JPH0826603B2 - 工業化住宅の屋根構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、複数の住宅ユニットを組み合わせて建てる
工業化住宅の屋根構造に関するもので、ユニット工法で
建てられた工業化住宅に利用できる。

〔背景技術〕

最近では、現場における住宅の施工期間を短縮するた
め、ユニット工法が多用されつつある。このユニット工
法は、それぞれモジュール化した住宅ユニットを予め工
場で製造し、これらの住宅ユニットを現場までトラック
等で輸送した後、基礎上にて組み合わせて施工を行うも
のである。

このユニット工法による工業化住宅においては、最上
階を構成する複数のボックス住宅ユニットの上に鉄骨軸
組の骨組みを形成し、この骨組みに多数の屋根パネルを
取り付けて屋根を施工するものや、前記ボックス住宅ユ
ニットの上にモジュール化した複数の屋根用住宅ユニッ
トを組み立てて屋根を施工するものがある。

〔発明が解決しようとする課題〕

ところが、鉄骨軸組の骨組みに屋根パネルを取り付け
る屋根構造では、骨組みの形成、この骨組みへの屋根パ
ネルの取り付け等の現場処理が多く屋根施工における施
工時間の短縮が充分に図れないという問題点がある。ま
た、屋根をユニットで全て施工する従来例では、住宅の
大きさに応じて個々の屋根用住宅ユニットのモジュール
を決定しなければならない。この屋根用住宅ユニットは
規格化された梁、柱及び屋根パネルを組みみ立てて製造
されており、このユニットをモジュール毎に多数用意す
ることは製造コストが高いものになるという問題点があ
る。

ここに、本発明の目的は、現場における施工時間を短
縮できるとともに製造コストを低下させることができる
工業化住宅の屋根構造を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明の工業化住宅の屋根構造は、複数の住宅ユニッ
トを組み合わせて建てる工業化住宅の屋根構造であっ
て、最上階を構成する複数のボックス住宅ユニットの上
面両側に屋根パネルを配置できる空間を残して屋根用住
宅ユニットを配置するとともに、これらの屋根用住宅ユ
ニットの互いに対向する面にそれぞれブラケットを中央
側に向かって突出するように取り付け、これらのブラケ
ットに屋根パネルを取り付け、前記屋根パネルの傾斜面
がこの屋根パネルと隣合う屋根用住宅ユニットの傾斜面
と同じになるように前記ブラケットを配置したことを特
徴とする。

〔作用〕

このような構成の本発明では、１階用ボックス住宅ユ
ニット、２階用ボックス住宅ユニット等の複数の住宅ユ
ニットを現場にてクレーンで吊り下げながら組立てた後
に、最上階を構成する複数のボックス住宅ユニットの両
側に屋根用住宅ユニットを配置する。

その後、屋根用住宅ユニットにブラケットを取り付け
ておき、互いに対向する屋根用住宅ユニットの間に屋根
パネルを配置する。この状態では、屋根パネルはブラケ
ットに支持されており、このパネルをブラケットにボル
ト等を用いて取り付ける。

この際、屋根用住宅ユニットのモジュールは一定にし
ておいて、大きな住宅の場合には幅寸法が長い屋根パネ
ルを用い、小さな住宅の場合には幅寸法が短い屋根パネ
ルを用いる。

〔実施例〕

以下に本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。

第１図にはユニット工法で建てられた入り母屋屋根を
有する工業化住宅の全体が示され、第２図には第１図中
II−II線に沿う断面が示されている。これらの図におい
て、基礎１の上には複数の１階用ボックス住宅ユニット
２が配置され、これらのユニット２の上には最上階を構
成する複数の２階用ボックス住宅ユニット３が配置され
ている。これらのボックス住宅ユニット３の上面両妻側
にはそれぞれ屋根用住宅ユニット群４が屋根パネルを配
置できる空間を残して互いに対向して配置され、これら
のユニット群４の間には２枚の屋根パネル５が配置され
ている。この屋根パネル５は、第２図の通り、縦材5A及
び横材5Bからなるフレーム5Cの上面に屋根材5Dを取り付
けた構造とされている。

前記屋根用住宅ユニット群４は、妻側中央に配置され
た中央部屋根用住宅ユニット4Aと、このユニット4Aの両
側に配置された２個の側部屋根用住宅屋根ユニット4Bと
から構成され、これらのユニット4A,4Bは所定のモジュ
ールで製造されている。中央部屋根用住宅ユニット4A
は、第３図に示される通り、下梁6Aに立設された４本の
柱6Bの頂部に登り梁6Cが横桟6Dを介して取り付けられた
中央フレーム６と、この中央フレーム６に対して傾斜状
態で取り付けられた妻側フレーム７と、これらのフレー
ム6,7の上面に取り付けられた屋根用パネル８（第１図
参照）とを含み構成されている。また、側部屋根用住宅
ユニット4Bは、第４図に示される通り、下梁9Aに立設さ
れた２本の柱9Bに登り梁9Cが横桟9Dを介して取り付けら
れた桁側フレーム９と、このフレーム９の隣に配置され
るとともに下り棟を境に両側に下り傾斜したコーナフレ
ーム10と、これらのフレーム9,10の上面に取り付けられ
た屋根用パネル８（第１図参照）とを含み構成されてい
る。

前記屋根用住宅ユニット4A,4B及び屋根パネル５の３
つの構成部材相互間の連結構造が第５図ないし第８図に
示されている。これらの図において、中央部屋根用住宅
ユニット4Aの前記柱6Bの頂部と登り梁6Cとの間にはプレ
ート状の連結金具11がボルト止めされ、側部屋根用住宅
ユニット4Bの柱9Bと登り梁9Cとの間にはプレート状の連
結金具12がボルト止めされている。これらの連結金具1
1,12は、Ｌ型金物13の上辺にボルト14を介して取り付け
られ、このＬ型金物14の下辺はボルト15によって前記柱
6Bに取り付けられている。また、側部屋根用住宅ユニッ
ト4Bの柱9Bには、中央側（第５図中左側）に向かって突
出するようにブラケット16がボルト17により取り付けら
れている。このブラケット16は、第１図、第２図、第５
図及び第８図に示される通り、屋根パネル５の傾斜面が
この屋根パネル４と隣合う屋根用住宅ユニット4A,4Bの
屋根用パネル８の傾斜面と同じになるように配置されて
いる。さらに、ブラケット16は、縦断面がＬ型とされた
本体16Aに上下方向に延びた２枚の補強片16Bが一体に形
成された構造とされ、その本体16Aの上辺にボルト18に
よって屋根パネル５の縦材5Aが取り付けられている。

次に本実施例の屋根の施工について説明する。

まず、工場において、ボックス住宅ユニット2,3、屋
根用住宅ユニット4A,4B及び屋根パネル５を製造すると
ともに、屋根用住宅ユニット4A,4Bにそれぞれ連結家具1
1,12を取り付ける。

これらの住宅ユニット2,3,4A,4B等を現場に搬送した
後、基礎１の上に複数の１階用ボックス住宅ユニット２
をクレーン等で吊り下げて配置し、さらに、これらの住
宅ユニット２の上に複数の２階用ボックス住宅ユニット
３を配置する。これらのユニット３の上面両妻側に屋根
用住宅ユニット群４をそれぞれ配置する。このユニット
群４の配置は、まず、２つの側部屋根用住宅ユニット4B
を両桁側に配置した後、真ん中に中央部屋根用住宅ユニ
ット4Aを配置する。これらのユニット4A,4Bを配置した
なら、ユニット4Aの柱6BにＬ型金物13をボルト15で取り
付けるとともに、このＬ型金物13と前記連結金具11,12
とをボルト14で連結する。

その後、側部屋根用住宅ユニット4Bの柱9Bにブラケッ
ト16をボルト17で取り付けておき、屋根パネル５をクレ
ーン等で吊り下げて中央部、つまり住宅ユニット群４の
間に配置する。この状態では、屋根パネル５の縦材5Aは
前記ブラケット16の本体16Aの上面に支持されており、
この縦材5Aを本体16Aの上辺にボルト18によって取り付
ける。

ここで、桁方向の寸法が長い住宅の場合には、幅寸法
が長い屋根パネル５を用い、桁方向の寸法が短い住宅の
場合には幅寸法が短い屋根パネル５を用いる。住宅の桁
方向の長短にかかわらず屋根用住宅ユニット4A,4Bのモ
ジュールは同じでよい。

このような本実施例によれば、複数の２階用ボックス
住宅ユニット３の上面両妻側に屋根パネル５を配置でき
る空間を残して屋根用住宅ユニット4A,4Bを配置すると
ともに住宅ユニット4Bにブラケット16をそれぞれ中央側
に向けて取り付け、これらのブラケット16に屋根パネル
５を取り付けたので、多数の屋根パネルを骨組みに取り
付ける従来例に比べて現場における屋根施工時間を短縮
でき、その上、住宅の桁方向の寸法が異なっても屋根パ
ネル５の幅寸法を変えるだけで製造コストの高い屋根用
住宅ユニット4A,4Bのモジュールを変える必要がないの
で、屋根もユニット工法で施工する従来例に比べて屋根
施工に際しての製造コストを低いものにできる。また、
ブラケット16は縦断面Ｌ型の本体16Aに上下方向に延び
た２枚の補強片16Bが一体形成された構造とされている
ので、ブラケット16が屋根パネル５から受ける大きな荷
重に耐えることができる。

なお、前記実施例では、入り母屋屋根の構造であった
が、切妻屋根、寄せ棟屋根の構造であってもよい。

また、複数の２階用ボックス住宅ユニット３の上面の
両妻側に屋根用住宅ユニット4A,4Bを配置し、これらの
間に屋根パネル５を配置したが、両桁側に屋根用住宅ユ
ニットを配置し、これらの間に屋根パネルを配置したも
のでもよい。

さらに、ブラケット16は中央部屋根用住宅ユニット4A
の柱6Bに取り付けてもよい。また、屋根の施工に際し
て、ブラケット16を工場で予め屋根用住宅ユニット4A,4
Bに取り付けてもよい。

さらにまた、屋根用住宅ユニット4A,4Bを連結するた
めの連結金具11,12を屋根パネル５を支持できる程度に
中央側に延設し、この連結金具11,12を前記ブラケット1
6の代わりとしてもよい。これによれば、屋根施工に際
して部品点数を減少させることができる。

〔発明の効果〕

前述のような本発明によれば、現場における施工時間
を短縮できるとともに製造コストを低下させることがで
きるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は工業化住宅の斜視図、第２図は第１図中II−II
線に沿う矢視拡大断面図、第３図及び第４図はそれぞれ
屋根用住宅ユニットの斜視図、第第５図は屋根用住宅ユ
ニットと屋根パネルとの連結構造を示す斜視図、第６図
はその正面図、第７図は第６図中VII−VII線に沿う矢視
断面図、第８図は第６図中VIII−VIII線に沿う矢視断面
図である。 2,3…ボックス住宅ユニット、4A,4B…屋根用住宅ユニッ
ト、５…屋根パネル、16…ブラケット。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数の住宅ユニットを組み合わせて建てる
   工業化住宅の屋根構造であって、最上階を構成する複数
   のボックス住宅ユニットの上面両側に屋根パネルを配置
   できる空間を残して屋根用住宅ユニットを配置するとと
   もに、これらの屋根用住宅ユニットの互いに対向する面
   にそれぞれブラケットを中央側に向かって突出するよう
   に取り付け、これらのブラケットに屋根パネルを取り付
   け、前記屋根パネルの傾斜面がこの屋根パネルと隣合う
   屋根用住宅ユニットの傾斜面と同じになるように前記ブ
   ラケットを配置したことを特徴とする工業化住宅の屋根
   構造。