JPH08291060A - 角膜障害治療剤および角膜保護剤 - Google Patents

角膜障害治療剤および角膜保護剤

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JPH08291060A
JPH08291060A JP7094721A JP9472195A JPH08291060A JP H08291060 A JPH08291060 A JP H08291060A JP 7094721 A JP7094721 A JP 7094721A JP 9472195 A JP9472195 A JP 9472195A JP H08291060 A JPH08291060 A JP H08291060A
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corneal
carbon atoms
branched alkyl
straight chain
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JP7094721A
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Eiichi Shirasawa
栄一 白澤
Masatsugu Nakamura
雅胤 中村
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Santen Pharmaceutical Co Ltd
Teijin Ltd
Original Assignee
Santen Pharmaceutical Co Ltd
Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 角膜障害の治療ならびに角膜の保護に有用で
かつ安定性に優れた新たな化合物を提供し、また、角膜
内皮の機能を維持するために必要な条件を満たしている
新たな潅流液を提供する。 【構成】 一般式[I]で表される化合物またはその塩
類を有効成分とする角膜障害治療剤ならびに角膜保護
剤、および該化合物を含有する眼内潅流液である。 【化1】 [式中、Rは炭素数1〜10個の直鎖もしくは分枝のア
ルキル基、炭素数3〜10個のシクロアルキル基または
芳香族基で置換された炭素数1〜5個の直鎖もしくは分
枝のアルキル基を示す。]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はγ−L-グルタミル−L-シ
ステインエステルの酸化型2量体またはその塩類を有効
成分とする角膜上皮伸展に対する促進効果を有する角膜
障害治療剤および角膜内皮バリアー機能に対する保護効
果を有する角膜保護剤、さらに角膜内皮バリアー機能に
対する保護効果を示すγ−L-グルタミル−L-システイン
エステルの酸化型2量体を含有する眼内潅流液に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】角膜は直径約1cm、厚さ約1mmの透
明な無血管の組織である。角膜の透明性は視機能に重要
な影響を与えており、角膜における種々の生理生化学的
現象は、主として角膜の透明性の維持ということを目的
として機能している。
【0003】種々の疾患により引き起こされた角膜上皮
欠損は、混合感染の併発がなければ自然に修復する。し
かし、何らかの理由で修復が遅延したりあるいは行われ
ずに上皮欠損が遷延化すると、上皮の正常な構築に悪影
響を与えるのみならず、実質や内皮の構造や機能まで害
される。従来からの治療法の原理は、外界の刺激から角
膜表面を保護することにより自然に上皮が伸展して欠損
部の再被覆をはかるという受動的なものである。近年、
細胞生物学の発展に伴い、細胞の***・移動・接着・伸
展等に関与する因子が解明されており、角膜上皮欠損の
修復には、角膜上皮の伸展を促進する化合物が重要な役
割を担うことが報告されている(臨眼,46, 738-743 (1
992)、眼科手術,5, 719-727 (1992) )。
【0004】一方、角膜内皮には、細胞間の接合体の働
きによって前房水からの水分の移動を減少させるバリア
ー機能があり、角膜の含水量および厚みを一定に保ち、
角膜の透明性を維持するのに関与している(Ophthalmol
ogy, 89, 531-590 (1982) )。バリアー機能の維持には
カルシウムイオンおよび還元型グルタチオンが不可欠で
あり、内皮細胞を潅流する溶液のpHが6.8〜8.2
の範囲内あるいは浸透圧が200〜400mOsmの範
囲内になければバリアー機能に障害が生じることが報告
されている(眼科手術,1, 113-121 (1988) )。
【0005】近年、白内障手術、硝子体手術等、長時間
の前房内または硝子体内潅流が必要な手術術式が発達・
普及してきた。そのため、種々の溶液が眼内潅流液とし
て臨床使用されてきた。生理食塩水や乳酸加リンゲル液
等の点滴用溶液は、角膜内皮の機能を維持するために必
要な条件が十分に満たされておらず、術後に角膜浮腫が
高頻度に認められた(Am. J. Ophthalmol., 85, 651-65
5 (1978)、Arch. Ophthalmol., 97, 1076-1078 (1979)
)。また、眼内専用の潅流液として最初に開発された
BSS(Balanced Salt Solution)は、より前房水に近
い化学組成を有している(Am. J. Ophthalmol., 49, 89
5-898 (1960))。
【0006】角膜潰瘍、角膜上皮剥離、角膜炎、眼球乾
燥症等種々の要因により角膜が損傷を受けた角膜障害に
対して、組織グルタチオンレベルが低下することが知ら
れている(あたらしい眼科,2, 21-28 (1985) )。これ
らの角膜障害に対し、グルタチオンを体外から補給し、
角膜上皮組織の修復を促進する試みが行われている。し
かしながら、グルタチオン自体は効率よく細胞に取り込
まれず、いったん分解されてペプチドや構成アミノ酸の
形で細胞に取り込まれて再合成される必要があるため、
グルタチオンそのものを投与しても組織グルタチオンレ
ベルの上昇にあまり有効ではない。また、点眼剤等を用
いての局所投与の場合も、グルタチオンの製剤中での安
定性が悪く、点眼時にグルタチオンの錠剤や顆粒を溶解
して用いられている。
【0007】γ−L-グルタミル−L-システインの各種エ
ステルの酸化型2量体について、いくつかの知見が報告
されている。メチルエステルは Floheらの報告(Z. Kli
n. Chem. Klin. Biochem., 8, 149-155 (1970))によっ
て公知であり、特開昭64−26516号公報にも記載
されている。エチルエステルは、特公昭63−6130
2号公報の記載によって公知である。さらに、3〜10
個の炭素原子を有する直鎖、分枝もしくは環状のアルキ
ルエステル、または芳香族基で置換された1〜5個の炭
素原子を有する直鎖もしくは分枝のアルキルエステル
が、特開昭64−19059号公報に開示されている。
【0008】上記の3公報には、γ−L-グルタミル−L-
システインエステルまたはその酸化型2量体が、グルタ
チオン生合成中間体のエステル誘導体であり、良好な膜
透過性を有し、組織に効率よく取り込まれた後、脱エス
テル化を受けて速やかにグルタチオンへと変換されるこ
とにより、組織グルタチオンレベルの上昇促進作用を有
していること、肝疾患治療剤、白内障治療剤および腎疾
患治療剤として有用であることが記載されている。
【0009】しかしながら、これらγ−L-グルタミル−
L-システインエステルまたはその酸化型2量体の角膜に
対する作用については、未だ研究されていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】角膜障害の治療ならび
に角膜の保護に有用でかつ安定性に優れた新たな化合物
を見いだすことは非常に重要な課題であった。また、角
膜内皮の機能を維持するために必要な条件を満たしてい
る新たな潅流液を調製することも非常に重要な課題であ
った。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、角膜障害
を治癒し、角膜を保護する新たな化合物の探索を行い、
その結果、特公昭63−61302号公報、特開昭64
−19059号公報および特開昭64−26516号公
報に記載されているγ−L-グルタミル−L-システインエ
ステルの酸化型2量体が角膜上皮の伸展を促進すること
および角膜内皮のバリアー機能を保護することを認め、
これら化合物が角膜障害の治療剤ならびに角膜の保護剤
として有用であること、また、眼内潅流液の成分として
も適していることを見いだした。
【0012】
【発明の開示】本発明は下記一般式[I]で表される化
合物(以下、本化合物とする)またはその塩類を有効成
分とする角膜障害治療剤ならびに角膜保護剤、および本
化合物を含有する眼内潅流液に関するものである。
【0013】
【化6】 [式中、Rは炭素数1〜10個の直鎖もしくは分枝のア
ルキル基、炭素数3〜10個のシクロアルキル基または
芳香族基で置換された炭素数1〜5個の直鎖もしくは分
枝のアルキル基を示す。] 本化合物の塩類とは医薬として許容される塩であれば特
に制限はなく、例えばナトリウム、カリウム、カルシウ
ム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属との塩、ア
ンモニア、ジエチルアミン、トリエタノールアミン等の
有機アミンとの塩;塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸との
塩;乳酸、マレイン酸、フマル酸、シュウ酸、メタンス
ルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸との塩等
が挙げられる。
【0014】一般式[I]中のRの定義において、炭素
数1〜10個の直鎖もしくは分枝のアルキル基として
は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が
好ましいものとして挙げられ、炭素数3〜10個のシク
ロアルキル基としては、シクロヘキシル基、シクロペン
チル基等が例示され、芳香族基で置換された炭素数1〜
5個の直鎖もしくは分岐のアルキル基としては、ベンジ
ル基、1−フェニル−2−プロピル基、3−フェニル−
1−プロピル基等を挙げることができる。
【0015】本化合物のうち特に優れた作用を有する化
合物の例として、γ−L-グルタミル−L-システインエチ
ルエステルの酸化型2量体が挙げられる。
【0016】本発明でいう角膜障害とは、種々の要因に
より角膜が損傷を受けた状態にある角膜潰瘍、角膜上皮
剥離、角膜炎、眼球乾燥症等をいう。
【0017】種々の疾患により引き起こされる角膜上皮
欠損が、何らかの理由で遷延化すると、上皮の正常構築
が障害されるのみならず、実質や内皮の構造や機能まで
障害される。角膜上皮欠損の修復には、角膜上皮の伸展
を促進する化合物が重要な役割を担うことが報告されて
いる(臨眼,46, 738-743 (1992)、眼科手術,5, 719-7
27 (1992) )。
【0018】そこで、本発明者等は特公昭63−613
02号公報、特開昭64−19059号公報および特開
昭64−26516号公報に記載されている、組織グル
タチオンレベルの上昇促進作用を有し、肝疾患、白内障
および腎疾患の治療剤となり得る本化合物の角膜上皮の
伸展に対する作用を検討した。その結果、詳細なデータ
については発明の効果の項で述べるが、本化合物が角膜
片の組織培養系において角膜上皮の伸展を促進すること
を認め、本化合物が角膜障害の治療剤として有用である
ことを見いだした。
【0019】一方、角膜内皮には、角膜の含水量および
厚みを一定に保ち、角膜の透明性を維持するのに関与し
ているバリアー機能がある(Ophthalmology, 89, 531-5
90 (1982) )。さらに、長時間の前房内または硝子体内
潅流が必要な手術術式が発達・普及し、より前房水に近
い化学組成を有するBSSが最初の眼内専用の潅流液と
して開発された(Am. J. Ophthalmol., 49, 895-898 (1
960))。
【0020】そこで、本発明者等は本化合物を含む前房
水に近い化学組成の溶液を用いて、角膜内皮のバリアー
機能に対する作用を検討した。その結果、詳細なデータ
については発明の効果の項で述べるが、本化合物を含む
溶液を潅流することでカルボキシフルオレセインの角膜
内皮透過性亢進を抑制し、角膜内皮のバリアー機能を保
護することを認め、本化合物が角膜の保護剤として有用
であることを見いだした。また、角膜内皮の保護作用を
有することより、本化合物が特に眼内潅流液の成分とし
て適しており、白内障手術、硝子体手術等に好適に用い
られることを見いだした。
【0021】本化合物またはその塩類は、経口でも、非
経口でも投与することができる。投与剤型としては、錠
剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、注射剤、点眼剤、潅流
液等が挙げられ、汎用されている技術を用いて製剤化す
ることができる。例えば、錠剤、カプセル剤、軟カプセ
ル剤、顆粒剤等の経口剤は、必要に応じて、乳糖、デン
プン、結晶セルロース、植物油等の増量剤、ステアリン
酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤、ヒドロキシプロピ
ルセルロース、ポリビニルピロリドン等の結合剤、カル
ボキシメチルセルロースカルシウム等の崩壊剤、ヒドロ
キシプロピルメチルセルロース等のコーティング剤等を
用いて製剤化することができる。また、点眼剤であれ
ば、塩化ナトリウム等の等張化剤、リン酸ナトリウム等
の緩衝化剤、塩化ベンザルコニウム等の防腐剤等を用い
て製剤化することができる。pHは眼科製剤に許容され
る範囲内にあればよいが、4〜8の範囲が好ましい。眼
内潅流液は、前房水の生理的条件に適するように調製す
ればよく、例えば、本化合物にナトリウム、カリウム、
カルシウム、マグネシウム等の無機イオン、炭酸水素イ
オン等を条件に適するように配合し、さらにpHを6.
8〜8.0の範囲内および浸透圧を250〜350mO
smの範囲内に調整すればよい。
【0022】投与量は症状、年令、剤型等により適宜選
択できるが、経口剤であれば通常1日0.1〜5000
mg、好ましくは2〜2000mgを1回または数回に
分け投与することができる。また、点眼剤であれば0.
001%〜10%、好ましくは0.01〜3%のものを
1日1〜数回点眼すればよい。
【0023】以下に、本化合物の製剤例を示すがこれら
の例は本発明をよりよく理解するためのものであり、本
発明の範囲を限定するものではない。
【0024】
【実施例】
[製剤例]本化合物の代表例としてγ−L-グルタミル−
L-システインエチルエステルの酸化型2量体を用いた代
表的な製剤例を以下に示す。
【0025】 実施例1(錠剤1) 100mg中 γ−L-グルタミル−L-システイン エチルエステルの酸化型2量体 2 mg 乳糖 65.4mg トウモロコシデンプン 20 mg カルボキシメチルセルロース カルシウム 6 mg ヒドロキシプロピルセルロース 4 mg ステアリン酸 マグネシウム 0.6mg
【0026】上記処方の錠剤に、コーティング剤(例え
ば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴー
ル、シリコン樹脂等通常のコーティング剤)2mgを用
いてコーティングを施し、目的とするコーティング錠を
得た(以下の処方の錠剤も同じ)。
【0027】 実施例2(錠剤2) 100mg中 γ−L-グルタミル−L-システイン エチルエステルの酸化型2量体 20 mg 乳糖 51 mg トウモロコシデンプン 15 mg カルボキシメチルセルロース カルシウム 5 mg ヒドロキシプロピルセルロース 5 mg ステアリン酸 マグネシウム 1 mg タルク 1 mg コーティング剤 2 mg
【0028】 実施例3(錠剤3) 220mg中 γ−L-グルタミル−L-システイン エチルエステルの酸化型2量体 100 mg 乳糖 67 mg トウモロコシデンプン 20 mg カルボキシメチルセルロース カルシウム 10 mg ヒドロキシプロピルセルロース 10 mg ステアリン酸 マグネシウム 4 mg タルク 4 mg コーティング剤 5 mg
【0029】 実施例4(カプセル剤1) 150mg中 γ−L-グルタミル−L-システイン エチルエステルの酸化型2量体 10 mg 乳糖 140 mg
【0030】乳糖との混合比を変えることにより、成分
量が30mg/カプセル(カプセル剤2)、50mg/
カプセル(カプセル剤3)、100mg/カプセル(カ
プセル剤4)のカプセル剤も調製した。
【0031】 実施例5(顆粒剤1) 100mg中 γ−L-グルタミル−L-システイン エチルエステルの酸化型2量体 30 mg マンニトール 46.5mg ポリビニルピロリドンK−30 7 mg オイドラギットRL 15 mg トリアセチン 1.5mg
【0032】 実施例6(顆粒剤2) 130mg中 γ−L-グルタミル−L-システイン エチルエステルの酸化型2量体 50 mg 乳糖 55 mg バレイショデンプン 20 mg ヒドロキシプロピルセルロース 4 mg タルク 微量
【0033】 実施例7(注射剤) 10ml中 γ−L-グルタミル−L-システイン エチルエステルの酸化型2量体 10〜100mg 塩化ナトリウム 90 mg 水酸化ナトリウム 適量 滅菌精製水 適量
【0034】 実施例8(点眼液1) 100ml中 γ−L-グルタミル−L-システイン エチルエステルの酸化型2量体 10 mg 塩化ナトリウム 900 mg 滅菌精製水 適量
【0035】γ−L-グルタミル−L-システインエチルエ
ステルの酸化型2量体の添加量を変えることにより、濃
度が0.03%(w/v)(点眼液2)、0.1%(w
/v)(点眼液3)、0.3%(w/v)(点眼液4)
の点眼液も調製した。
【0036】 実施例9(点眼液5) 100ml中 γ−L-グルタミル−L-システイン エチルエステルの酸化型2量体 100 mg 塩化ナトリウム 800 mg リン酸水素二ナトリウム 100 mg リン酸二水素ナトリウム 適量 滅菌精製水 適量
【0037】γ−L-グルタミル−L-システインエチルエ
ステルの酸化型2量体の添加量を変えることにより、濃
度が0.3%(w/v)(点眼液6)、1%(w/v)
(点眼液7)、3%(w/v)(点眼液8)の点眼液も
調製した。
【0038】 実施例10(潅流液) ・I液 480ml中 塩化ナトリウム 3570 mg 塩化カリウム 190 mg リン酸水素二ナトリウム 208 mg 炭酸水素ナトリウム 1050 mg 水酸化ナトリウム 適量 塩酸 適量 滅菌精製水 適量
【0039】 ・II液 20ml中 γ−L-グルタミル−L-システイン エチルエステルの酸化型2量体 75 mg 塩化カルシウム 77 mg 塩化マグネシウム 100 mg ブドウ糖 460 mg 水酸化ナトリウム 適量 塩酸 適量 滅菌精製水 適量
【0040】使用時にI液とII液を混合し、pHが7.
4になるようにして用いる。
【0041】 実施例11(眼軟膏1) 100g中 γ−L-グルタミル−L-システイン エチルエステルの酸化型2量体 0.3 g 白色ワセリン 90.0 g 流動パラフィン 適量
【0042】γ−L-グルタミル−L-システインエチルエ
ステルの酸化型2量体の添加量を変えることにより、濃
度が1%(w/w)(眼軟膏2)の眼軟膏も調製した。
【0043】
【発明の効果】
[薬理試験] 1)角膜上皮伸展に対する作用 雄性日本白色ウサギの角膜を用い、Nishida らの方法
(J. Cell Biol., 97, 1653-1657 (1983) )に準じ、角
膜片の組織培養系での角膜上皮伸展長を指標にして検討
した。
【0044】(実験方法)ウサギ角膜片より切り出した
角膜ブロック(1群6個)を、本化合物を含む培養液
(TC−199)中で、37℃・5%CO2 の条件下2
0時間培養した。培養後、角膜ブロックをエタノール−
氷酢酸(容積比95:5)混合液中で固定し、パラフィ
ンで包埋し切片を作製した。切片を脱パラフィンした
後、ヘマトキシリン−エオジン染色し、顕微鏡下で上皮
細胞層の伸展長を測定した。
【0045】コントロールとしては本化合物を含まない
培養液で同様に培養したものを用いた。
【0046】(結果)実験結果の一例として、表1にγ
−L-グルタミル−L-システインエチルエステルの酸化型
2量体についての結果を示す。
【0047】
【表1】 表1に示すように、γ−L−グルタミル−L−システイ
ンエチルエステルの酸化型2量体を含む培養液で培養を
すると、γ−L−グルタミル−L−システインエチルエ
ステルの酸化型2量体の濃度に依存して角膜上皮の伸び
を促進し、その効果は濃度3mMでコントロールに比べ
て顕著であることが認められる。
【0048】2)角膜内皮バリアー機能に及ぼす影響 雄性日本白色ウサギを用い、Araie らの方法(Arch. Op
hthalmol., 104, 435-438 (1986))に準じ、カルボキシ
フルオレセイン(以下、CFとする)の角膜内皮透過性
を指標にして検討した。
【0049】(実験方法)上皮を剥離した同一ウサギの
一対の角膜のうち、一方に本化合物を含む潅流液を、も
う一方にコントロールとして本化合物を含まない潅流液
を25μl/minの速度で潅流した。潅流開始15分
後に角膜厚を測定した後、37℃に保温した下記組成の
1%CF溶液0.3mlを角膜実質上皮側に10秒間接
触させてから吸引除去した。CF投与10、20および
30分後にさらに角膜厚を測定した。CF投与30分後
の角膜厚測定後に潅流を止め、流出した潅流液中のCF
量および角膜内に残存するCF量を分光蛍光光度計にて
測定した。
【0050】 1%CF溶液 100ml中 CF(5−,6−混合物) 1.0 g 塩化カルシウム 7.76mg 塩化マグネシウム 5.71mg リン酸二水素カリウム 12.25mg リン酸水素二カリウム 71.41mg 水酸化ナトリウム 272.0 mg 塩化ナトリウム 619.5 mg
【0051】角膜内皮バリアー機能の評価は、下記式1
より求めた角膜実質内に取り込まれたCFの総量に占め
る流出した潅流液中のCF量の割合(以下、mp /mt
とする)を指標として行った。さらに、より詳細な評価
手段として、下記式2より求めたCFの角膜から前房に
向かう透過性、すなわち角膜内皮透過性係数を用いた。
【0052】
【式1】
【0053】
【式2】 (結果)実験結果の一例として、表2にγ−L-グルタミ
ル−L-システインエチルエステルの酸化型2量体0.3
mMを含む潅流液(組成は実施例10参照)についての
結果を示す。
【0054】
【表2】 表2に示すように、γ−L−グルタミル−L−システイ
ンエチルエステルの酸化型2量体を含む潅流液を潅流す
ると、mp /mt および角膜内皮透過性係数はコントロ
ールに比べて低く、CFの角膜内皮透過性亢進の抑制が
認められる。
【0055】以上の薬理試験の結果から、本化合物また
はその塩類を有効成分とする薬剤は角膜上皮伸展促進作
用を有しており、優れた角膜障害治療剤となることが明
らかとなった。また、角膜内皮バリアー機能保護作用を
有することから、角膜保護剤として優れていることも明
らかとなった。さらに、本発明によれば、角膜内皮の機
能を十分に維持することができる眼内潅流液が提供され
る。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式[I]で表される化合物また
    はその塩類を有効成分とする角膜障害治療剤。 【化1】 [式中、Rは炭素数1〜10個の直鎖もしくは分枝のア
    ルキル基、炭素数3〜10個のシクロアルキル基、また
    は芳香族基で置換された炭素数1〜5個の直鎖もしくは
    分枝のアルキル基を示す。]
  2. 【請求項2】 γ−L-グルタミル−L-システインエチル
    エステルの酸化型2量体またはその塩類を有効成分とす
    る角膜障害治療剤。
  3. 【請求項3】 剤型が点眼剤である請求項1または請求
    項2記載の角膜障害治療剤。
  4. 【請求項4】 角膜障害が角膜潰瘍、角膜上皮剥離、角
    膜炎または眼球乾燥症である請求項1から請求項3のい
    ずれかに記載の角膜障害治療剤。
  5. 【請求項5】 下記一般式[I]で表される化合物また
    はその塩類を有効成分とする角膜上皮の伸展促進剤。 【化2】 [式中、Rは炭素数1〜10個の直鎖もしくは分枝のア
    ルキル基、炭素数3〜10個のシクロアルキル基、また
    は芳香族基で置換された炭素数1〜5個の直鎖もしくは
    分枝のアルキル基を示す。]
  6. 【請求項6】 γ−L-グルタミル−L-システインエチル
    エステルの酸化型2量体またはその塩類を有効成分とす
    る角膜上皮の伸展促進剤。
  7. 【請求項7】 下記一般式[I]で表される化合物また
    はその塩類を有効成分とする角膜保護剤。 【化3】 [式中、Rは炭素数1〜10個の直鎖もしくは分枝のア
    ルキル基、炭素数3〜10個のシクロアルキル基、また
    は芳香族基で置換された炭素数1〜5個の直鎖もしくは
    分枝のアルキル基を示す。]
  8. 【請求項8】 γ−L-グルタミル−L-システインエチル
    エステルの酸化型2量体またはその塩類を有効成分とす
    る角膜保護剤。
  9. 【請求項9】 剤型が点眼剤である請求項7または請求
    項8記載の角膜保護剤。
  10. 【請求項10】 下記一般式[I]で表される化合物ま
    たはその塩類を有効成分とする角膜内皮のバリアー機能
    保護剤。 【化4】 [式中、Rは炭素数1〜10個の直鎖もしくは分枝のア
    ルキル基、炭素数3〜10個のシクロアルキル基、また
    は芳香族基で置換された炭素数1〜5個の直鎖もしくは
    分枝のアルキル基を示す。]
  11. 【請求項11】 γ−L-グルタミル−L-システインエチ
    ルエステルの酸化型2量体またはその塩類を有効成分と
    する角膜内皮のバリアー機能保護剤。
  12. 【請求項12】 剤型が点眼剤である請求項10または
    請求項11記載の角膜内皮のバリアー機能保護剤。
  13. 【請求項13】 下記一般式[I]で表される化合物を
    含有する眼内潅流液。 【化5】 [式中、Rは炭素数1〜10個の直鎖もしくは分枝のア
    ルキル基、炭素数3〜10個のシクロアルキル基、また
    は芳香族基で置換された炭素数1〜5個の直鎖もしくは
    分枝のアルキル基を示す。]
  14. 【請求項14】 γ−L-グルタミル−L-システインエチ
    ルエステルの酸化型2量体を含有する眼内潅流液。
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