JPH08281646A - ポリカーボネート粉粒体の乾燥方法 - Google Patents

ポリカーボネート粉粒体の乾燥方法

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JPH08281646A
JPH08281646A JP8515495A JP8515495A JPH08281646A JP H08281646 A JPH08281646 A JP H08281646A JP 8515495 A JP8515495 A JP 8515495A JP 8515495 A JP8515495 A JP 8515495A JP H08281646 A JPH08281646 A JP H08281646A
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Toshiyuki Yasuda
俊之 安田
Noriyuki Hisanishi
律行 久西
Takashi Tsukahara
隆 塚原
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  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 30重量%を超え60重量%以下の有機溶媒
を含むポリカーボネート粉粒体を、溶媒含有量が少なく
とも30重量%となるまで、下式で計算される乾燥速度
を0.01[log (wt%)/min ]以下にして乾燥する
一次乾燥工程を含むことを特徴とするポリカーボネート
粉粒体の乾燥方法。 乾燥速度(Rd )=(log Ca1 −log Ca2 )/(t
2 −t1 ) t1 ,t2 :測定時点を示し、t2 >t1 である。 Ca1 ,Ca2 :時点t1 ,t2 におけるポリカーボネ
ート粉粒体の溶媒含有量(重量%)を示す。 【効果】 本発明によれば、従来より用いられている翼
型乾燥機を含む任意の乾燥機を用いて、ポリカーボネー
ト粉粒体に含まれる溶媒を、ポリカーボネート粉粒体の
粒度分布、嵩密度を変化させることなく、除去すること
により、ポリカーボネートを低コストで乾燥することが
できる方法が提供された。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリカーボネート粉粒体
の乾燥方法に係り、詳しくはポリカーボネート粉粒体の
粒度分布、嵩密度を変化させることなく、ポリカーボネ
ート粉粒体に含まれる溶媒を除去することにより、ポリ
カーボネート粉粒体を乾燥する方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】ポリ
カーボネートの製造方法として、ビスフェノールAのよ
うな芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンとを原料とす
る界面重縮合法が知られている。この界面重縮合法は、
芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液とホスゲン
とを塩化メチレンなどの有機溶媒の存在下に接触させ
て、水相と溶媒相との界面で重縮合反応を行なうことに
より、ポリカーボネートを得るものである。この界面重
合法によれば、ポリカーボネートが、有機溶媒に溶解し
た溶液状態で得られるので、ポリカーボネートの粉粒体
を得るためには、濃縮、乾燥などの処理により有機溶媒
を除去する必要がある。
【0003】ポリカーボネート溶液からポリカーボネー
ト粉粒体を得る方法として、下記の方法が知られてい
る。
【0004】(a) ニーダーのような撹拌装置にポリカー
ボネート溶液を供給し、加熱しながらポリカーボネート
溶液を撹拌することにより、ポリカーボネート溶液の蒸
発濃縮、乾燥を行なう方法(特公昭53−15899号
公報) (b) 温水中にポリカーボネート溶液を投入し撹拌下、ポ
リカーボネート固形物を析出させ、析出したポリカーボ
ネート固形物を濾取する方法(特開昭64−74231
号公報) (c) ポリカーボネート溶液をスチームとともに急速に混
合してポリカーボネート粒子の分散液を得たのち、加熱
により水および溶媒を除去する方法(特公昭63−13
33号公報) (d) ヘリカル型撹拌翼付き造粒槽にポリカーボネート溶
液をポリカーボネート種パウダーおよび貧溶媒またはそ
のガスとともに供給し、撹拌混合しつつ加熱して有機溶
媒および貧溶媒を蒸発除去する方法(特開平6−100
703号公報) しかし上記(a) 〜(d) の方法により得られるポリカーボ
ネート粉粒体には、一般に相当量の溶媒が残留してお
り、このような溶媒残留ポリカーボネート粉粒体を二軸
型押出乾燥機、パドルドライヤーなどの翼型乾燥機で乾
燥すると、粉粒体の破壊により微粉が多量に発生し、配
管の閉塞、堆積等の運転上のトラブルが発生する。また
微粉の発生により粉粒体の粒度分布が幅広くなり、また
嵩密度も大きく変化し、ポリカーボネート成形時の押出
性および取扱性が悪化する。
【0005】ポリカーボネート粉粒体を乾燥する際に発
生する微粉によってもたらされる上記欠点を解消するた
め、乾燥後の粉粒体を分級して微粉を除去したり、また
除去した微粉のみを圧縮成形する方法があるが、この方
法では手間がかかり、製品のコスト増につながる。
【0006】また特開平6−155466号公報には、
ポリカーボネート粉粒体を溶媒の残留量が5重量%未満
になるまで非翼型乾燥機で乾燥する方法が開示されてい
る。
【0007】しかし、この特許公報に記載の方法は、乾
燥に際して粉粒体に剪断力のかからない特殊の非翼型乾
燥機を使用する必要があり、設備コストが高くなり、こ
れが製品コスト増につながる。またこの特許公報に記載
の方法は、たとえ、非翼型乾燥機を使用したとしても、
乾燥速度が速い場合には微粉の発生は避けられなくな
り、上記トラブルの発生及び押出性、取扱性の悪化を招
くという欠点がある。
【0008】本発明は上記従来技術の欠点を解消するた
めになされたものであり、その目的は、従来より用いら
れている翼型乾燥機を含む任意の乾燥機を用いて、ポリ
カーボネート粉粒体に含まれる溶媒を、ポリカーボネー
ト粉粒体の粒度分布、嵩密度を変化させることなく除去
することにより、ポリカーボネート粉粒体を低コストで
乾燥することが可能な方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意研究を行なった結果、ポリカーボネ
ート粉粒体の溶媒含有量が少なくとも30重量%となる
まで、乾燥速度を下記に示すような所定の値以下にして
乾燥すると、翼型乾燥機を含む任意の乾燥機を用いた場
合であってもポリカーボネート粉粒体の破壊による微粉
の発生が抑えられ、その結果、粒度分布、嵩密度を変化
させることなくポリカーボネート粉粒体を乾燥すること
ができることを見い出した。
【0010】本発明は、上記知見に基づいて完成したも
のであり、本発明のポリカーボネート粉粒体の乾燥方法
は、30重量%を超え60重量%以下の有機溶媒を含む
ポリカーボネート粉粒体を、溶媒含有量が少なくとも3
0重量%となるまで、下式で計算される乾燥速度を0.
01[log (wt%)/min ]以下にして乾燥する一次乾
燥工程を含むことを特徴とする。
【0011】乾燥速度(Rd )=(log Ca1 −log C
2 )/(t2 −t1 ) t1 ,t2 :測定時点を示し、t2 >t1 である。 Ca1 ,Ca2 :時点t1 ,t2 におけるポリカーボネ
ート粉粒体の溶媒含有量(重量%)を示す。
【0012】以下、本発明を詳説する。
【0013】本発明において乾燥処理に付されるポリカ
ーボネート粉粒体としては、ポリカーボネートの有機溶
媒溶液を任意の方法で蒸発濃縮、乾燥することにより得
られたものが用いられる。
【0014】ここに上記「ポリカーボネート」の代表例
としては、ジヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応また
はジヒドロキシ化合物と炭酸エステルとの反応により得
られたポリカーボネート(A)およびジヒドロキシ化合
物とホスゲンと二塩基性カルボン酸との反応により得ら
れたポリエステルカーボネート(B)が挙げられる。
【0015】なお、上記ポリカーボネート(A)および
ポリエステルカーボネート(B)の製造原料であるジヒ
ドロキシ化合物としては2価フェノール化合物が好まし
く、その具体例としては、ハイドロキノン、4,4′−
ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)アルカン[ビスフェノールAなど]、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スル
ホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等及びこ
れらのハロゲン置換化合物が挙げられる。また上記ポリ
カーボネート(A)の製造原料である炭酸エステル化合
物としては、ジフェニルカーボネート等のジアリールカ
ーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネ
ート等のジアルキルカーボネートが挙げられる。
【0016】また上記ポリエステルカーボネート(B)
の製造原料である二塩基性カルボン酸としてはテレフタ
ル酸、イソフタル酸が挙げられる。
【0017】上記の「ポリカーボネートの有機溶媒溶
液」における「有機溶媒」としては、(イ)ポリカーボ
ネートを溶解する、(ロ)ポリカーボネートに対して実
質的に不活性である、(ハ)使用温度で実質的に安定で
あるという条件を満たすものであれば、その種類は問わ
ない。しかしポリカーボネート粉粒体からの除去を考慮
すると200℃以下の沸点を有する有機溶媒が望まし
い。
【0018】このような有機溶媒の具体例としては、通
常好ましく使用される塩化メチレンの他、例えばクロロ
ホルム、クロロベンゼン等の塩素系有機溶媒をはじめ、
ジオキサン、テトラヒドロフラン等の溶媒、またはこれ
らの混合物が挙げられる。有機溶媒は、貧溶媒との混合
物であってもよい。貧溶媒は、実質的にポリカーボネー
トを溶解せず、また使用温度で安定なものであり、その
具体例としては、脂肪族アルカン類、芳香族アルカン
類、アルコール類、ケトン類などが挙げられる。
【0019】ポリカーボネートの有機溶媒溶液からポリ
カーボネート粉粒体を得るための方法としては、30重
量%を超え60重量%以下の有機溶媒を含むポリカーボ
ネート粉粒体を得ることができる方法であれば特に限定
されるものではない。例えば下記のような方法が挙げら
れる。
【0020】(i) ニーダーのような撹拌装置にポリカー
ボネート溶液を供給し、加熱しながらポリカーボネート
溶液を撹拌することにより、ポリカーボネート溶液の蒸
発濃縮、乾燥を行なう方法(特公昭53−15899号
公報) (ii)ヘリカル型撹拌翼付き造粒槽にポリカーボネート溶
液をポリカーボネート種パウダーおよび貧溶媒またはそ
のガスとともに供給し、撹拌混合しつつ加熱して有機溶
媒および貧溶媒を蒸発除去する方法(特開平6−100
703号公報)ポリカーボネート粉粒体の形状は例えば
球状、円柱状(ペレット状)、顆粒状などの任意の形状
または無定形状であってもよい。ポリカーボネート粉粒
体の平均粒径は1〜10mm程度が望ましい。その理由
は、平均粒径が1mm未満ではポリカーボネート粉粒体中
に微粉が元々相当量存在しており、微粉量を少なくして
粉粒体の粒度分布、嵩密度を保つという本発明の効果が
得られにくく、一方10mmを超えると、ポリカーボネー
ト粉粒体に含まれる有機溶媒を除去しにくくなるからで
ある。
【0021】本発明において乾燥処理に付されるポリカ
ーボネート粉粒体の有機溶媒含有量は30重量%を超
え、60重量%以下に限定される。その理由は、ポリカ
ーボネート粉粒体中の有機溶媒の含有量が60重量%を
超えると、粉粒体が乾燥時に塊状となり、粉粒体の粒度
分布、嵩密度を保ちつつ粉粒体を乾燥するという本発明
の目的を達成できず、一方ポリカーボネート粉粒体中の
有機溶媒の含有量が30重量%以下では、粉粒体の乾燥
時に微粉が元々発生しないので、本発明の方法を実施す
る必要がないからである。
【0022】本発明のポリカーボネート粉粒体の製造方
法は、上述のように有機溶媒の含有量が30重量%を超
え60重量%以下であるポリカーボネート粉粒体を溶媒
含有量が少なくとも30重量%となるまで、下式で計算
される乾燥速度を0.01[log (wt%)/min ]以下
にして乾燥する一次乾燥工程を行なうことを特徴とする
ものである。
【0023】乾燥速度(Rd )=(log Ca1 −log C
2 )/(t2 −t1 ) t1 ,t2 :測定時点を示し、t2 >t1 である。 Ca1 ,Ca2 :時点t1 ,t2 におけるポリカーボネ
ート粉粒体の溶媒含有量(重量%)を示す。
【0024】溶媒含有量が少なくとも30重量%となる
まで、乾燥速度を0.01[log (wt%)/min ]以下
にしてポリカーボネート粉粒体を乾燥することにより、
ポリカーボネート粉粒体の破壊による微粉の発生が抑え
られ、その結果、乾燥前と同様の粒度分布、高密度を有
し、有機溶媒含有量が著しく低減した乾燥ポリカーボネ
ート粉粒体が得られる。一方、溶媒含有量が30重量%
以上であるときに、乾燥速度を0.01[log (wt%)
/min ]を超える値にすると、ポリカーボネート粉粒体
が破壊されて粒度分布、嵩密度の変化は避けられない。
これが本発明において一次乾燥工程における乾燥速度を
0.01[log (wt%)/min ]以下に限定する理由で
ある。
【0025】乾燥速度を0.01[log (wt%)/min
]以下とする一次乾燥工程における乾燥温度は、特に
制限はないが、常圧下では40〜120℃とするのが好
ましく、減圧下では30〜100℃とするのが好まし
い。また一次乾燥工程における乾燥時間は20〜180
分間程度とするのが好ましい。
【0026】一次乾燥工程後のポリカーボネート粉粒体
の粒子破壊率は、式 粒子破壊率(重量%)=(破壊された粉粒体の重量)/
(全粉粒体の重量)×100 によって計算されるが、一次乾燥工程後の粒子破壊率は
10重量%以下であるのが好ましい。その理由は、粒子
破壊率が10重量%を超えると、微粉の量が比較的多く
なり、粉粒体の粒度分布、嵩密度が乾燥前に比べて変化
するからである。
【0027】本発明のポリカーボネート粉粒体の製造方
法においては、上記の一次乾燥工程によりポリカーボネ
ート粉粒体中の有機溶媒の含有量が少なくとも30重量
%となった後、二次乾燥工程を行なうことができる。
【0028】この二次乾燥工程における乾燥速度は、一
次乾燥工程におけるような特別な乾燥速度とする必要は
なく、任意の乾燥速度とすることができる。その理由
は、ポリカーボネート粉粒体中の有機溶媒含有量が30
重量%以下では、乾燥速度を任意にしても、ポリカーボ
ネート粉粒体の破壊による微粉の発生が生じにくく、従
ってポリカーボネート粉粒体の粒度分布、嵩密度の変化
も生じないからである。
【0029】二次乾燥工程における乾燥温度は、特に制
限はないが、常圧下では40〜150℃であり、減圧下
では30〜150℃であるのが好ましい、また乾燥時間
も特に制限はないが、60〜240分とするのが好まし
い。
【0030】非翼型撹拌機を用いることを必須要件とす
る前記特開平6−155466号公報に記載の方法と異
なり、本発明において、一次乾燥工程および二次乾燥工
程で用いる乾燥機は、特に限定されるものでなく、翼型
および非翼型の任意の乾燥機を用いることができる。こ
のような乾燥機の具体例としては、パドルドライヤー、
回転撹拌乾燥機、ドラムドライヤー、流動乾燥機などが
挙げられる。
【0031】以上説明したように本発明のポリカーボネ
ート粉粒体の乾燥方法によれば、30重量%を超え60
重量%以下の有機溶媒を含むポリカーボネート粉粒体
を、溶媒含有量が少なくとも30重量%となるまで乾燥
速度(Rd )を0.01[log(wt%)/min ]以下に
して乾燥する一次乾燥工程を行なうことにより、粉粒体
の破壊による微粉の発生が抑えられ、乾燥前のポリカー
ボネート粉粒体とほぼ同様の粒度分布、嵩密度を有し、
かつ有機溶媒含有量が例えば1000ppm 以下の如く著
しく低減した乾燥ポリカーボネート粉粒体を得ることが
できる。
【0032】
【実施例】以下、参考例および実施例を挙げて本発明を
さらに説明する。
【0033】参考例 ポリカーボネート粉粒体を特開平6−100703号公
報の実施例1に記載された方法に従って、次のようにし
て製造した。
【0034】ポリカーボネートとして、出光石油化学
(株)製タフロンFN2200(粘度平均分子量22,
000)を用い、これを塩化メチレンに溶解してポリカ
ーボネートの塩化メチレン溶液(ポリカーボネート濃度
15重量%)を得た。
【0035】一方、ポリカーボネート粉体(出光石油化
学(株)製タフロンFN−2200)2kgを、ヘリカル
型撹拌翼を有する、有効内容積が10リットルの撹拌容
器(直径30cm)に仕込んだ。
【0036】次に上記撹拌容器に、予め調製したポリカ
ーボネートの塩化メチレン溶液を約4〜4.5kg/hrの
速度で、またヘプタンを約0.8〜1.0kg/hrの速度
で供給した。
【0037】撹拌容器内部の温度は、撹拌容器に設けて
あるジャケットに温水を通すことにより約100℃とな
るようにし、撹拌容器の内部圧力は常圧とした。
【0038】ポリカーボネートの塩化メチレン溶液とヘ
プタンの供給を開始して3時間後、容器内部の粉粒体レ
ベルが上昇してきたので、容器底部の出口バルブを経由
して、生成したポリカーボネート粉粒体を抜き出した。
ポリカーボネート粉粒体の抜き出しを開始して約14時
間後に粉粒体の性状が安定し始めたので、抜き出したポ
リカーボネート粉粒体を捕集して、後記実施例および比
較例において乾燥処理に用いた。
【0039】本参考例で得られ、後記実施例および比較
例において乾燥処理に用いたポリカーボネート粉粒体の
性状(有機溶媒含有量、平均粒径、嵩密度)を表1に示
す。なお、表1に示す5種のポリカーボネート粉粒体間
で性状(有機溶媒含有量、平均粒径、嵩密度)が異なる
のは、5種のポリカーボネート粉粒体の製造バッチが異
なり、上述のようにポリカーボネートの塩化メチレン溶
液およびペプタンの流量が変化するからである。
【0040】実施例1 表1に示すように溶媒含有量が45重量%、平均粒径が
1.10mm、嵩密度が0.57g/ccであるポリカーボ
ネート粉粒体を完全混合撹拌槽型乾燥器に投入し、上記
式によって計算される乾燥速度(Rd )を0.008
[log (wt%)/min ]にして−50mmHg の圧力下7
5℃で2時間撹拌して一次乾燥処理した。一次乾燥処理
条件は表2にも示した。
【0041】一次乾燥処理により、表1に示すように有
機溶媒含有量が28重量%、平均粒径が1.08mm、嵩
道度が0.57g/cc、粒子破壊率3.5%であるポリ
カーボネート粉粒体が得られた。
【0042】一次乾燥処理により粉粒体の有機溶媒含有
量は45重量%から28重量%に減少したが、粉粒体の
平均粒径は1.10mmから1.08mmに低下しただけで
あり殆んど変化がなく、嵩密度は一次乾燥処理の前と後
でいずれも0.57g/ccであり変化がなかった。また
粒子破壊率が3.5%と低いことから、粉粒体の破壊に
よる微粉の発生が著しく抑えられていることが分る。
【0043】一次乾燥処理後のポリカーボネート粉粒体
をパドルドライヤーに投入し、−50mmHg の減圧下1
40℃で2時間かけて二次乾燥処理した。この二次乾燥
処理条件は表2にも示した。二次乾燥処理後のポリカー
ボネート粉粒体は、有機溶媒含有量が0.03重量%、
平均粒径が1.05mm、嵩密度が0.57g/cc、粒子
破壊率が3.5%であり、二次乾燥処理により有機溶媒
含有量は0.03重量%と著しく低下していたが、平均
粒径は乾燥前および一次乾燥処理後の平均粒径と殆んど
変らず、また、嵩密度も乾燥前および一次乾燥処理後の
嵩密度と同一であった。また粒子破壊率も3.5%と極
めて低かった。
【0044】実施例2 表1に示すように有機溶媒含有量が41重量%、平均粒
径が0.86mm、嵩密度が0.55g/ccであるポリカ
ーボネート粉粒体を用い、一次乾燥処理における乾燥速
度(Rd )を表2に示すように0.010[log (wt
%)/min ]としたことおよび一次乾燥処理および二次
乾燥処理の他の条件を表2に示すように変化させたこと
以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート粉粒体を
乾燥処理した。
【0045】表1に、一次乾燥処理後の粉粒体の性状お
よび二次乾燥処理後の最終粉粒体の性状を示す。表1よ
り明らかなように、有機溶媒含有量が0.05重量%と
極めて低く、かつ平均粒径、嵩密度が乾燥前の粉粒体と
同一または実質的に同一であり、さらに粒子破壊率も
6.5%と極めて低い最終粉粒体が得られた。
【0046】実施例3 表1に示すように有機溶媒含有量が45重量%、平均粒
径が1.23mm、嵩密度が0.52g/ccであるポリカ
ーボネート粉粒体を用い、一次乾燥処理においてパドル
ドライヤーを用いて乾燥速度(Rd )を表2に示すよう
に0.009[log (wt%)/min ]としたことおよび
一次乾燥処理および二次乾燥処理の他の条件を表2に示
すように変化させたこと以外は実施例1と同様にしてポ
リカーボネート粉粒体を乾燥処理した。
【0047】表1に、一次乾燥処理後の粉粒体の性状お
よび二次乾燥処理後の最終粉粒体の性状を示す。表1よ
り明らかなように、有機溶媒含有量が0.05重量%と
極めて低く、かつ平均粒径、嵩密度が乾燥前の粉粒体と
同一または実質的に同一であり、さらに粒子破壊率も
5.0%と極めて低い最終粉粒体が得られた。
【0048】比較例1 表1に示すように有機溶媒含有量が42重量%、平均粒
径が1.81mm、嵩密度が0.44g/ccであるポリカ
ーボネート粉粒体をパドルドライヤーに投入し、表2に
示すように乾燥速度を本発明の限定値を超える0.01
7[log (wt%)/min ]として−50mmHg の圧力下
135℃で4時間乾燥処理した。
【0049】乾燥処理後に得られた最終粉粒体の性状を
表1に示す。表1より明らかなように、乾燥前の粉粒体
の粒径が1.81mmであったのに対し、最終粉粒体の平
均粒径は1.23mmであり、著しく低下していた。これ
は乾燥時に粉粒体が破壊して微粉が多量に発生したから
であり、表1に示す粒子破壊率50.0%のデータから
も裏付けられる。また嵩密度も乾燥前の0.44g/cc
から乾燥後は0.52g/ccに変化していた。
【0050】比較例2 表1に示すように有機溶媒含有量が46重量%、平均粒
径が1.57mm、嵩密度が0.48g/ccであるポリカ
ーボネート粉粒体をパドルドライヤーに投入し、表2に
示すように乾燥速度を本発明の限定値を超える0.01
6[log (wt%)/min ]として−50mmHg の圧力下
125℃で4時間乾燥処理した。
【0051】乾燥処理後に得られた最終粉粒体の性状を
表1に示す。表1より明らかなように、乾燥前の粉粒体
の粒径が1.57mmであったのに対し、最終粉粒体の平
均粒径は1.11mmであり、著しく低下していた。これ
は乾燥時に粉粒体が破壊して微粉が多量に発生したから
であり、表1に示す粒子破壊率45.0%のデータから
も裏付けられる。また嵩密度も乾燥前の0.48g/cc
から乾燥後は0.56g/ccに変化していた。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、従来より用いられてい
る翼型乾燥機を含む任意の乾燥機を用いて、ポリカーボ
ネート粉粒体に含まれる溶媒を、ポリカーボネート粉粒
体の粒度分布、嵩密度を変化させることなく、除去する
ことにより、ポリカーボネートを低コストで乾燥するこ
とができる方法が提供された。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 30重量%を超え60重量%以下の有機
    溶媒を含むポリカーボネート粉粒体を、溶媒含有量が少
    なくとも30重量%となるまで、下式で計算される乾燥
    速度を0.01[log (wt%)/min ]以下にして乾燥
    する一次乾燥工程を含むことを特徴とするポリカーボネ
    ート粉粒体の乾燥方法。 乾燥速度(Rd )=(log Ca1 −log Ca2 )/(t
    2 −t1 ) t1 ,t2 :測定時点を示し、t2 >t1 である。 Ca1 ,Ca2 :時点t1 ,t2 におけるポリカーボネ
    ート粉粒体の溶媒含有量(重量%)を示す。
  2. 【請求項2】 ポリカーボネート粉粒体が1〜10mmの
    平均粒径を有する、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 常圧下40〜120℃で、または減圧下
    30〜100℃で20〜180分間かけて一次乾燥工程
    を行なう、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 一次乾燥工程後のポリカーボネート粉粒
    体の、下式によって計算される粒子破壊率が10重量%
    以下である、請求項1に記載の方法。 粒子破壊率(重量%)=(破壊された粉粒体の重量)/
    (全粉粒体の重量)×100
  5. 【請求項5】 一次乾燥工程後に二次乾燥工程を行な
    う、請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 常圧下40〜150℃で、または減圧下
    30〜150℃で60〜240分間かけて二次乾燥工程
    を行なう、請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】一次乾燥工程および二次乾燥工程をパドル
    ドライヤー、回転撹拌乾燥機、ドラムドライヤー、流動
    乾燥機等を用いて行なう、請求項1または5に記載の方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH11342510A (ja) * 1998-04-03 1999-12-14 Teijin Chem Ltd 光学用成形材料
JP2016118759A (ja) * 2014-12-22 2016-06-30 オリヱント化学工業株式会社 荷電制御剤、荷電制御剤の製造方法、荷電制御剤を含む静電荷像現像用トナー

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