JPH08145272A - ウオーターハンマー防止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 ベンチュリー効果を良くして、圧力波を受入
れさせる隔膜７よりなる水室Ｗの収縮が確実に行なわれ
るようにしながら、圧力波の水室Ｗ内への流入が迅速に
なって、圧力波の吸収が適確に行なわれるようにする。 【構成】 配管の途中に接手管状に接続する筒体内にベ
ンチュリー５を設け、それの縊れ部５ａに連通口６を開
設して、筒体に付設する隔膜よりなる水室Ｗに連通する
ウオーターハンマー防止装置Ａにおいて、ベンチュリー
の縊れ部に開設する連通口６を、ベンチュリーの内周面
の周方向に沿う口径Ｒが狭くベンチュリーの軸方向に沿
う口径が長い長穴状に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、冷水・温水・油等の液
体を流通させる配管の途中に接続しておいて、その配管
に接続してある蛇口等の開閉弁が急激に閉弁されるなど
でその配管内の液体の流れが急激に停止したときに発生
してくる圧力波（ウオーターハンマー）を吸収させ、そ
のウオーターハンマーにより配管機材を破壊するように
なるのを防止するウオーターハンマー防止装置について
の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】配管の途中に接続しておくことで、その
配管内に発生してくる圧力波（ウオーターハンマー）を
吸収させて、ウオーターハンマーにより配管機材が破壊
を受けるようになるのを防止するウオーターハンマー防
止装置には、図１に示しているように、配管ａに対し側
枝状に接続する膨張タンク１内に、ダイヤフラム１０で
隔てた空気室１１を設けて、それの内部に圧縮空気を封
入しておき、配管ａ内に圧力波が生じたときに、その圧
力でダイヤフラム１０を介し空気室１１が圧縮されてい
くようにして、圧力波のピークを緩和するようにする手
段があり、また、図２に示している如く、配管ａに側枝
状に接続するシリンダ２内に、ピストン２０を嵌装し、
そのピストン２０をバネ２１で押し下げておき、配管ａ
内に圧力波が生じたときに、その圧力でピストン２０が
バネ２１の付勢に抗して押し上げられていくことで、圧
力波のピークを緩和するようにする手段がある。

【０００３】さらに、図３に示すよう、配管ａの途中に
継手管状に接続する筒状のケース３の内面側に、ゴム材
等の弾性資材よりなるチューブ３０を内筒状に嵌装し
て、そのチューブ３０の外周面と前記筒状のケース３の
内周面との間に、スポンジ３１を装入しておいて、配管
ａ内に圧力波が生じたときに、それの圧力でチューブ３
０がスポンジ３１を押し潰しながら拡張して、圧力を吸
収するようにする手段がある。

【０００４】上述した従前のウオーターハンマーの防止
手段は、図１に示す膨張タンク１を用いる手段にあって
は、大きな膨張タンク１を用いることから機器の内蔵配
管に対しての取付けが困難で、しかも、高価なものとな
る問題があり、また、図２に示すピストン２０をバネ２
１の圧力に抗して動かす手段にあっては、配管ａに対し
シリンダ２を側枝状に接続することで、前記図１の手段
と同様に機器の内蔵配管に対しての取付けが困難で、し
かも、圧力波の吸収能力が低い問題があり、また、図３
に示す手段にあっては、圧力変動のある場所では効果が
小さくなり、かつ、水圧に見合ったものとする調節が困
難である問題がある。

【０００５】この問題の対策として、本発明の出願人
は、図４または図５に示している如く配管ａの途中に接
続する接手管状の筒体４内に、ベンチュリー５を設け、
それの縊れ部５ａに連通口６を開設し、その連通口６と
連通する水室Ｗを、撓曲自在の隔膜７により膨縮するよ
う形成して、図４の如く、筒体４の外周に付設しておく
か、図５に示すよう枝管状に筒体４に付設しておくこと
で、ウオーターハンマー防止装置を構成する手段を開発
した。

【０００６】この手段は、配管ａ内の流れがストップし
ている状態のときは、配管ａ内に供給される水または湯
の圧力で、その水または湯が連通口６…から水室Ｗ内に
流入していくことで、隔膜７は図５において鎖線に示
し、また図６に示している如く膨張した状態となり、水
室Ｗ内はこれにより、配管ａ内の給水（または給湯）の
圧力と同圧に保持される。

【０００７】次に、配管ａ内に給水の流れが存在してい
るときは、その給水の流れがベンチュリー５の縊れ部５
ａを高速で流過することによるベンチュリー効果によ
り、水室Ｗが負圧になることで、その水室Ｗ内の水が配
管ａ側に吸い出され、隔膜７が収縮して図４または図５
にて実線に示している如く、ベンチュリー５の外周面に
接当していく状態となる。

【０００８】次に、この状態において、配管ａの下流側
に設けてある給水栓または給湯栓が急激に閉弁したとき
は、これにより、ベンチュリー５の縊れ部５ａによるベ
ンチュリー効果がなくなって、水室Ｗ内の負圧は消失す
る。

【０００９】そして、これにより、配管ａの水は、前述
の連通口６…から水室Ｗ内に流入し、隔膜７を膨張させ
ていく。このため、配管ａ内の流れは、この隔膜７内へ
の流れ込みが止まるまでは停止せず、その流れ込が止ま
ることで停止することになり、従って、給水栓・給湯栓
を急激に閉弁しても、このウオーターハンマー防止装置
Ａよりも上流側にはウオーターハンマー現象が生じない
ようになる。

【００１０】また、隔膜７を、膨張した状態から自力で
は収縮していくことのないように形成しておくことで、
自力で戻ることによる反動のウオーターハンマー現象も
防止できるようになる。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】上述の手段は、ベンチ
ュリー５の縊れ部５ａに開設する連通口６の口径を大き
くすることで、圧力波を吸収する効率を向上させ得るよ
うになる。しかし、この連通口６の口径を大きくする
と、ベンチュリー効果が落ちてきて、隔膜７よりなる水
室Ｗを収縮させ得ないようになって、圧力波を吸収する
機能を低下させる結果をきたすようになる。

【００１２】従って、圧力波の吸収を良くすることで、
ベンチュリー効果を良くすることが、互いに反対に働
き、両方を満足させるようにすることがむずかしい問題
がある。

【００１３】本発明は、この問題を解決するためになさ
れたものであって、ベンチュリー効果を良くして、圧力
波を受入れさせる隔膜７よりなる水室Ｗの収縮が確実に
行なわれるようにしながら、圧力波の水室Ｗ内への流入
が迅速になって、圧力波の吸収が適確に行なわれるよう
になる新たな手段を提供することを目的とする。

【００１４】

【課題を解決するための手段】そして、本発明において
は、上述の目的を達成するための手段として、配管の途
中に接手管状に接続する筒体内にベンチュリーを設け、
それの縊れ部に連通口を開設して、筒体に付設する隔膜
よりなる水室に連通するウオーターハンマー防止装置に
おいて、ベンチュリーの縊れ部に開設する連通口を、ベ
ンチュリーの内周面の周方向に沿う口径が狭くベンチュ
リーの軸方向に沿う口径が長い長穴状に形成したことを
特徴とするウオーターハンマー防止装置を提起するもの
である。

【００１５】

【作用】上述のように構成せる本発明手段は、ベンチュ
リー５の縊れ部５ａに開設せる連通口６が、ベンチュリ
ー５の径方向には小径でベンチュリー５の軸方向に長い
長穴状に形成していることから、ベンチュリー５の縊れ
部５ａを流過する水流に対しては、従前手段における小
径の連通口６と同程度にしか影響しないので、小径の連
通口６を開設した場合のように縊れ部５ａを高速で流過
する水流により良好なベンチュリー効果を保持するよう
になって、隔膜７よりなる水室Ｗを確実に収縮させた状
態とする。

【００１６】そして、配管ａの下流側に設けてある給水
栓または給湯栓が急激に閉止して圧力波が生じたとき
は、その圧力波がベンチュリー５の縊れ部５ａに波及し
てきて、そこに開設してある連通口６から隔膜７よりな
る水室Ｗ内に圧力を流入させていくときに、その連通口
６がベンチュリー５の軸方向に長く形成してあって、そ
れにより開口面積を数倍に大きくしていることで、従前
の小径の連通口６を設けている場合に比して、数倍の速
さで水室Ｗ内に圧力を流入させていき、これによる圧力
波の吸収効果を高めるようになる。

【００１７】

【実施例】次に実施例を図面に従い詳述する。なお、図
面符号は、従前手段のものと同効の構成部材については
同一の符号を用いるものとする。

【００１８】図７は、隔膜７よりなる水室Ｗおよびその
隔膜７よりなる水室Ｗを収容する隔膜収容室Ｙを、筒体
４内に組込んだベンチュリー５の外周面と筒体４の周壁
の内周面との間に装設した形態とした本発明によるウオ
ーターハンマー防止装置Ａの縦断側面図で、同図におい
て、４は筒体、５はベンチュリー、６はベンチュリー５
の縊れ部５ａに開設した連通口、７は水室Ｗを形成する
隔膜、Ｙは隔膜７よりなる水室Ｗを収容する隔膜収容室
を示す。

【００１９】筒体４は、パイプ状に形成されていて、そ
れの軸方向の一端側となる上端側には、胴部４ａより小
径に形成した配管ａの内径に対応する口径に形成した接
手管部４０が形成され、軸方向の他端側となる下端側に
は、配管ａの内径に対応する口径の透孔４１が形成して
ある。そして、その透孔４１には、別体に形成した接手
管４２が該筒体４を下方に延長するように接続連結して
あり、それの下端に配管ａを接続するための接続管部４
３が形成してある。また、該筒体４の胴部４ａの周壁に
は、それの内側に形成される隔膜収容室Ｙを外部に連通
させる空気穴４４が形成してある。

【００２０】ベンチュリー５は、軸筒状に形成して、そ
れの内腔に縊れ部５ａを形成した通常のもので、外径が
接続管部４０の口径に対応するように形成してあって、
筒体４の下端側の透孔４１から筒体４内に挿入し、筒体
４の下端に別体の接手管４２を組付けることで筒体４内
に一体的に組込まれている。そしてこれにより、該ベン
チュリー５の外周面と筒体４の胴部４ａの内周面との間
に隔膜収容室Ｙを形成し、ここに、水室Ｗを形成する隔
膜７を収容せしめている。また、ベンチュリー５の内腔
に形成する縊れ部５ａは、配管ａ内を流れる水流の上流
側となる図７において上端側に寄る部位に形成してあ
る。

【００２１】そして、このベンチュリー５の縊れ部５ａ
に開設する連通口６は、図８に示している如く、ベンチ
ュリー５の周方向に沿う方向の口径Ｒを狭くし、ベンチ
ュリー５の軸方向に沿う方向の口径Ｌを長くした長穴に
形成してあり、それの基端側は、ベンチュリー５の外周
を取り囲むように配設してある隔膜７よりなる水室Ｗに
対して開放している。

【００２２】前記隔膜７は、ゴム材・合成樹脂材・金属
材等で蛇腹状に成形して拡縮するように形成した通常の
もので、軸方向の両端部を開放させた筒状に形成してあ
って、それの軸方向を前記ベンチュリー５の軸方向に沿
わせた姿勢として、そのベンチュリー５の外周側に嵌挿
し、軸方向の両端の開放口をベンチュリー５の外周面に
水密に止着し、その状態で、ベンチュリー５と一緒に筒
体４内に装入し、筒体４の下端側に接手管４２を組付け
ることで、その接手管４２を組付金具として筒体４に組
付けてある。

【００２３】この水室Ｗを形成する膨縮する隔膜７の筒
体４に対する組付けは、上述の例においては、ベンチュ
リー５の外周側に隔膜７を鞘状に被せて、ベンチュリー
５の筒体４に対する組付けにより一緒に行なわれるよう
にしているが、この例に限られるものではなく、図５に
ある従前手段のように、隔膜収容室Ｙを、筒体４の側面
から側枝状に突出するように装設して、その内部に隔膜
７よりなる水室Ｗを組込むようにする場合のように、ベ
ンチュリー５と別々に筒体４に組付けるようにしてよい
ものである。

【００２４】図９は、隔膜７を、ステンレススチール等
の自力で収縮側に戻るように形成した場合に、隔膜７の
急激な戻りによる反動のウオーターハンマー現象を防止
するために、隔膜収容室Ｙと外気とを連通させる空気穴
４４に付設した弁機構８を示している。この弁機構８
は、空気穴４４に、隔膜７よりなる水室Ｗが収縮して隔
膜収容室Ｙに外気が吸引されるときに、該空気穴４４を
閉止し、隔膜収容室Ｙ内の圧力が隔膜７よりなる水室Ｗ
の膨張で上昇してきたときにその圧力で開弁するよう
に、バネ８０により閉弁側に付勢した弁８１と、その弁
８１が閉止時に隔膜収容室Ｙを外気に対して僅かの通気
量で連通させる小径のバイパス通路８２とからなる。そ
して、これにより、隔膜７よりなる水室Ｗの収縮により
隔膜収容室Ｙに外気が吸入されていくときに、その外気
の流入を遅らせて、戻りの反動によるウオーターハンマ
ー現象を防止するようにしてある。

【００２５】この空気穴４４に設ける弁機構８は、水室
Ｗを形成する隔膜７をゴム材などで成形したときには、
急激に膨張するのを避けるため、図１０に示している如
く、弁８１に対するバネ８０の付勢の方向を逆にし、隔
膜収容室Ｙから空気を排出するときに小径のバイパス通
路８２を介してゆっくりと空気の排出が行なわれるよう
にする場合がある。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によるウオ
ーターハンマー防止装置は、配管ａの途中に接手管状に
接続する筒体４内に、ベンチュリー５を設けておき、そ
れの縊れ部５ａに開設する連通口６を、隔膜７により膨
縮自在に形成した水室Ｗに連通させておいて、配管ａ内
を流過する水流により水室Ｗを収縮した状態に保持せし
めておいて、配管ａに接続する給水栓または給湯栓の急
激な閉止により圧力波が生じたときに、その圧力波の圧
力を、ベンチュリー５の縊れ部５ａに設けた連通口６を
介して、隔膜７よりなる水室Ｗ内に流入させて圧力波を
吸収させるようにするに際し、ベンチュリー５の縊れ部
５ａに設ける連通口６を、縊れ部５ａの内周面の周方向
の口径Ｒを狭く軸方向の口径Ｌを長くした長穴状に形成
していることから、ベンチュリー効果を、連通口６の口
径を小さくした場合と同様に良好にしながら、実質的な
連通口６の開口面積が大きくなることで圧力波の吸収を
良好にし得るようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】従前のウオーターハンマー防止装置の縦断側面
図である。

【図２】従前のウオーターハンマー防止装置の別の例の
縦断側面図である。

【図３】従前のウオーターハンマー防止装置のさらに別
の例の縦断側面図である。

【図４】従前のウオーターハンマー防止装置の異なる例
の縦断正面図である。

【図５】同上ウオーターハンマー防止装置の変形例の縦
断側面図である。

【図６】図４のウオーターハンマー防止装置の作用の説
明図である。

【図７】本発明によるウオーターハンマー防止装置の縦
断正面図である。

【図８】同上ウオーターハンマー防止装置の要部の拡大
縦断正面図である。

【図９】同上ウオーターハンマー防止装置の部分の縦断
正面図である。

【図１０】同上ウオーターハンマー防止装置の同上部分
の変形例の縦断側面図である。

【符号の説明】

Ａ…ウオーターハンマー防止装置、ａ…配管、Ｗ…水
室、Ｙ…隔膜収容室、Ｒ・Ｌ…口径、１…膨張タンク、
１０…ダイヤフラム、１１…空気室、２…シリンダ、２
０…ピストン、２１…バネ、３…ケース、３０…チュー
ブ、３１…スポンジ、４…筒体、４ａ…胴部、４０…接
手管部、４１…透孔、４２…接手管、４３…接続管部、
４４…空気穴、５…ベンチュリー、５ａ…縊れ部、６…
連通口、７…隔膜、８…弁機構、８０…バネ、８１…
弁、８２…バイパス通路。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 配管ａの途中に接手管状に接続する筒体
   ４内にベンチュリー５を設け、それの縊れ部５ａに連通
   口６を開設して、筒体４に付設する隔膜７よりなる水室
   Ｗに連通するウオーターハンマー防止装置において、ベ
   ンチュリー５の縊れ部５ａに開設する連通口６を、ベン
   チュリー５の内周面の周方向に沿う口径Ｒが狭くベンチ
   ュリー５の軸方向に沿う口径Ｌが長い長穴状に形成した
   ことを特徴とするウオーターハンマー防止装置。