JPH08203451A - カラー受像管用偏向装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 所望分布の偏向磁界が容易に得られるように
偏向装置を構成することを目的とする。 【構成】 カラー受像管の電子銃から放出される電子ビ
ームを画面の長軸方向に偏向する第１偏向コイル21H と
電子ビームを画面の短軸方向に偏向する第２偏向コイル
21V とが後端部の渡り線部に外側に折曲げられたベンド
部23H,23V の形成されたサドル形からなり、これら第
１、第２偏向コイルの少なくとも一部が重なり合うよう
に配置されてなるカラー受像管用偏向装置において、そ
の第２偏向コイルを第１偏向コイルの内側に位置させ
た。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、カラー受像管用偏向
装置に係り、特に同一平面上を通る一列配置の３電子ビ
ームを放出するインライン型カラー受像管に有効なカラ
ー受像管用偏向装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般にカラー受像管は、図３に示すよう
に、パネル１およびこのパネル１に接合された漏斗状の
ファンネ２からなる外囲器を有し、そのパネル１の内面
に、青、緑、赤に発光する３色蛍光体層からなる蛍光体
スクリーン３が設けられ、この蛍光体スクリーン３に対
向して、その内側にシャドウマスク４が配置されてい
る。一方、ファンネ２のネック５内に３電子ビーム６B
，６G ，６R を放出する電子銃７が配設されている。
そして、この電子銃７から放出される３電子ビーム６B
，６G ，６R をファンネ２の径大部８とネック５との
境界部付近の外側に装着された偏向装置９の発生する磁
界により偏向して、蛍光体スクリーン３を水平、垂直走
査することにより、カラー画像を表示する構造に形成さ
れている。

【０００３】その偏向装置９は、一般に３電子ビーム６
B ，６G ，６R を水平方向に偏向する水平偏向磁界を発
生する水平偏向コイル１１と、３電子ビーム６B ，６G
，６R を垂直方向に偏向する垂直偏向磁界を発生する
垂直偏向コイル１２を有する。

【０００４】このようなカラー受像管において、特に電
子銃７を同一水平面上を通る一列配置の３電子ビーム６
B ，６G ，６R を放出するインライン型電子銃とし、こ
の電子銃から放出される３電子ビーム６B ，６G ，６R
を、偏向装置９の水平偏向コイル１１の発生するピンク
ッション形磁束密度分布の水平偏向磁界、垂直偏向コイ
ル１２の発生するバレル形磁束密度分布の垂直偏向磁界
で偏向することにより、３電子ビーム６B ，６G ，６R
を蛍光体スクリーン３上に集中するセルフコンバーゼン
ス・インライン型カラー受像管が広く用いられている。

【０００５】一般にカラー受像管は、蛍光体スクリーン
３上に品位良好な画像を表示するためには、電子銃７か
ら放出される３電子ビーム６B ，６G ，６R を画面全面
にわたり集中（ダイナミックコンバーゼンス）させるこ
とが必要であるが、上記セルフコンバーゼンス・インラ
イン型カラー受像管では、特に受像機にダイナミックコ
ンバーゼンス補正回路を設けることなく、偏向装置９の
発生する磁界によってコンバーゼンスずれのない画像を
表示するが可能である。また同時にピンクッション形磁
束密度分布の水平偏向磁界により、ラスターの上下に幾
何学的な歪を生じないようにすることができるため、そ
の補正回路も不要とすることができる、という利点があ
る。

【０００６】しかし図４に示すように、水平偏向磁界１
４H をその全域にわたりピンクッション形磁束密度分布
もつ磁界とし、垂直偏向磁界１４V をその全域にわたり
バレル形磁束密度分布もつ磁界とすると、 （イ） 垂直偏向によりラスターの左右に幾何学的な歪
が残る （ロ） 一列配置の３電子ビームのうち、センタービー
ムと一対のサイドビームとの間にコマエラーが生ずるな
どの問題がある。

【０００７】そこで、水平および垂直偏向磁界に関し、
上記ラスターの幾何学的な歪とダイナミックコンバーゼ
ンスを確保して、上記問題を解決できる偏向磁界の分布
として、図５に示すように、水平偏向磁界１４H につい
ては、偏向装置の後部側（ネック側）でバレル形、前部
側（ファンネルの径大部側）でピンクッション形をな
し、垂直偏向磁界１４V については、後部側でピンクッ
ション形、前部側でバレル形をなす磁界にするとよいこ
とが知られている。そのピンクッション形、バレル形磁
界の分布および占める割合いは、受像管のシステムよっ
て異なる。

【０００８】このような偏向磁界は、水平、垂直偏向磁
界ともサドル型偏向コイルにより形成することができ、
従来の偏向装置では、セパレータを挟んでその外側に水
平偏向コイルが、その内側に垂直偏向コイルが配置され
た構造に形成されている。このサドル型偏向コイルは、
前端部および後端部の渡り線部にそれぞれ外側に折曲が
ったベンド部が形成されている。このベンド部は、偏向
装置の全長を短くし、偏向装置のコンパクト化に寄与し
ている。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来よ
り電子銃を同一水平面上を通る一列配置の３電子ビーム
を放出する電子銃とし、この電子銃から放出される３電
子ビームを、偏向装置の水平偏向コイルの発生するピン
クッション形磁束密度分布の水平偏向磁界、垂直偏向コ
イルの発生するバレル形磁束密度分布の垂直偏向磁界で
偏向することにより、３電子ビームを蛍光体スクリーン
上に集中するセルフコンバーゼンス・インライン型カラ
ー受像管が広く用いられている。

【００１０】その偏向装置の発生する磁界としては、水
平偏向磁界については、偏向装置の後部側でバレル形、
前部側でピンクッション形をなし、垂直偏向磁界につい
ては、後部側でピンクッション形、前部側でバレル形を
なす分布にするするとよいことが知られている。このよ
うな偏向磁界は、水平、垂直偏向磁界とも、サドル形偏
向コイルにより形成することができ、従来の偏向装置
は、セパレータを挟んでその外側に水平偏向コイルが、
その内側に垂直偏向コイルが配置されてた構造に形成さ
れている。

【００１１】しかしながらこのように水平、垂直偏向コ
イルともサドル型偏向コイルからなるサドル・サドル型
偏向装置は、カラー受像管の大型化、フラット化、薄型
化、偏向角の拡大などにともなって、画面の中心までの
距離と周辺部までの距離の差が大きくなり、一列配置の
３電子ビームを画面全域に集中させるセルフコンバーゼ
ンスが困難となり、同時にフォーカス特性が悪くなり、
画質を劣化する原因となっている。

【００１２】この発明は、上記問題点に鑑みてなされた
ものであり、カラー受像管の大型化、フラット化、薄型
化、偏向角の拡大などに関係なく、容易に所望分布の偏
向磁界が得られるように偏向装置を構成することを目的
とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】カラー受像管の電子銃か
ら放出される電子ビームを画面の長軸方向に偏向する第
１偏向コイルと電子ビームを画面の短軸方向に偏向する
第２偏向コイルとが後端部の渡り線部に外側に折曲げら
れたベンド部の形成されたサドル型からなり、これら第
１、第２偏向コイルの少なくとも一部が重なり合うよう
に配置されてなるカラー受像管用偏向装置において、そ
の第２偏向コイルが第１偏向コイルの内側に位置させ
た。

【００１４】また、その第２偏向コイルの後部が第１偏
向コイルの後端部の後方に突出した構造とした。

【００１５】

【作用】上記のように、電子ビームを画面の長軸方向に
偏向する第１偏向コイルと短軸方向に偏向する第２偏向
コイルとをともにサドル型に形成し、その第２偏向コイ
ルを第１偏向コイルの内側に位置させると、電子ビーム
を画面の短軸方向に偏向する第２偏向コイルの発生する
偏向磁界を電子銃の位置する後部方向に任意に延ばすこ
とができ、カラー受像管によって異なる分布の磁界を容
易に形成することができる。

【００１６】

【実施例】以下、図面を参照してこの発明を実施例に基
づいて説明する。

【００１７】図１にその一実施例であるインライン型カ
ラー受像管用偏向装置を示す。この偏向装置は、合成樹
脂からなるほぼ台形状のセパレータ２０と、このセパレ
ータ２０の外側に水平軸（Ｘ軸）を挟んで上下対称に配
置された一対のサドル型水平偏向コイル２１H （第１偏
向コイル）と、上記セパレータ２０の内側に垂直軸（Ｙ
軸）を挟んで左右対称に配置された一対のサドル型垂直
偏向コイル２１v （第２偏向コイル）と、水平偏向コイ
ル２１H の外側に配置された磁性体からなる中空台形状
のコア２４とから構成されている。上記水平、垂直偏向
コイル２１H ，２１v の前端部および後端部の渡り線部
には、それぞれ外側に折曲げられたベンド部２２H 、２
３H ，２２V 、２３V が形成され、コア２４は、その水
平偏向コイル２１H の前端部および後端部の渡り線部に
形成されたベンド部２２H 、２３H 間を取囲むように配
置されている。そしてその一対のサドル型垂直偏向コイ
ル２１v の後部（カラー受像管のネック側）は、水平偏
向コイル２１H の後部側の後方に突出している。

【００１８】上記のように偏向装置を構成すると、図２
に示す偏向磁界が形成される。すなわち、図２（ａ）に
示すように、一対のサドル型水平偏向コイルが、従来の
水平偏向コイルの発生する磁界（図５（ａ）参照）と同
じく、偏向装置の後部側にバレル形、前部側（カラー受
像管のファンネルの径大部側）にピンクッション形をな
す磁界２６H を発生するとき、図２（ｂ）に示すよう
に、一対のサドル型垂直偏向コイルは、偏向装置の後部
側がピンクッション形、前部側がバレル形をなし、その
後部側のピンクッション形磁界が図５（ｂ）に示した従
来の垂直垂直偏向コイルの発生するピンクッション形磁
界よりも、さらに後方に延びた磁界２６Vを発生する。

【００１９】したがって上記のように偏向装置を構成す
ると、従来の偏向装置よりも電子銃側で、電子銃から放
出される３電子ビームを偏向（プリ偏向）することがで
きる。その結果、大型、フラット型、薄型、広偏向角カ
ラー受像管に対しても、センタービームと一対のサイド
ビームとの間に生ずるコマエラーを効果的に補正するこ
とができ、コンバーゼンス品位を向上させることができ
る。また電子銃側に発生する垂直偏向コイル２１v のピ
ンクッション形磁界により、フォーカス特性を良好に
し、画質を向上させることができる。しかも、この偏向
装置では、水平偏向コイル２１H がネック側に近づくよ
うになり、水平偏向磁界の偏向中心も後方に移動するた
め、特に画面のアスペクト比が１６：９の横長のカラー
受像管に対して有効なものとすることができる。

【００２０】

【発明の効果】カラー受像管の電子銃から放出される電
子ビームを画面の長軸方向に偏向する第１偏向コイルと
電子ビームを画面の短軸方向に偏向する第２偏向コイル
とが後端部の渡り線部に外側に折曲げられたベンド部の
形成されたサドル形からなり、これら第１、第２偏向コ
イルの少なくとも一部が重なり合うように配置されてな
るカラー受像管用偏向装置において、その第２偏向コイ
ルを第１偏向コイルの内側に位置させると、電子ビーム
を画面の短軸方向に偏向する第２偏向コイルの発生する
偏向磁界を電子銃の位置する後部方向に任意に延ばすこ
とができ、カラー受像管によって異なる所望分布の磁界
を容易に形成することができる。その結果、一列配置の
３電子ビームを画面の全域に集中させるセルフコンバー
ゼンスがむづかしい大型、フラット型、薄型、広偏向角
などのカラー受像管に対しても、良好なコンバーゼンス
が得られ、フォーカス特性を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１（ａ）はこの発明の一実施例であるインラ
イン型カラー受像管用偏向装置の構成を示す図、図１
（ｂ）はその水平、垂直偏向コイルの配置を示す図であ
る。

【図２】図２（ａ）は上記偏向装置の水平偏向コイルの
発生する磁界の分布を示す図、図２（ｂ）は垂直偏向コ
イルの発生する磁界の分布を示す図である。

【図３】カラー受像管の構成を示す図である。

【図４】図４（ａ）はセルフコンバーゼンス・インライ
ン型カラー受像管用偏向装置の水平偏向コイルの発生す
るピンクッション型磁束密度分布の磁界を示す図、図４
（ｂ）はその垂直偏向コイルの発生するバレル型磁束密
度分布の磁界を示す図である。

【図５】図５（ａ）は同じくセルフコンバーゼンス・イ
ンライン型カラー受像管用偏向装置の水平偏向コイルの
発生する磁界の分布を示す図、図５（ｂ）はその垂直偏
向コイルの発生する磁界の分布を示す図である。

【符号の説明】

２０…セパレータ ２１H …水平偏向コイル ２１V …垂直偏向コイル ２２H ，２２V …ベンド部 ２３H ，２３V …ベンド部 ２４…コア

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 カラー受像管の電子銃から放出される電
   子ビームを画面の長軸方向に偏向する第１偏向コイルと
   上記電子ビームを画面の短軸方向に偏向する第２偏向コ
   イルとが後端部の渡り線部に外側に折曲げられたベンド
   部の形成されたサドル型からなり、これら第１、第２偏
   向コイルの少なくとも一部が重なり合うように配置され
   てなるカラー受像管用偏向装置において、 上記第２偏向コイルが上記第１偏向コイルの内側に位置
   することを特徴とするカラー受像管用偏向装置。
2. 【請求項２】 第２偏向コイルの後部が第１偏向コイル
   の後端部の後方に突出していることを特徴とする請求項
   １記載のカラー受像管用偏向装置。