JPH08153343A - 光学的情報記録媒体の製造方法ならびに製造装置 - Google Patents

光学的情報記録媒体の製造方法ならびに製造装置

Info

Publication number
JPH08153343A
JPH08153343A JP7246211A JP24621195A JPH08153343A JP H08153343 A JPH08153343 A JP H08153343A JP 7246211 A JP7246211 A JP 7246211A JP 24621195 A JP24621195 A JP 24621195A JP H08153343 A JPH08153343 A JP H08153343A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
recording medium
optical information
information recording
optical
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7246211A
Other languages
English (en)
Inventor
Noboru Yamada
昇 山田
Katsumi Kawahara
克巳 河原
Shigeaki Furukawa
惠昭 古川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP7246211A priority Critical patent/JPH08153343A/ja
Publication of JPH08153343A publication Critical patent/JPH08153343A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
  • Manufacturing Optical Record Carriers (AREA)
  • Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】放電発光時間(照射時間)、放電発光パワー
(照射光パワー)を任意に設定することが可能なフラッ
シュ初期化装置とその装置を用いる熱ダメージの小さい
初期化方法を提供する。 【解決手段】レーザ光線等のエネルギービーム照射によ
って光学的特性の可逆的変化を生じる材料薄膜1を基板
2上に備えた相変化型の光学的情報記録媒体3を形成す
る。初期結晶化工程をフラッシュ光源7からの照射光線
4で行なう際、所定の時間発光させた後は、瞬時に発光
強度を実質的にゼロレベルにまで降下させる手段(遮断
回路部10)を具備することで大きな照射パワーと短い
照射時間を両立させ、種々の熱ダメージを低減させる。
また無駄な電気エネルギーを消費しないので次の放電発
光のための電気エネルギーの充電完了時間を短縮するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はレーザ光線等の照射
によって結晶−アモルファス間の相変化を生じる記録薄
膜層を基板上に備えた光学的情報記録媒体の製造工程な
らびにそれに適用される製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ディスク形、カード形、シート型、ある
いはフィルム型をした基板上に、例えばGe−Sb−T
eやIn−Se等のTe、Seをベースとするカルコゲ
ナイド薄膜、あるいはIn−Sb等の半金属薄膜を情報
記録層として備えたものは、相変化光記録媒体として既
に知られている。相変化光記録では、例えば、上記相変
化材料からなる記録薄膜層にサブミクロンオーダーサイ
ズの光スポットに集光したレーザビームを瞬時照射し、
照射部を局部的に所定の温度に加熱することで照射部に
原子結合状態の変化を生起させる。照射部分の到達温度
が結晶化温度以上になれば微小部分のみを結晶状態に転
換でき、融点以上になれば微小部分のみをアモルファス
化することができる。このようなアモルファス相、結晶
相のいずれかを記録状態、消去状態(または未記録状
態)と定義すれば、可逆的な情報の記録または消去が行
なわれることになる。このような記録薄膜層では、結晶
相とアモルファス相との間で光学的な特性が異なってい
るので、この特性差を光学的に検出することで信号を再
生することができる。
【0003】物質の相変化を情報の記録に応用するもの
としては、このようなアモルファス相−結晶相間の相変
化を利用するものとは別に、結晶状態の高温相と低温相
間の相変化を利用するものもある。高温相をアモルファ
ス相、低温相を結晶相として、ほぼ同様に取り扱うこと
が可能であることが知られている。
【0004】通常、上記アモルファス−結晶間の相変化
光学的記録媒体では、記録方向を結晶からアモルファス
への変化とするので、記録を行なう前提として、記録薄
膜を予め結晶状態に転換しておくことが行なわれる。こ
れを初期化と呼んでいる。
【0005】初期化の方法として、現在実用化されてい
るのは、例えば特開昭60−106031号公報等に記
載されているようなレーザビームによる逐次処理の方法
である。すなわち、記録・再生に用いるレーザダイオー
ドよりもはるかに大出力のレーザを用い、数10〜数1
00μm幅の光スポットを形成する。媒体を一定速度で
送りながら、この光スポットを照射することで、一回の
操作で多数のトラックを一度に結晶化することができ
る。この手法の場合、一度に加熱する面積が小さいの
で、熱負荷が小さく、クラックが生じにくいという長所
がある反面、初期化に時間がかかるという短所がある。
【0006】これに対し、フラッシュ光を用いてディス
ク面全体を一括して結晶化するという方法がある。これ
は、例えば特開昭62−250533号公報等で提案さ
れている。同公報では、有機質からなる基板(アクリル
樹脂)に結晶質と非晶質の間で相変化を生じる記録膜
(例えば厚さ100nmのSiO2層で挟まれた、厚さ
70nmのTe90Ge10記録層)を設け、この記録膜に
フラッシュ露光を行なうことで初期結晶化を行なう方法
が開示されている。同公報では、光源としてキセノンフ
ラッシュを用いること、反射鏡を用いること、露光時間
が1μs〜1msであること、1MWの出力で500μ
s間の照射を行なったこと(エネルギーは500J)が
記載されているが、フラッシュ光の正確な発光波形の具
体例、発光波形の制御方法、電源の構成等についての開
示は一切ない。また、同公報に明示されている実施例
は、どれもフラッシュ照射を記録膜側から行なうもので
あり、基板側からフラッシュ露光することについては開
示がない。
【0007】別の先行技術である特開昭63−2615
53号公報は、光ディスクを形成する場合の途中の段階
においても、フラッシュ光を用いた初期化の可能性があ
ることを開示している。同公報の明細書には、基板(ポ
リカーボネイト)上に記録膜(厚さ120nmのSb−
Se−Bi膜)を形成した段階、保護膜(紫外線硬化樹
脂あるいは厚さ50nm〜1μmのSiO2膜)を形成
した段階、2枚のディスクを接着剤で張り合わせた段階
の3つの場合での初期化実験の結果が示されている。同
時に、ここでは基板側から照射を行なう場合と、保護層
側から照射を行なう場合の差異に関する実験結果が示さ
れている。すなわち、基板側から照射を行う場合には基
板表面(照射側とは反対側で記録膜を形成した側)に、
熱ダメージによって、微小な凹凸が生じやすいことが開
示されている。さらに、同明細書中には、これを解決す
る手段として、フラッシュ光を照射する際、ディスクの
内周部と外周部をマスクで覆うという方法が開示されて
いる。ただし、この先行例の場合、開示されているフラ
ッシュ光の照射条件は、0.5ms〜2msというフラ
ッシュランプの発光時間だけであって、フラッシュ光の
発光波形のバリエーション例、あるいは発光波形を最適
な波形に制御する方法については全く触れられていな
い。
【0008】フラッシュ光の照射波形を制御することに
関する先行技術としては、例えば特開平3−35424
号公報が挙げられる。同公報の明細書中の実施例5で
は、発光開始から発光強度がピークに達するまでの時間
Δt3とピークに達してから発光が停止するまでの時間
Δt4の関係を、Δt4≦Δt3となるように発光させる
ことで熱ダメージの小さい結晶化が行えることを開示し
ており、その手段としてその明細書に添付した図面(第
11図)で回路を示している。しかしながら、上記回路
はフラッシュランプを放電発光させるための一般的な回
路であって、この場合には発光時間(放電時間)は回路
の時定数で一義的に決定される。すなわち、この先行技
術に開示されている回路では、t3及びt4を独立して任
意に設定することは困難である。すなわち、後に詳細に
述べる本願発明のように、一定時間の放電後は、放電を
瞬時に強制的に停止させるという発明とは異なってい
る。
【0009】また、同公報には、発光パワーの変化速度
(立ち上がり、立ち下がり)を色々選ぶことができると
の記載があるが、変化速度が急峻な方がよいのか、なだ
らかな方がよいのかに関しては、判断が示されていな
い。むしろ、同公報の明細書中、第4ページ左上欄第1
〜第2行目には、同公報に添付された図面(第3図)を
例にとり、この立ち上がり、立ち下がりの変化形状には
特別な意味がないことが述べられている。とくに同公報
に添付された第3図(あるいは同第1図、同第6図)の
発光波形のように立ち下がりを急峻にするためには、な
んらかの特別な工夫が必要と考えられるが、それを実現
する手段はなんら記載されていない。
【0010】一般に通常の放電回路で前記第3図のよう
な急激な立ち下がりを得るための最も簡便な手段は、回
路の時定数を小さくすることであるが、その場合にはエ
ネルギーを貯めておくコンデンサーの容量を小さくする
ことが必要になり、それに応じて発光エネルギーも小さ
くなってしまうのが通常である。発光エネルギーを大き
く保ち、なおかつ急峻な立ち下がりを実現する方法、ま
た、それによる効果がどのようなものであるかについて
開示された先行文献はない。
【0011】上述の各先行文献にも記載されているよう
にフラッシュ初期化方法の課題は、樹脂基板を用いた場
合に、基板が熱ダメージ(収縮、歪、反り等)を受けや
すいという点にあって、これを解決するために、従来よ
り幾つかの提案がなされてきた。ただし、従来のいずれ
の方法にも共通して言えることは、放電時間の絶対値は
回路の時定数に依存して一義的に決まるスタイルのもの
であって、発光時間、立ち上がり速度、立ち下がり速度
等の発光波形を記録媒体に合わせて、手軽にかつ任意に
設定するということは行なわれていなかった。
【0012】一般に、放電回路の時定数はコンデンサー
容量に反比例するので、発光のエネルギーを大きくする
ことと、放電時間を短くすることとは相反することであ
り、これまでは、照射パワーと照射時間を独立した変数
として任意に選ぶことができないという不都合さがあっ
た。いいかえると、様々な特性を有する媒体、すなわち
結晶化温度や結晶化速度の異なる様々な媒体に対して、
それぞれに最適な条件を与えることは容易ではなく、装
置の汎用性は低かった。
【0013】相変化記録媒体の構成としては、例えば図
10Aに示すように、基板40の上に誘電体層41,4
3でサンドイッチされた記録薄膜層42を形成し、さら
に反射層44、保護層45を順次形成した構成が最も一
般的である。保護層45としては、例えばスピンコート
等の方法で紫外線硬化樹脂を数10μm厚に塗布し、こ
れに紫外光線を照射して硬化させたものが多く用いられ
る。通常、この形状でディスク面の片側のみを用いる場
合を単板構造と称する。また、例えば図10Bに示した
ように、単板構造の媒体を膜面を内側にして2枚貼り合
わせた場合を両面構造と呼んでいる。この両面構造は、
基板40の上に第1の誘電体層41、記録薄膜層42、
第2の誘電体層43、反射層44、保護層45を形成し
た積層体を2枚用い、保護層45,45を接着剤(たと
えばホットメルト接着剤)49で一体化している。すな
わち両面型媒体の場合には、上記の方法で紫外線硬化樹
脂層による保護層を形成した2枚の単板基板を、互いに
保護層面を内側にして、ホットメルト接着剤で接合する
という方法が用いられている。この接着工程を分解する
と少なくとも1)各々の単板媒体に紫外線硬化樹脂層を
塗布する工程、2)これに紫外線を照射して硬化させ保
護層を形成する工程、3)各々の保護層面に液体状態に
したホットメルト接着剤を塗布する工程、4)接着剤を
塗布した面と面とをはりあわせて冷却し、接着面を固定
する工程の4工程が必要であり単板構成の製造に比べて
工程が多かった。
【0014】両面型媒体の場合に、紫外線硬化樹脂層を
接着層として張り合わせてメディアを構成する方法は特
開昭63−275057号公報に開示されている。ただ
し、ここで開示されている方法はディスク面に対して紫
外光線をなるべく水平方向から照射することで硬化を促
進するというものであって、通常の場合のようにディス
ク面に対して、垂直方向から照射するだけで接着するこ
とが可能な本願の方法とは異なっている。上記従来技術
では、樹脂層が露出している端面部から紫外線照射を行
なうというもので、照射効率が上がりにくいという課
題、複数の紫外線照射光源が必要になるという課題があ
った。
【0015】両面型の場合に、紫外線硬化樹脂を接着剤
として用いない理由は以下の通りである。すなわち、相
変化型の光ディスクの場合(光磁気ディスクでも同様で
あるが)金属反射層を用いている等の理由で、紫外線硬
化樹脂を硬化させるための紫外光が基板側からはほとん
ど透過しないからである。つまり、どちらの面から紫外
線を照射しても、接着層まで光が届かないことから紫外
線硬化樹脂層を硬化させることが困難であるという理由
によった。前記従来技術は、この根本的課題への解決方
法を示してはいない。
【0016】ところで、単板構成の媒体では、上下の構
成が非対称であることから、いずれかの方向に反りが生
じやすいという傾向がある。すなわち、保護層45は、
例えば光ディスク等のような光学的情報記録媒体の記録
に直接関わる層を、例えば塵埃、湿度または外力等の影
響を受けないように保護するため、この分野では通常に
設置される層であって、作業性、強度及び接着性等の観
点から専ら紫外線硬化樹脂が使用されている。しかしな
がら、現在の紫外線硬化樹脂は重合して硬化する段階に
収縮し、これが光学的情報記録媒体に反り及び/または
歪を生じさせる原因となる。反りや歪の別の原因とし
て、記録薄膜層の体積変化も挙げられる。相変化光記録
媒体では、上述のように、記録薄膜を予め結晶状態に転
換しておくが、結晶化時には記録薄膜層がやはり収縮す
る傾向を有し、反り発生の一因となる。いずれの原因に
せよ、例えば図10Aの単板構成では、保護層の側が収
縮して凹面になり、基板側が凸になるという傾向があっ
た。
【0017】フラッシュ照射による初期化時には、熱が
媒体全面に一挙に加わるので、上記結晶化によるストレ
スに加えて紫外線硬化樹脂の収縮によるストレスも同時
に生起する。すなわち、ストレスを緩和することが難し
く、反りや歪が顕著に生じやすいという課題があった。
【0018】ようするに、単板構造のディスクでは、初
期化作業の結果として、多少の反りが生じることは避け
がたい傾向として残ってしまう。実施例で述べるよう
に、記録媒体に生じた反りや歪は、それをドライブする
場合に、フォーカス不良、トラッキング不良等のサーボ
不良をおこす大きな原因になり好ましくない。単板構成
では、また別の課題として、表層に設けられた保護層の
硬化が充分でない場合には、例えば高温高湿条件下等に
当該光学的情報記録媒体を曝すと、例えば記録薄膜層が
変質または剥離する等により、記録薄膜層としての機能
が損なわれる等の課題もあった。
【0019】なお初期化時に記録層から発生する熱によ
る応力や、相変化による記録層の体積変化により低下し
た記録層と誘電体層の界面の密着性を回復させる目的
で、初期化後の光記録媒体を30℃〜90℃の条件で6
時間〜24時間熱処理する先行技術がある(特開平5−
151623号公報)。
【0020】ただし、この先行技術の目的は、初期化作
業時に発生する熱等の影響で現実に反りや歪が生じた場
合、その反りや歪を矯正するために熱処理を行なうとい
う本発明の目的とは異なっている。また、本発明の目的
を達成するためには、後述するように熱処理の際の媒体
の保持形態や、外力を加え方等の点が重要になるが、こ
の先行技術の文献ではその点に関しては一切触れられて
いない。また、先行技術ではレーザ初期化による実施例
のみが示されており、フラッシュ法の場合に問題になる
接着層の昇温に起因する問題等は一切考えられていな
い。
【0021】フラッシュランプを閃光させる装置として
は、図7に示すような電気回路構成になっているのが一
般的であった。すなわち、フラッシュランプ31を閃光
させるのに必要な電気エネルギーを蓄積するメインコン
デンサ32と、このメインコンデンサ32に電気エネル
ギーを充電するための電源33と、フラッシュランプ3
1の閃光を開始させるためにトリガー電圧を発生させる
ためのトリガーコイル34と、放電スイッチ35と、メ
インコンデンサ32の充電と放電を切り替えるための切
り替えスイッチ36と、充電時の電流値制御のための抵
抗37とからなる回路を基本としている。図7の電気回
路構成の初期化装置を用いて、光学的記録媒体を初期化
させるには、以下の方法が一般的である。すなわち、切
り替えスイッチ36を充電に切り替え、電源33の出力
には、フラッシュランプ31の閃光強度を決めるに必要
な電圧値と同じ電圧を設定する。この電圧設定は主にメ
インコンデンサ32の耐圧で決められ、耐圧以上に設定
すると、フル充電時にメインコンデンサ32の耐圧を越
えてメインコンデンサ32が破壊されるので閃光強度を
決める電圧と同じにしておくのが一般的ある。電源33
とメインコンデンサ32の端子との間には電位差が発生
するため、電源33から抵抗37を通してメインコンデ
ンサ32に電気エネルギーが供給される。メインコンデ
ンサ32の端子電圧は、電気エネルギーの供給と共に高
くなり、最終的には電源33の出力電圧とメインコンデ
ンサ32の端子電圧とが同じになるまで(すなわち、電
位差が無くなるまで)電気エネルギが供給される。この
ようにして、メインコンデンサ32の充電後、切り替え
スイッチ36をOFF状態にする。その後、放電スイッ
チ35をONすると、トリガコイル34の一次側にパル
ス状の電圧が発生する。これにより、トリガコイルの二
次側には約10kVの電圧が発生し、フラッシュランプ
31が閃光する。この閃光により照射された光により、
光学的記録媒体38が初期化される。
【0022】一般に、以上のような方法で初期化行程が
進められているが、フラッシュ光による初期化では、光
学的記録媒体の全面を一括して初期化するので、初期化
(結晶化)そのものは1〜2ms以下で行われる。よっ
て、初期化に必要な時間はメインコンデンサ32への充
電時間でほぼ決まる。
【0023】従来はこの充電に要する時間がかなり長い
という課題があった。フラッシュによる初期化の場合、
所要時間の大半は、コンデンサーの充電に必要な時間で
あり、この時間を短縮することで、フラッシュ法の利点
をさらに大きなものにすることが可能になる。本発明者
らが実際にメインコンデンサ32への充電時間を測定す
ると、以下の様になった。例えば、フラッシュランプ3
1を12本同時に閃光させることとし、フラッシュラン
プ31の両極の閃光時電圧を700Vとした場合を想定
する。電源電圧は700Vに設定し、またメインコンデ
ンサ32の容量は12本を同時に閃光させるので36,
000μFの静電容量となる。この条件で、メインコン
デンサ32を充電すると、充電時間は約5分程度必要で
あった。
【0024】ここで、メインコンデンサ32の充電時間
と到達電圧との関係を測定すると、図8の実線の様にな
る。すなわち、充電開始直後には、メインコンデンサ3
2にはほとんど電荷が蓄積されていないので、メインコ
ンデンサ32の端子電圧は0V近傍と低い。このため、
電源電圧とメインコンデンサ32端子間との電位差が大
きく、流れる電流も大きいので、メインコンデンサ32
は急速に充電される。しかし、充電が続けられる過程で
メインコンデンサ32の端子電圧も上昇し、電源電圧と
の電位差が小さくなるので、流れる電流も小さくなる。
この現象は充電が進むにつれて影響が大きくなり、その
結果、メインコンデンサ32の端子電圧がフラッシュラ
ンプ31の閃光電圧に達成するまでに、かなりの時間が
必要になっていた。
【0025】一方、今日の光学的記録媒体の製造には、
約1分程度のタクトタイムが要求されることが多い。よ
って、フラッシュ光による初期化時間を短縮するために
は、メインコンデンサの充電時間を図8の破線の様に短
縮する必要がある。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】以上説明した通り、従
来技術は初期化するために加熱することが必要で、この
加熱によりダメージが伴い、製品が壊れてしまう確率が
高いという問題があった。
【0027】本発明は、前記従来の問題を解決するた
め、放電発光時間(照射時間)、放電発光パワー(照射
光パワー)を任意に設定することが可能なフラッシュ初
期化装置を提供すること、ならびに、その装置を用いる
熱ダメージの小さい初期化方法を提供することを第1の
目的とする。
【0028】本発明の解決しようとする第2の課題はフ
ラッシュ初期化法を実施する上で、初期化に要するトー
タルの所要時間を従来よりも短縮することであって、フ
ラッシュ初期化法では、初期化に要する時間の大半がフ
ラッシュ光のエネルギー源である蓄積部への充電時間で
あることに注目し、この充電速度を高める方法ならびに
それを実現する装置を提供することを目的とする。
【0029】本発明の解決しようとする第3の課題は、
とくにフラッシュ初期化工程を含む光学的情報記録媒体
の製造課程において、またとくに単板構造の媒体の製造
課程において生起しやすい媒体の反り及び/または歪を
低減することであって、保護層製造工程や初期化工程等
を通じて、反り及び/または歪を低減するための製造方
法の提供を目的とする。
【0030】本発明のしようとする第4の課題は、フラ
ッシュ初期化法に適する両面型媒体の製造工程が単板型
媒体に比べて複雑であるという点にあって、両面型媒体
の製造工程数を減らすための媒体の構成、ならびに前記
両面型媒体の製造方法の提供を目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】本発明の製造方法は、上
記第1の目的を達成するために、初期化のために照射す
るフラッシュ光の波形を制御し、結晶化が生起したら、
瞬時に発光を停止させる方法を用いる。そして、上記方
法を実現するために、本発明の製造装置は、結晶−アモ
ルファス間の相変化を生じる記録薄膜層を基板上に備え
た光学的情報記録媒体を支持する支持台と、放電により
フラッシュ光を放出する光源と、上記光源に供給する電
気エネルギーを蓄積しておく蓄積回路部と、上記光源の
放電を開始させるためのトリガー回路部と、上記放電を
所定の発光時間後に強制的に中断し、発光の強度を所定
の強度から実効的にゼロレベルにまで瞬時に低減させる
遮断回路部を備えたフラッシュ露光装置とを備えてい
る。上記光学的情報記録媒体の初期結晶化を行う場合に
は、予め定めた印加電圧で上記蓄積回路部を充電し、上
記トリガー回路部を動作させて放電を開始させてフラッ
シュ光を放出させ、予め定めた放電時間経過後は上記遮
断回路部を作動させて放電を強制的に停止させる。
【0032】樹脂基板や記録薄膜層や保護層に熱的な負
荷をなるべく与えないで、結晶化による初期化を施すた
めには、記録薄膜層で生じた熱が周囲に拡散する時間を
なるべく短くすることが必要である。実際の結晶化時間
は、高々数μsのオーダーであるから、記録薄膜層を瞬
時に結晶化温度まで昇温し、当該記録薄膜層が結晶化し
た後はなるべく速やかに冷却することが重要である。換
言すると、昇温速度と冷却速度とはなるべく速くし、し
かも記録薄膜層が結晶化するために要する時間だけ当該
記録薄膜層を高温状態に保持する必要がある。ところ
が、通常、フラッシュ暴露を施すと、発光強度のピーク
値を越えた後も発光のテール部が長く継続し、これが記
録薄膜並びに基板に熱的損傷を与えていたと考えられ
る。
【0033】そこで、本発明の遮断回路を具備する構成
によれば、光学的情報記録媒体へのフラッシュ照射を、
結晶化に必要な最小限の時間内に押さえ、しかも、任意
の時間で強制的に発光を停止することができるので、発
光のテール部の影響をなくすることができ、初期化の際
の熱ダメージを大きく低減することが可能になる。
【0034】また、この際、放電そのものを停止させる
ことで、コンデンサーには未使用の電荷が放電されずに
残り、次の充電に要する時間を初回よりもはるかに短く
することができる。つまり、初期化を繰り返して行う場
合には、トータル時間を短縮することができ、生産速度
を高めることができる。
【0035】好ましくは、本発明では放電時間を最大2
mSとする。また、好ましくは、本発明では光学情報記
録媒体に用いる記録薄膜の成分をGe−Sb−Te合金
を主成分とするものとする。
【0036】本発明の第2の目的を達成するために、本
発明による製造装置は、結晶状態とアモルファス状態と
の間で相変化を生じる記録薄膜を基板上に備えた光学的
記録媒体にフラッシュ光を照射し、前記記録薄膜の所定
の領域を一括して初期状態である結晶状態に転換する装
置において、前記光学的記録媒体を支持する手段と、放
電によりフラッシュ光を放出する光源と、この光源に供
給するエネルギーを蓄積しておく蓄積手段と、この蓄積
手段にエネルギーを送る供給手段と、前記光源の放電を
開始させるための放電開始手段と、前記蓄積手段には蓄
積されたエネルギー量を検出する蓄積量検出手段と、前
記供給手段にはエネルギーを供給する量を設定する供給
量設定手段とを設け、前記蓄積量検出手段で検出した検
出量に応じて、前記供給量設定手段で設定する供給量を
前記蓄積手段のエネルギーの到達量または到達量の規定
値よりも大きくなるように前記供給手段を制御し、前記
蓄積手段のエネルギー量が所定の値に到達した時に、前
記供給手段から前記蓄積手段へのエネルギーの供給を遮
断する切り換え手段により遮断し、放電開始手段により
光源を発光させるように制御する制御手段とを具備す
る。これによって、メインコンデンサの充電時間を短縮
するとともに、放電パワーを任意に設定可能にする。
【0037】蓄積手段のエネルギーの到達量の規定値よ
りも、供給手段の供給量を大きくしたため、蓄積手段へ
のエネルギー蓄積量が大きくなっても供給手段と蓄積手
段のエネルギー量に常に所定の差が確保される。従っ
て、エネルギー供給量の減少度合いが小さくなり、蓄積
手段へのエネルギー供給時間が短くなるため、光学的記
録媒体の初期化時間が大幅に短縮される。
【0038】本発明において、好ましくは、供給手段の
エネルギー供給量および蓄積手段のエネルギー蓄積量を
電圧量で検知し、前記蓄積手段の蓄積完了時の電圧値よ
りも、前記供給手段の電圧値の方を高くする。
【0039】また、本発明において、好ましくは、供給
手段のエネルギー供給量および蓄積手段のエネルギー蓄
積量を電圧量で検知し、前記供給手段の電圧値と前記蓄
積手段の到達電圧値との差を概ね一定とする。
【0040】本発明の第3の目的を達成するために、基
板上に結晶−アモルファス間の相変化を生じる記録薄膜
層を備え、かつ最上層に紫外線硬化樹脂を含む硬化性樹
脂を硬化させた保護層を具備した光学的情報記録媒体に
おいて、初期結晶化工程を終了後、アニール工程を施し
て前記保護層を完全硬化する方法を用いる。
【0041】初期化までの段階では、保護層の材料とし
て適用させる紫外線硬化樹脂の重合が未完なので、ある
程度の構造柔軟性を有している。したがって、アニール
工程を施すことにより、当該保護層の紫外線硬化樹脂を
完全硬化し、光学的情報記録媒体としての保護層の成膜
が完成できる。この際、反りを矯正する方向に力が加わ
る状態に保持しつつ、あるいは積極的に反りを矯正する
外力を加えつつアニール処理を行なう。これにより、当
該各工程で生じる反りを矯正でき、アニール後の状態は
反りが矯正された状態で固定される。
【0042】これによって、光学的情報記録媒体の保護
層の信頼性を高めると同時に、初期化工程での反りに起
因する不良数を減らし、製造上歩留まりを向上させるこ
とができる。
【0043】好ましくは、光学的情報記録媒体として、
基板の上に、第1の誘電体層、記録薄膜層、第2の誘電
体層、反射層を積層し、最上層に保護層を設けた構成の
ものを用いる。
【0044】また、好ましくは、記録薄膜層にGe−S
b−Teを主成分とする合金薄膜を用いる。また、好ま
しくは、アニール工程が、光学的情報記録媒体を反りの
ない状態への矯正、または反りを矯正する方向に外力を
与える矯正の何れかの矯正処理を兼ねる。
【0045】また、好ましくは、アニール工程におい
て、ディスク形状を有する光学的情報記録媒体の外径よ
りもわずかに小さい径の穴を有する台の上に光学的情報
記録媒体を置き、その際、光学的情報記録媒体の中心と
前記穴との中心とを合わせ、かつ、光学的情報記録媒体
の凸面が上になるように保持する。そして、光学的情報
記録媒体が逆向きに凸、または平坦になるように、光学
的情報記録媒体のセンター部に加重し、またはセンター
部を固定する。
【0046】また、好ましくは、アニール工程が矯正処
理を兼ね、基板面または保護層面の少なくとも何れか一
方の面を平坦な面上に伏せた状態に放置しつつアニール
工程を行なう。
【0047】また、好ましくは、アニール工程が矯正処
理を兼ね、基板面、保護層面の最内周部または最外周部
の少なくとも何れか1つを、平坦な面を有する物体に押
さえつけつつ、アニール工程を行なう。
【0048】また、好ましくは、平坦な面が、アニール
工程の温度以上の耐熱性を有する物体の一面であり、前
記物体を予め所定の温度に加熱した前記物体の平坦面上
に光学的情報記録媒体を置いた状態でアニール工程を行
なう。
【0049】また、好ましくは、アニール工程が矯正処
理を兼ね、単板構造の光学的情報記録媒体を複数枚積み
重ねた状態で、両側から力を加えつつアニール工程を行
なう。
【0050】また、好ましくは、アニール工程の温度を
記録薄膜層の相変化が発生する温度以下とする。また、
好ましくは、アニール温度を100℃以下とする。な
お、下限値は60℃程度である。
【0051】また、好ましくは、初期結晶化工程をフラ
ッシュ露光により行なう。また、上記目的を達成するた
めの別の方法として、基板上に結晶−アモルファス間の
相変化を生じる記録薄膜層を含む多層構成の記録層を備
え、前記記録層の上層に紫外線硬化樹脂を含有する硬化
被膜の保護層を備えた構造の光学的記録部材の製造工程
において、本発明の製造方法は、前記紫外線硬化樹脂層
を設けた後、前記光学的記録部材の前記記録層及び前記
保護層を設けた基板面と対向する基板面に矯正力を加え
つつ紫外光線の照射を行なう紫外線照射工程と、前記紫
外線照射工程終了後の初期結晶化工程とを含む。
【0052】通常、単板の光学的情報記録媒体(以下光
ディスクと称す)は、保護層形成に起因する反りの方向
と、初期化に起因する反りの方向とが同一となるため、
これらの処理を加えた後の光ディスクの反りを増幅し、
光ディスクの記録に関わる層の平面性が損なわれる。し
たがって、少なくとも保護層硬化工程時に、反りが生じ
る方向と反対の方向に矯正力を印加しながら保護層を形
成することで、初期化工程後の反りを抑制できる。
【0053】好ましくは、初期化工程を、矯正力が加わ
った状態で行なう。また、好ましくは、紫外光照射工程
と初期化工程との間に、光学的記録媒体を加熱するアニ
ール工程を行なう。
【0054】また、好ましくは、アニール工程を、矯正
力を印加した状態で行なう。また、好ましくは、アニー
ル工程の熱源を、赤外光ランプの照射とする。また、好
ましくは、初期化工程を、フラッシュ光照射により行な
う。
【0055】本発明によって、アモルファス相−結晶相
間の相変化型光ディスク媒体の初期化後の反り及び/ま
たは歪が低減され、サーボ特性を向上できる。本発明の
第4の目的は、フラッシュ初期化方法に適した媒体構成
である両面型媒体の製造工程数を減らすための光学的情
報記録媒体の構成、ならびに前記光学的情報記録媒体の
製造方法を提供することにある。
【0056】本発明は、上記目的を達成するために、透
明基板上にレーザ光線の照射によって光学的に検出可能
な変化を生じる記録薄膜層ならびに金属反射層を含む多
層構造膜を備えた2枚の光学的記録部材を、紫外線感応
硬化成分を含有する樹脂を介して、上記多層構造膜側が
互い内側になるようにしてはり合わせた媒体構成を採用
し、しかも、上記2枚の光学的記録部材の少なくとも何
れか一方が、上記樹脂の紫外線感応波長域に略3%以上
の透過率を有するように構成する。上記構成をとること
によって、基板を介して外部から紫外線を照射すること
により接着層を硬化させることが可能になる。
【0057】ここで、好ましくは、記録薄膜層が、アモ
ルファス相−結晶相間の相変化現象に伴う光学的特性の
変化を応用するものであって、光学的記録部材の少なく
とも何れか一方の上記記録薄膜層がアモルファス状態の
場合には、樹脂の紫外線感応波長域に略3%以上の透過
率を有するものとする。
【0058】また、好ましくは、金属反射層としてAu
を主成分とする合金Au100-xx(MはCr,Al,A
g,Cu,Ni,Si,Pt等の金属元素、100>x
≧0)を用いる。
【0059】このような光学的情報記録媒体は、上記2
枚の光学的記録部材の少なくとも何れか一方の上記多層
構造膜が上記樹脂の紫外線感応波長域に略3%以上の透
過率を有するように膜形成を行う成膜工程と、上記2枚
の光学的記録部材を互いに上記多層構造膜の形成された
面が向かい合うように配置する配置工程と、上記対向す
る多層構造膜間のスペースに上記樹脂を充填する充填工
程と、紫外光の露光により上記樹脂を硬化させる露光工
程とを含む製造方法によって得ることができる。
【0060】一般に、紫外線感応硬化成分の硬化速度に
対する影響は、照射する紫外線の波長及び感応成分の量
子収率(紫外線照射強度に比例する)等に依存する。し
かしながら、本発明者らの実験によれば、紫外線照射で
硬化させる上での律速は(当該照射強度により硬化速度
は若干変化するけれども)、主に紫外線の波長によって
決まる。すなわち、紫外線照射で重合を開始する成分を
感応させる特定波長が存在すれば、少なくとも概ね3%
程度の透過率であっても、紫外線照射で重合を開始する
感応成分への照射強度自体は十分であり、硬化速度には
さほど影響を及ぼさないことが判明した。従って、上記
構成によれば、2枚のディスクの接着面の間に紫外線硬
化樹脂を充填し、紫外線を照射するだけで、両面型の光
学情報記録媒体を形成することができ、従来に比較して
製造工程数をはるかに少なくすることができる。
【0061】ここで、好ましくは、光学的記録部材の両
側の面から露光を行なう。また、好ましくは、露光工程
の後、光学的情報記録媒体にエネルギー線を照射して初
期化する。
【0062】また、好ましくは、エネルギー線としてレ
ーザービームを用いる。また、好ましくは、エネルギー
線としてフラッシュ光を用いる。また、好ましくは、前
記2枚の光学的記録部材のうちの少なくとも一方が再生
専用タイプである。
【0063】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施例を
図面に基づいて説明する。まず、本発明の第1の目的で
ある、放電発光時間(照射時間)、放電発光パワー(照
射光パワー)を任意に設定することが可能なフラッシュ
初期化装置を提供すること、ならびに、その装置を用い
て熱ダメージの小さい初期化方法を提供することを達成
するための発明の実施例について説明する。
【0064】図1は、放電発光時間(照射時間)、放電
発光パワー(照射光パワー)を任意に設定することが可
能なフラッシュ初期化装置の1実施例の主要な構成を示
す図であって、この装置を用いて、以下に述べるように
熱ダメージの小さい初期化を行なうことができる。
【0065】初期化に際しては、まず、相変化材料で構
成される記録薄膜1(最初はアモルファス状態)を樹脂
基板2上に備えた光学的情報記録媒体3を、基板面を上
にして支持台6の上に置く。ここでは、基板面を上にし
たが、基板面を下にする構成も可能であり、装置構成に
従って自由な形態を取り得る。
【0066】7はフラッシュ光源であって、電気エネル
ギーを蓄積する蓄積回路部8につながっている。この実
施例では、光源7として長さ35cmのキセノンフラッ
シュランプ24本を1mmのスペースをあけて平面上に
並べた構成とした。
【0067】蓄積回路8は、抵抗器とコンデンサーとか
ら構成されており、電源12に接続され、これによって
所定の電圧になるまで充電される。また、9はトリガー
回路であり、上記蓄積回路部のコンデンサーが所定の電
圧に充電された後に、この回路を作動させて上記フラッ
シュ光源内部を通電可能な状態に変化させ、上記蓄積回
路に蓄積された電荷を上記放電回路内に一挙に流させ
る。この結果、上記フラッシュ光源7からは強いフラッ
シュ光線4が放出されることになる。なお、11は反射
板で、媒体への照射効率を高める働きをするが、本発明
を完結するための必須の要素ではない。
【0068】上記記録薄膜1は上記フラッシュ光線4を
吸収、昇温し、結晶化転移する。また、上記放電回路に
は、放電遮断回路部10を取り付けてあり、所定の時間
放電させた後、強制的に放電を停止させ、発光の強度を
瞬時に実効的に0レベルまで低下させることができる。
【0069】図2によって、本発明の初期化装置に用い
る遮断回路部10の動作原理を説明する。まず、放電を
させる場合、放電をおこす前提として、まず蓄電回路部
8のコンデンサーC1を所定の電圧になるまで充電して
おく。次に、スイッチ回路5によって、トリガー回路9
のSCR(以下、サイリスターという)S1のゲート端
子にオン信号を加え、トリガー回路9のトリガートラン
スの両端に電圧を加える。
【0070】上記電圧は昇圧され、高圧がフラッシュ光
源7のトリガー電極に印加されるとともに、遮断回路1
0のサイリスタS2をオンにする。この結果、フラッシ
ュ管の内部の電気抵抗が急激に低下するとともにメイン
コンデンサーC1両端の電圧がフラッシュ管両端に加わ
り、ランプの陰極ー陽極間で放電が開始され発光が得ら
れる。
【0071】ついで、放電を強制的に中断する場合、遮
断回路中のサイリスターS3のゲート端子にオン信号を
加える。この際、オン信号を出す回路(図示は省略)に
は、タイマーを備えさせ、放電開始のスイッチオン後、
所定の時間が経過した時に、上記オン信号を出すように
設定する。
【0072】遮断回路中には、遮断電流を発生するため
のコンデンサーC2が充電された状態で接続されてい
る。サイリスターS3がオン状態になると、C2両端の
電圧がサイリスタS2に逆方向にかかり、逆電流が発生
することでS2を瞬時にオフ状態に転換する。この結
果、メインコンデンサーからの放電を停止させることが
できる。すなわち、回路の時定数とは無関係に、任意の
発光時間を設定することが可能である。
【0073】遮断回路としては、例えばサンスタースト
ロボ(株)製のバリカット装置(VARICUT24)
を用いることも可能である。この場合には、実効的な発
光時間を0.1〜10msecの間で任意に制御でき
る。
【0074】図3A−Dに,この回路を用いて放電発光
させたキセノンランプからの発光をピンダイオードで受
けた発光パターン例を示す。各図の横軸は時間軸であ
り、図3A−Cについては一目盛り0.5ms,図3D
については一目盛0.2msである。また縦軸はフォト
ディテクターの出力電圧に換算した発光強度を表わす。
また、回路中の蓄積部のコンデンサー容量は6000μ
F、充電電圧は800Vである。
【0075】図3Aは放電遮断回路10を作動しない場
合、図3B〜Dはそれぞれ遮断回路10を作動させた場
合で、順に発光時間を各々2mS、1mS、0.5mS
設定した場合に相当する。
【0076】これらの図から、設定時間経過後は、発光
が完全に停止し、速やかに0レベルに低下することがわ
かる。図3B,C,Dで、停止する直前に、発光強度が
瞬時大きくなっているのは、コンデンサーC2からの電
流が瞬間的にフラッシュ管の方にも流れるためである。
【0077】図4Aは、本発明の初期化方法を適用して
初期結晶化処理を行う光ディスク媒体の構成例を示す断
面図である。通常、徐冷構成と言われている。ポリカー
ボネイト製の直径200mm、厚さ1.2mmの基板2
上に厚さ90nmのZnS−SiO2(SiO2:20モ
ル%)膜(下引き誘電体層14)、厚さ30nmのGe
2Sb2Te5合金薄膜層(記録薄膜層1)、厚さ154
nmのZnS−SiO2(SiO2:20モル%)膜(上
引き誘電体層15)、厚さ10nmのAu薄膜層(反射
層16)をスパッタリングにより積層した。
【0078】形成したままの状態では、記録膜はアモル
ファス状態であった。次に、最上層に、紫外線硬化樹脂
をスピンコートして厚さ20μmの層を形成し、その
後、水銀ランプで照射して硬化させ、保護層17とし
た。
【0079】表1は、図4Aの構成の媒体に図3のフラ
ッシュ照射を行った結果を示す。ランプ、媒体の間隔は
10mm,充電電圧は650、675、700、75
0、800Vの5条件とした。
【0080】
【表1】
【0081】表1中、「OK」の条件では、クラックや
剥離等の熱ダメージを呈することなくディスク全面の結
晶化が行えたこと、「損傷」は結晶化するか否かに関わ
らず、皺が発生する、クラックが生じる等、なんらかの
破損が生じたこと、「部分残り」は発光強度の比較的弱
い部分で結晶化せずに残る部分が見つかったこと、また
「不可」は、全く結晶化しなかったことをそれぞれ示し
ている。結晶化していることは、光学的な濃度が大きく
なっていることから肉眼でも容易に判定できるが、念の
ためX線回折法でも確認した。
【0082】ここで、表1から明らかなように、遮断回
路を作動させずに照射を行ったAの場合には、十分な結
晶化が生じる以前に熱的損傷か生じてしまうことがわか
った。また、遮断回路を動作させて発光のテール部をカ
ットすることで余分な加熱を低減することが可能とな
り、熱ダメージのない結晶化を達成することが可能とな
った。
【0083】上記表1中には示していないが、発光時間
としては、2mSよりも長い条件および0.5mSより
も短い条件も試みた。その結果、遮断回路を動作させる
まで時間を3mSとした場合には初期化可能な条件が存
在したが、3mSを越えると損傷が顕著に現われ好まし
くなかった。2mS以下では、美しい初期化状態の得ら
れる条件が広く存在した。また、0.5mSよりも時間
を短かくした条件、例えば0.2mS、0.1mSの照
射時間でも全くダメージのない初期化が可能であった。
ただし、この場合には必要な充電電圧が2kV、4kV
と大きくなるので、大きな電源が必要となる。
【0084】上記初期結晶化を行ったディスクを評価デ
ッキにかけて記録・再生を行った。ディスクを線速27
m/sでドライブし、波長780nmのレーザー(開口
数:NA=0.55)を2値変調(ピークパワー24m
W,バイアスパワー10mW)し、記録周波数f1=1
8MHzの信号とf2=6,75MHzの信号を交互に
オーバライト記録した。f1のC/N、消去率を測定し
たところ、52dBのC/Nと26dBの消去率が得ら
れ、問題なく初期化が行われていることがわかった。
【0085】次に、急冷構成と通常呼ばれている、別の
構成の光ディスクを用い、本発明の初期結晶化方法を実
施してみた。図4Bに示すように、本実施例では、φ1
3cmのポリカーボネートの樹脂基板を用い、この上に
厚さ170nmのZnS−SiO2(SiO2:20モル
%)膜、厚さ25nmのGeBi2Te4合金薄膜、厚さ
45nmのZnS−SiO2(SiO2:20モル%)
膜、厚さ90nmのAlCr(Cr:3原子%)を順次
スパッタリングの方法で形成した。形成したままの状態
では記録膜はアモルファス状態であった。
【0086】次に、最上層に、紫外線硬化樹脂をスピン
コートして厚さ20μmの層を形成し、その後、水銀ラ
ンプで照射して硬化させ、保護層とした。この構成の光
ディスクに対しても、先の実施例と同じく初期化実験を
行った。この際、電圧は、625、650、675、7
00、750の5段階とした。
【0087】
【表2】
【0088】媒体の構成を変えて行ったこの実施例で
も、表2から明らかなように、遮断回路を作動させずに
照射を行った場合には、十分な結晶化が生じる以前に熱
的損傷か生じてしまうことがわかった。また、遮断回路
を動作させた場合には、発光時間に応じて適度な充電電
圧があり、その条件では熱ダメージのない結晶化を行え
ることが確かめられた。
【0089】徐冷構成の場合と同じく、この場合にも、
2mSよりも長い条件および0.5mSよりも短い条件
も試みたが、傾向は同じであった。上記初期結晶化を行
ったディスクを評価デッキにかけて記録・再生を行っ
た。ディスクを線速10m/sでドライブし、波長78
0nmのレーザー(開口数:NA=0.50)を2値変
調(ピークパワー14mW,バイアスパワー7mW)
し、記録周波数f1=6.66MHzの信号とf2=
2.5MHzの信号を交互にオーバライト記録した。f
1のC/N、消去率を測定したところ、55dBのC/
Nと26dBの消去率が得られ、問題なく初期化が行わ
れていることがわかった。
【0090】上の2例からわかるように、本発明の初期
化方法、初期化装置は媒体の構成によるものではなく、
媒体を構成する各層の材質、膜厚を変えても適応可能で
ある。
【0091】基板材料としては例えばPMMAやポリオ
レフィン等の透明な高分子材料、例えばガラス等の透明
な無機材料、例えばCuやアルミ等の金属等が適用でき
る。誘電体材料としては、例えばZr−O,Ta−O,
Ge−O,Ti−O,Al−O等の酸化物、例えばAl
−N,Zr−N,Si−N,Ti−N等の窒化物、例え
ばSi−C,Ti−C等の炭化物、例えばCa−F,L
a−F等の弗化物を用いることができる。
【0092】また、記録薄膜層としては例えばGe−S
b−Te系やこの系にCo,Bi,Pd,O,N,Se
等を添加した系(または、これらで一部を置換した
系),Sb−Te系、In−Sb−Te系、Ga−Sb
系、Ge−Te系,Ag−Sb−In−Te系,Ge−
Bi−Te系,Ge−Sn−Te系、Ge−Bi−Te
−Se系、Ge−Te−Sn−Au等の系、あるいはこ
れらの系に酸素、窒素等の添加物を加えた系に代表され
るように、これらの相変化を応用した相変化記録薄膜等
を用いることができる。
【0093】また、反射層材料としては、Au,Al、
Ni,Cr等の金属、またはこれらをベースにした合金
が用いられる。また、媒体構成としては、例えば図4A
もしくはBに示した媒体と同じものを2枚はりあわせた
両面型の媒体等にも適用できる。すなわち、本発明は媒
体構成には左右されるものではない。
【0094】初期結晶化に必要な照射パワーは、媒体と
光源との距離を選ぶことで変化させられる。すなわち近
くすれば、照射時間を短くすること、もしくは充電電圧
を低くすることができる。逆に遠ざければ、照射時間を
長めにすること、もしくは充電電圧を高くすることが必
要になる。上記距離をどう選ぶかは、装置の設計事項で
ある。
【0095】次の実施例は、充電に要する時間である。
先の図3A,B,C,Dに対応して最初に750Vまで
充電するときの充電時間と、一回放電させた後、放電前
の電圧まで最充電するに必要な時間とを調べた。電圧を
750Vに保持したままでの充電時間を測定した。結果
を表3に示す。
【0096】
【表3】
【0097】表3に示したように、最初の充電には4分
を要したが、1度放電させた後の次の充電時には放電時
間に対応して充電時間に差が生じている。すなわち、放
電時間が2mSの場合には、初回の半分の2分で次の充
電が完了している。同様に、放電時間が1mS、0.5
mSの条件では、次の充電時間は1分、30秒と短縮さ
れていることがわかる。すなわち、放電遮断回路を用
い、初期結晶化時には必要最小限の放電発光のみを行わ
せることで、初期結晶化の所要時間が大幅に短縮される
ことが確認できた。
【0098】次に本発明の第2の目的であるフラッシュ
初期化方法に要する時間を短縮するための実施例につい
て説明する。この実施例では、フラッシュ初期化方法に
おける所要時間の大半が、フラッシュ光のエネルギー源
である蓄積部への充電時間であることに注目し、この充
電速度を高める方法ならびにそれを実現する装置を提供
する。
【0099】図5は初期化時間を短縮した初期化装置の
構成例を説明する構成図である。初期化に際しては、光
記録媒体18を支持台19に載せる。光記録媒体18に
相対して、フラッシュランプ20(以下、単に「ラン
プ」という)が配置される。本図では、ランプ20とし
て1本のみが記載されているが、媒体の形状や表面積に
合わせて直線状のものを複数本並列してならべてもよ
く、また渦巻状の形状をしたランプを配置してもよい。
【0100】ランプ20を閃光させるのに必要な電気エ
ネルギーを蓄積するメインコンデンサ21がランプ20
の端子と並列に接続され、メインコンデンサ21には、
電荷の充電量をメインコンデンサ21の端子電圧として
検出するための電圧計22が並列に接続されている。こ
の電圧計22には、測定した電圧を他の回路に出力する
ための測定値出力端子が設けられている。
【0101】23はメインコンデンサ21を充電するた
めの電源である。この電源23には電源の出力端子電圧
を自動的に制御できる電圧設定回路24が設けられてい
る。25は切り換えスイッチであり、メインコンデンサ
21の充電、遮断、および過剰充電量の放電を切り換え
るために設けられている。
【0102】リレー26、トリガコイル27、およびト
リガコンデンサ28はランプ20を閃光させるために設
けられたものである。トリガコンデンサ28には予め抵
抗30を通して電圧Vtに充電される。この状態でリレ
ー26を閉じるとトリガコンデンサ28に蓄えられたエ
ネルギーは、トリガコイル27により高周波・高電圧の
エネルギーに変換されてランプ20のトリガ電極に印加
される。
【0103】この高周波・高電圧によりランプ20の内
部のキセノンガスが絶縁破壊され、陰陽極間に急激な放
電が開始される。これにより、メインコンデンサ21に
蓄えられたエネルギーは光のエネルギーとなり瞬間的に
発光する。
【0104】制御手段29は、電圧計22の測定値信号
を取り込む制御、設定回路24の設定電圧を決めるため
の信号を送る制御、切り換えスイッチ25の位置(ポジ
ション)を変える信号を送る制御、そしてリレー26を
閉じるための信号を送る制御をするために設けられてい
る。
【0105】次に、上記装置を用いて光記録媒体18を
初期化するための制御の流れを以下に記載する。ランプ
20の発光強度はランプ20を閃光させるのに必要な電
気エネルギーを蓄積するメインコンデンサ21の充電量
で決まるが、コンデンサー容量が一定であれば、メイン
コンデンサ21の端子電圧(すなわち、ランプの端子間
電圧)の大きさで決まる。印加電圧の最大許容値や発光
限界の下限値等はランプ20の設計に依存するが、ここ
では定格700Vのランプを用いた例を説明する。
【0106】前記700Vをランプ端子間に印加するた
めには、メインコンデンサ21の電圧もまた700Vに
なるように充電する必要がある。そこで、 1)制御手段29によりメインコンデンサ21の充電完
了電圧を700Vに設定すると、制御手段29より切り
換えスイッチ25が充電側になるように信号が送られ、
充電が開始される。
【0107】2)同時に、制御手段29から設定回路2
4に信号が送られ、電源23の出力電圧が設定される。 3)充電を続けるに従ってメインコンデンサ21の端子
電圧が上昇するので、この端子電圧を電圧計22で検出
し、その測定値を制御手段29に送る。
【0108】4)制御手段29は電源23からの出力電
圧と前記メインコンデンサー21の端子電圧との電位差
が常に700Vになるように設定回路24に信号を送
り、設定回路24は電源23の出力電圧が電圧計22で
の測定電圧よりも700Vだけ大きくなるように制御さ
れる。
【0109】5)電圧計22が700V(またはそれを
越えた値)を検出したと同時に、制御手段29は切り換
えスイッチ25が遮断の位置になるように信号を送り、
メインコンデンサ21への充電が終了する。
【0110】6)充電終了後、制御手段29はリレー2
6に信号を送り、リレー26が閉じることによりランプ
20が発光し、光記録媒体18にフラッシュ光が照射さ
れ初期化が行なわれる。
【0111】図6は充電時間とメインコンデンサー21
の関係を表わしたものである。図中、実線で示した直線
が上記実施例で示した、電位差を常に700Vに保った
場合の様子であって、メインコンデンサ21の端子電圧
は充電終了電圧まで直線的に昇圧される。これと、印加
電圧を一定値にした場合(図中、破線のカーブ)とを比
べると、本実施例の方法を用いた場合には、はるかに短
時間に充電を完了させることができることがわかる。こ
の方法の場合は、充電完了までの時間とメインコンデン
サ21の端子電圧の増加量が一定であることから、充電
完了時間を容易に求めることができ便利である。
【0112】電源23の出力電圧の設定方法は上記の限
りではない。もっと簡便には、出力電圧を電源23の設
定電圧の上限に固定しておくことも可能である。例え
ば、電源23の最大定格電圧が1kVであれば、電源2
3の出力電圧が1kVになるように、制御手段29を通
して設定回路24にて制御する。この場合、充電開始直
後の電位差は1kVであり、充電終了時の電位差は、メ
インコンデンサ21の充電完了電圧を700Vとして、
300Vであるから、メインコンデンサー21の端子電
圧は図6中、一点鎖線で示したような変化を示し、電源
23の電圧を充電完了時の電圧である700Vに設定し
て充電するよりも短時間で充電できる。
【0113】いずれにせよ、本発明ではメインコンデン
サ21の充電終了電圧よりも電源23の出力電圧を高く
キープすることで両者の電位差をできるだけ高くしてメ
インコンデンサ21に流入する電流値を増やすべく制御
する。これによって充電時間を短かくし、初期化に要す
る時間を短縮することができる。
【0114】上記のように、本発明の初期化装置の特徴
の一つは、エネルギー供給手段に設けた供給量設定手
段、エネルギー蓄積手段に蓄積したエネルギー量を検出
する蓄積量検出手段、及び供給設定手段と蓄積検出手段
とからの出力に基づき供給手段と切り換え手段と放電開
始手段とに信号を出力する制御手段とを具備した点であ
る。
【0115】供給量設定手段及び蓄積量検出手段で検出
する対象としては、エネルギーを直接検出する電荷量、
エネルギーを換算した電圧等があるが、フラッシュ光を
発光する観点では電圧で管理することが望ましい。
【0116】また、蓄積量検出手段で検出した検出量に
応じて、供給量設定手段で設定した供給量を、蓄積手段
の所定の到達量または到達量の設定値よりも大きくなる
ように供給手段を制御する制御手段を具備した点も本発
明の初期化装置の特徴の一つである。ここで蓄積手段の
所定の到達量とはフラッシュが発光するために要するエ
ネルギー量または電圧値を言い、設定値と同一にするこ
とも可能であるし、例えば放電をよりスムーズにスター
トさせるため所定の値よりも設定値の方をやや高目に設
定することも可能である。但し、上述した蓄積手段の設
定値は何れも、蓄積手段の飽和蓄積量よりも低く設定す
ることはもちろんである。
【0117】原理的には供給量が蓄積手段の所定の到達
値または到達量の規定値の何れかよりも大きければ本発
明の効果は発揮される。また、両者間の差が大きいほ
ど、その効果は顕著になる。ただし、例えば電圧で検知
する場合では、通常は供給手段の電圧変動を考慮しなけ
ればならないので、蓄積手段の所定の到達量または到達
量の規定値の何れかの1.1倍以上であれば効果が現わ
れ、実製造を考慮すると1.3倍程度以上が好ましい。
上限は、一般的には供給手段の能力で限界があり、5倍
程度以下の能力を有する供給手段が入手し易いため好ま
しい。なお、この供給量と蓄積手段の到達量または到達
量規定値の何れかとの比は、エネルギーを対象とする場
合であっても、電圧を対象とする場合であっても変わら
ないことは勿論である。
【0118】さらに、本発明のもう一つの特徴は、供給
設定手段で設定する供給量を蓄積手段の到達量または到
達量の規定値の何れかよりも大きくなるように供給手段
を制御すると同時に、蓄積手段の蓄積量が所定の値に到
達したときに、切り換え手段を制御し、供給手段から蓄
積手段への供給を遮断し、放電開始手段に信号を送る制
御手段を具備した点である。すなわち、蓄積手段に蓄積
された蓄積量(例えば端子間電圧)を検出する検出手段
の信号を介して切り換え手段を制御するため、メインコ
ンデンサーを過充電してしまう等の心配がなく、最短時
間で充電を完了し、放電発光へと移ることができるとい
う特徴も有する。
【0119】本発明に適用できる光記録媒体18の構成
としては、既に図4A、4Bで説明した通りである。例
えば、PMMA,ポリカーボネート等の樹脂或はガラス
等からなる基板上に、ZnS−SiO2材料からなる誘
電体層、Ge−Sb−Te系等から構成された結晶状態
とアモルファス状態を可逆的に変化する相変化記録層、
Au、Al、Cr等の金属元素あるいはこれらの合金から
なる反射層などの薄膜を積層する。
【0120】このような光記録媒体18の形態は、上記
積層した薄膜上に樹脂をスピンコートした構成も可能で
ある。また、基板と同様の樹脂板、ガラス板を接着剤を
用いて貼り合わせることも可能である。また、2組の記
録部材を中間基板を用いて貼り合わせることも可能であ
る。あるいは、膜側を内側にして接着剤で貼り合わせる
ことにより両面から記録,再生、消去可能な構造とする
ことも可能である。
【0121】光記録媒体1は記録、再生、消去ができる
光記録媒体であれば何れの製法であってもよい。また、
ディスク状、カード状、シート状、あるいはフィルム状
の形をしていても良く、発明は光記録媒体18の形態に
はこだわらない。
【0122】次に、本発明の第3の目的である、保護層
を形成する工程ならびに初期結晶化工程を通じて発生す
る媒体の反りや歪を低減する実施例について説明する。
図9に本発明による光学的情報記録媒体の製造方法の一
実施例として単板の光学的情報記録媒体(以下光ディス
ク媒体と称する)39を製造する工程を示す。図9では
省略したが、光ディスク媒体39は、基板上に相変化を
生じる記録薄膜層と、保護層とを含むものである。
【0123】図9の工程(a)は、基板上に記録薄膜層
等を形成する工程である。前記基板材料として有機樹脂
基板を用いる場合には、例えばポリカーボネイト、ポリ
メチルメタクリレート(PMMA)、ポリオレフィン等
の樹脂が用いられ、無機基板を用いる場合には、例えば
ガラス板の他、銅やアルミ等の金属板も用いることがで
きる。ディスク基板表面には、光をガイドするための溝
あるいはピット列が同心円上、またはスパイラル線上に
刻まれており、センター穴があけられている。基板材料
に、例えばガラス板の他、銅やアルミ等の金属板等の無
機基板材料を用いる場合には、例えばスタンピング転写
法(2P法)等で上記ガイド溝やピット列を形成してお
く。
【0124】この基板上に、スパッタリング、真空蒸着
等の方法で成膜工程(a)を行ない、必要に応じた層数
の多層膜を形成する。例えば、図10Aに示したよう
に、基板40の上に第1の誘電体層41、記録薄膜層4
2、第2の誘電体層43、反射層44の4層を積み重
ね、その上に保護層45を形成した構成が代表的であ
る、また、各層が複数の材料層で成る場合もある。まず
第1の反射層(図示を省略)を設け、次に、第1の誘電
体層41、記録薄膜層42、第2の誘電体層43、第2
の反射層(図示を省略)の順に形成する場合もある。ま
た、いずれか又は両方の反射層がない構成、さらに、い
ずれか又は両方の誘電体層がない構成もとることができ
る。
【0125】誘電体層41、43の材料としては、Zn
S−SiO2混合膜が代表的であるが、Zr−O,Ta
−O,Ge−O,Ti−O,Al−O等の酸化物、Al
−N,Zr−N,Si−N,Ti−N等の窒化物、Si
−C,Ti−C等の炭化物、Ca−F,La−F等の弗
化物あるいはこれらの混合物を用いることができる。
【0126】記録薄膜層42の材料には、例えば、相変
化を応用した相変化記録薄膜、代表的にはGe−Sb−
Te系やこの系にCo,Bi,Pd,O,N,Cr,I
n,Sn,Se等を添加または、これらで一部を置換し
た系,Sb−Te系、In−Sb−Te系、Ga−Sb
系、Ge−Te系,Ag−Sb−In−Te系,Ge−
Bi−Te系,Ge−Sn−Te系、Ge−Bi−Te
−Se系、Ge−Te−Sn−Au等の系、あるいはこ
れらの系に酸素、窒素等の添加物を加えた系等を用いる
ことができる。
【0127】また、反射層44の材料としては、Au,
Al、Ni,Ag,Ti,Cr等の金属、またはこれら
をベースにした合金、例えばAg−Cr,Al−Cr,
Al−Ti,Ni−Cr,Au−Cr等が用いられる。
【0128】成膜工程を終了したディスク状媒体は、図
9の工程(b)の保護層形成工程へ移行する。ここで
は、まず紫外線硬化樹脂をスピンコート等の方法で表面
に塗布し、ついで紫外線に露光して硬化させ保護層45
(図10A)とする。
【0129】保護層を形成した後、図9の工程(c)の
初期化工程へ移る。初期化工程は、レーザ法でも、フラ
ッシュ法でもいずれでもよい。初期化工程を終えたディ
スク状媒体は既に述べた2つの理由、すなわち紫外線硬
化樹脂の重合に伴う収縮、ならびに記録薄膜の結晶化に
伴う収縮の影響で、通常は基板面47(すなわち記録層
等を成膜していない基板面側)が凸となる方向に反りを
生じる。本実施例では、この反りを低減する方法を説明
する。
【0130】初期化終了後、図9の工程(d)のアニー
ル工程を行なう。この工程は本発明の特徴である。本実
施例では、ネジ穴をあけた平坦な面50を有する銅板5
1上に、凸面(ここでは図10Aの基板面47)を上に
向けて光ディスク媒体52を置き、光ディスクセンター
部をネジ53で止め、ディスク媒体52を平坦面50に
押しつけ、反りのない状態に保つ。この状態で、全体を
所定温度に加熱したドライオーブンに投入し、アニール
を行なう。アニール後は、全体を冷却し、冷却が止まっ
た段階でネジをはずせば、反りの小さくなったディスク
媒体が得られることになる。
【0131】反りを矯正する方法としては、上述のネジ
53を光ディスクセンター部を介して銅板51のネジ穴
に固定する方法以外に、様々なバリエーションがある。
このバリエーションについて、以下、具体例を挙げ説明
する。
【0132】(実施例1)直径130mm,厚さ1.2
mmのポリカーボネイト基板上に、厚さ170nmのZ
nS−SiO2膜、25nmのGe2Sb2Te5膜、厚さ
40nmのZnS−SiO2(SiO2:20モル%)
膜、厚さ80nmのAlCr(Cr:3原子%)膜を順
にスパッタ法で形成し、最上層に約20μmの厚さにア
クリル系の紫外線硬化樹脂をスピンコートで塗布した
後、水銀ランプを照射して硬化させた。
【0133】次に、長さ35cmのキセノンフラッシュ
ランプを12本ならべて同時に放電発光させ、上記ディ
スク媒体を一括して結晶化させた。この状態で反り角を
測定したところ、10ミリラジアンと大きな値となっ
た。
【0134】そこで、図11Aに示す銅製治具の平坦面
上に、上記ディスク基板40の基板面47(凸面)を上
にして最内周部54のみを固定し、100℃のオーブン
中に1時間放置した。
【0135】自然冷却後、保護層は完全に硬化している
ことが確認され、また、反り角を再度測定したところ、
5ミリラジアンと小さくなっていることがわかった。な
お、反り角は図13に定義している。
【0136】(実施例2)実施例1と全く同様に形成し
た反りのある媒体を、今度は保護層面48を上にしてア
ニールした。1つは図11Bに示したように外周部55
のみを固定し、他の1つは図11Cに示したように、外
周部55と内周部54の両方を固定して同じ条件でアニ
ールした。
【0137】自然冷却後、解放したところ、保護層は何
れも完全硬化していることが確認されたが、外周部55
のみを固定した媒体ではディスク媒体のセンター部が浮
き上がり、逆方向にランダムな反りが発生してしまっ
た。一方、内周部54と外周部55とを同時に固定して
アニールしたディスク媒体では、反り角が5ミリラジア
ンと小さくなっていた。
【0138】すなわち、基板面を上にしてアニールする
場合には、内周部のみを固定すればいいが、保護層面4
8を上にする場合には、内周部と外周部をいずれも固定
する必要があることがわかった。
【0139】(実施例3)実施例1と同様に形成した反
りのある媒体を、図11Dに示す台56に固定し、逆方
向に3ミリラジアン程度反るように中央部をネジ57で
締め、実施例2と同様にアニールした。
【0140】自然冷却後、保護層は完全硬化しているこ
とが確認され、また、反り角を測定したところ、反り角
は非常に低減され、基板面が凸の方向に1ミリラジアン
以下であった。
【0141】(実施例4)実施例1と同様に形成した反
りのある媒体を30枚用意し、同じ方向で積み重ね、図
12のようにおもり59をおいてセンター部を台58上
に固定した。この状態で100℃のオーブン中に投入
し、3時間放置した。
【0142】自然冷却後、保護層は完全硬化しているこ
とが確認され、また、各媒体の反り角を測定したとこ
ろ、いずれも5ミリラジアン以下に低減されていた。 (実施例5)実施例1の媒体をレーザ法で結晶化させ
た。ディスクを5m/sの速度で回転させ、波長830
nm、出力1Wの半導体レーザを半値幅20μmの幅に
成形したレーザビームを10μmピッチで送りながら全
面を結晶化させた。この状態で反り角を測定したとこ
ろ、7ミリラジアンとフラッシュ法に比べると小さな値
が得られた。
【0143】実施例1と同様に、基板面(凸面)47を
上にして最内周部54のみを固定し、100℃のオーブ
ン中に1時間放置した。自然冷却後、保護層は完全硬化
していることが確認され、また、反り角を再度測定した
ところ、5ミリラジアンと小さくなっていることがわか
った。
【0144】実施例5と実施例1とを比較してみると、
アニール工程が反り矯正処理も兼ねる場合には、フラッ
シュ初期化の場合に、より顕著な効果が得られることが
わかった。
【0145】(実施例6)実施例1と同様に形成した反
りのある媒体10枚を予め100℃に加熱しておいたア
ルミ製、アルミナ製及びガラス製の3通りの平板の各々
の平面上に基板面40を上にして置き、30分間放置後
自然冷却させた。
【0146】保護層は完全結晶化していることが確認さ
れ、また、反り角を測定したところ、何れの平板を用い
た場合でも、アニール後の反り角は5〜7ミリラジアン
の範囲であった。
【0147】平板をアルミナ、ガラスに変えてやってみ
たが同様の効果を得た。 (実施例7)実施例1でアニール温度を、60〜120
℃の範囲で10℃刻みで行なった。この結果、アニール
温度が高くなるほど反りの矯正効果が大きかったが、1
10℃を越えると、基板材料としてポリカーボネイトを
用いたため、溝形状にやや異常が見られた。
【0148】上記実施例は何れも基板材料として耐熱性
が低いポリカーボネイトを用いた例を示したが、基板材
料を耐熱性が高い例えばガラス等の無機材料を用いて行
なうことも可能である。この場合には、アニール処理前
後の保護層の硬化の様子及び反りの様子はほぼ同様であ
るが、アニール処理温度が110℃以上であっても溝形
状に異常は認められずなかった。すなわち、アニール処
理効果は充分に発揮され、高温処理の方が処理時間の短
縮等の効果も付加された。
【0149】また、上記実施例は何れも、誘電体膜を具
備した形態を例示したが、本発明の製造方法は誘電体膜
の有無に関わらず有効である。さらに、本発明の製造方
法は、保護層を完全硬化させることにより光学的情報記
録媒体の信頼性を高め、同時に記録薄膜層およぶ保護層
等の成膜及び/または初期化の各工程を通じてやむを得
ず生じる反りや歪を低減できる技術であるため、記録薄
膜層、誘電体層または基板等の材料が何れであっても、
その効果に変化が無いことはもちろんである。
【0150】次に本発明の第3の目的である、保護層を
形成する工程ならびに初期結晶化工程を通じて発生する
媒体の反りや歪を低減するための別の実施例について説
明する。
【0151】この実施例では、直径130mm,厚さ
1.2mmのポリカーボネイト基板上に、下引き誘電体
層として厚さ170nmのZnS−SiO2膜、記録薄
膜層として25nmのGe2Sb2Te5膜、上引き誘電
体層として厚さ40nmのZnS−SiO2(SiO2
20モル%)膜、反射層として厚さ80nmのAlCr
(Cr:3原子%)膜を順にスパッタ法で形成し、最上
層に約20μmの厚さにアクリル系の紫外線硬化樹脂を
スピンコートで塗布したディスク媒体を複数枚の用意
し、以下の比較実験を行なった。
【0152】ディスク媒体Aは、そのままの状態(矯正
力を印加しない状態)で水銀ランプで照射して紫外線硬
化樹脂を硬化させ、フラッシュ法で初期化を行なった。
なお。フラッシュによる初期化には、図14に示した放
電回路を用い、キセノン放電管を放電発光させることで
露光照射を行なった。
【0153】ディスク媒体Bは、紫外線照射を行なって
樹脂層を硬化させた後、次に図15に示すように基板面
47が凹になる状態に矯正力61を加えつつフラッシュ
初期化を行なった。
【0154】ディスク媒体Cは、紫外光線60の照射を
行なった後、ディスク媒体Bと同じように矯正力61を
加えつつ、100℃のオーブン中に投入し、1時間アニ
ールした後、矯正力61をとり除いてフラッシュ初期化
を行なった。
【0155】ディスク媒体Dは、紫外光線60の照射を
行なった後、ディスク媒体Cと同様に矯正力61を加え
て、アニール、フラッシュ初期化を行なった。ディスク
媒体Eは、はじめから矯正力61を加えつつ水銀ランプ
を照射し、紫外線硬化樹脂を硬化させた。その後、アニ
ールは行なわず、上記矯正力61を取り除いた状態でフ
ラッシュ初期化を行なった。
【0156】ディスク媒体Fは、ディスク媒体Bと同様
に紫外線照射を行なった後、上記矯正力61を加えた状
態で100℃のオーブン中に投入し、1時間アニールし
た後、上記矯正力61を取り除いた状態でフラッシュ初
期化を行なった。
【0157】ディスク媒体Gは、前記の矯正力61を加
えた状態で、紫外線照射、フラッシュ初期化までを行な
った。各ディスク媒体A〜Gの反り量を図13に示す反
り角度で比較評価した。結果を表4に示す。表の中で、
「反らせ量」は矯正力を加えて反らせた大きさを反り角
で定義したもの、「反り」は各工程が終わったあとでの
実際の反り角を測定した結果を示す。また、「No」
は、表中に示したように、各工程を簡略化したか、省略
したかのいずれかを意味している。さらに、表中の数学
の「+」の符号は基板面が凸になる場合、「−」の符号
は凹になる場合を示している。なお、複数回行なったも
のもあるが、これは加える力の大きさを加減し、反らせ
量を調節したためである。製造上の容易さを考慮して、
反らせ量の最大値は5ミリラジアンとした。但し、最終
的には7ミリラジアン程度以下であれば実用的レベルで
ある。
【0158】
【表4】
【0159】表4の結果から、紫外線硬化樹脂を硬化さ
せた後のアニール工程を省略したA,B,Eの場合に
は、紫外線光照射の条件によらず、初期化後には、紫外
線硬化樹脂層が凹となる大きな反りが発生した。
【0160】一方、紫外線照射時にはとくに矯正せず、
アニール時に基板面が凹なるような力を加えたC,Dの
場合、また紫外線照射工程とアニール工程で矯正力を加
えたFの場合、紫外線照射工程、アニール工程、初期化
工程を通じて矯正力を加えたGのいずれの場合にも、反
り量が非常に小さくなり、矯正力を加えつつアニール処
理を行なうことが非常に効果的であることがわかった。
【0161】上記各ディスクを実際にデッキにのせてサ
ーボ特性を調べた。ディスクの回転数を1800rpm
とした。レーザ波長は780nm、対物レンズのNAは
0.55としたところ、C,D,F,Gのディスクでは
フォーカシング、トラッキングとも良好であったが、
A,B,Eではフォーカシングが難しかった。
【0162】アニールの方法としては、ディスク媒体全
体をオーブン中に投入する方法もあるが、図16に示す
ように、赤外線ランプ62を用いて、赤外光線63で加
熱する方法が高速に加熱できる点で便利であった。上記
実施例のC,D,F,Gに関し、赤外線ランプ62によ
るアニールを試したが同様の結果となった。
【0163】なお、本発明の要旨は、少なくとも保護層
の紫外線硬化工程と初期化工程とに反りを矯正する方向
に矯正力を印加させる製造方法であるため、初期結晶化
を必要とする相変化光記録媒体であれば既に図4、図1
0で説明した何れの媒体でも適用できる。
【0164】次に、本発明の第4の目的である、製造工
程数を削減した両面型媒体の構成例、ならびにその製造
工程を示す実施例を説明する。図17は、本発明の両面
型光学的情報記録媒体の1実施例の構成を断面図として
示したものである。この実施例では、ポリカーボネイト
製の厚さ1.2mmの透明基板64上に、第1の誘電体
層65として厚さ90nmのZnS−SiO2膜、記録
薄膜層66として厚さ30nmのGe2Sb2Te5合金
薄膜層、第2の誘電体層67として厚さ154nmのZ
nS−SiO2膜、金属反射層68として厚さ10nm
のAu薄膜層をスパッタリングにより積層して構成した
単板の光学的記録部材70を2枚準備し、膜側を互いに
内側にして紫外線感応成分を含有する樹脂(以下、「紫
外線硬化樹脂」という)を用いて接着層69を形成し、
貼り合わせた。
【0165】この紫外線硬化樹脂の硬化に用いた水銀灯
の波長(250〜350nm)近傍で、上記単板の光学
的記録部材を介した透過率は約5%であった。但し、透
明基板64の材料としては、上記したポリカーボネイト
の他に、例えばPMMAやガラスであってもよい。ま
た、第1の誘電体層及び第2の誘電体層の材料として
は、上記ZnS−SiO2の他に、例えばSiO2、Ta
25などの酸化物系の誘電体、SiNやAlN等の窒化
物であってもよい。また、記録薄膜層66の材料として
は、他に例えばIn−Sb−Te系の相変化材料を用い
てもよい。いずれにせよ、本発明の両面型光学的情報記
録媒体を構成する材料に制限を受けるものではない。
【0166】図18は、本発明の実施例における両面型
光学的情報記録媒体の貼り合わせプロセスを示す工程図
である。ポリカーボネイト製の透明基板71、72上に
は、記録層を形成する薄膜73、74が多層に形成され
ていて、光学的記録部材70を構成している。
【0167】まず工程(a)に示したように、この薄膜
73、74が形成されている面を互いに内側にして、基
板71と基板72を対向させる。薄膜73、74間のス
ペースは、適当でよいが3mm程度が妥当である。次
に、工程(b)示したように、このスペースに紫外線硬
化樹脂75を注入する。注入後、基板71と基板72を
密着し一体化させると、工程(c)に示したように、紫
外線硬化樹脂75は薄膜73、74の表面全体に広が
る。また、上述した密着法に加え、例えば基板71、7
2を回転させれば、紫外線硬化樹脂の均一塗布が促進さ
れて好ましい。工程(c)のように、紫外線硬化樹脂7
5が均一に塗布された後、紫外線76を基板72側から
照射すると、工程(d)に示したように照射した紫外線
76の約5%が紫外線硬化樹脂75に到達し、紫外線硬
化樹脂が硬化する。以上の工程により、基板71と基板
72が一体化し、両面型光学的情報記録媒体が製造でき
る。
【0168】なお、図18では、紫外線を光学的情報記
録媒体の透明基板の片面(基板72側)からのみ照射し
た場合について示しているが、この照射は各透明基板7
1、72の両面から同時に行っても良く、この場合は両
面から紫外線硬化樹脂75の硬化が促進されるので、さ
らに短時間で両面型光学的情報記録媒体の貼り合わせが
行なえる。
【0169】また、本発明の光学的情報記録媒体の光学
的記録部材の紫外線透過率は、記録薄膜層と金属反射層
とのみで構成される場合であっても、または、例えば図
17に示したように2層の誘電体層で挟んだ記録層を有
し、かつ一方の誘電体層に金属反射層を備えた構成の場
合であっても、いずれも金属反射層の材料及び膜厚に依
存する。従って、本発明の主旨の感応波長領域の紫外線
透過率の制御には、主に金属反射層の材料及び当該反射
層の成膜を制御することで、紫外線の透過率を設定す
る。
【0170】なお、金属反射層の材料としては、Al,
Cr,Ag,Cu,Ni,Au等の純金属材料をはじ
め、他の金属材料との合金材料等も適用でき、本発明の
要請を満足させるためには何れの材料を用いても、おお
よそ20nm〜50nmの範囲内にあれば達成できる
が、特にAuもしくはAuを主成分とする合金、すなわ
ち199>x≧0とするとAu100-xx(但しMは合金
を形成する金属元素)が、反射率と紫外線と透過率との
両方を満足し易いため好ましい。
【0171】なお、上述したように金属反射層の材料及
び/または膜厚が主な要因ではあるが、透明基板、記録
薄膜層の膜厚または誘電体層の膜厚による寄与もあり、
これらに用いる材料により膜厚を適宜選択する必要があ
る場合も発生する。一般的には、紫外線波長領域で3%
以上程度であれば満足できる。
【0172】但し、記録薄膜層がアモルファス相−結晶
相の相転移で発生する光学特性の変化を応用する場合で
は、一般的に記録薄膜層作成時にはアモルファス状態で
あるため。記録薄膜層がアモルファス状態での紫外線透
過率を概ね3%以上にする必要がある。
【0173】そこで、上記工程により貼り合わせた両面
型光学的情報記録媒体における透過率と、紫外線硬化樹
脂の硬化度合いとについて評価した。両面型光学的情報
記録媒体の紫外線透過率は、薄膜73、74の膜構成を
変化させ0%、1%、2%、3%、5%とした。
【0174】なお、透過率0%の両面型光学的情報記録
媒体の薄膜73、74の構成は、透明基板71、72上
に厚さ70nmのZnS−SiO2(SiO2:20モル
%)膜、厚さ25nmのGe2Sb2Te5合金薄膜、厚
さ45nmのZnS−SiO2(Si02 :20モル
%)膜、厚さ90nmのAlCr(Cr:3原子%)を
形成した構造とした。
【0175】また、透過率が1%、2%、3%、及び5
%の両面型光学的情報記録媒体の薄膜73、74の構成
は、透明基板71、72上に、厚さ92nmのZnS−
Si02(SiO2:20モル%)膜、厚さ20〜40n
m程度のGe2Sb2Te5合金薄膜、厚さ160nmの
ZnS−SiO2(SiO2:20モル%)膜、厚さ5〜
30nm前後のAu膜を形成した構造とし、合金薄膜と
Au反射層の膜厚を変えて透過率を調整した。結果を表
5に示す。
【0176】
【表5】
【0177】表5に示したように、上記透過率0%の両
面型光学的情報記録媒体を貼り合わせようと紫外線を照
射して紫外線硬化樹脂の硬化を試みたが、硬化できなか
った。次に、透過率が1%の両面型光学的情報記録媒体
の貼り合わせ時に、紫外線を照射して紫外線硬化樹脂の
硬化を試みたところ、紫外線硬化樹脂は一部の領域のみ
硬化し、10分以上継続して紫外線を照射しても、硬化
は促進されず不十分であった。また、紫外線透過率が2
%の両面型光学的情報記録媒体の貼り合わせ時に、紫外
線を照射して紫外線硬化樹脂の硬化を試みたところ、紫
外線硬化樹脂は硬化したが、約10分程度の照射時間を
要した。この硬化時間は、今日の両面型光学的情報記録
媒体の製造には2〜3分程度のタクトタイムが必要なこ
とから、不十分であった。
【0178】一方、紫外線透過率が3%の両面型光学的
情報記録媒体の貼り合わせ時に、紫外線を照射して紫外
線硬化樹脂の硬化を試みたところ、約4〜5分程度で紫
外線硬化樹脂が硬化した。さらに、紫外線照射を両面型
光学的情報記録媒体の両側から行ったところ、約2分で
紫外線硬化樹脂が硬化した。
【0179】最後に、紫外線透過率が5%の両面型光学
的情報記録媒体の貼り合わせ時に、紫外線を両面型光学
的情報記録媒体の片面から照射して紫外線硬化樹脂の硬
化を試みたところ、紫外線硬化樹脂はわずか1分以下で
硬化した。
【0180】以上のことから、両面型光学的情報記録媒
体を紫外線硬化樹脂で貼り合わせる場合、薄膜73,7
4の紫外線透過率は、硬化度合いとタクトタイムの関係
から3%以上が推奨できる。
【0181】このようにして作成した両面型光学的情報
記録媒体の貼り合わせ強度について評価した。評価方法
は、落下試験と高温高湿にて行った。落下試験は、両面
型光学的情報記録媒体をこの記録媒体の録再時に用いる
カートリッジ内に挿入して、このカートリッジを高さ7
5cmからコンクリート面上に6回落下させた。その結
果、透過率が3%と5%の両面型光学的情報記録媒体
は、接着して貼り合わせた部分の剥離もなく異常は認め
られなかった。また、2%のものは4回目までは異常が
なく、5回目で一部が剥離した。
【0182】また、両面型光学的情報記録媒体を、80
℃、80%RHの雰囲気に300時間放置して取り出し
たところ、透過率が3%と5%の両面型光学的情報記録
媒体は、接着の剥がれやクラックの発生はなかった。2
%のものは、100時間までは異常なかったが、300
時間後には一部剥がれが見られた。
【0183】次に、作成した両面型光学的情報記録媒体
の初期化を行った。初期化とは、通常、上記アモルファ
ス−結晶間の相変化光学的情報記録媒体では、記録方向
を結晶からアモルファスへの変化とするので、記録を行
なう前提として、記録薄膜を予め結晶状態に転換してお
くことが行われることをいう。
【0184】初期化の方法としては、既に説明した2つ
の方法を試みた。すなわち例えば特開昭60−1060
31号公報等に開示されているレーザビームによる逐次
処理の方法を行った。すなわち、録再に用いるレーザダ
イオードよりもはるかに大出力のレーザを用い、数10
〜数100μm幅の光スポットを形成する。媒体を一定
速度で送りながら、この光スポットを照射することで、
一回の操作で多数のトラックを一度に結晶化することが
できる。
【0185】また、例えば特願昭62−250533号
公報等で提案されている、キセノンランプを用いたフラ
ッシュ光を用いてディスク面全体を一括して短時間で結
晶化するという方法でも行った。
【0186】以上の2種類の方法で初期化を行い、従来
から行われていたホットメルト接着剤で貼り合わせた両
面型光学的情報記録媒体と、本実施例の図17の紫外線
硬化樹脂で貼り合わせた両面型光学的情報記録媒体との
初期化状態を比較した。
【0187】レーザビームにより初期化した場合、双方
のディスクともクラック、傷、あるいは剥離などの異常
は認められず、良好に初期化できた。また、フラッシュ
光で初期化した場合、ホットメルト接着剤で貼り合わせ
た両面型光学的情報記録媒体では、微少な剥離、シワ、
またはクラックが数カ所みられる場合があったが、本発
明の例えば図17に示したような両面型光学的情報記録
媒体では、キズ、クラックあるいは剥離等の異常は見ら
れなかった。
【0188】次に、初期化した図17の両面型光学的情
報記録媒体を記録再生装置に装着し、ディスクの記録再
生評価を行った。ディスクを線速27m/sでドライブ
し、波長780nmのレーザー(開口率:NA=0.5
5)を、2値変調(ピークパワー24mW,バイアスパ
ワー12mW)し、記録周波数f1=18MHzの信号
とf2=6.75MHzの信号を交互にオーバライト記
録した。
【0189】f1のキャリアー対ノイズ比(以下、「C
/N」と称す)、消去率を測定したところ、52dBの
C/Nと26dBの消去率が得られ、問題なく初期化が
行われていることがわかった。また、繰り返してオーバ
ライト記録したが、初期の信号品質が維持されており、
C/Nや消去率の劣化は認められなかった。
【0190】以上のように本発明の光学的情報記録媒体
では、紫外線硬化樹脂を接着層材料として適用し、多層
構成の記録層の構成を工夫し、紫外線硬化樹脂の感応光
波長域で略3%以上の透過率を有するように各層の膜厚
を選定し、紫外線を照射すると、多層構成の記録層を透
過した紫外線により、紫外線硬化樹脂が硬化し、短時間
かつ少ない行程で両面型光学的情報記録媒体が製造でき
る。
【0191】なお、上記実施例では、貼り合わせた2枚
の光学的記録部材が同一仕様の場合について説明した
が、本発明の本質は、少なくとも一方の光学的記録部材
の紫外線透過率が概ね3%以上であれば良いため、両面
型光学的情報記録媒体の一方の光学的記録部材は、例え
ばCDやCD−ROMに代表される再生専用であっても
良い。また例えば一方の光学的記録部材は記録薄膜層と
金属反射層とのみで構成されていても良く、さらに2枚
の光学的記録部材の各々の誘電体層、記録薄膜層及び金
属反射層の材料及び/又は膜厚が変化した構成であって
も良いことはもちろんである。
【0192】さらに、本発明の光学記録部材を接着する
樹脂としては、少なくとも紫外線感応硬化成分を含有す
ればよく、すなわち従来技術のホットメルト接着剤等に
混入させる形態であっても、本発明の効果が発揮される
ことはもちろんである。
【0193】
【発明の効果】以上説明した通り本発明によれば、基板
上に、結晶−アモルファス間の相変化を生じる記録薄膜
層を含む多層構成の記録層と、前記記録層の上層に紫外
線硬化樹脂を含有する硬化被膜の保護層を含む構造の光
学的記録部材の製造工程において、フラッシュ発光を強
制的に停止させるための遮断回路を備えたフラッシュ露
光装置を初期化工程に適用することで、アモルファス相
−結晶相間の相変化型光学的情報記録媒体の初期化を高
速に行なうことが可能になり、同時に初期化に伴う熱的
なダメージを低減することが可能となった。この際、フ
ラッシュ発光のエネルギーを蓄積するコンデンサーから
の無駄な放電を抑制できるので、次の充電完了までの時
間を短縮でき、フラッシュ法による初期化工程のタクト
を短縮することが可能となった。
【0194】また、前記製造工程において、メインコン
デンサーの端子間電圧と印加電圧との差を所定の大きさ
以上に保持する回路を導入することで、フラッシュ発光
のエネルギーを蓄積するコンデンサーへの充電完了時間
を短くすることを可能とし、初期化工程に要する時間を
さらに短縮することが可能となった。
【0195】また、前記製造工程において、前記紫外線
硬化樹脂を含有する樹脂を塗布した後、前記光学的記録
部材の前記記録層及び前記保護層を設けた基板面と対向
する基板面に、矯正力を加えつつ紫外光線の照射を行な
うことで、フラッシュ初期化工程で生起する反りや歪を
予め防止することが可能となった。
【0196】また、前記製造工程において、フラッシュ
初期結晶化工程を終了後、反りや歪の矯正工程を兼ねた
アニール工程を施し、反りや歪みを大幅に低減するとと
もに、前記保護層を完全硬化することが可能となり、サ
ーボ特性の向上、保護層の信頼性を向上、製造歩留まり
の向上が可能となった。
【0197】また、前記製造工程において、光記録媒体
の紫外線透過率を3%以上とすることによって、フラッ
シュ初期化に適した構成である両面型構成の製造工程数
を低減し、生産効率を向上させることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の初期化方法に適用される遮断回路を備
えた初期化装置の1実施例における主要な構成を示す図
【図2】本発明の初期化装置に用いる遮断回路部10の
動作原理を説明する図
【図3】本発明のフラッシュ初期化装置におけるフラッ
シュ光の発光波形をオシロスコープで観測した結果を示
す図 A 本発明の遮断回路を用いずに放電発光させた場合の
発光波形図 B 本発明の遮断回路を発光開始後2msで作動させた
場合の発光波形図 C 本発明の遮断回路を発光開始後1msで作動させた
場合の発光波形図 D 本発明の遮断回路を発光開始後0.5msで作動さ
せた場合の発光波形図
【図4】本発明の初期化方法を適用して初期結晶化処理
を行う光ディスク媒体の構成の1例を示す断面図 A 徐冷構成の1例を示す断面図 B 急冷構成の1例を示す断面図
【図5】本発明の初期化装置の1実施例で、充電時間を
短縮するための機能を付加した構成
【図6】本発明の初期化装置の1実施例で、フラッシュ
ランプの発光エネルギーを蓄積するためのメインコンデ
ンサーを充電する際の、充電時間と充電電圧との関係を
示す図
【図7】従来の初期化装置における回路構成を説明する
ための図
【図8】従来の初期化装置におけるメインコンデンサー
への充電時間と充電電圧の過程を説明するための図
【図9】本発明の光学的情報記録媒体の製造方法の一実
施例の工程図
【図10】相変化記録媒体の構成例の断面構成を示す図 A 単板構造のディスク構成の場合の断面図 B ホットメルト接着剤を用いた、従来の両面構造ディ
スク構成の場合の断面図
【図11】本発明の光学的情報記録媒体の製造方法の1
実施例において、ディスク固定治具を用いてアニールを
行なう工程例を示す図 (A)内周部を固定する場合の構成例 (B)外周部を固定する場合の構成例 (C)内周部と外周部をそれぞれ別個に固定する場合の
構成例 (D)アニール工程前とは逆方向の反りを有するように
固定する場合の構成例
【図12】本発明の光学的情報記録媒体の製造方法の1
実施例において、ディスク固定治具を用いて多数のディ
スクを一度にアニールする方法例を示す構成図
【図13】本発明で適用した反り角の計測方法を説明す
る図
【図14】本発明の光学的情報記録媒体の製造方法の製
造工程中で、フラッシュ初期化に用いる放電回路の一実
施例を示す回路図
【図15】本発明の光学的情報記録媒体の製造方法の製
造工程中で、基板面が凹面になるように矯正しつつフラ
ッシュ照射を行なう一実施例の工程図
【図16】本発明の光学的情報記録媒体の製造方法の製
造工程中で、アニール工程を赤外線ランプを用いて行な
う一実施例の概略構成図
【図17】紫外線硬化樹脂を接着層に用いて構成した、
本発明の両面型光学的情報記録媒体の一実施例の構成を
示す断面図
【図18】本発明の両面型光学的情報記録媒体の製造工
程の一実施例を示す概略工程図 (1)透明基板を対向させる工程図 (2)紫外線硬化樹脂を注入する工程図 (3)紫外線硬化樹脂を均一に塗布する工程図 (4)紫外線照射の工程図
【符号の説明】 1 記録薄膜層 2 基板 3 光学的情報記録媒体 4 フラッシュ光線 5 スイッチ回路部 6 支持台 7 フラッシュ光源 8 蓄積回路部 9 トリガー回路部 10 遮断回路部 11 反射板 12 電源 13 トリガー電極 14 下引き誘電体層 15 上引き誘電体層 16 反射層 17 保護層 18 光記録媒体 19 支持台 20 フラッシュランプ 21 メインコンデンサ 22 電圧計 23 電源 24 設定回路 25 切り換えスイッチ 26 リレー 27 トリガーコイル 28 トリガーコンデンサー 29 制御手段 30 充電抵抗 31 フラッシュランプ 32 メインコンデンサー 33 電源 34 トリガーコイル 35 放電スイッチ 36 切り換えスイッチ 37 抵抗 38 光学的情報記録媒体 39 光学的情報記録媒体 40 基板 41 第1の誘電体層 42 記録薄膜層 43 第2の誘電体層 44 反射層 45 保護層 47 基板面 48 保護層面 49 接着剤(ホットメルト) 50 平坦な面 51 銅板 52 ディスク媒体 53 ネジ 54 内周部 55 外周部 56 台 57 ネジ 58 台 59 オモリ 60 矯正力 61 紫外光線 62 赤外線ランプ 63 赤外光線 64 透明基板 65 第1の誘電体層 66 記録薄膜層 67 第2の誘電体層 68 金属反射層 69 接着層(紫外線硬化樹脂層) 70 光学的記録部材 71 透明基板 72 透明基板 73 薄膜 74 薄膜 75 紫外線硬化樹脂 76 紫外線
フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平6−233830 (32)優先日 平6(1994)9月28日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平6−236748 (32)優先日 平6(1994)9月30日 (33)優先権主張国 日本(JP)

Claims (36)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶−アモルファス間の相変化を生じる
    記録薄膜層を基板上に備えた光学的情報記録媒体にフラ
    ッシュ光を照射し、上記記録薄膜の所定の部分を一括し
    て初期状態である結晶状態に転換する方法であって、 上記光学的情報記録媒体を所定の位置に支持する工程
    と、 フラッシュ光源に供給する電気エネルギーを蓄積回路部
    に充電する工程と、 上記フラッシュ光源にトリガーをかけて発光を開始させ
    る工程と、 上記発光を所定の時間継続させた後、上記フラッシュ光
    源に接続された遮断回路部を作動させ、上記放電を強制
    的に瞬時に終了させて発光強度を実質的にゼロレベルま
    で降下させる工程とを備えている光学的情報記録媒体の
    初期化方法。
  2. 【請求項2】 放電時間を最大2ミリ秒とした請求項1
    に記載の光学的情報記録媒体の初期化方法。
  3. 【請求項3】 記録薄膜層をGe−Sb−Te合金を主
    成分とする薄膜とした請求項1に記載の光学的情報記録
    媒体の初期化方法。
  4. 【請求項4】 結晶−アモルファス間の相変化を生じる
    記録薄膜層を基板上に備えた光学的情報記録媒体にフラ
    ッシュ光を照射し、上記記録薄膜の所定の部分を一括し
    て初期状態である結晶状態に転換する装置であって、 上記光学的記録媒体を支持する台部と、 放電によりフラッシュ光を放出する光源と、 上記光源に供給する電気エネルギーを蓄積しておく蓄積
    回路部と、 上記光源の放電を開始させるためのトリガー回路部と、 上記放電を所定の発光時間後に強制的に中断し、発光の
    強度を所定の強度から実効的にゼロレベルにまで瞬時に
    低減させる遮断回路部とを備えた光学的情報記録媒体の
    初期化装置。
  5. 【請求項5】 結晶状態とアモルファス状態との間で相
    変化を生じる記録薄膜を基板上に備えた光学的記録媒体
    にフラッシュ光を照射し、前記記録薄膜の所定の領域を
    一括して初期状態の結晶状態に転換する装置であって、 前記光学的記録媒体を支持する手段と、 放電によりフラッシュ光を照射する光源と、 この光源に供給するエネルギーを蓄積しておく蓄積手段
    と、 この蓄積手段にエネルギーを送る供給手段と、 前記光源の放電を開始させるための放電開始手段と、 前記蓄積手段には蓄積されたエネルギー量を検出する蓄
    積量検出手段と、 前記供給手段にはエネルギーを供給する量を設定する供
    給量設定手段と、 前記蓄積量検出手段で検出した検出量に応じて、前記供
    給量設定手段で設定する供給量を前記蓄積手段のエネル
    ギーの到達量または到達量の規定値のいずれかよりも大
    きくなるように前記供給手段を制御し、前記蓄積手段の
    エネルギー量が所定の値に到達した時に、前記供給手段
    から前記蓄積手段へのエネルギーの供給を遮断する切り
    換え手段により遮断し、放電開始手段により光源を発光
    させるように制御する制御手段とを備えている光学的記
    録媒体の初期化装置。
  6. 【請求項6】 供給手段のエネルギー供給量および蓄積
    手段のエネルギー蓄積量を電圧値で検知し、前記蓄積手
    段の蓄積完了時の電圧値よりも、前記供給手段の電圧値
    の方を高くする請求項5に記載の光学的記録媒体の初期
    化装置。
  7. 【請求項7】 供給手段のエネルギー供給量および蓄積
    手段のエネルギー蓄積量を電圧値で検知し、前記供給手
    段の電圧値と前記蓄積手段の到達電圧値との差がほぼ一
    定である請求項5に記載の光学的記録媒体の初期化装
    置。
  8. 【請求項8】 基板上に、結晶−アモルファス間の相変
    化を生じる記録薄膜層を含む多層構成の記録層と、前記
    記録層の上層に紫外線硬化樹脂を含有する硬化被膜の保
    護層を含む構造の光学的記録部材の製造方法であって、 前記紫外線硬化樹脂膜を設けた後、前記光学的記録部材
    の前記記録層及び前記保護層を設けた基板面と対向する
    基板面に、矯正力を加えつつ紫外光線の照射を行なう紫
    外線照射工程と、 前記紫外線照射工程終了後に行う初期結晶化工程とを備
    えている光学的情報記録媒体の製造方法。
  9. 【請求項9】 紫外光照射工程と初期化工程との間に、
    光学的記録媒体を加熱するアニール工程を行う請求項8
    に記載の光学的情報記録媒体の製造方法。
  10. 【請求項10】 アニール工程を、矯正力を印加した状
    態で行う請求項9に記載の光学的情報記録媒体の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 アニール工程の熱源が、赤外光ランプ
    の照射である請求項9または10に記載の光学的情報記
    録媒体の製造方法。
  12. 【請求項12】 初期化工程を、矯正力を加えた状態で
    行う請求項8に記載の光学的情法記録媒体の製造方法。
  13. 【請求項13】 初期化工程を、フラッシュ光照射によ
    り行う請求項8、9又は12記載の光学的情報記録媒体
    の製造方法。
  14. 【請求項14】 基板上に、結晶−アモルファス間の相
    変化を生じる記録薄膜層を備え、かつ最上層に紫外線硬
    化樹脂を含む硬化性樹脂を硬化させた保護層を具備した
    光学的情報記録媒体の製造方法であって、初期結晶化工
    程を終了後、アニール工程を施し前記保護層を完全硬化
    することを特徴とする光学的情報記録媒体の製造方法。
  15. 【請求項15】 光学的情報記録媒体が、基板の上に第
    1の誘電体層、記録薄膜層、第2の誘電体層、反射層を
    積層し、最上層に保護層を設けて構成されている請求項
    14に記載の光学的情報記録媒体の製造方法。
  16. 【請求項16】 記録薄膜層がGe−Sb−Teを主成
    分とする合金薄膜である請求項14又は15に記載の光
    学的情報記録媒体の製造方法。
  17. 【請求項17】 アニール工程において、光学的情報記
    録媒体を反りのない状態に矯正する処理、又は反りを矯
    正する方向に外力を与える処理を行う請求項14に記載
    の光学的情報記録媒体の製造方法。
  18. 【請求項18】 アニール工程において、ディスク形状
    を有する光学的情報記録媒体の外径より少し小さい径の
    穴を有する台の上に前記光学的情報記録媒体の外周部が
    支持されるように、かつ、前記光学的情報記録媒体の中
    心と前記穴との中心とを合わせた状態で、前記光学的情
    報記録媒体の凸面が上になるように前記光学的情報記録
    媒体を保持し、前記光学的情報記録媒体が逆向きに凸、
    または平坦になるように、前記光学的情報記録媒体のセ
    ンター部に加重し、又はセンター部を固定する請求項1
    4又は17に記載の光学的情報記録媒体の製造方法。
  19. 【請求項19】 アニール工程で矯正処理を行い、基板
    面または保護層面の少なくとも何れか一方の面を、平滑
    な面上に伏せた状態に放置する請求項14又は17に記
    載の光学的情報記録媒体の製造方法。
  20. 【請求項20】 アニール工程で矯正処理を行い、基板
    面又は保護層面の最内周部又は最外周部の少なくとも何
    れか1つを、平坦な面を有する物体に押さえつける請求
    項14又は17に記載の光学的情報記録媒体の製造方
    法。
  21. 【請求項21】 平坦な面が、アニール工程の温度以上
    の耐熱性を有する物体の一面であり、予め所定の温度に
    加熱した前記物体の平坦面上に光学的情報記録媒体を置
    く請求項14、19又は20に記載の光学的情報記録媒
    体の製造方法。
  22. 【請求項22】 アニール工程で矯正処理を行い、単板
    構造の光学的情報記録媒体を複数枚積み重ねた状態で、
    両側から力を加える請求項14、17又は20に記載の
    光学的情報記録媒体の製造方法。
  23. 【請求項23】 アニール工程の温度が記録薄膜層の相
    変化が発生する温度以下である請求項14又は17〜2
    2のいずれか1項に記載の光学的情報記録媒体の製造方
    法。
  24. 【請求項24】 アニール工程の温度が100℃以下で
    ある請求項23に記載の光学的情報記録媒体の製造方
    法。
  25. 【請求項25】 初期結晶化工程をフラッシュ露光によ
    り行う請求項14に記載の光学的情報記録媒体の製造方
    法。
  26. 【請求項26】 レーザ光線の照射によって光学的に検
    出可能な変化を生じる記録薄膜層及び金属反射層を含む
    多層構造膜を透明基板上に備えた光学的記録部材を2枚
    貼り合わせた光学的情報記録媒体であって、前記2枚の
    光学的情報記録部材を、前記多層構造膜が内側になるよ
    う対向させ、紫外線に感応して硬化する成分を含有する
    樹脂を介して前記2枚の光学的情報記録部材を貼り合わ
    せ、前記2枚の光学的記録部材のうちの少なくとも一方
    が、前記樹脂の紫外線感応波長域において略3%以上の
    透過率を有することを特徴とする光学的情報記録媒体。
  27. 【請求項27】 前記記録薄膜層は、アモルファス相−
    結晶相間の相変化現象に伴う光学的特性の変化を利用す
    るものであり、前記2枚の光学的記録部材のうちの少な
    くとも一方の記録薄膜層がアモルファス状態の場合に
    は、樹脂の紫外線感応波長域において略3%以上の透過
    率を有する請求項26に記載の光学的情報記録媒体。
  28. 【請求項28】 金属反射層が、Auを主成分とする合
    金Au100-xx(Mは金属元素、100>x≧0)であ
    る請求項26に記載の光学的情報記録媒体。
  29. 【請求項29】 透明基板上に、レーザ光線の照射によ
    って光学的に検出可能な変化を生じる記録薄膜層及び金
    属反射層を含む多層構造膜を備えてなる2枚の光学的記
    録部材を、紫外線感応硬化成分を含有する樹脂を用いて
    貼り合わせる工程を有する製造方法であって、 前記2枚の光学的記録部材の少なくとも一方の前記多層
    構造膜について、前記樹脂の紫外線感応波長域において
    略3%以上の透過率を有する膜を形成する成膜工程と、 前記2枚の光学的記録部材を互いに前記多層構造膜の形
    成された面が向かい合うように配置する配置工程と、 前記対向する多層構造膜間のスペースに前記樹脂を充填
    する充填工程と、 紫外光の露光により前記樹脂を硬化させる露光工程とを
    備えている光学的情報記録媒体の製造方法。
  30. 【請求項30】 前記露光を光学的記録部材の両側の面
    から行う請求項29記載の光学的情報記録媒体の製造方
    法。
  31. 【請求項31】 露光工程の後、光学的情報記録媒体に
    エネルギー線を照射して初期化を行う請求項29又は3
    0に記載の光学的情報記録媒体の製造方法。
  32. 【請求項32】 前記エネルギー線がレーザービームで
    ある請求項31記載の光学的情報記録媒体の製造方法。
  33. 【請求項33】 前記エネルギー線がフラッシュ光であ
    る請求項31記載の光学的情報記録媒体の製造方法。
  34. 【請求項34】 前記2枚の光学的記録部材のうちの少
    なくとも一方が再生専用タイプである請求項26に記載
    の光学的情報記録媒体。
  35. 【請求項35】 前記2枚の光学的記録部材のうちの少
    なくとも一方が再生専用タイプであることを特徴とする
    請求項29に記載の光学的情報記録媒体の製造方法。
  36. 【請求項36】 請求項8記載の製造方法において、前
    記光学的情報記録媒体を、それ自身の重みで反りが矯正
    されるような向きに配置して紫外線の照射を行う光学的
    情報記録媒体の製造方法。
JP7246211A 1994-09-27 1995-09-25 光学的情報記録媒体の製造方法ならびに製造装置 Pending JPH08153343A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7246211A JPH08153343A (ja) 1994-09-27 1995-09-25 光学的情報記録媒体の製造方法ならびに製造装置

Applications Claiming Priority (11)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23103594 1994-09-27
JP23383094 1994-09-28
JP23382994 1994-09-28
JP23289694 1994-09-28
JP6-233830 1994-09-30
JP6-232896 1994-09-30
JP23674894 1994-09-30
JP6-236748 1994-09-30
JP6-233829 1994-09-30
JP6-231035 1994-09-30
JP7246211A JPH08153343A (ja) 1994-09-27 1995-09-25 光学的情報記録媒体の製造方法ならびに製造装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08153343A true JPH08153343A (ja) 1996-06-11

Family

ID=27554050

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7246211A Pending JPH08153343A (ja) 1994-09-27 1995-09-25 光学的情報記録媒体の製造方法ならびに製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08153343A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6256286B1 (en) 1997-02-21 2001-07-03 Nec Corporation Method for initiating a phase change recording medium
JP2003515232A (ja) * 1999-11-16 2003-04-22 ポラロイド コーポレイション 相変化記録媒体を初期化するシステムおよび方法
JP2005251377A (ja) * 2004-02-03 2005-09-15 Ricoh Co Ltd 内外周受け、外周段差変更可能な貼合せ矯正ステージ
JP2012226893A (ja) * 2011-04-18 2012-11-15 Iwasaki Electric Co Ltd 閃光放電ランプ点灯装置、光照射器、及びそれを用いた光硬化材料の硬化方法
TWI625582B (zh) * 2016-10-31 2018-06-01 元太科技工業股份有限公司 識別元件、顯示器、識別元件的製造方法以及形成顯示圖案的方法
US10657853B2 (en) 2016-10-31 2020-05-19 E Ink Holdings Inc. Identifiable element, display device, method of manufacturing the same, and method of forming a display pattern

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6256286B1 (en) 1997-02-21 2001-07-03 Nec Corporation Method for initiating a phase change recording medium
JP2003515232A (ja) * 1999-11-16 2003-04-22 ポラロイド コーポレイション 相変化記録媒体を初期化するシステムおよび方法
JP4886954B2 (ja) * 1999-11-16 2012-02-29 センシン・キャピタル,リミテッド・ライアビリティ・カンパニー 相変化記録媒体を初期化するシステムおよび方法
JP2005251377A (ja) * 2004-02-03 2005-09-15 Ricoh Co Ltd 内外周受け、外周段差変更可能な貼合せ矯正ステージ
JP2012226893A (ja) * 2011-04-18 2012-11-15 Iwasaki Electric Co Ltd 閃光放電ランプ点灯装置、光照射器、及びそれを用いた光硬化材料の硬化方法
TWI625582B (zh) * 2016-10-31 2018-06-01 元太科技工業股份有限公司 識別元件、顯示器、識別元件的製造方法以及形成顯示圖案的方法
US10657853B2 (en) 2016-10-31 2020-05-19 E Ink Holdings Inc. Identifiable element, display device, method of manufacturing the same, and method of forming a display pattern

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100218211B1 (ko) 광학적정보기록매체의 제조방법 및 제조장치
JP3250989B2 (ja) 光学情報記録媒体、その記録再生方法、その製造法及び光学情報記録再生装置
EP1959445B1 (en) Information recording medium and method for manufacturing same
JPH1173692A (ja) 光記録媒体およびその製造方法
JPH08153343A (ja) 光学的情報記録媒体の製造方法ならびに製造装置
JP2005122872A (ja) 2層相変化型情報記録媒体及びその記録再生方法
EP1683647A1 (en) Two-layer phase change information recording medium and recording method
EP0706179A2 (en) Production process of optical information recording medium and production apparatus therefor
JP2000215516A (ja) 光学的情報記録媒体とその製造方法、その記録再生方法および記録再生装置
JPH097224A (ja) 記録用部材とこれを用いた記録方法及び記録装置
JPH07109663B2 (ja) 光学情報記録再生消去部材とその製造方法
WO2003028021A1 (fr) Support d'enregistrement optique et systeme d'enregistrement associe
EP2116386A1 (en) Information recording medium, process for producing the information recording medium, sputtering target, and film forming apparatus
JPH08329521A (ja) 光記録媒体
JP3214183B2 (ja) 光学的情報記録媒体
JP2001084655A (ja) 光学的情報記録媒体の初期化方法
JP2001273674A (ja) 光学情報記録媒体、その記録再生方法、その製造法及び光学情報記録再生装置
WO2003028022A1 (fr) Support d'enregistrement optique
JPH11134723A (ja) 情報記録媒体の初期化方法及び初期化装置
JP2004241046A (ja) 相変化型光情報記録媒体およびその製造方法
JPH06274934A (ja) 情報の記録用部材および装置
JP2002352474A (ja) 光記録媒体及びその製造方法
JPH0883443A (ja) 光学的情報記録用媒体の製造方法
JPH117656A (ja) 光学情報記録媒体
JPH04263133A (ja) 情報光記録媒体とその記録再生方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20031209

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20040206

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20040312