると、フェロクロム合
金添加中での(4)式中のドライビングフォース項が低
下することに起因する脱炭不足、すなわちクロム酸化の
増大、ひいては、還元用炭材原単位増大によるコストア
ップを招くことになり、4.0%を超える場合には、そ
れ以上のクロム酸化抑制効果は非常に少なく、かつ、脱
炭量の増大による処理時間延長および熱過剰による異常
温度上昇などの操業阻害を引き起こすことになる。ま
た、排滓後の溶鉄の温度が1450℃に満たない場合に
は、例え[C]濃度を上記範囲に保持しても、平衡
[C]濃度([%C]e )が上昇することに起因してド
ライビングフォースが低下し、クロム酸化の増大を引き
起こすことになる。逆に、1600℃を超えてもクロム
酸化抑制効果は小さく、熱過剰による耐火物溶損の増長
や冷却材使用量の増大を引き起こすことになる。
【0025】また、ステンレス粗溶鋼の原料の一部とし
て、スクラップを用いる場合には、クロム回収済スラグ
の排滓後にスクラップを装入し、その後、炭材添加およ
び吹酸昇温を行うことにより、溶鋼中[C]濃度を2.
0〜3.5%、かつ、溶鋼温度を1450〜1600℃
とすることが望ましい。これは、吹酸昇温期の還元、排
滓効率の維持のためであり、スクラップを溶銑装入前に
装入すると、昇温還元期の温度低下および溶鋼クロム濃
度上昇による還元速度低下を招くことになり、排滓直前
では、スクラップの溶解に伴う溶鉄、スラグ温度の低下
によるスラグ液相率低下が排滓効率の悪化を引き起こす
ためである。
【0026】
【実施例】実施例の工程は図1と同一である。前チャー
ジの脱炭精錬により生成した脱炭滓を炉内に残存させた
175トン上底吹き転炉内へ、還元材として金属Al、
フェロシリコンあるいは金属Al分を60%含むアルミ
ドロスを添加し、その後、次チャージの溶銑を1次装入
し、底吹き攪拌による還元処理を行った。さらにその
後、残りの溶銑を装入した(2次装入)。次に、炭材を
添加しつつ上吹き吹酸により酸素を供給して昇温を行う
とともに、スラグ中のCr23 を溶銑中のにて還元
する(昇温還元期)。昇温還元後は転炉を傾動して一部
もしくは大部分のスラグを排滓し、次いで炉を直立さ
せ、フェロクロム合金やフラックスを添加しつつ送酸を
行い、脱炭精錬を実施した。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】表1および表2は昇温還元工程までにおけ
る本発明の実施例を比較例とともに示した表である。試
験番号1から30は本発明による実施例である。このう
ち試験番号1,2,7,8は還元材として金属Alを用
いた場合、試験番号3,4,9,10は還元材として金
属Siを75%含有したフェロシリコンを用いた場合、
その他は金属Alを60%含有したアルミドロスを用い
た場合である。これに対し、試験番号31から41は比
較例を示した。このうち試験番号31は還元材を全く用
いない場合であるが、分割装入を行った場合でも、1次
溶銑装入時の酸素ポテンシャルが高いことに起因して突
沸の発生がみられる。
【0030】また、試験番号32,33は装入溶銑温度
が1200℃より低い場合と1500℃を超える場合で
あるが、温度が低すぎると、2次溶銑装入後の温度低下
の大きく、これに起因して昇温還元期での還元速度の低
下が見られ、高すぎる場合には、2次溶銑装入時の突沸
発生および昇温還元時の耐火物溶損が問題となる。試験
番号34はガス攪拌時間が5分より長い場合の例である
が、スラグ・溶銑の温度降下が大きく、その後の昇温還
元期での還元速度の低下が見られる。さらに、試験番号
35,36は塩基度が1.5より小さい場合および4.
5を超える場合であるが、低塩基度時においては耐火物
の溶損が問題となり、高塩基度時においてはスラグ固化
に伴う還元速度の低下および排滓性の悪化が問題とな
る。
【0031】次に試験番号37,38はスラグ中Al2
3 濃度が3%より低い場合と25%を超える場合であ
るが、低Al23 濃度の場合には液相率低下による還
元速度の低下が問題となり、逆にAl23 濃度が高す
ぎる場合には、飽和MgO濃度の上昇に伴う耐火物溶損
が問題となる。また、試験番号39はMgO濃度が10
%を超えてしまう場合であるが、この番号はMgO・C
23 生成による還元速度の低下が認められる。さら
に試験番号40,41は昇温還元期の送酸速度が1.5
より低い場合と6.0を超える場合であるが、低送酸速
度時は熱供給速度不足による還元速度の低下が、また、
高送酸速度時には耐火物溶損が問題となる。
【0032】
【表3】
【0033】表3は脱炭精錬終了時における本発明の実
施例を比較例および従来法とともに示した表である。こ
の場合、鋼種はいずれも16%Cr鋼とし、吹止[%
C]値は、0.7%とした、試験番号34〜39は本発
明による実施例である。これに対し、試験番号48,4
9はフェロクロム合金添加前の[C]濃度が2.0%よ
り低い場合および4.0%を超える場合であるが、低
[C]時にはクロム酸化の増大が見られた。逆に、
[C]濃度が高すぎる場合にはクロム酸化の抑制は十分
であるものの、過剰脱炭による温度上昇に起因した耐火
物の溶損が問題となる。また、試験番号50,51はフ
ェロクロム添加前の温度が1450℃より低い場合、お
よび1600℃を超える場合であるが、低温時にはクロ
ム酸化の抑制が不十分となり、逆に、温度が高すぎる場
合には耐火物の異常損耗が問題となる。
【0034】
【発明の効果】本発明により、転炉型反応容器による精
錬において、前チャージの脱炭滓を次チャージの吹錬に
利用することで突沸を起こすことなく、かつ、耐火物溶
損を増加させることなしに、高価な還元材を全く使用し
ない低コスト、かつ効率的なステンレス鋼の精錬が可能
となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による工程の1例を示す図
【符号の説明】
1 前チャージで生成した脱炭滓 2 溶鉄(溶銑ないしは溶鋼) 3 上底吹き転炉 4 脱炭滓 5 クロム回収済スラグ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新飼 昭男 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鉄所内 (72)発明者 加藤 勝彦 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鉄所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロムを含有した溶鉄を、精錬炉にて脱
    炭精錬するに際し、前チャージで生成したクロム酸化物
    を含有する脱炭滓を炉内に残存させたまま、金属Al含
    有物、金属Si含有物の少なくとも一種の還元材を添加
    した後、溶銑を装入して、精錬炉内の攪拌を行い、次い
    で、炭材の添加と吹酸により昇温還元して前記脱炭滓中
    のクロム化を還元した後、クロム回収済スラグを排滓
    し、引き続いて同一炉でフェロクロム合金を溶解しつ
    つ、脱炭精錬を行うことを特徴とするステンレス粗溶鋼
    の精錬方法。
  2. 【請求項2】 クロムを含有した溶鉄を、精錬炉にて脱
    炭精錬するに際し、前チャージで生成したクロム酸化物
    を含有する脱炭滓を炉内に残存させたまま、金属Alを
    含有したアルミドロスを投入した後、全装入溶銑量の1
    /10〜1/2を装入して、底吹きガスによる攪拌、複
    数回の炉振りの少なくとも1つを行い、次いで、残りの
    溶銑を装入した後、炭材の添加と吹酸により昇温還元し
    て前記脱炭滓中のクロム分を還元した後、クロム回収済
    スラグを排滓し、引き続いて同一炉でフェロクロム合金
    を溶解しつつ、脱炭精錬を行うことを特徴とするステン
    レス粗溶鋼の精錬方法。
  3. 【請求項3】 前チャージで生成した酸化クロムを含有
    する脱炭滓の、還元材およびアルミドロス投入後の成分
    が、CaO/SiO2 が1.5〜4.5、Al23
    度が3〜25%、MgO濃度が10%以下であることを
    特徴とする請求項1または2記載のステンレス粗溶鋼の
    精錬方法。
  4. 【請求項4】 クロム回収済スラグ排滓後の溶鉄に、炭
    材添加および吹酸昇温を行うことにより、溶鉄中[C]
    濃度を2.0〜4.0%、かつ、温度を1450〜16
    00℃に調整し、引き続いて同一炉でフェロクロム合金
    を添加しつつ、吹酸脱炭精錬を行うことを特徴とする請
    求項1ないし3記載のステンレス粗溶鋼の精錬方法。
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