JPH08168524A - 血液透析器の作製方法 - Google Patents

血液透析器の作製方法

Info

Publication number
JPH08168524A
JPH08168524A JP31635894A JP31635894A JPH08168524A JP H08168524 A JPH08168524 A JP H08168524A JP 31635894 A JP31635894 A JP 31635894A JP 31635894 A JP31635894 A JP 31635894A JP H08168524 A JPH08168524 A JP H08168524A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hollow fiber
hemodialyzer
wet
semi
water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP31635894A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoshi Omori
智 大森
Takeyuki Kawaguchi
武行 川口
Takahiro Omichi
高弘 大道
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP31635894A priority Critical patent/JPH08168524A/ja
Publication of JPH08168524A publication Critical patent/JPH08168524A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • External Artificial Organs (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 水(または水溶液)を充填した湿潤状態の血
液透析器から、低温での凍結の問題がなく、輸送保存性
の良好な半湿潤状態または乾燥状態の血液透析器を効率
的に作製する方法を提供する。 【構成】 水(または水溶液)を充填した湿潤状態の血
液透析器から、該透析器の充填液を中空糸を乾燥させず
に物理的に除去した後、中空糸芯部に保湿剤水溶液を通
液し、かつ、該保湿剤水溶液が中空糸外壁から外部へし
み出さないようにして、中空糸内部に保湿剤水溶液を含
浸させ、しかる後中空糸の芯部に残存する保湿剤水溶液
を、中空糸を乾燥させずに、物理的に除去し、さらに必
要に応じて乾燥する、ことにより、低温での凍結などの
問題がなく、輸送・保存性の良好な半湿潤状態または乾
燥状態の血液透析器を作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半湿潤状態または乾燥状
態の血液透析器の作製方法に関するものである。さらに
詳しくは、血液透析膜として高分子中空糸を内蔵してお
り、かつ、内部に水(または水溶液)を充填した血液透
析器から、中空糸の内部に保湿剤水溶液を含み他の部分
には該水溶液を実質的に含まない半湿潤状態の血液透析
器を作製する方法およびこれを乾燥して乾燥状態の血液
透析器を作製する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】血液透析膜は腎臓機能の悪化した患者の
腎機能を代行するものとして、初期は血液から尿素やク
レアチンなどの低分子物質を除くために用いられたが、
近年ではβ2 ミクログロブリンなどの中分子量のタンパ
ク質も効率的に除去できるいわゆる高性能中空糸透析膜
が開発され、益々その重要性が増している。
【0003】かかる高性能中空糸透析膜は、一般にその
製造法(紡糸法)から乾式法および半乾半湿式(乾湿
式)法に分類され、とくに後者の半乾半湿式(乾湿式)
法によるものは良好な性能を示すために、好適に使用さ
れている。
【0004】かかる半乾半湿式(乾湿式)法により中空
糸を製造する場合、繊維の中空部を形成するため芯液が
使用されており、芯液としては流動パラフィンやイソプ
ロピルミリステートなどの非水溶性液体や凝固浴と同じ
組成の有機溶剤の水溶液や水が広く用いられて来た。こ
れらのうちで、得られる中空糸の内表面の平滑性および
紡糸工程での安定性の点からは、流動パラフィンやイソ
プロピルミリステートなどの非水溶性液体が好ましいと
されている。
【0005】これらの非水溶性液体からなる芯液は、中
空糸の紡糸後に遠心分離や圧空押し出しなどの物理的手
段により、その大半が中空糸内部から除去できる。しか
し、該中空糸には多少の芯液が残存付着するため、フロ
ンなどの洗浄溶剤を通液することにより洗浄が行われて
いるが、フロンはオゾン層破壊や低沸点で回収が困難と
いう問題を抱えている。
【0006】この問題を解決する手段として、本発明者
らは、先に(1)イソプロパノール(イソプロピリアル
コール)により芯液の流動パラフィンやイソプロピルミ
リステートなどの非水溶性芯液を洗浄除去し、続いてイ
ソプロパノールを水にてすすぎ洗いする方法(特願平5
−149249号)、(2)界面活性剤水溶液により上
記の非水溶性芯液を洗浄し、続いて界面活性剤の除去お
よび泡立ち防止のため水リンスする方法(特願平5−1
53576号)および(3)非水溶性芯液を水滴を含む
圧空で物理的に除去する方法(特願平6−307605
号)など、を提案した。
【0007】これらの方法では、いずれも洗浄中にグリ
セリンなどの中空糸保湿剤が溶出するため、透析器内に
水(または水溶液)を充填し、必要に応じさらにガンマ
線照射による滅菌を施した、いわゆる湿潤状態の血液透
析器として病院などユーザーに提供される(特願平6−
56568号参照)。
【0008】かかる湿潤状態の血液透析器は、病院など
で使用する際、透析膜の湿潤および気泡抜きの作業が不
要であるので便利であるが、寒冷地では充填水の凍結の
ために輸送・保存が困難であるばかりでなく、血液透析
器の重量が大きく、輸送・取扱いに不便である。また、
湿潤状態の血液透析器は保存中および滅菌処理時に透析
性能が低下する傾向がある。
【0009】芯液洗浄以外にも何等かの理由で湿潤状態
にある血液透析器も同様の問題を抱えている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主な目的は、
かかる湿潤状態の血液透析器に特定の処理を施し、比較
的軽量でかつ寒冷地でも充填水の凍結の問題がなく、保
存および滅菌処理に対する安定性も優れた半湿潤状態あ
るいは乾燥状態の血液透析器を作製する方法を提供する
ことにある。具体的には、血液透析器内に水(または水
溶液)を充填した湿潤状態の血液透析器から上述のごと
き利点を有する半湿潤状態の血液透析器を効率的に作製
する方法、さらには、この半湿潤状態の血液透析器から
乾燥状態の血液透析器を作製する方法、を提供すること
にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するもので、血液透析用中空糸を内蔵しかつ内部に
水(または水溶液)を充填した血液透析器から、(a)
該透析器中に充填された水(または水溶液)を、中空糸
が乾燥しない条件下で、物理的に除去した後、(b)中
空糸芯部に保湿剤水溶液を通液し、かつその際、該保湿
剤水溶液が中空糸外壁から外部へしみ出さないようにし
て、中空糸内部に保湿剤水溶液を含浸させ、しかる後
(c)中空糸芯部に残存する保湿剤水溶液を、中空糸が
乾燥しない条件下で、物理的に除去する、ことにより半
湿潤状態の血液透析器を作製する方法、ならびに、さら
に(d)この半湿潤状態の血液透析器を乾燥して中空糸
に含まれる水分の少なくとも一部を除去することにより
乾燥状態の血液透析器を作製する方法、である。
【0012】より具体的には、本発明は、芯液として非
水溶性液体を用いて紡糸した血液透析用中空糸を内蔵す
る血液透析器において、該中空糸に付着・残存している
芯液をイソプロパノールのような水溶性有機溶剤で洗浄
した後水洗するか、界面活性剤水溶液で洗浄した後水洗
するか、あるいは、水/圧空混合流体で洗浄するなど、
何等かの理由により一たん水(または水溶液)を充填し
て湿潤状態とした血液透析器から、半湿潤状態または乾
燥状態の血液透析器を作成する方法であって、(a)血
液透析器中の充填水を、中空糸が乾燥しない条件下で、
物理的に除去する工程、(b)該中空糸芯部に保湿剤水
溶液を通液し、かつその際、該保湿剤水溶液が中空糸外
壁から外部へしみ出さないよう血液側を透析液側に比べ
て加圧状態あるいは軽い負圧状態にして、中空糸内部に
保湿剤水溶液を含浸させる工程、そして(c)中空糸芯
部に残存する保湿剤水溶液を、中空糸が乾燥しない条件
下で、物理的に除去する工程、を順次行うことにより、
半湿潤状態の血液透析器を作製し、(d)さらに、必要
に応じて、この半湿潤状態の血液透析器を乾燥して中空
糸に含まれる水分の少なくとも一部(好ましくは大部
分)を除き、乾燥状態の血液透析器とする、方法であ
る。
【0013】ここで「半湿潤状態の血液透析器」とは、
中空糸内部(中空糸の芯部を囲む周壁部)に保湿剤水溶
液を含みかつ乾燥していない状態の血液透析器を指称
し、好ましくは、中空糸内部以外の部分、例えば各中空
糸の芯部や外周、中空糸束内の糸間あるいは中空糸束の
外周と透析容器内周と間の空隙などには水や水溶液が実
質的に残存しない状態にある血液透析器を言い、水分率
にして中空糸素材(乾燥)重量に対し10〜500重量
%、好ましくは100〜300重量%、の範囲にあるも
のをいう。また「乾燥状態の血液透析器」とは、上記の
半湿潤状態の血液透析器を乾燥して、中空糸の水分率を
保湿剤付与後の中空糸の常温(0〜40℃)常湿(20
〜80%RH)での平衡水分率以下に抑えた血液透析器
を指す。保湿剤の種類、膜素材により最大水分率は異な
るが、好適には中空糸素材と保湿剤水溶液の合計重量に
対し90重量%以下の水分率まで乾燥したものをいう。
【0014】本発明方法において血液透析器に用いられ
る中空糸膜の材質は、透析用中空糸に形成し得るもので
あれば、特に制限はないが、好適な具体例としては、セ
ルロースエステル類、再生セルロース、ポリスルホン、
ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリアミド
などが挙げられ、これらのうちでも、紡糸工程で非水溶
性芯液を用いた場合に特に好ましい中空糸が得られるも
のとしては、セルロースジアセテート、セルローストリ
アセテートなどのセルロースエステル類が好適である。
【0015】上記のポリマーは、溶剤および開孔剤とと
もに均一溶解して紡糸原液(紡糸ドープ)を調製後、二
重管ノズルを用い、その中心部には非水溶性液体を芯液
として供給し外側には上記紡糸原液を供給して吐出し凝
固浴に導入して凝固させる方法、例えば半乾半湿式紡糸
法により安定に紡糸され、透析機能を有する中空糸とな
る。
【0016】この際、芯液として用いられる非水溶性液
体としては、炭素数10〜30の脂肪族パラフィン、高
級脂肪酸エステルおよび炭素数7〜10の芳香族炭化水
素が挙げられる。これらは単独で使用しても混合物で使
用しても差支えない。これらのうちでも、炭素数16以
上の脂肪族パラフィンおよび炭素数20以上の高級脂肪
族エステルは常温で固体であることが多いので、紡糸時
には加熱溶融する必要がある。
【0017】本発明方法において芯液として特に好適に
用いられる非水溶性液体は、常温で液状の炭素数10〜
15の流動パラフィン、イソプロピルミリステート、ト
ルエン、キシレンなどである。これらの芯液の中でも、
紡糸過程での中空糸の形状維持や中空糸内面の平滑性お
よび中空糸強度などの点から、凝固浴水溶液に非溶解性
であると同時に紡糸原液とも全く非混和性の流動パラフ
ィンが最も好適に用いられる。
【0018】本発明方法では、このようにして紡糸され
た中空糸を用いて血液透析器を作製するが、紡糸時に使
用した非水溶性の芯液が中空糸の芯部(中空部)に含有
されているため、まずこれを除去する必要がある。そこ
で、自然落下、圧空押し出し、遠心分離などの物理的手
段により可能な限り多くの芯液を除去する。この場合2
種以上の手段を組み合わせることも可能であり、例え
ば、自然落下および/または圧空押し出しの後、遠心分
離を行うことが可能であり、効果的である。
【0019】その後、中空糸束を透析容器(ケース)に
収納・接着固定する前または後に、該中空糸に残存付着
する芯液を洗浄・除去するが、その具体的方法として
は、本発明者らが先に提案した(1)イソプロパノール
(イソプロピルアルコール)により芯液の流動パラフィ
ンやイソプロピルミリステートなどの非水溶性芯液を洗
浄除去し、続いてイソプロパノールを水にてすすぎ洗い
する方法(特願平5−149249号)、(2)界面活
性剤水溶液によって上記の非水溶性芯液を洗浄し、続い
て界面活性剤の除去および泡立ち防止のため水リンスす
る方法(特願平5−153576号)および(3)透析
器(モジュール)を組み立てた後、透析器内の中空糸に
通水して糸を湿潤させた後、水滴を含む圧空などを通し
て中空糸の残存付着する芯液を物理的に除去する方法
(特願平6−307605号)などが好ましく採用され
る。
【0020】好適には、紡糸した中空糸の芯部(中空
部)に含有する芯液を、まず、自然落下、圧空押し出し
および/または遠心分離などの物理的手段により芯液の
80重量%以上、好ましくは90重量%以上を除去した
後、中空糸束を透析容器(ケース)に収納・接着固定し
て透析器(モジュール)を組み立てる。このいわゆる成
型工程の後に、透析器内の中空糸に付着残存する芯液
を、上述した(1)(2)(3)などの方法で芯液を洗
浄除去し、引き続き、該透析器内に水(または必要に応
じてこれに添加剤を加えた水溶液)を充填して湿潤状態
の透析器とする。
【0021】本発明方法によれば、このように作製した
湿潤状態の透析器を用い、これに少なくとも下記(a)
(b)(c)の各工程を施すことによって半湿潤状態の
透析器を作製し、さらに必要に応じて、下記(d)の工
程を付加することによって乾燥状態の透析器を作製す
る。 (a)血液透析器中に充填水(該充填水には必要に応じ
添加剤を含んでもよい)を、中空糸が乾燥しない条件下
で、物理的に除去する工程、(b)中空糸芯部に保湿剤
水溶液を通液し、かつその際、該保湿剤水溶液が中空糸
外壁から外部へしみ出さないようにして、中空糸膜内部
に保湿剤水溶液を含浸させる工程、(c)中空糸の芯部
(中空部)に残存する保湿剤水溶液を、中空糸が乾燥し
ない条件下で、物理的に除去する工程、(d)中空糸中
の保湿剤水溶液の水分の少なくとも一部、好ましくは大
部分、を乾燥除去する工程、上記工程(a)において、
まず、湿潤状態にある血液透析器中の充填水を、自然落
下、圧空押し出し、遠心分離などの物理的手段で排出さ
せて除去する。この際、中空糸が乾燥しない条件下で実
施することが必要である。ここで「乾燥しない条件」と
は、中空糸素材(乾燥)重量に対し10〜500重量
%、好ましくは100〜300重量%、の水分を含む状
態をいう。ここで充填液を透析器から排出させる手段と
しては、自然落下、圧空による押し出し、遠心分離など
適宜の物理的手段が採用されるが、これらは2種以上組
み合わせて採用してもよく、例えば、自然落下または圧
空押し出しを行った後、さらに遠心分離を行ってもよ
い。この工程(a)は0℃〜70℃で行うの適当であ
り、常温〜50℃で行うのが好ましい。
【0022】次に、上記工程(b)において、中空糸芯
部(中空部)に保湿剤水溶液を通液し、かつその際、該
保湿剤水溶液が中空糸外壁から外部へしみ出さないよう
にして、中空糸膜内部に保湿剤水溶液を含浸させる。
【0023】保湿剤としては、無毒性、水溶性、高沸点
であり、かつ中空糸に含浸しやすいものが使用される。
好適な具体例としては、グリセリン、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、水溶性のポリエチレングリ
コールおよびポリプロピレングリコールなどが挙げられ
る。これらは通常30〜90重量%、好ましくは50〜
80重量%、の水溶液として用いられる。この保湿剤水
溶液は常温で、あるいは加温して低粘度にして使用す
る。
【0024】ここで保湿剤水溶液を中空糸内部に含浸さ
せるには、液を注入する血液側の圧力を透析液側の圧力
に比べ陽圧か軽い陰圧にするのが適当であり、好ましく
は−500〜2000mmHg程度、特に好ましくは10〜
760mmHgの範囲に加圧される。
【0025】本発明方法では、この際に中空糸の外壁か
ら透析液側に保湿剤水溶液が漏れ出さない条件する必要
があり、膜の材質や厚さなどを勘案して適当な圧力を選
定すべきである。例えばセルローストリアセテート中空
糸の場合、液入口側を50〜560mmHgの圧力範囲にす
るのが好ましい。一方、液出口側の圧力は軽い負圧にな
っていても差支えない。
【0026】このように保湿剤水溶液の中空糸膜内部へ
の含浸を促進する目的で血液側から加圧を行うのが適当
であるが、この際、逆に血液側を極端な陰圧にしたり透
析液側から極端に加圧すると、糸が潰れるおそれがあ
り、均一な保湿剤処理が困難となる。
【0027】この工程(b)の含浸処理温度は、通常0
℃〜70℃が採用され、常温〜50℃で行うのが好まし
い。また、処理時間は30秒〜20分、特に1〜10分
が好適である。
【0028】このように中空糸膜内部(中空糸の周壁部
内)に保湿剤水溶液を含浸させた後、上記工程(c)に
おいて、中空糸の芯部に残存する保湿剤水溶液を、中空
糸が乾燥しない条件下で、物理的に除去する。
【0029】この工程で採用する物理的手段としては、
上記工程(a)と同様な手段が採用できるが、必要によ
り、中空糸内の保湿剤水溶液の残液を押し出すために、
一旦血液側より加圧し一気に解放して余分な液を膜中お
よび芯部(中空部)に沿って追い出す操作を追加しても
よい。
【0030】以上のごとく作製した半湿潤状態の透析器
に、さらに上記工程(d)を施し、乾燥状態の透析器と
する場合の乾燥方法としては、通風、加熱(熱風加熱、
ヒーター加熱、高周波加熱など)、蒸気乾燥(溶剤蒸気
などによる)によって可能であるが、乾燥効率から透析
液側および/または血液側に通風する方法が好ましく採
用される。
【0031】かくして、本発明方法によれば、半湿潤状
態の血液透析器あるいは乾燥状態の血液透析器が効率的
に作製される。
【0032】本発明方法では、以上のようにして半湿潤
状態あるいは乾燥状態の血液透析器を作製した後、エチ
レンオキサイド、加熱、ガンマ線照射などにより滅菌を
行うことができるが、特にガンマ線照射により滅菌処理
することが好ましい。
【0033】ガンマ線滅菌の際、予め工程(c)の保湿
剤水溶液に、耐ガンマ線安定剤を添加することで透析膜
の劣化を防ぐことが可能である。このような膜の安定剤
の具体例としては、プロピレングリコール、ポリプロピ
レングリコール、燐酸2水素ナトリウム、燐酸水素2ナ
トリウムあるいはこれらの混合物、pH調節剤などがあ
げられる。
【0034】
【発明の効果】以上述べたように、本発明方法によれ
ば、中空糸の芯液として用いられる非水溶性液体を、フ
レオンなどの環境破棄姓の溶剤を用いず、イソプロピル
アルコールなどの水溶性溶剤や界面活性剤水溶液で洗浄
後さらに水洗するか、加圧空気と水により洗浄すること
で湿潤状態になった血液透析器に、再度保湿剤を付与し
て半湿潤状態とした透析器や、さらにこれを乾燥した乾
燥状態の透析器を効率的に作製することができる。そし
て、かかる半湿潤状態や乾燥状態の透析器は、低温での
凍結の問題がなく、また軽量化されるため輸送が容易に
なるという利点があるばかりでなく、湿潤状態の透析器
に比べて保存安定性に優れているという利点もある。
【0035】
【実施例】以下に、実施例および比較例によって本発明
方法をより具体的に説明する。ただし、これらの実施例
および比較例は本発明の理解を助けるためのものであっ
て、これらの記載によって本発明の範囲が限定されるも
のではない。
【0036】なお、例中の中空糸の透析性能は次のよう
に測定した。 (中空糸の透析性能測定方法)中空糸の透析性能として
は、透水性(UFR)、尿素透析性(DA尿素)、デキ
ストラン1万透析性(DA1万)、デキストラン7万フ
ルイ係数(SC7万)を評価した。評価には、有効面積
1.5m2 の透析器を用いた。具体的な測定条件を以下
に示す。 (a)UFR:差圧300mmH2 Oで35℃の純水20
mLが圧濾過されるに要する時間を測定することにより求
めた(単位:ml/m2 /h/mmHg )。 (b)DA尿素:0.01wt% の尿素水溶液を内の中空
糸束の片側端面から他方の端面に200mL/分の流速で
通液した際の、入口と出口での尿素水溶液の濃度差から
算出した(単位:ml/min)。 (c)DA1万:デキストラン1万に0.02wt% 水溶
液を透析液として用い、尿素透析性と同様にして算出し
た(単位:ml/min)。 (d)SC7万:デキストラン7万の0.01wt% 水溶
液を原液として用い、10mmHgの加圧下で膜を透過した
デキストラン7万濃度を測定することにより、算出し
た。
【0037】また、例中に示す部または%は、特にこと
わらない限り重量を基準とするものである。
【0038】[実施例1,比較例1]芯液として流動パ
ラフィンを用いて紡糸したセルローストリアセテート中
空糸束を50℃の乾燥機中に懸垂静置し、中空糸の片側
端面から流動パラフィンを自然落下させた後、さらに3
000rpmで遠心分離することにより、中空糸内部の
流動パラフィンの約95%を除去した。しかる後、該中
空糸束を透析容器(ケース)内に収納し、糸束末端部を
ウレタン樹脂で封止後、50℃で15時間ウレタン硬化
反応を行った。
【0039】かくして得られた中空糸収納透析器(モジ
ュール)の内面に、1Lの水を通液して湿潤させた後、
中空糸内に加圧空気−水混合液(水滴を含む加圧空気)
を空気100L/分+水125mL/分の流量で10分間
通液し流動パラフィンを物理的に除去した後、これに水
を充填して湿潤状態の血液透析器(モジュール)を作製
した。
【0040】この透析器(モジュール)の血液側/透析
液側交互に3回300mmHgの圧力を掛け充填水を抜い
た。そこで、透析液側に栓を施し保湿剤水溶液として6
0%グリセリン水溶液を血液側に200mL/分の流速に
て陽圧で5分間通液し、最後に上下から1分ずつ加圧空
気を200mL/分の流速でブローした。透析容器(ケー
ス)内の水滴は、細かく分散しておくと、糸に浸透した
グリセリン液の吸湿効果で消滅した。また、糸内に残っ
たグリセリン水溶液の液滴は、血液側から2気圧の圧力
を掛けると膜内に浸透し消滅した。
【0041】この透析器の充填液にプロピレングリコー
ルを添加して照射量25KGy のガンマー線照射を行い、
滅菌処理を施した。
【0042】かくして得られた半湿潤状態の透析器(モ
ジュール)は、中空糸の水分率が糸素材(セルロースト
リアセテート)100部に対し140部であり、その作
製直後および保存後の透析性能は表1に示す通りであっ
た。この透析器は、軽量であるにも拘らずガンマー線滅
菌前の湿潤状態の透析器の性能(比較例1)と変らなか
った。さらに表1から明らかなように、低温下の保存で
も凍結することなく、しかも比較例1の湿潤状態でガン
マー線滅菌して保存した透析器と比べ、SC7万の値が
大きくなって大きな分子の漏れがみられることがなく、
性能的に安定であり、さらに品質的(リーク面)にも保
存安定性が高いことが判った。
【0043】
【表1】
【0044】[実施例2、3]実施例1で用いた保湿剤
水溶液の代わりに、ポリエチレングルコール60%水溶
液、プロピレングリコール60%水溶液を用いて、実施
例1と同様の処理を行い、半湿潤状態の透析器を作製し
た。
【0045】それぞれの透析器の性能安定性を評価した
ところ表2に示す結果が得られた。表2から明らかなよ
うに、本発明方法による半湿潤状態の血液透析器は、ガ
ンマー線滅菌前の湿潤状態の透析器(比較例1参照)の
性能を維持し、大幅に保存安定性が向上していることが
確認された。
【0046】
【表2】
【0047】[実施例4]実施例1で用いた保湿剤水溶
液の代わりにグリセリン80%水溶液を用いて、実施例
1と同様の処理を行って半湿潤状態の透析器を作製した
後、これに70℃の熱風を透析液側、血液側から各々5
0L/分の流速で20分間通気し、水分率が保湿剤水溶
液と中空糸素材の合計重量に対し10%まで低下させた
乾燥状態の透析器を作成した。
【0048】この乾燥状態の透析器の性能安定性を評価
したところ、表3に示す結果が得られた。表3から明ら
かなように本発明方法による乾燥状態の透析器は、保存
後もガンマー線滅菌前の湿潤状態の性能(比較例1参
照)を維持し、大幅に保存安定性が向上していることが
確認された。
【0049】
【表3】

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 血液透析用中空糸を内蔵しかつ内部に水
    を充填した血液透析器から、(a)該透析器中の充填水
    を、中空糸が乾燥しない条件下で、物理的に除去した
    後、(b)中空糸芯部に保湿剤水溶液を通液し、かつそ
    の際、該保湿剤水溶液が中空糸外壁から外部へしみ出さ
    ないようにして、中空糸内部に保湿剤水溶液を含浸さ
    せ、しかる後(c)中空糸芯部に残存する保湿剤水溶液
    を、中空糸が乾燥しない条件下で、物理的に除去する、
    ことを特徴とする半湿潤状態の血液透析器の作製方法。
  2. 【請求項2】 血液透析用中空糸がセルロースエステル
    からなる中空糸であることを特徴とする請求項1記載の
    半湿潤状態の血液透析器の作製方法。
  3. 【請求項3】 保湿剤がグリセリン、エチレングリコー
    ル、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、
    ポリプロピレングリコールから選ばれた多価アルコール
    であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の
    半湿潤状態の血液透析器の作製方法。
  4. 【請求項4】 中空糸芯部に残存する保湿剤水溶液を、
    該中空糸の中空部に加圧空気を通気することにより除去
    することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに
    記載の半湿潤状態の血液透析器の作製方法。
  5. 【請求項5】 血液透析用中空糸を内蔵しかつ内部に水
    を充填した血液透析器として、中空糸束を透析容器に収
    納し接着固定して透析器を組み立てた後に、該中空糸に
    残存する芯液を洗浄除去し、水を充填したものを使用す
    ることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記
    載の半湿潤状態の血液透析器の作製方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の
    方法で半湿潤状態の血液透析器を作製した後、該血液透
    析器をガンマー線照射により滅菌することを特徴とする
    滅菌された半湿潤状態の血液透析器の作製方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の
    方法で半湿潤状態の血液透析器を作製した後、該血液透
    析器を乾燥して中空糸に含まれる水分の少なくとも一部
    を除去することを特徴とする乾燥状態の血液透析器の作
    製方法。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の方法で乾燥状態の血液透
    析器を作製した後、該血液透析器をガンマー線照射によ
    り滅菌することを特徴とする滅菌された乾燥状態の血液
    透析器の作製方法。
JP31635894A 1994-12-20 1994-12-20 血液透析器の作製方法 Pending JPH08168524A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31635894A JPH08168524A (ja) 1994-12-20 1994-12-20 血液透析器の作製方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31635894A JPH08168524A (ja) 1994-12-20 1994-12-20 血液透析器の作製方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08168524A true JPH08168524A (ja) 1996-07-02

Family

ID=18076217

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31635894A Pending JPH08168524A (ja) 1994-12-20 1994-12-20 血液透析器の作製方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08168524A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008093228A (ja) * 2006-10-13 2008-04-24 Asahi Kasei Kuraray Medical Co Ltd 中空糸膜型血液浄化装置
US9050410B2 (en) 2004-10-15 2015-06-09 Nipro Corporation Blood purifier and blood purifier package
US9056280B2 (en) 2004-10-15 2015-06-16 Nipro Corporation Method for sterilizing blood purifier and blood purifier package
US9067178B2 (en) 2004-12-22 2015-06-30 Nipro Corporation Blood purifier package and process for manufacturing the same
CN111658863A (zh) * 2020-07-02 2020-09-15 威海威高血液净化制品有限公司 一种降低空心纤维透析器中pvp溶出的方法

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9050410B2 (en) 2004-10-15 2015-06-09 Nipro Corporation Blood purifier and blood purifier package
US9056280B2 (en) 2004-10-15 2015-06-16 Nipro Corporation Method for sterilizing blood purifier and blood purifier package
US9987409B2 (en) 2004-10-15 2018-06-05 Nipro Corporation Blood purifier and blood purifier package
US10137234B2 (en) 2004-10-15 2018-11-27 Nipro Corporation Method for sterilizing blood purifier and blood purifier package
US9067178B2 (en) 2004-12-22 2015-06-30 Nipro Corporation Blood purifier package and process for manufacturing the same
EP2962712A1 (en) 2004-12-22 2016-01-06 Nipro Corporation Hemopurifier package and process for producing the same
US9987408B2 (en) 2004-12-22 2018-06-05 Nipro Corporation Blood purifier package and process for manufacturing the same
EP3437670A1 (en) 2004-12-22 2019-02-06 Nipro Corporation Hemopurifier package and process for producing the same
JP2008093228A (ja) * 2006-10-13 2008-04-24 Asahi Kasei Kuraray Medical Co Ltd 中空糸膜型血液浄化装置
CN111658863A (zh) * 2020-07-02 2020-09-15 威海威高血液净化制品有限公司 一种降低空心纤维透析器中pvp溶出的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0294737B1 (en) Polysulfone hollow fiber membrane and process for making the same
TW474835B (en) Polysulfone hollow fiber semipermeable membrane
EP0980685A3 (en) Peritoneal dialysis fluid and method for a continuous recirculating peritoneal dialysis using the same
JPH0364544B2 (ja)
JPH08168524A (ja) 血液透析器の作製方法
US4767538A (en) Washing of semipermeable membrane
JPH07289863A (ja) ポリスルホン系中空糸膜及びその製造方法
JPS5931345B2 (ja) 高圧蒸気滅菌された人工臓器の製造方法
US5897817A (en) Process for making a medical device from a cellulose acetate hollow fiber semipermeable membrane
US5814179A (en) Process for producing a blood dialyzer
JP3684676B2 (ja) ポリスルホン系中空糸型人工腎臓の製造方法および人工腎臓
JP2001190934A (ja) 溶出物の少ない中空糸膜モジュール
JPH0194902A (ja) ポリスルホン中空繊維膜およびその製法
JP4129393B2 (ja) 湿潤半透膜を含む血液または血漿の体外処理装置およびその製造方法
JP3193262B2 (ja) 血液処理器の製造方法及び血液処理器
JPH09168588A (ja) 滅菌された半湿潤状態の血液透析器の作製方法
JPH1043292A (ja) 半湿潤及び乾燥状態の血液透析器の製造方法
JP3068424B2 (ja) 血液透析器の作製方法
JP2003175321A (ja) 中空糸状膜の製造方法
JP2710663B2 (ja) 血液処理器の製造方法
JP2003275300A (ja) 血液浄化用再生セルロース中空糸膜、その製造方法および血液浄化器
JPH0362447B2 (ja)
JP2003245345A (ja) 中空糸膜及びその製造方法
JP3992187B2 (ja) 中空糸状膜の製造方法
JPH07124250A (ja) 血液透析用中空糸の洗浄および乾燥方法