JPH08229706A - 丸駒チップホルダ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 丸駒チップの挾持時における切り屑の挟み込
みを抑えると共に、丸駒チップの割損を防ぎ、寸法精度
の安定を図る丸駒チップホルダを提供する。 【構成】 ホルダ本体２に設けられて丸駒チップ３を回
動可能に載置するチップ載置部２ａと、チップ載置部２
ａとの間で丸駒チップ３を挾持・解放するクランパ５を
備え、ホルダ本体２に、丸駒チップ３の軸心よりもワー
クＷと反対側に位置するチップ外周面３ｂと当接するチ
ップ受部２ｂを設け、クランパ５に、丸駒チップ３の軸
心よりもワークＷ側に位置するチップ押圧斜面部５ａを
設け、クランパ５と丸駒チップ３との間に、チップ押圧
斜面部５ａと当接してクランパ５から付与されるチップ
挾持力Ｆをチップ載置部方向押圧力Ｆａおよびチップ受
部方向押圧力Ｆｂに分ける半球状分力発生部７Ａを有す
るスペーサ７を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、主として仕上げ旋削加
工に用いられる丸駒チップを回動可能に保持する丸駒チ
ップホルダに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、上記した丸駒チップホルダとして
は、例えば、図５に示すものがあった。

【０００３】図５に示すように、この丸駒チップホルダ
１０１は、ホルダ本体１０２の先端部分に設けられたチ
ップ載置部１０３と、このチップ載置部１０３に回動可
能に載置される軸１０４と、この軸１０４の一端側に中
心孔１０５ａを嵌合してねじ止めされた丸駒チップ１０
５の上側平面部１０５ｂに押圧平面部１０６ｂを当接さ
せてチップ載置部１０３との間で軸１０４とともに挾持
・解放可能としたクランパ１０６を備えており、クラン
パ１０６はチップ挾持方向にばね付勢されたボルト１０
７によりホルダ本体１０２に保持されている。

【０００４】そして、この丸駒チップホルダ１０１で
は、ホルダ本体１０２にボルト１０７をチップ解放方向
に駆動可能としたアンクランプロッド１０８を長手方向
に設け、また、軸１０４の他端にピニオン１０９を固着
すると共にホルダ本体１０２にピニオン１０９と噛み合
うラック１１０を摺動可能に設けており、図外の空圧装
置によりアンクランプロッド１０８をホルダ本体１０２
の先端側に移動させてボルト１０７をチップ解放方向に
駆動して、クランパ１０６をアンクランプ状態とすると
共に、同じく図外の空圧装置によりラック１１０をホル
ダ本体１０２の先端側に摺動させてピニオン１０９を回
動させることにより、軸１０４を介して丸駒チップ１０
５を回動させるようにしている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、従来におけ
る丸駒チップホルダ１０１では、クランパ１０６の押圧
平面部１０６ｂを丸駒チップ１０５の上側平面部１０５
ｂに当接させてチップ載置部１０３との間でこの丸駒チ
ップ１０５を挾持するようにしているため、丸駒チップ
１０５を挾持するに際して、クランパ１０６の押圧平面
部１０６ｂと丸駒チップ１０５の上側平面部１０５ｂと
の間に切り屑などの異物を挟み込んだ場合には、加工上
好ましくない部分に集中荷重が発生して丸駒チップ１０
５に割れや欠損などの不具合が生じてしまう恐れがある
という問題を有していた。

【０００６】また、上記丸駒チップホルダ１０１におい
て、丸駒チップ１０５はその中心孔１０５ａを一端側に
嵌合してねじ止めされた軸１０４とともに回動する、す
なわち、丸駒チップ１０５はその中心孔１０５ａを中心
にして回動することから、丸駒チップ１０５の中心孔１
０５ａと切れ刃である外周縁との同軸度がよくない場合
には、丸駒チップ１０５の回動前と回動後とにおいて切
れ刃の位置がずれてしまい、安定した寸法精度を得るこ
とができないという問題を有しており、これらの問題を
解決することが従来の課題であった。

【０００７】

【発明の目的】本発明は、上記した従来の課題に着目し
てなされたもので、丸駒チップを挾持する際の切り屑な
どの異物の挟み込みを極力抑えて、丸駒チップの割れや
欠損の発生を防止することができると共に、丸駒チップ
の回動前後における切れ刃の高精度な位置決めを図っ
て、寸法精度を常に安定させることが可能である丸駒チ
ップホルダを提供することを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１に係わ
る丸駒チップホルダは、ホルダ本体の先端部分に設けら
れて丸駒チップを回動可能に載置するチップ載置部と、
前記チップ載置部との間で丸駒チップを挾持・解放可能
としたクランパを備えた丸駒チップホルダにおいて、前
記ホルダ本体の先端部分には、前記丸駒チップの軸心よ
りもワークと反対側に位置するチップ外周面と当接する
チップ受部を設けると共に、前記クランパには、前記丸
駒チップの軸心よりもワーク側に位置するチップ押圧部
を設け、前記丸駒チップ側に、当該丸駒チップと同軸に
配置されかつ前記クランパのチップ押圧部と当接して当
該クランパから丸駒チップに付与されるチップ挾持力を
チップ載置部方向押圧力およびチップ受部方向押圧力に
分ける分力発生部を設けた構成としたことを特徴として
おり、この丸駒チップホルダの構成を前述した従来の課
題を解決するための手段としている。

【０００９】本発明の請求項２に係わる丸駒チップホル
ダにおいて、分力発生部はクランパと丸駒チップとの間
に位置して前記丸駒チップと面接触するスペーサに設け
てある構成とし、本発明の請求項３に係わる丸駒チップ
ホルダでは、スペーサの丸駒チップとの接触面における
外周縁と丸駒チップの切れ刃との間隔を２ｍｍ以上とし
た構成としている。

【００１０】本発明の請求項４に係わる丸駒チップホル
ダにおいて、分力発生部は丸駒チップに一体で設けてあ
る構成とし、本発明の請求項５に係わる丸駒チップホル
ダでは、分力発生部の丸駒チップ本体部分側における外
周縁と丸駒チップ本体部分の切れ刃との間隔を２ｍｍ以
上とした構成としている。

【００１１】本発明の請求項６に係わる丸駒チップホル
ダにおいて、クランパのチップ押圧部はチップ受部方向
を向くチップ押圧斜面部としてあると共に、分力発生部
は半球状としてある構成とし、本発明の請求項７に係わ
る丸駒チップホルダでは、半球状をなす分力発生部の半
径を３ｍｍ以上とした構成としている。

【００１２】本発明の請求項８に係わる丸駒チップホル
ダにおいて、クランパのチップ押圧部はチップ載置部方
向を向く断面半円形状をなすチップ押圧突部としてある
と共に、分力発生部は円錐台状としてある構成としてい
る。

【００１３】

【発明の作用】本発明の請求項１に係わる丸駒チップホ
ルダでは、上記した構成としているので、丸駒チップを
挾持するに際して、クランパのチップ押圧部を丸駒チッ
プ側の分力発生部に当接させてチップ挾持力を丸駒チッ
プ側に付与すると、分力発生部によりチップ挾持力がチ
ップ載置部方向押圧力およびチップ受部方向押圧力に分
けられ、丸駒チップはチップ載置部方向押圧力によりチ
ップ載置部に押し付けられて強固に保持されることとな
る。

【００１４】このとき、丸駒チップはチップ受部方向押
圧力によりホルダ本体のチップ受部にも押し付けらてい
ることから、丸駒チップの回動前と回動後とにおける切
れ刃の位置決め精度は、丸駒チップの真円度だけに影響
されることとなり、したがって、従来よりも安定した寸
法精度が得られることとなる。

【００１５】また、本発明の請求項２に係わる丸駒チッ
プホルダにおいて、分力発生部で生じたチップ載置部方
向押圧力は、スペーサを介して丸駒チップに伝えられる
が、スペーサと丸駒チップとは面接触しているため、チ
ップ載置部方向押圧力は分散荷重として丸駒チップに伝
えられることとなり、丸駒チップを挾持するに際して、
クランパのチップ押圧部とスペーサの分力発生部との間
に切り屑などの異物を挟み込んだとしても、丸駒チップ
の割れや欠損の発生は防がれることとなり、本発明の請
求項３に係わる丸駒チップホルダでは、加工時における
切り屑の流出を滞らせることなく、クランパによる挾持
が確実に行われることとなる。

【００１６】さらに、本発明の請求項４に係わる丸駒チ
ップホルダでは、上記した構成としているので、部品点
数の削減が図られるうえ、従来のように、丸駒チップに
中心孔を設ける必要がないことから、小径丸駒チップの
保持も支障なく行われることになり、その結果、小径丸
駒チップの実現に寄与することとなり、加えて、請求項
１に係わる丸駒チップホルダと同様に、丸駒チップはチ
ップ受部方向押圧力によりホルダ本体のチップ受部に押
し付けられることから、丸駒チップの回動前後における
切れ刃の位置決め精度は、丸駒チップの真円度のみによ
り決定され、その結果、従来よりも安定した寸法精度が
得られることとなり、本発明の請求項５に係わる丸駒チ
ップホルダでは、請求項３に係わる丸駒チップホルダと
同様に、加工時における切り屑の流出に支障を来すこと
なく、クランパによる挾持が確実に行われることとな
る。

【００１７】さらにまた、本発明の請求項６に係わる丸
駒チップホルダでは、上記した構成としているので、ク
ランパのチップ押圧斜面部と半球状をなす分力発生部と
の接触面積が僅かなものとなって、丸駒チップを挾持す
る際に切り屑などの異物を挟み込む可能性が極めて少な
くなり、本発明の請求項７に係わる丸駒チップホルダで
は、加工時における切り屑の流出に障害をもたらすこと
なく、クランパによる挾持がより一層確実に行われるこ
ととなる。

【００１８】さらにまた、本発明の請求項８に係わる丸
駒チップホルダでは、クランパのチップ押圧突部と円錐
台状をなす分力発生部の円錐面とが微少面積で接触する
こととなり、請求項６に係わる丸駒チップホルダと同じ
く、丸駒チップを挾持する際には、切り屑などの異物を
挟み込む可能性が極めて少なくなる。

【００１９】

【実施例】以下、本発明を図面に基づいて説明する。

【００２０】［第１実施例］図１は本発明に係わる丸駒
チップホルダの一実施例を示している。

【００２１】図１（ａ），（ｂ）に示すように、この丸
駒チップホルダ１は、ホルダ本体２の先端部分（図示左
端部分）に設けられて丸駒チップ３を回動可能に載置す
るチップ載置部２ａと、ホルダ本体２の上面にクランプ
ボルト４を介して取り付けられてこのクランプボルト４
の回転操作によりチップ載置部２ａとの間で丸駒チップ
３を挾持・解放可能としたクランパ５を備えており、ホ
ルダ本体２の先端部分でかつチップ載置部２ａに隣接す
る部分には、チップ載置部２ａ上における丸駒チップ３
の軸心よりもワークＷと反対側に位置するチップ外周面
３ｂと当接するチップ受部２ｂが設けてあると共に、ク
ランパ５には、丸駒チップ３の軸心よりもワークＷ側に
位置しかつチップ受部２ｂ方向を向くチップ押圧斜面部
（チップ押圧部）５ａが設けてある。

【００２２】また、この丸駒チップホルダ１は、クラン
パ５と丸駒チップ３との間に、丸駒チップ３と同軸に配
置されかつボルト６により丸駒チップ３に装着されたス
ペーサ７を設けている。このスペーサ７は丸駒チップ３
よりも小径のものとしてあり、この場合、図１（ｃ）に
示すように、スペーサ７の丸駒チップ３との接触面にお
ける外周縁と丸駒チップ３の切れ刃３ａとの間隔ｄ１を
２ｍｍとしている。また、このスペーサ７はその上部側
を半径ｒ１が５ｍｍの半球状分力発生部７Ａとしてお
り、この半球状分力発生部７Ａは、クランパ５により丸
駒チップ３を挾持した状態において、クランパ５のチッ
プ押圧斜面部５ａと当接してこのクランパ５から付与さ
れるチップ挾持力Ｆを、図１（ｄ）にも示すように、チ
ップ載置部方向押圧力Ｆａおよびチップ受部方向押圧力
Ｆｂに分けるようにしている。

【００２３】この丸駒チップホルダ１では、丸駒チップ
３を挾持するに際して、クランパ５のチップ押圧斜面部
５ａをスペーサ７における半球状分力発生部７Ａの軸心
よりもワークＷ側の部分に当接させ、クランプボルト４
を締め込み方向に回転操作してチップ挾持力Ｆを丸駒チ
ップ３側に付与すると、半球状分力発生部７Ａによりチ
ップ挾持力Ｆがチップ載置部方向押圧力Ｆａおよびチッ
プ受部方向押圧力Ｆｂに分けられ、この際、スペーサ７
と丸駒チップ３とは面接触しているため、チップ載置部
方向押圧力Ｆａは分散荷重として丸駒チップ３に伝えら
れ、丸駒チップ３はチップ載置部方向押圧力Ｆａにより
チップ載置部２ａに押し付けられて強固に保持されるこ
ととなる。

【００２４】このとき、クランパ５のチップ押圧斜面部
５ａと半球状分力発生部７Ａとの接触面積は僅かである
ことから、両者間に切り屑などの異物を挟み込む可能性
は極めて少なくなり、仮にクランパ５のチップ押圧斜面
部５ａとスペーサ７の半球状分力発生部７Ａとの間に切
り屑などの異物を挟み込んだとしても、上述したよう
に、チップ載置部方向押圧力Ｆａは分散荷重として丸駒
チップ３に伝えられるので、丸駒チップ３の割れや欠損
の発生は防がれることとなる。

【００２５】また、丸駒チップ３はチップ受部方向押圧
力Ｆｂによりチップ受部２ｂにも押し付けらることか
ら、丸駒チップ３の回動前と回動後とにおける切れ刃３
ａの位置ずれ量は、丸駒チップ３の真円度だけに影響さ
れることとなり、すなわち、丸駒チップ３の回動前と回
動後とでは切れ刃３ａの位置にほとんどずれが生じない
こととなり、その結果、寸法精度が安定することとな
る。

【００２６】さらに、この丸駒チップホルダ１では、ス
ペーサ７の外周縁と丸駒チップ３の切れ刃３ａとの間隔
ｄ１を２ｍｍとしていると共に、半球状分力発生部７Ａ
の半径ｒ１を５ｍｍとしているので、ワークＷの加工時
における切り屑の流出は円滑なものとなり、クランパ５
による挾持も確実に行われることとなる。

【００２７】［第２実施例］図２は本発明に係わる丸駒
チップホルダの他の実施例を示している。

【００２８】図２（ａ），（ｂ）に示すように、この丸
駒チップホルダ１１は、丸駒チップ３の軸心よりもワー
クＷ側に位置しかつチップ載置部２ａ方向を向く断面半
円形状をなすチップ押圧突部（チップ押圧部）１５ａを
有するクランパ１５を備え、このクランパ１５と丸駒チ
ップ３との間に、上部側を円錐台状分力発生部１７Ａと
したスペーサ１７を設けており、他の構成は第１実施例
と同じである。

【００２９】この実施例の丸駒チップホルダ１１におい
ても、クランパ１５のチップ押圧突部１５ａをスペーサ
１７における円錐台状分力発生部１７Ａの軸心よりもワ
ークＷ側の円錐面に当接させて、クランプボルト４を締
め込み方向へ回転操作すると、図２（ｃ）にも示すよう
に、円錐台状分力発生部１７Ａによりチップ挾持力Ｆが
チップ載置部方向押圧力Ｆａおよびチップ受部方向押圧
力Ｆｂに分けられ、この際、スペーサ１７と丸駒チップ
３とは面接触しているので、丸駒チップ３は分散荷重と
して伝えられるチップ載置部方向押圧力Ｆａによって、
チップ載置部２ａに押し付けられて強固に保持され、こ
のとき、クランパ１５のチップ押圧突部１５ａと円錐台
状分力発生部１７Ａの円錐面との接触面積は極めて微小
であるため、両者間に切り屑などの異物を挟み込む可能
性は極めて少なく、仮にクランパ１５のチップ押圧突部
１５ａとスペーサ１７の円錐台状分力発生部１７Ａとの
間に切り屑を挟み込んでも、チップ載置部方向押圧力Ｆ
ａが丸駒チップ３の一点に集中してかかることがないの
で、丸駒チップ３は割れや欠損が生じることなく保持さ
れることとなる。

【００３０】また、第１実施例と同じく、丸駒チップ３
はチップ受部方向押圧力Ｆｂによりチップ受部２ｂにも
押し付けらるため、丸駒チップ３の回動前と回動後とで
は切れ刃３ａの位置にほとんどずれが生じないこととな
り、したがって、寸法精度が安定することとなり、加え
て、この丸駒チップホルダ１１では、スペーサ１７の外
周縁と丸駒チップ３の切れ刃３ａとの間隔を２ｍｍとし
ているので、ワークＷの加工時における切り屑の流出が
滑めらかに行われると共に、クランパ１５による挾持が
確実に行われることとなる。

【００３１】［第３実施例］図３は本発明に係わる丸駒
チップホルダのさらに他の実施例を示している。

【００３２】この実施例の丸駒チップホルダ（全体図は
図示せず）では、丸駒チップ２３に半球状分力発生部２
７Ａを一体で設けており、他の構成は第１実施例と同じ
である。

【００３３】この場合、半球状分力発生部２７Ａの外周
縁と丸駒チップ２３の切れ刃２３ａとの間隔ｄ３を２ｍ
ｍとしていると共に、半球状分力発生部２７Ａの半径ｒ
３を５ｍｍとしている。

【００３４】この実施例の丸駒チップホルダでは、スペ
ーサおよびスペーサを丸駒チップに装着するボルトを必
要としない分だけ部品点数の削減が図られ、丸駒チップ
にボルト挿通用孔を設ける必要もないことから、小径丸
駒チップの保持が可能となり、その結果、小径丸駒チッ
プの製作実現に寄与することとなる。

【００３５】また、第１実施例と同様に、クランパ５
（図１参照）のチップ押圧斜面部５ａと半球状分力発生
部２７Ａとの接触面積が僅かなものとなることから、丸
駒チップ２３を挾持する際には切り屑などの異物を挟み
込む可能性が極めて少なくなり、加えて、丸駒チップ２
３の回動前後における切れ刃２３ａの位置決め精度は、
丸駒チップ２３の真円度のみにより決定されるので、安
定した寸法精度が得られることとなり、さらに、半球状
分力発生部２７Ａの外周縁と丸駒チップ２３の切れ刃２
３ａとの間隔ｄ３を２ｍｍとしていると共に、半球状分
力発生部２７Ａの半径ｒ３を５ｍｍとしているため、加
工時における切り屑の流出に支障を来すことなくクラン
パ５による挾持が確実に行われることとなる。

【００３６】［第４実施例］図４は本発明に係わる丸駒
チップホルダのさらに他の実施例を示している。

【００３７】この実施例の丸駒チップホルダ（全体図は
図示せず）では、丸駒チップ３３に円錐台状分力発生部
３７Ａを一体で設けており、他の構成は第２実施例と同
じである。

【００３８】この場合、円錐台状分力発生部３７Ａの丸
駒チップ本体部分側における外周縁と丸駒チップ３３の
切れ刃３３ａとの間隔ｄ４を２ｍｍとしている。

【００３９】この実施例における丸駒チップホルダで
は、第３実施例と同じく、部品点数の削減が図られ、小
径丸駒チップの保持も可能であることから、小径丸駒チ
ップの製作実現に寄与することとなる。

【００４０】また、第２実施例と同様に、クランパ１５
（図２参照）のチップ押圧突部１５ａと円錐台状分力発
生部１７Ａとの接触面積が極めて少なくなるため、丸駒
チップ３３を挾持する際には切り屑などの異物を挟み込
む恐れがほとんど皆無となり、加えて、丸駒チップ３３
の回動前後における切れ刃３３ａの位置にはほとんどず
れが生じないので、寸法精度が安定し、さらに、円錐台
状分力発生部３７Ａの外周縁と丸駒チップ３３の切れ刃
３３ａとの間隔ｄ４を２ｍｍとしていることから、加工
時における切り屑の流出を滞らせることなく丸駒チップ
３３の挾持が確実になされることとなる。

【００４１】そこで、第１〜４実施例の丸駒チップホル
ダ１，１１を旋盤にセットして、丸駒チップ３，２３，
３３の回動前と回動後とにおいてワークＷに対してそれ
ぞれ旋削加工を行い、丸駒チップ３，２３，３３の回動
前後におけるワークＷの寸法誤差および丸駒チップ３，
２３，３３の割れや欠損の有無を調べ、比較として従来
の丸駒チップホルダを用いて上記と同様の試験を行った
ところ表１の結果を得た。

【００４２】

【表１】

【００４３】表１の結果から、第１〜４実施例の丸駒チ
ップホルダ１，１１では、従来の丸駒チップホルダと比
較して、寸法精度が極めて安定したものとなることが実
証できた。

【００４４】また、表１の結果から、第１〜４実施例の
丸駒チップホルダ１，１１では、従来の丸駒チップホル
ダと比較して、丸駒チップ３，２３，３３に割れや欠損
を生じさせることなく保持できることが実証できた。

【００４５】本発明に係わる丸駒チップホルダの詳細な
構成は、上記した実施例に限定されるものではない。

【００４６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項１
に係わる丸駒チップホルダでは、上記した構成としたか
ら、クランパのチップ押圧部を丸駒チップ側の分力発生
部に当接させてチップ挾持力を丸駒チップ側に付与する
と、分力発生部によりチップ挾持力をチップ載置部方向
押圧力およびチップ受部方向押圧力に分けることがで
き、丸駒チップをチップ載置部に押し付けて強固に保持
することができるだけでなく、チップ受部にも押し付け
ることが可能であるため、丸駒チップの回動前後におけ
る切れ刃の位置決め精度を向上させることができ、その
結果、従来よりも安定した寸法精度を得ることが可能で
あるという極めて優れた効果がもたらされる。

【００４７】また、本発明の請求項２に係わる丸駒チッ
プホルダでは、上記した構成としたから、分力発生部で
生じたチップ載置部方向押圧力を分散荷重として丸駒チ
ップに伝えることができ、したがって、丸駒チップを挾
持する際に、クランパとスペーサとの間に切り屑などの
異物を挟み込んだとしても、丸駒チップの割れや欠損の
発生を防ぐことが可能であり、本発明の請求項３に係わ
る丸駒チップホルダでは、加工時における切り屑の流出
を滞らせることなく、確実に丸駒チップを挾持すること
ができるという極めて優れた効果がもたらされる。

【００４８】さらに、本発明の請求項４に係わる丸駒チ
ップホルダでは、上記した構成としているので、部品点
数の削減が実現できるのに加えて、小径丸駒チップの保
持も可能であることから、小径丸駒チップの製作実現に
寄与することができるうえ、請求項１に係わる丸駒チッ
プホルダと同様に、従来よりも安定した寸法精度を得る
ことが可能であり、本発明の請求項５に係わる丸駒チッ
プホルダでは、加工時における切り屑の流出に支障を来
すことなく、確実に丸駒チップを挾持することができる
という極めて優れた効果がもたらされる。

【００４９】さらにまた、本発明の請求項６に係わる丸
駒チップホルダでは、上記した構成としたから、クラン
パと分力発生部との接触面積を僅かなものとすることが
でき、その結果、丸駒チップを挾持する際の切り屑など
の異物の挟み込みの発生率を著しく低減させることが可
能であり、本発明の請求項７に係わる丸駒チップホルダ
では、加工時における切り屑の流出に障害をもたらすこ
となく、丸駒チップを確実に挾持することが可能である
という極めて優れた効果がもたらされる。

【００５０】さらにまた、本発明の請求項８に係わる丸
駒チップホルダでは、請求項６に係わる丸駒チップホル
ダと同じく、クランパと分力発生部との接触面積を極少
なくすることができ、丸駒チップを挾持する際に切り屑
などの異物を挟み込む可能性をほとんど皆無とすること
が可能であるという極めて優れた効果がもたらされる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係わる丸駒チップホルダの第１実施例
を示す平面説明図（ａ），断面説明図（ｂ），丸駒チッ
プ部分の拡大断面説明図（ｃ）および半球状分力発生部
の部分拡大断面図（ｄ）である。

【図２】本発明に係わる丸駒チップホルダの第２実施例
を示す平面説明図（ａ）および断面説明図（ｂ）および
円錐台状分力発生部の部分拡大断面図（ｃ）である。

【図３】本発明に係わる丸駒チップホルダの第３実施例
を示す半球状をなす分力発生部を一体で有する丸駒チッ
プの全体斜視説明図（ａ）および断面説明図（ｂ）であ
る。

【図４】本発明に係わる丸駒チップホルダの第４実施例
を示す円錐台状をなす分力発生部を一体で有する丸駒チ
ップの全体斜視説明図（ａ）および断面説明図（ｂ）で
ある。

【図５】従来の丸駒チップホルダを示す断面説明図
（ａ）および部分破砕平面説明図（ｂ）である。

【符号の説明】

１，１１ 丸駒チップホルダ ２ ホルダ本体 ２ａ チップ載置部 ２ｂ チップ受部 ３，２３，３３ 丸駒チップ ３ａ，２３ａ，３３ａ 切れ刃 ３ｂ チップ外周面 ５，１５ クランパ ５ａ チップ押圧斜面部（チップ押圧部） ７，１７ スペーサ ７Ａ，２７Ａ 半球状分力発生部 １５ａ チップ押圧突部（チップ押圧部） １７Ａ，３７Ａ 円錐台状分力発生部 Ｆ チップ挾持力 Ｆａ チップ載置部方向押圧力 Ｆｂ チップ受部方向押圧力 Ｗ ワーク ｄ１ スペーサの外周縁と丸駒チップの切れ刃との間隔 ｄ３、ｄ４ 分力発生部の外周縁と丸駒チップの切れ刃
との間隔 ｒ１，ｒ３ 半球状分力発生部の半径

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ホルダ本体の先端部分に設けられて丸駒
   チップを回動可能に載置するチップ載置部と、前記チッ
   プ載置部との間で丸駒チップを挾持・解放可能としたク
   ランプを備えた丸駒チップホルダにおいて、前記ホルダ
   本体の先端部分には、前記丸駒チップの軸心よりもワー
   クと反対側に位置するチップ外周面と当接するチップ受
   部を設けると共に、前記クランパには、前記丸駒チップ
   の軸心よりもワーク側に位置するチップ押圧部を設け、
   前記丸駒チップ側に、当該丸駒チップと同軸に配置され
   かつ前記クランパのチップ押圧部と当接して当該クラン
   パから丸駒チップに付与されるチップ挾持力をチップ載
   置部方向押圧力およびチップ受部方向押圧力に分ける分
   力発生部を設けたことを特徴とする丸駒チップホルダ。
2. 【請求項２】 分力発生部はクランパと丸駒チップとの
   間に位置して前記丸駒チップと面接触するスペーサに設
   けてある請求項１に記載の丸駒チップホルダ。
3. 【請求項３】 スペーサの丸駒チップとの接触面におけ
   る外周縁と丸駒チップの切れ刃との間隔を２ｍｍ以上と
   した請求項２に記載の丸駒チップホルダ。
4. 【請求項４】 分力発生部は丸駒チップに一体で設けて
   ある請求項１に記載の丸駒チップホルダ。
5. 【請求項５】 分力発生部の丸駒チップ本体部分側にお
   ける外周縁と丸駒チップ本体部分の切れ刃との間隔を２
   ｍｍ以上とした請求項４に記載の丸駒チップホルダ。
6. 【請求項６】 クランパのチップ押圧部はチップ受部方
   向を向くチップ押圧斜面部としてあると共に、分力発生
   部は半球状としてある請求項１ないし５のいずれかに記
   載の丸駒チップホルダ。
7. 【請求項７】 半球状をなす分力発生部の半径を３ｍｍ
   以上とした請求項６に記載の丸駒チップホルダ。
8. 【請求項８】 クランパのチップ押圧部はチップ載置部
   方向を向く断面半円形状をなすチップ押圧突部としてあ
   ると共に、分力発生部は円錐台状としてある請求項１〜
   ５のいずれかに記載の丸駒チップホルダ。