JPH0815914A - 静電荷像現像用トナーおよび静電荷像現像剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐久性および環境性に優れた静電荷像現像用
トナーおよび現像剤を得る。 【構成】 樹脂および着色剤を主成分とする静電荷像現
像剤トナーにおいて、下記一般式（Ｉ）で示されるニッ
ケルジチオラート錯体を含有する静電荷像現像用トナ
ー。また、該トナーとキャリアを含有する静電荷像現像
剤。 【化１】

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電子写真法により形成
される静電荷像の現像に有用なトナーおよび現像剤に関
する。

【０００２】

【従来の技術】電子写真法により、感光体を一様に帯電
させた後、原図に基づいた光像を前記感光体に露光し、
光照射部分の電荷を削減あるいは滅少させて感光体上に
原図に対応する静電荷像を形成させ、この静電荷像をキ
ャリア粒子とトナー粒子からなる、いわゆる二成分系現
像剤により顕像化して複写物を得る方法は、一般に、良
く知られている。

【０００３】この二成分系現像剤は、比較的大きなキャ
リア粒子表面上に微小なトナー粒子が、両粒子の摩擦に
より発生した電気力により保持されており、かかる現像
剤を静電潜像に接近させると、静電潜像が形成する電界
のトナー粒子に対する潜像方向への吸引力が、トナー粒
子とキャリア粒子間の結合に打ち勝って、トナー粒子の
み静電潜像上に吸引付着されて静電潜像が可視化され
る。

【０００４】そして、このトナーに要求される特性とし
ては、帯電性、吸湿性、経時安定性、流動性等が挙げら
れるが、これらの特性のうち、帯電性、吸湿性、経時安
定性はトナー中に含有される荷電制御剤によって大きな
影響を受ける。従来、トナー用荷電制御剤としては、負
荷電制御剤として、含Ｃｒ、Ｃｏ錯体（特開昭６１−２
１７０６１号公報、特開昭６３−２１６０６１号公
報）、ニトロフミン酸類（特開昭５０−１３３８３８号
公報）、フタロシアニン顔料（特開昭６０−２５８５６
０号公報）等が、また、正荷電制御剤としてニグロシン
系染料塩（特開昭５６−２２４４１号公報）、各種四級
アンモニウム塩（特開昭５９−１３６７４７号公報）、
イミダゾール誘導体（特開平３−７２３７３号公報）等
が知られているが、これらの制御剤を用いたトナーは帯
電性、吸湿性、経時安定性が充分でなく制御剤自身のバ
インダーとの相溶性も十分とは言い難い。例えば正荷電
制御剤として公知のニグロシン染料を用いたトナーは、
それ自体は比較的高い帯電力を有するが、基材（紙）に
対する付着力が劣り、また、それ自体が黒色であるため
適用範囲が限定された色相のトナーにしか使用できない
といった欠点がある。また、四級アンモニウム塩を用い
たトナーのなかには極めて吸湿性が高く、その結果、経
時安定性に欠け反復画像形成能が劣るという欠点がある
ものもある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
鑑みてなされたもので、吸湿性が少なく経時安定性を有
し、その結果、反復画像形成性を有する等、環境性およ
び耐久性に優れた静電荷像現像用トナーおよび現像剤を
得ることを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、樹脂お
よび着色剤を主成分とする静電荷像用トナーにおいて、
下記一般式（Ｉ）で示されるニッケルジチオラート錯体
を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナーが提
供される。

【化１】 また、本発明によれば、上記のトナーとキャリアを含有
することを特徴とする静電荷像現像剤が提供される。

【０００７】以下に本発明を詳細に説明する。本発明の
トナーに使用されるニッケルジチオラート錯体は、ま
ず、下記一般式（II）で示されるジチオラートナトリウ
ム塩と硝酸ニッケルを有機溶媒中で加熱還流して合成さ
れる中性ニッケル錯体を、ヨウ素酸化して、対応するオ
ニウム塩によって結晶化した後、カラムクロマトグラ
フ、あるいは再結晶によって得ることができる。

【化２】 （式中、Ｒ、Ｒ’は一般式（Ｉ）の化合物の場合と同じ
である） 一般式（Ｉ）における置換基ＲおよびＲ’の具体例とし
ては、メチル基、エチル基、ｎ−プロピル基、ｉ−プロ
ピル基、ｎ−ブチル基、ｔ−ブチル基、ｎ−ヘキシル
基、シクロヘキシル基、ｎ−オクチル基、ｎ−ドデシル
基などのアルキル基、置換または無置換のフェニル基、
ベンジル基、アルコキシ基およびニトロ基、ニトリル
基、エステル基、メチルチオ基、フェニルチオ基、フッ
素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げるこ
とができる。また、フェニル基、ベンジル基に置換する
置換基としては、メチル基、エチル基、ｎ−プロピル
基、ｎ−ブチル基、ｔ−ブチル基などのアルキル基、メ
トキシ基、エトキシ基、ｎ−プロポキシ基、ｔ−ブトキ
シ基などのアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲ
ン原子ならびにこれらのアルキル基、アルコキシ基、ニ
トロ基、シアノ基、ハロゲン原子の一置換、二置換、三
置換体などが挙げられる。複素環としては、ピリジン、
ピロール、ピリミジン、イミダゾール、キノリン等が挙
げられる。また、カウンターのカチオン種Ｘ（＋イオ
ン）としては、水素イオンのほか、アルカリ金属イオ
ン、種々の四級アンモニウム塩、ホスホニウム塩などが
挙げられる。

【０００８】本発明の静電像現像用トナーおよび現像剤
は前記一般式（Ｉ）で示されるニッケルジチオラート錯
体を含有することから、繰り返しの連続複写を行っても
画像品質が低下せず、また温度や湿度等の環境が変化し
ても帯電特性の変動が少ないものである。

【０００９】以下に本発明の負荷電荷制御剤であるニッ
ケルジチオラート錯体の具体例を挙けるが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。

【００１０】

【表１−（１）】

【００１１】

【表１−（２）】

【００１２】

【表１−（３）】

【００１３】

【表１−（４）】

【００１４】次に本発明で用いることができる樹脂とし
ては、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−メ
タアクリル共重合体、エポキシ樹脂などが挙げられる。
また、着色剤としては、例えば、Ｋａｙａｓｅｔ Ｙｅ
ｌｌｏｗ Ｅ−Ｌ２Ｒ（日本化薬製、Ｃ．Ｉ．Ｐｉｇｍ
ｅｎｔ Ｙｅｌｌｏｗ １４２）、Ｋａｙａｓｅｔ Ｒ
ｅｄ Ａ−Ｇ（同、Ｃ．Ｉ．Ｓｏｌｖｅｎｔ １７
９）、Ｋａｙａｓｅｔ Ｂｌｕｅ ＦＲ（同、Ｃ．Ｉ．
Ｓｏｌｖｅｎｔ Ｂｌｕｅ １０５）およびカーボンブ
ラック等が挙げられるが、これらに限定されるものでは
ない。本発明の前記化合物（１）の含有量は、樹脂成分
１００重量部に対して０．５部〜３０重量部、好ましく
は１〜１０重量部である。０．５重量部以下では十分な
オフセット防止効果の点で問題を生じやすく、また、３
０重量部以上ではゲル化することがあるので好ましくな
い。また、ポリプロピレン、ポリエチレン、カルナウバ
ワックス等の定着性向上剤、疎水性シリカ、アルミナ、
硫化モリブデン、酸化チタン等の流動性向上剤、ステア
リン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸亜
鉛等のクリーニング向上剤などの各種添加剤を加えるこ
とができる。キャリアとしては、鉄、ニッケル、コバル
ト、フェライト等の磁性材料が好ましく用いられる。

【００１５】本発明のトナーは、上記の樹脂、着色剤、
電荷制御剤を加熱ニーダー、三本ロール等の加熱混合処
理可能な装置により、溶融、混練後、冷却固化したもの
をジェットミル、ボールミル等の粉砕機により１〜５０
μｍの粒径に粉砕することにより得ることができる。他
の方法としては、樹脂を溶解し、これに電荷制御剤を添
加し、撹拌処理の後、水に流し込み再沈殿させてから濾
別、乾燥してボールミルなどの粉砕機を使って１〜５０
μｍの粒径に粉砕することにより得ることができる。

【００１６】

【実施例】以下に本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、実施例中の部は重量部を表す。下記各処方を配合
し、熱ロールで混練後、粉砕、分級して平均粒径８．０
μｍの実施例および比較例のトナーを作成した。

【００１７】実施例１ 〈トナーの処方〉 スチレン−メタクリレート樹脂 １００部 ニッケルジチオラート錯体（例示化合物２） ５部 カーボンブラック １０部

【００１８】実施例２ 〈トナーの処方〉 ポリエステル樹脂 １００部 ニッケルジチオラート錯体（例示化合物６） ８部 カーボンブラック １０部

【００１９】実施例３ 〈トナーの処方〉 エポキシ樹脂 １００部 ニッケルジチオラート錯体（例示化合物１２） １０部 カーボンブラック １０部

【００２０】比較例 〈トナーの処方〉 スチレン−メタクリレート樹脂 １００部 含金属モノアゾ染料 （保土谷化学社製 スピロンブラックＴＯＨ） １０部 カーボンブラック １０部

【００２１】上記で得たトナーをＥＦＶ２００〜３００
メッシュ鉄粉（日本鉄粉社製）と混合し、撹拌してトナ
ー濃度７％の静電荷像現像剤をそれぞれ作成し、以下の
評価を行った。

【００２２】１．耐久性試験 耐久性は、電子写真複写機（リコー製 ＦＴ４０６０）
で連続２００００枚複写を行い、初期および複写後の現
像剤のトナー帯電量（μＣ／ｇ）を測定し、画像評価を
行った。

【００２３】２．環境性試験 環境性については、トナーおよびキャリアを高湿条件
（３０℃、湿度９０％の雰囲気中に２時間）および低湿
条件（１０℃、湿度３０％の雰囲気中に２時間）で調湿
後、上記と同様にトナーとキャリアを混合、撹拌してそ
れぞれについて現像剤を作成し、現像剤のトナー帯電量
（μｃ／ｇ）を測定し、高湿時と低湿時の変動率を評価
した。評価結果を表２に示す。

【００２４】

【表２】 ＊ ：１００００枚複写時点 ＊＊：地汚れの発生が著しい

【００２５】

【発明の効果】本発明のニッケルジチオラート錯体を含
有した静電荷像現像用トナーおよび現像剤は、環境によ
る帯電特性の変動が少なく、また、繰り返しの連続複写
を行っても画像品質が低下しない。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 冬彦 東京都大田区中馬込１丁目３番６号 株式 会社リコー内 (72)発明者 丸山 勝次 東京都大田区中馬込１丁目３番６号 株式 会社リコー内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 樹脂および着色剤を主成分とする静電荷
   像用トナーにおいて、下記一般式（Ｉ）で示されるニッ
   ケルジチオラート錯体を含有することを特徴とする静電
   荷像現像用トナー。 【化１】
2. 【請求項２】 請求項１記載のトナーとキャリアを含有
   することを特徴とする静電荷像現像剤。