JPH0821289A - 筒内噴射式火花点火機関 - Google Patents

筒内噴射式火花点火機関

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JPH0821289A
JPH0821289A JP6155961A JP15596194A JPH0821289A JP H0821289 A JPH0821289 A JP H0821289A JP 6155961 A JP6155961 A JP 6155961A JP 15596194 A JP15596194 A JP 15596194A JP H0821289 A JPH0821289 A JP H0821289A
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fuel
air
cylinder
fuel ratio
engine
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JP6155961A
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English (en)
Inventor
Shigeki Miyashita
茂樹 宮下
Tadashi Fukuyama
正 福山
Hiroaki Nihei
裕昭 仁平
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 筒内燃料噴射弁のオープンスティック異常に
よる失火時に、機関の運転を停止することなく排気系の
異常温度上昇を防止する。 【構成】 共通のデリバリパイプ8に接続され、エンジ
ン1の各気筒に直接燃料を噴射する筒内燃料噴射弁2
と、デリバリパイプ内の燃料圧力を検出する燃料圧力セ
ンサ33と、エンジン回転数を検出するセンサ32と、
エンジン制御のための制御回路(ECU30)を設けた
構成とする。ECUはエンジン回転数の変動から失火を
が発生したことを検出するとともに、デリバリパイプへ
の燃料供給量と燃料噴射量とから燃料噴射量のオープン
スティック異常が発生したことをを検出し、オープンス
ティックによる失火時には減速時のフュエルカット、リ
ーンバーン等を禁止し、正常な気筒の排気中の酸素濃度
を減少させることにより、失火気筒からの未燃燃料が排
気系で燃焼することを防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、気筒内に直接燃料を噴
射する筒内燃料噴射弁を備えた筒内噴射式火花点火機関
に関する。
【0002】
【従来の技術】高圧の燃料が供給される共通のリザーバ
を設け、この共通のリザーバから各気筒内に直接燃料を
噴射する筒内燃料噴射弁に燃料を供給する形式の燃料系
を有する機関が公知である。例えば、この種の機関の例
としては特開昭62−645号公報に記載されたものが
ある。同公報の機関は、燃料系に共通の蓄圧室を設け、
この蓄圧室に各気筒に設けた筒内燃料噴射弁を接続した
構成とされ、蓄圧室には燃料供給ポンプから高圧の燃料
油が供給される。また、蓄圧室内の燃料油圧力は運転状
態に応じた一定値になるように燃料供給ポンプの作動が
制御され、各気筒への燃料噴射量は燃料噴射弁の開弁時
間を制御することにより調節される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような筒内噴射
式機関では、燃料噴射弁が直接気筒内に開口するため燃
料噴射弁の作動不良が生じやすくなる傾向がある。この
作動不良の態様としては、例えば燃焼により発生するカ
ーボン等の異物の噛み込みや作動部の固着などにより燃
料噴射弁が完全に閉弁しなくなり、常時開弁状態になる
いわゆるオープンスティックや、逆に燃料噴射弁作動部
が固着して燃料噴射弁が常時閉弁状態になるいわゆるク
ローズスティック等がある。しかし、上記特開昭62−
645号公報の筒内噴射式機関のように、高圧燃料を共
通のリザーバから各噴射弁に供給するような場合には、
特に燃料噴射弁のオープンスティックが問題となる。
【0004】すなわち、各気筒の燃料噴射量は筒内燃料
噴射弁の開弁時間を調節することにより制御されてい
る。一方、共通のリザーバ内には常に高圧の燃料が供給
されているため、燃料噴射弁のオープンスティックが生
じると開弁状態でスティックした燃料噴射弁からは常時
燃料が噴射されることになり、気筒内には多量の燃料が
供給されることになる。
【0005】特に、ガソリンエンジン等の筒内噴射式火
花点火機関では上記のように燃料噴射弁のオープンステ
ィックが生じると、気筒内に多量の燃料が供給されるこ
とにより混合気の空燃比が大幅にリッチになり可燃空燃
比範囲から外れるため、燃料噴射弁が異常を生じた気筒
では失火が生じ、このため、異常を生じた気筒からは多
量の未燃燃料が排気系に排出されることになる。
【0006】一方、上記異常を生じた気筒以外の気筒で
は燃料噴射弁が正常に作動して燃焼が行われている。特
に、ガソリンエンジンでは筒内燃料噴射は、低負荷時に
気筒内に噴射した燃料を成層化して希薄燃焼を行うリー
ンバーンエンジンに使用されることが多く、これらの場
合には正常な気筒からの排気ガスには極めて多量の酸素
が含まれている。このため、異常を生じた気筒から排出
された未燃燃料がこれらの正常な気筒から排出された高
温かつ多量の酸素を含む排気ガスと接触し、排気通路内
で燃焼したり、あるいは排気通路に配置された排気浄化
触媒に到達して燃焼したりする場合が生じる。排気系で
の未燃燃料の燃焼が生じると排気系の温度が異常に上昇
するため、極端な場合には排気管や触媒の溶損を生じる
等の問題がある。
【0007】また、上記燃料噴射弁のオープンスティッ
クが生じた場合には、オープンスティックが生じた燃料
噴射弁への燃料供給圧を下げて、燃料噴射を低減または
停止すれば上記のような問題は生じないのであるが、前
述のように各燃料噴射弁が共通のリザーバに接続されて
いる機関では、オープンスティックを生じた燃料噴射弁
のみへの燃料供給を停止することはできない。このた
め、一部の気筒で燃料噴射弁のオープンスティックが生
じた場合でも排気系の異常温度上昇を防止するために機
関全体を停止させる必要が生じ、車両用機関にあっては
車両の走行ができず、修理等のための退避走行すらでき
なくなる問題がある。
【0008】本発明は上記問題に鑑み、筒内燃料噴射弁
にオープンスティック異常が生じた場合でも、機関を停
止することなく排気系の異常温度上昇を防止することが
可能な筒内噴射式火花点火機関を提供することを目的と
している。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
よれば、加圧燃料が供給されるリザーバと、各気筒毎に
設けられ前記リザーバ内の燃料を気筒内に直接噴射する
燃料噴射弁と、各気筒からの排気ガスが流入する排気通
路とを備えた筒内噴射式火花点火機関において、前記燃
料噴射弁に常時開弁状態の異常が発生したことを検出す
るオープンスティック検出手段と、機関に失火が発生し
たことを検出する失火検出手段と、前記燃料噴射弁に常
時開弁状態の異常が発生し、かつ機関に失火が発生した
ときに、機関の運転状態を変更することにより前記排気
通路内の排気ガスの酸素濃度を低減する酸素濃度抑制手
段とを備えた筒内噴射式火花点火機関が提供される。
【0010】また、請求項2に記載の発明によれば、請
求項1に記載の筒内噴射式火花点火機関において、更に
前記リザーバに供給される燃料流量を検出する手段と、
機関吸入空気量を検出する手段と、前記燃料噴射弁の常
時開弁状態の異常が発生したときに、前記燃料流量と前
記機関吸入空気量とに基づいて、燃料噴射弁の異常が発
生した気筒内の混合気空燃比を検出する空燃比検出手段
とを備えた筒内噴射式火花点火機関が提供される。
【0011】更に、請求項3に記載の発明によれば、請
求項2に記載の筒内噴射式火花点火機関において、更に
前記リザーバ内の燃料圧力を制御する燃料圧力調整手段
と、前記空燃比検出手段の検出した空燃比に基づいて該
燃料圧力調整手段を制御して前記燃料噴射弁の異常が生
じた気筒内の混合気空燃比を可燃空燃比範囲に保持する
空燃比制御手段とを備えた筒内噴射式火花点火機関が提
供される。
【0012】また、請求項4に記載の発明によれば、請
求項2に記載の筒内噴射式火花点火機関において、更に
機関吸入空気量を制御する吸気調整手段と、前記空燃比
検出手段の検出した空燃比に基づいて該吸気調整手段を
制御して前記燃料噴射弁の異常が生じた気筒内の混合気
空燃比を可燃空燃比範囲に保持する空燃比制御手段とを
備えた筒内噴射式火花点火機関が提供される。
【0013】更に、請求項5に記載の発明によれば、請
求項2に記載の筒内噴射式火花点火機関において、更に
機関回転数を制御する回転数調整手段と、前記空燃比検
出手段の検出した空燃比に基づいて前記回転数調整手段
を制御して前記燃料噴射弁の異常が生じた気筒内の混合
気空燃比を可燃空燃比範囲に保持する空燃比制御手段と
を備えた筒内噴射式火花点火機関が提供される。
【0014】
【作用】各請求項に記載の発明では、オープンスティッ
ク検出手段により燃料噴射弁のオープンスティック状態
が検出され、かつ機関に失火が生じたことが検出された
とき、酸素濃度抑制手段は機関の運転条件を変更するこ
とにより、排気通路内の酸素濃度を低減する。すなわ
ち、酸素濃度抑制手段は減速時のフュエルカット、リー
ンバーン運転の禁止、機関への排気ガス再循環(EG
R)の禁止、さらには排気系に設けた空燃比センサ出力
による理論空燃比への空燃比フィードバック制御を禁止
すること等により、正常な気筒からの排気ガス中の酸素
濃度を低減する。これにより、正常気筒からの排気ガス
中の酸素濃度が低下して排気系内には燃焼を維持するだ
けの酸素が存在しなくなるため、燃料噴射弁がオープン
スティックを生じた気筒から排出された未燃燃料は排気
系内で燃焼することがなくなる。
【0015】また、請求項2に記載の発明では、空燃比
検出手段はリザーバに流入する燃料流量と正常な燃料噴
射弁からの燃料噴射量との差からオープンスティックを
生じた燃料噴射弁から気筒内に噴射される燃料量を演算
し、さらに機関吸入空気量からこの気筒内吸入される空
気量を演算し、これらの燃料量と空気量との比としてオ
ープンスティックを生じた気筒内の混合気の空燃比を求
める。これにより、請求項1の作用に加え、オープンス
ティックを生じた気筒内の混合気空燃比が検出される。
【0016】更に、請求項3に記載の発明では、燃料圧
力調整手段はリザーバ内の燃料圧力を制御することによ
り,オープンスティックを生じた気筒の空燃比を制御す
る。オープンスティックを生じた燃料噴射弁から噴射さ
れる燃料の量は燃料圧力に応じて変化するため、オープ
ンスティックを生じた気筒内の混合気空燃比はリザーバ
内の燃料圧力を変化させることにより調節可能となる。
また、空燃比制御手段は前記空燃比検出手段により検出
された空燃比が可燃空燃比の範囲内になるように上記燃
料圧力調整手段を制御する。これにより、請求項2の作
用に加えて、オープンスティックを生じた気筒内の混合
気の空燃比が可燃空燃比範囲に保持される。
【0017】また、請求項4に記載の発明では、例えば
運転者のアクセル操作と独立して作動するサブスロット
ル弁や電子制御スロットル弁等の吸気調整手段により、
機関吸入空気量が制御されるため、オープンスティック
を生じた気筒に流入する空気量を変化させて、この気筒
内の混合気の空燃比を調節することが可能となる。ま
た、空燃比制御手段は前記空燃比検出手段により検出さ
れた空燃比が可燃空燃比の範囲内になるように上記吸気
調整手段を制御する。これにより、請求項2の作用に加
えて、オープンスティックを生じた気筒内の混合気空燃
比は可燃空燃比範囲に保持される。
【0018】また、請求項5に記載の発明では、回転数
調整手段は機関回転数を制御する。機関回転数が変化す
ると同一出力を維持するためにエンジン吸入空気量が機
関回転数に応じて変更され、各気筒に流入する空気量は
変化する。また、エンジン1回転当たりの時間が変化す
るのでオープンスティック発生気筒で1サイクル当たり
に噴射される燃料量も変化する。従って、機関回転数を
変化させることによりオープンスティックを生じた気筒
内の混合気空燃比を制御することが可能となる。また、
空燃比制御手段は前記空燃比検出手段により検出された
空燃比が可燃空燃比の範囲内になるように上記回転数調
整手段を制御する。これにより、請求項2の作用に加え
て、オープンスティックを生じた気筒内の混合気空燃比
は可燃空燃比範囲に保持される。
【0019】
【実施例】以下、添付図面を用いて本発明の実施例を説
明する。図1は、本発明を適用する筒内噴射式火花点火
機関の全体構成を示す概略図である。図1において、1
はエンジン本体、2はエンジン1の各気筒に設けられ、
気筒内に直接燃料を噴射する筒内燃料噴射弁、8は各筒
内燃料噴射弁2が接続された共通の燃料リザーバとして
機能するデリバリパイプである。デリバリパイプ8に
は、後述する高圧燃料ポンプ7から高圧の燃料が供給さ
れ、後述のエンジン制御回路(ECU)30により、デ
リバリパイプ8内の圧力は運転状態に応じた所定の値
(例えば5〜10MPa程度の圧力)になるように制御
されている。
【0020】本実施例の機関は車両用として用いられ、
トルクコンバータ付きの自動変速機21が備えられてい
る。通常運転時には、自動変速機21のギヤシフトは運
転者のアクセルペダル(図示せず)の踏み込み量と走行
速度とに応じてECU30により制御されている。ま
た、図1に25で示すのはエンジン1の吸気通路、31
は吸気通路入口に設けられ、エンジン吸入空気量に応じ
た電圧信号を出力するエアフローメータ、27はスロッ
トル弁である。本実施例では、スロットル弁27はステ
ップモータ等の独立したアクチュエータ27aを備え
た、いわゆる電子制御スロットルとして構成されてい
る。すなわち、本実施例では、アクチュエータ27aは
ECU30からの開度信号に応じてスロットル弁27を
駆動し、駆動信号に応じた開度に保持するようになって
いる。また、通常運転時には、ECU30は運転者のア
クセルペダルの踏み込み量に一対一に対応する開度にス
ロットル弁27の開度を制御するが、後述のように筒内
燃料噴射弁2の異常が発生したような場合には、ECU
30は運転者のアクセルペダル操作とは独立してスロッ
トル弁27開度を制御可能となっている。
【0021】ECU30は、本実施例ではROM(リー
ドオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモ
リ)、CPU(マイクロプロセッサ)及び入出力ポート
を双方向性バスで接続した公知の構成のディジタルコン
ピュータからなり、燃料噴射制御、点火時期制御などの
基本制御を行う他、本実施例では筒内燃料噴射弁のオー
プンスティック、エンジン失火の有無の判定および、失
火時の排気系内の酸素濃度低減、オープンスティック時
のエンジンの空燃比制御等の各制御を行う。
【0022】これらの制御のため、ECU30の入力ポ
ートには、エアフローメータ31からの吸入空気量信
号、エンジン1のクランク軸に設けられた回転数センサ
32からのエンジン回転数に比例したパルス信号、デリ
バリパイプ8に設けられた燃料圧力センサ33からの燃
料圧力信号がそれぞれ入力されている他、図示しないセ
ンサから車両走行速度、運転者のアクセルペダルの踏み
込み量などの信号が入力されている。
【0023】また、ECU30の出力ポートは、図示し
ない駆動回路を介してそれぞれの筒内燃料噴射弁2に接
続され、筒内燃料噴射弁2の開弁時間を機関負荷に応じ
て制御して各気筒への燃料噴射量を調節している他、燃
料ポンプ7の後述する吸入弁のソレノイドアクチュエー
タ73a、73bに接続され、吸入弁の閉弁時期を制御
することにより燃料ポンプ7の吐出量を制御している。
また、ECU30の出力ポートは、自動変速機21の制
御油圧切換弁(図示せず)に接続され、自動変速機21
のシフト動作を制御している。
【0024】次に、本実施例の燃料系統について説明す
る、図1において11は車両の燃料タンクである。タン
ク11内の燃料は、フィードポンプ13により昇圧さ
れ、リターン配管12aを有するプレッシャレギュレー
タ12により一定の圧力に調節され、低圧配管18を介
して前述の高圧燃料ポンプ7に供給される。高圧燃料ポ
ンプ7はプランジャポンプとして構成されている。本実
施例では、図1に示すように高圧燃料ポンプ7は、ハウ
ジングブロック70内に設けられた2つのシリンダ71
a、71bと、それぞれのシリンダ内を往復動作して燃
料油をデリバリパイプ8に圧送するプランジャ72a、
72bを備えている。各プランジャ72a、72bは、
エンジン1のクランク軸から歯付ベルト75を介して駆
動される駆動軸76により往復駆動される。すなわち、
駆動軸76にはプランジャ72a、72bを押圧するカ
ム77a、77bが形成されており、駆動軸76が回転
するとエンジン1の回転に同期してプランジャ72a、
72bが往復動作する。
【0025】ポンプ7の各シリンダ71a、71bには
ソレノイドアクチュエータ73a、73bにより開閉駆
動される吸入弁74a、74bが設けられている。ま
た、各シリンダ71a、71bは逆止弁78a、78b
を介して高圧配管4により筒内燃料噴射弁2のデリバリ
パイプ8に接続されている。吸入弁74a、74bの開
弁中、プランジャ72a、72b下降中は低圧配管18
から吸入弁を介してシリンダ71a、71b内に燃料が
流入する。また、プランジャが上昇を開始するとシリン
ダ内の燃料油は開弁中の吸気弁から低圧配管18中に逆
流する。
【0026】次いで、プランジャの上昇中に吸入弁が閉
弁するとシリンダ内の燃料油は圧縮され、圧力が上昇
し、シリンダ内圧が高圧配管4内の圧力より高くなると
逆止弁78a、78bが開弁してシリンダ内の燃料油は
高圧配管4を経てデリバリパイプ8に圧送される。従っ
て燃料ポンプ7からデリバリパイプ8への燃料供給量
は、各プランジャ72a、72b上昇行程における吸入
弁74a、74bの閉弁タイミングを変えることにより
調節可能となっている。
【0027】本実施例では、通常運転時にはECU30
はソレノイドアクチュエータ73a、73bの閉弁時期
を変更することにより、デリバリパイプ8内の圧力FP
が機関運転条件により定まる目標圧力FP0 になるよう
に燃料ポンプ7の流量を制御している。本実施例では燃
料ポンプ7の吐出量FQは以下の式で設定される。
【0028】FQ=FQFWD +FQFB ここで、FQFWD はフィードフォワード項であり、エア
フローメータ31により検出した吸入空気量Qに比例す
る値(FQ=K1×Q、ここでK1は一定の係数)であ
る。また、FQFBはフィードバック項であり、燃料油の
目標圧力FP0と実際の燃料油圧力FPとの偏差(FP
0 ─FP)に基づくPID(比例、積分、微分)制御に
より決定される。ここで、燃料油の目標圧力FP0 は機
関負荷条件(例えば、機関吸入空気量Qと機関回転数
N)とにより決定され、予めQ、Nを用いた数値テーブ
ルの形でECU30のROMに格納されている。
【0029】すなわち、本実施例ではECU30は、一
定時間毎に実行する図示しないルーチンで、機関吸入空
気量Qと機関回転数Nとを読み込んで、吸入空気量Qに
係数K1を乗じてフィードフォワード項FQFWD を計算
するともに、吸入空気量Qと回転数Nとを用いて目標燃
料圧力FP0 を数値テーブルから読み出し、実際の燃料
圧力との偏差(FP0 ─FP)に基づいてフィードバッ
ク項FQFBを計算し、これらの和としてポンプ吐出流量
FQを設定する。また、ECU30は上記により求めた
流量FQと機関回転数Nとからポンプ一回転当たりのポ
ンプ吐出量を求め、この吐出量を得る閉弁タイミングで
吸入弁74a、74bのアクチュエータ73a、73b
を駆動する。
【0030】上述の制御により、機関負荷が急に増大し
て燃料噴射弁2からの燃料噴射量が急増した場合でも燃
料ポンプ7吐出量はフィードフォワード項FQFWD によ
り負荷変動に追従して増大し、デリバリパイプ8の燃料
圧力が低下することが防止される。また、フィードバッ
ク項FQFBにより、負荷条件の微小な変動による燃料圧
力の変動や製品毎のばらつきや各要素の経年変化などに
より生じる燃料圧力と目標値との恒常的偏差が補正され
る。さらに、いずれかの燃料噴射弁2がオープンスティ
ックを生じて、この燃料噴射弁からの燃料噴射量が増大
した場合でも、フィードバック項FQFBが増大し、燃料
ポンプ7の吐出量FQが増大するためデリバリパイプ8
内の燃料圧力は目標圧力FP0 に維持される。
【0031】次に、本実施例における燃料噴射弁の異常
発生時制御について説明する。前述のように、燃料噴射
弁2はシリンダ内に開口するため異物噛み込みなどによ
り常時開弁状態になるオープンスティック異常が生じや
すい。ところが、オープンスティックが生じると、燃料
噴射弁からは常時燃料が噴射されるため異常を生じた気
筒では空燃比が極端に低下して(過濃となり)可燃範囲
外となり、失火を生じる。このため、この気筒からは多
量の未燃燃料が排気系に排出され、排気系、特に排気浄
化触媒の異常温度上昇を生じることになる。
【0032】本実施例では、上記の燃料噴射弁オープン
スティックによる失火を検出すると、後述するようにフ
ュエルカットやリーンバーン運転の禁止等、運転条件を
変更することにより排気系に排出される排気ガス中の酸
素濃度を低減して排気通路や触媒で未燃燃料が燃焼する
ことを防止するとともに、燃料圧力や吸入空気量の調整
により空燃比を可燃空燃比範囲に制御して、異常を生じ
たシリンダ内での燃焼を維持するようにする。
【0033】以下、図2から図4を用いて、上記オープ
ンスティック異常時の制御を具体的に説明する。図2は
エンジン失火及び燃料噴射弁のオープンスティック異常
検出時の制御動作を示すフローチャートである。本ルー
チンは前述のECU30により一定時間毎に実行され
る。
【0034】本ルーチンでは、ECU30はエンジンに
失火が発生したか否かを判定し、失火が発生した場合に
は燃料ポンプ7の吐出量設定値FQの値からその失火が
燃料噴射弁のオープンスティックによるものか否かを判
定し、オープンスティックが生じている場合にはオープ
ンスティックフラグFOSの値を1にセットする。ま
た、失火がオープンスティックによるものでない場合、
すなわち点火系異常等や燃料噴射弁クローズスティック
による失火の場合にはさらに、失火を生じた気筒を判別
してその気筒の燃料噴射を停止する。オープンスティッ
ク以外の原因による失火時に失火気筒の燃料噴射を停止
するのは、未燃燃料の排気系への排出を防止するためで
ある。また、燃料噴射弁のクローズスティック時にも燃
料噴射を停止するのは、異物の噛み込みなどによって噴
射口の詰まりを生じ、燃料噴射弁からの噴射率(単位時
間当たりの燃料噴射量)が極端に低下した場合もクロー
ズスティックと判定される場合があり、このような場合
にも燃料噴射を完全に停止して未燃燃料の排気系への排
出を完全に防止する必要があるためである。
【0035】図2においてルーチンがスタートすると、
ステップ201では現在エンジンに失火が生じているか
否かが失火フラグFMISの値から判定される。FMI
SはECU30により別途一定時間毎に実行される図示
しない失火検出ルーチンにより設定されるフラグであ
り、フラグFMISの値は失火が生じている場合には1
に、失火が生じていない場合には0にそれぞれ設定され
る。
【0036】本実施例では、失火の有無は回転数センサ
32により検出されたエンジン回転数の変動に基づいて
判定される。すなわち、失火が生じた気筒では爆発行程
時にトルクが発生しないため、失火気筒の爆発行程中は
他の気筒の爆発行程中に較べてエンジン回転数が低下す
る。ECU30は各気筒の爆発行程中のエンジン回転数
を監視し、いずれかの気筒の回転数が他の気筒の爆発行
程中のエンジン回転数より所定の比率以下に低下した場
合にエンジンが失火を生じたと判定して、フラグFMI
Sの値を1にセットする。
【0037】ステップ201では、このフラグFMIS
の値が1にセットされている場合にエンジンに失火が発
生したと判断してステップ203以下を実行する。ステ
ップ203では、前述の燃料ポンプ7の吐出量設定値F
Qの値から、燃料噴射弁に異常が生じたための失火か否
かを判定する。前述のように、ポンプ吐出量FQはデリ
バリパイプ8内の燃料圧力FPを目標値FP0 に維持す
る量に設定される。このため、燃料圧力制御が行われて
いる状態では、全部の燃料噴射弁2からの燃料噴射量の
合計はFQに等しくなる。また、燃料噴射量はECU3
0により設定される燃料噴射弁の開弁時間に対応する値
となる。従って、燃料噴射弁が正常であれば、燃料噴射
弁の開弁時間から計算される燃料噴射量の合計とポンプ
吐出量FQとは等しくなる筈である。
【0038】ステップ203では、上記燃料噴射弁開弁
時間から計算される燃料噴射量合計とポンプ吐出量FQ
との間に差がある場合には燃料噴射弁に異常が生じたと
判定し、ステップ205に進み、燃料噴射弁の異常がオ
ープンスティックによるものか否かを判定する。燃料噴
射弁にオープンスティック異常が生じると、異常が生じ
た燃料噴射弁ではECU30の設定した開弁時間にかか
わらず常時燃料噴射弁が開弁状態になるため、ポンプ吐
出量FQはデリバリパイプ8内の燃料圧力を維持するた
めに増大し、FQは燃料噴射弁開弁時間から計算される
燃料噴射量合計より大きくなる。ステップ205では、
上記を利用してポンプ吐出量FQが燃料噴射量開弁時間
から計算される燃料噴射量より大きい場合には燃料噴射
弁のいずれかにオープンスティック異常が生じたと判断
し、ステップ207でオープンスティックフラグFOS
を1にセットする。オープンスティックフラグFOSの
値は一旦ステップ207で1にセットされるとエンジン
運転中は1にセットされたままになる。また、ECU3
0にバッテリに直接接続したスタンバイRAMを設け、
保守、点検用にメインスイッチオフ後もオープンスティ
ックフラグFOSの値を保持するようにしてもよい。
【0039】次いで、ステップ209ではオープンステ
ィック失火時の対策として排気系の酸素濃度抑制操作が
行われる。本実施例では、オープンスティックによる失
火が発生した気筒から排出された多量の未燃燃料が排気
系や触媒で燃焼することによる排気系の異常温度上昇を
防止するために、エンジンの運転条件を変更して以下の
酸素濃度抑制操作を行う。
【0040】エンジン減速運転時のフュエルカット操
作を禁止する。 エンジンのリーンバーン運転を禁止する。 吸気系への排気再循環(EGR)を禁止する。 エンジン空燃比を、排気系に設けたO2 センサ出力に
基づいて理論空燃比に制御する空燃比フィードバック制
御を禁止する。
【0041】フュエルカットを禁止(上記)するの
は、減速時にフュエルカットを実行すると、正常な気筒
への燃料噴射が停止され、これらの気筒に吸入された吸
気中の酸素が燃焼により消費されないまま排気系に排出
され、排気系内の酸素濃度が増大するおそれがあるため
である。また、リーンバーン運転を禁止(上記)する
のは、筒内燃料噴射は噴射燃料を点火プラグ周りに成層
化して低負荷運転時等に全体として希薄な混合気の燃焼
(リーンバーン)を可能とするために用いられる場合が
多いが、リーンバーン運転を行うと正常な気筒からの排
気中の酸素濃度が増大し、上記と同様な問題が生じるか
らである。
【0042】さらに、EGRを禁止(上記)するの
は、オープンスティック気筒がリーン失火を生じた場合
において吸気系に酸素を多く含む排気ガスが再循環され
ることになり、その結果排気中の酸素濃度が増大するた
めである。また、空燃比フィードバック制御を禁止(上
記)するのは、オープンスティック失火を生じた気筒
が間欠的にリッチ空燃比で燃焼したような場合には、こ
の気筒から排出される排気により、全体としてエンジン
排気がリッチになるため、O2 センサ出力に基づいてエ
ンジンを理論空燃比にフィードバック制御していると正
常な気筒への燃料噴射量がリーン空燃比側に誤補正され
てしまい、その結果排気中の酸素濃度が増大するおそれ
があるためである。
【0043】一方、ステップ205でポンプ吐出量FQ
が燃料噴射弁開弁時間から計算される燃料噴射量より小
さい場合には、すなわち、燃料噴射弁のいずれかがクロ
ーズスティックを生じているか、或いは異物の噛み込み
などによる噴射口の詰まりが生じ、噴射率が低下してい
ることを意味する。従って、ステップ205でオープン
スティックが生じていない場合及び、ステップ203で
燃料噴射弁異常以外の原因で失火が生じている場合に
は、ステップ211に進み、エンジン回転数変動が生じ
ている気筒を失火気筒と判定し、ステップ213でこの
気筒の燃料噴射弁への開弁信号を停止して失火気筒への
燃料噴射を停止する。これにより、失火気筒から排気系
への未燃燃料の排出が防止される。
【0044】次に、上記によりオープンスティックが生
じていると判定された場合の制御動作について説明す
る。本実施例では、図2のルーチンにより燃料噴射弁の
いずれかにオープンスティックが発生したと判定された
場合には、ECU30は先ず異常気筒(燃料噴射弁がオ
ープンスティックを生じた気筒)の現在の空燃比を推定
し、この空燃比が可燃範囲内であるか否かを判定し、そ
の判定結果に応じて以下の操作を行う。
【0045】すなわち、異常気筒の空燃比が可燃空燃比
範囲を外れている場合には以下の順に空燃比制御操作を
行い、異常気筒の空燃比が可燃範囲に入るように調整す
る。 先ずデリバリパイプ8内の燃料圧力を低下させて、オ
ープンスティックを生じた燃料噴射弁からの燃料噴射量
を低減する。また、この際、正常気筒への燃料噴射量が
低下してリーン空燃比になることを防止するため、正常
気筒の燃料噴射弁の開弁時間を燃料圧力低下に応じて増
大し、正常気筒への燃料噴射量を維持する。
【0046】燃料圧力が限界値まで変更されており、
燃料圧力変更によっては異常気筒の空燃比を可燃範囲に
調整することができない場合には、自動変速機のシフト
操作によりエンジン回転数を変化させる。これにより、
エンジンの負荷が変化して気筒に吸入される空気量が変
化する、また、オープンスティック気筒においては1サ
イクル当たりに気筒に供給される燃料量が回転数により
変化するため異常気筒の空燃比を調整することができ
る。
【0047】燃料圧力が限界まで変更されており、か
つ自動変速機のシフトによっては異常気筒の空燃比を可
燃範囲に調整することができない場合には、エンジン吸
入空気量を直接制御することにより異常気筒の空燃比制
御を行う。この空燃比制御は、例えば運転者のアクセル
操作とは独立してスロットル弁を操作すること、或いは
アイドル回転数制御を行うためにスロットル弁をバイパ
スしてエンジンに吸入空気を供給するアイドルスピード
制御弁(ISC弁)を操作することにより行う。また、
可変バルブタイミング機構を備えたエンジンでは吸気弁
のバルブタイミングやバルブリフト量を変更することに
より吸入空気量を調整するようにしてもよい。
【0048】さらに、エンジン吸入空気量を増大させた
場合には、エンジン出力がそれに応じて増加するため点
火時期の遅角などにより出力を抑制する操作を同時に行
う。また、可能であれば一部の気筒の吸気弁を閉弁保持
することによる部分気筒運転や排気ブレーキを作動させ
ることによりエンジン出力を抑制するようにしてもよ
い。 上述のように、燃料圧力調整、シフト操作、
吸入空気量調整の順に空燃比制御操作を行うのは、シ
フト操作による空燃比調整は回転数変化による騒音増大
等をともなうこと、また吸入空気量調整は点火時期の遅
角による排気温度上昇や燃費の悪化等を伴うことから、
デメリットの大きさに応じて実施頻度を少なくするため
である。
【0049】一方、異常気筒の空燃比が可燃範囲にある
と判定された場合には、上記空燃比制御を解除、或いは
通常の運転状態に近づけることができるか否かを判断
し、可能であれば吸入空気量調整、シフト操作の順
に通常の運転状態に近づける操作を行う。、の順に
空燃比制御を解除するのは上記と同様デメリットの大き
い制御の実施頻度をできるだけ少なくするためである。
【0050】次に上記オープンスティック時の空燃比制
御動作を図3、図4を用いて具体的に説明する。図3、
図4はECU30により一定時間毎に実行される制御ル
ーチンのフローチャートである。図3においてルーチン
がスタートすると、ステップ301では、前述のオープ
ンスティックフラグFOSの値からいずれかの燃料噴射
弁にオープンスティックが生じているか否かが判定さ
れ、オープンスティックが生じている場合にはステップ
303、305で、異常気筒の空燃比および正常気筒の
空燃比が可燃範囲内か否かを判定する。
【0051】図5は図3のステップ303で実行される
空燃比判定サブルーチンの詳細を示している。本サブル
ーチンでは、まずステップ501でデリバリパイプ8の
燃料圧力FP、エンジン回転数N、吸入空気量Qをそれ
ぞれ対応するセンサから、また燃料ポンプ7の吐出量設
定値QをECU30のRAMから読み込み、さらにステ
ップ503で燃料噴射弁の開弁時間の設定値から正常な
燃料噴射弁からの燃料噴射量を計算する。ついで、ステ
ップ505では上記Q、Nから1気筒にエンジン1回転
あたり吸入される吸入空気量を計算し、この吸入空気量
とステップ503で計算した燃料噴射量とから正常気筒
の空燃比を計算する。ステップ507では、上記により
計算された正常気筒の空燃比が可燃範囲(例えば8から
20程度の空燃比範囲)にあるか否かが判定され、正常
気筒の空燃比が可燃範囲外の場合にはステップ509以
下を実行することなくステップ517に進み、現状の空
燃比が可燃範囲外である旨判定する。
【0052】一方、ステップ507で正常気筒の空燃比
が可燃範囲内であった場合には、次にステップ509か
ら513でオープンスティック異常を生じた気筒の空燃
比が可燃範囲内か否かについて判定する。すなわち、ス
テップ509ではオープンスティック異常を生じた燃料
噴射弁からの燃料噴射量を演算する。この燃料噴射量
は、ステップ501で読み込んだ燃料ポンプ7の吐出量
FQ(すなわち、エンジン全体としての燃料噴射量合
計)から正常気筒における燃料噴射量の合計を差し引く
ことにより求められる。
【0053】また、ステップ511では上記により求め
たオープンスティック燃料噴射弁の噴射量と機関吸入空
気量Qとから異常気筒の空燃比が計算され、ステップ5
13ではこの異常気筒の空燃比が可燃範囲内か否かが判
定される。ステップ513で異常気筒の空燃比が可燃空
燃比範囲外であった場合には、ステップ517で現状の
空燃比が可燃範囲外である旨の判定がなされ、ステップ
513で異常気筒の空燃比が可燃範囲内にある場合には
ステップ515で現状の空燃比が可燃範囲内にあると判
断される。すなわち、本サブルーチンでは、正常気筒、
異常気筒の空燃比がともに可燃範囲内である場合のみ現
状の空燃比が可燃範囲内にあると判断される。
【0054】図3、ステップ305では上記の判定結果
に基づいて、現状の空燃比が可燃範囲外である場合には
ステップ307以下の空燃比調整操作を実行して異常気
筒の空燃比を可燃範囲に補正し、逆に現状の空燃比が可
燃範囲内にある場合には図4ステップ329以下を実行
して、現在実行中の空燃比制御による運転条件の変更の
程度を軽減することが可能か否かを判定する。
【0055】以下、ステップ307からステップ327
の現状の空燃比が可燃範囲外である場合の操作について
説明する。ステップ307とステップ309では、燃料
圧力FPの調整による空燃比制御が可能か否かが判定さ
れる。図6は、図3のステップ307で実行される燃料
圧力FPの変更可否判定のサブルーチンを示す。本サブ
ルーチンでは図5のサブルーチンで計算したオープンス
ティック燃料噴射弁の燃料噴射量から計算した噴射率に
基づいて、異常気筒の空燃比を可燃範囲に維持するため
の燃料圧力を求め、次いでこの燃料圧力が気筒内で燃焼
を維持できる燃料圧力範囲内にあるか否かを判定する。
【0056】吸入空気量Qから異常気筒の空燃比を可燃
範囲に維持するために供給すべき燃料量の範囲を決定す
ることができ、この燃料量とエンジン回転数とからこの
ために必要とされるオープンスティック燃料噴射弁の噴
射率、すなわち単位時間当たりの燃料噴射量を計算する
ことができる。また、燃料噴射弁の噴射率は燃料圧力に
略比例して変化するため、オープンスティック燃料噴射
弁の或る燃料圧力における噴射率が判れば、所要の噴射
率を得るための燃料圧力を計算することができる。
【0057】また、燃料圧力が低すぎると燃料噴射弁か
ら噴射される燃料の流速が低下して燃料の微粒化が不十
分になるため、燃焼を維持するためには燃料圧力をある
最小値PMIN 以上に維持する必要がある。さらに、弁体
が燃料油圧力に抗して開弁する形式の燃料噴射弁では、
燃料圧力が或る一定値より大きくなると、弁体の駆動力
が不足して開弁不能となるため、燃焼を維持するために
は燃料圧力をある最大値PMAX 以下に維持する必要があ
る。すなわち、燃料圧力には燃料噴射弁によりから定ま
る最大と最小の限界値PMAX とPMIN とが存在する。
【0058】本実施例では、上記により計算した、異常
気筒の空燃比を可燃範囲に維持するための燃料圧力が燃
料噴射弁の最大圧力と最小圧力との間にある場合には燃
料圧力を変更することが可能と判定する。図6におい
て、サブルーチンがスタートするとステップ601では
エンジン回転数N、吸入空気量Q、燃料圧力FPがそれ
ぞれ対応するセンサから読み込まれ、ステップ602で
はこれらに基づいて、燃焼を維持するために必要な最小
燃料圧力PMIN が算出される。最小燃料圧力PMIN は機
関回転数Nと機関負荷(例えば機関1回転当たりの吸入
空気量Q/N)とに応じて変化する。
【0059】図7は、最小圧力PMIN と機関回転数N、
負荷Q/Nとの関係の一例を示す図である。図7に示す
ように、最小圧力PMIN は負荷Q/Nが一定であれば回
転数が高い程低くなり、回転数Nが一定の条件では負荷
Q/Nが小さい程低くなる。これは、回転数が高いほど
気筒内での吸気の乱れが大きくなるため低い燃料圧力で
噴射された燃料でも微粒化しやすくなり燃焼を維持でき
ること、また負荷が小さい程吸気負圧が大きくなるため
(絶対圧力が低くなるため)、低い燃料圧力で噴射され
た燃料でも気化し易くなり可燃混合気を形成しやすくな
ることによる。
【0060】本実施例では、図7の関係はECU30の
ROMに数値テーブルの形式で格納されており、ステッ
プ602では、機関回転数Nと負荷Q/Nの値を用いて
このテーブルから最小燃料圧力PMIN が求められる。上
記により最小燃料圧力PMIN が算出されると、次いでス
テップ605では、ステップ601で読み込んだ現在の
燃料圧力FPがこの最小燃料圧力PMIN より大きいか否
かが判定され、現在の燃料圧力FPが最小燃料圧力P
MIN 以下の場合には、正常気筒での燃焼を維持するため
にステップ607で最小燃料圧力PMINの値を燃料圧力
の制御目標値FPTとして設定するとともに、ステップ
609で燃料圧力変更による空燃比制御ができない旨の
判定をする。
【0061】一方、ステップ605で現在の燃料圧力F
Pが最小燃料圧力PMIN より大きかった場合には、ステ
ップ611に進み、異常気筒の空燃比を可燃範囲に維持
するために必要な燃料圧力の最小値FPLと最大値FP
Hとを計算する。ここで、上記最小値FPLは、オープ
ンスティックを生じた燃料噴射弁からの噴射量が異常気
筒の空燃比をリーン側の限界値(例えば20程度の空燃
比)とするために必要とされる燃料圧力、最大値FPH
はリッチ側の限界値(例えば8程度の空燃比)とするた
めに必要とされる燃料圧力である。
【0062】また、ステップ613では、上記により求
めた燃料圧力の最小値FPLと最大値FPHの範囲と、
気筒内の燃焼を維持するために必要な燃料圧力の範囲、
すなわち前述の最小限界圧力PMIN と最大限界圧力P
MAX の範囲とが重複しているか否かが判定される。上記
2つの範囲が重複している場合には、気筒内での燃焼を
維持しつつ異常気筒内の空燃比を可燃範囲に維持可能な
燃料圧力が存在するため、この重複範囲内の燃料圧力を
燃料圧力の目標値FPTとして設定する。この場合、異
常気筒内での燃焼状態を良好にして未燃燃料の排出をで
きるだけ低減するため、目標値FPTは、重複範囲内で
できるだけ異常気筒の空燃比が理論空燃比に近づくよう
な値に設定される。また、上記により目標値FPTを設
定後、ステップ617では燃料圧力調整による空燃比制
御が可能である旨の判定をする。
【0063】ステップ613で、上記2つの範囲が重複
していない場合には、ステップ619で燃料圧力の目標
値FPTを最大限界圧力FPHと最小限界圧力FPLと
のうち、異常気筒の空燃比をより理論空燃比に近づける
方の値に設定し、ステップ609で燃料圧力調整による
空燃比制御ができない旨の判定をする。図3ステップ3
09では、上記の燃料圧力調整による空燃比制御の可否
の判定結果から燃料圧力変更可否を判断し、燃料圧力変
更による空燃比制御が可能な場合にはステップ311
で、以前に説明したデリバリパイプ8内の燃料圧力の制
御目標値FP0 の値を、図6ステップ615で求めた目
標値FPTの値に設定し、ステップ313では正常気筒
での燃料噴射量を維持するために、燃料噴射弁の開弁時
間を上記目標値FPTに応じた値に補正した後、ルーチ
ンを終了する。
【0064】一方、ステップ309で燃料圧力変更によ
る空燃比制御が不可能である場合には、ステップ315
に進み、上記制御目標値FP0 の値を図6ステップ60
7または609で求めたFPTの値、すなわち最大限界
値FPMAX または最小限界値FPMIN に設定し、ステッ
プ317で正常気筒の燃料噴射弁の開弁時間をFPTの
値に応じて補正した後、ステップ318、ステップ31
9で変速機のシフトダウンによる回転数調整で異常気筒
の空燃比制御が可能か否かを判定する。
【0065】図8は、図3のステップ318で実行され
るシフト操作による空燃比制御の可否判定サブルーチン
を示す。本サブルーチンでは、図5のサブルーチンで求
めた異常気筒の空燃比が可燃範囲よりリッチ側かリーン
側かに応じて、シフトアップ操作とシフトダウン操作の
いずれを実施するかを判定し、次に現在のエンジン回転
数と変速機シフトポジションとに基づいてシフトアップ
(又はシフトダウン)操作を行った場合のエンジン回転
数を計算する。
【0066】また、シフト後に変速機出力軸で駆動トル
クを一定に維持した場合のエンジン吸入空気量を、エン
ジン回転数変化によるエンジン負荷の変化と、回転数変
化によるエンジン、変速機等のフリクションロス変化と
に基づいて算出する。次いで、図5のサブルーチンで求
めたオープンスティック燃料噴射弁の噴射率から、シフ
ト操作後の回転数で1サイクル当たりにオープンスティ
ック燃料噴射弁から異常気筒に供給される燃料量を求め
る。シフト操作後の異常気筒の空燃比は、上記により求
めたシフト操作後の吸入空気量と燃料量とから計算され
る。
【0067】変速機をシフトアップするとエンジン回転
数が低下し、エンジン出力を同一に維持するためには駆
動トルクを増大する必要が生じる。このため、スロット
ル弁の開度が増大され、エンジン1回転当たりの吸入空
気量は増加し、異常気筒の空燃比は増大(リーン側に移
行)する。また、上記とは逆に変速機をシフトダウンす
ると異常気筒では空燃比は低下(リッチ側に移行)す
る。この場合、正常気筒の燃料噴射量は機関負荷に応じ
て制御されているため正常気筒の空燃比は回転数変化に
よる影響を受けない。本実施例では、異常気筒の空燃比
が可燃範囲よりリッチ側に外れている場合には、シフト
アップにより、逆にリーン側に外れている場合にはシフ
トダウンにより空燃比を可燃範囲内に調整可能か否かを
判定する。
【0068】図9は、燃料噴射弁の噴射率を一定に維持
した場合に気筒の空燃比を可燃範囲に維持するためのエ
ンジン出力と回転数領域の関係を模式的に示す図であ
る。図9において縦軸はエンジン負荷トルク、横軸はエ
ンジン回転数を示し、斜線部Iはリッチ空燃比による失
火が発生する領域、斜線部IIはリーン空燃比による失火
が発生する領域、、斜線部IとIIとの間は可燃空燃比領
域をそれぞれ示している。
【0069】例えば、異常気筒が図9にA点(リッチ失
火状態)で運転されていた場合、シフトアップ操作を行
うことにより、上述のようにエンジン回転数は低下し、
負荷トルクは増大する。このため、シフトアップにより
異常気筒の運転点が例えばA点からA1 点(可燃領域)
に移動するような場合にはシフトアップにより空燃比調
整が可能となる。また、シフトアップによって異常気筒
の運転点がA点から例えばB1 点(リッチ失火領域)や
2 点(リーン失火領域)に移行するような場合にはシ
フトアップによる空燃比調整は不可能となる。
【0070】図8のサブルーチンでは、ステップ801
でエンジン吸入空気量Q、エンジン回転数N、車両走行
速度SPDをそれぞれ対応するセンサから読み込みステ
ップ803で走行速度SPDと回転数Nとから現在のシ
フトポジションを推定する。次いでステップ805で
は、図5のサブルーチン(ステップ511)で求めた異
常気筒の空燃比が可燃範囲よりリッチ側かリーン側かを
判定し、リッチ側である場合にはステップ807で現在
より変速機を1段シフトアップした場合のエンジン回転
数をギヤ比と現在のエンジン回転数とを用いて予測す
る。また、リーン側の場合には、上記と同様に現在より
変速機を1段シフトダウンした場合のエンジン回転数を
予測する。
【0071】次いでステップ811では、ステップ80
5または807で予測される回転数に基づいて、前述し
た方法でシフト操作後の異常気筒の空燃比を推定する。
また、ステップ813では、このシフト操作後の空燃
比が可燃範囲になるか否かを判定し、可燃範囲外である
場合にはステップ815に進み、更にシフト操作の余地
があるか否かを判定する。シフト操作後の空燃比が可燃
範囲外であり、ステップ815でこれ以上のシフト操作
ができない(シフト操作により最高段ギヤまたは最低段
ギヤで運転されるような場合)と判定された場合にはス
テップ823に進み、シフト操作による空燃比範囲の調
整ができない旨の判定をしてサブルーチンを終了する。
また、ステップ815で、シフト操作の余地が残ってい
る場合には再度ステップ805から813を実行し、さ
らにシフト操作を行った場合に異常気筒の空燃比を可燃
範囲に調整可能か否かを判定する。
【0072】ステップ813で、シフト操作後の異常気
筒空燃比が可燃範囲内にあると判定された場合には、ス
テップ817に進みシフト操作後のエンジン回転数が許
容回転数範囲に入っているか否かが判定され、許容範囲
外の場合にはステップ823でシフト操作による空燃比
範囲の調整ができない旨の判定がなされる。また、シフ
ト操作後のエンジン回転数が許容範囲内であった場合に
は、ステップ819でシフト操作により設定すべきシフ
トポジションを記憶し、ステップ821でシフト操作に
よる空燃比範囲の調整が可能である旨の判定をしてサブ
ルーチンを終了する。
【0073】図3ステップ317では、上記のシフト操
作による空燃比制御の可否の判定結果に基づいて、シフ
ト操作による空燃比制御が可能な場合にはステップ32
1に進み、図8ステップ819で記憶したシフトポジシ
ョンへの変速操作を行ってルーチンを終了する。また、
ステップ317でシフト操作による空燃比調整が不可能
であった場合には、ステップ323、325を実行して
吸入空気量制御による空燃比調整が可能か否かを判定す
る。
【0074】図10は、図3のステップ323で実行さ
れる吸入空気量調整による空燃比制御の可否判定サブル
ーチンを示す。本サブルーチンは、燃料圧力調整とシフ
ト操作とにより異常気筒の空燃比を可燃範囲に調整でき
なかった場合にのみ実行される。本サブルーチンでは、
図5のサブルーチンで求めた異常気筒の空燃比が、可燃
範囲からリッチ側に外れているかリッチ側に外れている
かを判定し、リッチ側に外れている場合には電子スロッ
トル制御、ISC弁の開度増加などにより一定量だけエ
ンジンの吸入空気量を増加させる。また、リーン側に外
れている場合には、同様に電子スロットル制御、ISC
弁の開度減少等により一定量だけエンジンの吸入空気量
を低下させる。これにより、図5のサブルーチン実行毎
に異常気筒の空燃比は可燃範囲に近づくことになる。
【0075】上記のように、吸入空気量を増減するとそ
れに応じてエンジン出力が変動することになるが、本実
施例では吸入空気量調整時に吸入空気量の変化に応じて
点火時期の変更等を行い、機関出力の変動を抑制する。
また、吸入空気量を変化させると、次回のルーチン実行
時には今まで実施できなかった燃料圧力調整やシフト操
作等により異常気筒の空燃比を調整することが可能とな
る場合がある。本実施例では、一回のルーチン実行時に
一定量だけ吸入空気量を増減するようにしたことによ
り、他の操作により空燃比調整が可能となった場合には
それ以上の吸入空気量の増減が停止されるため、吸入空
気量の調整は必要最小限の範囲に抑制される。
【0076】図10ステップ1001では、図5のサブ
ルーチン(ステップ511)で求めた異常気筒の空燃比
が可燃範囲よりリッチ側かリーン側かを判断し、リッチ
側であればステップ1003に進みこれ以上の吸入空気
量増量が可能か否かを判定する。例えば、点火時期が限
界値まで遅角されていたり、ISC弁が既に全開になっ
ているような場合には、これ以上の増量は不可能である
のでステップ1009に進み吸入空気量調整による空燃
比の調整はできない旨の判定をしてサブルーチンを終了
する。
【0077】また、ステップ1003でまだ増量が可能
であった場合には、ステップ1005に進み、現在の吸
入空気量に予め定めた一定量だけを加えた値を吸入空気
量の目標値として設定し、ステップ1007で吸入空気
量調整による空燃比の調整が可能である旨の判定をして
サブルーチンを終了する。また、ステップ1001で異
常気筒の空燃比がリーン側に外れていた場合には、ステ
ップ1011でこれ以上の吸入空気量減量が可能か否か
を判定し、可能であればステップ1013で現在の吸入
空気量から予め定めた一定量だけを差し引いた値を吸入
空気量の目標値として設定し、ステップ1007で吸入
空気量調整による空燃比の調整が可能である旨の判定を
してサブルーチンを終了する。ステップ1011で例え
ば点火時期が限界まで進角されていたり、ISC弁が既
に全閉になっているような場合にはこれ以上の減量は不
可能であるためステップ1015に進み、吸入空気量調
整による空燃比の調整はできない旨の判定をしてサブル
ーチンを終了する。
【0078】図3ステップ325では、上記の判定結果
に基づいて吸入空気量による空燃比制御が可能であるか
否かを判断し、不可能であればそのままルーチンを終了
する。また、吸入空気量調整による空燃比制御が可能で
あればステップ327に進み、図10ステップ1005
または1013で設定された吸入空気量の目標値を得る
ようにスロットル弁やISC弁の開度を制御する。ま
た、この際に吸入空気量の変動に伴うエンジン出力変動
を防止するために、点火時期の補正等を行う。
【0079】上記のように、図3のルーチンではステッ
プ305で異常気筒の空燃比が可燃範囲外になっている
場合には、ステップ307から327が繰り返して実行
され、異常気筒の空燃比が可燃範囲に調整される。次
に、図3ステップ305で異常気筒の空燃比が可燃範囲
内になっていると判定された場合の操作について説明す
る。
【0080】本実施例では、異常気筒の空燃比が可燃範
囲になっている場合には、先ず吸入空気量調整による空
燃比制御が行われているか否かを判断し、制御が行われ
ている場合には吸入空気量をできるだけ制御を行わない
状態に近づける操作を行う。すなわち、ステップ323
から327の操作で吸入空気量が増量されていた場合に
は異常気筒の空燃比が可燃範囲から外れない範囲で吸入
空気量を減量し、吸入空気量が減量されていた場合には
同様に異常気筒の空燃比が可燃範囲から外れない判定で
吸入空気量を増量する。
【0081】また、上記による吸入空気量の変更が限界
までおこなわれている場合、或いは吸入空気量調整によ
る空燃比制御が行われていない場合には、次にシフト操
作による空燃比制御が行われているか否かを判断し、制
御が行われている場合にはシフトダウンまたはシフトア
ップにより制御前の状態に戻すことが可能か否かを判定
し、可能であればシフト操作を行って制御前の状態に復
帰させる。
【0082】異常気筒の空燃比が可燃範囲にある場合
に、このように吸入空気量、自動変速機シフトの順に制
御前の状態に戻す操作を行うのは、前述のように吸入空
気量調整による空燃比制御は出力変化抑制のための点火
時期調整等の操作を伴うため、排気温度の上昇やトルク
変動等の問題を生じるおそれがあるので、できるだけ吸
入空気量調整による空燃比制御が実行される機会を少な
くする必要があるためである。
【0083】すなわち、図3ステップ305で異常気筒
の空燃比が可燃範囲内になっていると判定された場合に
は、ステップ329で現在ステップ323から327で
吸入空気量の調整が実施されているか否かが判定され、
実施中でない場合には、直接ステップ337に進む。ま
た、ステップ329で吸入空気量の調整を実施中である
場合にはステップ331に進み、吸入空気量を所定量変
更(増加または減少)して、元の状態に近づけた場合の
異常気筒の空燃比を推定する。この推定は図5のサブル
ーチンと同様な方法で行う。
【0084】次いでステップ333では、上記により推
定した空燃比がまだ可燃範囲内であるか否かを判定し、
変更後も可燃範囲内にある場合にはステップ335に進
み吸入空気量を所定量変更して元の状態に近づける操作
を行った後ルーチンを終了する。すなわち、ステップ3
23から327の実行により、現在吸入空気量が制御実
施前の状態に較べて増量されている場合にはステップ3
35では吸入空気量を所定量減量する操作が行われ、逆
に現在吸入空気量が制御実施前の状態に較べて増量され
ている場合には吸入空気量を所定量増量する操作が行わ
れる。また、変更後の空燃比が可燃範囲から外れる場合
には、吸入空気量の変更を行わずにステップ337に進
み、シフト操作の可否を判定する。
【0085】ステップ337では、現在ステップ318
から321によるシフト操作による空燃比制御を実施中
であるか否かが判定され、実施中でない場合には本ルー
チンは終了する。また、実施中であった場合には、ステ
ップ339に進み変速機シフトポジションを制御前の状
態に近づけるようにシフトアップまたはシフトダウンを
行った場合の異常気筒の空燃比を推定する。この推定
は、図8のサブルーチンと同様な方法で行う。
【0086】ついで、ステップ341では、上記により
推定した空燃比がまだ可燃範囲内であるか否かを判定
し、シフト操作後も可燃範囲内にある場合にはステップ
343でシフト操作を行い、シフトポジションを制御前
の状態に近づける操作を行った後ルーチンを終了する。
すなわち、現在ステップ318から321の操作により
シフトアップが行われている場合にはシフトダウンを、
逆にシフトダウンが行われている場合にはシフトアップ
を行う。また、変更後の空燃比が可燃範囲から外れる場
合には、そのままルーチンを終了する。
【0087】上記操作により、異常気筒の空燃比が可燃
範囲になっている限り吸入空気量は徐々に制御前の状態
に近づくことになる。上述のように、図2から図4の制
御を実行することにより、燃料噴射弁がオープンスティ
ック異常を生じた場合でも、未燃燃料が排気系や触媒で
燃焼して排気系の異常温度上昇を生じることが防止され
るとともに、オープンスティックを生じた気筒での燃焼
状態が良好に維持され、オープンスティック時の排気性
状の悪化や、失火による振動等の問題が生じることが防
止される。
【0088】なお、図2の実施例では燃料噴射弁の異常
の有無を燃料ポンプの吐出量FQと燃料噴射弁からの噴
射量とを比較することによって判定していた(図2ステ
ップ203)。しかし、燃料噴射弁の異常の有無はセン
サ33で検出されたデリバリパイプ8内の燃料圧力変動
を監視することによっても判定可能である。図11は、
デリバリパイプ8内の圧力変動による燃料噴射弁異常検
出を説明する図である。図8において、(a)は燃料噴
射弁にオープンスティックまたはクローズスティックの
異常が生じた場合のデリバリパイプ8内のエンジン1サ
イクル中の圧力変動を示し、(b)は燃料噴射弁が正常
な場合のデリバリパイプ8内の圧力変動、(c) は各気筒
の燃料噴射信号のタイミング、(d) は燃料ポンプ7から
の燃料の吐出タイミングを示している。
【0089】本実施例では4気筒エンジンが使用されて
いるため、1サイクル(クランク軸2回転)につき4回
の燃料噴射信号が等間隔で出力される(図11
(b))。また、燃料ポンプ7はクランク軸に同期して
回転して、交互に気筒71a、71bから燃料を吐出す
るため、図11(b)に示すようにデリバリパイプ8内
の圧力は、燃料ポンプ7から燃料が吐出されると上昇し
(図11(b)A1 〜A3 の各点)、燃料噴射弁から燃
料が噴射されると低下(B1 〜B4 )する規則的な変動
を繰り返す。しかし、燃料噴射弁がオープンスティック
を生じて常時燃料を噴射している場合、またはクローズ
スティックにより燃料を噴射しなくなった場合には、噴
射信号が出力されても燃料圧力は低下しなくなる。図1
1(a)は 第3気筒の燃料噴射弁がオープンスティッ
クまたはクローズスティックを生じた場合の燃料圧力変
動を示している。図11(a)から判るように、この場
合には第3気筒燃料噴射弁信号に対応する圧力変動(図
11(b)のB3 )が消失するため、第3気筒の燃料噴
射弁に異常が生じたことが判定できる。
【0090】図2の実施例では、失火が生じたときにそ
の原因が燃料噴射弁の異常によるものかその他の原因に
よるものかを判定するために常に燃料ポンプ7の吐出量
と燃料噴射弁の噴射量とを比較する必要があったが、上
記のように燃料圧力変動に基づいて燃料噴射弁の異常の
有無を判断するようにすれば、燃料噴射弁に異常が生じ
た場合のみ燃料ポンプの吐出量と燃料噴射弁の噴射量と
を比較して、異常がオープンスティックによるものかク
ローズスティックによるものかを判断すれば良いことに
なり、判定のための操作が簡易化される利点がある。
【0091】また、図2の実施例では、エンジン回転数
の変動を検出して失火気筒を判別しているが、例えばリ
ーンバーン運転時の空燃比制御のために気筒内の燃焼圧
力を検出する燃焼圧センサを備えた機関では、燃焼圧力
を監視することにより失火の有無を検出するようにして
もよい。さらに、本実施例では、例えば遊星歯車式の通
常の自動変速機を使用しているため、図8の回転数調整
による空燃比調整の際に段階的に回転数を変更している
が、無段変速機を用いた自動変速機を備えた機関では、
回転数を無段階で調整するようにすれば、回転数調整に
よる空燃比制御の適用範囲を拡大することが可能とな
る。
【0092】また、本実施例では直列4気筒エンジンに
ついて説明したが、例えばV型エンジン等のように複数
の気筒群に分割され、気筒群毎に吸気通路とスロットル
弁を備えたエンジン、または各気筒毎に独立したスロッ
トル弁を有する独立吸気エンジンでは、図3、図4及び
図10の吸入空気量調整による空燃比制御を異常気筒、
またはこの気筒を含む気筒群のみに適用するようにすれ
ば、空燃比制御範囲をさらに拡大することが可能とな
る。
【0093】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、燃料噴
射弁のオープンスティックによる失火が生じた場合で
も、排気系の異常温度上昇を生じることなく機関の運転
が可能となるため、機関運転を継続することが可能とな
る効果がある。また、請求項2に記載の発明によれば、
更にオープンスティックを生じた気筒の空燃比を検出す
る手段を設けたことにより、上記の効果に加えて、検出
された空燃比に基づいてオープンスティック気筒の空燃
比を制御することが可能となる効果を奏する。
【0094】更に、請求項3から請求項5の発明によれ
ば、請求項2に加えて、検出された空燃比に基づいてオ
ープンスティックを生じた気筒の空燃比を可燃範囲に調
整するようにしたことにより、請求項2の効果に加えて
オープンスティックを生じた気筒の燃焼状態を良好に維
持することが可能となり、オープンスティック時の運転
における機関性能や排気性状が改善されるという効果を
奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する筒内噴射式火花点火機関の全
体構成を示す概略図である。
【図2】燃料噴射弁のオープンスティック異常検出動作
の一例を示すフローチャートである。
【図3】オープンスティック時の空燃比制御動作の一例
を示すフローチャートの一部である。
【図4】オープンスティック時の空燃比制御動作の一例
を示すフローチャートの一部である。
【図5】図3のステップ303で実行される空燃比判定
サブルーチンを示すフローチャートである。
【図6】図3のステップ307で実行される燃料圧力F
Pの変更可否判定のサブルーチンを示すフローチャート
である。
【図7】燃料最小圧力PMIN と機関回転数N、負荷Q/
Nとの関係の一例を示す図である。
【図8】図3のステップ307で実行される回転数調整
による空燃比制御の可否判定のサブルーチンを示すフロ
ーチャートである。
【図9】燃料噴射弁の噴射率を一定に維持した場合の気
筒内の空燃比の可燃範囲とエンジン負荷と回転数領域と
の関係の一例を示す図である。
【図10】図3のステップ323で実行される吸入空気
量調整による空燃比制御の可否判定サブルーチンを示す
フローチャートである。
【図11】燃料の圧力変動による燃料噴射弁異常検出を
説明する図である。
【符号の説明】
1…エンジン本体 2…筒内燃料噴射弁 7…高圧燃料ポンプ 8…デリバリパイプ 27…スロットル弁 30…エンジン制御回路(ECU) 31…エアフローメータ 32…回転数センサ 33…燃料圧力センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F02M 37/00 301 B 65/00 306 A // F16H 61/12

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加圧燃料が供給されるリザーバと、各気
    筒毎に設けられ前記リザーバ内の燃料を気筒内に直接噴
    射する燃料噴射弁と、各気筒からの排気ガスが流入する
    排気通路とを備えた筒内噴射式火花点火機関において、 前記燃料噴射弁に常時開弁状態の異常が発生したことを
    検出するオープンスティック検出手段と、 機関に失火が発生したことを検出する失火検出手段と、 前記燃料噴射弁に常時開弁状態の異常が発生し、かつ機
    関に失火が発生したときに、機関の運転状態を変更する
    ことにより前記排気通路内の排気ガスの酸素濃度を低減
    する酸素濃度抑制手段とを備えた筒内噴射式火花点火機
    関。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の筒内噴射式火花点火機
    関において更に、 前記リザーバに供給される燃料流量を検出する手段と、 機関吸入空気量を検出する手段と、 前記燃料噴射弁の常時開弁状態の異常が発生したとき
    に、前記燃料流量と前記機関吸入空気量とに基づいて、
    燃料噴射弁の異常が発生した気筒内の混合気空燃比を検
    出する空燃比検出手段とを備えた筒内噴射式火花点火機
    関。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の筒内噴射式火花点火機
    関において更に、 前記リザーバ内の燃料圧力を制御する燃料圧力調整手段
    と、 前記空燃比検出手段の検出した空燃比に基づいて該燃料
    圧力調整手段を制御して前記燃料噴射弁の異常が生じた
    気筒内の混合気空燃比を可燃空燃比範囲に保持する空燃
    比制御手段とを備えた筒内噴射式火花点火機関。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の筒内噴射式火花点火機
    関において更に、 機関吸入空気量を制御する吸気調整手段と、 前記空燃比検出手段の検出した空燃比に基づいて該吸気
    調整手段を制御して前記燃料噴射弁の異常が生じた気筒
    内の混合気空燃比を可燃空燃比範囲に保持する空燃比制
    御手段とを備えた筒内噴射式火花点火機関。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載の筒内噴射式火花点火機
    関において更に、 機関回転数を制御する回転数調整手段と、 前記空燃比検出手段の検出した空燃比に基づいて前記回
    転数調整手段を制御して前記燃料噴射弁の異常が生じた
    気筒内の混合気空燃比を可燃空燃比範囲に保持する空燃
    比制御手段とを備えた筒内噴射式火花点火機関。
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