JPH08279344A - X線管及びその製造方法 - Google Patents

X線管及びその製造方法

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JPH08279344A
JPH08279344A JP34943395A JP34943395A JPH08279344A JP H08279344 A JPH08279344 A JP H08279344A JP 34943395 A JP34943395 A JP 34943395A JP 34943395 A JP34943395 A JP 34943395A JP H08279344 A JPH08279344 A JP H08279344A
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ray tube
focal
tube according
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anode target
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JP34943395A
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English (en)
Inventor
Akira Kamisaka
章 上坂
Fumio Sugimori
文雄 杉森
Hidemichi Ozaki
秀道 尾崎
Takashi Shimono
隆 下野
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Toshiba Corp
Toshiba Development and Engineering Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Toshiba Electronic Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 この発明は、陽極ターゲットからのガス放出
およびそれに起因する管内放電を抑制することができる
X線管を提供することを目的とする。 【解決手段】 この発明は、高融点金属の焼結体からな
る陽極ターゲット15が少なくとも度差中に電子ビーム
が衝突する焦点領域Fに焼結体自体を前もって一旦溶融
し凝固させて形成した柱状結晶からなる表層16を有し
てなるX線管である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はX線管及びその製
造方法に係わり、特にその電子ビームの衝突によりX線
を発生する陽極ターゲット及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】X線管は、よく知られるように、電子ビ
ーム放出陰極と陽極ターゲットとの間に例えば数10k
Vから200kVの範囲の高電圧が印加されて動作す
る。このような高電圧に対する十分な耐電圧性能を確保
するために、各電極間距離や電極形状、電極部品の小突
起の絶無、異物等の絶無、管内の高真空度の保持等に注
意を払って設計され、製造される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし実際の動作に際
して、電子ビームが陽極ターゲットに衝突すると、この
陽極ターゲットの構成部材に吸着或いは吸蔵されていた
ガス分子が叩き出される。又、陽極ターゲット面で反射
した電子がその付近の例えば真空容器の内壁や部品に衝
突し、それらの表面の吸着ガス分子を叩き出す。このよ
うな現象によって、真空容器内の、とくに陰極と陽極タ
ーゲットとの間の空間の真空度が瞬間的に低下し、それ
に起因する管内放電が発生する。
【0004】X線管の駆動電源が、通常使用される半波
整流回路や自己整流、或いは全波整流回路である場合に
は、これらは脈流であり、したがって管電圧が必ず0電
位差を経過するので一度発生した微小放電も持続できず
に消えてしまい、実用上問題にはならないのが普通であ
った。
【0005】ところで、最近はX線管の駆動電源とし
て、インバータ電源が使用される場合が多くなってきて
いる。このインバータ電源は、管電圧が整流化される。
そして、管電圧の立上がりが遅いインバータ電源にあっ
ては、動作開始初期において電子ビームが陽極ターゲッ
トに当たってガス分子を叩き出し始めても管電圧が放電
を開始するに不十分な低い電圧の状態では、放電が生じ
ない。また、このような状態では、陽極ターゲットで反
射した電子のエネルギーも未だ小さくて真空容器の内壁
等のガス分子を一度に大量に放出させ得ないために、そ
れらのガス分子が逐次管内の他の冷たい温度の部位に吸
着されたり、ゲッタに吸収されたりする。そのため、管
電圧が十分高くなっても放電に至らない。
【0006】しかし、インバータ電源による管電圧の立
上がり特性が改善されて例えば50ミリ秒よりも短い立
上がり時間になると、動作開始直後にガス分子が瞬時に
大量に放出され、陰極と陽極ターゲットとの間の空間の
真空度が極度に低下して放電を起こす確率が高まる。
【0007】このように、電源の動作の立上がりが改善
される一方でX線管の管内放電が発生しやすくなる不都
合がある。とくに、真空容器内のガス分子は、一旦冷た
い温度の部位に吸着しても、数時間の後には離脱し真空
容器内に一様に分散してしまうものと考えられている。
その結果として、動作停止後数時間以上経過して再び動
作させると、前述のようなメカニズムにより放電が再発
してしまう傾向がある。とくに最近は、X線撮影装置の
精密化により、ごく微弱な放電もX線撮影画像の再現の
障害になるので、このような数時間以上の動作休止後の
再動作での放電等を皆無にする必要性が高まっている。
言うまでもなく、このような微弱な放電現象でも、それ
はX線撮影の像の欠落を起こすばかりでなく、X線装置
のシステムダウンを起こしてしまう場合もあるので、そ
の完全な解消が求められている。
【0008】ところで、通常の陽極ターゲットは、高融
点で重金属の微粉末から粉末冶金法で製造される。すな
わち、タングステンやモリブデンのような高融点金属の
微粉末を充填し、加圧成形、焼結、熱間静水圧プレス
(HIP)法や鍛造等によって製造される。このような
焼結体からなる陽極ターゲットの場合には、焼結体の結
晶粒径が出発材料である高融点金属微粉末の平均粉末粒
径よりもおよそ10倍程度大きくなるとは言え、この焼
結体の内部に無数の微小気孔が必然的に残るので、ガス
の完全な除去がとくに困難である。このような高融点金
属焼結体は、所定の形状及び寸法の陽極ターゲットに仕
上げるために機械加工されるが、その密度は約96%
(HIP法による場合)程度である。したがって、電子
ビームが衝突する陽極ターゲット表面に関してみても、
焦点面はマクロ的にも起伏に富み、更にミクロ的にも個
々の焼結体の結晶によって多くの微細な凹凸や微細な亀
裂が存在し、表面積は著しく広くなっている。そのた
め、陽極ターゲットの内蔵ガスは、長い期間に徐々に放
出されるし、また表面部や微細亀裂に大量のガス分子が
吸着される。
【0009】こうして、高融点金属焼結体からなる陽極
ターゲットに電子ビームが当ると、瞬時に大量のガス分
子が叩き出され、それに起因する放電が発生しやすい。
また、従来の焼結体からなるターゲットでは、X線管の
動作で急激なヒートショックの繰り返しにより、焼結体
の結晶粒界の割れが進行し、結晶粒子の隙間から残留ガ
スが出たり、或いは逆に焼結結晶粒子の隙間にガス分子
が吸着し、それらが原因での管内放電がとくに生じやす
い。
【0010】なお、予め陽極ターゲットの焦点面を電子
ビームやレーザビーム、或いは高周波加熱手段等により
加熱又は溶融してガスの発生を抑制したり動作中の大入
力でも安定な動作を維持できるようにすることが、例え
ば特公昭37−5502号公報や、特開平2−1062
8号公報、特開平5−151891号公報に開示されて
いる。この技術によれば、陽極ターゲットから相当程度
のガス放出をさせることができるが、X線管の動作中に
微細な亀裂が拡大されるために瞬時のガス放出性があ
り、なお一層の改善が求められている。
【0011】また、USP3160779号明細書には
銅製の陽極基体上にタングステンの単結晶からなるター
ゲットディスクを接合したX線管が開示されており、ま
たUSP2340500号明細書には陽極基体上に柱状
結晶からなるターゲットディスクを接合したX線管が開
示されている。さらにまた、USP3158513号明
細書には、横方向に長い結晶構造のタングステン製の回
転陽極型ターゲットの高温強度を高めるため、その焦点
軌道領域を高周波誘導加熱等で局部加熱してより小さい
等方性の結晶構造にする技術が記載されている。
【0012】さらに、特開平4−188551号公報に
は、黒鉛基体上にCVD法により成長させた薄い多結晶
層を介して柱状結晶を同じくCVD法により成長させた
ターゲット構造が開示されている。また、特開昭54−
52487号公報には、陽極ターゲット層を基体に付着
させる際にレーザ照射により溶融させる技術が開示され
ている。
【0013】これら公知技術は、X線管の動作により電
子ビーム衝撃の繰り返えされると、前述のような瞬時の
ガス放出や吸着が起こり、管内放電の解消には十分な効
果を発揮し得ない。またこのような従来公知の陽極ター
ゲッとでは、とくにオンオフ動作が繰り返されることに
よるターゲット層の局部的な剥がれが生じやすく、十分
な耐久性が得にくい不都合がある。
【0014】この発明は、以上述べたような動作時の陽
極ターゲットからのガス放出およびそれに起因する管内
放電を抑制することができるとともに、ターゲット層の
局部的な剥がれが生じにくい陽極ターゲットを持つX線
管及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明は、高融点金属
の焼結体からなる陽極ターゲットの少なくとも電子ビー
ムが衝突する焦点面領域がこの焦点領域の表面から所定
の深さまで焦点領域表面に対し垂直又は斜め方向に延び
る柱状結晶を主体とする結晶組織からなる表層を有する
X線管である。
【0016】また、製造方法の特徴は、高融点金属焼結
体からなる陽極ターゲットの少なくとも電子ビームが衝
突する焦点領域を非酸化性雰囲気中で一旦溶融し徐冷し
て焦点領域表面から所定の深さまでこの焦点面に対して
垂直又は斜め方向に延びる柱状結晶を主体とする結晶組
織の表層を形成する点にある。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照してこの発明の
実施例を説明する。なお、同一部分は同一符号であらわ
す。図1および図2はこの発明を固定陽極型X線管に適
用した例である。すなわち、ガラス製の円筒状真空容器
11の内側に、電子ビームを放出する陰極12、及びこ
れに対向して陽極構体13が配設されている。陽極構体
13は、銅からなる円柱状陽極基体14の先端傾斜面
に、レニウム(Re)を約10重量%含むタングステン
(W)合金の粉末冶金法で製造した焼結体からなる厚さ
が約2mmの円板状陽極ターゲット15が埋め込まれて
いる。
【0018】そこで、高融点金属焼結体からなる陽極タ
ーゲット15は、このターゲット面上の電子ビームが当
たる焦点Fを含みこれを包囲する領域を、予め所定の深
さにわたって一旦溶かし徐冷して凝固させて形成した表
層16を有している。この表層16は、後述するよう
に、母材であるRe−W合金の焼結体の等方性の結晶か
ら連続し且つそれ自体の高融点金属すなわちRe−W合
金の柱状結晶を主体とする結晶組織の層である。この表
層の柱状結晶組織は、焦点面に垂直又はやや斜め方向に
整列している。
【0019】そしてこの表層16は、最小限、電子ビー
ムが衝突する焦点領域Fに形成される必要があるが、効
果の確実な発揮及び動作条件の変動による電子ビーム軌
道の変動等を考慮し、焦点領域Fを含みこれを取り巻い
て大きい領域にわたって形成することが望ましい。すな
わちこの表層16は、ほぼ平滑な表面状態で且つ焦点領
域において比較的均一な厚さに形成されている。またこ
の表層16は、平面形状がほぼ矩形で、長辺の長さL及
び幅寸法が電子ビームの衝突領域すなわちX線放射の焦
点Fの長さf及び幅寸法よりも大きく、さらに厚さt
(深さ)がこのX線管の動作時の電子の最大進入深さよ
りも十分深い領域まで達する厚さで形成されている。
【0020】そこで、好ましい製造方法に従って説明す
る。陽極ターゲット材料として、平均粉末粒径が約3μ
mのRe−W合金微粉末を用意し、これをHIP法によ
り直径が約18mm、厚さが約2mmの円板状の陽極タ
ーゲット15とした。このRe−W合金の焼結体は、後
述するように、等方性の結晶構造を有し、その平均結晶
粒径はおよそ30μmであった。この焼結体からなる円
板状陽極ターゲット15を、鋳込み法により無酸素銅か
らなる円柱状陽極基体14の斜面に接合した。そしてこ
れを切削等により所定形状の陽極構体13に仕上げた。
【0021】次に、図3に示すように、真空ベルジャ2
1の内部の導電体製基台22の上に陽極構体13を固定
した。真空ベルジャ21には、真空ポンプ23が接続さ
れており、真空に減圧できるようになっている。陽極構
体13の上方の所定位置に、電子ビーム放出用陰極24
が陰極支持体25に保持されている。そして、真空ベル
ジャ21の外部の駆動電源26から、陰極加熱電源及び
電子ビーム加速用高電圧電源が、リード線27,28に
より陰極24陽極構体13に供給される。
【0022】真空ベルジャ21の内部を所定の真空度に
した後、駆動電源26を動作させて、X線管の定常の動
作電圧よりも十分高いビーム加速電圧を印加し且つ電子
ビーム放出用陰極24からX線管の定常のビーム電流よ
りも十分大きい電流及び面積の電子ビームを所定時間だ
け放出させ、陽極ターゲット15の焦点領域とそのまわ
りの領域に衝突させて、図4に示すようにRe−W合金
の焼結体からなる陽極ターゲット15の表面部を長さL
が約7mm、幅wが約0.5mmの範囲を局部的に溶融
させた。その後、電子ビーム量を徐々に低減させて陽極
ターゲット15の溶融部を徐冷した。
【0023】なおこの徐冷速度は、溶融部がこの焼結体
の融点からこの融点の約30%に相当する温度まで下げ
るのに3秒以上を要する冷却速度にすることが望まし
い。すなわち、冷却速度を遅くするほど、焦点領域及び
その付近が比較的大きいアスペクト比の柱状結晶の集合
体にでき、好ましい結果が得られる。
【0024】その後、陽極構体13をX線管の真空容器
内に陰極12などとともに組み込み、管内を排気してX
線管を完成した。このように製造したX線管は、繰り返
しのオンオフ動作でも従来発生していたような管内放電
は皆無になり、また、ターゲット層の剥がれ等も起こら
ず、信頼性の高いX線管が得られた。
【0025】ところで、このように高融点金属焼結体か
らなる陽極ターゲット15の焦点領域及びそのまわりを
一旦溶融させ、徐冷して凝固させた状態を顕微鏡写真に
より観察したところ、図5乃至図7に示す結晶状態が得
られた。図5は、図4に示したほぼ長方形の表層16の
中間部を矢印5−5のように横切り縦方向に切断し、表
面近くを約100倍に拡大して観察した顕微鏡写真であ
る。同図から、陽極ターゲット15は、母材であるほぼ
等方性の結晶からなる焼結体Bの表面部に、約0.5m
mの幅wにわたり、比較的大きい結晶及び表面に向かっ
てほぼ垂直に並んだ柱状結晶からなる表層16が認めら
れる。そしてこの表層16の中心部の深さすなわち厚さ
tは、約130μmである。
【0026】図6は、陽極ターゲット15の表面の結晶
状態を約500倍に拡大して観察した顕微鏡写真であ
る。同図から、一旦溶融させ徐冷して凝固させた表層1
6の領域の表面は、それに隣接する非溶融面すなわち母
材である焼結体の表面15aよりも結晶が非常に大きく
なっていることがわかる。なお、同写真の左下の部分
は、標本の欠落部分である。
【0027】図7は図5の表層16及びその付近を20
0倍に拡大して観察した顕微鏡写真である。そして図8
は図7の結晶構造を模式的にあらわした図である。同図
からわかるように、表層16は比較的大きい結晶や焦点
面にほぼ垂直に長く延びる柱状結晶の集合からなってい
る。そして各柱状結晶の焦点面に垂直な方向の長さは、
約50μm(端部)から約130μm(中心部)であ
り、焼結体Bの平均結晶粒径(約30μm)の1.7
倍、又はそれ以上の長さになっている。また各柱状結晶
の中間部の横断面の直径は、約20μm(端部)から約
100μm(中心部)の間に分布しており、平均して約
50μmである。さらに注目できることは、表層16の
柱状結晶が母材である焼結体Bの結晶Sの数個の領域か
ら実質的に連続的に延びており、母材である焼結体と表
層との境界に格別異なる性質の層が存在しないことであ
る。これは、一旦溶融したRe−W合金が徐冷の際に焼
結体Bの隣接する数個の結晶を種として結晶成長するた
めであると解される。このような結晶構造であること
は、完成したX線管でオンオフ動作が繰り返されても母
材である焼結体Bから柱状結晶の表層16が剥離するお
それがほとんどなく、また焦点領域に発生する熱も柱状
結晶に沿って焼結体母材方向に良好に伝導し放散され、
表層の再結晶化も抑制されることを裏付けている。
【0028】なお、多数の微小黒点Qは、焼結体結晶S
の粒界や内部に存在する気孔が主で、それに顕微鏡写真
を撮影するための標本作成の際の機械的な研磨で生じた
超微粉末結晶の脱落の痕跡が混じったものである。ここ
でも注目されるのは、微小黒点Qすなわち気孔は表層1
6にはほとんど存在しないことである。そして隣合う柱
状結晶相互の粒界は少なく且つほぼ垂直に延びて表面に
達している。したがって、X線管の動作中、表層16に
電子ビームが衝突してもこの表層からはガスの発生がほ
とんどない。しかも長期にわたる動作で、万一、表層に
結晶粒界割れが発生しそれが進行してこの結晶粒界割れ
部分にガスが入り込んでも、それはわずかなガス量にと
どまるとともに、表面に垂直又は斜めに延びる割れであ
るため、ガスは容易に排出しやすい。そのため、X線管
の長期にわたる動作に伴うガス発生及びそれに起因する
管内放電は生じ難い。なお、表層16は密度が母材であ
る焼結体Bよりも高くなる結果、図示のようにターゲッ
ト焦点面が少し窪んでしまうが、それはわずかな寸法で
あり、X線管の動作には支障がない。しかし要すれば、
上記のように溶融、凝固させた後にターゲット面を平坦
に研磨してもよい。
【0029】以上説明した実施例は、表層を形成するの
に真空ベルジャ内に陽極構体を配置して電子ビーム照射
する方法であるが、それに限らず、例えば陽極基体に接
合しない状態の陽極ターゲットディスクのみを真空ベル
ジャ内に配置して電子ビーム照射する方法であってもよ
い。
【0030】さらに、高融点金属焼結体からなる陽極タ
ーゲットを局部的に溶融する際の雰囲気は、真空(好ま
しくは、圧力が10−3Pa以下)の他、加熱溶融手段
と適合する不活性ガスその他の非酸化性ガス雰囲気であ
ってもよい。
【0031】さらにまた、陽極ターゲットを陰極等とと
もにX線管の真空容器内に組み込んでから、排気工程又
はその直後に、真空容器内の陰極から電子ビームを放出
させ、ターゲット上に照射して高融点金属焼結体からな
る陽極ターゲットを局部的に溶融させ、徐冷して凝固さ
せてもよい。
【0032】すなわち図9に示すように、陽極構体13
及び陰極12を真空容器11内の所定位置に組み立てた
X線管30を、排気装置の加熱炉31の内部に固定する
とともに、X線管の排気管11aを真空ポンプ32に接
続して排気する。各部のガスを排出させた後、駆動電源
33から、このX線管の定常動作時よりも十分高い加速
電圧及び大きいビーム電流を所定時間流すように電力供
給して、高融点金属焼結体からなる陽極ターゲット15
の焦点領域を含む所定領域を所定深さまで一旦溶融し、
徐冷して単結晶又は柱状結晶からなる表層を形成する。
そして、排気管11aを封止切りしてX線管を完成す
る。なお、排気管を封止切りした後に上述の表層の形成
を行ってもよい。
【0033】このように、X線管として組み立てた後に
表層を形成すれば、この表層を正確に焦点領域に一致さ
せて形成できる利点がある。
【0034】図10に示す実施例は、マンモグラフィ用
の回転陽極型X線管の場合であり、傘状の陽極ターゲッ
ト15がモリブデン(Mo)の粉末焼結体で構成されて
いる例である。この陽極ターゲット15は、支持シャフ
ト17を介して回転円筒18に固定されている。そし
て、このモリブデン焼結体からなる陽極ターゲット15
は、要部を拡大して示すように、電子ビームが当たる焦
点領域及びそれを包囲する近傍領域を、前もって所定深
さまで溶融し徐冷して凝固させた表層16を有してい
る。この表層16は、焦点面に垂直又はやや斜め方向に
延びる柱状結晶を主体とする結晶組織を有している。
【0035】この表層16を形成するには、図3の場合
と同様に、回転陽極構体を真空ベルジャ内に配置し、真
空にしてターゲットを回転させながら少なくとも焦点軌
道を含む領域に電子ビームを衝突させて母材であるモリ
ブデン焼結体の表面部を局部的に溶融させ、徐冷し凝固
させる。
【0036】なお、このような回転陽極型X線管の場合
でも、図9に示したように真空容器内に各電極等を組み
立ててから、排気工程又はその直後に陽極ターゲットの
少なくとも焦点領域を一旦溶融させて徐冷し、主として
柱状結晶からなる表層を形成してもよい。
【0037】図11乃至図15に示す実施例は、やはり
回転陽極型X線管の場合である。その回転陽極13は、
支持基体部用のモリブデン微粉末と、その上のターゲッ
ト層用の約5重量%のレニウムを含むタングステン合金
微粉末とを焼結し、鍛造法により直径約100mmの傘
形に成型したものである。モリブデン焼結体からなる支
持基体部14は厚さが最大部分で約15mmであり、そ
の表面部のタングステン合金の焼結体からなる薄いター
ゲット層15は約1.5mmの厚さである。なお、図中
の符号14aはこの回転陽極を図示しないシャフトに固
定するための中心透孔をあらわしている。
【0038】この回転陽極13を、図示しない真空装置
内に配置し、毎分約1回転で矢印Rのように回転させ
る。一方、回転陽極のターゲット層15に対向して陰極
支持体25に支持された渦巻状の直熱フィラメントカソ
ードからなる電子ビーム放出用陰極24を配置する。こ
の陰極24から陽極ターゲット層15に向けて1点鎖線
で示す表層形成衝突面上の平面形状が回転陽極の半径方
向に長い楕円形の電子ビームeを放出させ、X線管の動
作時のX線発生領域すなわち焦点軌道領域Fを含みその
内外周側に所定範囲拡大した表層形成領域16に電子ビ
ームeを衝突させるようにしてある。なお、表層形成領
域面に衝突させる電子ビームeの衝突面上の平面形状
は、焦点軌道の円周方向に沿って長い楕円形であっても
よい。
【0039】そして、この陰極と陽極との間に約10k
Vの直流電圧を印加するとともに、図13に示すよう
に、電子ビーム電流を徐々に増やし、約600mAを流
して陽極13を予熱しながら、陽極13をおよそ1分間
かけて1回転させる。次に、電子ビーム電流を陽極ター
ゲット層15の表面部が溶融するように約700mAに
増やして陽極13の回転を続ける。これをおよそ1分間
かけて少なくとも1回転以上続け、陽極ターゲット層の
焦点軌道領域の全周を溶融させた後、電子ビーム電流を
徐々に減らし、陽極を徐冷する。なお、この場合の周回
速度は、毎分3回未満でよい。
【0040】このようにして形成した回転陽極ターゲッ
トの表層は、その焦点領域の一部を円周状焦点軌道方向
に表面から垂直に切断して観察し、撮影した顕微鏡写真
で示す図14、及びそれを模式的に描いた図15のよう
になった。これらの図から明らかなように、表層は、母
材の焼結体から連続して延び、ターゲットの焦点領域の
表面に対する垂線に対して約25度の角度で斜め方向に
整列して配向された柱状結晶が支配的な結晶組織で構成
されている。母材の焼結体の平均粒径が約30μmで、
表層の厚さは約250μmである。そして、表面に露出
した表層の結晶の平均短径は約75μm、平均長径は約
180μmである。また、表層の表面に露出している結
晶のうち、アスペクト比が1:1.5以上の柱状結晶
は、約60%以上を占めている。
【0041】図16に示す実施例は、回転陽極を回転さ
せながらターゲット層に電子ビームを照射して焦点軌道
領域の全周を一旦溶融させた後の最終段階で、照射して
いる電子ビームを焦点軌道領域から内周側にずらしなが
らビーム電流を徐々に減らして終了した方法によるもの
である。それによって、矢印Mのように、表層が内周側
に曲がって徐々に細くなった終端部16bが形成され
る。なお、同図の点線で示す16aは電子ビームによる
ターゲット層の溶融開始点をあらわしている。
【0042】この実施例によれば、焦点軌道上の全周に
わたりほとんど起伏のない良好な状態の表層が得られ
る。なぜなら、電子ビームによるターゲット層の溶融開
始点付近や終了点付近では、溶融した部分と溶融しない
部分との境界付近に大きい起伏が生じるが、上記の方法
によればこのような起伏が焦点軌道上に残らないためで
ある。なお、電子ビームを焦点軌道領域から外周側にず
らして終了してもよい。
【0043】図17に示す実施例は、回転陽極ターゲッ
ト層の表層16を形成すべき領域に、レーザビームLb
をに高速で円を描くよう走査して照射しながら陽極を矢
印Rのように回転させ、ターゲット層を予熱及び溶融
し、徐冷して表層を形成する方法である。
【0044】図18に示す実施例は、陽極ターゲット層
が溶融すると密度が高くなってこの部分がわずかながら
凹んでしまい、そのまわりの斜面がX線放射の障害物に
なってしまう場合の不都合を解消するものである。すな
わち、予め、陽極ターゲット層15の焦点軌道領域を含
む表層形成領域を、実線で示すように、その内外周部分
よりも上記の凹みを考慮してその内外周部分よりも高く
成型してある。そして、この高い部分を含めて溶融し、
表層16を形成すると、2点鎖線で示すように、焦点領
域Fとその内外周部分は平坦な面になり、X線放射の障
害物が生じない。
【0045】図19に示す実施例は、回転陽極ターゲッ
ト層15の最外周部を溶融して表層を形成したものであ
る。これによれば、X線が取り出される方向すなわち焦
点軌道領域の外側には、X線放射の障害物になる突起が
発生しない。
【0046】なお、回転陽極ターゲットの焦点軌道領域
に表層を形成するにあたっては、上記実施例のように陽
極を回転させてもよいし、それに限らず、陽極は固定し
ておいて高エネルギービームを焦点軌道領域に沿って移
動すなわち走査してもよい。或いはまた、それらを組み
合わせて相対的な走査を行ってもよい。
【0047】また、回転陽極ターゲットの焦点軌道領域
に表層を形成するにあたっての陽極の回転速度、又は高
エネルギービームの焦点軌道上の走査周回速度は、毎分
100周回以下、とくに好ましくは毎分10回転以下に
する。これが毎分100周回以上にあまり高速にする
と、焦点軌道領域が溶融しにくくなり、表層の形成に長
時間を要してしまう不都合がある。
【0048】以上説明したように、この発明によれば、
X線管の動作に際しターゲット焦点領域のガス放出やガ
ス吸着が少なく、瞬時的又は局部的なガス圧の上昇によ
る管内放電が抑制される。また、表層の剥がれも生じに
くく、且つ焦点領域に発生する熱が柱状結晶に沿って母
材である焼結体方向に良好に伝導し放散され、表層の再
結晶化も抑制され、高い信頼性が得られる。
【0049】なお表層16は、上述のようにターゲット
表面部を局部的に焼結体の融点以上の温度にして一旦溶
融させ、徐冷、凝固させて形成したものであるが、動作
条件の変動による電子ビーム軌道の変動等を考慮し、焦
点領域を含みそれよりも十分大きい領域にわたって形成
することが望ましい。そして表層16の厚さは、X線管
の動作時の電子ビーム最大進入深さよりも十分深い領域
までに相当するようにする。各種のX線管の動作電圧や
ビーム電流の範囲を考慮すると、実用上、表層の厚さは
25μm以上、より好ましくは50μm以上であればよ
い。なお表層の厚さの上限はおよそ300μm程度でよ
く、それ以上の厚さまで溶融して表層を形成することは
経済性に乏しい。
【0050】このように、固定陽極型及び回転陽極型の
両方を考慮した場合の高融点金属焼結体からなる陽極タ
ーゲットは、母材である高融点金属焼結体よりも熱伝導
性の高い材料の基体の表面部に形成され、その厚さは
0.5mm〜2.0mmの範囲で、柱状結晶を主とする
結晶組織からなる表層の厚さは25μm〜300μmの
範囲が好適で。
【0051】また、表層の深さ方向の中間部における柱
状結晶の平均短径は、母材である焼結体の平均結晶粒径
よりも大きく、より好ましくは焼結体の平均結晶粒径の
1.3倍以上、さらにより一層好ましくは1.5倍以上
にする。それによって、本発明の効果がよりより顕著に
且つより確実に得られる。
【0052】さらにまた、表層の主要結晶組織である柱
状結晶は、その短径と長径との比率すなわちアスペクト
比は、1:1.5以上であることが望ましい。とくに図
7又は図8に示すように、表層の結晶組織を焦点面から
垂直な断面で観察したとき、焦点面に露出している結晶
組織の中で、アスペクト比が1:1.5以上の柱状結晶
が50%以上、より好ましくはアスペクト比が1:2以
上の柱状結晶が50%以上を占めるようにすることが望
ましい。
【0053】さらに、回転型陽極ターゲットの場合は、
その円周状焦点軌道領域の軌道上中心部を円周方向に沿
い且つ前記焦点面に対して垂直に切断して観察したとき
の図14及び図15に示すような表層の柱状結晶配向
が、焦点領域表面に対する垂線と柱状結晶の長手方向線
のなす角度が平均して40度以下にとどめることが望ま
しい。
【0054】なおまた、高融点金属焼結体からなる陽極
ターゲットを局部的に溶融させる手段としては、電子ビ
ームに限らず、例えばレーザ・ビームを照射してもよ
い。或いはまた、高周波誘導加熱により溶融してもよ
い。さらにはまた、プラズマジェット加熱によりターゲ
ットを局部的に溶融させてもよい。またとくに、電子ビ
ームやレーザ・ビーム照射の場合は、ビームを適当なパ
ターン及びモードでスキャニングさせてターゲット上の
所望の領域を溶融させてもよい。
【0055】なおまた、陽極ターゲットは上述の実施例
のように純モリブデンやレニウム−タングステン合金に
限らず、他の金属の粉末冶金法で形成された高融点金属
焼結体で構成することもできる。
【0056】以上のようにこの発明のX線管は、焦点領
域すなわち表層には微小気孔がほとんど無く、吸蔵或い
は吸着ガス分子がきわめて少なく、管内放電を抑制でき
る。そして、焦点領域の剥がれも発生せず、さらに焦点
領域から焼結体方向への熱伝導性もよくて表層の再結晶
化も抑制され、高い信頼性が得られる。なお、この発明
は、インバータ電源で駆動されるX線管に適用してとく
に有効である。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば
真空容器内のガス分子による放電の発生を抑制でき、焦
点領域の剥がれの発生もなく信頼性の高いX線管を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を一部拡大して示す縦断面
図。
【図2】図1の要部を拡大して示す縦断面図。
【図3】この発明の製造方法の実施に使用する製造装置
を示す概略図、
【図4】製造過程での陽極ターゲット面を示す上面図。
【図5】この発明の一実施例によるターゲット断面の結
晶構造を顕微鏡写真で示す図。
【図6】この発明の一実施例によるターゲット面の結晶
構造を顕微鏡写真で示す図。
【図7】この発明の一実施例によるターゲット断面の結
晶構造を顕微鏡写真で示す図。
【図8】図7の結晶構造を模式的に示す図。
【図9】この発明の他の実施例の製造方法を示す概略縦
断面図。
【図10】この発明のさらに他の実施例を一部拡大して
示す縦断面図。
【図11】この発明のさらに他の実施例を示す概略縦断
面図
【図12】図11の要部上面図。
【図13】図11の実施例の表層形成におけるビーム電
流の変化を示すグラフ。
【図14】図11の実施例によるターゲット表面部の結
晶構造を顕微鏡写真で示す図。
【図15】図14の結晶構造を模式的に示す図。
【図16】この発明のさらに他の実施例を示す要部上面
図。
【図17】この発明のさらに他の実施例を示す要部上面
図。
【図18】この発明のさらに他の実施例を示す要部縦断
面図。
【図19】この発明のさらに他の実施例を示す要部縦断
面図。
【符号の説明】
11…真空容器 12…陰極 15…陽極ターゲット 16…表層 F…焦点 e…電子ビーム Lb…レーザビーム
フロントページの続き (72)発明者 尾崎 秀道 栃木県大田原市下石上1385番の1 株式会 社東芝那須電子管工場内 (72)発明者 下野 隆 神奈川県川崎市川崎区日進町7番地1 東 芝電子エンジニアリング株式会社内

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器内に設けられた電子ビーム放出
    用陰極と、この陰極から動作中に放出される電子ビーム
    の衝突によりX線を発生するための高融点金属の焼結体
    からなる陽極ターゲットとを具備するX線管において、
    上記陽極ターゲットの少なくとも上記電子ビームが衝突
    する焦点領域は、該焦点領域の表面から所定の深さまで
    前記焦点領域の表面に対し垂直又は斜め方向に延びる柱
    状結晶を主体とする結晶組織からなる表層を有してなる
    ことを特徴とするX線管。
  2. 【請求項2】 上記高融点金属焼結体からなる陽極ター
    ゲットは前記高融点金属焼結体よりも熱伝導率の大きい
    材料の基体の表面部に形成された0.5mm〜2.0m
    mの範囲の厚さの層からなり、上記表層の厚さは25μ
    m〜300μmの範囲である請求項1記載のX線管。
  3. 【請求項3】 上記陽極ターゲットは、固定陽極型であ
    る請求項1記載のX線管。
  4. 【請求項4】 上記焦点領域の表層を上記焦点領域表面
    から垂直な断面で結晶組織を観察したとき、前記焦点領
    域表面に露出している結晶は、平均短径が20μm以
    上、50μm未満の範囲で、且つ平均長径が50μm以
    上、200μm未満の範囲である請求項1記載のX線
    管。
  5. 【請求項5】 上記焦点領域の表層を上記焦点領域表面
    から垂直な断面で結晶組織を観察したとき、前記焦点領
    域表面に露出している結晶組織の中で、短径と長径との
    比(アスペクト比)が1:1.5以上の柱状結晶が50
    %以上を占めている請求項1記載のX線管。
  6. 【請求項6】 上記表層の柱状結晶の平均短径は、高融
    点金属焼結体の平均結晶粒径よりも大きい請求項1記載
    のX線管。
  7. 【請求項7】 高融点金属焼結体は、タングステン又は
    タングステン主体の合金、或いはモリブデン又はモリブ
    デン主体の合金である請求項1記載のX線管。
  8. 【請求項8】 高融点金属焼結体は、20重量%以下の
    レニウムを含むタングステン合金である請求項1記載の
    X線管。
  9. 【請求項9】 上記陽極ターゲットは、上記焦点面領域
    のまわりが前記焦点軌道面よりも凹んでいる請求項1記
    載のX線管。
  10. 【請求項10】 上記陽極ターゲットは、回転型であり
    少なくてもその円周状焦点軌道面領域に上記表層を有す
    る請求項1記載のX線管。
  11. 【請求項11】 上記回転型陽極ターゲットの表層は、
    100μm以上の厚さである請求項10記載のX線管。
  12. 【請求項12】 上記回転型陽極ターゲットは、その円
    周状焦点軌道領域の軌道上中心部を円周方向に沿い且つ
    前記焦点面に対して垂直に切断して観察したときの表層
    の柱状結晶の配列が、焦点領域表面に対する垂線と柱状
    結晶の長手方向線のなす角度が平均して40度以下であ
    る請求項10記載のX線管。
  13. 【請求項13】 上記陽極ターゲットは、上記円周状の
    焦点軌道面領域の内周側又は外周側の少なくとも一方側
    が前記焦点軌道面よりも凹んでいる請求項10記載のX
    線管。
  14. 【請求項14】 真空容器内に電子ビーム放出用陰極、
    及びこの陰極から放出される電子ビームの衝突によりX
    線を発生するための高融点金属の焼結体からなる陽極タ
    ーゲットを配設するX線管の製造方法において、上記陽
    極ターゲットの少なくとも電子ビームが衝突する焦点面
    領域を非酸化性雰囲気中で一旦溶融し凝固させて表面か
    ら所定の深さまで前記焦点領域の表面に対して垂直又は
    斜め方向に延びる柱状結晶を主体とする結晶組織の表層
    を形成することを特徴とするX線管の製造方法。
  15. 【請求項15】 陽極ターゲットを真空容器内に組み入
    れる前に上記表層を形成する請求項14記載のX線管の
    製造方法。
  16. 【請求項16】 陽極ターゲットを真空容器内に組み入
    れた後に上記表層を形成する請求項14記載のX線管の
    製造方法。
  17. 【請求項17】 上記表層を形成する工程は、X線管の
    排気工程中又は排気工程の直後である請求項14記載の
    X線管の製造方法。
  18. 【請求項18】 上記陽極ターゲットの少なくとも焦点
    面領域に上記表層を形成する手段は、電子ビーム衝撃、
    レーザ・ビーム衝撃、高周波誘導加熱、又はプラズマジ
    ェット加熱である請求項14記載のX線管の製造方法。
  19. 【請求項19】 上記陽極ターゲットの少なくとも焦点
    面領域を融点以下の温度に予熱してから溶融温度まで加
    熱する請求項14記載のX線管の製造方法。
  20. 【請求項20】 上記陽極ターゲットの少なくとも焦点
    面領域に上記表層を形成する非酸化性雰囲気は、真空、
    又は不活性ガスの雰囲気である請求項14記載のX線管
    の製造方法。
  21. 【請求項21】 上記陽極ターゲットの少なくとも焦点
    面領域を一旦溶融してから凝固させる冷却工程は、該溶
    融領域が高融点金属焼結体の融点から該融点の約30%
    に相当する温度まで下げるのに3秒以上を要する冷却速
    度である請求項14記載のX線管の製造方法。
  22. 【請求項22】 上記陽極ターゲットは、回転型であり
    その円周状の焦点軌道面領域に上記表層を形成する請求
    項14記載のX線管の製造方法。
  23. 【請求項23】 上記陽極ターゲットの円周状焦点軌道
    面領域に電子ビーム又はレーザ・ビームを衝突させて上
    記表層を形成する請求項22記載のX線管の製造方法。
  24. 【請求項24】 上記陽極ターゲットの円周状焦点軌道
    面領域に衝突させる電子ビームの衝突面上の形状は、楕
    円形状である請求項23記載のX線管の製造方法。
  25. 【請求項25】 上記円周状焦点軌道面上の上記電子ビ
    ーム又はレーザ・ビームを衝突位置を移動させる請求項
    23記載のX線管の製造方法。
  26. 【請求項26】 上記円周状焦点軌道面上を複数回周回
    させる請求項25記載のX線管の製造方法。
  27. 【請求項27】 上記電子ビーム又はレーザ・ビームに
    より焦点面領域を予熱し、それに続いてビームエネルギ
    ーを上昇させて焦点面領域を溶融させる請求項23記載
    のX線管の製造方法。
  28. 【請求項28】 上記周回の速度は毎分100回以下で
    ある請求項26記載のX線管の製造方法。
  29. 【請求項29】 上記周回の速度は毎分3回未満である
    請求項24記載のX線管の製造方法。
  30. 【請求項30】 予め、上記円周状焦点軌道面領域の内
    周側もしくは外周側の少なくとも一方側を前記焦点面領
    域よりも凹ませておく請求項14記載のX線管の製造方
    法。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH10302624A (ja) * 1997-04-22 1998-11-13 Plansee Ag X線管陽極の製造方法
JP2002170510A (ja) * 2000-11-30 2002-06-14 Toshiba Corp 回転陽極x線管用ターゲットおよびその製造方法
WO2011118883A1 (ko) * 2010-03-26 2011-09-29 주식회사 엑스엘 비확산 게터가 장착된 엑스선관
KR20150010936A (ko) * 2012-05-11 2015-01-29 하마마츠 포토닉스 가부시키가이샤 X선 발생 장치 및 x선 발생 방법
US10167547B2 (en) 2009-12-24 2019-01-01 Jx Nippon Mining & Metals Corporation Gadolinium sputtering target and production method of said target
JP2019008943A (ja) * 2017-06-22 2019-01-17 東芝電子管デバイス株式会社 固定陽極型x線管

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