JPH081913Y2 - 毛筆プロッタ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は毛筆を印字用紙面と水平な前後、左右方向及
び垂直な上下方向に連続的に駆動制御し毛筆文字を描か
せる毛筆プロッタに係り、特に毛筆の毛筆保持部材に対
する装着構造に関するものである。

（従来技術） 従来からボールペン、鉛筆等の筆記具を印字用紙面と
水平な前後左右方向に連続的に駆動制御し、文字、図形
等を描かせるＸ−Ｙプロッタが多く利用されている。

このＸ−Ｙプロッタは、筆記具の印字用紙面に対して
の上下方向の動きは、筆記具先端が印字用紙に接触する
位置と所定距離離れた位置との２位置制御であったの
で、筆記具として毛筆を用いても筆圧が変化しないので
書道に於けるような毛筆文字を描かせることは困難であ
った。

このため従来のＸ−Ｙプロッタの印字用紙面に対する
前後、左右方向すなわちＸ−Ｙ方向に上下方向すなわち
Ｚ方向を加えたＸ−Ｙ−Z3方向に筆記具としての毛筆を
連続的に駆動制御して筆圧を変化させつつ毛筆文字を描
かせる第７図に示す如き毛筆プロッタが開発された。

１は印字用紙13を載置する基体であり、該基体１に互
に平行に装着された２本のＹガイド軸２にＹ軸キャリッ
ジ３がＹ方向に摺動自在に装着されている。

前記Ｙ方向キャリッジ３には互に平行な２本のＸガイ
ド軸５が装着され、更に該Ｘガイド軸にはＸ軸キャリッ
ジ６がＸ軸方向に摺動自在に装着されている。

前記した機構によりＸ−Ｙ方向に摺動自在なＸ軸キャ
リッジ６に、Ｘ軸方向に延びるＺ機構支持腕８が装着さ
れており、該腕８の先端にＺ機構９が装着され、該Ｚ機
構９には毛筆10が上下方向すなわちＺ方向に摺動自在な
毛筆保持部材としての毛筆ホルダーに保持されている。

したがって毛筆10は、パルスモータ11によるベルト４
を介してのＹ方向の駆動制御、パルスモータ12によるワ
イヤ７を介してのＸ方向の駆動制御及びＺ機構９による
Ｚ方向の駆動制御によるX,Y,Zの３方向の連続的な駆動
制御により、基体１上に配備された印字用紙13上に毛筆
文字を描く。

前記した毛筆プロッタに於て良好な毛筆文字を安定し
て描かせるためには、Ｚ方向の駆動制御を精密に行って
筆圧の変化を正確に行わせることが必要である。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、毛筆プロッタに於てＺ方向の駆動制御
を精密に行っても、毛筆性状の製造上のバラツキによっ
て良好な毛筆文字を安定して描かせることは困難とな
る。

すなわち毛筆プロッタに於ける毛筆として利用する軸
部に筆記用インクを貯蔵し工業的に生産される毛筆ペン
を例にとると、穂先の曲がり具合や穂先断面の対称性等
の毛筆性状の製造上のバラツキが微妙に文字品質に影響
を与える。

したがって、毛筆プロッタに於て利用する毛筆ペンか
らは前記した如き文字品質に影響を与える毛筆性状の製
造上のバラツキを極力排除することが望まれるが、これ
を皆無とすることは不可能で文字品質への影響を避ける
ことが出来なかった。

本考案は、前記した如き現状に鑑み、毛筆性状にバラ
ツキを有する毛筆を利用しても良好な毛筆文字を安定し
て得ることの出来る毛筆プロッタの開発について検討を
重ねた結果創案されたものである。

（課題を解決するための手段） すなわち本考案は、筆記具としての毛筆と、該毛筆を
保持する毛筆保持部材としての毛筆ホルダーと、該毛筆
ホルダーを印字用紙面と水平な前後、左右方向及び垂直
な上下方向に連続的に駆動制御する駆動装置とより成り
印字用紙上に毛筆文字を描かせるる毛筆プロツタにおい
て、毛筆を毛筆ホルダーに対して一定方向に装着するた
め、毛筆に位置決め用のカツト面を有する位置決めリン
グを嵌着し、毛筆ホルダーに毛筆を装着した際に前記毛
筆に嵌着された位置決めリングのカツト面が当接する位
置決め面を設けたことを特徴とする毛筆プロツタであ
る。

（作用） 本考案は前記した如く構成され、その作用は毛筆性状
に製造上のバラツキを有する毛筆を毛筆プロッタの筆記
具として利用するに当り、先ず筆記テストによって良好
な毛筆文字を安定して得ることの出来る毛筆の毛筆ホル
ダーに対する装着方向を定め、次いで各毛筆に位置決め
リングを所定の装着方向にした場合にカツト面が毛筆ホ
ルダーの位置決め面と対向する向きになるようにして嵌
め合わせて固定する。

このようにして位置決めリングを嵌着した毛筆は、毛
筆ホルダーに位置決めリングのカツト面が位置決め面に
当接するようにして装着すれば容易に所定の向きで装着
でき、これにより良好な毛筆文字が描けるようになる。

（実施例） 本考案の第１の実施例は第１図に示す如くであり、第
１図（ａ）は平面図、第１図（ｂ）は側面図である。

14が軸部に貯蔵したインクを穂先に自動的に供給する
筆記具としての毛筆ペンであり、該毛筆ペン１の軸部に
は毛筆ペン14の上下位置並びに取付方向を定めるための
位置決めリング15と磁気的吸引力を受けるための鉄製リ
ング17とが嵌着されている。

18は毛筆ペン14を装着するための上下にコ字状の保持
部19及び20を有する毛筆ホルダーであり、該毛筆ホルダ
ー18の背板21には毛筆ペン14に嵌着された鉄製リング17
に対し矢印に示す如き下向きのの磁気吸引力を働かせる
ための磁石板22が貼着されている。

したがって毛筆ペン14を毛筆ホルダー18の上下の保持
部19及び20に嵌合させると、前記した磁石板22の鉄製リ
ング17に対する磁気吸引力により、毛筆ペン14は背板21
に向っての水平方向の力と位置決めリング15が上部保持
部19に密着して係止される下方の力を受けて、水平方向
は勿論上下方向のガタも生ずることなく上下方向の位置
を決めて装着される。

更に毛筆ペン14の毛筆ホルダー18への装着に際して毛
筆ペン14の方向を一定とするために、毛筆ペン14の軸部
に嵌着された位置決めリング15に取付方向設定手段とし
てのカット面16を形成し、一方毛筆ホルダー18の上部保
持部19上に前記位置決めリング15のカット面16が当接す
る位置決め面24を有する突起部23が設けられている。

したがって毛筆ペン14は、位置決めリング15に設けた
カット面16が毛筆ホルダー18の上部保持部19上に設けた
突起部23の位置決め面24と当接する向きで装着すること
により必ず一定の向きで装着することとなる。

すなわち毛筆ペン14を位置決めリング15に前記した如
きカット面が設けられているにもかかわらず適当な方向
で毛筆ホルダー18に装着すると第２図に示す如く斜めに
装着されたり或は第３図に示す如く浮き上った状態で装
着されたりすることとなり一目で装着が正常でないこと
が解る。

第４図及び第５図には毛筆ペン14に装着方向を示すマ
ーク25或は矢印26を設けた実施例である。すなわち第４
図及び第５図に第２及び第３の実施例が（ａ）に平面図
として、（ｂ）に正面図として示してあり、第２実施例
では第４図（ｂ）に示すように毛筆ペン14の正面に装着
方向を示す棒状のマーク25が、第３実施例では第５図
（ａ）に示すように毛筆ペン14の上面に装着方向を示す
矢印26が付けられている。

このように第２及び第３の実施例に示すように、第１
の実施例に示したような本考案の基本的な構成に加え
て、毛筆ペン14に装着方向を示すマークや矢印のような
印を付けておくと、毛筆ペン14を嵌められた位置決めリ
ング15のカツト面16を毛筆ホルダー18の位置決め面24に
当接させながら装着する操作が一層容易になって好都合
である。

（効果） 本考案は前記した如き構成及び作用を有するものであ
り、その効果は毛筆を毛筆保持部材に所定の方向で装着
することにより、良好な文字品質を安定して維持出来る
毛筆プロッタに提供することである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１の実施例、第２図及び第３図は装
着ミスの状態、第４図は第２の実施例、第５図は第３の
実施例、第６図は毛筆プロッタを示す図である。 14……毛筆ペン、15……位置決めリング、16……カット
面、18……毛筆ホルダー、23……突起部、24……位置決
め面

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】筆記具としての毛筆と、該毛筆を保持する
   毛筆保持部材としての毛筆ホルダーと、該毛筆ホルダー
   を印字用紙面と水平な前後、左右方向及び垂直な上下方
   向に連続的に駆動制御する駆動装置とより成り印字用紙
   上に毛筆文字を描かせる毛筆プロツタにおいて、毛筆を
   毛筆ホルダーに対して一定方向に装着するため、毛筆に
   位置決め用のカツト面を有する位置決めリングを嵌着
   し、毛筆ホルダーに毛筆を装着した際に前記毛筆に嵌着
   された位置決めリングのカツト面が当接する位置決め面
   を設けたことを特徴とする毛筆プロツタ。