JPH08231977A

JPH08231977A - 水溶性金属加工用油剤

Info

Publication number: JPH08231977A
Application number: JP6218095A
Authority: JP
Inventors: Masahisa Hirobe; 雅久広部; Masayuki Hosokawa; 真幸細川
Original assignee: Yushiro Chemical Industry Co Ltd
Current assignee: Yushiro Chemical Industry Co Ltd
Priority date: 1995-02-24
Filing date: 1995-02-24
Publication date: 1996-09-10
Anticipated expiration: 2017-01-07
Also published as: JP3244996B2

Abstract

(57)【要約】【目的】消泡剤等の配合を特に要することなく、潤滑
性、浸透性及び消泡性等の性能に優れた水溶性金属加工
用油剤を提供する。【構成】水３７．９重量部（以下、部という。）に、
カプリル酸を５部、セバシン酸を２部、トリエタノール
アミンを２５部、ベンゾトリアゾールを０．１部、及び
オキシエチレン鎖の両側にオキシプロピレン鎖が結合し
た構造を有する、いわゆるリバースブロック型のポリオ
キシアルキレングリコールブロック共重合体（分子量；
１２５００、水溶液の曇点；４５℃）を３０部配合し、
溶解して、水溶性金属加工用油剤を得た。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、切削、研削、塑性加工
等の金属加工に用いられる潤滑油剤であって、潤滑性に
優れ、更に良好な浸透性及び消泡性をも併せ有する水溶
性金属加工用油剤に関する。

【０００２】

【従来の技術】ポリオキシアルキレングリコール類は、
工具及び被削材に対する油剤の濡れに影響を及ぼす浸透
性を向上させ、その結果、油剤の潤滑性を向上させる特
長を有するため、水溶性金属加工用油剤の成分として使
用されることがある。しかし、油剤成分として、他の各
成分とともにポリオキシアルキレングリコールのような
界面活性剤を併用した場合、泡の発生が著しくなり作業
性の低下を来すという問題を生ずることがある。

【０００３】

【発明が解決しようする課題】本発明は、上記問題点を
解決するものであり、油剤成分として特定の構造等を有
するポリオキシアルキレングリコール及び特定の炭素数
のモノ及び／又はジカルボン酸を使用することにより、
泡の発生が抑えられ、且つ潤滑性及び浸透性に優れた水
溶性金属加工用油剤を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリオキ
シアルキレングリコールの構造等と金属加工用油剤の性
能との関連について鋭意研究した結果、特定のブロック
構造等を有するポリオキシアルキレングリコール共重合
体に特定のモノ及び／又はジカルボン酸を組み合わせて
使用した場合、泡の発生を伴うことなく、優れた潤滑性
能を発揮する油剤が得られることを見出し、本発明を完
成するに至った。

【０００５】本発明の水溶性金属加工用油剤は、油剤１
００重量部中に、下記の一般式で表されるポリオキシア
ルキレングリコール０．１〜８０重量部及び炭素数６〜
１０のモノカルボン酸及び／又はジカルボン酸１〜２５
重量部を含有する油剤であって、（但し、上記式中ａ，ｂ及びｃは１以上の整数であ
る。）上記ポリオキシアルキレングリコールの分子量が５００
〜３００００であり、且つ下記の方法によって測定した
その水溶液の曇点が５〜６０℃であることを特徴とす
る。曇点の測定方法：上記ポリオキシアルキレングリコール
の１重量％水溶液を調製し、その調製液を加熱し、目視
により白濁を確認した温度を曇点とする。

【０００６】上記「ポリオキシアルキレングリコール」
は、オキシエチレン単位からなるブロック部分の両側
に、オキシプロピレン単位からなるブロック部分が結合
された構造を有するブロック共重合体である。このよう
な構造のブロック共重合体は、特にリバースブロック型
重合体と呼ばれており、例えば、旭電化株式会社製の商
品名「アデカプルロニック２５Ｒ２」及びＢＡＳＦＪ
ａｐａｎ社製の商品名「プルロニック２５Ｒ４、同２５
Ｒ８」等が市販されている。

【０００７】上記一般式において、ポリオキシアルキレ
ングリコールの分子量は５００〜３００００であり、特
に６００〜２００００の範囲が好ましい。この分子量が
５００未満では油剤の潤滑性が低下し、３００００を越
えると油剤の粘度が高くなりすぎ、加工機の作動不良等
作業性が低下する。尚、分子量が６００〜２００００の
範囲であれば、優れた潤滑性を有するとともに、油剤の
粘度も適当であり作業性も良好である。

【０００８】また、油剤の全量を１００重量部とした場
合に、ポリオキシアルキレングリコールの含有量は０．
１〜８０重量部であり、特に好ましくは３〜５０重量部
である。この含有量が０．１重量部未満では十分な潤滑
性能が発揮されず、８０重量部を越えると油剤の粘度が
高くなりすぎ作業性が低下する。

【０００９】更に、上記ポリオキシアルキレングリコー
ルの水溶液の曇点は５〜６０℃の範囲であり、この曇点
は分子量との相関もあるが、１０〜５５℃の範囲が好ま
しい。曇点が５℃未満では油剤の液安定性が低下し、６
０℃を越えると潤滑性及び浸透性が不十分となる。

【００１０】また、上記「炭素数が６〜１０のモノカル
ボン酸及び／又はジカルボン酸」において、この炭素数
が６未満では、油剤のサビ止め性が低く、１０を越える
場合は、消泡性が十分ではなく問題である。好ましいカ
ルボン酸としては、炭素数８のモノカルボン酸であるカ
プリル酸、炭素数１０のジカルボン酸であるセバシン酸
等が挙げられ、このように炭素数が６〜１０のモノ及び
／又はジカルボン酸が好ましい。

【００１１】上記モノ及び／又はジカルボン酸の含有量
は、油剤の全量を１００重量部とした場合に、１〜２５
重量部であり、特に好ましくは３〜２０重量部である。
この含有量が１重量部未満では、油剤のサビ止めの効果
がなく、２５重量部を越えると、原液（油剤）の粘度が
高くなりすぎ好ましくない。

【００１２】本発明の金属加工用油剤は上記ポリオキシ
アルキレングリコール及びカルボン酸を水溶液又は乳化
液として、そのまま或いは必要により、これに油脂、脂
肪酸エステル、鉱物油、極圧添加剤、ポリオキシアルキ
レングリコール以外の界面活性剤、防錆剤、消泡剤、各
種アミン、防腐剤等を適宜添加して調製し、使用するこ
とができる。

【００１３】

【作用】水溶性金属加工用油剤の成分としてポリオキシ
アルキレングリコール他の界面活性剤を使用した場合、
泡が発生し易く、また、油剤の浸透性も不十分である等
の問題があり、従来より消泡剤を添加する等の対策が採
られている。本発明では、特定のブロック構造を有す
る、いわゆるリバースブロック型重合体と呼ばれるポリ
オキシアルキレンレン共重合体を油剤の主成分として使
用することにより、上記問題を解決したものである。

【００１４】本発明において、上記特定の構造を有する
ポリオキシアルキレングリコールに代えて、例えばオキ
シエチレン及びオキシプロピレン単位が同数であって
も、オキシプロピレン単位からなるブロック部分の両側
にオキシエチレン単位からなるブロック部分が結合され
た構造のブロック共重合体（ノーマルブロック型重合
体）を使用した場合は、得られる油剤の浸透性は良好で
あるが、泡立ちの問題は解決されない。また、ランダム
共重合体である場合は、得られる油剤はほとんど浸透性
を有さず、被削材等に対する濡れが低下する。

【００１５】更に、ポリオキシアルキレングリコールと
してリバースブロック型重合体を使用した場合であって
も、カルボン酸の炭素数が１０を越える長鎖モノ及び／
又はジカルボン酸を組み合わせた油剤では、泡立ちの問
題が起こり、液安定性が良好であって、且つ潤滑性、浸
透性及び消泡性等、すべての特性に優れた油剤を得るこ
とはできない。

【００１６】

【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明の水溶
性金属加工用油剤を更に詳しく説明する。表１に、実施
例１〜４及び比較例１〜４の金属加工用油剤の組成を示
す。尚、表１の各成分の数値は重量部を表し、全量が１
００重量部である。また、表１の各ポリオキシアルキレ
ングリコールは下記のものである。

【００１７】

【表１】

【００１８】ポリオキシアルキレングリコール
（Ａ）：リバースブロック型重合体、ＢＡＳＦＪａｐ
ａｎ社製、商品名「２５Ｒ−４」、分子量；４１００、
曇点；４０℃ ポリオキシアルキレングリコール（Ｂ）：リバースブ
ロック型重合体、ＢＡＳＦＪａｐａｎ社製、商品名
「２５Ｒ−８」、分子量；１２５００、曇点４５℃

【００１９】ポリオキシアルキレングリコール
（Ｃ）：リバースブロック型重合体、ＢＡＳＦＪａｐ
ａｎ社製、商品名「１０Ｒ−５」、分子量；２０００、
曇点；６９℃ ポリオキシアルキレングリコール（Ｄ）：ノーマルブ
ロック型重合体、ＢＡＳＦＪａｐａｎ社製、商品名
「Ｐ６５」、分子量；３５００、曇点；８２℃ ポリオキシアルキレングリコール（Ｅ）：ランダム型
重合体、旭電化株式会社製、商品名「ＰＨ２５５」、分
子量；３０００、曇点；６１℃

【００２０】本発明の金属加工用油剤の性能を明らかに
するため、下記の方法によりその性能試験を行った。（潤滑性）Ｆａｌｅｘ試験機を用いて以下に示す条件で
測定した。圧力；２００ｌｂｆ、回転数；２９０ｒｐ
ｍ、測定時間；１時間及び試料濃度；３％水溶液でピ
ン、ブロックの摩耗量（ｍｇ）を測定した。

【００２１】（浸透性）鉄粉（粒子径；５０〜１００ｍ
ｅｓｈ）を用いて成型した、所定寸法の円錐体の底面に
３％水溶液に希釈した試料を注ぎ、頂点まで濡れるのに
要する時間を測定した。評価の基準は、○；試料液はス
ムーズに頂点に達し良好、△；やや良好、×；試料液が
頂点に達するのに長時間を要し不良、を表す。

【００２２】（消泡性）３％水溶液に希釈した試料５０
ｍｌを１００ｍｌシリンダーに採り、１０秒間振った
後、泡が消えるまでの時間を測定した。評価の基準は、
○；速やかに消泡し良好、△；やや良好、×；消泡する
のに長時間を要し不良、を表す。以上の性能評価の結果
を表２に示す。

【００２３】

【表２】

【００２４】表２の結果によれば、本発明において特定
されたポリオキシアルキレングリコール及びカルボン酸
を使用した各実施例では、浸透性及び消泡性に優れると
ともに、摩耗量も少なく潤滑性も良好であることが分か
る。特に、ポリオキシアルキレングリコールの分子量が
１２５００と比較的大きい実施例３では、摩耗量が非常
に少なく、より潤滑性に優れている。また、実施例３で
使用したポリオキシアルキレングリコールを５．０重量
部と減量した実施例２では、摩耗量は増加するが、それ
でも各比較例よりは優れており、更に、６０重量部と倍
の量にした実施例４では、摩耗量はより少なくなり、潤
滑性は一層向上することが分かる。

【００２５】一方、ポリオキシアルキレングリコールと
してリバースブロック型重合体であって、曇点が６９℃
と上限をやや越えたものを使用した比較例１では、浸透
性及び消泡性ともに△であり、摩耗量も相当に多く、各
特性ともに劣っていることが分かる。また、ノーマルブ
ロック型重合体であって、しかもその曇点が８２℃と非
常に高いものを使用した比較例２では、曇点が高いにも
かかわらず浸透性は良好であるが、潤滑性及び消泡性に
劣っていることが分かる。

【００２６】更に、ランダム型重合体を使用した比較例
３では、消泡性はそれほど低下していないが、潤滑性及
び特に浸透性が大きく低下していることが分かる。ま
た、カルボン酸として炭素数１２のモノカルボン酸であ
るラウリン酸を使用した他は、実施例３と同様にして調
製した比較例４の油剤では、消泡性が劣っていることが
分かる。

【００２７】

【発明の効果】本発明によれば、消泡剤等の配合を要す
ることなく、潤滑性、浸透性及び消泡性に優れ、且つ液
安定性も良好な水溶性金属加工用油剤を得ることができ
る。

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号庁内整理番号ＦＩ技術表示箇所Ｃ１０Ｍ 129:40 129:42）Ｃ１０Ｎ 20:00 20:04 30:06 30:18 40:22

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】油剤１００重量部中に、下記の一般式で
表されるポリオキシアルキレングリコール０．１〜８０
重量部及び炭素数６〜１０のモノカルボン酸及び／又は
ジカルボン酸１〜２５重量部を含有する油剤であって、（但し、上記式中ａ，ｂ及びｃは１以上の整数であ
る。）上記ポリオキシアルキレングリコールの分子量が５００
〜３００００であり、且つ下記の方法によって測定した
その水溶液の曇点が５〜６０℃であることを特徴とする
水溶性金属加工用油剤。曇点の測定方法：上記ポリオキシアルキレングリコール
の１重量％水溶液を調製し、その調製液を加熱し、目視
により白濁を確認した温度を曇点とする。