JPH08196272A - ハイブリドーマ29d38 - Google Patents

ハイブリドーマ29d38

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JPH08196272A
JPH08196272A JP7007819A JP781995A JPH08196272A JP H08196272 A JPH08196272 A JP H08196272A JP 7007819 A JP7007819 A JP 7007819A JP 781995 A JP781995 A JP 781995A JP H08196272 A JPH08196272 A JP H08196272A
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JP
Japan
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monoclonal antibody
antigen
human
hybridoma
cancer
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JP7007819A
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English (en)
Inventor
Kahori Yoshinari
河法吏 吉成
Kenji Arai
健司 新井
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 肺癌に対して特異性の高く、かつ肺癌細胞の
核膜抗原と反応するヒト型モノクローナル抗体を提供す
ることにある。 【構成】 工業技術院生命工学工業研究所に受託番号F
ERM P−14122号で寄託された細胞の特性を有
するハイブリドーマ29D38、当該ハイブリドーマ2
9D38が産生するヒト型モノクローナル抗体、そのヒ
ト型モノクローナル抗体若しくは該ヒト型モノクローナ
ル抗体断片を主成分とする癌検査薬およびそのヒト型モ
ノクローナル抗体若しくは該ヒト型モノクローナル抗体
断片を成分とする癌治療薬である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に肺癌に対し特異的
に反応し、かつ肺癌細胞株の核膜抗原と反応するヒト型
モノクローナル抗体に関するものであり、詳しくは、工
業技術院生命工学工業研究所に受託番号FERM P−
14122号で寄託された細胞の特性を有するハイブリ
ドーマ29D38、工業技術院生命工学工業研究所に受
託番号FERM P−14122号で寄託された細胞の
特性を有するハイブリドーマ29D38が産生するヒト
型モノクローナル抗体、該ヒト型モノクローナル抗体若
しくは該ヒト型モノクローナル抗体断片を主成分とする
癌検査薬、該ヒト型モノクローナル抗体若しくは該ヒト
型モノクローナル抗体断片を成分とする癌治療薬に関す
る。
【0002】
【従来の技術】抗体を用いた免疫学的診断・治療・予防
法は、臨床的に非常に望まれており、特に、自己免疫疾
患、癌、感染症などの疾患領域での臨床的価値は高い。
厚生省の人口動態統計資料によれば、日本における死因
の第1位は癌であり、癌による死亡者数は年々増加の傾
向にある。その中でも、肺癌・大腸癌による死亡者数は
著しい増加傾向にあり、それらに対する癌診断薬・癌治
療薬の開発が臨床の現場で強く望まれている。
【0003】癌に対する免疫学的治療薬として、マウス
型モノクローナル抗体(Dippold、W.G他、P
roc.Natl.Acad.Sci.USA.,7
7、6114−6118,1980;Koprowsk
i,H他、Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA.,81,216−219,1984;Hells
trom,I他、Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA.,82,1499−1502,1985)
あるいはヒト−マウス型キメラ抗体(Neuberge
r,M.S他、Nature、312,604−60
8,1984;Morrison,S.L、Scien
ce、229,1202−1207,1985)などを
用いた開発が行われている。
【0004】しかしながら、マウス型モノクローナル抗
体あるいはヒト−マウス型キメラ抗体など異種の抗体あ
るいは該抗体断片を含む体内診断薬あるいは治療薬はヒ
トに対して異物でありアナフィラキシ−ショックなどの
副作用を引き起こす可能性が高く(本田光世他、Bio
therapy,4,844−847,1990)、臨
床的実用性は非常に低い。
【0005】それらに対して、ヒト型モノクローナル抗
体を用いれば、ヒトに対する安全性は格段に向上し、体
内診断薬あるいは治療薬としては理想的な薬剤である。
しかしながら、ヒト型モノクローナル抗体を作製する技
術は非常に難しく、癌と反応するヒト型モノクローナル
抗体を安定的にかつ大量に取得する試みは種々行われて
いるが(Irie,R.F他、Proc.Natl.A
cad.Sci.USA.,79,5666−567
0,1982;Yamaguchi,H他、Proc.
Natl.Acad.Sci.USA.,84,241
6−2420,1987;Richard・J.Cot
e他、Proc.Natl.Acad.Sci.US
A、80、2026−2030、1983;Susan
・P.C.Cole他、Cancer・Res.、4
4、2750−2753、1984;Martin・
V.Haspel他、Cancer・Res.、45、
3951−3961、1985;Richard・J.
Cote他、Proc.Natl.Acad.Sci.
USA、83、2959−2963、1986;Tho
mas・B.Kjeldsen他、Cancer・Re
s.、48、3208−3214、1988)、臨床的
に実用化できた例はまだない。
【0006】また、癌の中でも肺癌による死亡者数が急
激に増加しており、かつ手術後の5年生存率も非常に低
く、肺癌の診断・治療法が臨床の現場で強く望まれてい
る。肺癌の癌マーカーとして、肺腺癌の場合はシアリル
ルイスX(sialyl・Lewis・X;SLX)、
肺扁平上皮癌の場合はスクワマスセルカルシノーマ抗原
(squamous・cell・carcinoma・
antigen;SCC)、肺小細胞癌の場合はニュー
ロン特異的エノラーゼ(neuron・specifi
c・enolase;NSE)、肺癌全体としては癌胎
児性抗原(carcinoembryonic・ant
igen;CEA)などが多く用いられているが(有吉
寛、モダン・フィジシャン、12、981−985、1
992)、必ずしも満足のいくものではなく、しかもそ
れらの診断薬で用いられる抗体は、すべてマウス型モノ
クローナル抗体であり、体内診断薬や治療薬に使用する
ことは副作用の危険性から考えて好ましくはない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、肺癌に対して
特異性の高く、かつ肺癌細胞の核膜抗原と反応するヒト
型モノクローナル抗体を開発し、肺癌の診断・治療に用
いることが本発明の目的である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、先に、肺
癌に反応し、肺癌細胞株細胞膜抗原と反応し、かつ、分
子量約50万〜約80万の抗原に反応し得る、抗体重鎖
および抗体軽鎖のアミノ末端がブロックされているヒト
型モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ28K29
(FERM P−14119)および当該ヒト型モノク
ローナル抗体(特願平6−301836号明細書、平成
6年12月6日出願日)、肺癌に反応し、肺癌細胞株細
胞膜抗原と反応し、かつ、分子量50000±5000
の抗原に反応し得る、抗体重鎖として配列番号2記載の
アミノ酸配列を含有し、かつ抗体軽鎖として配列番号3
記載のアミノ酸配列含有するヒト型モノクローナル抗体
産生ハイブリドーマZLG40(FERM P−141
21)および当該ヒト型モノクローナル抗体(特願平6
−314407号明細書、平成6年12月19日出願
日)、肺癌に反応し、肺癌細胞株細胞膜抗原と反応し得
る、抗体重鎖として配列番号4記載のアミノ酸配列を含
有し、かつ抗体軽鎖として配列番号5記載のアミノ酸配
列含有するヒト型モノクローナル抗体産生ハイブリドー
マ27D57(FERM P−14120)および当該
ヒト型モノクローナル抗体(特願平7−001136号
明細書、平成7年1月9日出願日)を見いだした。
【0009】本発明者らは、鋭意研究の結果、肺癌細胞
株の核膜抗原と反応し、免疫組織染色において肺癌組織
と反応し、かつ、担癌マウスを用いた、癌部への集積性
実験で陽性かつ癌部の縮退を引き起こすことを特徴と
し、前記のヒト型モノクローナル抗体とは理化学的性質
が異なるヒト型モノクローナル抗体を見いだし、本発明
を完成した。
【0010】すなわち、本発明によるヒト型モノクロー
ナル抗体産生ハイブリドーマは、試験管内刺激したヒト
リンパ球とミエローマ細胞との細胞融合により作成され
たものである。このヒト型モノクローナル抗体は、肺腺
癌細胞株A549の核膜抗原と反応し、肺腺癌・肺扁平
上皮癌組織切片と反応し、さらにインビボ(in・vi
vo)実験で、すなわち肺癌細胞株A549を移植し
て、腫瘍を形成せしめた重症複合免疫不全マウス(se
vere・combined・immunodefic
iency・mouse;SCID)を用いた体内動態
実験で、抗体の集積性が陽性かつ腫瘍の縮退を引き起こ
す性質を有し、抗原としてSDS−ポリアクリルアミド
電気泳動上で主要なバンドとして分子量が非還元下で1
00万以上、還元下で20000〜80000の間の複
数の位置に反応し、抗体クラスおよび軽鎖はIgMでλ
鎖であり、このような性状を有するヒト型モノクローナ
ル抗体産生ハイブリドーマ29D38を見いだし、工業
技術院生命工学工業研究所に受託番号FERM P−1
4122号として寄託したもので、さらに当該ハイブリ
ドーマ29D38から産生された新規なヒト型モノクロ
ーナル抗体を見出した。
【0011】本発明のヒト型モノクローナル抗体は該ヒ
ト型モノクローナル抗体、該ヒト型モノクローナル抗体
断片、または該ヒト型モノクローナル抗体あるいは該ヒ
ト型モノクローナル抗体断片に、例えば放射性同位元素
(RI)、常磁性物質、光感受性物質、毒素または抗癌
物質などを結合させた免疫複合体などを有効成分とする
肺癌治療法・肺癌診断法に用いることが可能となり、ヒ
トに対してより安全な治療薬・診断薬を提供し得るもの
であることを見出した。
【0012】また、本発明のヒト型モノクローナル抗体
は、抗体重鎖としてアミノ末端がブロックされており、
かつ抗体軽鎖として配列番号1記載のアミノ酸配列を含
有するヒト型モノクローナル抗体であることを見出し
た。ただし、本明細書中、全てのアミノ酸配列の3文字
表示は当分野における標準表示に従っており、それらを
以下に列挙する。すなわち、Alaはアラニン、Arg
はアルギニン、Aspはアスパラギン酸、Glnはグル
タミン、Gluはグルタミン酸、Glyはグリシン、I
leはイソロイシン、Leuはロイシン、Lysはリシ
ン、Proはプロリン、Serはセリン、Thrはスレ
オニン、Tyrはチロシン、Valはバリン、Xxxは
不明なアミノ酸の残基をそれぞれ表す。
【0013】本発明は、上記の知見に基づいて完成され
たもので、工業技術院生命工学工業研究所に受託番号F
ERM P−14122号で寄託された細胞の特性を有
するハイブリドーマ29D38、工業技術院生命工学工
業研究所に受託番号FERMP−14122号で寄託さ
れた細胞の特性を有するハイブリドーマ29D38が産
生するヒト型モノクローナル抗体、当該ヒト型モノクロ
ーナル抗体若しくは該ヒト型モノクローナル抗体断片を
主成分とする癌検査薬、および当該ヒト型モノクローナ
ル抗体若しくは該ヒト型モノクローナル抗体断片を成分
とする癌治療薬である。
【0014】特に好適には、以下の特性を有する抗原: (1)該抗原は上記ハイブリドーマ29D38が産生す
るヒト型モノクローナル抗体によって結合され得: (2)該抗原が肺腺癌細胞株A549株の細胞抽出物中
に含まれ、かつSDS−ポリアクリルアミド電気泳動上
で主要なバンドとして、分子量が非還元下で100万以
上、還元下で20000〜120000の間の複数の位
置に存在し: (3)該抗原が肺腺癌細胞株A549株の核膜上に存在
し: (4)該抗原が肺癌患者癌組織中に存在する: を認識してなるIgMヒト型モノクローナル抗体産生能
を有するハイブリドーマ29D38である。
【0015】以下に、本発明について詳しく説明する
が、特に限定されるものではない。本発明は、肺癌と反
応する新規なヒト型モノクローナル抗体を作製すること
にあり、たとえば、次のようにして得ることができる。
すなわち、肺癌患者所属リンパ節をハサミで細切し、ガ
ーゼで不溶部分を除去し、低速遠心することにより、患
者の体内で癌細胞に感作された抗体産生細胞(B細胞)
を含むリンパ球を集める。これらの回収されたリンパ球
を細胞活性化因子、たとえばリポ多糖、レクチンあるい
は黄色ブドウ球菌死菌とサイトカインを含む培養液中
で、5%炭酸ガス存在下、37℃で約3日〜約8日間培
養を継続する。
【0016】その後、活性化されたリンパ球と融合親
株、たとえばP3X63Ag8.653(ATCC・C
RL・1580)やSP2/0−Ag14(ATCC・
CRL・1581)などのマウスミエローマ細胞親株あ
るいはSHM−D33(ATCC・CRL・1668)
やSHM−D36などのヒトーマウスヘテロミエローマ
細胞親株との細胞融合、たとえば電気的細胞融合法、ポ
リエチレングリコール法あるいはセイダイウィルス法に
より、融合細胞すなわちハイブリドーマを作製する。即
ち、該リンパ球とミエローマ細胞との細胞融合を行う。
【0017】例えば、該リンパ球とミエローマ細胞を、
10:1〜1:10、好ましくは、2:1〜1:1の比
率で混合し、等張液のソルビトール溶液(280mMソ
ルビトール、0.1mM酢酸カルシウム、0.5mM酢
酸マグネシウム、0.1%牛血清アルブミン)で1回洗
浄した後、低張ソルビトール溶液(70mMソルビトー
ル、0.1mM酢酸カルシウム、0.5mM酢酸マグネ
シウム、0.1%牛血清アルブミン)に混合した細胞を
再浮遊させ、5分後に、1.0KV/cm、15マイク
ロ秒の電気パルスを印加することにより、電気的細胞融
合(Foung,S他、J.Immunol.Meth
ods、134、35−42、1990;Zimmer
mann,U他、J.Immunol.Method
s、134、43−50、1990)を行えばよい。
【0018】電気パルス印加後、5分後に、低速遠心に
より低張ソルビトール液を除去し、ヒポキサンチン−ア
ミノプテリン−チミジン(HAT)選択培地に105
ell〜10×105 cell/mlになるように再浮
遊させ、96穴プレートに0.1ml/ウェルずつ分注
する。当該96穴プレートを37℃、CO2 インキュベ
ーターで、適宜培養状態を観察して2〜6週間培養を継
続し(例えば、富山朔二・安東民衛編;単クローン抗体
実験マニュアル、講談社サイエンティフィック、198
7年)、この培養の間に、光学顕微鏡的あるいは肉眼的
に細胞の集落(コロニー)が観察できたウェルに関し
て、それらの培養上清液を採取し、培養上清液中のヒト
型抗体の活性の検定および癌細胞株、たとえば肺癌腺癌
株A549(ATCC・CCL・185)との反応性の
検定を、たとえば酵素免疫測定法により行い、さらに肺
癌細胞株を用いた蛍光抗体法および肺癌組織を用いた免
疫組織化学法により、陽性ウェルの選別をする。
【0019】具体的には、増殖したウェルから再度培養
上清液を採取し、肺腺癌細胞株A549細胞との反応性
の検討を行う(Dorrenの方法、Br.J.Can
cer、45、491−497、1982)。すなわ
ち、10%牛胎児血清添加RDF培地(RPMI164
0培地:ダルベッコMEM培地:ハムF12培地を2:
1:1の割合で混合した培地;K.Aihara他、I
n・Vitro・Cellular&Developm
ental・Biology、24,959−962,
1988)中で、96穴の細胞培養用マイクロプレート
でサブコンフルエント状態に増殖した肺腺癌細胞株A5
49細胞をリン酸緩衝液生理食塩水(phosphat
e−buffered・saline;PBS緩衝液)
で一回洗浄後、0.05%グルタルアルデヒド添加PB
S緩衝液を100μlずつ分注し、室温、15分間静置
する。
【0020】15分後、0.05%ツイーン20(Tw
een20)添加PBS緩衝液で3回洗浄し、3%牛血
清アルブミン添加PBS緩衝液を200μlずつ加え
て、室温、一時間ブロッキングする。ブロッキング後、
0.05%Tween20添加PBS緩衝液で5回洗浄
し、培養上清液を50μlずつ分注する。室温、3時間
反応させた後、0.05%Tween20添加PBS緩
衝液で3回洗浄し、0.2%牛血清アルブミン添加PB
S緩衝液で1000倍に希釈したアルカリフォスファタ
ーゼ標識ヤギF(ab’)2 抗ヒトイミュノグロブリン
(タゴ社)を100μlずつ分注し、室温、一時間反応
させる。
【0021】反応後、三回洗浄し、アルカリフォスファ
ターゼ発色基質液(0.67Mのp−ニトロフェニルフ
ォスフェート、1Mジエタノールアミン、0.5mM塩
化マグネシウム、pH9.6)を100μlずつ分注
し、室温、10分間発色させた。発色後、1N水酸化ナ
トリウム液を100μlずつ添加して、反応を停止さ
せ、マイクロプレートリーダーにて、405nmの吸光
度を測定し、肺癌細胞株A549細胞との反応性を調べ
る。
【0022】また、肺癌組織を用いて、免疫組織化学的
検定をあわせて行う。すなわち、フォルマリン固定法、
アメックス(AMeX)包埋法(Sato、Y他、A
m.J.Pathol.、125、431−435、1
986;Sato、Y他、Am.J.Pathol.、
140、775−779、1992)および新鮮凍結切
片法の3種の方法で作製した肺癌組織切片を用いた免疫
組織化学法でヒト型抗体の肺癌特異性の検討を行う。
【0023】脱パラフィンは、フォルマリン固定組織切
片の場合はキシレン、エタノール系列で、AMeX包埋
法組織切片の場合はキシレン、アセトン系列で行った。
新鮮凍結組織切片および脱パラフィンしたAMeX組織
切片は、PBS緩衝液で一回洗浄後、4%パラフォルム
アルデヒド(0.1Mリン酸緩衝液、pH7.4)で室
温20分間固定をする。脱パラフィンしたフォルマリン
固定スライドおよびパラフォルムアルデヒド固定した新
鮮凍結切片スライドあるいはAMeX組織切片スライド
はPBS緩衝液で3回洗浄後、10%ヤギ正常血清で室
温15分間ブロッキング操作を行い、間接法変法(曽山
信彦他、日消誌、87、2635−2641;Soya
ma、N他、Gastroenterol.Jpn.、
24、581、1989)により行う。
【0024】すなわち、予めヒト型抗体を含む培養上清
液サンプルと400分の1量のパーオキシダーゼ標識ヤ
ギF(ab’)2 抗ヒトイミュノグロブリン(カペル
社)を室温3時間反応させた後、フリーのパーオキシダ
ーゼ標識ヤギF(ab’)2 抗ヒトイミュノグロブリン
をブロッキングするため、75分の1量のヒト正常血清
(カペル社)を加え、室温一時間さらに反応させる。こ
のヒト型抗体とパーオキシダーゼ標識ヤギF(ab’)
2 抗ヒトイミュノグロブリンの結合体を含む反応液0.
2mlを、脱パラフィンしたスライドあるいはパラフォ
ルムアルデヒド固定した新鮮凍結切片スライドにのせ、
4℃、18時間静置し、PBS緩衝液3回洗浄後、発色
基質液(0.02%ジアミノベンジジン、0.005%
過酸化水素水、50mMトリス−塩酸、pH7.6)で
5分間発色させる。
【0025】発色後、水で洗浄し、3倍希釈のハリスヘ
マトキシレンで対染色を行い、さらに水で十分に洗浄を
行う。その後、脱水反応を70%エタノール、80%エ
タノール、90%エタノール、100%エタノール(2
回)、100%キシレン(2回)の順序で行い、キシレ
ン系標本封入剤マウントクイック(大道産業株式会社)
で封入する。封入した組織切片スライドを光学顕微鏡的
な観察により、正常部位とは反応せず、肺癌組織と特異
的に反応するヒト型抗体の選別をする。
【0026】また、蛍光抗体法による選別は下記の如く
行えばよい。即ち、細胞培養用フラスコ(F75)を用
いて、10%牛胎児血清添加ダルベッコMEM培地中
で、サブコンフルエント状態まで増殖させた肺腺癌細胞
株A549細胞を0.02%エチレンジアミン4酢酸2
ナトリウム(EDTA)添加PBS緩衝液で処理して、
付着細胞を遊離させて、1200RPM、10分間の遠
心にて細胞を回収する。
【0027】回収したA549細胞2×105 個に対し
てハイブリドーマ培養上清液150μlを4℃、2時間
反応させた後、1200RPM、10分間遠心して、細
胞を沈澱させる。細胞を、PBS緩衝液で20倍に希釈
したFITC標識ヤギF(ab’)2 抗ヒト免疫グロブ
リン抗体(カペル社)100μlに再懸濁し、4℃、1
時間反応させた後、1200RPM、10分間遠心し
て、細胞を沈澱させる。細胞をPBS緩衝液で3回洗浄
後、50μlのPBS緩衝液に懸濁し、蛍光顕微鏡的な
観察を行えばよい。
【0028】このようにして肺癌と反応するヒト型モノ
クローナル抗体を産生するハイブリドーマを容易に得る
ことができ、該ハイブリドーマは限界希釈法によるクロ
ーニングを2ないし3回繰り返すことにより、ヒト型モ
ノクローナル抗体を安定的に生産するハイブリドーマの
株として樹立できる。この際、ヒト型モノクローナル抗
体産生ハイブリドーマを選択するに当たって、用いる培
地としてはハイブリドーマが生育し、増殖し得る培地で
あれば特に限定されるものではなく、例えばRPMI1
640培地、ダルベッコMEM培地、ハムF12培地、
イスコフ培地、GIT培地(日本製薬)やRDF培地
(RPMI1640培地:ダルベッコMEM培地:ハム
F12培地を2:1:1の割合で混合した培地;K.A
ihara他、In・Vitro・Cellular&
Developmental・Biology、24,
959−962,1988)などに牛胎児血清を1〜2
0%添加した培地あるいは無血清培地、例えばHYBR
IDOMA−SFM培地(GIBCO)、ノンセラム培
地(国際試薬)やSFM101培地(日水製薬)などが
挙げられる。
【0029】最終的には、工業的な抗体生産法に結び付
けるため、これらのハイブリドーマを無血清培地、例え
ば上記ハイブリドーマ−SFM(商標名:HYBRID
OMA−SFM、GIBCO社)培地、ノンセラム培地
(国際試薬)やSFM101培地(日水製薬)などの無
血清培地に順化し、無血清培養が可能なハイブリドーマ
株とする。以上のような方法により、肺癌と反応するヒ
ト型モノクローナル抗体を取得することができる。
【0030】上記の種々の選別法により選別したヒト型
モノクローナル抗体の中から、肺癌とより良く反応する
ヒト型モノクローナルを選び出し、該ヒト型モノクロー
ナル抗体を産生するハイブリドーマを29D38(工業
技術院生命工学工業研究所に受託番号FERM P−1
4122号として寄託した)と命名した。該ハイブリド
ーマが産生するヒト型モノクローナル抗体の調製は以下
の手順に従って行えば良い。
【0031】即ち、ヒト型モノクローナル抗体産生ハイ
ブリドーマを移植し上記した如くの常法の培地を用いて
培養するもので、例えば37℃、5%CO2 インキュベ
ーターにいれて、1週間〜6週間培養する。次いで培養
物を回収し、適宜の吸着カラム、例えばハイドロキシア
パタイトカラムを用いて吸着、溶出して単離、回収し、
適宜、例えばゲル濾過、イオン交換クロマトにて精製す
れば良い。
【0032】例えば、培養上清液をハイドロキシアパタ
イトカラム(PENTAX−SH−2010C−直径2
1.5mm×100mm、旭光学工業株式会社)に直接
負荷し、ヒト型モノクローナル抗体をカラムに吸着さ
せ、40mMリン酸緩衝液(pH6.8)で十分に洗浄
した後、40mM〜400mMのリン酸緩衝液(pH
6.8)の直線的濃度勾配溶出法により、抗体部分を約
300mM付近で溶出させればよく、適宜安定化剤、例
えばグリセリンや糖類を添加して凍結乾燥品としてもよ
い。
【0033】本発明によるヒト型モノクローナル抗体を
用いた癌検査薬としては、RIA、EIAなどの免疫化
学的癌検査薬、病理組織標本を使用する病理診断薬など
の体外診断薬とともに、RI(放射性同位元素)や常磁
性物質などを結合標識させ患者の体内に投与し、例えば
γ−カメラあるいはMRI(核磁気共鳴イメージング)
装置などにて腫瘍部を描出する体内診断薬が含まれる。
【0034】ヒト型モノクローナル抗体は、例えばペプ
シン処理などにより抗体断片としたものでも良く、例え
ば以下の如く行えば容易に得ることができる。即ち、精
製したヒト型モノクローナル抗体液を0.15M塩化ナ
トリウム添加0.02M酢酸ナトリウム緩衝液(pH
4.0)に対して4℃、16時間透析し、最終的に50
μg/ml(5ml)の濃度に調製する。当該緩衝液に
溶解したペプシン(シグマ社)を重量比で抗体に対して
25分の1の量比で添加し、32℃、60分間反応さ
せ、60分後、酵素反応は0.2Mトリス−塩酸緩衝液
(pH8.2)を体積比で反応液に対して5分の1量を
添加して停止させる。
【0035】ペプシン消化検体を500μlづつ、Pr
otein−KW2003−GFCカラム(昭和電工、
直径20mmx300mm)に負荷して、高速液体クロ
マトグラフィー(HPLC)にてゲル濾過分離を行う。
カラムの平衡緩衝液及び溶出緩衝液は例えば0.15M
塩化ナトリウム添加0.01Mトリス塩酸緩衝液(pH
7.2)を用いて、2.5ml/minの条件で行い、
280nmの吸光度にて蛋白の検出をする。
【0036】ゲル濾過的分子量が約13万付近のピーク
部分を集め、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動的に
非還元条件下で約13.4万であることを確認し、ま
た、還元条件下では、約2.5万及び約4.2万の分子
量の2つのバンドを確認する。このゲル濾過的な分子量
で約13万のピーク部分をプールして、精製F(a
b’)2 として用いれば良い。
【0037】例えば、癌検査薬、例えば病理組織標本を
使用する病理診断薬としては以下の如く行えば良い。す
なわち、肺癌組織を外科的に切除した後、フォルマリン
固定法、AMeX包埋法、新鮮凍結切片法などの方法で
肺癌組織切片プレパラート(約3μm〜約10μm切
片)を作製する(例えば、細胞組織化学・1990、1
990年、日本組織細胞化学会編、学際企画;細胞組織
化学・1991、1991年、日本組織細胞化学会編、
学際企画)。脱パラフィンは、フォルマリン固定組織切
片の場合はキシレン、エタノール系列で、AMeX包埋
法組織切片の場合はキシレン、アセトン系列で行う。新
鮮凍結組織切片および脱パラフィンしたAMeX組織切
片は、PBS緩衝液で一回洗浄後、4%パラフォルムア
ルデヒド(0.1Mリン酸緩衝液、pH7.4)で室温
20分間固定をする。
【0038】脱パラフィンしたフォルマリン固定スライ
ドおよびパラフォルムアルデヒド固定した新鮮凍結切片
スライドあるいはAMeX組織切片スライドはPBS緩
衝液で3回洗浄後、10%ヤギ正常血清で室温15分間
ブロッキング操作を行い、例えば間接法変法(曽山信彦
他、日消誌、87、2635−2641;Soyam
a,N他、Gastroenterol.Jpn.、2
4、581、1989)により行う。
【0039】すなわち、予めヒト型モノクローナル抗体
あるいは当該ヒト型モノクローナル断片を含有するヒト
型抗体液(0.1μg/ml〜20μg/ml)と40
0分の1量のパーオキシダーゼ標識ヤギF(ab’)2
抗ヒトイミュノグロブリン(カペル社)を室温3時間反
応させた後、フリーのパーオキシダーゼ標識ヤギF(a
b’)2 抗ヒトイミュノグロブリンをブロッキングする
ため、75分の1量のヒト正常血清(カペル社)を加
え、室温1時間さらに反応させる。このヒト型抗体とパ
ーオキシダーゼ標識ヤギF(ab’)2 抗ヒトイミュノ
グロブリンの結合体を含む反応液0.2mlを、脱パラ
フィンしたスライドあるいはパラフォルムアルデヒド固
定した新鮮凍結切片スライドにのせ、4℃、18時間静
置し、PBS緩衝液3回洗浄後、発色基質液(0.02
%ジアミノベンジジン、0.005%過酸化水素水、5
0mMトリス−塩酸、pH7.6)で5分間発色させ
る。
【0040】発色後、水で洗浄し、3倍希釈のハリスヘ
マトキシレンで対染色を行い、さらに水で十分に洗浄を
行う。その後、脱水反応を70%エタノール、80%エ
タノール、90%エタノール、100%エタノール(2
回)、100%キシレン(2回)の順序で行い、キシレ
ン系標本封入剤マウントクイック(大道産業株式会社)
で封入する。封入した組織切片スライドを光学顕微鏡的
な観察により、肺癌組織部位あるいは正常部位との反応
性の検定を行う。以上のような方法にて、病理組織標本
を用いた病理診断としての癌診断が容易にできる。
【0041】また、例えばRI標識ヒト型抗体を用いた
体内検査薬としては以下の如く行えば良い。RIとして
は、例えばIn−111、Tc−99m、I−131や
I−123等が挙げられる。RIによる抗体標識法とし
てはジエチレントリアミンペンタ酢酸(diethyl
enetriaminepentaacetic・ac
id;DTPA)等のキレート化合物を用いるキレート
法やシュヴァルツ(Schwartz)法(J.Nuc
l.Med.、31,692−697,1990)など
があるが特に限定されるものではなく、当業者にとり容
易で有れば何等問題はない。投与するRI標識ヒト型モ
ノクローナル抗体の量は、患者の年齢、症状、体重等に
よって異なるが、ヒトを含む哺乳動物に対し、標識抗体
約0.1mg〜約40mg、好ましくは非標識抗体0m
g〜100mgとともに、例えば静注投与すれば良い。
投与後、約1日〜約10日目にγ−カメラにて、撮像
し、癌部を描出すれば良い。
【0042】本発明によるヒト型モノクローナル抗体を
用いた癌治療薬としては、ヒト癌細胞株A549を移植
し、腫瘍を形成せしめたSCIDマウスで腫瘍の縮退が
観察されるため、単独投与でも良い。それ以外に、ヒト
型モノクローナル抗体またはその抗体断片を用いる場
合、毒性物質、例えば、毒素蛋白質、RI、抗癌剤等を
結合させた免疫複合体とした形態でも十分に有効であ
る。毒素蛋白質としては、例えばリシン、ジフテリア毒
素、腫瘍壊死因子等が挙げられ、RIとしては、例えば
I−131、Y−90、Re−186等が挙げられ、抗
癌剤としては、例えばアドリアマイシン、ビンクリスチ
ン、ドクソルーブシン等がそれぞれ挙げられる。
【0043】ヒト型モノクローナル抗体単独投与による
癌の治療は以下の如くにすれば良い。本発明のヒト型モ
ノクローナル抗体は、単独でまたは1種以上の製剤上許
容される補助剤とともに抗腫瘍剤として用いることがで
きる。例えば、ヒト型モノクローナル抗体を、生理食塩
水やマンニトール等の水溶液に溶解して適当な癌治療薬
とすれば良い。または、ヒト型モノクローナル抗体を常
法により粉末注射剤としても良い。
【0044】投与するヒト型モノクローナル抗体の量
は、患者の年齢、症状、体重等によって異なるが、ヒト
を含む哺乳動物に対し、癌治療薬としてのヒト型モノク
ローナル抗体を約0.1mg〜約20mg/kg/日投
与する。投与は、常法に従って、1日1回(単回投与ま
たは連日投与)または間歇的に1週間に1〜3回、2、
3週間に1回静注や腫瘍内注射などにより行う。本癌治
療薬は、肺癌などの癌の治療に効果が期待される。
【0045】
【実施例】つぎに実施例にもとづいて本発明を説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】
【実施例1】 肺癌組織と特異的に反応するヒト型モノクローナル抗体 (1)ヒトリンパ球の調製及び細胞融合 肺癌患者所属リンパ節を外科的手術により無菌的に摘出
し、冷RPMI1640培地中に浸し、ハサミでリンパ
節を細切し、二重のガーゼで不溶部分を除き、低速遠心
機で1200RPM、10分間遠心して、リンパ球部分
を沈澱として集める。集めたリンパ球をPBS緩衝液に
再懸濁し、再度低速遠心機で1200RPM、10分間
遠心して、リンパ球部分を沈澱として集め、リンパ球を
洗浄する。洗浄したリンパ球を15%牛胎児血清添加R
DF培地(RPMI1640培地:ダルベッコMEM培
地:HamF12培地=2:1:1の割合で混合した培
地)に再懸濁し、細胞密度を約3〜5×106 細胞/m
lとして、リポ多糖(大腸菌0127:B8、シグマ
社、アメリカ)を20μg/mlの濃度、インターロイ
キン1βを50u/mlの濃度、インターロイキン4を
100u/mlの濃度、インターロイキン7を100u
/mlの濃度、かつステムセルファクターを50ng/
mlの濃度で添加したリンパ球液2mlを6穴プレート
に分注した。
【0047】このプレートを37℃、5%炭酸ガス培養
器で、5日間培養した後、1200RPM、10分間の
低速遠心によりリンパ球細胞を回収した。また、10%
牛胎児血清添加RDF培地で培養し、増殖フェーズにあ
る融合親株マウスミエローマP3X63Ag8.653
(ATCC・CRL・1580)も同様に遠心操作によ
り、細胞を回収した。
【0048】それぞれ回収したリンパ球細胞と融合親株
細胞を1:1の割合で混合し、電気的細胞融合法(Fo
ung,S他、J.Immunol.Methods、
134、35−42、1990;Zimmerman
n,U他、J.Immunol.Methods、13
4、43−50、1990)により細胞融合を行った。
すなわち、混合した細胞を300L3液(280mMs
orbitol、0.1mM酢酸カルシウム、0.5m
M酢酸マグネシウム及び1mg/ml牛血清アルブミ
ン)で一度洗浄した後、細胞を遠心回収し、75L3液
(70mMsorbitol、0.1mM酢酸カルシウ
ム、0.5mM酢酸マグネシウム及び1mg/ml牛血
清アルブミン)2.5mlに再懸濁した。
【0049】5分後、島津製作所の電気的細胞融合装置
SSH−1を用いて、1MHz、1.00kV/cm、
15μsの条件下、0.83ml/チェインバーづつ、
電気的パルスを加えた。パルス後、5分間静置し、細胞
浮遊液を30mlのハイブリドーマ選択培地(100μ
Mヒポキサンチン、16μMチミジン、0.4μMアミ
ノプテリン、5μg/ml牛インシュリン、5μg/m
lヒトトランスフェリン、5ng/ml亜セレン酸ナト
リウム、50μMの2−メルカプトエタノール、20U
/mlリコンビナントヒトインターロイキン−6、40
%のバルブ/cマウス脾臓細胞培養上清液、10%牛胎
児血清を含むRDF培地)に懸濁し、細胞懸濁液を0.
1mlづつ96穴細胞培養用マイクロプレートに分注し
た。マイクロプレートを37℃、5%炭酸ガス培養器に
いれて、約2週間〜約4週間培養を継続した。 (2)肺癌細胞反応性ハイブリドーマの選択 約2週間〜約4週間培養を継続した96穴マイクロープ
レートを光学顕微鏡的な観察により、コロニーが認めら
れたウェルに関して、培養上清液25μlを採取しヒト
型抗体の産生能を検定した。すなわち、抗ヒトイミュノ
グロブリンヤギ抗体(タゴ社、アメリカ)を0.1M重
炭酸緩衝液(pH9.3)で1000倍希釈し、ELI
SA(酵素免疫法)用96穴プレートに100μlずつ
分注し、4℃、1夜(16時間)静置した後、PBS緩
衝液で3回洗浄し、3%牛血清アルブミン含有PBS緩
衝液でプレートを室温、一時間ブロッキンングした。
【0050】ブロッキング後、PBS緩衝液で2回洗浄
し、25μlの培養上清液と25μlのPBS緩衝液を
分注した。37℃、一時間反応させた後、PBS緩衝液
で3回洗浄し、0.2%牛血清アルブミン添加PBS緩
衝液で2000倍希釈したパーオキシダーゼ標識ヤギF
(ab’)2 抗ヒトイミュノグロブリン(カペル社、ア
メリカ)を100μlずつ分注し、37℃、30分間反
応させた。反応後、PBS緩衝液で3回洗浄し、パーオ
キシダーゼ発色基質液(0.1Mクエン酸:0.2MN
2 HPO4 :水=5ml:5ml:10mlの緩衝液
に10mgオルトフェニレンジアミン/20mlと10
μl30%過酸化水素水/20mlを添加した液)を1
00μlずつ分注し、室温、10分間発色させた。発色
後、1N塩酸を100μlずつ加え、反応を停止させ、
490nmの吸光度をマイクロプレートリーダーにて測
定し、抗体産生能の検定評価を行った。
【0051】また、抗体のクラスおよび軽鎖は、免疫酵
素測定法により行った。すなわち、一次抗体として、抗
ヒトイミュノグロブリンヤギ抗体(タゴ社、アメリカ)
を0.1M重炭酸緩衝液(pH9.3)で1000倍希
釈し、ELISA(酵素免疫法)用96穴プレートに1
00μlずつ分注し、4℃、1夜(16時間)静置した
後、PBS緩衝液で3回洗浄し、3%牛血清アルブミン
含有PBS緩衝液でプレートを室温、1時間ブロッキン
ングした。
【0052】ブロッキング後、PBS緩衝液で2回洗浄
し、25μlの培養上清液と25μlのPBS緩衝液を
分注した。37℃、一時間反応させた後、PBS緩衝液
で3回洗浄し、0.2%牛血清アルブミン添加PBS緩
衝液で1000倍希釈したアルカリフォスファターゼ標
識ヤギF(ab’)2 抗ヒトIgM(タゴ社、アメリ
カ)、アルカリフォスファターゼ標識ヤギF(ab’)
2 抗ヒトIgG(タゴ社、アメリカ)、アルカリフォス
ファターゼ標識ヤギF(ab’)2 抗ヒトIgA(タゴ
社、アメリカ)、アルカリフォスファターゼ標識ヤギF
(ab’)2 抗ヒトIgλ鎖(タゴ社、アメリカ)あう
いはアルカリフォスファターゼ標識ヤギF(ab’)2
抗ヒトIgκ鎖(タゴ社、アメリカ)を100μlずつ
分注し、37℃、30分間反応させた。反応後、PBS
緩衝液で3回洗浄し、アルカリフォスファターゼ発色基
質液(0.67Mのp−ニトロフェニルフォスフェー
ト、1Mジエタノールアミン、0.5mM塩化マグネシ
ウム、pH9.6)を100μlずつ分注し、室温、1
0分間発色させた。
【0053】発色後、1N・水酸化ナトリウム液を10
0μlずつ添加して、反応を停止させ、マイクロプレー
トリーダーにて、405nmの吸光度を測定し、抗体の
クラスおよびL鎖を調べた。抗体産生能陽性のウェルに
関して、培養を拡大し、24穴プレートを用いて、0.
5mlのスケールで培養を継続した。増殖したウェルか
ら再度培養上清液を採取し、肺腺癌細胞株A549細胞
との反応性の検討をした(Dorrenの方法、Br.
J.Cancer、45、491−497、198
2)。すなわち、10%牛胎児血清添加RDF培地中
で、96穴の細胞培養用マイクロプレートでサブコンフ
ルエント状態に増殖した肺腺癌細胞株A549細胞をP
BS緩衝液で一回洗浄後、0.05%グルタルアルデヒ
ド添加PBS緩衝液を100μlずつ分注し、室温、1
5分間静置した。15分後、0.05%Tween20
添加PBS緩衝液で3回洗浄し、3%牛血清アルブミン
添加PBS緩衝液を200μlずつ加えて、室温、1時
間ブロッキングした。
【0054】ブロッキング後、0.05%Tween2
0添加PBS緩衝液で5回洗浄し、培養上清液を50μ
lずつ分注した。室温、3時間反応させた後、0.05
%Tween20添加PBS緩衝液で3回洗浄し、0.
2%牛血清アルブミン添加PBS緩衝液で1000倍に
希釈したアルカリフォスファターゼ標識ヤギF(a
b’)2 抗ヒトイミュノグロブリン(タゴ社)を100
μlずつ分注し、室温、1時間反応させた。反応後、三
回洗浄し、アルカリフォスファターゼ発色基質液(0.
67Mのp−ニトロフェニルフォスフェート、1Mジエ
タノールアミン、0.5mM塩化マグネシウム、pH
9.6)を100μlずつ分注し、室温、10分間発色
させた。
【0055】発色後、1N・水酸化ナトリウム液を10
0μlずつ添加して、反応を停止させ、マイクロプレー
トリーダーにて、405nmの吸光度を測定し、A54
9細胞との反応性を調べた。また、肺癌組織を用いて、
免疫組織化学的検定をあわせて行った。すなわち、フォ
ルマリン固定法、AMeX包埋法および新鮮凍結切片法
の3種の方法で作製した肺癌組織切片を用いた免疫組織
化学法でヒト型抗体の肺癌特異性の検討を行った。脱パ
ラフィンは、フォルマリン固定組織切片の場合はキシレ
ン、エタノール系列で、AMeX包埋法組織切片の場合
はキシレン、アセトン系列で行った。新鮮凍結組織切片
および脱パラフィンしたAMeX組織切片は、PBS緩
衝液で1回洗浄後、4%パラフォルムアルデヒド(0.
1Mリン酸緩衝液、pH7.4)で室温20分間固定を
した。
【0056】脱パラフィンしたフォルマリン固定スライ
ドおよびパラフォルムアルデヒド固定した新鮮凍結切片
スライドあるいはAMeX組織切片スライドはPBS緩
衝液で3回洗浄後、10%ヤギ正常血清で室温15分間
ブロッキング操作を行い、間接法変法(曽山信彦他、日
消誌、87、2635−2641;Soyama,N
他、Gastroenterol.Jpn.、24、5
81、1989)により行った。
【0057】すなわち、予めヒト型抗体を含む培養上清
液サンプルと400分の1量のパーオキシダーゼ標識ヤ
ギF(ab’)2 抗ヒトイミュノグロブリン(カペル
社)を室温3時間反応させた後、フリーのパーオキシダ
ーゼ標識ヤギF(ab’)2 抗ヒトイミュノグロブリン
をブロッキングするため、75分の1量のヒト正常血清
(カペル社)を加え、室温1時間さらに反応させる。こ
のヒト型抗体とパーオキシダーゼ標識ヤギF(ab’)
2 抗ヒトイミュノグロブリンの結合体を含む反応液0.
2mlを、脱パラフィンしたスライドあるいはパラフォ
ルムアルデヒド固定した新鮮凍結切片スライドにのせ、
4℃、18時間静置し、PBS緩衝液3回洗浄後、発色
基質液(0.02% ジアミノベンジジン、0.005
%過酸化水素水、50mM トリス−塩酸、pH7.
6)で5分間発色させた。
【0058】発色後、水で洗浄し、3倍希釈のハリスヘ
マトキシレンで対染色を行い、さらに水で十分に洗浄を
行った。その後、脱水反応を70%エタノール、80%
エタノール、90%エタノール、100%エタノール
(2回)、100%キシレン(2回)の順序で行い、キ
シレン系標本封入剤マウントクイック(大道産業株式会
社)で封入した。封入した組織切片スライドを光学顕微
鏡的な観察により、正常部位とは反応せず、肺癌組織と
特異的に反応するヒト型抗体の選別をした。このように
して選別したヒト型抗体を産生するハイブリドーマを3
回サブクローニングして、安定的に抗体を産生するハイ
ブリドーマを得た。
【0059】最終的には、このハイブリドーマを無血清
培地HYBRIDOMA−SFM(ギブコ社、アメリ
カ)に順化させ、ヒト型モノクローナル抗体を産生する
ハイブリドーマ29D38を得た。このハイブリドーマ
29D38の培養上清液を用いて、再度上記に示した肺
癌細胞株A549との反応性の検討および免疫組織化学
的検討を行った。検討を行うにあたって、本発明のヒト
型モノクローナル抗体の他に、肺癌組織と反応しないヒ
ト型抗体(カペル社)を用いて比較を行った。
【0060】下記の表1は免疫組織学的検討結果であ
り、図1は肺癌細胞株A549との反応性の検討結果で
ある。図1は、ヒト型抗体の肺腺癌細胞株A549との
反応性を405nmの吸光度で示した図である。N=3
で測定を行い、平均値と標準偏差を表した。hIgM
(カペル社)は陰性対照としてのヒト型抗体である。ま
た、表1中、Frozenは凍結肺癌組織切片を、AM
eXはAMeX固定肺癌組織切片を、Formalin
はFormalin固定肺癌組織切片を、Adは肺腺癌
組織切片を、Sqは肺扁平上皮癌組織切片を、それぞれ
表し、数値は陽性数/測定数を示した。
【0061】
【表1】
【0062】この結果、ハイブリドーマ29D38が産
生するヒト型モノクローナル抗体は図1により肺癌細胞
株と反応することが明かとなり、表1により凍結肺癌組
織切片あるいはAMeX固定肺癌組織切片を用いても良
好に反応することが判明した。すなわち、病理組織標本
を用いた病理診断薬としての有効性を示した。また、抗
体のクラスおよび軽鎖は、免疫酵素測定法により、Ig
Mでλ鎖であった。
【0063】
【実施例2】 精製ヒト型モノクローナル抗体を用いた担癌マウスへの
抗体集積性 (1)ヒト型モノクローナル抗体の精製 無血清培地HYBRIDOMA−SFMに順化したハイ
ブリドーマを2Lのスケールのスピナーフラスコ培養
(25RPM)により、37℃、CO2 インキュベータ
ーで、7日間培養して、ハイブリドーマの無血清培養上
清液を得た。培養上清液には、防腐剤として、0.05
%アジ化ナトリウムを添加し、ヒト型モノクローナル抗
体の精製を行った。すなわち、培養上清液をハイドロキ
シアパタイトカラム(PENTAX−SH−2010C
−φ21.5mm×100mm、旭光学工業株式会社)
に直接負荷し、ヒト型モノクローナル抗体をカラムに吸
着させた。40mMリン酸緩衝液(pH6.8)で十分
に洗浄した後、40mMから400mMのリン酸緩衝液
(pH6.8)の直線的濃度勾配溶出法により、抗体部
分を約300mM付近で溶出させた。
【0064】肺癌細胞株A549と反応し、かつヒト型
抗体活性がある分画(約300mMリン酸緩衝液付近)
を集めて、精製ヒト型モノクローナル抗体画分(2mg
蛋白/ml)16mlを得た。SDS−電気泳動的に
は、シングルバンドとして確認できた。 (2)担癌マウスを用いたヒト型モノクローナル抗体の
体内集積性 重症複合免疫不全マウスSCID(6週令、♀、日本ク
レア社)に、対数増殖期にあるヒト肺癌腺癌細胞株A5
49細胞を107 個背側皮下注射し、8日後に、ヒト型
モノクローナル抗体を100μgを尾静注した。抗体投
与後7日目に血液、脳、心臓、肺、肝、胃、脾、腎およ
び腫瘍を摘出した。
【0065】摘出した各臓器は、PBS緩衝液中に浸し
て脱血させ、0.2%Tween20添加PBS緩衝液
中で、ホモジェナイズした後、4℃、20時間放置し、
蛋白を抽出した。ホモジネートを10,000RPM、
30分間遠心し、上清を蛋白抽出試料とした。血液は室
温に30分放置した後、2500RPM、20分間遠心
し、上清を血清検体とした。
【0066】血清および蛋白抽出試料中のヒト型モノク
ローナル抗体の量は酵素免疫測定法により算出した。す
なわち、30mMトリスー塩酸緩衝液(pH8.8)に
て1000倍に希釈したヤギ抗ヒト免疫グロブリン(カ
ペル社)を50μlづつウェルに分注した96穴マイク
ロプレートを室温、2時間静置し、0.02%Twee
n20添加PBS緩衝液で2回洗浄し、5%スキムミル
クと0.02%Tween20を添加したPBS緩衝液
100μlを分注して、ウェルのブロッキングを行っ
た。
【0067】室温、2時間経過後、0.02%Twee
n20添加PBS緩衝液で2回洗浄し、50μlの2倍
づつ希釈した血清検体あるいは蛋白抽出試料を分注し
た。室温、3時間後、0.02%Tween20添加P
BS緩衝液で5回洗浄し、50μlの0.02%Twe
en20と0.2%牛血清アルブミン添加PBS緩衝液
で1000倍に希釈したアルカリフォスファターゼ標識
ヤギF(ab’)2抗ヒトIgM抗体を分注した。
【0068】室温、2時間後、0.02%Tween2
0添加PBS緩衝液で5回洗浄し、アルカリフォスファ
ターゼ発色基質液(0.67Mのp−ニトロフェニルフ
ォスフェート、1Mジエタノールアミン、0.5mM塩
化マグネシウム、pH9.6)を100μlずつ分注
し、室温、10分間発色させた。発色後、1N・水酸化
ナトリウム液を100μlずつ添加して、反応を停止さ
せ、マイクロプレートリーダーにて、405nmの吸光
度を測定し、IgM抗体量の定量を行った。
【0069】検討を行うにあたって、本発明のヒト型モ
ノクローナル抗体の他に、肺癌組織と反応しないヒト型
抗体(IgM、カペル社)を用いて比較を行った。ヒト
型抗体を用いて、担癌マウスの腫瘍部への抗体集積性の
結果を図2に示した。図2は、ヒト型抗体の担癌SCI
Dマウス腫瘍部への集積性を腫瘍部への単位重量当たり
の集積量(T)の血液への単位重量当たりの集積量
(B)に対する比(T/B)で表した図である。N=2
で測定を行い、平均値と標準偏差を表した。
【0070】その結果、ハイブリドーマ29D38が産
生するヒト型モノクローナル抗体の場合は、陰性対照
(カペル社IgM)の抗体に比較しても腫瘍部への顕著
な抗体集積性が認められ、さらに、ハイブリドーマ29
D38が産生するヒト型モノクローナル抗体の場合は、
腫瘍の縮退が肉眼的に観察された。
【0071】
【実施例3】 蛍光抗体法による抗原局在の検討 細胞培養用フラスコ(F75)を用いて、10%牛胎児
血清添加ダルベッコMEM培地中で、サブコンフルエン
ト状態まで増殖させた肺癌腺癌細胞株A549細胞を
0.02%EDTA添加PBS緩衝液で処理して、付着
細胞を遊離させて、1200RPM、10分間の遠心に
て細胞を回収した。
【0072】回収したA549細胞2×105 個に対し
てハイブリドーマ培養上清液150μlを4℃、2時間
反応させた後、1200RPM、10分間遠心して、細
胞を沈澱させた。細胞を、PBS緩衝液で20倍に希釈
したFITC標識ヤギF(ab’)2 抗ヒト免疫グロブ
リン抗体(カペル社)100μlに再懸濁し、4℃、1
時間反応させた後、1200RPM、10分間遠心し
て、細胞を沈澱させた。細胞をPBS緩衝液で3回洗浄
後、50μlのPBS緩衝液に懸濁し、蛍光顕微鏡的な
観察を行った。
【0073】その結果、ハイブリドーマ29D38が産
生するヒト型モノクローナル抗体は肺癌腺癌細胞A54
9の核膜抗原と反応することが蛍光顕微鏡的に観察でき
た。
【0074】
【実施例4】 F(ab’)2 抗体断片を用いた担癌マウスへの抗体集
積性 (1)ペプシン処理によるF(ab’)2 抗体断片の作
製 実施例2で示した方法により精製したヒト型モノクロー
ナル抗体液を0.15M塩化ナトリウム添加0.02M
酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)に対して4℃、1
6時間透析し、最終的に50μg/ml(5ml)の濃
度に調製した。当該緩衝液に溶解したペプシン(シグマ
社)を重量比で抗体に対して25分の1の量比で添加
し、32℃、60分間反応させた。60分後、酵素反応
は0.2Mトリス−塩酸緩衝液(pH8.2)を体積比
で反応液に対して5分の1量を添加して停止した。
【0075】ペプシン消化検体を500μlづつ、Pr
otein−KW2003−GFCカラム(昭和電工、
直径20mmx300mm)に負荷して、ゲル濾過分離
を行った。高速液体クロマトグラフィーHPLCは、島
津LC−6Aを用いた。カラムの平衡緩衝液及び溶出緩
衝液は0.15M塩化ナトリウム添加0.01Mトリス
塩酸緩衝液(pH7.2)を用いて、2.5ml/mi
nの条件で行い、280nmの吸光度にて蛋白の検出を
した。
【0076】ゲル濾過的分子量が約13万付近のピーク
部分を集め、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動的に
非還元条件下で約13.4万であることを確認した。ま
た、還元条件下では、約2.5万及び約4.2万の分子
量の2つのバンドが確認できた。従って、このゲル濾過
的な分子量で約13万のピーク部分をプールして、精製
F(ab’)2 として、以下の実験に用いた。 (2)精製F(ab’)2 を用いた担癌SCIDマウス
への抗体集積性 実施例2の(2)の実験と同様に、ヒト肺癌腺癌細胞株
A549をSCIDマウスに背側皮下注射し、腫瘍を形
成させ、8日後に、精製F(ab’)2 をそれぞれ50
μgづつ尾静注した。抗体投与後4日目に各種臓器を摘
出し、EIA法にて各種臓器に集積したヒト型モノクロ
ーナル抗体F(ab’)2 断片を定量した。
【0077】検討を行うにあたって、本発明のヒト型モ
ノクローナル抗体の他に、肺癌組織と反応しないヒト型
抗体(IgM、カペル社)を用いて比較を行った。その
結果、単位重量当たりの腫瘍部への集積量(T)の単位
重量当たりの血液への集積量(B)の比(T/B)は、
29D38−F(ab’)2 抗体断片の場合が4.5、
hIgM−F(ab’)2 抗体断片の場合が0.2であ
った。したがって、F(ab’)2 抗体断片を用いた場
合も腫瘍部への集積性が顕著に認められた。
【0078】
【実施例5】 対応抗原の生化学的解析 (1)肺癌細胞株からの細胞抽出物の調製 ハイブリドーマ29D38産生ヒト型モノクローナル抗
体が結合する物質を明らかにするため、肺癌細胞株A5
49の細胞抽出物を作製し、ウエスタンブロットによ
り、対応抗原の分子量をもとめた。75cm2 の細胞培
養用フラスコ(4本)にて、A549細胞を培養し、サ
ブコンフルエント状態になった時、細胞を集めた。すな
わち、付着細胞をPBS緩衝液にて1度洗浄した後、
0.02%EDTA/PBSを10mlづつフラスコに
分注して、37℃、10分間静置した。
【0079】その後、5%牛胎児血清添加RDF培地を
5ml加え、セルスクレイパーにて細胞を集めた。12
00rpm、5分間の低速遠心にて、細胞を集め、細胞
抽出緩衝液(1%トライトンX100、5μg/mlの
ロイペプチン、5μg/mlのキモスタチン、5μg/
mlのペプスタチンA、1mMのフェニルメチルスルフ
ォニルフルオライドを添加したPBS緩衝液、pH7.
4)1mlを加え、細胞を懸濁し、0℃、45分間、5
分毎に撹拌し、静置した。45分後、2000rpm、
5分間遠心し、上清を新しい遠心管に移し、さらに10
000rpm、30分間遠心し、遠心上清液を集めた。
この上清液を細胞抽出物として、ウェスタンブロット実
験に用いた。 (2)ウェスタンブロット 細胞抽出物10μlをSDS電気泳動用緩衝液(0.0
625Mトリス塩酸pH6.8、10%グリセロール、
2%SDS、5%の2−メルカプトエタノール[還元下
条件時のみ添加]、0.005%ブロモフェノールブル
ー色素)40μlで5倍に希釈し、94℃,3分間熱処
理した。
【0080】熱処理サンプルを氷冷し、SDS−ポリア
クリルアミドゲル(2−15%、第1化学薬品社)のレ
ーンに5μlづつアプライした。電気泳動は、電気泳動
緩衝液(トリス−ヒドロキシメチル−アミノメタン3.
0g、グリシン14.4g、SDS1gを蒸留水に溶解
し全量を1Lとした液)にて、20mAの定電流で約1
時間泳動した。泳動後、イモビロン−P(PVDF膜、
ミリポア社)に、20%メタノール添加SDS電気泳動
用緩衝液を用いて、セミドライ型のブロッティング装置
(バイオラッド社)で、100mAの定電流の条件下で
1時間ブロットした。
【0081】ブロッティング後、5%スキンミルクで室
温、30分間、膜をブロッキングした。その後、ビオチ
ン化標識抗体1μg/ml(0.5%スキンミルク/P
BS中)で、室温、1時間反応させ、0.02%Twe
en20添加PBS緩衝液で3回洗浄した。洗浄後、ア
ルカリフォスファターゼ標識ストレプトアビジン1μg
/ml(0.5%スキンミルク/PBS中)で、室温、
0.5時間反応させ、0.02%Tween20添加P
BS緩衝液で3回洗浄した。洗浄後、BCIP/NBT
発色キット(Kirkegaard&Perry社、N
o.50−81−00)にて発色させ、発色後、水洗し
反応を停止させた。
【0082】この結果、ハイブリドーマ29D38が産
生するヒト型モノクローナル抗体を用いた場合、A54
9細胞抽出物において、SDS−ポリアクリルアミド電
気泳動上で主要なバンドとして、分子量が非還元下で1
00万以上、還元下で20000〜120000の間の
複数の位置のバンドが認められた。従って、これらの対
応抗原は癌細胞株に顕著に発現されていることが確認で
きた。
【0083】
【実施例6】 ヒト型モノクローナル抗体のアミノ末端(N−末)アミ
ノ酸配列分析 (1)抗体のウェスタンブロッティング 基本的には実施例5と同様に、ウェスタンブロッティン
グにより、還元条件下でSDS−ポリアクリルアミド電
気泳動したヒト型モノクローナル抗体を膜に移した。た
だし、膜はイモビロン−PSQ(ミリポア社、アミノ酸分
析用)PVDF膜を使用し、ブロッティングは平野等の
方法(Electrophoresis11,573−
580,1990)にならった。
【0084】即ち、ヒト型モノクローナル抗体を20μ
gを、還元条件下でSDS−ポリアクリルアミドゲル
(12.5%)電気泳動し、イモビロンPSQ(PVD
F)膜にウェスタンブロッティングした。このPVDF
膜をCBB染色液(2.0gのクーマッシーブリリアン
トブルーR250、400mlのメタノール、100m
lの酢酸を最終的に蒸留水で1Lにした後、濾紙にて濾
過した液)で蛋白部分を染色し、抗体の重鎖(H鎖)部
分と抗体の軽鎖(L鎖)部分をPVDF膜から切り出し
た。 (2)ヒト型抗体のN−末分析 アミノ酸分析用PVDF膜にブロッティングした抗体の
H鎖及びL鎖を島津製作所のアミノ酸配列分析装置プロ
テインシーケンサーPSQにて分析した。原理的には、
エドマン分解反応によって切断、転換反応されたPTH
−アミノ酸をオンライン化したHPLCで同定する方法
である。その結果、抗体重鎖(H鎖)はアミノ末端(N
末)がブロックされており、抗体軽鎖(L鎖)は配列表
1に示した。ただし、全てのアミノ酸配列の3文字表示
は当分野における標準表示に従っており、Alaはアラ
ニン、Argはアルギニン、Aspはアスパラギン酸、
Glnはグルタミン、Gluはグルタミン酸、Glyは
グリシン、Ileはイソロイシン、Leuはロイシン、
Lysはリシン、Proはプロリン、Serはセリン、
Thrはスレオニン、Tyrはチロシン、Valはバリ
ン、Xxxは不明のアミノ酸の残基をそれぞれ表した。
【0085】
【発明の効果】本発明にかかるヒト型モノクローナル抗
体は、以上のように、肺癌の治療薬、体内診断薬あるい
は体外診断薬として利用することができるという効果を
奏する。
【0086】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:29 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Ser Tyr Glu Leu Thr Gln Pro Pro Ser 1 5 Val Ser Val Ser Pro Gly Gln Thr Ala 10 15 Arg Ile Thr Xxx Glu Gly Asp Ala Leu 20 25 Pro Lys 29 配列番号:2 配列の長さ:15 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Glu Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala 1 5 Gln Val Xxx Pro Pro Gly 10 15 配列番号:3 配列の長さ:7 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Ser Tyr Glu Leu Xxx Gln Pro 1 5 配列番号:4 配列の長さ:20 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Glu Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala 1 5 Gln Val Lys Lys Pro Gly Glu Gln Leu 10 15 Lys Ile 20 配列番号:5 配列の長さ:13 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Ser Tyr Glu Leu Thr Gln Pro Pro Ser 1 5 Val Ser Val Ser 10
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ヒト型抗体の肺腺癌細胞株A549と
の反応性を405nmの吸光度で示した図である。
【図2】図2は、ヒト型抗体の担癌SCIDマウス腫瘍
部への集積性を腫瘍部への単位重量当たりの集積量
(T)の血液への単位重量当たりの集積量(B)に対す
る比(T/B)で表した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 15/02 C12P 21/08 G01N 33/574 33/577 B //(C12P 21/08 C12R 1:91)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 工業技術院生命工学工業研究所に受託番
    号FERM P−14122号で寄託された細胞の特性
    を有するハイブリドーマ29D38。
  2. 【請求項2】 ハイブリドーマ29D38が、以下の特
    性を有する抗原: (1)該抗原は上記ハイブリドーマ29D38が産生す
    るヒト型モノクローナル抗体によって結合され得: (2)該抗原が肺腺癌細胞株A549株の細胞抽出物中
    に含まれ、かつSDS−ポリアクリルアミド電気泳動上
    で主要なバンドとして、分子量が非還元下で100万以
    上、還元下で20000〜120000の間の複数の位
    置に存在し: (3)該抗原が肺腺癌細胞株A549株の核膜上に存在
    し: (4)該抗原が肺癌患者癌組織中に存在する: を認識してなるIgMヒト型モノクローナル抗体産生能
    を有する請求項1記載のハイブリドーマ29D38。
  3. 【請求項3】 工業技術院生命工学工業研究所に受託番
    号FERM P−14122号で寄託された細胞の特性
    を有するハイブリドーマ29D38が産生するヒト型モ
    ノクローナル抗体。
  4. 【請求項4】 ヒト型モノクローナル抗体が、以下の特
    性を有する抗原: (1)該抗原は上記ハイブリドーマ29D38が産生す
    るヒト型モノクローナル抗体によって結合され得: (2)該抗原が肺腺癌細胞株A549株の細胞抽出物中
    に含まれ、かつSDS−ポリアクリルアミド電気泳動上
    で主要なバンドとして、分子量が非還元下で100万以
    上、還元下で20000〜120000の間の複数の位
    置に存在し: (3)該抗原が肺腺癌細胞株A549株の核膜上に存在
    し: (4)該抗原が肺癌患者癌組織中に存在する: を認識してなるIgMヒト型モノクローナル抗体である
    請求項3記載のヒト型モノクローナル抗体。
  5. 【請求項5】 ヒト型モノクローナル抗体が、抗体軽鎖
    として配列番号1記載のアミノ酸配列を含有する請求項
    3に記載のヒト型モノクローナル抗体。
  6. 【請求項6】 請求項3に記載のヒト型モノクローナル
    抗体若しくは該ヒト型モノクローナル抗体断片を主成分
    とする癌検査薬。
  7. 【請求項7】 請求項3に記載のヒト型モノクローナル
    抗体若しくは該ヒト型モノクローナル抗体断片を成分と
    する癌治療薬。
JP7007819A 1995-01-23 1995-01-23 ハイブリドーマ29d38 Withdrawn JPH08196272A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004504615A (ja) * 2000-07-20 2004-02-12 ジラ・インク 形成異常の上皮組織を検出するための改良された診断方法
JP2013522604A (ja) * 2010-03-19 2013-06-13 ザ ユニヴァーシティー オブ メルボルン 多孔質歯科ハイドロキシアパタイトを検出するためのキットおよび方法

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