JPH08276648A - 孔版印刷機用インキ容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 使用後には空の容器の占める容積が小さく、
回収が不要で、焼却処分も容易であり、更に不正使用が
困難な孔版印刷機用インキ容器を提供すること。 【構成】 ほぼ中央にインキの注入口を有する円板状基
体と、膨脹してインキを収納するゴム製皮膜とからな
り、該皮膜の周縁部が上記基体の周辺部に固定されてい
ることを特徴とする孔版印刷機用インキ容器。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は孔版印刷装置に使用され
るインキ容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、薄葉紙の様な多孔質支持体の表面
に熱可塑性樹脂フイルムを貼着してなる原紙をサーマル
ヘッド等により製版し、該製版原紙を用いて印刷を行う
孔版印刷機が広く使用されている。

【０００３】上記孔版印刷機は、図５に示す様に、製版
した孔版原紙を支持する版胴として、円筒状の金属網製
スクリーンが使用され、該版胴のスクリーンの表面に上
記の製版原紙を巻き付け、版胴の内部から印刷インキを
中押しローラーにより供給し且つ版胴表面に印刷用紙を
供給して印刷が行われる。上記の印刷インキは、通常円
筒状の容器に収納されてカセットとなっており、このイ
ンキカセットを印刷機のカセット収納部に嵌め込み、該
カセットから印刷インキを版胴の内部に供給して印刷を
行う。

【０００４】上記インキカセットは、直径６〜９ｃｍ、
長さ２５〜３０ｃｍ程度のポリエチレン等の合成樹脂製
円筒状容器であって、内部に充填したインキを減圧とピ
ストン方式で版胴内部へ供給する様になっている。この
カセットの容量は１０００ｃｃ程度であり、内部のイン
キがほぼ使用され尽くすと、新たなインキカセットに交
換される。

【０００５】

【発明が解決しようとしている問題点】上記従来のイン
キカセットは現在大量に使用されており、従って使用さ
れた後の空の容器が大量に発生し、これを回収すること
に多くの費用がかかるという問題があり、更に回収後に
再使用する場合には、カセット内部の洗浄が必要である
為、新品のインキカセット以上にコストがかかる。しか
しながら、不要の空のカセットを焼却処分することも困
難であり、その処分に多くの問題がある。

【０００６】又、別の問題として、空の容器を回収し、
純正ではないインキを充填して販売する、所謂海賊版の
インキカセットが発生し、その結果品質の劣るインキが
使用されることから印刷機自体の故障の原因ともなって
いる。従って本発明の目的は、使用後には空の容器の占
める容積が小さく、回収が不要で、焼却処分も容易であ
り、更に不正使用が困難な孔版印刷機用インキ容器を提
供することである。

【０００７】

【問題点を解決する為の手段】上記目的は以下の本発明
によって達成される。即ち、本発明は、ほぼ中央にイン
キの注入口を有する円板状基体と、膨脹してインキを収
納するゴム製皮膜とからなり、該皮膜の周縁部が上記基
体の周辺部に固定されていることを特徴とする孔版印刷
機用インキ容器である。

【０００８】

【作用】図１に示す様に、ほぼ中央にインキの注入口１
を有する円板状基体２と、膨脹してインキを収納するゴ
ム製皮膜３とからなり、該皮膜３の周縁部が上記基体２
の周辺部に固定されている孔版印刷機用インキ容器にお
いて、図２に示す様に、そのインキ注入口１から孔版印
刷用の高粘度のインキを注入すると、ゴム製皮膜３は注
入圧力に応じて膨脹してその内部にインキが充填され
る。

【０００９】このインキ注入操作においては、基板２の
下面には、基板とほぼ同様の直径、例えば、直径６〜９
ｃｍ、長さ２５〜３０ｃｍ程度の紙管４が配置され、ゴ
ム皮膜３が縦長の袋状に膨脹すると共に、ゴム製皮膜３
の強度を補強する。インキが所定量充填された後に、イ
ンキ注入口１には適当な蓋５を被せてインキの流出を防
ぐ。上記紙管４はインキが充填された後の容器の取り扱
い時及び輸送時等においてもゴム製皮膜３の補強材とし
て作用する。

【００１０】図３は、インキが充填された本発明のイン
キ容器の印刷機へのセットを説明する図である。図にお
いて符号６は孔版印刷機に備えられているインキ収納部
であり、この収納部６に図２に示した様に紙管で保護さ
れたインキ容器から紙管を抜き取り、インキが充填され
ている容器を収納する。尚、紙管と共にインキ容器を収
納部６に挿入し、その後に紙管を適当な方法、例えば、
収納部６の反対側から抜き取ってもよい。次に図４に示
す様に、インキ容器の注入口に印刷機本体に連結するイ
ンキ流路の端部８を結合させてインキ容器の収納は終了
する。

【００１１】図３の状態では、インキ容器のゴム製皮膜
は伸長している状態であるので、該皮膜の収縮力によっ
てインキはスムースに印刷機の版胴内部に供給される
が、図４に示す如く、インキの残量が少なくなるとゴム
製皮膜の収縮力も低下するので、インキ収納部６に設け
られているピストン７によって圧力をかけ、残りのイン
キを全て印刷機の版胴内部に供給する様にすることが好
ましい。

【００１２】インキ容器内のインキが全て使用された後
に、インキが充填されている新たなインキ容器と交換す
るが、この際、使用済みのインキ容器は、ゴム製皮膜３
の収縮は完全に行われないが、ほぼ図１に示した状態と
近い状態となっており、廃棄物の容積としては十分に小
さい。従来の空のインキカセットと比較すると、その容
積及び重量は約１／２０程度であり、その処分の費用も
同様に従来のインキカセットに比較すれば数十分の１で
よいという顕著な利益が得られる。

【００１３】

【実施例】次に実施例を挙げて本発明を説明する。図１
Ａは、本発明の孔版印刷機用インキ容器の断面図であ
り、図１Ｂはその平面図（蓋５を除く）である。この孔
版印刷機用インキ容器の円板状基板２は、直径約８０ｍ
ｍ、厚み約２ｍｍのポリエチレン基板のほぼ中央に内型
約７ｍｍのインキの注入口１を有し、注入口１を構成す
る円筒部の表面にネジ山を有している。この部材は射出
成形によって成形した。次に注入口１の反対側に、高伸
縮性である厚さ約１ｍｍのシリコーンゴム製円板状フイ
ルムを、その周辺部において基板の周辺部に金属製止め
具９によってかしめて緊締して本発明の孔版印刷機用イ
ンキ容器を得た。又、同様に射出成形によって上記の注
入口１を塞ぐ蓋５も作製した。

【００１４】尚、上記実施例では基板の作製にポリエチ
レンを使用したが、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等
の他の成形材料を用いてもよい。又、ゴム製皮膜として
は伸縮性の大であるポリウレタンゴム、天然ゴム、合成
ゴム等を用いてもよい。又、ゴム製皮膜の基板への取り
付けは、接着剤やその他の方法によるものであってもよ
い。図２に示す様に、内型７０ｍｍ、長さ２５０ｍｍの
厚紙製円筒の上に上記の本発明の孔版印刷機用インキ容
器をゴム製皮膜を下にして乗せ、孔版印刷用インキを注
入口から圧入した。注入量は約８００ｃｃであった。こ
の状態ではインキの充填によって膨脹したゴム製皮膜が
周囲の紙管と密着しており、紙管は簡単に脱落しなかっ
た。又、この紙管により、箱詰め、輸送等の取り扱い時
においてもインキが充填されたゴム製皮膜が破損される
ことも無かった。

【００１５】

【効果】以上の如き本発明によれば、使用後には空の容
器の占める容積が小さく、回収が不要で、焼却処分も容
易であり、更に不正使用が困難な孔版印刷機用インキ容
器を提供することが出来る。

【００１６】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の孔版印刷機用インキ容器を説明する
図。

【図２】本発明の孔版印刷機用インキ容器にインキを充
填した状態を示す図。

【図３】本発明の孔版印刷機用インキ容器の使用状態を
示す図。

【図４】本発明の孔版印刷機用インキ容器の使用状態を
示す図。

【図５】孔版印刷機の原理を説明する図。

【符号の説明】

１：インキ注入口 ２：円板状基体 ３：ゴム製皮膜 ４：紙管 ５：蓋 ６：インキ収納部 ７：ピストン ８：インキ流路の端部 ９：金属製止め具

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ほぼ中央にインキの注入口を有する円板
   状基体と、膨脹してインキを収納するゴム製皮膜とから
   なり、該皮膜の周縁部が上記基体の周辺部に固定されて
   いることを特徴とする孔版印刷機用インキ容器。