JPH08258397A

JPH08258397A - インクジェット記録媒体

Info

Publication number: JPH08258397A
Application number: JP7066409A
Authority: JP
Inventors: Masaaki Saito; 正章斉藤
Original assignee: Asahi Glass Co Ltd
Current assignee: AGC Inc
Priority date: 1995-03-24
Filing date: 1995-03-24
Publication date: 1996-10-08

Abstract

(57)【要約】【目的】インクジェットプリンターによりドット径の小
さな高解像度の画像を記録する。【構成】基材上にアルミナ水和物を含有したインク受理
層を設けたインクジェット記録媒体であって、インク受
理層に含フッ素アクリル樹脂系撥水剤が付与されたイン
クジェット記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット記録媒
体に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、電子スチルカメラあるいはコンピ
ュータの普及とともに、それらの画像を紙面などに記録
するためのハードコピー技術が急速に発達した。これら
ハードコピーの究極の目標は銀塩写真であり、特に、色
再現性、色濃度、解像度、光沢、耐候性などをいかに銀
塩写真に近づけるかが、開発の課題となっている。ハー
ドコピーの記録方式には、銀塩写真によって画像を表示
したディスプレーを直接撮影するもののほか、昇華型熱
転写方式、インクジェット方式、静電転写方式など多種
多様である。

【０００３】インクジェット方式によるプリンターは、
フルカラー化が容易なことや印字騒音が低いことなどか
ら、近年急速に普及しつつある。この方式ではノズルか
ら被記録材に向けてインク液滴を高速で射出するもので
あり、インク中に多量の溶媒を含む。このため、インク
ジェットプリンター用の記録媒体は、速やかにインクを
吸収し、しかも優れた発色性を有することが要求され
る。このような記録媒体として、基材上にアルミナ水和
物の多孔質層を設けたものが知られている（特開平２−
２７６６７０号公報、特開平２−２７６６７１号公報参
照）。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】インクジェット方式の
高画質化を進め、銀塩写真に匹敵した画質を得るために
は、画像解像度を高める必要がある。そこで、インクジ
ェットノズルから射出されるインクの液滴を小さくし、
記録媒体上のインクのドット径を小さくすることが検討
されている。しかし、インク液滴径を小さくしても記録
媒体上に付着したインクがある程度濡れ広がってしまう
ため、ドット径を小さくすることには限界があった。本
発明は、印字品質を損なうことなく、記録されるドット
径の小さな高解像度の高いインクジェット記録媒体を提
供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、基材上にアル
ミナ水和物を含有したインク受理層を設けたインクジェ
ット記録媒体であって、インク受理層に撥水剤が付与さ
れたインクジェット記録媒体を提供する。

【０００６】基材としては特に限定されず、種々のもの
を使用できる。具体的には、ポリエチレンテレフタレー
トなどのポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹
脂、ＥＴＦＥなどのフッ素系樹脂など種々のプラスチッ
クあるいは紙類を好ましく使用できる。基材として、布
や金属材料も使用できる。また、アルミナ水和物層の接
着強度を向上させる目的で、コロナ放電処理やアンダー
コート等を行うこともできる。基材は、透明なもの不透
明なもののいずれも使用できる。

【０００７】アルミナ水和物としては、色素をよく吸収
定着することから、擬ベーマイト（Ａｌ₂ Ｏ₃ ・ｎＨ₂
Ｏ、ｎ＝１〜１．５）が好ましい。基材上に形成される
アルミナ水和物層は、多孔性であることが好ましい。さ
らに、アルミナ水和物粒子がバインダーで結合された構
成が好ましい。その細孔構造としては、平均細孔半径が
１〜１５ｎｍ、細孔容積が０．３〜１．０ｃｃ／ｇであ
る場合は、十分な吸収性を有し、かつ、アルミナ水和物
層も透明性があるので好ましい。このとき、基材が透明
であれば、記録シートも透明なものが得られ、オーバー
ヘッドプロジェクター用にも使用できる。基材が不透明
である場合にも、基材の質感を損なわない高品質な画像
を得ることができる。

【０００８】これらの物性に加え、アルミナ水和物層の
平均細孔半径が３〜１０ｎｍである場合はさらに好まし
い。なお、細孔径分布の測定は、窒素吸脱着法による。

【０００９】基材上に多孔性アルミナ水和層を形成する
方法としては、アルミナ水和物にバインダーと溶媒を加
えてゾル状塗工液にし、これを基材に塗布したあと乾燥
する方法が採用される。アルミナゾルをバインダー混合
して塗布する場合は、上記細孔特性を有するアルミナ水
和物層の形成が容易である。塗布方法としては、たとえ
ば、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコ
ーター、ロッドコーター、バーコーター、コンマコータ
ーなどが採用できる。塗工液の溶媒としては、水系、非
水系いずれも採用できる。

【００１０】バインダーとしては、でんぷんやその変性
物、ポリビニルアルコールおよびその変性物、ＳＢＲラ
テックス、ＮＢＲラテックス、ポリビニルピロリドン等
の有機物を使用できる。バインダーの使用量は、アルミ
ナ水和物の５〜５０重量％程度を採用するのが好まし
い。バインダーの使用量が５重量％未満の場合は、アル
ミナ水和物層の強度が不十分になるおそれがあるので好
ましくない。バインダーの使用量が５０重量％を超える
場合は、インクの吸収性が不十分になるおそれがあるの
でそれぞれ好ましくない。

【００１１】アルミナ水和物層の厚さは、各プリンター
等の仕様によって適宜選択され、一般には５〜１００μ
ｍを採用するのが好ましい。アルミナ水和物層の厚さが
５μｍに満たない場合は、インクを十分吸収しないおそ
れがあり、１００μｍを超える場合は、アルミナ水和物
層の透明性が損なわれたり層の強度が低下するおそれが
あるので、それぞれ好ましくない。

【００１２】撥水剤としては、有機フッ素化合物が好ま
しい。具体的には、含フッ素アクリル樹脂系の撥水剤が
好ましい。その形態としては、水性エマルジョン型、有
機溶剤溶液型などが好適である。

【００１３】撥水剤の添加量としては、アルミナ水和物
に対して撥水剤の固形分が０．００１〜５重量％が好適
である。添加量が０．００１重量％に満たない場合は、
ドット径が十分小さくならず画質向上の効果が発現しな
いおそれがあるので好ましくない。添加量が５重量％よ
り多い場合は、撥水性が強くなりすぎインクの吸収性を
阻害するおそれがあるので好ましくない。撥水剤の添加
量がアルミナ水和物に対して撥水剤の固形分が０．０１
〜１重量％である場合はさらに好ましい。

【００１４】撥水剤をインク受容層に添加する方法とし
ては、インク受容層形成時に塗工液中に添加する方法が
もっとも簡便で好ましい。インク受容層を形成した後
で、スプレーコーティング、ディップコーティングなど
の方法で添加することもできる。インク受容層を形成し
た後での添加では、他の添加剤などと同時に塗布する方
法も採用できる。

【００１５】

【作用】本発明において、撥水剤はインク受容層の表面
張力を低下させることにより、インク受容層に付着した
インク液滴がインク受容層上で広がってドット径が大き
くなるのを防止する作用を示す。

【００１６】

【実施例】

例１容積２０００ｃｃのガラス製反応容器に、５４０ｇの水
と６７６ｇのイソプロパノールを入れ、マントルヒータ
ーを使用して液温が７５℃になるよう加熱した。この中
に、３０６ｇのアルミニウムイソプロポキシドを撹拌し
ながら入れ、液温を７５〜７８℃を保ち、１５時間加水
分解を行った。その後、液温を９５℃に昇温し９ｇの酢
酸を加え、９０〜９５℃の温度で４８時間保持して解膠
した。この混合液を９００ｇになるまで濃縮し、白色の
ゾルを得た。このゾルを乾燥した場合には、擬ベーマイ
トが得られる。

【００１７】上記の方法で合成した固形分１８重量％の
アルミナゾル１００ｇと、ポリビニルアルコール１０重
量％水溶液１６ｇを混合して塗工液とした。さらにこの
塗工液に、水性エマルジョン型の含フッ素アクリル樹脂
系撥水剤（旭硝子株式会社製、商品名アサヒガードＦＰ
−３）をアルミナ水和物固形分に対して撥水剤が０．０
５重量％となるように添加した。この塗工液を透明ポリ
エチレンテレフタレートフィルム（厚さ１００μｍ）上
に乾燥後の塗工量が３０ｇ／ｃｍ² となるようにダイコ
ーターを用いて塗布した。これを乾燥後、１４０℃で熱
処理して透明な記録媒体とした。塗工層の物性は、平均
細孔半径５．５ｎｍ、細孔容積０．５ｃｃ／ｇであっ
た。

【００１８】例１で合成した固形分１８重量％のアルミ
ナゾル１００ｇと、ポリビニルアルコール６．２重量％
水溶液３２ｇを混合して塗工液とした。この塗工液を白
色のポリエチレンテレフタレートフィルム（厚さ１００
μｍ）上に乾燥後の塗工量が２５ｇ／ｃｍ² となるよう
にダイコーターを用いて塗布した。これを乾燥後、１４
０℃で熱処理して不透明な記録媒体とした。この記録媒
体の塗工層に、例１と同じ含フッ素アクリル樹脂系撥水
剤の０．１重量％水性エマルジョンをバーコーターを用
いて塗布し、乾燥した。アルミナ水和物固形分に対する
撥水剤固形分は０．０６重量％であった。塗工層の物性
は、平均細孔半径５．５ｎｍ、細孔容積０．５ｃｃ／ｇ
であった。

【００１９】例３例１で得られた未処理の記録媒体の塗工層に、有機溶剤
溶液型の含フッ素アクリル樹脂系撥水剤スプレー（旭硝
子株式会社製、商品名アサヒガード・スポーツ用）を３
０秒間噴射した。アルミナ水和物固形分に対する撥水剤
固形分は１．０重量％であった。塗工層の物性は、平均
細孔半径５．５ｎｍ、細孔容積０．５ｃｃ／ｇであっ
た。

【００２０】例４固形分１．２重量％のシリカゾル１００ｇとポリビニル
アルコール１．２重量％水溶液１０ｇとを混合し、さら
に例１の撥水剤を樹脂固形分が０．１重量％になるよう
に添加して得られた塗工液を、例２で得られた未処理の
記録媒体上にグラビアコーターを用いて塗工し、１４０
℃で熱処理して記録媒体を得た。アルミナ水和物固形分
に対する撥水剤固形分は０．０６重量％であった。塗工
層の物性は、平均細孔半径５．５ｎｍ、細孔容積０．５
ｃｃ／ｇであった。

【００２１】［印字例］上記の記録媒体について、イン
クジェットプリンター（セイコーエプソン株式会社製、
商品名ＭＪ−７００Ｖ２Ｃ）を用いて人物のカラー画像
を記録し、目視にて画質を評価した。その結果を表１に
示す。表１において、○はなめらかで美しい画質、△は
やや荒れているが実際上十分な画質、×は荒れが目立つ
画質をそれぞれ示す。また、４種のインクでドット径を
光学顕微鏡で測定し、その結果を表１に示す。比較のた
め、例２で得られた未処理の記録媒体について同様の評
価を行い表１中に例５として示す。

【００２２】

【表１】

【００２３】

【発明の効果】本発明の記録媒体は、インクジェットプ
リンターによりドット径の小さな高解像度の画像を記録
することができる。特に、水性インクを用いたインクジ
ェットプリンターに対して好適である。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】基材上にアルミナ水和物を含有したインク
受理層を設けたインクジェット記録媒体であって、イン
ク受理層に撥水剤が付与されたインクジェット記録媒
体。
【請求項２】撥水剤が、有機フッ素化合物である請求項
１のインクジェット記録媒体。
【請求項３】撥水剤が、エマルジョンタイプである請求
項１または２のインクジェット記録媒体。