JPH08247293A

JPH08247293A - 金属積層型ガスケット

Info

Publication number: JPH08247293A
Application number: JP7815695A
Authority: JP
Inventors: Akinori Owaki; 晃則大脇
Original assignee: Nichias Corp
Current assignee: Nichias Corp
Priority date: 1995-03-09
Filing date: 1995-03-09
Publication date: 1996-09-24

Abstract

(57)【要約】【目的】復元性が向上し、応力緩和現象が生じること
がなく、また、シール用ビードが形成されず、優れたシ
ール性能を有する金属積層型ガスケットを提供する。【構成】ガスケット本体Ａを、表面側に切削加工によ
るシール用ビード１ａ，２ａを設けた２枚の環状金属板
１，２間に、環状に成形された膨張黒鉛製クッション材
３を挟持させた３層構造となし、クッション材の内外露
出周面部位に、それを覆って膨張黒鉛の酸化を防止する
ための金属薄板製の環子４，５をそれぞれ設けると共に
それら環子を前記金属板１，２に溶接部６で固着する。【効果】金属板自体に復元性がなくても、膨張黒鉛製
クッション材により復元性が得られる。また、切削加工
により形成されたビードは、締付け圧により変形される
ことがない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、バルブ、ポンプ、機器
等の配管フランジ部、軸封止部等に組み込まれて、各種
流体を密封するのに使用する金属積層型ガスケットに関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の金属ガスケットとして、
使用流体の種類、温度、圧力等の条件に合わせた金属板
を環状に打ち抜き加工した金属単体が知られている。ま
た、金属フランジとの当接面に、プレス加工あるいは切
削加工によるシール用ビードを設け、フランジとの密着
を良くすると共に高い面圧が得られるように構成した金
属ガスケットも知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような金属単体で構成されたガスケットにあっては、配
管フランジ部の熱歪、撓み、ボルト等の伸びに追随する
復元性が不十分なため、応力緩和現象が生じ、流体漏れ
が生じやすい。特にフランジ、バルブの昇温時に漏れが
発生するという問題がある。また、金属単体表面にプレ
ス加工によるシール用ビードを形成した金属ガスケット
にあっては、そのビードが締付け圧によって変形されや
すいため、折角のシール用ビードとしての機能が著しく
損なわれる欠点がある。

【０００４】

【発明の目的】本発明は、前述した金属単体で構成され
るガスケットの欠点を除去し、復元性が向上し、応力緩
和現象が生じることがなく、また、シール用ビードが変
形されず、優れたシール性能を有する金属積層型ガスケ
ットを提供することを主たる目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明による金属積層型
ガスケットは、ガスケット本体を、表面側に切削加工に
よるシール部用ビードを設けた２枚の環状金属板間に、
環状に成形された膨張黒鉛製クッション材を挟持させた
３層構造としたことを要旨としている。

【０００６】さらに、本発明は、前記３層構造のガスケ
ット本体における２枚の環状金属板間に挟持された環状
の膨張黒鉛製クッション材の内外露出周面部位に、それ
を覆うための金属薄板製の環子をそれぞれ設けると共に
それら金属環子を前記環状金属板にスポット溶接または
シーム溶接にて固着した構成を包含する。

【０００７】また、本発明は、前述した３層構造のガス
ケット本体における環状金属板表面のビード上に、柔ら
かい材質の金属薄板からなる環状のシート状フィラー材
を当て付けて金属フランジ面との間に介在させた構成を
包含する。

【０００８】さらにまた、本発明は、前述した３層構造
の環状のガスケット本体全体を柔らかい材質の金属薄板
からなる包み材にて環状に包み込んだ構成を包含する。

【０００９】

【作用】上記金属積層型ガスケットのガスケット本体の
構成によれば、金属単体としての２枚の環状金属板自体
に復元性がなくても、両金属板間に挟持されている膨張
黒鉛製クッション材の有する復元性により、ガスケット
本体全体に復元性が発揮され、応力緩和現象は生じな
い。加えて、環状金属板表面のビードは切削加工にて形
成したものであるから、締付け圧を受けても変形するお
それはない。

【００１０】また、膨張黒鉛製クッション材の内外周面
部位に金属薄板製の環子を設けた構成によれば、膨張黒
鉛の酸化減量の防止機能が得られる。

【００１１】また、環状金属板表面のビード上に、柔ら
かい材質の金属薄板からなるシート状フィラー材を当て
付けた構成によれば、ビードと金属フランジ面との接面
シール性の向上に寄与すると共に締付け圧からビードを
保護する機能を有する。

【００１２】さらにまた、ガスケット本体を、柔らかい
材質の金属薄板からなる包み材によって環状に包み込ん
だ構成によれば、クッション材としての膨張黒鉛の酸化
減量防止機能と、ビードの金属フランジ面へのシール性
の向上およびビードの保護機能とが総合して得られる。

【００１３】

【実施例】図１に、本発明の一実施例を示す。図１にお
いて、ガスケット本体Ａは、２枚の環状金属板１，２の
間に、環状に形成された膨張黒鉛製クッション材３を挟
持させた３層構造とされている。前記各環状金属板１，
２には旋盤等により切削加工した１条のビード１ａ，２
ａがそれぞれ形成されている。膨張黒鉛製クッション材
３の内外露出周面部位には、その周面を覆う金属製薄板
で作った環子４，５がそれぞれ設けられ、それらは環状
金属板１，２にスポット溶接またはシーム溶接による溶
接部６によって固着されている。

【００１４】前記ガスケット本体Ａを形成する環状金属
板１，２には、ＳＵＳ３０４ステンレス鋼板の使用が適
しており、板厚（ビード部を除く）は１．０mm、ビード
高さ１．５mmに形成したものが好ましい。

【００１５】膨張黒鉛製クッション材３は、圧縮復元性
にバラツキがないものとするため、密度調整されたもの
を使用する。密度調整は、一定面圧でプレス成形するこ
とにより行われる。密度は１．６〜１．８ｇ／cm³の範
囲が好ましい。

【００１６】図３に、前記金属積層型ガスケットの使用
例を示す。図中、７はフラットフランジ、８は溝付きフ
ランジ、９は締付けボルト、１０はナットである。

【００１７】上記金属積層型ガスケットの構成によれ
ば、下記のような効果が得られる。（１）ガスケット本体は２枚の金属板の間に膨張黒鉛製
クッション材が挟持されている３層構造であるから、環
状金属板自体に復元性がなくても、膨張黒鉛製クッショ
ン材の有する復元性により、ガスケット本体全体に復元
性が発揮され、応力緩和現象は生じない。（２）また、シール用ビードは切削加工にて形成したも
のであるから、締付け圧を受けても変形するおそれはな
い。（３）また、膨張黒鉛製クッション材の内外周面部位に
金属薄板製の環子を設けた構成によれば、膨張黒鉛の酸
化減量の防止機能が得られる。その場合、環子をスポッ
ト溶接したガスケット製品は、酸化しない雰囲気（４０
０℃以下、または無酸化雰囲気）での使用が好ましい
が、シーム溶接したガスケット製品は膨張黒鉛の酸化を
完全に防止できるため、酸化雰囲気で使用できる。

【００１８】図４に、本発明の他の実施例を示す。本実
施例では、前記ガスケット本体Ａの構成において、プレ
ス成形した膨張黒鉛製クッション材３を金属製薄板１１
で予め被覆しておき、それを２枚の環状金属板１，２間
に挟持させ、金属製薄板１１を環状金属板１，２に溶接
部１２で溶接した構成としている。

【００１９】上記構成の金属積層型ガスケットは、図１
のガスケットと同様な作用・効果を有する。特に膨張黒
鉛製クッション材３を予め金属製薄板１１で被覆してあ
るので、クッション材３の組み付け作業性の向上が図れ
る。

【００２０】図５に、本発明の他の実施例を示す。本実
施例では、図１のガスケット本体Ａの環状金属板１，２
のビード１ａ，２ａ上に、アルミニウム、銅等の柔らか
い材質の金属薄板からなるシート状フィラー材１３をそ
れぞれ当て付けて金属フランジ面との間に介在させた構
成としている。

【００２１】上記構成によれば、小さな締付け圧でビー
ドと金属フランジ面との接面シール性の向上が図れると
共に締付け圧からビードを保護できるので、フィラー材
の取り換えにより、ガスケット本体を複数回使用するこ
とができる。

【００２２】図５に、さらに本発明の他の実施例を示
す。本実施例では、環状金属板１，２間に膨張黒鉛製ク
ッション材３を挟持させたガスケット本体Ａの全体を、
アルミニウム、銅等の柔らかい材質の金属薄板からなる
包み材１４にて環状に包み込み、その先端部を重ね合わ
せた構成としている。

【００２３】上記構成によれば、包み材１４はクッショ
ン材としての膨張黒鉛の酸化を防止することができ、か
つ小さな締付け圧でもビードと共同して金属フランジ面
との接面シール性を向上させることができる。また、こ
の構成では、包み材１４は環状金属板に溶接を行わなく
てもよい。

【００２４】図７および図８は、ガスケット本体Ａを、
図６で示した包み材１４と同じ材質の包み材１５，１６
でそれぞれ包み込んだ構成としている。両実施例では、
とくに２条のビードを有する環状金属板１，２を用いて
おり、図７の包み材１５は２つ割りの包み材からなりガ
スケット本体の半部をそれぞれ包み込んだ構成としてお
り、図８の包み材１６は単体であるが、その先端部を重
ね合わせないで、開いた状態でガスケット本体を包み込
んだ構成としている。図７および図８の構成にあって
も、膨張黒鉛製クッション材の酸化を防止できると共に
溶接作業の手数を省くことができる。

【００２５】次に本発明による金属積層型ガスケット
を、図３に示したフランジ部に装着して行った復元性の
試験結果を下記に示す。（１）試料ガスケット本体内径５０mm、外径７０mm、厚さ１０mm 環状金属板ビード高さ１．５mm、板厚１．０mm（ビード部を除く）、材質ＳＵＳ３０４、ビード１条環状膨張黒鉛製密度１．８ｇ／cm³ クッション材（２）フランジ溝寸法内径４９．５mm、外径７０．５mm、深さ５．０mm フランジ材質Ｓ５５Ｃ研磨後無電解ニッケルメッキ（３）試験条件締付け荷重７３５００Ｎ(７.５tonｆ)、線圧３９０Ｎ/cm（４００kgf/cm）（４）試験結果本発明品の復元量０．１５mm 従来品（メタルガスケット、ＳＵＳ３０４）の復元量０．０１mm なお、復元量は実験後のガスケット厚さから圧縮時のガ
スケット厚さを減算したものである。

【００２６】

【発明の効果】以上、詳述したように、本発明によれ
ば、ガスケット本体を、２枚の環状金属板間に環状に成
形された膨張黒鉛製クッション材を挟持させた３層構造
としているので、復元性が向上し、しかも応力緩和現象
が生じることがなく、またシール用ビードが変形され
ず、シール性に優れた金属積層型ガスケットを得ること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す金属積層型ガスケット
の断面図である。

【図２】前記ガスケットの平面図である。

【図３】ガスケットをフランジ部に装着した状態の断面
図である。

【図４】本発明の他の実施例を示す金属積層型ガスケッ
トの断面図である。

【図５】本発明の他の実施例による金属積層型ガスケッ
トをフランジ部に装着した状態の断面図である。

【図６】本発明の他の実施例による金属積層型ガスケッ
トの一部の断面図である。

【図７】本発明の他の実施例による金属積層型ガスケッ
トの一部の断面図である。

【図８】本発明の他の実施例による金属積層型ガスケッ
トの一部の断面図である。

【符号の説明】

Ａガスケット本体１，２環状金属板１ａ，２ａビード３膨張黒鉛製クッション材４，５環子６溶接部７フラットフランジ８溝付きフランジ９ボルト１０ナット１１金属薄板１２溶接部１３シート状フィラー材１４，１５，１６包み材

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】表面側に切削加工によるシール部用ビー
ドを設けた２枚の環状金属板間に、環状に成形された膨
張黒鉛製クッション材を挟持させた３層構造をガスケッ
ト本体としたことを特徴とする金属積層型ガスケット。
【請求項２】前記３層構造のガスケット本体における
２枚の環状金属板間に挟持された環状の膨張黒鉛製クッ
ション材の内外露出周面部位に、それを覆うための金属
薄板製の環子をそれぞれ設けると共にそれら環子を前記
環状金属板にスポット溶接またはシーム溶接にて固着し
たことを特徴とする請求項１に記載の金属積層型ガスケ
ット。
【請求項３】前記３層構造のガスケット本体における
環状金属板表面のビード上に、柔らかい材質の金属薄板
からなる環状のシート状フィラー材を当て付けて金属フ
ランジ面との間に介在させたことを特徴とする請求項１
または請求項２に記載の金属積層型ガスケット。
【請求項４】前記３層構造のガスケットを、柔らかい
材質の金属薄板からなる包み材にて環状に包み込んだこ
とを特徴とする請求項１に記載の金属積層型ガスケッ
ト。