JPH08254520A - 化学センサー及びセンサープレートの製造方法 - Google Patents

化学センサー及びセンサープレートの製造方法

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JPH08254520A
JPH08254520A JP8068935A JP6893596A JPH08254520A JP H08254520 A JPH08254520 A JP H08254520A JP 8068935 A JP8068935 A JP 8068935A JP 6893596 A JP6893596 A JP 6893596A JP H08254520 A JPH08254520 A JP H08254520A
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JP
Japan
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sensitive film
ion
film
membrane
sodium
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JP8068935A
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English (en)
Inventor
Shoichiro Hirakuni
正一郎 平國
Akihiko Mochizuki
明彦 望月
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Taiyo Yuden Co Ltd
Original Assignee
Taiyo Yuden Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】化学センサーの化学感応膜の膜形状を均一にし
て、出力値のバラツキを少なくする。 【構成】化学感応膜をその溶解又は膨潤する溶媒雰囲気
中に放置するか、加熱処理を行う。 【効果】化学感応膜を雰囲気の溶媒により例えば溶解さ
せてその溶媒を揮発させると、その溶媒の揮発をゆっく
りコントロールすることができるので、再生イオン感応
膜は膜厚のバラツキが少なく、膜形状が均一になる。ま
た、加熱して化学感応膜を溶融して冷却するときもその
冷却速度をコントロールすることにより膜厚のバラツキ
が少なく、膜形状が均一になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血液等の検体液のイオ
ン濃度を測定する化学センサー及びその部品のセンサー
プレートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】血液等の検体液のイオン濃度を測定する
には、基板上にイオン感応膜を形成した検体液測定電極
と基準電極を一対にして設け、これらの電極の先端側に
窓部を形成するように絶縁膜で覆い、これらの窓部に基
準液、検体液を滴下し、イオン導電状態にした状態で、
それぞれの電極を測定回路に接続して基準液と検体液の
濃度差に基づく電位差を測定する、いわゆる差動式イオ
ンセンサーが知られている。
【0003】このイオンセンサーを製造するには、先の
出願で提案したように、例えば紙ポリエステル絶縁基板
上に厚さ35μmの銅箔を張りつけた、いわゆるプリン
ト配線基板を、フォトリソグラフィック法等により銅片
の細長片を離間して突き合わせ状態に配置して一対とし
たものからなる所定形状の導電パターンにエッチング
し、そのパターンの銅片の表面を必要に応じて鏡面研磨
する。ついで、市販の光沢銀メッキ浴を用いて電解メッ
キし、10〜15μm程度の銀層を形成する。さらに塩
酸溶液中に浸漬し、電解化成処理をすることにより銀層
表面に数μmの塩化銀層を形成する。
【0004】次に、各一対の塩化銀層の相対するそれぞ
れの端部の一部を残して表面をエポキシ樹脂等の樹脂か
らなる絶縁膜で被覆し、窓部を形成する。これらの対を
なす窓部及びその間を残し、これに対応する細長孔を形
成してさらに絶縁膜の上に堤体を形成する。そして、イ
オノフォアと呼ばれる大環状化合物やイオン交換樹脂等
を含むイオン感応材料溶液を上記窓部を含む細長孔に滴
下し、乾燥させて窓部の塩化銀層の上にイオン感応膜を
形成する。このように、塩化銀層の必要部分のみにイオ
ン感応膜を形成する方法は、上記の塩化銀層を形成した
後、その全体に上記の如くイオン感応膜を形成するより
も、イオノフォア等の高価な材料を多く用いないことに
より無駄が少ないという利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、イオン
感応材料溶液を滴下し、その塗布膜を窓部の塩化銀層の
上に形成する際に、この塗布膜の乾燥を大気中常温で放
置することにより行い、溶剤が揮発することにより行っ
ている。そのため、溶媒の揮発速度が速すぎたり、ま
た、雰囲気温度等の周囲の状況で溶媒の揮発速度が一定
せず、乾燥塗膜の膜厚にバラツキが生じ、これをイオン
感応膜として用いたイオンセンサーではその出力電位に
バラツキが生じ、規格外のものを不良品とすると歩留ま
り低下の原因となっていた。
【0006】本発明の目的は、必要な部位のみに化学感
応膜材料溶液を滴下することにより化学感応膜を形成す
る際に膜形状のバラツキを少なくし、出力のバラツキの
少ない化学センサー及びセンサープレートを提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、化学感応膜を被覆した検体液測定電極
と、基準電極を一対にして少なくとも一組設け、検体液
の特定物の濃度を測定できるようにした化学センサーの
製造方法において、上記化学感応膜をこの化学感応膜材
料の溶液の滴下により形成し、かつその塗布膜をこの化
学感応膜を溶解又は膨潤させる溶媒雰囲気中に放置する
か又は加熱処理する化学センサーの製造方法を提供する
ものである。
【0008】また、化学感応膜を被覆した検体液測定電
極と、基準電極を一対にして少なくとも一組を基板上に
設けたセンサープレートの製造方法において、上記化学
感応膜をこの化学感応膜材料の溶液の滴下により形成
し、かつその塗布膜をこの化学感応膜を溶解又は膨潤さ
せる溶媒雰囲気中に放置するか又は加熱処理するセンサ
ープレートの製造方法を提供するものである。
【0009】この際、溶解又は膨潤させる溶媒は化学感
応膜材料溶液と同じ溶媒であり、加熱処理は化学感応膜
のガラス転移温度以上であることが好ましい。
【0010】
【作用】化学感応膜材料溶液を滴下し、常温大気中に放
置させて自然乾燥させた化学感応膜をその溶解又は膨潤
溶媒雰囲気中に放置すると膜が溶解又は膨潤することに
より流動し易くなり、その溶媒の揮発をゆっくりコント
ロールできるので、表面を均らすことができる。また、
加熱処理することにより化学感応膜は軟化して流動し易
くなり、その冷却速度をコントールできるので表面が均
らされる。このようにして膜形状の均一化がなされる。
【0011】
【実施例】次に本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。まず、図1、2に示すように、紙ポリエステル基板
1上に接着された銅箔をフォトリソグラフィック法によ
りパターニングし、2μmのダイヤモンドスラリーによ
り鏡面に研磨し、細長面を離間して突き合わせ状態に配
置した所定形状の銅電極1a、1bを形成した。
【0012】次に市販の脱脂剤による脱脂、及び陰極電
解脱脂を行なった後、水洗した。この後市販の光沢銀め
っき液(日本高純度化学(株)製、JPCテンペレレジ
ストAGR(2))に温度30℃に保持したまま浸漬
し、白金めっきチタンメッシュを陽極として、陰極電流
密度10A/dm2 (単位デシメートル当たりのアンペ
ア)で2分30秒間電解めっきを施し、厚さ10〜15
μmの銀層2a、2bを形成した。
【0013】この後、出力回路装置と接続される接点部
が塩化銀化されないようにマスキングしてから、0.1
規定の塩酸中で、上記銀層を形成した電極を作用極、白
金電極を対極、銀・塩化銀電極を比較電極とし、ポテン
シオスタット、ファンクションジェネレーターを用い、
初期電位80mVに60秒間保持した後、初期掃引方向
をカソード方向とし、−1500mVまで掃引し、折り
返し80mVまで掃引速度50mV/secで掃引し、
その後、350mVから引く150mVの間を掃引速度
20mV/secで5サイクル掃引し、予備的に微粒子
の塩化銀層を形成する。その後0.1規定の塩酸中でこ
の予備的に塩化銀層を形成した電極を陽極、白金めっき
チタンメッシュを陰極とし、陽極電流密度0.23A/
dm2 (単位デシ平方メートル当たりのアンペア)で2
分40秒間電解化成処理し、上記銀層2a、2bの相対
する端部上に塩化銀層3a、3bを形成した。このよう
にして1a、2a、3aからなる標準電極と、1b、2
b、3bからなる検体液測定電極が形成される。
【0014】上記塩化銀層3a、3b上の相対する端部
寄りの一部分と、露出している上記銀層2a、2bをプ
ローブの接点部として残してエポキシ樹脂で絶縁膜4を
形成して前者に凹部を形成し、更にこの絶縁膜4にこれ
ら凹部とこれらの間、及び電極及び絶縁膜4の両端側部
分を残して、前者に対応する細長孔6を有する堤体7を
形成する。
【0015】上記細長孔6内にナトリウムイオノフォア
であるBis(12─CROWN−4)、膜溶媒である
オルトニトロフェニルオクチルエーテル(o−NPO
E)、担体である塩化ビニル共重合体を含有するテトラ
ヒドロフラン(THF)溶液を滴下し、常温、大気中で
溶媒を揮発させ、ナトリウムイオン感応膜8を形成し
た。このようにしてナトリウムセンサプレート部品がで
きあがる。
【0016】次にコック付き密閉容器内に、THFを一
定量入れ、容器内をTHF飽和雰囲気としておく。この
中に、上記イオン感応膜8を形成したナトリウムセンサ
プレート部品を収容し、ナトリウムイオン感応膜が十分
に溶解した後、容器のコックを開きながら、徐々にTH
Fを揮散させ、2時間以上かけてゆっくりとイオン感応
膜を再生した。
【0017】このようにして得られたナトリウムイオン
感応膜表面の写真を図3に示す。この写真から、ナトリ
ウムイオン感応膜表面には局所的な凹凸がないことがわ
かる。図示省略したが、細長孔6内において膜形状は均
一であり、また、同一手法で作製した同じロットの他の
ナトリウムセンサープレートについても膜形状はほぼ同
一であることが確認された。膜形状が均一であれば膜厚
もそれぞれの厚さにおいて均一となり、バラツキが少な
くなる。
【0018】このナトリウムセンサプレート部品の上記
堤体7の上にさらにシート体を貼りつけて上部堤体9を
設けて、上記凹部に対応する窓部9a、9bと、液体の
連絡孔9cを形成した。これにより差動式ナトリウムイ
オンセンサプレートを完成した。
【0019】この差動式ナトリウムイオンセンサプレー
トは、それぞれの窓部9a、9bに標準液、検体液を滴
下し、さらに上記露出した銀層の電極を図示省略した出
力回路装置に接続することによりその含有イオン濃度差
に応じた出力値を得ることができる。この差動式ナトリ
ウムイオンセンサプレートの窓部9a、9bに同一濃度
(ナトリウムイオン濃度〔Na+ 〕=140mM)の試
薬溶液を滴下し、出力値のバラツキ(ΔE、理想的には
ΔE=0)を測定したところ、ΔE<0.5mVとなる
確率は、90%以上であった。
【0020】比較例1 実施例1において、THFによるイオン感応膜の再生処
理を行なわないこと以外は同様にしてナトリウムイオン
センサプレート部品を作製し、これを用いて同様に差動
式ナトリウムイオンセンサプレートを作製した。ナトリ
ウムイオンセンサプレート部品のイオン感応膜の表面の
写真を図5に示す。この写真から、イオン感応膜に局部
的に凹凸があることがわかる。しかも細長孔6内の図示
省略した部分についても凹凸がみられ、細長孔6内に形
成したイオン感応膜の形状は均一ではなかった。また、
同一手法で作製した同じロットの他のナトリウムイオン
センサープレートについても膜形状はばらばらであり、
形状の同一性はみられなかった。差動式ナトリウムイオ
ンセンサプレートについて実施例1と同様にΔEを測定
したところΔE<0.5mVとなる確率は、50%以上
であった。
【0021】実施例2 実施例1と同様にしてナトリウムイオンセンサプレート
部品を作製し、これを100℃のオーブン中に入れ、ナ
トリウムイオン感応膜を熱により溶融した。イオン感応
膜の表面状態が改善されるよう十分に溶融するには15
分要した。この後オーブンより取り出し、自然放冷し、
ナトリウムイオン感応膜を再生した。このようにして得
られたナトリウムイオン感応膜表面の写真を図4に示
す。この写真から、ナトリウムイオン感応膜表面には凹
凸がないことがわかる。図示省略したが、細長孔6内に
おいて膜形状は均一であり、また、同一手法で作製した
同じロットの他のナトリウムセンサープレートについて
も膜形状はほぼ同一であることが確認された。この後実
施例1と同様にして差動式ナトリウムイオンセンサプレ
ートを作製し、ΔEの測定を行ったところ、ΔE<0.
5mVとなる確率は、90%以上であった。
【0022】上記はイオン感応膜の材料溶液と同じ溶媒
を用いたが、イオン感応膜を溶解できる溶媒、膨潤でき
る溶媒であっても良く、溶媒は複数混合して用いても良
い。また、加熱処理はイオン感応膜のガラス転移温度、
軟化温度、溶融温度のみならずその他の温度でも良く、
温度が低ければ時間を要するが、温度が高ければ時間は
短くてすむことが一般的に言える。
【0023】上記は例としてナトリウムイオン感応膜に
ついて述べたが、カリウム、カルシウム、マグネシウ
ム、水素イオン感応膜等他種のイオン感応膜等の化学感
応膜についても同様のことがいえる。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、化学感応膜を溶解又は
膨潤させる溶媒雰囲気中に化学感応膜を放置して再生さ
せるか、化学感応膜を加熱処理して再生したので、一枚
の化学感応膜内において膜形状を均一とすることがで
き、また、同一手法を用いて形成した他の化学感応膜間
においてもその膜形状をほぼ均一とすることができ、こ
の化学感応膜を用いた化学センサーの出力値のバラツキ
を少なくすることができる。これにより製品の歩留まり
を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の差動式ナトリウムイオンセ
ンサプレートの上面図である。
【図2】上記実施例の差動式ナトリウムイオンセンサプ
レートのII─II断面図である。
【図3】上記実施例の差動式ナトリウムイオンセンサプ
レートの再生イオン感応膜の表面の写真である。
【図4】本発明の他の実施例の差動式ナトリウムイオン
センサプレートの再生イオン感応膜の表面の写真であ
る。
【図5】比較例の差動式ナトリウムイオンセンサプレー
トの再生イオン感応膜の表面の写真である。
【符号の説明】
1 基板 (1a、2a、3a)標準電極 (1b、2b、3b)検体液測定電極 8 ナトリウムイオン感応膜
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年3月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 化学センサー及びセンサープレートの
製造方法
【特許請求の範囲】
【請求項2】 加熱処理は化学感応膜のガラス転移温度
以上である請求項1記載の化学センサーの製造方法
【請求項4】 加熱処理は化学感応膜のガラス転移温度
以上である請求項3記載のセンサープレートの製造方
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の属する技術分野】本発明は、血液等の検体液の
イオン濃度を測定する化学センサー及びその部品のセン
サープレートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】血液等の検体液のイオン濃度を測定する
には、基板上にイオン感応膜を形成した検体液測定電極
と基準電極を一対にして設け、これらの電極の先端側に
窓部を形成するように絶縁膜で覆い、これらの窓部に基
準液、検体液を滴下し、イオン導電状態にした状態で、
それぞれの電極を測定回路に接続して基準液と検体液の
濃度差に基づく電位差を測定する、いわゆる差動式イオ
ンセンサーが知られている。
【0003】このイオンセンサーを製造するには、先の
出願で提案したように、例えば紙ポリエステル絶縁基板
上に厚さ35μmの銅箔を張りつけた、いわゆるプリン
ト配線基板を、フォトリソグラフィック法等により銅片
の細長片を離間して突き合わせ状態に配置して一対とし
たものからなる所定形状の導電パターンにエッチング
し、そのパターンの銅片の表面を必要に応じて鏡面研磨
する。ついで、市販の光沢銀メッキ浴を用いて電解メッ
キし、10〜15μm程度の銀層を形成する。さらに塩
酸溶液中に浸漬し、電解化成処理をすることにより銀層
表面に数μmの塩化銀層を形成する。
【0004】次に、各一対の塩化銀層の相対するそれぞ
れの端部の一部を残して表面をエポキシ樹脂等の樹脂か
らなる絶縁膜で被覆し、窓部を形成する。これらの対を
なす窓部及びその間を残し、これに対応する細長孔を形
成してさらに絶縁膜の上に堤体を形成する。そして、イ
オノフォアと呼ばれる大環状化合物やイオン交換樹脂等
を含むイオン感応材料溶液を上記窓部を含む細長孔に滴
下し、乾燥させて窓部の塩化銀層の上にイオン感応膜を
形成する。このように、塩化銀層の必要部分のみにイオ
ン感応膜を形成する方法は、上記の塩化銀層を形成した
後、その全体に上記の如くイオン感応膜を形成するより
も、イオノフォア等の高価な材料を多く用いないことに
より無駄が少ないという利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、イオン
感応材料溶液を滴下し、その塗布膜を窓部の塩化銀層の
上に形成する際に、この塗布膜の乾燥を大気中常温で放
置することにより行い、溶剤が揮発することにより行っ
ている。そのため、溶媒の揮発速度が速すぎたり、ま
た、雰囲気温度等の周囲の状況で溶媒の揮発速度が一定
せず、乾燥塗膜の膜厚にバラツキが生じ、これをイオン
感応膜として用いたイオンセンサーではその出力電位に
バラツキが生じ、規格外のものを不良品とすると歩留ま
り低下の原因となっていた。
【0006】本発明の目的は、必要な部位のみに化学感
応膜材料溶液を滴下することにより化学感応膜を形成す
る際に膜形状のバラツキを少なくし、出力のバラツキの
少ない化学センサー及びセンサープレートを提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、化学感応膜を被覆した検体液測定電極
と、基準電極を一対にして少なくとも一組設け、検体液
の特定物の濃度を測定できるようにした化学センサーの
製造方法において、上記化学感応膜をこの化学感応膜材
料の溶液の滴下により形成し、かつその塗布膜の化学感
応膜を軟化させて表面を均らす加熱処理する化学セン
サーの製造方法を提供するものである。
【0008】また、化学感応膜を被覆した検体液測定電
極と、基準電極を一対にして少なくとも一組を基板上に
設けたセンサープレートの製造方法において、上記化学
感応膜をこの化学感応膜材料の溶液の滴下により形成
し、かつその塗布膜の化学感応膜を軟化させて表面を均
らす加熱処理するセンサープレートの製造方法を提供
するものである。
【0009】この際、加熱処理は化学感応膜のガラス転
移温度以上であることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】 以下の実施例により説明する
の実施例から分かるように、化学感応膜材料溶液を滴下
し、常温大気中に放置させて自然乾燥させた化学感応膜
を加熱処理することにより化学感応膜は軟化して流動し
易くなり、その冷却速度をコントールできるので表面が
均らされる。このようにして膜形状の均一化がなされ
る。
【0011】
【実施例】次に本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。まず、図1、2に示すように、紙ポリエステル基板
1上に接着された銅箔をフォトリソグラフィック法によ
りパターニングし、2μmのダイヤモンドスラリーによ
り鏡面に研磨し、細長面を離間して突き合わせ状態に配
置した所定形状の銅電極1a、1bを形成した。
【0012】次に市販の脱脂剤による脱脂、及び陰極電
解脱脂を行なった後、水洗した。この後市販の光沢銀め
っき液(日本高純度化学(株)製、JPCテンペレレジ
ストAGR(2))に温度30℃に保持したまま浸漬
し、白金めっきチタンメッシュを陽極として、陰極電流
密度10A/dm2 (単位デシメートル当たりのアンペ
ア)で2分30秒間電解めっきを施し、厚さ10〜15
μmの銀層2a、2bを形成した。
【0013】この後、出力回路装置と接続される接点部
が塩化銀化されないようにマスキングしてから、0.1
規定の塩酸中で、上記銀層を形成した電極を作用極、白
金電極を対極、銀・塩化銀電極を比較電極とし、ポテン
シオスタット、ファンクションジェネレーターを用い、
初期電位80mVに60秒間保持した後、初期掃引方向
をカソード方向とし、−1500mVまで掃引し、折り
返し80mVまで掃引速度50mV/secで掃引し、
その後、350mVから150mVの間を掃引速度2
0mV/secで5サイクル掃引し、予備的に微粒子の
塩化銀層を形成する。その後0.1規定の塩酸中でこの
予備的に塩化銀層を形成した電極を陽極、白金めっきチ
タンメッシュを陰極とし、陽極電流密度0.23A/d
2 (単位デシ平方メートル当たりのアンペア)で2分
40秒間電解化成処理し、上記銀層2a、2bの相対す
る端部上に塩化銀層3a、3bを形成した。このように
して1a、2a、3aからなる標準電極と、1b、2
b、3bからなる検体液測定電極が形成される。
【0014】上記塩化銀層3a、3b上の相対する端部
寄りの一部分と、露出している上記銀層2a、2bをプ
ローブの接点部として残してエポキシ樹脂で絶縁膜4を
形成して前者に凹部を形成し、更にこの絶縁膜4にこれ
ら凹部とこれらの間、及び電極及び絶縁膜4の両端側部
分を残して、前者に対応する細長孔6を有する堤体7を
形成する。
【0015】上記細長孔6内にナトリウムイオノフォア
であるBis(12─CROWN−4)、膜溶媒である
オルトニトロフェニルオクチルエーテル(o−NPO
E)、担体である塩化ビニル共重合体を含有するテトラ
ヒドロフラン(THF)溶液を滴下し、常温、大気中で
溶媒を揮発させ、ナトリウムイオン感応膜8を形成し
た。このようにしてナトリウムセンサプレート部品がで
きあがる。
【0016】このようにして得られたナトリウムイオン
センサプレート部品を100℃のオーブン中に入れ、ナ
トリウムイオン感応膜を熱により溶融した。イオン感応
膜の表面状態が改善されるよう十分に溶融するには15
分要した。この後オーブンより取り出し、自然放冷し、
ナトリウムイオン感応膜を再生した。このようにして得
られたナトリウムイオン感応膜表面の写真を図に示
す。この写真から、ナトリウムイオン感応膜表面には凹
凸がないことがわかる。図示省略したが、細長孔6内に
おいて膜形状は均一であり、また、同一手法で作製した
同じロットの他のナトリウムセンサープレートについて
も膜形状はほぼ同一であることが確認された。
【0017】この後、 このナトリウムセンサプレート部
品の上記堤体7の上にさらにシート体を貼りつけて上部
堤体9を設けて、上記凹部に対応する窓部9a、9b
と、液体の連絡孔9cを形成した。これにより差動式ナ
トリウムイオンセンサプレートを完成した。
【0018】 この差動式ナトリウムイオンセンサプレー
トは、それぞれの窓部9a、9bに標準液、検体液を滴
下し、さらに上記露出した銀層の電極を図示省略した出
力回路装置に接続することによりその含有イオン濃度差
に応じた出力値を得ることができる。この差動式ナトリ
ウムイオンセンサプレートの窓部9a、9bに同一濃度
(ナトリウムイオン濃度〔Na+ 〕=140mM)の試
薬溶液を滴下し、出力値のバラツキ(ΔE、理想的には
ΔE=0)を測定したところ、ΔE<0.5mVとなる
確率は、90%以上であった。
【0019】 比較例1 実施例1において、加熱処理を行なわないこと以外は同
様にしてナトリウムイオンセンサプレート部品を作製
し、これを用いて同様に差動式ナトリウムイオンセンサ
プレートを作製した。ナトリウムイオンセンサプレート
部品のイオン感応膜の表面の写真を図に示す。この写
真から、イオン感応膜に局部的に凹凸があることがわか
る。しかも細長孔6内の図示省略した部分についても凹
凸がみられ、細長孔6内に形成したイオン感応膜の形状
は均一ではなかった。また、同一手法で作製した同じロ
ットの他のナトリウムイオンセンサープレートについて
も膜形状はばらばらであり、形状の同一性はみられなか
った。差動式ナトリウムイオンセンサプレートについて
実施例1と同様にΔEを測定したところΔE<0.5m
Vとなる確率は、50%以上であった。
【0020】加 熱処理はイオン感応膜のガラス転移温
度、軟化温度、溶融温度のみならずその他の温度でも良
く、温度が低ければ時間を要するが、温度が高ければ時
間は短くてすむことが一般的に言える。
【0021】 上記は例としてナトリウムイオン感応膜に
ついて述べたが、カリウム、カルシウム、マグネシウ
ム、水素イオン感応膜等他種のイオン感応膜等の化学感
応膜についても同様のことがいえる。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、化学感応膜を軟化させ
て表面を均らす加熱処理して再生したので、一枚の化
学感応膜内において膜形状を均一とすることができ、ま
た、同一手法を用いて形成した他の化学感応膜間におい
てもその膜形状をほぼ均一とすることができ、この化学
感応膜を用いた化学センサーの出力値のバラツキを少な
くすることができる。これにより製品の歩留まりを向上
させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の差動式ナトリウムイオンセ
ンサプレートの上面図である。
【図2】上記実施例の差動式ナトリウムイオンセンサプ
レートのII─II断面図である。
【図3】上記実施例の差動式ナトリウムイオンセンサプ
レートの再生イオン感応膜の表面の写真である。
【図4】比較例の差動式ナトリウムイオンセンサプレー
トの再生イオン感応膜の表面の写真である。
【符号の説明】 1 基板 (1a、2a、3a)標準電極 (1b、2b、3b)検体液測定電極 8 ナトリウムイオン感応膜
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】削除

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学感応膜を被覆した検体液測定電極
    と、基準電極を一対にして少なくとも一組設け、検体液
    の特定物の濃度を測定できるようにした化学センサーの
    製造方法において、上記化学感応膜をこの化学感応膜材
    料の溶液の滴下により形成し、かつその塗布膜をこの化
    学感応膜を溶解又は膨潤させる溶媒雰囲気中に放置する
    か又は加熱処理する化学センサーの製造方法。
  2. 【請求項2】 溶解又は膨潤させる溶媒は化学感応膜材
    料溶液と同じ溶媒であり、加熱処理は化学感応膜のガラ
    ス転移温度以上である請求項1の化学センサー。
  3. 【請求項3】 化学感応膜を被覆した検体液測定電極
    と、基準電極を一対にして少なくとも一組を基板上に設
    けたセンサープレートの製造方法において、上記化学感
    応膜をこの化学感応膜材料の溶液の滴下により形成し、
    かつその塗布膜をこの化学感応膜を溶解又は膨潤させる
    溶媒雰囲気中に放置するか又は加熱処理するセンサープ
    レートの製造方法。
  4. 【請求項4】 溶解又は膨潤させる溶媒は化学感応膜材
    料溶液と同じ溶媒であり、加熱処理は化学感応膜のガラ
    ス転移温度以上である請求項3のセンサープレート。
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