JPH08218218A - 光学機能繊維の製造方法 - Google Patents

光学機能繊維の製造方法

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JPH08218218A
JPH08218218A JP7028519A JP2851995A JPH08218218A JP H08218218 A JPH08218218 A JP H08218218A JP 7028519 A JP7028519 A JP 7028519A JP 2851995 A JP2851995 A JP 2851995A JP H08218218 A JPH08218218 A JP H08218218A
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JP
Japan
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slit
shaped opening
functional fiber
spinneret
producing
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JP7028519A
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English (en)
Inventor
Yuuji Kikutani
雄士 鞠谷
Katsumi Morohoshi
勝己 諸星
Susumu Shimizu
進 清水
Akio Sakihara
明男 先原
Kinya Kumazawa
金也 熊沢
Hiroshi Tabata
洋 田畑
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Tanaka Kikinzoku Kogyo KK
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Tanaka Kikinzoku Kogyo KK
Nissan Motor Co Ltd
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    • DTEXTILES; PAPER
    • D01NATURAL OR MAN-MADE THREADS OR FIBRES; SPINNING
    • D01DMECHANICAL METHODS OR APPARATUS IN THE MANUFACTURE OF ARTIFICIAL FILAMENTS, THREADS, FIBRES, BRISTLES OR RIBBONS
    • D01D5/00Formation of filaments, threads, or the like
    • D01D5/253Formation of filaments, threads, or the like with a non-circular cross section; Spinnerette packs therefor

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Textile Engineering (AREA)
  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)
  • Woven Fabrics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 所定の反射,干渉作用を発現する条件を満た
した光学機能繊維を精度良く,かつ,安価に製造できる
ようにする。 【構成】 複数の平行に並んだ第1のスリット形開口1
01およびそれら複数の第1のスリット形開口101に
直交する1本の第2のスリット形開口102を有し,か
つ,第1のスリット形開口101のスリットの長さをW
3 ,第2のスリット形開口102のスリットの幅をW2
としたとき, 3W2 ≦W3 の関係を満足する紡糸口金を用い,熱可塑性重合体を紡
糸する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は,溶融紡糸法により光
学機能を有する繊維を製造する方法に関し,特に,紫外
線や赤外線を反射したり,あるいは可視光を反射,干
渉,回折,散乱することにより発色する構造を有した光
学機能繊維の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から各種繊維や車の塗装などへ色彩
を付与する方法,あるいは質感向上の方法として,無機
あるいは有機の染料,顔料を用いたり,あるいは光輝材
を分散させる方法が一般的に用いられている。
【0003】ところが,近年,ユーザーの多嗜好,高級
化の傾向と相間って,見る方向によって色が変わった
り,より彩度の高い色調を有する,優美かつ高級感のあ
る発色構造体が切望されている。
【0004】このため,染料や顔料などの色素を使わ
ず,反射,干渉,回折あるいは散乱作用で発色する構造
体や,さらに,その作用と染料や顔料とを組み合わせる
ことによってより深く鮮やかに発色する構造体が鋭意研
究・開発されている。
【0005】例えば,特公昭43−14185号公報
や,特開平1−139808号公報では,光学屈折率の
異なる2種類以上の樹脂からなる被覆型の複合繊維を形
成することにより,真珠光沢を発する複合繊維が開示さ
れており,また,分子配向異方性フィルムを偏光フィル
ムでサンドイッチ構造とすることにより,発色する材料
も発表されている(例えば,繊維機械学会誌Vol.4
2,No.2,p.55,同Vol.42,No.1
0,p.160,いずれも1989年)。
【0006】一方,特開昭59−228042号公報,
特公昭60−24847号公報,特公昭63−6453
5号公報等では,見る方向により色調を変え,鮮やかな
色調効果を有することで有名な南米産モルフォ蝶にヒン
トを得た発色構造体も提案されている。
【0007】さらに,特開昭62−170510号公報
では,繊維表面に一定幅の細隙を設けることにより干渉
色を発する構造体が開示されており,その中で染料や顔
料を用いていないので堅牢性が高く,経時変化のない優
れた構造体であることを明記している。
【0008】ところが,上記偏光フィルムを用いるもの
では,細い繊維や微少なチップ(小片)を形成すること
が困難であったり,反射する主波長(いわゆるピーク波
長を言う)をコントロールすることが困難であるという
不都合があった。
【0009】また,特開昭59−228042号公報,
特公昭60−24847号公報,特公昭63−6453
5号公報,さらに特開昭62−170510号公報等に
記載されているものでは,その構造体の諸元(形状の厚
さや長さ,構成材料の屈折率等)が曖昧であったり,効
果が不十分なため,そのままでは所望の発色構造体を得
ることが不可能であるという不都合があった。
【0010】このため,これらを解決するものとして,
本出願人は,先に特開平6−017349号公報におい
て,従来技術では得られなかった鮮やかで見る方向によ
って色味が変わり,しかも経時変化のない「反射干渉作
用を有する構造体」を提案した。
【0011】ここで,本出願人が特開平6−01734
9号公報で提案した繊維について説明する。この繊維
は,図5(a)〜(c)に示すように,断面形状におい
て紫外線や赤外線波長を反射し,かつ可視光線の波長の
反射,干渉による発色を行なう微細な凸部翼部501
と,複数個の上記凸部翼部501を接続する芯部502
とからなり,断面形状で,複数個の上記凸部翼部501
が連なっている方向を縦方向,それと直角方向を横方向
として上記芯部502の横方向の幅をWa,上記凸部翼
部501の横方向の幅をWbとした場合に, Wb≧3Wa を満足し,上記凸部翼部501の間は空気層であり,該
空気層の縦方向の厚さをda,上記凸部翼部501の縦
方向の厚さをdb,上記凸部翼部501を構成する材料
の光学屈折率をnbとした場合に, 0.02μm≦da≦0.4μm 0.02μm≦db 1.2≦nb≦1.8 を満足し,かつ,上記凸部翼部501の縦方向の厚さd
bのばらつき,すなわち,厚さdbにおける基準値から
の製造誤差の最大値が40%以下とするものである。
【0012】なお,図5(b),(c)は,それぞれ多
連構造の例を示し,図において,503は台座部,50
4は孔部を示す。
【0013】さて,このような繊維で得られる具体的な
光学特性を,図5(a)に示す構造を用いて説明する。
なお,ここでは可視光領域での発色についてのみ説明す
る。今,凸部翼部501を構成する材料の光学屈折率を
nb=1.5,凸部翼部501の縦方向の厚さをdb=
0.08μm,空気層の縦方向の厚さをda=0.12
μmとし,凸部翼部501の層数Nを変えた時の反射ス
ペクトルを,図6に示す。
【0014】図6から明らかなように,凸部翼部501
の層数Nの増加と共に反射率は増加し,層数N=10で
は完全反射率となり,波長0.48μmで極めて鮮やか
な青色を呈することがわかる。なお,色味の鮮やかさに
対応する反射率の下限値,すなわち,所望の反射ピーク
波長において,反射率0.4以上を得るためには凸部翼
部501の層数NがN=2以上必要であることもわか
る。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,このよ
うな反射,干渉作用を発現させるためには,空気層の縦
方向の厚さdaと凸部翼部501の縦方向の厚さdbを
極めて薄く,しかも基準値からの製造誤差の最大値が4
0%以下となるように繊維を製造しなければならないた
め,高精度の製造が要求され,必ずしも満足する繊維が
得られないという問題点や,安価に製造することが困難
であるという問題点があった。
【0016】ここで,基準値からの製造誤差の最大値を
40%以下にしなければならないのは,特開平6−01
7349号公報に記載してあるように,色味の鮮やかさ
に対応する反射率の下限値,すなわち,反射率0.4以
上を得ることが不可能になるからである。
【0017】この発明は上記に鑑みてなされたものであ
って,所定の反射,干渉作用を発現する条件を満たした
光学機能繊維を精度良く,かつ,安価に製造できるよう
にすることを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに,請求項1に係る光学機能繊維の製造方法は,光の
反射,干渉作用を有する光学機能繊維の製造方法におい
て,複数の平行に並んだ第1のスリット形開口およびそ
れら複数の第1のスリット形開口に直交する1本の第2
のスリット形開口を有し,かつ,前記第1のスリット形
開口のスリットの長さをW3 ,第2のスリット形開口の
スリットの幅をW2 としたとき, 3W2 ≦W3 の関係を満足する紡糸口金を用い,熱可塑性重合体を紡
糸するものである。
【0019】また,請求項2に係る光学機能繊維の製造
方法は,前記紡糸口金が,前記第1のスリット形開口の
スリットの長さをW3 ,第2のスリット形開口のスリッ
トの幅をW2 としたとき, 5W2 ≦W3 の関係を満足するものである。
【0020】また,請求項3に係る光学機能繊維の製造
方法は,前記第1のスリット形開口が,前記第2のスリ
ット形開口と直交する部分近辺のスリット幅より先端部
のスリット幅の方が大きいものである。
【0021】また,請求項4に係る光学機能繊維の製造
方法は,前記第1のスリット形開口および第2のスリッ
ト形開口が,それぞれ矩形もしくは長円形であるもので
ある。
【0022】また,請求項5に係る光学機能繊維の製造
方法は,前記紡糸口金の前記複数の平行に並んだ第1の
スリット形開口のスリット長が,それら複数の第1のス
リット形開口に直交する第2のスリット形開口の一端か
ら他端へ向かうにつれ漸増するものである。
【0023】また,請求項6に係る光学機能繊維の製造
方法は,前記紡糸口金が,前記複数の平行に並んだ第1
のスリット形開口およびそれら複数の第1のスリット形
開口に直交する1本の第2のスリット形開口を一つの単
位として,これらが複数個連続して設けられているもの
である。
【0024】また,請求項7に係る光学機能繊維の製造
方法は,前記紡糸口金の前記複数の第1のスリット形開
口が,等幅,等間隔で平行に並べられており,かつ,第
1のスリット形開口のスリットの幅をW1 ,第1のスリ
ット形開口のスリット間の間隔をdとしたとき, 0.03mm≦W1 1≦d/W1 ≦30 の関係を満足するものである。
【0025】また,請求項8に係る光学機能繊維の製造
方法は,前記紡糸口金の前記複数の第1のスリット形開
口が,等幅,等間隔で平行に並べられており,かつ,第
1のスリット形開口のスリットの幅をW1 ,第1のスリ
ット形開口のスリット間の間隔をdとしたとき, 0.1mm≦W1 2≦d/W1 ≦20 の関係を満足するものである。
【0026】また,請求項9に係る光学機能繊維の製造
方法は,前記熱可塑性重合体の紡出時の条件が,剪断速
度をγ,溶融粘度をηとしたとき, 2×102 ≦γ≦1×104 3×10≦η≦1×103 ただし,単位はそれぞれ,1/s,Pa・sを満足する
ものである。
【0027】
【作用】この発明の光学機能繊維の製造方法(請求項
1)は,複数の平行に並んだ第1のスリット形開口およ
びそれら複数の第1のスリット形開口に直交する1本の
第2のスリット形開口を有し,かつ,第1のスリット形
開口のスリットの長さをW 3 ,第2のスリット形開口の
スリットの幅をW2 としたときに,3W2 ≦W3 の関係
を満足する紡糸口金を用いて,熱可塑性重合体を紡糸す
ることにより,製造された光学機能繊維において,反
射,干渉を発現するために必要な交互積層領域が十分に
確保される。
【0028】また,この発明の光学機能繊維の製造方法
(請求項2)は,第1のスリット形開口のスリットの長
さをW3 ,第2のスリット形開口のスリットの幅をW2
としたときに,5W2 ≦W3 の関係を満足する紡糸口金
を用いて,熱可塑性重合体を紡糸することにより,製造
された光学機能繊維において,反射,干渉を発現するた
めに必要な交互積層領域が十分に確保される。
【0029】また,この発明の光学機能繊維の製造方法
(請求項3)は,第1のスリット形開口のスリット幅
を,第2のスリット形開口と直交する部分近辺より先端
部の方が大きいものとした紡糸口金を用いて,光の反
射,干渉作用を有する光学機能繊維を製造する。
【0030】また,この発明の光学機能繊維の製造方法
(請求項4)は,第1のスリット形開口および第2のス
リット形開口が,それぞれ矩形もしくは長円形である紡
糸口金を用いて,光の反射,干渉作用を有する光学機能
繊維を製造する。
【0031】また,この発明の光学機能繊維の製造方法
(請求項5)は,第1のスリット形開口のスリット長
が,第2のスリット形開口の一端から他端へ向かうにつ
れ漸増する紡糸口金を用いて,光の反射,干渉作用を有
する光学機能繊維を製造する。
【0032】また,この発明の光学機能繊維の製造方法
(請求項6)は,複数の平行に並んだ第1のスリット形
開口およびそれら複数の第1のスリット形開口に直交す
る1本の第2のスリット形開口を一つの単位として,こ
れらが複数個連続して設けられている紡糸口金を用い
て,光の反射,干渉作用を有する光学機能繊維を製造す
る。
【0033】また,この発明の光学機能繊維の製造方法
(請求項7)は,複数の第1のスリット形開口が,等
幅,等間隔で平行に並べられており,かつ,第1のスリ
ット形開口のスリットの幅をW1 ,第1のスリット形開
口のスリット間の間隔をdとしたとき,0.03mm≦
1 ,1≦d/W1 ≦30の関係を満足する紡糸口金を
用いて,熱可塑性重合体を紡糸することにより,安定し
て光学機能繊維が製造され,かつ,転写率の大きな断面
を有した光学機能繊維が精度良く製造される。
【0034】また,この発明の光学機能繊維の製造方法
(請求項8)は,複数の第1のスリット形開口が,等
幅,等間隔で平行に並べられており,かつ,第1のスリ
ット形開口のスリットの幅をW1 ,第1のスリット形開
口のスリット間の間隔をdとしたときに,0.1mm≦
1 ,2≦d/W1 ≦20の関係を満足する紡糸口金を
用いて,熱可塑性重合体を紡糸することにより,安定し
て光学機能繊維が製造され,かつ,転写率の大きな断面
を有した光学機能繊維が精度良く製造される。
【0035】また,この発明の光学機能繊維の製造方法
(請求項9)は,熱可塑性重合体の紡出時の条件が,剪
断速度をγ,溶融粘度をηとしたときに,2×102
γ≦1×104 ,3×10≦η≦1×103 (ただし,
単位はそれぞれ,1/s,Pa・s)を満足することに
より,良好な転写性を有する光学機能繊維が製造され
る。
【0036】
【実施例】以下,この発明の光学機能繊維の製造方法に
ついて,〔この発明で使用する紡糸口金〕,〔熱可塑性
重合体の紡出時の条件〕,〔実施例1〕,〔実施例
2〕,〔実施例3〕,〔実施例4〕の順で図面を参照し
て詳細に説明する。
【0037】〔この発明で使用する紡糸口金〕光の反
射,干渉作用を有する光学機能繊維を製造するため,我
々は鋭意努力した結果,複数の平行に並んだ第1のスリ
ット形開口と,それら複数の第1のスリット形開口に直
交する1本の第2のスリット形開口とを持つ紡糸口金を
用いて,溶融熱可塑性重合体を紡糸口金から紡糸するこ
とにより,光学機能繊維を製造する方法を開発した。
【0038】この光学機能繊維の製造方法に使用する紡
糸口金は,具体的には,紡糸口金に開けられた第1のス
リット形開口の複数平行に並んだスリットが等幅,等間
隔であり,第1のスリット形開口のスリット幅をW1
スリット長さをW3 とし,また,該第1のスリット形開
口に直交する1本の第2のスリット形開口のスリット幅
をW2 ,第1のスリット形開口のスリット間の間隔をd
としたとき, 3W2 ≦W3 を満足するものであり,さらには 0.03mm≦W1 1≦d/W1 ≦30 を満足するものである。
【0039】以下,図1を参照してさらに詳細に説明す
る。図1(a),(b),(c),(d),(e)は,
この発明の製造方法に用いられる紡糸口金の断面の一例
を示したものである。
【0040】同図(a)は複数の平行に並んだ第1のス
リット形開口101と,それら複数の第1のスリット形
開口101に直交する1本の第2のスリット形開口10
2を持つ紡糸口金を示し,同図(b)は複数の平行に並
んだ第1のスリット形開口101と,それら複数の第1
のスリット形開口101に直交する1本の第2のスリッ
ト形開口102よりなる開口が複数個連続して開いた紡
糸口金で,中央部にそれらを接続する接続開口103が
あるものを示す。
【0041】また,同図(c)は複数の平行に並んだ第
1のスリット形開口101のスリット幅が,直交する部
分近辺の幅より先端部の幅の方が大きいもの(テーパ
状)を示し,同図(d)は複数の平行に並んだ第1のス
リット形開口101が長円形のものを示し,同図(e)
は複数の平行に並んだ第1のスリット形開口101が一
端から他端に向かうに連れて漸増した形状のものを示し
ている。
【0042】ここで,複数の平行に並んだ第1のスリッ
ト形開口101は,矩形であっても長円形であっても構
わないのは勿論である。また,図1では,主に開口数が
6ないし7の紡糸口金断面を示しているが,図6で示し
た光学機能繊維の反射スペクトルからも明らかなよう
に,開口数が2以上であればこの発明が適用できるのは
勿論である。
【0043】なお,図1において,W1 は複数の平行に
並んだ第1のスリット形開口101のスリットの幅を示
し,W3 は第1のスリット形開口101のスリットの長
さを示し,W2 は複数の平行に並んだ第1のスリット形
開口101に直交する第2のスリット形開口102のス
リットの幅を示し,さらに,dは複数の平行に並んだ第
1のスリット形開口のスリット間の間隔をdを示すもの
である。
【0044】次に,複数の平行に並んだ第1のスリット
形開口101のスリットの長さをW 3 ,それら複数の開
口に直交する第2のスリット形開口102のスリットの
幅をW2 としたとき,(1)式を満足しなければならな
い理由について述べる。 3W2 ≦W3 ‥‥‥‥(1)
【0045】上記(1)式は,本出願人によって先に出
願された特開平6−017349号公報にも示すよう
に,得られた光学機能繊維が目的波長の反射,干渉を有
効に発現させるために必要なものである。(1)式が成
立しないということは複数の開口に直交する第2のスリ
ット形開口102のスリット幅W2 が必然的に大きくな
り,それ故,反射干渉を発現せしめる交互積層領域が十
分確保できないことを意味する。
【0046】なお,特に好ましくは,(2)式を満足す
べきである。 5W2 ≦W3 ‥‥‥‥(2)
【0047】ここで,(2)式を満足すべきとしたの
は,ポリスチレン(PS)やポリプロピレン(PP)等
の熱可塑性樹脂を,例えば,(1)式の条件で,図1
(a)に示す紡糸口金のスリット開口から吐出させて,
図5(a)で示したような断面繊維を得ようとしても,
バラス効果が大きいため,実際に得られる繊維断面の転
写率が0.6以下となり,(1)式を満足することが困
難になるためである。したがって,バラス効果を考慮し
て,さらに好ましくは上記(2)式を満足するものであ
る。
【0048】次に,次の(3)式を満足しなけらばなら
ない理由について説明する。 0.03mm≦W1 ‥‥‥‥(3) 第1には,スリット形開口を形成する材料(ステンレス
等)の厚さとスリット形開口の幅とのアスペクト比の関
係から,より狭いスリット形開口の加工が本質的に困難
となるためである。また,仮に特殊な放電加工等により
加工が可能であっても,そこから吐出される溶融ポリマ
ーの圧力(吐出圧)が大きくなるため,強度的に弱く,
破壊してしまうためである。
【0049】第2には,後述するようにスリットの幅W
1 が0.03mm以下となると,そこから吐出される溶
融ポリマーの剪断速度が極めて大きくなるため,得られ
る繊維の断面形状も大きくくずれてしまう(いわゆる,
転写率が小さくなる)ことによる。
【0050】なお,この吐出圧力が大きくならないよう
にスリット形開口の断面積を大きくする,すなわち,ス
リットの長さW3 を十分大なる方向とすると,スリット
開口内での圧力分布に不均一性が生じ,やはり適切でな
くなる。
【0051】このような観点から,スリットの幅W1
値が0.03mm以上であれば,所望の値を設定しても
良いことになる。ただし,W1 の値が余り大き過ぎると
断面積が大となり,今度は逆に吐出圧力が小となって,
後述するように適切な剪断速度を与えなくなる。また,
当然のことながら,スリットの幅W1 の値が小さい程,
加工コストも高くなる。
【0052】また,次の(4)式を満足しなければなら
ない理由を図2を参照して説明する。 1≦d/W1 ≦30‥‥‥‥(4)
【0053】図2は,複数の平行に並んだスリットとス
リットとの間隔dと,そのスリットの幅W1 との比(d
/W1 )と転写率との関係を示したものである。この比
(d/W1 )が0.5以下の場合は,隣り合うスリット
が近接し過ぎるため,そこから吐出した溶融ポリマー同
志が融着してしまい,例えば,図1(a)に示す形状の
紡糸口金を用いた場合,得られる繊維断面は楕円形状と
なり,転写率を議論するレベルにはほど遠い状態となる
(図2中の左側の領域)。
【0054】なお,この原因は使用するポリマーや紡糸
条件により多少異なるものの,基本的にはポリマーの表
面張力,バラス効果等に基づくと考えられる。
【0055】この比(d/W1 )が1以上になると,転
写率は0.6以上となり,いわゆる転写性が良好な領域
に入ってくる。
【0056】ここで,転写率とは,紡糸口金の開口部断
面形状とそこから吐出される繊維断面の断面形状との関
係を表すものであり,この値が大きいほど紡糸口金の形
状に近い(相似的)状態となる。なお,ここで,転写率
(Γ)を(得られた繊維の異形度)/(紡糸口金の異形
度)と定義するものである。
【0057】すなわち,紡糸口金の開口部の周長をL,
開口部の断面積をS,そこから吐出される繊維断面の周
長をL´,断面式をS´とすると,転写率(Γ)は次式
によって求められる。 Γ=(L´2 /S´)/(L2 /S)
【0058】一般に,繊維の反射特性等では,この転写
率(Γ)が0.6以上であれば,実用レベルと見なして
いるので,ここでも0.6を一つの目安とする。したが
って,次の(4a)式を満足しなければならない。 1≦d/W1 ‥‥‥‥(4a)
【0059】また,その比d/W1 が30以上と大きく
なってしまうと,ポリマー同志の融着は発生しないが,
先に示したようにスリット内での圧力分布の不均一と,
吐出後の冷却固化の不均一のために,湾曲したり,歪ん
だりして転写率の大きな断面は得られなくなる(図2中
の右側の領域)。したがって,次の(4b)式を満足し
なければならない。 d/W1 ≦30‥‥‥‥(4b)
【0060】すなわち,複数の平行に並んだスリットと
スリットとの間隔dと,そのスリットの幅W1 との比
(d/W1 )は,上記(4a)式および(4b)式よ
り,(4)式を満足しなければならないことになる。
【0061】なお,反射,干渉をより有効に発現させる
ため,すなわち,大きな転写率を得るため,そこから吐
出される繊維の製造安定性,紡糸口金作製の低コスト
化,さらには使用可能な熱可塑性樹脂の汎用性,紡糸条
件等を考慮すると,より好ましくは,次の(5)式およ
び(6)式を満足することである。 0.1mm≦W1 ‥‥‥‥‥(5) 2≦d/W1 ≦20‥‥‥‥(6)
【0062】〔熱可塑性重合体の紡出時の条件〕次に,
この発明の光学機能繊維の製造方法における,望ましい
熱可塑性重合体の紡出時の条件について説明する。望ま
しい熱可塑性重合体の紡出時の条件は,剪断速度をγ,
溶融粘度をηとしたとき,次に(7)式および(8)式
を満足することである。 2×102 ≦γ≦1×104 ‥‥‥‥(7) 3×10≦η≦1×103 ‥‥‥‥‥(8) (単位はそれぞれ,1/s,Pa・sである)
【0063】以下,(7)式および(8)式を満足しな
ければならない理由について説明する。図3は,一例と
して,代表的な熱可塑性重合体である3種類のポリスチ
レン(分子量の異なる3グレード:PS#1,PS#
2,PS#3)の粘度特性(流動曲線)と転写率の良否
を○,×で示したものである。なお,図中には○,×を
基に転写率の良否をハッチングで表してある。また,各
グレードにおける2本の流動曲線の違いは紡糸温度の大
小を表す。
【0064】さらに,前述したように転写率が0.6以
上であれば実用レベルと判断されるので,この値以上の
ものを転写性が大きい(良好)と見なしてプロットして
ある。
【0065】さて,図3からも明らかなように,転写性
は剪断速度γが,2×102 ≦γ≦1×104 の範囲
で,また,溶融粘度ηが,3×10≦η≦1×103
範囲で良好なことがわかる。また,他の熱可塑性重合体
のポリカーボネート(PC)についても分子量の異なる
2グレード(PC#1,PC#2)を用いて同様な実験
を行なった結果,図4に示すようにやはり上記条件内で
良好な転写性を示すことがわかった。
【0066】さらに,ポリプロピレン,ポリエチレンテ
レフタレート等の他の熱可塑性重合体についても詳細な
検討を行なった結果,同条件下で良好な転写性を示すこ
とを我々は見い出したものである。
【0067】このように,この発明で示した紡糸口金を
用いて種々の熱可塑性重合体を紡出する場合,なぜこの
条件範囲でなければ転写性が大きくならないのか,現時
点では定かではないが,概ね次のように考えることがで
きる。
【0068】まず,剪断速度γが小(2×102 ≦γ)
の場合,溶融粘度ηが小(3×10≦η)であれば,表
面張力の寄与が大きいため,吐出されるポリマーの断面
は必然的に丸くなる方向になり,転写性も小となる。ま
た,溶融粘度ηが大(η≦1×103 )となると,多少
大きな転写性が得られるようになるものの不十分であ
る。
【0069】一方,剪断速度γが大の場合(γ≦1×1
4 ),溶融粘度ηが小(3×10≦η)であれば,吐
出量が多くなって冷却固化が不十分となる。また,溶融
粘度ηが大(η≦1×103 )となると,バラス効果等
により口金孔より吐出されるポリマーの断面は変形して
大きな転写性は得られなかったり,あるいは紡出できな
くなる。
【0070】このような傾向は使用する熱可塑性重合体
の種類により多少異なるものの,ほぼ同様であることを
我々は鋭意検討の結果,見い出したものである。
【0071】なお,この発明が適用できる熱可塑性重合
体とは,ポリエチレン,ポリプロピレン等のポリオレフ
ィン類,ポリエチレンテレフタレート,ポリテトラメチ
レンテレフタレート等に代表されるポリエステル類,ポ
リスチレン,ポリカーボネート,ポリフッ化エチレン,
ポリアセタール,ポリフェニレンサルファイド等の溶融
熱可塑性重合体であり,また,2種以上の共重合体ポリ
マー,及び混合ポリマーであっても構わない。
【0072】特に,溶融粘度が大きく,熱活性化エネル
ギーの大きなポリマーであるポリカーボネート等にこの
発明を適用すると,大きな効果が得られる。
【0073】以下,この発明の実施例を示すが,これに
よりこの発明が限定されるものではない。
【0074】〔実施例1〕熱可塑性重合体としてポリス
チレン(重量平均分子量:3.1×105 )を準備し,
図1(a)に示す形状の紡糸口金(W1 =0.2mm,
2 =0.2mm,W3 =4mm,d=1.8mm,d
/W1 =9)を用いて,紡糸温度270℃,剪断速度1
×103 (1/s)の条件で高速紡糸した。その際の溶
融粘度は,約1×102 (Pa・s)である。
【0075】その後,さらに温度105℃で熱延伸を行
ない,最終的に,図5(a)に示すような断面形状の近
赤外線反射繊維を得ようとした。得られた繊維につい
て,その断面を電子顕微鏡写真に撮り,W1 ´(図5
(a)のdbに相当),d´(図5(a)のdaに相
当)の寸法比,さらにその周長及び断面積を測定して転
写率を評価した。
【0076】また,反射スペクトルを顕微分光光度計
(モデルU−6000を改良したもの:日立製作所)を
用い,入射角0°/受光角0°にて評価した。
【0077】これらの結果を表1に示すが,波長1μm
にて反射率65%の近赤外線反射繊維を得た。すなわ
ち,実施例1の光学機能繊維の製造方法によって,先に
特開平6−017349号公報で示した「反射,干渉作
用を有する繊維」の条件を満たした光学機能繊維を精度
良く製造することができた。
【0078】
【表1】
【0079】〔実施例2〕熱可塑性重合体として,真空
乾燥処理(120℃×6H)したポリカーボネート(重
量平均分子量:2.77×105 )を準備し,図1
(b)に示す形状の紡糸口金(W1 =0.1mm,W2
=0.1mm,W3 =1mm,d=1mm,d/W1
10)を用いて,紡糸温度300℃,剪断速度8×10
2 (1/s)の条件で高速紡糸した。その際の溶融粘度
は約4×102 (Pa・s)である。
【0080】その後,さらに温度170℃で熱延伸を行
ない,最終的に図5(b)に示すような断面形状の青色
発色繊維を得ようとした。得られた繊維について,その
断面を電子顕微鏡写真に撮り,W1 ´(図5のdbに相
当),d´(図5のdaに相当)の寸法比,さらにその
周長及び断面積を測定して転写率を評価した。
【0081】また,反射スペクトルを顕微分光光度計
(モデルU−6000を改良したもの:日立製作所)を
用い,入射角0°/受光角0°にて評価した。
【0082】これらの結果を表1に示すが,反射率59
%の緑色を呈する発色繊維を得た。すなわち,実施例2
の光学機能繊維の製造方法によって,先に特開平6−0
17349号公報で示した「反射,干渉作用を有する繊
維」の条件を満たした光学機能繊維を精度良く製造する
ことができた。
【0083】〔実施例3〕熱可塑性重合体として真空乾
燥処理(120℃×6H)したポリカーボネート(重量
平均分子量:2.77×105 )を準備し,図1(a)
に示す形状の紡糸口金(W1 =0.15mm,W2
0.15mm,W3 =2mm,d=1.5mm,d/W
1 =10)を用いて,紡糸温度300℃,剪断速度8×
102 (1/s)の条件で紡糸した。その際の溶融粘度
は,約4×102 (Pa・s)である。
【0084】その後,さらに温度170℃で熱延伸を行
ない,最終的に図5(a)に示すような断面形状の赤外
線反射繊維を得ようとした。得られた繊維について,そ
の断面を電子顕微鏡写真に撮り,W1 ´(図5のdbに
相当),d´(図5のdaに相当)の寸法比,さらにそ
の周長及び断面積を測定して転写率を評価した。
【0085】また,反射スペクトルを顕微分光光度計
(モデルU−6000を改良したもの:日立製作所)を
用い,入射角0°/受光角0°にて評価した。
【0086】これらの結果を表1に示すが,波長5μm
にて反射率62%の赤外線反射繊維を得た。すなわち,
実施例3の光学機能繊維の製造方法によって,先に特開
平6−017349号公報で示した「反射,干渉作用を
有する繊維」の条件を満たした光学機能繊維を精度良く
製造することができた。
【0087】〔実施例4〕熱可塑性重合体として,ポリ
プロピレンを準備し,図1(c)に示す形状の紡糸口金
(W1 =0.1mm,W2 =0.1mm,W3 =2m
m,d=2mm,d/W1 =20)を用いて,紡糸温度
255℃,剪断速度2×103 (1/s)の条件で紡糸
した。その際の溶融粘度は,約7×10(Pa・s)で
ある。
【0088】その後,さらに温度120℃で熱延伸を行
ない,最終的に図5(a)に示すような断面形状の赤外
線反射繊維を得た。得られた繊維について,その断面を
電子顕微鏡写真に撮り,W1 ´(図5のdbに相当),
d´(図5のdaに相当)の寸法比,さらにその周長及
び断面積を測定して転写率を評価した。
【0089】また,反射スペクトルを顕微分光光度計
(モデルU−6000を改良したもの:日立製作所)を
用い,入射角0°/受光角0°にて評価した。
【0090】これらの結果を表1に示すが,波長5μm
にて反射率52%の赤外線反射繊維を得た。すなわち,
実施例4の光学機能繊維の製造方法によって,先に特開
平6−017349号公報で示した「反射,干渉作用を
有する繊維」の条件を満たした光学機能繊維を精度良く
製造することができた。
【0091】なお,比較例として,以下に示す〔比較例
1〕,〔比較例2〕,〔比較例3〕のように光学機能繊
維を製造した。
【0092】〔比較例1〕熱可塑性重合体としてポリス
チレン(重量平均分子量:3.1×105 )を準備し,
実施例1と同様な図1(a)に示す形状の紡糸口金(W
1 =0.2mm,W2 =0.2mm,W3 =4mm,d
=1.8mm,d/W1 =9)を用い,紡糸温度270
℃で,また,剪断速度は実施例1よりも小さい9×10
(1/s)の条件で紡糸した。その際の溶融粘度は約5
×102 (Pa・s)である。
【0093】その後,さらに温度105℃で熱延伸を行
ない,最終的に図5(a)に示すような断面形状の近赤
外線反射繊維を得ようとした。得られた繊維について,
その断面を電子顕微鏡写真に撮り,W1 ´(図5のdb
に相当),d´(図5のdaに相当)の寸法比,さらに
その周長及び断面積を測定して転写率を評価した。
【0094】また,反射スペクトルを顕微分光光度計
(日立製作所製のモデルU−6000を改良したもの)
を用い,入射角0°/受光角0°にて評価した。
【0095】これらの結果を表1に示すが,波長1.0
μmにて反射率30%の近赤外線反射繊維を得るに留ま
った。
【0096】〔比較例2〕熱可塑性重合体として,真空
乾燥処理(120℃×6H)したポリカーボネート(重
量平均分子量:2.77×105 )を準備し,図1
(b)に示す形状の紡糸口金(W1 =0.2mm,W2
=0.2mm,W3 =0.5mm,d=0.1mm,d
/W1 =0.5)を用いて,紡糸温度300℃,剪断速
度8×102 (1/s)の条件で高速紡糸した。その際
の溶融粘度は約4×102 (Pa・s)である。
【0097】その後,さらに温度170℃で熱延伸を行
ない,最終的に図5(b)に示すような断面形状の緑色
発色繊維を得ようとした。得られた繊維について,その
断面を電子顕微鏡写真に撮り,観察したところ,繊維断
面は楕円形状となり,発色するレベルには到らなかっ
た。
【0098】〔比較例3〕熱可塑性重合体として,真空
乾燥処理(120℃×6H)したポリカーボネート(重
量平均分子量:2.77×105 )を準備し,実施例3
と同様な図1(a)に示す形状の紡糸口金(W1 =0.
3mm,W2 =0.15mm,W3 =2mm,d=0.
1mm,d/W1 =0.33)を用いて,紡糸温度31
5℃,剪断速度1×102 (1/s)の条件で紡糸し
た。その際の溶融粘度は約3×102(Pa・s)であ
る。
【0099】その後,さらに温度170℃で熱延伸を行
ない,最終的に図5(a)に示すような断面形状の赤外
線反射繊維を得ようとした。得られた繊維について,そ
の断面を電子顕微鏡写真に撮り,観察したところ,比較
例2と同様,繊維断面は楕円形状となり,赤外線を反射
するレベルには到らなかった。
【0100】前述したように実施例1〜実施例4によれ
ば,転写率の大きな,反射,干渉作用を有する光学機能
繊維を精度良く,かつ,安価に製造することができる。
【0101】さらにこのようにして得られた光学機能繊
維を細かく切断してチップ化したものを,各種塗料やコ
ーティング材に含有することにより新規な光輝材として
も使用できるというメリットも生まれる。
【0102】
【発明の効果】以上説明したように,この発明の光学機
能繊維の製造方法(請求項1)は,複数の平行に並んだ
第1のスリット形開口およびそれら複数の第1のスリッ
ト形開口に直交する1本の第2のスリット形開口を有
し,かつ,第1のスリット形開口のスリットの長さをW
3 ,第2のスリット形開口のスリットの幅をW2 とした
ときに,3W2 ≦W3 の関係を満足する紡糸口金を用い
て,熱可塑性重合体を紡糸するため,所定の反射,干渉
作用を発現する条件を満たした光学機能繊維を精度良
く,かつ,安価に製造することができる。
【0103】また,この発明の光学機能繊維の製造方法
(請求項2)は,第1のスリット形開口のスリットの長
さをW3 ,第2のスリット形開口のスリットの幅をW2
としたときに,5W2 ≦W3 の関係を満足する紡糸口金
を用いて,熱可塑性重合体を紡糸するため,所定の反
射,干渉作用を発現する条件を満たした光学機能繊維を
精度良く,かつ,安価に製造することができる。
【0104】また,この発明の光学機能繊維の製造方法
(請求項3)は,第1のスリット形開口のスリット幅
を,第2のスリット形開口と直交する部分近辺より先端
部の方が大きいものとした紡糸口金を用いて,熱可塑性
重合体を紡糸するため,紡糸口金の形状に一致する光学
機能繊維を製造することができる。
【0105】また,この発明の光学機能繊維の製造方法
(請求項4)は,第1のスリット形開口および第2のス
リット形開口が,それぞれ矩形もしくは長円形である紡
糸口金を用いて,熱可塑性重合体を紡糸するため,紡糸
口金の形状に一致する光学機能繊維を製造することがで
きる。
【0106】また,この発明の光学機能繊維の製造方法
(請求項5)は,第1のスリット形開口のスリット長
が,第2のスリット形開口の一端から他端へ向かうにつ
れ漸増する紡糸口金を用いて,熱可塑性重合体を紡糸す
るため,紡糸口金の形状に一致する光学機能繊維を製造
することができる。
【0107】また,この発明の光学機能繊維の製造方法
(請求項6)は,複数の平行に並んだ第1のスリット形
開口およびそれら複数の第1のスリット形開口に直交す
る1本の第2のスリット形開口を一つの単位として,こ
れらが複数個連続して設けられている紡糸口金を用い
て,熱可塑性重合体を紡糸するため,紡糸口金の形状に
一致する光学機能繊維を製造することができる。
【0108】また,この発明の光学機能繊維の製造方法
(請求項7)は,複数の第1のスリット形開口が,等
幅,等間隔で平行に並べられており,かつ,第1のスリ
ット形開口のスリットの幅をW1 ,第1のスリット形開
口のスリット間の間隔をdとしたとき,0.03mm≦
1 ,1≦d/W1 ≦30の関係を満足する紡糸口金を
用いて,熱可塑性重合体を紡糸するため,紡糸口金の破
損が少なくなり,安定して光学機能繊維を製造でき,か
つ,転写率の大きな断面を有した光学機能繊維を精度良
く製造することができる。
【0109】また,この発明の光学機能繊維の製造方法
(請求項8)は,複数の第1のスリット形開口が,等
幅,等間隔で平行に並べられており,かつ,第1のスリ
ット形開口のスリットの幅をW1 ,第1のスリット形開
口のスリット間の間隔をdとしたときに,0.1mm≦
1 ,2≦d/W1 ≦20の関係を満足する紡糸口金を
用いて,熱可塑性重合体を紡糸するため,紡糸口金の破
損が少なくなり,安定して光学機能繊維を製造でき,か
つ,転写率の大きな断面を有した光学機能繊維を精度良
く製造することができる。
【0110】また,この発明の光学機能繊維の製造方法
(請求項9)は,熱可塑性重合体の紡出時の条件が,剪
断速度をγ,溶融粘度をηとしたときに,2×102
γ≦1×104 ,3×10≦η≦1×103 (ただし,
単位はそれぞれ,1/s,Pa・s)を満足するため,
良好な転写性を有する光学機能繊維を製造することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の製造方法によって使用される紡糸口
金の5つの例を示す説明図である。
【図2】スリット形開口のスリットとスリットとの間隔
dとスリット幅W1 との比(d/W1 )と,得られる繊
維断面の転写率の関係を示す説明図である。
【図3】熱可塑性重合体の粘度特性と転写率との関係を
示す説明図である。
【図4】熱可塑性重合体の粘度特性と転写率との関係を
示す説明図である。
【図5】特開平6−017349号公報で示した反射,
干渉作用を有する繊維断面の3つの例を示す説明図であ
る。
【図6】図5(a)で示した繊維断面の可視光反射特性
例(スペクトル)を示す説明図である。
【符号の説明】
101 第1のスリット形開口 102 第2のスリット形開口 103 接続開口 501 凸部翼部 502 芯部 503 台座部 504 孔部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 進 東京都中央区日本橋茅場町二丁目6番6号 田中貴金属工業株式会社内 (72)発明者 先原 明男 東京都中央区日本橋茅場町二丁目6番6号 田中貴金属工業株式会社内 (72)発明者 熊沢 金也 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 田畑 洋 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光の反射,干渉作用を有する光学機能繊
    維の製造方法において,複数の平行に並んだ第1のスリ
    ット形開口およびそれら複数の第1のスリット形開口に
    直交する1本の第2のスリット形開口を有し,かつ,前
    記第1のスリット形開口のスリットの長さをW3 ,第2
    のスリット形開口のスリットの幅をW 2 としたとき, 3W2 ≦W3 の関係を満足する紡糸口金を用い,熱可塑性重合体を紡
    糸することを特徴とする光学機能繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記紡糸口金は,前記第1のスリット形
    開口のスリットの長さをW3 ,第2のスリット形開口の
    スリットの幅をW2 としたとき, 5W2 ≦W3 の関係を満足することを特徴とする請求項1記載の光学
    機能繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第1のスリット形開口は,前記第2
    のスリット形開口と直交する部分近辺のスリット幅より
    先端部のスリット幅の方が大きいことを特徴とする請求
    項1または2記載の光学機能繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第1のスリット形開口および第2の
    スリット形開口は,それぞれ矩形もしくは長円形である
    ことを特徴とする請求項1,2または3記載の光学機能
    繊維の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記紡糸口金は,前記複数の平行に並ん
    だ第1のスリット形開口のスリット長が,それら複数の
    第1のスリット形開口に直交する第2のスリット形開口
    の一端から他端へ向かうにつれ漸増することを特徴とす
    る請求項1,2,3または4記載の光学機能繊維の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 前記紡糸口金は,前記複数の平行に並ん
    だ第1のスリット形開口およびそれら複数の第1のスリ
    ット形開口に直交する1本の第2のスリット形開口を一
    つの単位として,これらが複数個連続して設けられてい
    ることを特徴とする請求項1,2,3,4または5記載
    の光学機能繊維の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記紡糸口金は,前記複数の第1のスリ
    ット形開口が,等幅,等間隔で平行に並べられており,
    かつ,第1のスリット形開口のスリットの幅をW1 ,第
    1のスリット形開口のスリット間の間隔をdとしたと
    き, 0.03mm≦W1 1≦d/W1 ≦30 の関係を満足することを特徴とする請求項1,2,3,
    4,5または6記載の光学機能繊維の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記紡糸口金は,前記複数の第1のスリ
    ット形開口が,等幅,等間隔で平行に並べられており,
    かつ,第1のスリット形開口のスリットの幅をW1 ,第
    1のスリット形開口のスリット間の間隔をdとしたと
    き, 0.1mm≦W1 2≦d/W1 ≦20 の関係を満足することを特徴とする請求項1,2,3,
    4,5,6または7記載の光学機能繊維の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記熱可塑性重合体の紡出時の条件は,
    剪断速度をγ,溶融粘度をηとしたとき, 2×102 ≦γ≦1×104 3×10≦η≦1×103 ただし,単位はそれぞれ,1/s,Pa・s を満足することを特徴とする請求項1,2,3,4,
    5,6,7または8記載の光学機能繊維の製造方法。
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