JPH08183815A - 片末端に官能基を有するポリメタクリレートおよびその製造法 - Google Patents

片末端に官能基を有するポリメタクリレートおよびその製造法

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JPH08183815A
JPH08183815A JP6339840A JP33984094A JPH08183815A JP H08183815 A JPH08183815 A JP H08183815A JP 6339840 A JP6339840 A JP 6339840A JP 33984094 A JP33984094 A JP 33984094A JP H08183815 A JPH08183815 A JP H08183815A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 一般式:−S−R1(−Z1)(−Z2)(R1=3
価の炭化水素基、Z1=アミノ基、カルボキシル基また
は水酸基、Z2=水素原子、アミノ基、カルボキシル基
または水酸基)で示される基を主鎖片末端に0.7〜1
個/分子の割合で有する数平均分子量20000以上の
直鎖状ポリメタクリレートである。および、メタクリレ
ートを官能基含有メルカプタン化合物系連鎖移動剤およ
びアゾ化合物系重合開始剤の存在下に、数式:C・kd
≦ 5×10-8(C=アゾ化合物系重合開始剤の濃度
(mol/リットル)、kd=アゾ化合物系重合開始剤
の開始反応速度定数(1/sec))を満足する条件下
にラジカル重合を行うことからなる、片末端に官能基を
有するポリメタクリレートの製造法。 【効果】 分子主鎖片末端のみに重合性官能基を有する
ポリメタクリレート分子の純度が高く、かつ溶融粘度が
適度に高いので、マクロモノマーとして有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、片末端に官能基を有す
るポリメタクリレートおよびその製造法に関する。本発
明の片末端に官能基を有するポリメタクリレートは、そ
の官能基の反応性を利用して、ポリマーブレンド・アロ
イやリアクティブプロセシングにおいて使用される樹脂
改質剤もしくは相溶化剤、またはそれらの原料として有
用である。
【0002】
【従来の技術】高分子材料に対する高性能化・高機能化
の要求を満足させるために、2種以上のポリマーを組み
合わせるポリマーブレンド・アロイによるアプローチが
盛んに行われている。異種のポリマーを混合すると、多
くの場合、各ポリマーが相溶しないためにマクロに相分
離し、得られたものの物性は混合前の各ポリマーの物性
に比べて極端に低下してしまう。そこで、異種ポリマー
の混合により各ポリマーの長所を発揮させるために、相
溶化剤を併用してモルホロジーを制御する手法が広範に
用いられている。相溶化剤としては、各種のランダム、
ブロックまたはグラフト状の共重合体が利用されてい
る。
【0003】ブロック状またはグラフト状の共重合体の
合成方法としては、官能基を有する反応性ポリマーを使
用する方法が知られている。特に、分子主鎖末端にカル
ボキシル基、アミノ基、水酸基、炭素−炭素二重結合含
有基などの重合性官能基を有するポリマーはマクロモノ
マーと呼ばれ、構造の制御された共重合体を比較的容易
に合成でき、また他の方法では合成の困難な共重合体を
合成できるといった特長を有している。
【0004】ポリメタクリレート系マクロモノマーの合
成法の代表例として、連鎖移動剤としてメルカプト酢酸
などのカルボキシル基含有メルカプタン化合物を用いて
メチルメタクリレートなどのメタクリレートのラジカル
重合を行うことからなる、分子主鎖片末端にカルボキシ
ル基を有するポリメタクリレートの合成法が知られてい
る。上記合成法では、メルカプタン化合物系連鎖移動剤
として、カルボキシル基以外の官能基を含有するものを
使用することにより、得られるポリメタクリレートの分
子主鎖片末端に位置する官能基をカルボキシル基以外の
官能基に変えることができる。例えば、官能基含有メル
カプタン化合物系連鎖移動剤として2−メルカプトエタ
ノールを用いれば片末端に水酸基を有するポリメタクリ
レートを合成することができ、また、2−アミノエタン
チオール塩酸塩を用いれば、片末端にアミノ基を有する
ポリメタクリレートを合成することができる(特開昭5
8−59202号公報、特開昭62−250012号公
報、ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス:パート
A:ポリマー・ケミストリー(Journal of PolymerScie
nce: Part A: Polymer Chemistry)、第27巻、第20
07〜2014頁(1989年)など)。なお、特開昭
62−250012号公報には、重合開始剤としては、
メルカプタン化合物系連鎖移動剤との反応が避けられる
点から、アゾ化合物が好ましいことが記載されている。
また同公報には、片末端に官能基を有するポリメタクリ
レートの数平均分子量について、1000未満では連鎖
移動剤であるメルカプタン化合物の残存量が多くなり、
これがポリメタクリレートをマクロモノマーとして使用
する場合に副反応の原因となること、および30000
を越えると生成ポリメタクリレート中における片末端に
官能基を有するポリメタクリレートの割合が少なくなる
ことが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記特開昭62−25
0012号公報の記載から明らかなように、メタクリレ
ートを官能基含有メルカプタン化合物系連鎖移動剤の存
在下にラジカル重合させることからなる片末端に官能基
を有するポリメタクリレートの製造法においては、連鎖
移動剤などの未反応物の残存量を少なくし得る点から
は、得られるポリメタクリレートの数平均分子量が高い
場合の方が有利であるが、その場合には逆に、生成した
ポリメタクリレートの全モル数に対する、目的とする片
末端に官能基を有するポリメタクリレートのモル数の割
合(以下、官能基導入率と称する)が小さくなるという
好ましくない傾向がある。本発明者らが片末端に官能基
を有するポリメタクリレートの合成について検討した結
果、(1)数平均分子量が約20000未満の該ポリメ
タクリレートでは、未反応のモノマーや連鎖移動剤との
溶解性が似ているため、重合後に、再沈殿などの簡便な
方法で分離・精製することが困難であり、また溶融粘度
が低いため、マクロモノマーとしての一使用形態である
ポリマーブレンド・アロイ、リアクティブプロセシング
等を目的として他のポリマーと溶融混練する場合、両者
の溶融粘度差が大きくなり十分に混練することが困難と
なること、ならびに(2)上記の重合後の分離・精製お
よび他のポリマーとの溶融混練の都合の点からは、片末
端に官能基を有するポリメタクリレートの数平均分子量
は30000以上であることが特に有利であることが判
明した。
【0006】上記ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエ
ンスに記載されたデータに基づけば、官能基導入率が7
0%以上の高い数値となるポリメタクリレートも得られ
ているものと推定されるが、その数平均分子量は100
00以下の比較的低いものに限られている。上記特開昭
58−59202号公報に記載された製法は数平均分子
量約300〜9000の末端官能基含有ポリメタクリレ
ートを得るものであり、その唯一の具体的製造例であ
る、2−メルカプトエタノール連鎖移動剤およびベンゾ
イルペルオキシド重合開始剤の存在下における、メチル
メタクリレートを主成分とし2−ヒドロキシエチルアク
リレートを共重合成分とするモノマーの重合反応におい
ても、得られたポリメタクリレートの数平均分子量は約
4000に過ぎない。上記特公昭43−11224号公
報に具体的に記載されている末端に官能基を有するポリ
メタクリレートの製造例においても、得られたポリメタ
クリレートの数平均分子量は5000以下の比較的低い
ものに限られている。またこの製造例で採用されている
方法では、連鎖移動剤のみならず重合開始剤としても官
能基を有する化合物を使用するため分子主鎖両末端に官
能基を有するポリメタクリレートの副生を避け難く、そ
れをマクロモノマーとして使用した場合、架橋の形成に
よるゲル化現象を発生し易いという欠点を有している。
また、上記特公昭62−250012号公報に具体的に
記載されている末端に官能基を有するポリメタクリレー
トの製造例においても、得られたポリメタクリレートの
数平均分子量は高々10200に過ぎない。
【0007】本発明者らは、上記公知の各種方法につい
て、モノマーに対する連鎖移動剤の使用割合をより低く
することにより、得られるポリメタクリレートの分子量
の向上を試みたが、得られるポリメタクリレートの数平
均分子量が20000以上の場合、官能基導入率は70
%未満の低い数値しか達成されなかった。
【0008】本発明の目的は、数平均分子量が高いため
に分離、精製が容易であるとともに他のポリマーとの溶
融混練に適しており、かつ官能基導入率も高い、片末端
に官能基を有するポリメタクリレート、および該ポリメ
タクリレートの製造に好適な製造法を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、第一に、主鎖
が実質的に直鎖状のポリメタクリレート鎖からなり、か
つ主鎖の片末端に一般式
【0010】
【化2】 −S−R1(−Z1)(−Z2) (I)
【0011】(式中、R1は3価の炭化水素基を表し、
1はアミノ基、カルボキシル基または水酸基を表し、
2は水素原子、アミノ基、カルボキシル基または水酸
基を表す)
【0012】で示される基を1分子当たりの平均値で
0.7〜1個含有する数平均分子量20000以上のポ
リメタクリレートである。
【0013】また本発明は、第二に、メタクリレートを
官能基含有メルカプタン化合物系連鎖移動剤およびアゾ
化合物系重合開始剤の存在下にラジカル重合させるに際
し、該アゾ化合物系重合開始剤の濃度Cが数式
【0014】
【数2】C・kd≦5×10-8 (A)
【0015】(式中、Cはアゾ化合物系重合開始剤の濃
度(mol/リットル)を表し、kdは上記ラジカル重
合と同一の温度条件下でのアゾ化合物系重合開始剤の開
始反応速度定数(1/sec)を表す)
【0016】を満足する条件下にラジカル重合を行うこ
とを特徴とする片末端に官能基を有するポリメタクリレ
ートの製造法である。
【0017】本発明のポリメタクリレートの分子主鎖を
構成するポリメタクリレート鎖は、メタクリレート成分
を主たる繰り返し単位とする実質的に直鎖状の高分子鎖
である。ここで、メタクリレート成分としては、一般式
【0018】
【化3】 −CH2−C(CH3)(COOR2)− (II)
【0019】(式中、R2は1価の炭化水素基を表す)
【0020】で示される単位が好ましい。該R2で表さ
れる1価の炭化水素基としては、メチル、エチル、n−
ブチル、t−ブチルなどの炭素数1〜8のアルキル基;
シクロヘキシルなどの炭素数6〜12のシクロアルキル
基;ベンジルなどの炭素数7〜9のアラルキル基などの
炭素数1〜12の1価の炭化水素基が好ましい。ポリメ
タクリレート鎖を構成するメタクリレート成分は1種で
あっても、また2種以上であってもよい。
【0021】一般式(I)におけるR1が表す3価の炭
化水素基としては、例えば、メチン、エチリジン、1,
1,2−エタントリイル、プロピリジン、1,2,3−
プロパントリイル、1,1,2−プロパントリイル、
1,1,3−プロパントリイル、1,2,2−プロパン
トリイルのごとき炭素数1〜3の3価の飽和脂肪族炭化
水素基などが挙げられる。
【0022】本発明のポリメタクリレートが分子主鎖の
片末端に有している式−S−R1(−Z1)(−Z2)で示さ
れる官能基の個数は、1分子当たりの平均値において
0.7〜1個の範囲内である。該個数の平均値が0.7
個未満であると、末端に官能基を含有しないポリメタク
リレート分子の存在割合が大きいため、マクロモノマー
として使用した場合、得られる共重合体中に、該末端に
官能基を含有しないポリメタクリレートが未反応のまま
で大量に混入し、得られる共重合体本来の性能が喪失ま
たは希釈される。一方、該個数の平均値が1個より大き
いと、主鎖の両末端に官能基を含有するポリメタクリレ
ート分子の存在割合が大きいため、マクロモノマーとし
て使用した場合、架橋構造の形成によりゲル化が発生し
易い。官能基を分子主鎖末端の片側にのみ有するポリメ
タクリレート分子の存在割合が特に高く、マクロモノマ
ーとして使用した場合における上記のような性能の変化
およびゲル化が特に効果的に抑制される点からは、該個
数の平均値は0.8〜1個の範囲内であることが好まし
い。ポリメタクリレートが有する上記官能基の個数の平
均値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以
下、GPCと略記する)により測定した標準ポリスチレ
ン換算の数平均分子量と、該ポリメタクリレートの単位
重量当りの官能基含有量から計算できる。単位重量当り
の官能基含有量は、例えば、官能基がアミノ基の場合に
は過塩素酸などの酸を用いた中和滴定により、またカル
ボキシル基の場合にはアルカリ金属の水酸化物またはア
ルコキシドなどの塩基を用いた中和滴定により、適宜求
めることができる。また1H−NMR測定において、式
−S−R2(−Z1)(−Z2)で示される官能基中のプロト
ンとポリメタクリレート鎖におけるメタクリレート成分
中のα−メチル基のプロトンとのピーク面積比から求め
ることもできる。なお、ポリメタクリレートが有する官
能基の個数の1分子当たりの平均値(個/分子)を百分
率表示に換算したものが、上記の官能基導入率に相当す
る。
【0023】本発明のポリメタクリレートの数平均分子
量は20000以上である。数平均分子量が20000
未満の場合、溶融粘度が低くなり、マクロモノマーとし
ての一使用形態であるポリマーブレンド・アロイ、リア
クティブプロセシング等を目的として他の1種または2
種以上のポリマーと溶融混練を行う場合に溶融粘度差が
大きく、十分に混練することが困難となる。この点にお
いて、数平均分子量は25000以上であることが好ま
しく、30000以上であることがより好ましい。数平
均分子量の上限値について特に制限はないが、それを含
有または反応させた樹脂の成形性を良好なものとする点
からは、200000以下であることが好ましい。
【0024】上記の本発明の製造法によれば、片末端に
官能基を有するポリメタクリレートを、数平均分子量が
高い場合にも、高い官能基導入率で製造することが可能
であるので、上記本発明のポリメタクリレートの製造法
として好適である。
【0025】本発明の製造法においては、メタクリレー
トを主成分とするラジカル重合性モノマーを使用する。
該メタクリレートとしては、一般式
【0026】
【化4】 CH2=C(CH3)(COOR2) (III)
【0027】(式中、R2は前記定義のとおりである)
【0028】で示されるものが好ましい。該メタクリレ
ートの好適な例としては、メチルメタクリレート、エチ
ルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブ
チルメタクリレートなどのアルキルメタクリレート;シ
クロヘキシルメタクリレートなどのシクロアルキルメタ
クリレート;ベンジルメタクリレートなどのアラルキル
メタクリレートなどが挙げられる。メタクリレートは、
1種のみを使用しても、また2種以上を使用してもよ
い。また上記メタクリレートと共に、メチルアクリレー
ト、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t
−ブチルアクリレートなどのアクリレートを少量(好ま
しくは、メタクリレートに対して10モル%以下)の割
合で使用することもできる。
【0029】本発明の製造法においては、官能基含有メ
ルカプタン化合物系連鎖移動剤として、アミノ基、カル
ボキシル基、水酸基などの官能基を分子中に1個以上含
有するメルカプタン化合物を使用することができる。上
記本発明のポリメタクリレートを製造する場合には、官
能基含有メルカプタン化合物系連鎖移動剤として、一般
【0030】
【化5】 HS−R1(−Z1)(−Z2) (IV)
【0031】(式中、R1、Z1およびZ2は前記定義の
とおりである)
【0032】で示されるメルカプタン化合物またはその
塩を使用すればよい。かかる一般式(IV)で示されるメ
ルカプタン化合物またはその塩としては、メルカプト酢
酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロ
ピオン酸などの1個のカルボキシル基を含有するメルカ
プタン化合物;2−アミノエタンチオール塩酸塩などの
1個のアミノ基を含有するメルカプタン化合物またはそ
の塩;2−メルカプトエタノールなどの1個の水酸基を
含有するメルカプタン化合物;チオリンゴ酸などの2個
のカルボキシル基を含有するメルカプタン化合物;チオ
グリセリン等の2個の水酸基を含有するメルカプタン化
合物などが例示される。
【0033】本発明の製造法においては、アゾ化合物系
重合開始剤として、メタクリレートのラジカル重合にお
いて通常使用されるものを使用することができる。その
代表例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリ
ル(以下、AIBNと略記する)、1,1’−アゾビス
(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(以下、V−
40と略記する)などが挙げられる。アゾ化合物系重合
開始剤は、1種のみを使用しても、また2種以上を使用
してもよい。なお、特公昭43−11224号公報に記
載されているような、アゾビスシアノバレリン酸などの
官能基(アミノ基、カルボキシル基、水酸基など)を有
するアゾ化合物を重合開始剤として使用すると主鎖の両
末端に官能基を有するメタクリレートが生成し易くなる
ので、該官能基を有するアゾ化合物は使用しない方がよ
い。
【0034】本発明の製造法に従うメタクリレートのラ
ジカル重合は、開始剤の種類等にも依存するが、一般に
50〜120℃の範囲内の温度で行うことが好ましい。
重合方法については、溶液重合法またはバルク重合法に
より均一系で行うことが好ましい。さらに、反応系は、
メタクリレート、連鎖移動剤および重合開始剤の接触条
件および温度条件を系内で均一にするために、十分な撹
拌下におくことが好ましい。溶液重合法を採用する場
合、使用する溶媒はモノマー、連鎖移動剤および生成す
るポリメタクリレートを溶解することができ、かつラジ
カル反応に関して実質的に不活性な溶媒であればよく、
例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、N,N−ジメ
チルホルムアミド(以下、DMFと略記する)、メチル
エチルケトン等を挙げることができる。これらの溶媒の
中でも、連鎖移動剤の溶解性に応じて、トルエンまたは
DMFを使用することが好ましい。また、重合操作とし
ては、回分操作、半回分操作および連続操作のいずれを
も採用することができる。従って、メタクリレート、連
鎖移動剤および重合開始剤は、重合開始時に全量を一括
して反応系に仕込んでもよく、また重合に伴う発熱や反
応種濃度の調節のために、少なくとも一部を重合中に連
続的または断続的に反応系に供給してもよい。
【0035】本発明の製造法では、メタクリレートのラ
ジカル重合を、重合反応の実質的に全期間にわたって、
上記数式(A)を満足する条件下に行うことが重要であ
る。数式(A)においてCで示されるアゾ化合物系重合
開始剤の濃度は、数式
【0036】
【数3】 dC/dt=−kd・C+F(t) (B)
【0037】(式中、tは重合開始からの経過時間(s
ec)を表し、F(t)は時間tにおけるアゾ化合物系重
合開始剤の供給速度(mol/リットル・sec)を表
し、dC/dtはCのtによる微分値を表し、Cおよび
kdは前記定義のとおりである)
【0038】で示される微分方程式を、重合開始時(t
=0)におけるアゾ化合物系重合開始剤の濃度(C=C
0)を初期条件として解くことにより求めることができ
る。例えば、アゾ化合物系重合開始剤を重合開始時から
一定の速度F1(mol/リットル・sec)で連続的
に反応系に供給しながら、一定温度の条件下に重合反応
を行う場合、kdが一定値になるので、Cは数式
【0039】
【数4】 C=(C0−F1/kd)・exp(−kd・t)+F1/kd (C)
【0040】(式中、exp()は指数関数を表し、C、
0、F1、kdおよびtは前記定義のとおりである)
【0041】で表される。また、アゾ化合物系重合開始
剤の全量を反応系に一括仕込みした状態で重合を開始
し、かつ一定温度の下で重合を行う場合、前記数式
(B)で示される微分方程式を、F(t)=0の条件、k
d=一定値の条件およびt=0においてC=C0の条件の
下で解くことによって、Cは数式
【0042】
【数5】C=C0・exp(−kd・t) (D)
【0043】(式中、C、C0、exp()、kdおよびt
は前記定義のとおりである)
【0044】で表される。上記のように、アゾ化合物系
重合開始剤の全量を一括仕込みした状態で重合を開始
し、かつ一定温度の下で重合を行う場合、数式(D)か
ら明らかなとおり、Cが経時的に単調減少しCの最大値
がC0となるので、アゾ化合物系重合開始剤の初期濃度
(C0)が前記数式(A)を充足するような重合条件、
すなわち、C0が数式
【0045】
【数6】C0・kd ≦ 5×10-8 (E)
【0046】(式中、C0およびkdは前記定義のとおり
である)
【0047】を充足するような重合条件を採用すればよ
いことになる。なお、この場合、Cの最小値は重合終了
時における濃度であり、上記数式(D)に基づき算出す
ることができる。
【0048】上記の各数式におけるkdは、ラジカル重
合で採用する温度におけるアゾ化合物系重合開始剤の開
始反応速度定数を表す。kdは、一部については、ジェ
イ・ブランドルップ(J. Brandrup)およびイー・エッ
チ・イマーグット(E. H. Immergut)編、「ポリマー・
ハンドブック(Polymer Handbook)」第3版[ジョン・
ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons)
(米国)、1989年発行]、第II/3頁および第II/
6頁などに記載されている。例えば、上記ポリマー・ハ
ンドブックでは、AIBNのkdについて、50℃で
2.085×10-6/sec、60℃で8.45×10
-6/sec、70℃で3.166×10-5/sec、7
8℃で8.023×10-5/secであり、V−40の
kdについて、80℃で1.01×10-5/sec、8
5℃で2.01×10-5/sec、90℃で3.89×
10-5/sec、95℃で6.83×10-5/secで
あることが記載されている。また、アゾ化合物系重合開
始剤による重合開始反応は一般に一次反応に従うので、
所定温度における重合開始剤濃度の経時変化を調べるこ
とによって、kdを実験的に求めることもできる。すな
わち、反応時間t(sec)を横軸とし、反応系中の重
合開始剤の濃度C(mol/リットル)の自然対数値を
縦軸とするグラフに、実験的に得られたデータをプロッ
トする。このようにして得られる直線の傾きの絶対値
が、求めるkdとなる。なお、2種以上のアゾ化合物系
重合開始剤を使用する場合、数式(A)中のC・kdと
して、各アゾ化合物系重合開始剤についてのC・kdの
和を採用すればよい。
【0049】C・kdの値が5×10-8mol/リット
ル・secより大きい場合には、得られるポリメタクリ
レートの数平均分子量が低くなるか、官能基導入率が低
くなるか、またはそれらの両方となる。数平均分子量お
よび官能基導入率の両方が特に高いポリメタクリレート
を得る目的においては、C・kdの値が5×10-9mo
l/リットル・sec以下であることが好ましい。到達
可能な数平均分子量および官能基導入率の観点からは、
C・kdの下限値について特に制限はないが、C・kdの
値が低すぎると重合反応の進行が遅く、ポリメタクリレ
ートの収率が低くなるため、5×10-10mol/リッ
トル・secより小さくしないことが実用的である。
【0050】重合反応後、得られた反応混合物からの、
片末端に官能基を有するポリメタクリレートの分離・精
製は、常法に従って、例えば次のような方法で行うこと
ができる。すなわち、反応混合物を、ポリメタクリレー
トに対しては貧溶媒であるとともに、メタクリレート、
連鎖移動剤および重合開始剤に対しては良溶媒であるよ
うな溶媒(例えば、メタノールなど)の中に加えること
によって、未反応のメタクリレート、連鎖移動剤、重合
開始剤などの不純物が溶解除去され、沈殿物として、所
望の片末端に官能基を有するポリメタクリレートを得る
ことができる。なお、必要に応じて、取得された沈殿物
を脱塩酸処理等の後処理に付してもよい。
【0051】本発明の製造法によれば、数平均分子量が
高いポリメタクリレートを得ることができるので、反応
混合物からの分離・精製を、上記のような簡便な方法に
よって極めて効率的に行うことが可能となる。この分離
・精製の効率の高さの観点からは、得られるポリメタク
リレートの数平均分子量は20000以上であることが
好ましく、25000以上であることがより好ましく、
30000以上であることが特に好ましい。
【0052】本発明のポリメタクリレートは、官能基導
入率が高く、しかも数平均分子量も高いので、マクロモ
ノマーとして使用した場合に、反応性が高く、かつゲル
化が抑制され、さらにポリマーブレンド・アロイ、リア
クティブプロセシング等を目的とした他のポリマーとの
溶融混練の効率がよいという効果が発揮される。また、
本発明の製造法によれば、本発明のポリメタクリレート
に代表される、官能基導入率が高いのみならず数平均分
子量も高いポリメタクリレートを容易に製造することが
できる。
【0053】
【実施例】以下に、本発明を実施例に基づき、より具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
【0054】以下の実施例中および比較例中、「部」は
重量部である。また、ポリマーの分子量としては、GP
Cにより測定した標準ポリスチレン換算の分子量を採用
し、その数平均分子量(以下、Mnと略記する)と、中
和滴定法により求めたポリマーの単位重量当りの官能基
含有量とから、官能基導入率を算出した。
【0055】なお、実施例および比較例においては、ア
ゾ化合物系重合開始剤の全量を一括仕込みした状態で重
合を開始し、かつ一定温度の下で重合を行ったので、こ
の場合、アゾ化合物系重合開始剤の開始反応速度kdは
一定値となり、またアゾ化合物系重合開始剤の濃度C
は、前記数式(D)に従って、最大値が重合開始時の濃
度(C0)、最小値が重合終了時の濃度となる。従っ
て、C・kdの最大値(重合開始時での値)および最小
値(重合終了時での値)を、前記数式(D)に、ポリマ
ー・ハンドブックに記載されているアゾ化合物系重合開
始剤のkd、重合条件より計算されるC0を代入すること
によって計算した。
【0056】実施例1 メチルメタクリレート(以下、MMAと略記する)20
部、2−アミノエタンチオール塩酸塩(以下、AET・
HClと略記する)0.23部、AIBNの0.003
3部およびDMFの30部をガラスフラスコに仕込み、
凍結脱気した。窒素ガスを導入した後、フラスコを60
℃の油浴中に浸し、溶液を撹拌しながら、24時間ラジ
カル重合を行った。反応終了後、得られた反応混合液を
大量のメタノール中に注ぎ、ポリマーを再沈殿させて回
収した。得られたポリマーをアセトンに溶解した後、大
量の希アンモニア水中に再沈殿させることにより、アミ
ノ基の脱塩酸処理を行った。処理後のポリマーをもう一
度アセトンに溶解し、大量のメタノール中に再沈殿させ
ることにより精製し、70℃で真空乾燥することによっ
て、白色粉末状の精製ポリマー(片末端にアミノ基を有
するポリメチルメタクリレート)を7.2部得た(精製
ポリマーの収率は36%)。得られた精製ポリマーのM
nは35300、重量平均分子量(以下Mwと略記す
る)は57600であった。また、精製ポリマーが片末
端にアミノ基を有するポリメチルメタクリレートである
ことは、1H−NMRスペクトル分析(溶媒:CDC
3)において、δ0.9〜1.2にポリメチルメタク
リレート鎖のメチルメタクリレート成分中のα−メチル
基のピーク、δ1.8〜2.1にポリメチルメタクリレ
ート鎖のメチルメタクリレート成分中のメチレン基のピ
ーク、δ3.6にポリメチルメタクリレート鎖のメチル
メタクリレート成分中のメチルエステル部分のメチル基
のピーク、δ2.4〜3.1に2−アミノエチルチオ基
(上記一般式(I)で示される基に該当)中のメチレン
基のピークが認められたこと、および精製ポリマーのア
セトン溶液を過塩素酸の酢酸溶液で滴定することにより
定量したアミノ基の量と上記Mnの値とから算出された
官能基(アミノ基)の導入率が83%であったことから
確認した。重合開始時および重合終了時におけるC・k
dのそれぞれの値を、得られたポリメチルメタクリレー
トにおける官能基導入率およびMnと併せて、下記の表
1に示す。
【0057】比較例1 MMAの20部、AET・HClの0.23部、AIB
Nの0.33部およびDMFの30部をガラスフラスコ
に仕込み、凍結脱気した。窒素ガスを導入した後、フラ
スコを60℃の油浴中に浸し、溶液を撹拌しながら8時
間ラジカル重合を行った。以後、実施例1と同様の操作
を行い、白色粉末状の精製ポリマーを18部得た(精製
ポリマーの収率は90%)。得られた精製ポリマーのM
nは16600、Mwは32700であった。しかしな
がら、精製ポリマーの官能基(アミノ基)の導入率は2
7%しかなく、精製ポリマーは片末端にアミノ基を有す
るポリメチルメタクリレートの分子の外に、アミノ基を
有しないポリメチルメタクリレートの分子を多量に含有
していることが判明した。重合開始時および重合終了時
におけるC・kdのそれぞれの値を、得られたポリメチ
ルメタクリレートにおける官能基導入率およびMnと併
せて、下記の表1に示す。
【0058】実施例2 MMAの20部、AET・HClの0.23部、V−4
0の0.0049部およびDMFの30部をガラスフラ
スコに仕込み、凍結脱気した。窒素ガスを導入した後、
フラスコを80℃の油浴中に浸し、溶液を撹拌しながら
24時間ラジカル重合を行った。以後、実施例1と同様
の操作を行い、白色粉末状の精製ポリマー(片末端にア
ミノ基を有するポリメチルメタクリレート)を10.6
部得た(精製ポリマーの収率は53%)。得られた精製
ポリマーのMnは40300であり、Mwは75700
であった。実施例1と同様にして1H−NMRスペクト
ル分析および滴定(官能基(アミノ基)の導入率は82
%)を行うことにより、精製ポリマーが片末端にアミノ
基を有するポリメチルメタクリレートであることを確認
した。重合開始時および重合終了時におけるC・kdの
それぞれの値を、得られたポリメチルメタクリレートに
おける官能基導入率およびMnと併せて、下記の表1に
示す。
【0059】比較例2 MMAの20部、AET・HClの0.34部、V−4
0の0.098部およびDMFの30部をガラスフラス
コに仕込み、凍結脱気した。窒素ガスを導入した後、フ
ラスコを80℃の油浴中に浸し、溶液を撹拌しながら1
5時間ラジカル重合を行った。以後、実施例1と同様の
操作を行い、白色粉末状の精製ポリマーを18.6部得
た(精製ポリマーの収率は93%)。得られた精製ポリ
マーの分子量は、Mnが15600、Mwが29700
であった。しかしながら、精製ポリマーの官能基(アミ
ノ基)の導入率は61%しかなく、精製ポリマーは片末
端にアミノ基を有するポリメチルメタクリレートの分子
の外に、アミノ基を有しないポリメチルメタクリレート
の分子を多量に含有していることが判明した。重合開始
時および重合終了時におけるC・kdのそれぞれの値
を、得られたポリメチルメタクリレートにおける官能基
導入率およびMnと併せて、下記の表1に示す。
【0060】実施例3 MMAの25部、3−メルカプトプロピオン酸0.27
部、AIBNの0.0041部およびトルエン23部を
ガラスフラスコに仕込み、凍結脱気した。窒素ガスを導
入した後、フラスコを60℃の油浴中に浸し、溶液を撹
拌しながら24時間ラジカル重合を行った。反応終了
後、得られた反応混合液を大量のメタノール中に注ぎ、
ポリマーを再沈殿させて回収した。得られたポリマーを
アセトンに溶解した後、大量のメタノール中に再沈殿さ
せることにより精製し、70℃で真空乾燥することによ
って、白色粉末状の精製ポリマー(片末端にカルボキシ
ル基を有するポリメチルメタクリレート)を10.5部
得た(精製ポリマーの収率は42%)。得られた精製ポ
リマーの分子量は、Mnが21300、Mwが3750
0であった。また、精製ポリマーが片末端にカルボキシ
ル基を有するポリメチルメタクリレートであることは、
1H−NMRスペクトル分析(溶媒:CDCl3)におい
て、δ0.9〜1.2にポリメチルメタクリレート鎖の
メチルメタクリレート成分中のα−メチル基のピーク、
δ1.8〜2.1にポリメチルメタクリレート鎖のメチ
ルメタクリレート成分中のメチレン基のピーク、δ3.
6にポリメチルメタクリレート鎖のメチルメタクリレー
ト成分中のメチルエステル部分のメチル基のピークおよ
びδ2.2〜3に2−カルボキシエチルチオ基(一般式
(I)で示される基に該当)中のメチレン基のピークが
認められたこと、および精製ポリマーのアセトン溶液を
ナトリウムメトキシドのメタノール溶液で滴定すること
により定量したカルボキシル基の量と上記のMnの値と
から算出された官能基(カルボキシル基)の導入率が8
6%であったことから確認した。重合開始時および重合
終了時におけるC・kdのそれぞれの値を、得られたポ
リメチルメタクリレートにおける官能基導入率およびM
nと併せて、下記の表1に示す。
【0061】比較例3 MMAの25部、3−メルカプトプロピオン酸0.27
部、AIBNの0.082部およびトルエン23部をガ
ラスフラスコに仕込み、凍結脱気した。窒素ガスを導入
した後、フラスコを60℃の油浴中に浸し、溶液を撹拌
しながら20時間ラジカル重合を行った。以後、実施例
3と同様の操作を行い、白色粉末状の精製ポリマーを2
3部得た(精製ポリマーの収率は92%)。得られた精
製ポリマーの分子量は、Mnが14300、Mwが27
500であった。しかしながら、精製ポリマーの官能基
(カルボキシル基)の導入率は62%しかなく、精製ポ
リマーは片末端にカルボキシル基を有するポリメチルメ
タクリレートの分子の外に、カルボキシルを有しないポ
リメチルメタクリレートの分子を多量に含有しているこ
とが判明した。重合開始時および重合終了時におけるC
・kdのそれぞれの値を、得られたポリメチルメタクリ
レートにおける官能基導入率およびMnと併せて、下記
の表1に示す。
【0062】比較例4 MMAの20部、AET・HClの1.45部、AIB
Nの0.30部およびDMFの45部をガラスフラスコ
に仕込み、凍結脱気した。窒素ガスを導入した後、フラ
スコを60℃の油浴中に浸し、溶液を撹拌しながら12
時間ラジカル重合を行った。反応終了後、実施例1と同
様にして、得られた反応混合液をメタノール中に注ぎポ
リマーの再沈殿を試みたが、得られたポリマーの溶解性
がMMA等に類似しているため、白濁する程度でほとん
ど沈殿物を生じなかった。そこで、上記の反応混合液と
メタノールとの混合物をエバポレータにより濃縮し、得
られた濃縮物をジエチルエーテルに注いだ。得られた白
色の粘ちょう物に水を加えて十分に撹拌することにより
粉末状物を形成させ、70℃で真空乾燥することによ
り、白色粉末状のポリマーを14部得た(ポリマーの収
率は70%)。重合開始時および重合終了時におけるC
・kdのそれぞれの値を、得られたポリメチルメタクリ
レートにおけるMnと併せて、下記の表1に示す。な
お、得られたポリメチルメタクリレートは精製を十分に
行うことができず、未反応の連鎖移動剤が残存していた
ため、その官能基導入率を求めることができなかった。
【0063】
【表1】
【0064】上記の表1から、重合中におけるC・kd
の最大値(重合開始時での値)が5×10-8mol/リ
ットル・sec以下であり、数式(A)を満足する条件
下に重合を行った、本発明に従う実施例1〜3では、官
能基導入率が高く(70%以上)、かつ数平均分子量も
高い(20000以上)、片末端に官能基を有するポリ
メタクリレートが得られたことが判る。これに対し、重
合の全期間中または途中までの期間中においてC・kd
の値が5×10-8mol/リットル・secより大きく
なり、数式(A)を満足しない条件下で重合を行った、
本発明以外の比較例1〜3では、得られたポリメタクリ
レートの官能基導入率が低く、かつ数平均分子量も低い
ことが判る。また、同様に数式(A)を満足しない条件
下で重合を行った、本発明以外の比較例4では、得られ
たポリメタクリレートの数平均分子量が低く、再沈殿の
ような簡便な分離・精製法を採用することが困難である
ことが判る。
【0065】
【発明の効果】本発明のポリメタクリレートは、官能基
導入率が70%以上、数平均分子量が20000以上で
あるため、分子主鎖片末端のみに官能基を有するポリメ
タクリレート分子の純度が高く、かつ溶融粘度が適度に
高い。従って、該ポリメタクリレートは、マクロモノマ
ーとして有用であり、単独で、または官能基を有する他
のポリマーと反応させて得られるブロック状もしくはグ
ラフト状の共重合体の形で、樹脂改質剤や相溶化剤とし
て好適に用いられる。
【0066】また、本発明の製造法によれば、本発明の
ポリメタクリレートのような、官能基導入率および数平
均分子量の両方が高いポリメタクリレートが容易に得ら
れる。さらに、該製造法によれば、得られるポリメタク
リレートの数平均分子量を高めることができるので、反
応後、再沈殿のような簡便な方法で未反応のモノマーお
よび連鎖移動剤と分離することができ、精製が容易とな
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主鎖が実質的に直鎖状のポリメタクリレ
    ート鎖からなり、かつ主鎖の片末端に一般式 【化1】 −S−R1(−Z1)(−Z2) (I) (式中、R1は3価の炭化水素基を表し、Z1はアミノ
    基、カルボキシル基または水酸基を表し、Z2は水素原
    子、アミノ基、カルボキシル基または水酸基を表す)で
    示される基を1分子当たりの平均値で0.7〜1個含有
    する数平均分子量20000以上のポリメタクリレー
    ト。
  2. 【請求項2】 メタクリレートを官能基含有メルカプタ
    ン化合物系連鎖移動剤およびアゾ化合物系重合開始剤の
    存在下にラジカル重合させるに際し、該アゾ化合物系重
    合開始剤の濃度Cが数式 【数1】C・kd≦5×10-8 (A) (式中、Cはアゾ化合物系重合開始剤の濃度(mol/
    リットル)を表し、kdは上記ラジカル重合と同一の温
    度条件下でのアゾ化合物系重合開始剤の開始反応速度定
    数(1/sec)を表す)を満足する条件下にラジカル
    重合を行うことを特徴とする片末端に官能基を有するポ
    リメタクリレートの製造法。
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