JPH081590Y2 - 暖房用シート体 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、主に電気カーペット、
電気毛布等の暖房用シート体に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、電気カーペット、電気毛布等に配
設されたコードヒータに流れる電流値を制御して該コー
ドヒータの温度を制御するために用いられる感熱センサ
ーとしては、該コードヒータ内の発熱線を、温度の高低
によって電気絶縁抵抗値が逐次変化するナイロン等の有
機感熱材で包被すると共に、該有機感熱材の外周面を裸
銅線等で巻装した構成のものが存在し適宜用いられてな
る。

【０００３】即ち、上記構成からなる感熱センサーは、
コードヒータ内の発熱線の温度の上昇に伴って該発熱線
を包被する有機感熱材の電気絶縁抵抗値が低下し、且つ
該有機感熱材の電気絶縁抵抗値が低下することによって
前記裸銅線等を常時流れている信号電流が前記有機感熱
材に漏れ電流として流れ込む特性を利用して前記コード
ヒータの温度を検出することが出来るものである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の感熱センサーに於いては、下記の様な問題点があっ
た。

【０００５】即ち、上記従来の電気カーペット及び電気
毛布等に使用される感熱センサーに用いられる有機感熱
材は、その使用する製品の用途から第一に耐熱特性に優
れたものでなければならず、よって、通常用いられる有
機感熱材としてはナイロンが主に使用されてはいるもの
の、該ナイロンは吸水性及び吸水率が極めて高く、よっ
て該ナイロンからなる有機感熱材を上記電気カーペット
及び電気毛布等の交流回路に用いた場合、該有機感熱材
のインピーダンスは安定しない。

【０００６】よって、有機感熱材のインピーダンスが安
定しない感熱センサーを介して前記コードヒータの温度
を制御するにも、その設定温度と実際のコードヒータの
温度とに必ず誤差が生じることとなり、よって上記構成
からなる感熱センサーを具備した電気カーペット及び電
気毛布等の暖房用製品に於いての正確な温度制御が出来
ないという問題が生じることとなる。

【０００７】従って、上記問題を解決するための技術と
して特開昭59−165393号公報及び特開昭58−217022号公
報所載のものがある。

【０００８】即ち、上記前者公報所載のものは、発熱線
に第１の感温体を介して第１の温度検知電極を巻装する
と共に、絶縁ビニールで被覆された感温ヒータと、第２
の温度検知線が巻装された第２の感温体の中に第３の温
度検知電極を収納すると共に 、前記第２の温度検知線を
絶縁ビニールで被覆した温度検知線との夫々を、電気カ
ーペット及び電気毛布等の暖房用製品のシート体に一定
の間隔を有して配設する構成からなり、更に上記後者公
報所載のものは、ヒータ感熱材に第１及び第２の温度検
出電極を夫々互いに離間させて配設した構成からなるも
のである。

【０００９】よって、上記前者及び後者何れの場合であ
っても、有機感熱材のインピーダンス特性が、該有機感
熱材の吸湿現象によって変化し、その結果として正確な
温度制御が出来なくなるのを防止することは出来るが、
如何せん、通常、発熱線は電気カーペット及び電気毛布
等に使用されるシート体本体内に一定の間隔で、且つ所
定の配設パターンで密に配設されるものであるために、
上記前者の場合には、必ず所定の配設パターンで配設さ
れた感温ヒータに沿って同じ配設パターンで温度検知線
を配設しなければならず、更に夫々の線が共に絶縁ビニ
ールで被覆されてなることからシート体本体そのものの
重量が増加し、持ち運びが極めて困難となるだけでな
く、生産効率も極めて悪く、更に製品コストも高騰して
しまうこととなり、又上記後者の場合であっても、温度
検出電極を所定の配線パターンに従って交互に配設しな
ければならないことから、上記前者と同様にシート体本
体の重量の増加、生産効率の悪さ、しいては製品コスト
が高騰してしまうという種々の極めて重大な問題が生じ
ていた。

【００１０】而して、本考案は上記種々の問題を全て解
決するものであり、コードヒータに用いられる有機感熱
材のインピーダンスが吸湿現象によって安定しない場合
でも、極めて正確に、且つ確実にシート体本体に所定の
パターンで配設されたコードヒータの温度を常に所定の
温度に制御することが出来るだけでなく、シート体本体
そのものの重量をコードヒータを配設しただけの場合と
略同レベルに留めることで持ち運びも極めて容易で、又
生産効率も極めて高く、更に製品コストも大幅に低減す
ることが出来る極めて優れた暖房用シート体を提供する
ことを課題とするものである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本考案は、上記課題を解
決するために以下の手段を講じたものである。

【００１２】即ち、本考案は、シート体２に配設された
コードヒータ４と、該コードヒータ４の電流値を変化可
能な温度コントローラ３と、前記コードヒータ４を介し
て夫々異なる電圧を発生すべく前記コードヒータ４内の
発熱線６を包被する有機感熱材７と、該有機感熱材７の
外周面に一定の間隔を有して巻装された一対の感熱線
と、該一対の感熱線によって発生した電圧を夫々検出す
る電圧検出回路10，10aと、該電圧検出回路10，10a を
介して検出した夫々の感熱線の電位差により変化した該
感熱線のインピーダンス特性及び抵抗温度特性の変化率
を演算すると共に、予め設定された夫々の感熱線のイン
ピーダンス特性及び抵抗温度特性と、前記変化後の感熱
線のインピーダンス特性及び抵抗温度特性の夫々の変化
値及び絶対値による変化率とを比較して前記コードヒー
タ４に流れる電流値を制御する制御回路３とを備えた暖
房用シート体に於いて、前記有機感熱材７の外周面に一
定の間隔を有して巻装された一方の感熱線が有機感熱材
７と接触する無被覆の導体部を有すると共に、他方の感
熱線が絶縁体により被覆された点にある。

【００１３】

【作用】上記構成からなる暖房用シート体に於いては、
コードヒータ４内の発熱線６を包被する有機感熱材７の
外周面に一定の間隔を有して巻装された一対の感熱線の
一方が有機感熱材７と接触する無被覆の導体部を有する
と共に、他方が絶縁体により被覆され、しかも夫々の感
熱線によって発生した電圧の夫々を電圧検出回路10，10
a により個別に検索し、次に該電圧検出回路10，10a を
介して検出した夫々の感熱線の電位差により変化した該
感熱線のインピーダンス特性及び抵抗温度特性の変化率
を演算すると共に、予め設定された夫々の感熱線のイン
ピーダンス特性及び抵抗温度特性と、前記変化後の感熱
線のインピーダンス特性及び抵抗温度特性の夫々の変化
値及び絶対値による変化率とを比較して前記コードヒー
タ４に流れる電流値を制御回路３によって逐次制御する
ことから、有機感熱材７のインピーダンスが変化した場
合であっても予め設定された温度に逐次補正を加えなが
ら該コードヒーター４の温度制御を行うことが出来るだ
けでなく、シート体本 体そのものの重量をコードヒータ
を配設しただけの場合と略同レベルに留めることで持ち
運びも極めて容易に、又生産効率も極めて高く、更に製
品コストも大幅に低減することも出来る。

【００１４】

【実施例】以下、本考案の一実施例を図面に従って説明
する。

【００１５】図１に於いて、１は暖房用シート体本体の
内部回路図を示す。

【００１６】２は内部にコードヒータ４が配設されたシ
ート体を示す。

【００１７】尚、上記コードヒータ４は、図２に示す様
に、テフロンからなる芯材５に発熱線６が巻装されて発
熱部4aが形成されると共に、該発熱部4aの外周面にはナ
イロンサーミスタからなる有機感熱材７が該発熱部4aを
包被すべく設けられ、且つ該有機感熱材７の外周面に
は、有機感熱材７への漏れ電流を検出するための裸銅線
からなる感熱線８と、ポリエステル等の絶縁被覆を有し
たニッケル線からなる感熱線９が交互に巻装されて２つ
の感熱部4b，4cが形成されてなる。

【００１８】３は上記コードヒータ４に流れる電流を制
御することによって該コードヒータ４の温度を調整する
温度コントローラ内の制御回路を示し、該制御回路３に
は前記２つの感熱部4b，4cを介して生じる電圧を夫々検
出する２つの検出回路10，10a 及び温度設定回路11、更
にマイクロコンピュータ12が設けられてなる。

【００１９】尚、上記マイクロコンピュータ12には予め
有機感熱材７のインピーダンス特性及び感熱線８，９の
抵抗温度特性等の種々の基本データがテーブルデータと
してメモリーされてなり、しかも該マイクロコンピュー
タ12は前記インピーダンス特性及び抵抗温度特性の夫々
の変化値及び絶対値による変化率を演算比較して所定の
解析信号を発するものである。

【００２０】13は電源回路を示し、上記マイクロコンピ
ュータ12から発せられた所定の解析信号を介して上記コ
ードヒータ４に流れる電流を制御すべく該マイクロコン
ピュータ12の近傍に設けられてなる。

【００２１】14は上記コードヒータ４に流れる電流をカ
ットするリレーを示し、上記マイクロコンピュータ12と
電源回路13間に設けられてなる。

【００２２】15は上記制御回路３の電源スイッチを示
し、16は該制御回路３のコンセント部を示す。

【００２３】本実施例に係る暖房用シート体は以上の構
成からなるが、次に係る暖房用シート体を用いる場合に
ついて説明する。

【００２４】先ず、図１に示す様に、暖房用シート体に
配設されたコードヒータ４内には、ナイロンサーミスタ
からなる有機感熱材７が設けられ、しかも該有機感熱材
７の外周面には、有機感熱材７への漏れ電流を検出する
ための裸銅線からなる感熱線８と、ポリエステル等の絶
縁被覆を有したニッケル線からなる感熱線９が交互に巻
装されて２つの感熱部4b，4cが形成されてなる。

【００２５】よって、上記ナイロンサーミスタからなる
有機感熱材７が吸湿することによって該有機感熱材７の
インピーダンスが低下すると、上記裸銅線からなる感熱
線８を介して検出される電圧も急激に変化することにな
る。

【００２６】従って、上記裸銅線からなる感熱線８を介
して変化する電圧と上記絶縁被覆されたニッケル線から
なる感熱線９を介して発生する電圧との差の変化率を上
記マイクロコンピータ12を介して解析することにより前
記有機感熱材７のインピーダンスの変化に対応して前記
コードヒータに流れる電流値を制御することから、コー
ドヒータの温度を確実に制御することが出来る。

【００２７】更に、前記感熱線８の一方には、絶縁の為
の被覆が施されておらず、更に一対の感熱線が一体的に
発熱線６を内装する有機感熱材７の外周面に交互に巻装
されただけの構造であるために、シート体本体そのもの
の重量を該シート体本体にコードヒータを配設しただけ
の場合と略同レベルに留めることが可能となって持ち運
びも極めて容易に、又シート体本体の生産効率も極めて
高く維持することが出来ると共に、製品コストも大幅に
低減することが出来る。

【００２８】尚、上記実施例に於いて、シート体内に配
設されるコードヒータは、芯材にテフロンが用いられて
なるが、要は該コードヒータ内に具備された発熱線が巻
装可能で、且つ所定の耐熱性、絶縁性を有していれば該
芯材の材質は決してテフロンに限定されずナイロン等で
あってもよい。

【００２９】更に、上記実施例に於いて、コードヒータ
を介して夫々異なる電圧を発生する一対の感熱線は、該
コードヒータ内の発熱線を包被するナイロンサーミスタ
からなる有機感熱材７への漏れ電流を検出する裸銅線か
らなる感熱線８と、ポリエステル等の絶縁被覆を有した
ニッケル線からなる感熱線９とが交互に巻装された２つ
の感熱部4b，4cからなるが、要は一方の感熱線が有機感
熱材７と接触する無被覆の導体部を有すると共に、他方
の感熱線が絶縁体により被覆されていれば該有機感熱材
の材質やインピーダンス特性、更に感熱線の種類や巻装
方向、巻装間隔等の等の具体的な構成も決して限定され
ない。

【００３０】更に、上記実施例に於いて、温度コントロ
ーラには、前記一対の感熱線を介して夫々の電圧を検出
する電圧検出回路及び予め有機感熱材のインピーダンス
特性及び感熱線の抵抗温度特性等の種々の基本データを
テーブルデータとしてメモリーしたマイクロコンピュー
タとを具備する制御回路が設けられてなるが、要は電圧
検出回路及び該電圧検出回路を介して検出した夫々の感
熱手段の電位差により変化した該感熱手段のインピーダ
ンス特性及び抵抗温度特性の変化率を演算する制御回路
が設けられ、しかも該制御回路が予め設定された夫々の
感熱手段のインピーダンス特性及び抵抗温度特性と、前
記変化後の感熱手段のインピーダンス特性及び抵抗温度
特性の夫々の変化値及び絶対値による変化率とを比較し
て前記コードヒータを流れる電流値を制御する構成であ
れば、制御回路の基本的な回路構成や使用されるデバイ
ス等の具体的な種類、特性、動作順位等も決して限定さ
れるものではなく、その他暖房用シート体を形成するシ
ート体や温度コントローラを形成する各部の具体的な構
成も全て本考案の意図する範囲内で任意に設計変更自在
である。

【００３１】

【考案の効果】叙上の様に、本考案は、暖房用シート体
本体に所定の配設パターンで配設されたコードヒータ内
の発熱線を包被する有機感熱材の外周面に、一定の間隔
を有して巻装された一対の感熱線の一方が有機感熱材と
接触する無被覆の導体部を有すると共に、他方が絶縁体
により被覆され、しかも夫々の感熱線によって発生した
電圧の夫々を電圧検出回路により個別に検索し、次に該
電圧検出回路を介して検出した夫々の感熱線の電位差に
より変化した該感熱線のインピーダンス特性及び抵抗温
度特性の変化値を制御回路を介して演算すると共に、該
制御回路により予め設定された夫々の感熱線のインピー
ダンス特性及び抵抗温度特性と、前記変化後の感熱線の
インピーダンス特性及び抵抗温度特性の夫々の変化値及
び絶対値による変化率とを比較して前記コードヒータに
流れる電流値を逐次制御することから、湿度の多い箇所
で暖房用シート体を用いることによって該暖房用シート
体に配設されたコードヒータの有機感熱材のインピーダ
ンスが変化した場合であっても、予め設定された温度に
逐次補正を加えながら該コードヒータの温度制御を確実
に、且つ瞬時に行うことが出来るだけでなく、シート体
本体そのものの重量をコードヒータを配設しただけの場
合と略同レベルに留めることで持ち運びも極めて容易
に、又製品コストも大幅に低減することが出来る。

【００３２】従って、湿度の多い箇所での使用に限ら
ず、例えば、暖房用シート体の局部に載置された負荷体
によって該シート体の局部が異常高温になった場合で
も、該負荷体の載置された局部のみを設定温度に自動的
に制御すべくコードヒータに流れる電流値を制御するこ
とも出来る。

【００３３】更に、本考案に於ける暖房用シート体に用
いられる一対の感熱線は、一本のコードヒータに具備す
ることが可能なことから極めて低コストで、しかも生産
効率の高い極めて優れた暖房用シート体を提供すること
が出来るという格別な効果をも有するに至った。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に於ける暖房用シート体本体の内部回路
図。

【図２】本考案の暖房用シート体本体内に配設されるコ
ードヒータの要部拡大側面図。

【符号の説明】

１…暖房用シート体本体の内部回路図。 ２…シート体 ３…温度コントローラ内の制御回路 ４…コードヒータ ５…芯材 ６…発熱線 ７…有機感熱材 ８…感熱線（銅線） ９…感熱線（被覆ニッケル線）

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 シート体(2) に配設されたコードヒータ
   (4) と、該コードヒータ(4) の電流値を変化可能な温度
   コントローラ(3) と、前記コードヒータ(4) を介して夫
   々異なる電圧を発生すべく前記コードヒータ(4) 内の発
   熱線(6) を包被する有機感熱材(7) と、該有機感熱材
   (7) の外周面に一定の間隔を有して巻装された一対の感
   熱線と、該一対の感熱線によって発生した電圧を夫々検
   出する電圧検出回路(10)，(10a) と、該電圧検出回路(1
   0)，(10a) を介して検出した夫々の感熱線の電位差によ
   り変化した該感熱線のインピーダンス特性及び抵抗温度
   特性の変化率を演算すると共に、予め設定された夫々の
   感熱線のインピーダンス特性及び抵抗温度特性と、前記
   変化後の感熱線のインピーダンス特性及び抵抗温度特性
   の夫々の変化値及び絶対値による変化率とを比較して前
   記コードヒータ(4) に流れる電流値を制御する制御回路
   (3) とを備えた暖房用シート体に於いて、前記有機感熱
   材(7) の外周面に一定の間隔を有して巻装された一方の
   感熱線が有機感熱材(7) と接触する無被覆の導体部を有
   すると共に、他方の感熱線が絶縁体により被覆されてな
   ることを特徴とする暖房用シート体。