JPH08288272A - ヘリコン波プラズマcvd方法 - Google Patents

ヘリコン波プラズマcvd方法

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JPH08288272A
JPH08288272A JP7092835A JP9283595A JPH08288272A JP H08288272 A JPH08288272 A JP H08288272A JP 7092835 A JP7092835 A JP 7092835A JP 9283595 A JP9283595 A JP 9283595A JP H08288272 A JPH08288272 A JP H08288272A
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wave plasma
plasma
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cvd
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JP7092835A
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Shingo Kadomura
新吾 門村
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヘリコン波プラズマ装置におけるCVD原料
ガスの解離状態やチャンバ内イオン電流密度分布を自在
に制御し、大口径ウェハに対しても面内均一性の高いC
VDを行う。 【構成】 プラズマ生成チャンバ1の天板2に対向する
m=0モード・プラズマ励起用のシングルループ・アン
テナ6と、該チャンバの側壁面を周回するm=1モード
・プラズマ励起用のハーフターン・アンテナ7を設け、
スイッチ12の操作でこれら両アンテナ6,7に通常の
高周波電源13またはパルス電源14のいずれかを接続
し、駆動アンプ62,72によりそれぞれの出力を調整
しながら2つのモードのヘリコン波プラズマPH の同時
連続生成または同時間欠生成を行う。プラズマ輸送は外
周側ソレノイド・コイル8bに接続されるスイッチ82
で制御する。 【効果】 微細な配線間スペースもSiOx層間絶縁膜
で良好に埋め込み可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体装置の製造等の
微細加工分野に適用されるヘリコン波プラズマCVD方
法に関し、特にプラズマ生成チャンバ内のイオン密度分
布を自在に変化させながら、高アスペクト比段差を有す
る基板上や多層配線構造上における絶縁膜の平坦性の向
上と膜質の改善を図る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年のVLSI,ULSI等の高集積化
半導体デバイスにおいては、数mm角のチップ上に数百
万個以上もの素子を集積させることが必要とされる。し
かし、かかる高集積化に二次元的な素子の微細化で対応
することはもはや困難である。このため、素子分離,容
量素子,トランジスタ等の構造部へトレンチを応用した
り、あるいは多層配線を採用する等、デバイス構造の三
次元化が進められており、特にロジック系デバイスでは
4層以上もの多層配線構造も採用されるようになってい
る。このような三次元的構造の内部では、トレンチや配
線間スペースのアスペクト比が優に1を超えている。そ
こで、配線パターンの信頼性やフォトリソグラフィの解
像度を確保する観点から、これらトレンチや配線間スペ
ースを層間絶縁膜で均一に埋め込み、その表面を基板の
全面にわたって平坦化する、いわゆるグローバル平坦化
の重要性が益々増大している。このグローバル平坦化
は、デザイン・ルール0.25μm以降においては必須
の技術となるものとみられている。
【0003】グローバル平坦化を実現するための主な手
法として、従来より次のものが提案されている。 (a)塗布型絶縁膜のエッチバック (b)バイアスECRプラズマCVD法による層間絶縁
膜の成膜 (c)CMP(化学機械研磨) 上記(a)の塗布型絶縁膜のエッチバックとは、基板表
面にSOG(スピン・オン・グラス)等の液状ガラス材
料を塗布して硬化させた後、この塗膜の膜厚を異方性エ
ッチングにて全面的に減少させる手法である。
【0004】上記(b)のバイアスECRプラズマCV
Dとは、ECR(電子サイクロトロン共鳴)を利用して
低ガス圧下で高いイオン電流密度を有するECRプラズ
マを生成させて段差被覆性(ステップ・カバレージ)に
優れる膜を成膜すると共に、上記プラズマ生成とは独立
に基板バイアスを制御してイオン・スパッタ作用による
平坦化効果も併せて狙う手法である。バイアスECRプ
ラズマCVDにより成膜されたSiOx 膜は、Si原
子のダングリングボンドが少ないために水分のトラップ
が少なく、したがってSi−OH基やSi−H基の含有
量の低い緻密な膜質を持つことが知られている。
【0005】さらに、上記(c)のCMPとは、研磨布
を張着した定盤に基板の被研磨面を接触させ、研磨微粒
子を含有するアルカリ性のスラリーを研磨布上に供給し
ながら定盤と基板の双方を回転させることにより平坦化
を達成する手法である。この方法は、スラリーの選択や
研磨布のドレス(研削による表面粗度の調整)等、条件
の最適化に少なからずノウハウを必要とするものの、グ
ローバル平坦化能力の高さから、CPU等のようなコス
トに見合うデバイスの製造にすでに導入されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の平坦化技術には、解決すべき課題も多い。
【0007】まず、(a)の塗布型絶縁膜のエッチバッ
クについては、実用上十分な平坦度を達成するには塗布
とエッチバックを1回ずつ行うのみでは到底不十分であ
り、多大な工程増によるコストの上昇や、エッチバック
を繰り返すことによる均一性の劣化を招く虞れが大き
い。
【0008】上記(b)のバイアスECRプラズマCV
Dについては、原料ガスとしてTEOS(テトラエトキ
シシラン)等の有機シラン系ガスを用いることができな
い。これは、ECRプラズマのプラズマ密度が極めて高
いために、流動性に寄与するはずの膜形成前駆体の解離
が進み過ぎてしまい、多量の炭素成分を膜中に残存させ
てSiOx膜の膜質を劣化させる虞れが大きいからであ
る。このため、原料ガスとしてSiH4 (モノシラン)
等の無機シリコン系化合物ガスを用いざるを得ないが、
平坦化性や埋め込み特性の向上に限界を生じている。
【0009】バイアスECRプラズマCVDにはこの
他、装置構成に原理的に起因する問題もある。すなわ
ち、ECRプラズマCVD装置においては、近年の大口
径ウェハに対応してプラズマ・ソース内のプラズマ均一
性を向上させるためにプラズマ生成室が大型化する傾向
にあり、またこのプラズマ生成室から発散磁界によって
拡散チャンバへプラズマを引き出しているため、拡散チ
ャンバも必然的に大型化している。したがって、拡散チ
ャンバ内部における堆積物の付着面積もそれだけ大きく
なり、ウェハ近傍に常に大量のパーティクルが存在する
状態となっている。しかも、この拡散チャンバはプラズ
マ・ソースから離れた位置にあるため、プラズマ中から
チャンバ壁面へのイオン入射も余り期待できず、特に拡
散チャンバの側壁面へのイオン入射は少ない。したがっ
て、たとえ成膜サイクルの一部にプラズマ・クリーニン
グを採り入れたとしても、壁面上の堆積物のスパッタ除
去機構を効率良く働かせることができず、パーティクル
・レベルが悪化する結果を招いている。
【0010】しかも、周波数2.45GHzのマイクロ
波を磁場中で回転する電子に共鳴的に吸収させるために
8.75×10-2T(=875G)もの強磁場を用いて
いるため、基板の表面近傍にも1×10-2Tレベルの磁
場が存在する。この磁場の存在のために生ずる反磁性ド
リフトや荷電交換でイオン温度が上昇し、イオンの水平
速度成分が増え、ウェハ周辺部においてイオン・スパッ
タ作用が不均一化するという問題もある。
【0011】上記(c)のCMPは、プラズマ・ダメー
ジを生ずる虞れもなく、有望視されている手法である
が、CMP単独で平坦化を達成することは実際には困難
であり、あくまでもその前段階で層間絶縁膜ができるだ
け平坦に形成されていることが前提となる。現状では、
バイアスECRプラズマCVD法との組み合わせで実用
化されているが、バイアスECRプラズマCVD法に前
述のような種々の問題があるために、今後は新しいプラ
ズマ・ソースとの組み合わせも考えてゆく必要がある。
【0012】そこで本発明は、高アスペクト比段差を有
する基板上や多層配線構造上における絶縁膜の平坦性の
向上と膜質の改善を図ることが可能なCVD方法を提供
することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明のヘリコン波プラ
ズマCVD方法は、上述の目的を達成するために提案さ
れるものであり、単一のプラズマ生成チャンバ内にm=
0モードのヘリコン波プラズマとm=1モードのヘリコ
ン波プラズマとをそれぞれ励起可能な2系統の高周波ア
ンテナと、磁界生成手段とを備えたヘリコン波プラズマ
装置を用い、該プラズマ生成チャンバに接続される拡散
チャンバ内に収容された基板に対してCVDを行うもの
である。
【0014】ヘリコン波プラズマは、円筒状のチャンバ
に磁場を印加し、さらにこのチャンバに巻回されるルー
プ・アンテナに高周波を印加して該チャンバ内にヘリコ
ン波を生成させ、このヘリコン波からランダウ減衰の過
程を通じて電子へエネルギーを輸送することにより該電
子を加速し、この電子をガス分子に衝突させて高いイオ
ン化率を達成するプラズマである。ヘリコン波プラズマ
装置では、10-4Pa台の低圧下でおおよそ1011〜1
13/cm3のイオン密度(イオン電流密度では16〜
20mA/cm2)を達成することができる。
【0015】しかもヘリコン波には、イオン・サイクロ
トロン周波数ωciと電子サイクロトロン周波数ωceの間
の比較的広いRF周波数領域で伝搬できるという特性が
あり、この点で共鳴条件が満足される限られた領域内で
しか電子加熱が行われないECR(電子サイクロトロン
共鳴)放電に比べて有利である。また、プラズマ生成に
強磁場を必要としないため、基板近傍の磁界も弱く、基
板周辺部におけるイオンの斜め入射の問題も起こらな
い。
【0016】m=0モードおよびm=1モードのヘリコ
ン波プラズマを励起させるためのアンテナとしては、従
来より幾つかのタイプが提案されている。たとえば、m
=0モードのヘリコン波プラズマは、最も単純なシング
ルループ・アンテナの他、伝搬するヘリコン波の波長の
約半分に等しい距離だけ離間され互いに逆方向の電流が
流れる2個のループでプラズマ生成チャンバを周回させ
たダブルループ・アンテナを用いて励起することができ
る。また、m=1モードのヘリコン波プラズマは、プラ
ズマ生成チャンバを部分的に周回するハーフターン・ア
ンテナを用いて励起することができる。ただし、本発明
では単一のプラズマ生成チャンバの近傍に2系統のアン
テナを設置する都合上、互いに空間的に障害とならない
ことが必要である。したがってたとえば、m=0モード
のヘリコン波プラズマを励起させるための第1のアンテ
ナとして、シングルループ・アンテナをプラズマ生成チ
ャンバの天板部分に設置し、m=1モードのヘリコン波
プラズマを励起させるための第2のアンテナとして、ハ
ーフターン・アンテナをプラズマ生成チャンバの側壁部
に設置すると良い。
【0017】上記CVDは、上記2系統の高周波アンテ
ナに同時連続的に高周波電力を供給しながら行っても良
いが、同時間欠的に供給しながら行うこともできる。こ
の同時間欠印加は、パルス電源を用いて実現することが
できる。この電源により発生されるパルスは、その幅が
10μs(マイクロ秒)のオーダーに選択される。これ
は、電子温度の緩和時間がns(ナノ秒)のオーダーで
あるのに対し、プラズマの寿命が数十μsのオーダーと
長いことを利用して、プラズマ密度を略一定に維持しな
がら電子温度のみを周期的に増減させるためである。電
子温度はCVDの原料ガスの解離反応や基板表面のシー
ス電圧を決定するパラメータであるから、上述のような
パルス放電により、高度な解離制御やイオン・エネルギ
ーの制御が可能となる。
【0018】さらにあるいは、上記CVDを上記2系統
の高周波アンテナへの電力供給を高速に切り替えながら
行っても良い。この高速切り替えは、電力供給系統に高
速スイッチング手段を設けることにより可能となる。こ
の切り替えを行う場合には、m=0モード・プラズマと
m=1モード・プラズマとを交互に生成させることがで
き、両プラズマの生成比は切り替えタイミングに依存す
ることになる。
【0019】なお、本発明において2系統の高周波アン
テナへの高周波電力の同時連続印加または同時間欠印加
を行う場合には、上記電力供給系統に前記第1のアンテ
ナと第2のアンテナに供給される高周波の位相を互いに
ずらすための位相調整手段を設けておくと一層好適であ
る。これは、両アンテナに供給される高周波の周波数が
等しい場合に共振を防止するためである。この位相調整
手段としては、典型的にはリレー回路を用いることがで
きる。また、この電力供給手段に前記第1のアンテナと
第2のアンテナへ供給する高周波電力を独立に制御する
ための出力調整手段を含めることも優れた方策である。
この出力調整手段としては、典型的には駆動アンプを用
いることができる。
【0020】以上は高周波電界によるプラズマ制御であ
るが、本発明のヘリコン波プラズマCVD方法では、磁
界によるプラズマ制御を行っても良い。ここで用いられ
るヘリコン波プラズマCVDの磁界生成手段としては、
ソレノイド・コイル、および該ソレノイド・コイルに対
する電流の供給/遮断を制御する磁界スイッチング手段
を含むものを用いることができる。特に、プラズマ生成
チャンバを内周側と外周側の2系統のソレノイド・コイ
ルで周回させているヘリコン波プラズマ装置では、たと
えば内周側のソレノイド・コイルがヘリコン波の伝搬、
外周側のソレノイド・コイルがヘリコン波プラズマの輸
送に用いられるといったように、各コイルの役割が異な
っている場合がある。このような場合には、たとえば内
周側ソレノイド・コイルに常時電流を印加しておき、外
周側ソレノイド・コイルへの電流の供給/遮断を制御す
ることにより、プラズマ生成チャンバから拡散チャンバ
へのヘリコン波プラズマの輸送を制御することもでき
る。これにより、基板近傍で利用できるプラズマの密度
を自在に変更することが可能となる。
【0021】以上述べた方法は、本発明における最も基
本的なプラズマ制御のパターンに関するものであるが、
本発明の重要な用途が絶縁膜の成膜であることを考慮す
ると、段差被覆性と膜質(特に耐湿性)に共に優れる絶
縁膜を成膜するために、成膜工程を2工程化することも
有効である。すなわち、前記基板上に段差被覆性に優れ
る第1の薄膜を成膜する第1工程と、耐湿性に優れる第
2の薄膜を成膜する第2工程とに分けてCVDを行い、
両工程間で上述したプラズマ制御を使い分けることが可
能である。
【0022】具体的には、両工程間で前記2系統の高周
波アンテナへの電力供給比を変化させることにより、m
=0モードのヘリコン波プラズマとm=1モードのヘリ
コン波プラズマの生成比を変化させること、あるいは前
記第1工程では前記磁界生成手段の制御を通じて前記拡
散チャンバへのヘリコン波プラズマの輸送に寄与する磁
界成分を消滅させ、前記第2工程では該磁界成分を生成
させながら行うこと、さらにあるいは前記第1工程では
前記2系統の高周波アンテナへの電力供給を同時間欠的
に行い、前記第2工程では該電力供給を同時連続的に行
うことができる。
【0023】ここで、段差被覆性に優れる第1の薄膜と
しては、有機シリコン系化合物を含む原料ガスを用いて
成膜されるシリコン化合物系薄膜が代表的である。この
原料ガスの代表的なものは、O2 /TEOS混合ガス、
2O /TEOS混合ガスであり、これらを用いてSi
Ox系絶縁膜が成膜される。あるいは、近年の層間絶縁
膜については微細化に伴う配線間容量の増大を緩和する
目的で誘電率を下げることが望まれているので、第1の
薄膜としてフッ素を含有するシリコン化合物系薄膜を成
膜しても良い。この膜は、たとえばフルオロカーボン系
ガスとO2 等の酸化性がスの混合ガスを原料ガスとして
成膜されるSiOF系絶縁膜である。
【0024】一方、耐湿性に優れる第2の絶縁膜として
は、シラン系化合物を含む原料ガスを用いて成膜される
シリコン化合物系薄膜が代表的である。具体的には、S
iH4 (モノシラン)、Si26(ジシラン)等のシラ
ン系ガスとO2 等の酸化性ガスを用いて成膜されるSi
Ox系絶縁膜である。
【0025】
【作用】ヘリコン波は、自由空間内では右手方向に円偏
波する純粋に電磁的な波であるが、プラズマ生成チャン
バのような限定空間内では特定のモードのみが励起さ
れ、静電性も備えた波となる。場の方程式の線形化から
演繹すると、最初の2モードとして図1に示されるよう
な電界パターンが存在する。ここで、(a)の図はm=
0モード、(b)の図はm=1モードを表し、mの値は
電界増幅の表現中に登場するベッセル関数に対応する。
一連のパターン中、中央に表示されているパターンが位
相角φ=0、上端が位相角φ=π/2、下端が位相角φ
=−π/2にそれぞれ対応している。m=0モードで
は、波は位相角=0における完全に電磁的な状態から位
相角=π/2における完全に静電的な状態に空間的に移行
する。両方の状態間では電界はらせん状であり、波は電
磁的および静電的の両方の性質を持つ。一方、m=1モ
ードは常に電磁成分と静電成分の混合であり、電場パタ
ーンは波の伝搬と共に単純に時計方向に回転する。
【0026】上述のヘリコン波プラズマの伝搬モード
は、プラズマ生成チャンバの外側におけるアンテナの巻
回様式で変化することが知られており、このモードによ
りプラズマ生成チャンバ内における飽和イオン電流密度
分布も変化する。この変化の様子を図2に示す。図中、
横軸はプラズマ生成チャンバの直径方向の位置(mm)
を表し、縦軸は飽和イオン電流密度(mA/cm2) を
表す。この図からわかるように、m=0モードでは、飽
和イオン電流密度はチャンバ中央近傍で落ち込みその周
辺で高くなるような分布を示す。一方、m=1モード
は、チャンバ中央の比較的狭い範囲でピークを持つパタ
ーンを示す。
【0027】通常のヘリコン波プラズマ装置は、m=
0,m=1のいずれか一方のモードのヘリコン波プラズ
マを励起するように設計されているので、いずれのモー
ドを励起した場合にもチャンバの直径方向全体にわたっ
て均一なイオン電流密度を達成することは困難である。
また、飽和イオン電流密度をCVDの途中で変更するこ
とも不可能である。しかし、本発明のヘリコン波プラズ
マCVD方法に用いられるヘリコン波プラズマ装置は、
2系統の高周波アンテナを備えることによりこれら両方
のモードのヘリコン波プラズマを単一プラズマ生成チャ
ンバ内に励起することが可能とされているため、チャン
バ内のイオン電流密度分布は両方のモードの性格を兼ね
備えたものとなる。すなわち、m=0モードにおけるチ
ャンバ中央近傍のイオン電流密度の落ち込みを、m=1
モードにおけるピークで補うことが可能となり、結果と
してチャンバ直径方向の広い範囲にわたってイオン電流
密度を均一化することができる。
【0028】さらに、高周波電力のパルス印加を行えば
電子温度の制御が可能となり、またm=0,m=1両モ
ードのプラズマを交互に励起させれば、イオン/ラジカ
ル生成比の制御が可能となり、さらにまたヘリコン波プ
ラズマの輸送に寄与する磁場を制御すればプラズマ励起
とは独立に基板近傍のプラズマ密度の制御が可能となる
といった具合に、所望のプラズマ処理の内容に応じてき
め細かいプラズマの制御を行うことができる。
【0029】このようなヘリコン波プラズマ装置を用い
てCVDを行うと、一度にいずれか一方のモードのヘリ
コン波プラズマしか励起できなかった従来のヘリコン波
プラズマ装置を用いた場合に比べ、大口径のウェハに対
しても均一性の確保が容易となる。また、最初にTEO
S等の有機シリコン系化合物を含む原料ガスを用いて段
差被覆性に優れた絶縁膜を成膜し、次にSiH4 等の無
機シリコン系化合物を含む原料ガスを用いて耐湿性に優
れた絶縁膜を成膜するといった様に、CVDを2工程化
した場合にも、本発明のメリットは顕著に現れる。たと
えば、有機シリコン系化合物を含む原料ガスを放電させ
る工程では、流動性の高い成膜前駆体を形成し、かつ膜
中の残留有機成分を減少させるためにガスの解離を適度
に制限する必要があるが、逆に無機シリコン系化合物を
含む原料ガスを放電させる工程では十分な堆積速度を確
保するためにガスの解離を促進させる必要があり、各工
程で最適なプラズマ条件は異なっている。本発明の2工
程化されたヘリコン波プラズマCVD方法によれば、高
周波アンテナへの高周波電力の印加や磁場の印加に関す
る制御パラメータが多いために、このように複雑なプラ
ズマ制御を要求するケースにも容易に対応することが可
能である。
【0030】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
する。
【0031】実施例1 本実施例では、m=0モードとm=1モードのヘリコン
波プラズマを励起可能なヘリコン波プラズマCVD装置
を用い、SiH4 /O2 ガス系にて成膜されるSiOx
層間絶縁膜でAl系配線パターンの微細な配線間スペー
スを埋め込んだ。
【0032】まず、本実施例で使用するヘリコン波プラ
ズマCVD装置の概念的な構成について、図3を参照し
ながら説明する。この装置のプラズマ生成部は、内部に
ヘリコン波プラズマPH を生成させるための誘電体材料
からなるプラズマ生成チャンバ1、このプラズマ生成チ
ャンバ1の天板2から挿通される第1のガス供給管1
0、該天板2に対して平行に設けられるm=0モード励
起用のシングルループ・アンテナ6、同じプラズマ生成
チャンバ1の側壁面を部分的に周回するm=1モード励
起用のハーフターン・アンテナ7、上記ハーフターン・
アンテナ7のさらに外側においてプラズマ生成チャンバ
1を周回し、その軸方向に沿った磁界を生成させるソレ
ノイド・コイル8を主な構成要素とする。上記プラズマ
生成チャンバ1の構成材料は、たとえば石英とし、その
直径はたとえば35cmとした。
【0033】上述の2系統の高周波アンテナの搭載は、
本装置の最大の特色であるが、これら両アンテナは共通
の電力供給系統に接続されている。この電力供給系統
は、通常の高周波電源13と高周波パルス電源14の2
種類の電源を含んでおり、いずれか一方がスイッチ12
で選択されるようになされている。すなわち、スイッチ
12の端子S1を選択すれば通常の高周波電源13が、
また端子S2を選択すれば高周波パルス電源14が両ア
ンテナに接続される。上記スイッチ12とシングルルー
プ・アンテナ6の間には、位相調整手段としてのリレー
回路(R/C)63、出力調整手段としての駆動アンプ
62、インピーダンス調整用のマッチング・ネットワー
ク(M/N)61がこの順に接続されている。また、上
記スイッチ12とハーフターン・アンテナ7との間に
は、駆動アンプ72とマッチング・ネットワーク(M/
N)71がこの順に接続されている。
【0034】本装置では、このように2つの駆動アンプ
62,72を用いて上記2系統のアンテナに供給する高
周波電力を独立に制御することができる。このことは、
前出の図2の2本の飽和イオン電流密度分布曲線のピー
クの高さを独立に変更することに等しく、所望のプロセ
スの内容に応じて最適なイオン電流密度分布を設定可能
であることを意味している。
【0035】なお、上記リレー回路63は、シングルル
ープ・アンテナ6とハーフターン・アンテナに供給され
る高周波の位相を互いにずらすことを目的としているの
で、図示した例とは逆にハーフターン・アンテナ7側に
接続されていても良い。リレー回路63による位相のず
れは、たとえばπ/2に設定される。
【0036】上記ソレノイド・コイル8は2重構造とさ
れており、主としてヘリコン波の伝搬に寄与する内周側
ソレノイド・コイル8aと、主としてヘリコン波プラズ
マPH の拡散チャンバ3への輸送に寄与する外周側ソレ
ノイド・コイル8bとからなる。これらソレノイド・コ
イル8a,8bは共通のDC電源(D/C)81に接続
されているが、外周側ソレノイド・コイル8bに至る電
流経路にはスイッチ82が介在され、このスイッチ82
のON/OFFによりヘリコン波プラズマPHの輸送が
制御されるようになされている。
【0037】上記プラズマ生成チャンバ1には拡散チャ
ンバ3が接続され、上記ソレノイド・コイル8が形成す
る発散磁界に沿って該拡散チャンバ3の内部へヘリコン
波プラズマPH を引き出すようになされている。拡散チ
ャンバ3の側壁面および底面は、ステンレス鋼等の導電
性材料を用いて構成されており、その内部は、図示され
ない排気系統により排気孔4を通じて矢印A方向に高真
空排気されている。またその天井部からは、ウェハW近
傍に開口するリング状の吹き出し口を有する第2のガス
供給管5が挿通されており、矢印B方向にCVDに必要
なガスの供給を受け、さらにその側壁面においてゲート
・バルブ17を介し、たとえば図示されないロード・ロ
ック室に接続されている。
【0038】なお、この装置は上述のように、第1のガ
ス供給管10と第2のガス供給管5との2系統のガス供
給手段を備えている。これは、ヘリコン波プラズマを生
成させるためのガスの解離と、実際の堆積種を供給する
ためのガスの解離を互いにできるだけ離間させるためで
あり、これにより堆積種の効率良く生成させながら、プ
ラズマ生成チャンバ1内部のパーティクル汚染の低減が
図られている。
【0039】さらに、上記拡散チャンバ3の外部には、
上記ウェハ・ステージ9近傍における発散磁界を収束さ
せ、またチャンバ壁によるプラズマ中の電子や活性種の
消滅を抑制するために、補助磁界生成手段としてマルチ
ポール磁石11が配設されている。このマルチポール磁
石11は、拡散チャンバ3内にマルチカスプ磁場を生成
させてプラズマ閉じ込めを行うものである。なお、この
マルチポール磁石11の配設位置は、図示される例に限
られず、たとえばウェハ・ステージ9の支柱の周囲等の
他の場所であっても良い。さらにあるいは、これをソレ
ノイド・コイルに置き換え、ミラー磁場の形成によって
プラズマ閉じ込めを行うようにしても良い。
【0040】上記拡散チャンバ3の内部には、その壁面
から電気的に絶縁された導電性のウェハ・ステージ9が
収容され、この上に被処理基板としてたとえばウェハW
を保持して所定のプラズマ処理(ここではCVD)を行
うようになされている。このウェハ・ステージ9には、
プラズマ中から入射するイオンのエネルギーを制御する
ためにウェハWに基板バイアスを印加するバイアス印加
用高周波電源16が、第2のマッチング・ネットワーク
(M/N)15を介して接続されている。ここでは、バ
イアス印加用高周波電源16の周波数を13.56MH
zとした。
【0041】次に、上記の装置を用い、実際にSiOx
層間絶縁膜のCVDを行った。本実施例で用いたサンプ
ル・ウェハを図5に示す。このウェハにおいては、Si
基板20上にたとえばSiOxからなる下地絶縁膜21
が積層され、さらにこの上にAl系配線パターン24が
部分的に不規則な間隔をもって形成されている。上記A
l系配線パターン24は、たとえばTi/TiNの積層
膜よりなるバリヤメタル22上にAl−1%Si膜23
が積層された多層膜をパターニングして形成されたもの
である。このパターニングは、具体的にはたとえばハー
フトーン型位相シフト・マスクと化学増幅系レジトスト
材料を用いたKrFエキシマレーザ・リソグラフィを行
い、これにより形成されたレジスト・パターンをマスク
として異方性ドライエッチングを行うことで実現され
る。上記Al系配線パターン24および配線間スペース
の最小値は0.25μmである。また、配線間スペース
の最大アスペト比は約2である。
【0042】このウェハを上記ウェハ・ステージ9上に
セットし、スイッチ12の端子S1を選択して2系統の
高周波アンテナに通常の高周波電源13を共通に接続す
る一方、スイッチ82をONとしてヘリコン波プラズマ
H の輸送は常に行われる状態とした。ここで、一例と
して下記の条件でSiOx層間絶縁膜を成膜した。
【0043】 O2 流量(第1のガス供給管10) 50 SCCM SiH4 流量(第2のガス供給管5) 50 SCCM ガス圧 0.13 Pa シングルループ・アンテナ供給電力 2500 W(13.56 MHz) ハーフターン・アンテナ供給電力 2500 W(13.56 MHz) 高周波バイアス電力 100 W(13.56 MHz) このCVDにより、図6に示されるように、不均一な配
線間スペースもSiOx層間絶縁膜25で良好に埋め込
むことができた。このときの膜厚均一性は、8インチ径
のウェハについて±2%と、極めて優れていた。
【0044】この後、公知のCMP法により上記SiO
x層間絶縁膜25の表面を研磨し、図7に示されるよう
に平坦化されたSiOx層間絶縁膜25p(添字pは研
磨された膜であることを表す。)を得た。
【0045】実施例2 本実施例では、実施例1で上述したヘリコン波プラズマ
CVD装置を用い、まず第1工程で高周波パルス電源1
4を接続してm=0モード・プラズマとm=1モード・
プラズマとを同時間欠生成させ、かつヘリコン波プラズ
マの輸送を抑制しながら段差被覆性に優れる第1のSi
Ox層間絶縁膜を成膜した後、第2工程で通常の高周波
電源13を用いて両プラズマを同時連続生成させ、かつ
プラズマ輸送も通常どおり行いながら耐湿性に優れる第
2のSiOx層間絶縁膜を成膜した。
【0046】すなわち、まず第1のSiOx層間絶縁膜
の成膜工程では、前出の図5に示したサンプル・ウェハ
を実施例1で述べたヘリコン波プラズマ装置にセット
し、スイッチ12の端子S2を選択してシングルループ
・アンテナ6とハーフターン・アンテナ7に高周波パル
ス電源14を接続した。また、外周側ソレノイド・コイ
ルに接続されるスイッチ82はOFFとし、拡散チャン
バ3へのヘリコン波プラズPH の輸送を抑制した状態と
した。この第1工程のCVD条件の一例を以下に示す。
【0047】 [第1工程] O2 流量(第1のガス供給管10) 50 SCCM TEOS流量(第2のガス供給管5) 20 SCCM H2O 流量(第2のガス供給管5) 50 SCCM ガス圧 0.13 Pa シングルループ・アンテナ供給電力 2000 W(13.56 MHz) ハーフターン・アンテナ供給電力 1000 W(13.56 MHz) 高周波スイッチング周期 30 μs 高周波バイアス電力 100 W(13.56 MHz) 上記第1工程では、高周波アンテナへの電力供給を間欠
的としたこと、アンテナへの供給電力の絶対値を低く抑
えたこと、ヘリコン波プラズマの拡散チャンバ3側への
輸送を抑制したこと等の要因により、プラズマ密度が1
10/cm3 台に抑えられ、この結果TEOSの解離が
適度に抑制されてウェハ表面に流動性の高い成膜前駆体
が形成された。さらに、高周波バイアス電力の印加によ
るイオン・スパッタ作用が働くことにより、図8に示さ
れるように段差被覆性に優れた第1のSiOx層間絶縁
膜25を形成することができた。
【0048】次の第2工程では、スイッチ12の端子S
1を選択して両アンテナへ通常の高周波電源13を接続
することにより高周波電力の連続印加を可能とすると共
に、スイッチ82をONとして拡散チャンバ3へのヘリ
コン波プラズマPH の輸送を可能な状態として第2のS
iOx層間絶縁膜を成膜した。第2工程のCVD条件の
一例を以下に示す。
【0049】 [第2工程] O2 流量(第1のガス供給管10) 50 SCCM SiH4 流量(第2のガス供給管5) 20 SCCM ガス圧 0.13 Pa シングルループ・アンテナ供給電力 2500 W(13.56 MHz) ハーフターン・アンテナ供給電力 2500 W(13.56 MHz) 高周波バイアス電力 100 W(13.56 MHz) 上記第2工程では、耐湿性劣化の原因となる反応生成物
が副生しないため、図8に示されるように緻密で耐湿性
に優れる第2のSiOx層間絶縁膜27を形成すること
ができた。
【0050】一般に、TEOS等の有機シリコン系化合
物ガスを用いて形成されたSiOx膜は、平坦化特性や
埋め込み特性に優れる反面、膜質に問題があると言われ
ている。すなわち、この方法で成膜されるSiOx膜中
には、CVD反応の副生成物として発生する水分や未反
応のSi−OH基が成膜条件によっては大量に取り込ま
れるが、このようなSiOx膜を半導体デバイスの層間
絶縁膜として利用すると、導通不良(ポイズンドビ
ア)、Al系配線膜へのヒロックやボイドの発生、MO
S−FETの閾値の変動やホットキャリア耐性の劣化
等、様々な不良が発生し易いことが知られている。
【0051】本実施例では、層間絶縁膜を2層化するこ
とで上述のような問題を解決しているが、TEOSの解
離制御により第1のSiOx層間絶縁膜25そのものの
膜質も改善することができ、極めて信頼性の高い層間絶
縁膜を得ることができた。
【0052】この後、公知のCMP法により、図9に示
されるように基体の全面に平坦な第1のSiOx層間絶
縁膜25pが現れる状態まで研磨を行った。さらに、上
記第2工程と同じ条件で改めて第3のSiOx層間絶縁
膜27を形成し、最終的に段差被覆性、平坦性、耐湿性
のいずれにも優れる層間絶縁膜が得られた。
【0053】実施例3 本実施例では、実施例2と類似するが、第1のSiOx
層間絶縁膜25に代えて誘電率の低いSiOF膜を成膜
するプロセスについて説明する。第1工程ではm=0モ
ード・プラズマとm=1モード・プラズマの同時間欠生
成と、ヘリコン波プラズマの輸送抑制を行った。この第
1工程のCVD条件の一例を以下に示す。
【0054】 [第1工程] C26 流量(第1のガス供給管10) 20 SCCM O2 流量(第1のガス供給管10) 50 SCCM TEOS流量(第2のガス供給管5) 20 SCCM H2O 流量(第2のガス供給管5) 50 SCCM ガス圧 0.13 Pa シングルループ・アンテナ供給電力 2000 W(13.56 MHz) ハーフターン・アンテナ供給電力 1000 W(13.56 MHz) 高周波スイッチング周期 30 μs 高周波バイアス電力 100 W(13.56 MHz) この第1工程では、ウェハ表面に流動性の高い成膜前駆
体が形成され、図8に示されるようなSiOF膜28が
形成された。このSiOF膜28は、C26から解離生
成したFを膜中に取り込むことにより、上述の第1のS
iOx層間絶縁膜25に比べて低誘電率化が図られてい
る。
【0055】ただし、このような低誘電率絶縁膜は一般
に耐湿性に劣るので、続いて実施例2で上述した第2工
程を実施し、図8に示されるような緻密で膜質に優れる
第2のSiOx層間絶縁膜26を成膜した。もちろん、
この後のCMPや第3のSiOx層間絶縁膜27も同様
に行い、図9に示されるように基体表面を完全に平坦化
すると共に耐湿性を向上させても良い。
【0056】実施例4 これまでの実施例はすべて、2系統の高周波アンテナへ
の高周波電力の同時供給を行うことによりm=0モード
とm=1モードのヘリコン波プラズマを同時に励起しな
がら行うCVD方法であったが、本実施例ではシングル
ループ・アンテナ6とハーフターン・アンテナ7への電
力供給を高速に切り替えながら、すなわち両モードのヘ
リコン波プラズマを高速に切り替えながら行うCVD方
法について説明する。
【0057】まず、本実施例で用いられるヘリコン波プ
ラズマCVD装置について、図4を参照しながら説明す
る。この装置は前出の図3に示した装置とは異なり、シ
ングルループ・アンテナ6への電力供給系統に位相調整
用のリレー回路63が接続されておらず、そのかわり、
通常の高周波電源13の後段に高速スイッチング回路1
8が接続されている。この高速スイッチング回路18は
数〜数十μsのオーダーの周期でスイッチングを行うこ
とが可能であり、プラズマ励起は継続させながらそのモ
ードをm=0とm=1との間で切り替え、これによりチ
ャンバ径方向のイオン電流密度分布を均一化することが
できる。
【0058】このヘリコン波プラズマ装置に前出の図5
に示したサンプル・ウェハをセットし、一例として下記
の条件でSiOx層間絶縁膜25を成膜した。
【0059】 O2 流量(第1のガス供給管10) 50 SCCM TEOS流量(第2のガス供給管5) 20 SCCM H2O 流量(第2のガス供給管5) 50 SCCM ガス圧 0.13 Pa シングルループ・アンテナ供給電力 2500 W(13.56 MHz) ハーフターン・アンテナ供給電力 2500 W(13.56 MHz) 高周波スイッチング周期 15 μs 高周波バイアス電力 100 W(13.56 MHz) 本実施例では、m=0モードとm=1モードのヘリコン
波プラズマを高速に切り替えてTEOSの解離状態を最
適に制御することにより、段差被覆性に優れかつ良好な
膜質のSiOx層間絶縁膜25を形成することができ
た。
【0060】なお、本実施例では外周側ソレノイド・コ
イル8bにスイッチ82を接続してそのON/OFF制
御を行うことにより、ヘリコン波プラズマの輸送を制御
したが、スイッチを内周側ソレノイド・コイル8aに接
続すれば、ヘリコン波プラズマそのものの生成/消滅を
制御することができる。ただしこの場合、2系統の高周
波アンテナの少なくとも一方に高周波電力が供給されて
いれば高周波電界は存在するため、プラズマ生成チャン
バ内には誘導結合プラズマが生成することになる。つま
り、誘導結合プラズマとヘリコン波プラズマの生成を交
互に切り替えるプラズマ制御が実現する。誘導結合プラ
ズマは一般にラジカルに富み、ヘリコン波プラズマは一
般にイオンに富むプラズマであるから、両プラズマの交
互励起によりラジカル/イオン生成比をきめ細かく制御
することが可能となる。この制御の最適化により、必要
な堆積種の効率良い生成とイオンによる適正な平坦化と
のバランスを最適化することも可能である。
【0061】以上、本発明を4例の実施例にもとづいて
説明したが、本発明はこれらの実施例に何ら限定される
ものではなく、サンプル・ウェハの構成、ヘリコン波プ
ラズマ装置の構成の細部、CVD条件は適宜変更、最適
化が可能である。
【0062】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明を適用すれば、チャンバ径方向のプラズマ密度分布や
原料ガスの解離状態の微調整が可能なヘリコン波プラズ
マ装置を用いてCVDを行うので、CVDの内容に合わ
せて堆積条件をきめ細かく最適化しながら面内均一性と
膜質に優れる絶縁膜を成膜することができる。したがっ
て本発明は、半導体装置の高集積化、高性能化、高信頼
化に大きく貢献するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】m=0モードとm=1モードのヘリコン波プラ
ズマの電界パターンを示す模式図である。
【図2】m=0モードとm=1モードのヘリコン波プラ
ズマの飽和イオン電流密度分布を示すグラフである。
【図3】m=0モードとm=1モードのヘリコン波プラ
ズマの同時連続/間欠励起およびヘリコン波プラズマの
輸送制御が可能なヘリコン波プラズマCVD装置の一構
成例を示す模式的断面図である。
【図4】m=0モードとm=1モードのヘリコン波プラ
ズマの交互励起が可能なヘリコン波プラズマCVD装置
の一構成例を示す模式的断面図である。
【図5】本発明を適用したSiOx層間絶縁膜のCVD
において、下地絶縁膜上にAl系配線パターンが形成さ
れた状態を示す模式的断面図である。
【図6】図5の配線間スペースが第1のSiOx層間絶
縁膜で良好に埋め込まれた状態を示す模式的断面図であ
る。
【図7】CMPを行って第1のSiOx層間絶縁膜の表
面を平坦に研磨した状態を示す模式的断面図である。
【図8】第1のSiOx層間絶縁膜またはSiOF膜の
上に第2のSiOx層間絶縁膜を積層した状態を示す模
式的断面図である。
【図9】CMPを行って図8の第1のSiOx層間絶縁
膜またはSiOF膜を平坦に研磨し、その上に第3のS
iOx層間絶縁膜を積層した状態を示す模式的断面図で
ある。
【符号の説明】
1 プラズマ生成チャンバ 3 拡散チャンバ 5 第2のガス供給管 6 シングルループ・アンテナ 7 ハーフターン・アンテナ 8 ソレノイド・コイル 8a 内周側ソレノイド・コイル 8b 外周側ソレノイド・コイル 9 ウェハ・ステージ 10 第1のガス供給管 12 スイッチ 13 高周波電源 14 パルス電源 15,61,71 マッチング・ネットワーク 16 バイアス印加用高周波電源 18 高速スイッチング回路 62,72 駆動アンプ 63 リレー回路 81 DC電源 82 スイッチ 21 下地絶縁膜 24 Al系配線パターン 25 第1のSiOx層間絶縁膜 26 第2のSiOx層間絶縁膜 27 第3のSiOx層間絶縁膜 28 SiOF膜

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単一のプラズマ生成チャンバ内にm=0
    モードのヘリコン波プラズマとm=1モードのヘリコン
    波プラズマとをそれぞれ励起可能な2系統の高周波アン
    テナと、磁界生成手段とを備えたヘリコン波プラズマ装
    置を用い、該プラズマ生成チャンバに接続される拡散チ
    ャンバ内に収容された基板に対してCVDを行うヘリコ
    ン波プラズマCVD方法。
  2. 【請求項2】 前記CVDは、上記2系統の高周波アン
    テナに同時連続的に高周波電力を供給することにより、
    m=0モードのヘリコン波プラズマとm=1モードのヘ
    リコン波プラズマとを同時連続的に励起しながら行う請
    求項1記載のヘリコン波プラズマCVD方法。
  3. 【請求項3】 前記CVDは、上記2系統の高周波アン
    テナに同時間欠的に電力を供給することにより、m=0
    モードのヘリコン波プラズマとm=1モードのヘリコン
    波プラズマとを同時間欠的に励起しながら行う請求項1
    記載のヘリコン波プラズマCVD方法。
  4. 【請求項4】 前記CVDは、上記2系統の高周波アン
    テナへの電力供給を高速に切り替えることにより、m=
    0モードのヘリコン波プラズマとm=1モードのヘリコ
    ン波プラズマを交互に励起させながら行う請求項1記載
    のヘリコン波プラズマCVD方法。
  5. 【請求項5】 前記CVDは、前記拡散チャンバへのヘ
    リコン波プラズマの輸送に寄与する磁界成分の生成/消
    滅を前記磁界生成手段の制御を通じて切り替えながら行
    う請求項1記載のヘリコン波プラズマCVD方法。
  6. 【請求項6】 前記CVDは、前記基板上に段差被覆性
    に優れる第1の薄膜を成膜する第1工程と、耐湿性に優
    れる第2の薄膜を成膜する第2工程とに分けて行い、両
    工程間で前記2系統の高周波アンテナへの電力供給比を
    変化させることにより、m=0モードのヘリコン波プラ
    ズマとm=1モードのヘリコン波プラズマの生成比を変
    化させる請求項1記載のヘリコン波プラズマCVD方
    法。
  7. 【請求項7】 前記CVDは、前記基板上に段差被覆性
    に優れる第1の薄膜を成膜する第1工程と、耐湿性に優
    れる第2の薄膜を成膜する第2工程とに分けて行い、前
    記第1工程では前記磁界生成手段の制御を通じて前記拡
    散チャンバへのヘリコン波プラズマの輸送に寄与する磁
    界成分を消滅させ、前記第2工程では該磁界成分を生成
    させながら行う請求項1記載のヘリコン波プラズマCV
    D方法。
  8. 【請求項8】 前記CVDは、前記基板上に段差被覆性
    に優れる第1の薄膜を成膜する工程と、耐湿性に優れる
    第2の薄膜を成膜する工程とに分けて行い、前記第1工
    程では前記2系統の高周波アンテナへの電力供給を同時
    間欠的に行い、前記第2工程では該電力供給を同時連続
    的に行う請求項1記載のヘリコン波プラズマCVD方
    法。
  9. 【請求項9】 前記第1の薄膜が有機シリコン系化合物
    を含む原料ガスを用いて成膜されるシリコン化合物系薄
    膜である請求項6記載のヘリコン波プラズマCVD方
    法。
  10. 【請求項10】 前記第1の絶縁膜がフッ素を含有する
    シリコン化合物系薄膜である請求項6記載のヘリコン波
    プラズマCVD方法。
  11. 【請求項11】 前記第2の薄膜がシラン系化合物を含
    む原料ガスを用いて成膜されるシリコン化合物系薄膜で
    ある請求項6記載のヘリコン波プラズマCVD方法。
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Cited By (3)

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