JPH08260370A - リグノセルロース物質の漂白方法 - Google Patents

リグノセルロース物質の漂白方法

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JPH08260370A
JPH08260370A JP8767895A JP8767895A JPH08260370A JP H08260370 A JPH08260370 A JP H08260370A JP 8767895 A JP8767895 A JP 8767895A JP 8767895 A JP8767895 A JP 8767895A JP H08260370 A JPH08260370 A JP H08260370A
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pulp
hydrogen peroxide
bleaching
pressure
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JP8767895A
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English (en)
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Takaaki Nishimura
高明 西村
Takahiro Yamamoto
高廣 山本
Osamu Kitao
修 北尾
Makoto Iwasaki
誠 岩崎
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Original Assignee
New Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 パルプ中の多段漂白工程中の過酸化水素の消
費を抑え、短時間での白色度の上昇効果を大きくし、さ
らにパルプ強度の低下を抑える漂白方法の提供。 【構成】 パルプの多段漂白工程において、酸素で加圧
された過酸化水素段を少なくとも2段含み、最初の加圧
過酸化水素段における処理圧力が0.1〜5.0kg/
cm2 ・Gであり、且つそれより後の漂白工程に配置さ
れた加圧過酸化水素段の処理圧力が5.0〜9.0kg
/cm2 ・Gであり、さらに最初の加圧過酸化水素段の
処理圧力と、それより後に配置される加圧過酸化水素段
での処理圧力の差が2kg/cm2 ・G以上、9kg/
cm2 ・G未満の範囲にあることを特徴とする漂白方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、化学及び機械パルプの
漂白方法に関し、更に詳しくは、漂白シーケンス中の過
酸化水素段を酸素で加圧することによって、過酸化水素
の自己分解による消費を抑え、短時間での白色度のアッ
プを可能とし、さらに加圧過酸化水素段を圧力の異なる
条件で少なくとも2回行うことにより、白色度を高め、
かつパルプ強度の低下を最小限にすることを可能とした
リグノセルロース物質の漂白方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】リグノセルロース物質を多くの用途に使
用するためには、蒸解のような化学作用によってパルプ
化した後、或いはリファイナー等を使用する機械的作用
によってパルプ化した後、該パルプを漂白して白色度を
高める必要がある。例えば、クラフトパルプは包装資材
のように強度を必要とする用途に使う場合を除いて、通
常、塩素、次亜塩素酸塩、二酸化塩素、酸素、過酸化水
素、苛性ソーダ等の漂白剤及び漂白助剤により漂白さ
れ、パルプに含まれる着色原因物質であるリグニン等が
除去された後に漂白クラフトパルプとして使用されるの
が一般的である。
【0003】また、漂白パルプにおいても、パルプ繊維
自体の強度をある程度保つことが必要であり、その為に
パルプ繊維を構成する炭水化物(セルロース等)の分解
を最小限にするように、過激な1段の漂白を避け、漂白
剤と漂白条件を変えて、温和に漂白する多段漂白工程を
採るのが一般的である。
【0004】通常多段漂白工程においては、最初に塩素
でパルプ中に含有されるリグニンを塩素化し(C段)、
リグニンに可溶性を付加した後、次にアルカリで該リグ
ニンを溶解抽出して(E段)、パルプ中からリグニンを
分離し、次亜塩素酸塩(H段)、二酸化塩素(D段)等
を使用し、残留する少量のリグニンを更に分解除去し、
白色度の高いパルプを得る方法が採られている。
【0005】近年、漂白排水に含まれる有機塩素化合物
の規制や無塩素紙の需要から非塩素系漂白薬品を使用す
る漂白方法が注目されており、非塩素系漂白薬品として
はオゾン、酸素、過酸化水素、過酸等が知られている。
このうち、オゾンガスを使用する漂白方法は、設備を新
規に設置する必要があり、その投資コストの大きさから
一般に普及するまでには至っていない。
【0006】酸素及び過酸化水素を使用する漂白方法は
長所として投資コストが低いこと、薬品の取り扱いが容
易なことが挙げられる。一方短所としてパルプとの反応
時間が長いこと、強度の低下が大きいことが挙げられ
る。特に過酸化水素の場合には、薬品コストが高い等の
理由から化学パルプの補助的な漂白、または機械パルプ
等の比較的低い白色度のパルプの漂白に用いられるだけ
であった。
【0007】紙パルプ技術協会編、「紙パルプの製造技
術全書」第5巻、「パルプ処理及び漂白」(1986年
増補改訂版)、第246-266 頁によると、過酸化水素は式
(1)のように解離する。これによって生成したパーオ
キシアニオン(HOO- )が漂白作用を営むものと考え
られている。一方、式(2)は過酸化水素の自己分解反
応を示し、この反応が起きると過酸化水素の無駄な消費
となり、また、分解により発生する発生期の酸素がセル
ロース等を損傷して強度の低下を招くことが認められて
いる。
【0008】
【化1】
【0009】上記の酸素、過酸化水素を用いた漂白での
問題点を解決するために例えば、1994年「INTERNATIONA
L PULP BLEACHING CONFERENCE-PROCEEDINGS 」、第53-5
8 頁には、過酸化水素段において白色度を上げる方法と
して「酸素で加圧する」、「温度を上げる」及び「パル
プ濃度を上げる」の3点が挙げられている。このうち
「酸素で加圧する」効果として酸素処理−キレート処理
−加圧過酸化水素処理において加圧過酸化水素段の酸素
圧力が0.4MPaの時、無加圧処理に比較し白色度は
約1.8ポイント上昇し、0.8MPaでは約2.1ポ
イント上昇すると報告されている。
【0010】同じく1994年「INTERNATIONAL PULP BLEAC
HING CONFERENCE-PROCEEDINGS 」、第199-209 頁には、
過酸化水素段の加圧酸素圧力が5barの時、加圧過酸
化水素処理1段で85%(ISO)から87.5%の白
色度に達すると報告されている。しかしこの場合、パル
プ粘度の低下が大きいことを欠点として上げている。こ
れらの開示されている方法を使用しても従来からの塩素
系薬品を使用した漂白パルプと比較して、白色度及び強
度の面においてまだ満足できる品質を示していない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題を
解決すべく、非塩素系薬品を用いて化学及び機械パルプ
を漂白することにより高白色度と高い強度を兼ね備えた
パルプの漂白方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明はパルプの多段漂
白工程において、酸素で加圧された過酸化水素段を少な
くとも2段含み、最初の加圧過酸化水素段における処理
圧力はゲージ圧で測定した値で0.1〜5.0kg/c
2 あり、且つそれより後の漂白工程に配置される加圧
過酸化水素段の処理圧力はゲージ圧で5.0〜9.0k
g/cm2 であり、さらに最初の加圧過酸化水素段の処
理圧力と比較し、それより後に配置される加圧過酸化水
素段での処理圧力差がゲージ圧で2.0kg/cm2
上、9.0kg/cm2 未満の範囲にあることを特徴と
する漂白方法に存する。
【0013】また、上記の多段漂白工程における最初の
加圧過酸化水素段の処理圧力がゲージ圧で3.0〜5.
0kg/cm2 、それより後の漂白工程に配置される加
圧過酸化水素段の処理圧力がゲージ圧で6.0〜8.0
kg/cm2 であることを特徴とする請求項1記載の漂
白方法に存する。さらに複数の加圧過酸化水素処理段を
含むパルプの多段漂白工程において、キレート剤を用い
た処理段を、最初の加圧過酸化水素処理段の前、又は加
圧過酸化水素処理と同時、もしくは2つ以上の過酸化水
素段の間のいずれかの段階で少なくとも1回行うことを
特徴とする漂白方法に存する。
【0014】本発明に用いられるパルプ製造の対象とな
るリグノセルロース物質としてはポリサルファイドを含
むクラフトパルプ化法、又は通常のクラフトパルプ化法
(KP)、サルファイトパルプ化法(SP)、アルカリ
パルプ化法(AP)等のケミカルパルプ化法および機械
パルプ化法(GP、TMP、CTMP)で得られたパル
プ、もしくは古紙由来のパルプが好ましく、特に好まし
くはクラフトパルプ化法によって得られたパルプであ
る。
【0015】パルプ化に使用される木本植物由来のリグ
ノセルロース材料としては、マツ、スギ、トウヒ、ダグ
ラスファー等の針葉樹材、アスペン、ブナ、アカシア、
ユーカリ、マングローブ等の広葉樹材、草本植物由来の
リグノセロース材料としてはバガス、ケナフ、エスパル
ト草、イネ等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定さ
れるものではない。
【0016】本発明の加圧過酸化水素段で処理されるパ
ルプとしては、上記の方法でパルプ化されたパルプを未
晒のまま使用しても良く、或いは前処理としての酸素脱
リグニンやオゾン処理、二酸化塩素処理等の漂白処理を
行ったものであっても良く、特に限定するものではな
い。
【0017】本発明の漂白に用いられる酸素としては大
気中の酸素濃度以上のものであれば良いが、酸素の濃度
としては高いほどその効果は高くなる。特に好ましい酸
素濃度は80%以上である。使用される酸素としてはP
SA(Pressure Swing Adsorpt
ion)酸素、VSA(Vacum Swing Ad
sorption)酸素あるいは深冷法酸素など工業的
規模での使用が可能であるものならば製造方法は特に限
定しない。
【0018】最初の加圧過酸化水素段(以下(Po)L
と略す)での酸素圧は0.1kg/cm2 〜5.0kg
/cm2 (ゲージ圧)までの範囲が好ましい。更にはこ
の(Po)L段より後に配置された加圧過酸化水素段(以
下(Po)Hと略す)での酸素圧は5.0〜9.0kg/
cm2 (ゲージ圧)の範囲が好ましい。また、(Po)L
と(Po)Hとの圧力差はゲージ圧で+9kg/cm2
〔(Po)H−(Po)L]≧+2kg/cm2 を満たす値
である。
【0019】(Po)L段において、酸素圧がゲージ圧で
0.1kg/cm2 未満では処理中の酸素濃度が低く、
過酸化水素の分解反応が起こる。また、5kg/cm2
を超えると急激な反応が進むためパルプ強度は大きく低
下する。(Po)H段における酸素圧は(Po)L段より高
い圧力で反応を行うが、5kg/cm2 未満の場合、漂
白後のパルプ白色度の上昇は小さく、一方9kg/cm
2 を超えても白色度の上昇は平衡状態にある。なお、
(Po)L段と(Po)H段の差が2kg/cm2 未満の場
合には、(Po)H段での加圧の効果が小さくなり高い白
色度が得られない。本発明を実在のプラントに適用させ
る際には加圧圧力が開放される地点付近の圧力に従うも
のであり、例えばアップフローのリアクターの場合には
塔頂部圧力を、リテンションチューブをリアクターとし
て使用する場合にはリテンションチューブの終わりの部
分を指す。
【0020】それぞれの加圧過酸化水素段での加圧処理
時間は、処理の際に過酸化水素が完全に消費すると白色
度が低下するので5〜120分が好ましく、特に好まし
くは10〜90分である。加圧処理時間が5分未満だと
白色度の上がり幅が小さく、120分を超える処理時間
の場合には白色度の上がりが平衡に達するためである。
なお、実在のプラントにおいては酸素の吹き込みから圧
力の開放する地点までに要した時間を加圧保持時間とし
て計算するものとする。また、それぞれの各加圧処理の
後に残った過酸化水素で白色度を上げるため加圧処理の
後には、続けて常圧での保持塔を設けることが好まし
く、そこでの常圧保持時間は色戻りが起こらないため
に、過酸化水素が完全に消費する手前で反応を終了させ
る時間が良く、特に限定はしないが30〜240分の間
から操業の条件によって適宜選択される。
【0021】各加圧過酸化水素段の処理温度は70〜1
20℃が好ましく、特に好ましくは90℃〜110℃で
ある。70℃より低いと加圧しても反応速度は小さく、
120℃を超えると過酸化水素の分解反応が大きくなる
ためパルプに対する有効過酸化水素量は減少し、生成す
るラジカルが炭水化物を攻撃するため、炭水化物の重合
度の低下、さらには強度の低下が起こる。
【0022】処理パルプ濃度(パルプ絶乾重量g/水分
を含む総重量g、以下パルプ濃度と略す)は5〜15
%、より好ましくは8〜12%の中濃度領域から選択さ
れる。5%未満の場合、パルプと過酸化水素の反応が悪
くなり、一方15%を超えると攪拌が悪くなり均一な反
応が困難となる。
【0023】本発明に於いて過酸化水素の添加率は特に
限定するものではなく、残留するリグニン量および目的
とする最終パルプの白色度の度合いによって適宜選択す
ればよい。
【0024】加圧過酸化水素段に持ち込まれる重金属に
よって促進される過酸化水素の自己分解を防ぐために、
キレート剤を用いた処理段を、最初の加圧過酸化水素段
の前工程で実施するか、又は加圧過酸化水素段と同時、
もしくは2つ以上の過酸化水素段の間のいずれかに少な
くとも1回行い、好ましくは各加圧過酸化水素段の前に
キレート段を設ける。
【0025】キレート剤としては通常キレート剤として
用いられるジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTP
A)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエ
チレントリアミンペンタメチレンリン酸(DTMP
A)、ニトリロトリ酢酸(NTA)等が挙げられ、この
中より一種または複数種を使用する。キレート剤の添加
量は持ち込まれる金属イオン量によって左右されるが対
絶乾パルプあたり0.05%〜0.5%が好ましく、キ
レート処理段として単独に行う場合には反応温度は40
〜95℃であり、特に好ましくは60〜80℃である。
また、反応時間は金属イオンが封鎖される時間を与えれ
ば良く、特に時間は限定しないが5〜40分が好まし
い。反応pHは封鎖する金属イオンや使用するキレート
剤によって最適pHが異なるため目的に応じてpHを調
節すれば良く例えばDTPAを用いて処理する際にはp
H4〜6.5の弱酸性領域で行うのが良い。
【0026】以上のように、従来の加圧過酸化水素段を
含む多段漂白シーケンスにおいては、単段の加圧過酸化
水素処理でパルプの白色度を上げるため厳しい条件で漂
白を行っているのに対し、本発明においては加圧過酸化
水素処理を少なくとも2回行い、穏やかな条件での加圧
過酸化水素処理{(Po)L段}を行った後、それより後
に配置された加圧過酸化水素段{(Po)H段}では最初
の(Po)L段よりゲージ圧で2kg/cm2 以上、9k
g/cm2 未満の高い処理圧力で行うことを特徴として
いる。
【0027】白色度が著しく上がり、且つ強度低下が少
なくできる理由としては、まだそのメカニズムは十分に
解明されていないが前記の過酸化水素の分解を防ぐこ
と、酸素ガス自体も漂白に関与しており、圧を加える
ことにより酸素の泡が小さくなり、パルプと反応する面
積が大きくなること、圧力を加えることによって過酸
化水素のパルプ中への浸透が促進されたことが推定され
る。また、最初の加圧過酸化水素段で比較的緩い圧力条
件で処理を行い、洗浄を行うことによって繊維中の炭水
化物を損なうことなく選択的にリグニンの除去並びに白
色度のアップが速やかに進み、ついで(Po)H 段でさ
らに高い圧力を加えることにより、緩やかな条件では除
ききれなかった強固な残留リグニン及び、発色団を効率
よく攻撃できるためと考えられる。
【0028】このようにして漂白される漂白シーケンス
としては、例えばO−Q−(Po)L−Q−(Po)H(実
施例1〜5)、O−Q−(Po)L−(Po)H(実施例
6)、O−Q−(Po)L−Q−(Po)L−(Po)H、O
−Q−(Po)L−Z−(Po)H、O−ZQ−(Po)L−
(Po)H、O−D−Q−(Po)L−(Po)H、O−D−
(Po)L−Q−(Po)H、O−Q−(Po)L−(Po)L
−(Po)H、Q−((Po)LQ)−(Po)H、Q−(P
o)L−((Po)HQ)等が挙げられる。
【0029】ここで(O)は酸素段、(Q)はキレート
処理、(P)は過酸化水素段、(Po)Lは0.1〜5k
g/cm2 に酸素で加圧された加圧過酸化水素段、(P
o)Hは(Po)L段より高い圧力(5〜9kg/cm2
に酸素で加圧された加圧過酸化水素段を示し、各段での
加圧圧力はゲージ圧で(Po)Hから(Po)Lを引いた値
が2kg/cm2 以上、9kg/cm2 未満をみたした
圧力である。そのほか(Z)はオゾン段、(D)は二酸
化塩素段を示す。また、各段間の(−)は洗浄工程を表
す。さらに、上記のシーケンスに薬品の減添及びパルプ
品質の改良を目的として漂白工程の一部に酵素処理段を
設けても良い。
【0030】
【作用】本発明によれば、漂白シーケンス中の過酸化水
素段を酸素で加圧することによって、過酸化水素の自己
分解による消費を抑え、短時間で白色度のアップを達成
できるし、さらに加圧過酸化水素段を圧力の異なる条件
で少なくとも2回行うことにより、白色度を高め、かつ
パルプ強度の低下を最小限にして化学及び機械パルプの
漂白を可能とする。
【0031】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明するが、勿論本発明はこれらの実施例に
限定されるものではない。又実施例及び比較例内の添加
率は対絶乾パルプあたりの重量%示す。
【0032】実施例1 Q1−(Po)L−Q2−(Po)Hシーケンスによる漂
白: (1)前処理:白色度37.6%、カッパー価11.
2、パルプ粘度20.4cPのスプルース、マツ、ファ
ー主体の針葉樹酸素脱リグニン後クラフトパルプ(以
下、NOKPという)を絶乾重量で80g、イオン交換
水で希釈してパルプ濃度4.0%に調整した。 (2)Q1処理:このNOKPパルプスラリーにDTP
Aを絶乾パルプに対して固形分換算で0.1%(以下添
加率は対絶乾パルプ当りの重量%を示す)添加し、反応
終了後のpHが5.5になるように反応前パルプに硫酸
を添加してpH調整した。さらにパルプ濃度をイオン交
換水で3.5%に調整し、処理温度65℃で30分間処
理した。得られたパルプについてイオン交換水で洗浄し
た。
【0033】(3)(Po)L段:Q1処理後のパルプ濃
度を13%に調整し、そのパルプを自社製2リットル容
の密閉式耐圧型加温ヒーター付き攪拌装置(攪拌式オー
トクレーブ)に入れ、過酸化水素を3%、水酸化ナトリ
ウムを1.3%、硫酸マグネシウム7水和物を硫酸マグ
ネシウム換算で0.1%添加し、パルプ濃度を10%に
調整した。300rpmで攪拌しながら加温し、100
℃、加圧酸素圧3.0kg/cm2 (ゲージ圧)で15
分間保持、次いで常圧に戻し、90℃で90分間保持し
た。得られたパルプについてイオン交換水で洗浄し、パ
ルプ濃度を30%に脱水した。 (4)Q2処理:パルプ濃度を4%に調整したパルプに
DTPAを固形分換算で0.1%加え、反応終了後のp
Hが5.5になるように硫酸を加え全体のパルプ濃度を
3.5%にした後65℃で30分間キレート処理を行っ
た。反応終了後得られたパルプについてはイオン交換水
で洗浄をした。
【0034】(5)(Po)H段:パルプ濃度13%に調
整したパルプを前述の加温ヒーター付きの攪拌装置に入
れ、過酸化水素を5%、水酸化ナトリウムを1.3%、
硫酸マグネシウム7水和物を硫酸マグネシウム換算で
0.1%添加し、イオン交換水を加えてパルプ濃度を1
0%に調整した。攪拌しながら加温し、110℃、加圧
酸素圧7.0kg/cm2 (ゲージ圧)で90分間保
持、次いで常圧に戻し、90℃で90分間保持した。得
られたパルプについてイオン交換水で洗浄し、完成漂白
パルプを得た。
【0035】実施例2 (Po)L段の酸素吹き込み圧を0.5kg/cm2 にし
た以外は実施例1と同様にして、完成漂白パルプを得
た。 実施例3 (Po)H段の酸素吹き込み圧を5.5kg/cm2 にし
た以外は実施例1と同様にして、完成漂白パルプを得
た。
【0036】実施例4 (Po)L段の酸素吹き込み圧を5.0kg/cm2 に、
(Po)H段の酸素吹き込み圧を9.0kg/cm2 にし
た以外は実施例1と同様にして、完成漂白パルプを得
た。 実施例5 (Po)H段の過酸化水素添加率を3%にし、加圧保持時
間を60分間にした以外は実施例1と同様にして、完成
漂白パルプを得た。 実施例6 (Po)L段と(Po)H段の間のキレート段をなくした以
外は実施例1と同様にして、完成漂白パルプを得た。
【0037】比較例1 (Po)L段と(Po)H段において酸素加圧を行なわず、
反応温度を95℃にし、過酸化水素段の1、2段での反
応時間をそれぞれ240分間とした以外は実施例1と同
様にして、完成漂白パルプを得た。 比較例2 (Po)H段の酸素吹き込み圧を4.0kg/cm2 にし
た以外は実施例1と同様にして、完成漂白パルプを得
た。
【0038】比較例3 (Po)H段の酸素吹き込み圧を4.0kg/cm2 にし
た以外は実施例2と同様にして、完成漂白パルプを得
た。
【0039】比較例4 (Po)L段の酸素吹き込み圧を7.0kg/cm2 、過
酸化水素添加率5.0%に、(Po)H段の酸素吹き込み
圧を3.0kg/cm2 、過酸化水素添加率3.0%し
た以外は実施例1と同様にして、完成漂白パルプを得
た。 比較例5 キレート処理を行わない他は実施例1と同様にして、完
成漂白パルプを得た。
【0040】比較例6 C(塩素段)−Eo−H(ハイポ)−Dシーケンスによ
る漂白: (1)C段:酸素脱リグニン後パルプをパルプ濃度5%
に調成した後、塩素を2.1%と水を添加してパルプ濃
度を3.5%にし、40℃、40分間反応させた後イオ
ン交換水で洗浄した。 (2)Eo 段:酸素を0.3%と水酸化ナトリウムを
1.3%添加して、パルプ濃度10%、60℃、90分
間、酸素で強化したアルカリ抽出を行った後、イオン交
換水で洗浄した。 (3)H段:次亜塩素酸ナトリウムを0.5%添加し
て、弱アルカリ性下でパルプ濃度10%、60℃、12
0分間反応した後、イオン交換水で希釈洗浄した。 (4)D段:二酸化塩素を0.35%添加して、パルプ
濃度10%、70℃、180分間反応させた後、イオン
交換水で洗浄を行い、完成漂白パルプを得た。
【0041】実施例及び比較例で得られた完成パルプの
白色度、パルプ粘度、さらにフリーネス500mlに叩
解したパルプの手抄シートの強度を測定し、その結果を
表1に示した。
【0042】
【表1】 表1 パルプ品質と強度測定結果 ───────────────────────────────── 白色度 パルプ粘度 比引裂強さ 裂断長 (ISO)% cP km ───────────────────────────────── 実施例1 87.3 11.3 135 7.7 実施例2 86.9 11.1 129 7.3 実施例3 83.5 12.9 139 7.4 実施例4 87.9 10.2 123 8.3 実施例5 83.6 13.3 142 7.9 実施例6 86.7 10.5 124 7.3 ───────────────────────────────── 比較例1 78.9 15.3 164 8.2 比較例2 82.9 9.2 110 7.5 比較例3 80.7 12.3 138 7.6 比較例4 85.7 8.1 114 7.1 比較例5 85.8 6.4 98 6.2 比較例6 85.3 14.6 144 8.4 ─────────────────────────────────
【0043】パルプ品質と強度の測定法について、白色
度についてはエルレホ2000を用いてISO白色度を
求めた。パルプ粘度はTAPPI STD T230o
m−89に従い測定を行った。引張強さはJIS P8
113を用いて裂断長として示した。引裂強さはJIS
P8116を用いて比引裂強さとして示した。
【0044】表1から明らかなとおり本発明による漂白
パルプは高い白色度と高い粘度および強度を保っている
(実施例1〜6)。これに対し加圧過酸化水素処理を行
わない漂白パルプは反応時間を延長しても白色度は低い
(比較例1)。また、実施例での(Po)H段での圧力が
低い場合には白色度は低い(比較例2、3)。一方、実
施例での(Po)L段の圧力を高くした場合には白色度は
高くなるが、粘度および強度は低下する(比較例4)。
キレート処理を行わない場合には白色度は高くなるが、
粘度および強度は低下する(比較例5)。従来の塩素系
薬品を基本とした漂白方法で得られたパルプ(比較例
6)と比較しても実施例1〜6のパルプは同等の強度を
保つ。
【0045】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明の
漂白方法によって、従来の過酸化水素を用いた漂白法と
比較した場合、高い白色度とパルプ強度の低下を抑えた
漂白ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩崎 誠 東京都江東区東雲1丁目10番6号 新王子 製紙株式会社中央研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルプの多段漂白工程において、酸素で
    加圧された過酸化水素段を少なくとも2段含み、最初の
    加圧過酸化水素段における処理圧力はゲージ圧で測定し
    た値で0.1〜5.0kg/cm2 あり、且つそれより
    後の漂白工程に配置される加圧過酸化水素段の処理圧力
    はゲージ圧で5.0〜9.0kg/cm2 であり、さら
    に最初の加圧過酸化水素段の処理圧力と比較し、それよ
    り後に配置される加圧過酸化水素段での処理圧力差がゲ
    ージ圧で2.0kg/cm2 以上、9.0kg/cm2
    未満の範囲にあることを特徴とするリグノセルロース物
    質の漂白方法。
  2. 【請求項2】 上記多段漂白工程において、最初の加圧
    過酸化水素段がゲージ圧で3.0〜5.0kg/cm
    2 、それより後の漂白工程に配置される加圧過酸化水素
    段がゲージ圧で6.0〜8.0kg/cm2 の処理圧力
    であることを特徴とする請求項1記載のリグノセルロー
    ス物質の漂白方法。
  3. 【請求項3】 パルプの多段漂白工程において、加圧過
    酸化水素段を2段以上含み、キレート剤を用いた処理
    を、最初の加圧過酸化水素段と同時又はその前工程で実
    施することを特徴とする請求項1及び2のいずれか1項
    に記載のリグノセルロース物質の漂白方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1067237A1 (en) * 1999-07-06 2001-01-10 Kvaerner Pulping Ab System and process for the oxygen delignification of pulp consisting of lignocellulose-containing material
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